- 235 - 携 帯 電 話 の 光 と 影 に 関 する 研 究 - 情 報 メディアを 安 心 して 利 用 するために- 情 報 モラル 教 育 研 究 会 議 研 修 員 安 部 亮 太 ( 川 崎 市 立 有 馬 小 学 校 ) 林 美 登 利 ( 川 崎 市 立 日 吉 小 学 校 ) 吉 田 一 弘 ( 川 崎 市 立 高 津 中 学 校 ) 乾 和 弘 ( 川 崎 市 立 長 沢 中 学 校 ) 指 導 主 事 増 田 実 Ⅰ 主 題 設 定 の 理 由 携 帯 電 話 について 学 校 で 扱 ってよいものか 扱 うとすればどのように 扱 っていけばよいか 指 導 に ついて 悩 んでいる 教 員 が 多 い 学 校 で 取 り 扱 わないまま 小 学 校 高 学 年 から 中 学 生 にかけて 携 帯 電 話 を 所 持 する 児 童 生 徒 の 数 は 増 加 し 携 帯 電 話 に 係 るトラブルも 増 加 していっている 掲 示 板 における 誹 謗 中 傷 やチェーンメールの 問 題 が 小 学 生 段 階 でも 問 題 となってきた 小 学 生 で 携 帯 電 話 を 全 員 所 有 しているわけではない しかし 小 学 生 段 階 で 携 帯 電 話 を 持 っていなくとも いずれは 利 用 するこ とを 想 定 し 正 しい 携 帯 電 話 の 持 ち 方 インターネット 端 末 としての 携 帯 電 話 の 扱 い 方 等 を 情 報 社 会 に 生 きる 子 どもたちにしっかり 指 導 する 必 要 があると 考 える 本 研 究 会 議 では 身 近 な 題 材 となり つつある 携 帯 電 話 を 中 心 に 誰 もが 取 り 組 めるような 情 報 モラル 教 育 を 考 えていく Ⅱ 研 究 の 内 容 平 成 20 年 1 月 17 日 の 中 央 教 育 審 議 会 答 申 において 小 学 校 段 階 では 各 教 科 等 において コンピ ュータや 情 報 通 信 ネットワークなどの 積 極 的 な 活 用 を 通 じて その 基 本 的 な 操 作 の 習 得 や 情 報 モラ ル 等 にかかわる 指 導 の 充 実 を 図 る と 記 された 情 報 モラル 等 とは ネットワーク 上 のルール やマナー 危 険 回 避 個 人 情 報 プライバシー 人 権 侵 害 著 作 権 等 に 対 する 対 応 や コンピュータ などの 情 報 機 器 の 使 用 による 健 康 とのかかわりなど である 今 後 情 報 モラル 教 育 は 必 ず 必 要 な 指 導 となってきている 中 央 教 育 審 議 会 答 申 では 企 業 に 求 めるものとして 携 帯 電 話 について 記 述 されているが 学 習 指 導 要 領 案 では 携 帯 電 話 という 単 語 は 登 場 しない しかし 神 奈 川 県 の 携 帯 電 話 所 持 率 は 小 学 校 6 年 生 で41.6% 中 学 校 3 年 生 で77.7%と 全 国 的 にも 高 く 携 帯 電 話 に 係 るトラブルも 多 い そこで いずれ 関 わる 可 能 性 のある 携 帯 電 話 を 題 材 として 取 り 上 げることとした 1 研 究 の 意 義 携 帯 電 話 の 学 校 持 込 については 授 業 には 関 係 ないものとして 禁 止 している 学 校 が 多 い 学 校 には 関 係 のないものだから 学 校 で 携 帯 電 話 については 教 育 する 必 要 はない 家 庭 に 任 せればよいという 意 見 もある しかし 防 犯 上 の 理 由 で 保 護 者 から 持 たせたいとの 要 望 があったり 携 帯 電 話 に 係 る 児 童 生 徒 指 導 上 の 問 題 がおこっており 学 校 では 情 報 活 用 能 力 の 重 要 な 要 素 として 教 育 する 必 要 が あると 考 える 学 校 で 携 帯 電 話 について 教 育 するにあたり どう 扱 っていけばよいか 禁 止 しているのに 扱 ってよ いものか どのように 進 めていけばよいかわからないという 教 員 の 声 を 聞 く 携 帯 電 話 を 授 業 で 扱 う
- 236 - ことが 呼 び 水 となり 子 どもたちが 携 帯 電 話 を 欲 しがるようになってしまい 保 護 者 から 苦 情 がくる のではないかと 危 惧 する 声 もある 家 庭 や 学 校 が 携 帯 電 話 についての 教 育 をしなければ 児 童 生 徒 は 携 帯 電 話 についての 正 しい 知 識 を 教 わる 機 会 を 持 たずに 所 持 することになる 今 回 の 研 究 で 携 帯 電 話 に 焦 点 を 置 くことは 学 校 での 情 報 モラル 教 育 を 推 進 する 際 の 一 助 になると 考 える 2 現 状 分 析 (1) 学 校 における 情 報 モラル 教 育 平 成 12 年 の 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 において 情 報 モラルという 言 葉 は 情 報 社 会 で 適 正 な 活 動 を 行 うための 基 になる 考 え 方 と 態 度 と 定 義 された 携 帯 電 話 が 普 及 し 始 めたのも 平 成 8 年 ごろからで あり カメラ 機 能 やインターネット 等 の 付 加 機 能 が 付 いてから 急 速 に 普 及 してきた 昭 和 62 年 の 教 育 改 革 に 関 する 第 三 次 答 申 で 情 報 モラルの 確 立 と 出 されたが 大 学 で 情 報 モラル 教 育 を 取 り 扱 うようになってきたのも 最 近 のことである 多 くの 大 人 は 情 報 モラルを 学 校 で 学 習 していない 教 員 も 保 護 者 も 同 様 であり 情 報 モラル 教 育 は 手 探 りの 状 態 の 中 にあると 考 える 平 成 18 年 度 の 学 校 における 教 育 の 情 報 化 の 実 態 に 関 する 調 査 結 果 ( 文 部 科 学 省 )において 大 項 目 D 情 報 モラルを 指 導 する 能 力 は 全 国 が62.7%に 対 して 川 崎 市 は72.5%と できる が 上 位 を 示 している この 数 値 は わりにできる と ややできる の 合 計 であるが ややできる の 割 合 が 圧 倒 的 に 高 く 理 解 はしているが 実 践 はまだという 状 況 も 考 えられる 表 1 は 管 理 職 向 けに 行 った 情 報 モラルについて 表 1 学 校 における 情 報 モラル 指 導 体 制 の 調 査 結 果 である 校 内 での 取 り 組 み 体 制 につい 小 中 高 ての 調 査 において 学 校 全 体 での 共 通 認 識 は 高 ま 学 校 全 体 で 共 通 認 識 65.1% 60.7% ってきている しかし 調 査 はしていないが 学 各 学 年 又 は 各 教 科 毎 に 共 通 認 識 16.5% 29.5% 校 において 共 通 の 指 導 資 料 があるということは 聞 共 通 認 識 なしで 各 クラス 担 任 まかせ 16.5% 9.8% いていない 19 年 度 は 携 帯 電 話 におけるトラ その 他 1.8% 0.0% ブル 報 告 が 増 加 し 指 導 が 必 要 になったという 学 平 成 18 年 3 月 学 校 調 査 校 が 増 えてきている 今 回 の 研 究 は 研 修 員 の 所 属 する 小 学 校 2 校 中 学 校 1 校 において 実 施 した 授 業 を 土 台 としている それぞれの 学 校 の 情 報 モラル 教 育 の 状 況 であるが 小 学 校 2 校 は 学 校 全 体 で 取 り 組 もうという 意 識 は 高 く 学 年 ごとに 情 報 モラル 教 育 を 実 施 している 中 学 校 1 校 では 技 術 家 庭 科 での 授 業 が 中 心 となって 情 報 モラル 教 育 を 展 開 している また 現 状 として 小 学 校 ではチェーンメール 中 学 校 で は 誹 謗 中 傷 といった 主 に 携 帯 電 話 に 係 る 諸 問 題 が 発 生 している 状 況 である 児 童 生 徒 指 導 の 問 題 も あり 喫 緊 の 課 題 となってきている (2) 保 護 者 の 情 報 モラルに 対 する 関 心 平 成 19 年 度 は 情 報 モラルに 対 しての 意 識 が 大 きく 変 わった 年 である 子 どもたちの 間 に 携 帯 電 話 に 関 わる 諸 問 題 が 明 らかになり 社 会 全 体 で 何 とかしなくてはいけないという 声 が 大 きくなってきた 諸 問 題 とは チェーンメールや 迷 惑 メール 出 会 い 系 サイト 等 有 害 サイトの 閲 覧 学 校 裏 サイトによる 誹 謗 中 傷 やネットいじめ などであり ネットいじめに 関 しては 命 に 関 わる 事 件 も 起 きている
- 237 - 平 成 18 年 2 月 の 総 務 省 調 査 によれば 携 帯 電 話 のフィルタリングを 利 用 しているのは2.1%であ る 同 調 査 によれば 携 帯 電 話 各 社 が 提 供 するフィルタリングの 認 知 について よく 知 っている が 7.1% 聞 いたことがある が37.7% 知 らない が56.2%であった その 後 有 害 サイト から 子 どもたちを 守 るために 平 成 20 年 2 月 1 日 から 未 成 年 者 は 任 意 加 入 から 原 則 フィルタリ ングに 加 入 となった 昨 年 度 学 校 で 携 帯 電 話 の 話 をすると 逆 に 子 どもが 携 帯 電 話 を 欲 しがるので 困 ると 親 からの 指 摘 が 心 配 という 教 員 からの 相 談 があった しかし 現 在 は 保 護 者 も 情 報 モラル 教 育 を 必 要 としてきて いる 市 PTA 連 絡 協 議 会 では 講 師 の 方 を 呼 んで 学 集 会 や 講 演 会 を 実 施 し 各 校 においてもPTA の 活 動 に 取 り 入 れている 学 校 もある 学 校 は 保 護 者 とともにどう 情 報 モラルを 高 めていくかが 一 つ の 課 題 となっている (3) 子 どもたちの 意 識 A 小 学 校 6 年 生 の7 月 段 階 での 携 帯 電 話 所 有 者 は35%(57 名 中 20 名 )である さらに 所 有 し ていない 児 童 の57%(37 名 中 21 名 )は 持 ちたいと 答 えている 所 有 している 児 童 は 連 絡 手 段 メール インターネット ゲーム 等 で 使 用 し 所 有 希 望 者 はゲームやメール インターネットに 憧 れ ている 児 童 が 多 い B 小 学 校 5 年 生 の9 月 段 階 での 携 帯 電 話 所 有 者 は38%(29 名 中 11 名 )である そして 未 所 有 者 の66%は 持 ちたいと 答 えている さらに 携 帯 電 話 の 使 用 経 験 者 は100%であった 所 有 して いない 児 童 も 家 族 の 携 帯 電 話 を 借 りて 何 らかの 形 で 使 用 していた 携 帯 電 話 の 所 有 率 は 学 校 や 地 域 に より 差 があるが 使 用 方 法 については 家 族 との 連 絡 手 段 をあげている 児 童 が 多 い C 中 学 校 1 年 生 の12 月 段 階 での 携 帯 電 話 所 有 者 は66%(118 名 中 74 名 )である 男 女 別 ではそ れぞれ53% 81%となり 女 子 の 所 持 率 が 高 い そして 表 2のように メールとしての 使 用 頻 度 が 高 く 生 徒 にとっては 大 表 2 携 帯 電 話 の 所 有 者 の 使 用 状 況 と 未 所 有 者 の 興 味 電 切 なコミュニケーションツー 電 メ 掲 音 ブ プ 子 ゲ カ そ 話 ー 示 楽 ロ ロ ルとなっている 持 ち 始 めは 板 決 ー メ の ル グ フ 済 ム ラ 他 小 学 校 6 年 が 多 く 次 に 中 学 校 1 年 小 学 校 5 年 4 年 と 所 有 55% 95% 19% 56% 13% 8% 0% 29% 29% 14% 続 く 未 所 有 43% 75% 5% 63% 3% 3% 8% 20% 25% 3% 平 成 19 年 12 月 ( 複 数 選 択 ) 3 研 究 の 視 点 (1) 授 業 の 構 築 本 研 究 会 議 では 携 帯 電 話 に 対 するしっかりとした 考 え 方 や 知 識 を 作 っていくために ある 程 度 1 時 間 という 時 間 を 想 定 しての 授 業 を 作 ることとした 情 報 モラルを 教 える 適 齢 学 年 について 指 導 実 践 キックオフガイド によれば 小 学 校 中 学 年 あた りからである 小 学 校 低 学 年 で 教 える 内 容 は 情 報 モラルではなくモラル 全 般 となる この 時 期 は 情 報 機 器 に 慣 れ 親 しむ 時 期 にあたる 携 帯 電 話 については 持 ち 始 めにあたる 小 学 校 高 学 年 からが 現 状 で はよいと 思 われる 今 後 持 ち 始 めが 低 年 齢 化 してくれば 指 導 時 期 は 変 わっていく 実 際 に 小 学 校 4 年 生 あたりでチェーンメールや 誹 謗 中 傷 に 関 する 問 題 が 起 き 始 めている 携 帯 電 話 は 単 なる 道 具 に 過 ぎない しかし あまりにも 多 機 能 な 機 械 であるがために 様 々な 問 題 が 生 じていることも 事 実 である 本 研 究 会 議 では 彫 刻 刀 の 正 しい 使 い 方 を 教 えるように 携 帯 電 話 の 正 しい 使 い 方 を 教 えていくこととした
- 238 - 携 帯 電 話 についての 指 導 をしていくにあたり いくつかのポイントが 考 えられる 指 導 のポイントの 第 一 として はたして 今 の 生 活 に 携 帯 電 話 は 必 要 なのかを 持 つ 前 の 子 どもたち もしくは 持 ち 始 めの 子 どもたちに 考 えさせることである 授 業 中 に 携 帯 電 話 は 必 要 なく 持 たなくと も 生 活 に 支 障 はない そして 持 つことによるトラブル 回 避 の 知 恵 やマナー 責 任 も 生 じてくる お もちゃとして 持 つことや 友 達 が 持 っているからという 考 え 方 には 指 導 が 必 要 である ポイントの 第 二 として 便 利 な 道 具 であるが 使 い 方 を 誤 ると 大 変 なことになることである イン ターネットに 関 して 言 えば 直 ちに 大 人 の 世 界 へとつながってしまい よい 大 人 ばかりならよいが 中 には 人 をだまそうとしてくる 者 もいる また 安 易 な 書 き 込 みや 発 信 は 取 り 返 しのつかないことに なってしまうこともある 遊 び 半 分 で 掲 示 板 に 記 入 した 内 容 が 全 世 界 で 読 まれ 社 会 全 体 を 騒 乱 に 巻 き 込 み 個 人 としての 責 任 が 発 生 してくる 第 三 に 文 字 によるコミュニケーションと 匿 名 性 についてである もちろん 携 帯 電 話 の 向 こう 側 には 生 きている 人 間 がいるからこそ コミュニケーションや 匿 名 性 が 問 題 となる メールや 掲 示 板 におい て 文 字 だけでは 相 手 にうまく 伝 わらないことがある さらに 匿 名 性 からの 誹 謗 中 傷 も 問 題 になっ ている 今 までのポイントにも 関 係 するが 第 四 として 携 帯 電 話 に 係 るトラブルと 注 意 点 対 処 法 につい てである 携 帯 電 話 に 係 る 事 件 事 故 としては 迷 惑 メール( 出 会 い 系 架 空 請 求 フィッシング 詐 欺 等 ) 有 害 サイト( 自 殺 サイト 薬 物 サ イト 18 歳 未 満 禁 止 サイト) チェーンメール ブログ 掲 示 板 での 誹 謗 中 傷 ネットいじめ コミュニティサイトにおけるなりすまし 肖 像 権 侵 害 デジタル 万 引 き などがあげられる これらをどの 段 階 でどのように 取 り 上 げるかが 大 切 である 例 えば 小 学 校 5 年 生 では 出 会 い 系 サイトという 言 葉 自 体 を 知 らない 児 童 が 多 いだろうし あえてこの 言 葉 から 教 える 必 要 はない 授 業 を 構 築 していくにあたり 特 別 な 授 業 を 目 指 すのではなく 誰 もができるような 授 業 を 考 えて いくこととした 特 定 の 教 員 しかできない 授 業 は 広 がりを 持 たないからだ また 既 存 のものを 極 力 活 かすためにも 他 機 関 との 連 携 や 有 効 コンテンツの 利 用 を 考 えていった 特 にe-ネットキャラバ ン 警 察 携 帯 電 話 会 社 はそれぞれ 資 料 を 作 成 したり 講 演 会 を 実 施 したりしている これらを 有 効 に 使 うことも 情 報 モラル 教 育 の 足 がかりとなる (2) 実 践 1 警 察 の 講 演 を 取 り 入 れたA 小 学 校 A 小 学 校 では 携 帯 会 社 が 発 行 している 安 全 安 心 ブック での 学 習 と 警 察 の 方 の 講 演 会 の 併 用 を 考 えた 基 本 姿 勢 は 携 帯 電 話 を 持 つことは 今 必 要 か? であり 警 察 から 携 帯 電 話 で 起 こ る 危 険 なこと 関 わってはいけないことや 犯 罪 等 を 具 体 的 事 例 を 取 り 入 れながら 話 してもらい 携 帯 電 話 についてより 知 ってもらうことを 目 的 とした 携 帯 会 社 が 作 成 している 安 全 安 心 ブック は 学 校 からの 要 請 により 人 数 分 もらうことができ 要 請 すれば 講 演 会 も 実 施 してもらえる 携 帯 電 話 3 社 はいずれも 形 こそ 違 え 実 施 している そこで 6 月 の 段 階 でA 社 より 安 全 安 心 ブック を 送 付 してもらい 内 容 の 確 認 を 行 った A 社 の 安 全 安 心 ブック は 携 帯 電 話 を 持 つことにより 防 犯 につながることを 前 半 で 記 述 している この 冊 子 を 配 布 して 説 明 を 加 えなければ 防 犯 のために 携 帯 電 話 は 必 要 とよい 面 での 理 解 で 終 わってしまう そこで5 年 生 に 配 布 する 際 に 後 半 に 記 述 されている 持 つことによる 危 険 性 を 中 心 に 指 導 するように 担 任 に 依 頼 した 警 察 の 方 にお 願 いし 携 帯 電 話 の 安 全 な 使 い 方 学 習 会 として 6 年 生 は7 月 11 日 5 年 生 は7
- 239 - 月 18 日 に 実 施 した どちらも 講 師 は 神 奈 川 県 警 少 年 相 談 保 護 センター 少 年 相 談 員 の 方 が 講 師 である 携 帯 電 話 における 危 険 性 や 犯 罪 を 優 しく 丁 寧 に45 分 間 大 ホールにて 話 をしていただいた この2つ を 通 して 携 帯 電 話 を 持 つことにより 犯 罪 にまき 込 まれる 心 配 ( 余 計 なリスクを 背 負 う) 自 己 責 任 が 生 じる( 自 分 で 責 任 が 取 れるのか) 一 人 ひとりのマナー ルール( 相 手 の 気 持 ちを 考 える)などのモラルが 必 要 を 理 解 させることができた 子 どもたちの 事 前 と 事 後 の 携 帯 電 話 の 意 識 を 比 べると 単 に 憧 れだけだ ったものが 上 記 の 内 容 が 感 想 に 含 まれていた 残 念 だったのは 保 護 者 にも 呼 びかけをしたが 参 加 者 数 が 少 なかったことと 少 年 相 談 員 の 方 が 優 しくオブラートに 包 む 形 で 事 例 を 話 されたことである (3) 実 践 2 継 続 的 な 指 導 を 考 慮 したB 小 学 校 B 小 学 校 では 第 5 学 年 で 総 合 的 な 学 習 の 時 間 を 利 用 して 継 続 的 な 携 帯 電 話 に 関 する 教 育 を 実 施 した ワークシート プレゼンテーションを 用 意 し プロジェクタで 投 影 しながら 合 計 4 回 の 授 業 を 行 った 大 切 にした 点 は 一 方 的 に 伝 えるだけではなく なぜなのかを 子 どもたちとともに 考 え ていくことである また 保 護 者 もいっしょに 考 えてもらうことを 願 い 授 業 参 観 時 にも 行 った 第 1 回 9 月 25 日 携 帯 電 話 の 落 とし 穴 ( 授 業 参 観 ) 携 帯 電 話 の 便 利 な 点 を 上 げてから 迷 惑 メールやチェーンメールな どの 危 険 な 事 例 を 取 り 上 げ その 対 応 策 を 考 えていく また 携 帯 電 話 を 持 つ 時 期 についてそれぞれの 考 えを 述 べ 合 う 後 半 に 資 料 として 携 帯 電 話 安 全 な 使 い 方 ( 全 国 読 売 防 犯 協 力 会 )を 使 う 第 2 回 11 月 16 日 携 帯 電 話 を 利 用 するときの 約 束 事 を 考 えよう 電 車 やバスの 中 では 携 帯 電 話 はどうすればよいか 友 達 との 会 話 の 最 中 に 着 信 があったらどうするか など 携 帯 電 話 を 持 った 場 合 まとめ 携 帯 電 話 は 便 利 な 道 具 である 必 要? 携 帯 電 話 は 危 険 な 道 具 でもある ( 被 害 者 になる 可 能 性 がある) ( 加 害 者 になる 可 能 性 もある) 携 帯 電 話 で 送 った 情 報 は 全 て 自 己 責 任 である 携 帯 電 話 との 上 手 に 付 き 合 っていける 周 りの 人 たちと 上 手 に 付 き 合 っていける 年 齢 ではなく 気 持 ちが 育 ってから 図 1 プレゼンテーション 資 料 にどうすればよいかを 考 えながら 決 まり( 約 束 事 )の 重 要 性 をとらえていく 第 3 回 2 月 1 日 携 帯 電 話 の 落 とし 穴 ~ 文 字 で 伝 える 難 しさ~ プレゼンテーションを 用 いて 紙 芝 居 形 式 でストーリーを 提 示 休 日 に 遊 ぼうと 誘 ったところ 俺 はいいよ とメールで 返 事 が 返 ってくる 当 日 約 束 の 場 所 でどのようなことが 起 こったか 話 の 続 きを 作 る この 授 業 を 通 して 自 分 の 伝 えたいことを 相 手 に 正 確 に 伝 えるには どう 表 現 するのがよ いだろうかを 考 える 第 4 回 2 月 16 日 携 帯 電 話 によるトラブルがネットいじめに( 授 業 参 観 ) 仲 のよかった 仲 間 のちょっとした 心 の 行 き 違 いが メールを 通 じて 大 きな 溝 となっていく なぜ ギクシャクした 関 係 になったかを 考 えながら メールのやり 取 りについて 学 ぶ 4 回 の 授 業 はすべて 教 室 で 行 い ワークシートの 記 述 や 児 童 の 考 えから 児 童 の 変 化 を 捉 えている (4) 実 践 3 携 帯 会 社 の 講 演 を 授 業 に 取 り 入 れたC 中 学 校 C 中 学 校 では 情 報 モラルに 対 して 前 向 きに 取 り 組 んでいる 携 帯 電 話 会 社 に 講 演 を 依 頼 した 10 月 の 段 階 で 授 業 中 の 携 帯 電 話 会 社 講 演 について 学 校 長 の 了 解 をとり 業 者 との 調 整 に 入 った 担 当 が 技 術 家 庭 科 の 教 員 でもあり 技 術 における 情 報 モラル 教 育 として 位 置 づけた 授 業 変 更 により 1 年 生 4 クラスを12 月 3 日 に4 時 間 入 れてもらい コンピュータ 室 にて 1 時 間 ずつ 同 一 の 授 業 を 展 開 していった 授 業 展 開 はすべて 業 者 のインストラクター 中 心 で 実 施 した 携 帯 会 社 が 作 成 した 中 学 生 版 テキスト を 配 布 し 個 々のディスプレイにチェーンメールなどのトラブルの 動 画 コンテンツ 事 例 を 表 示 しなが
- 240 - ら 危 険 性 と 対 処 の 仕 方 をわかりやすく 説 明 してくれた (5) 授 業 前 と 授 業 後 の 比 較 アンケートにより 児 童 生 徒 の 意 識 の 変 化 をみた C 中 学 校 においては 家 庭 での 約 束 を 必 要 と 考 える 生 徒 が 増 え 携 帯 電 話 に 対 する 便 利 楽 しい というイメージが 多 少 減 少 し 危 険 怖 い というイメージをもつ 生 徒 が 若 干 増 加 した しかし 自 由 記 述 で 書 いた 感 想 を 見 ると 危 険 性 の 認 識 の 高 まりや 安 全 な 使 い 方 への 認 識 の 高 まりが 感 じら れた 特 に 所 有 していない 生 徒 の 意 識 に 変 化 が 見 られた B 小 学 校 での 変 化 は 持 っていない 児 童 が 憧 れ ほしい と 感 じていたものが すぐには 必 要 ないと 持 つ 時 期 に 対 して 変 化 が 見 られてき たことである また 持 つことによる 危 険 性 の 理 解 も 深 まったと 思 われる 表 3は 携 帯 電 話 に 対 するイメージの 比 較 である すでに 携 帯 電 話 を 所 有 している 児 童 の 授 業 前 と 4 回 の 授 業 実 施 後 のイメージを 並 べたものである 携 帯 電 話 の 利 便 性 と 危 険 性 についての 理 解 の 深 まりが 感 じられる 表 3 携 帯 ってどんなもの? 9 月 ( 事 前 調 査 ) 3 月 ( 事 後 調 査 ) 電 話 メールがつかえる 携 帯 電 役 に 立 つけれど 少 し 危 険 遊 1 話 び 道 具 (ゲーム) どこにいるか 聞 くときに 電 話 2 シールを 貼 りたい できる 危 険 だけど 少 し 便 利 3 便 利 便 利 だけど 危 険 4 緊 急 のときに 使 う 5 遅 くなるとか 用 事 があったり 危 険 でもあるし 便 利 なもので したら 電 話 やメールで 送 れる もある 6 便 利 だけど いろいろなことを してしまうとお 金 がかかるの 便 利 なところがあっていいけ ど 使 い 方 を 間 違 えてしまうと で 怖 い とっても 怖 い Ⅲ 研 究 のまとめ 指 導 されているか されていないかで 携 帯 電 便 利 だけど 怖 い 間 違 ったこと 7 便 利 なもの を 伝 えてしまう(いいよ) 8 便 利 便 利 なもの 話 を 含 めたネット 社 会 への 意 識 は 変 わってくる 知 らないでトラブルに 巻 き 込 まれることは 教 育 によって 大 方 回 避 が 可 能 である 今 回 の 誰 でもでき る 授 業 の 構 築 既 成 のコンテンツの 有 効 利 用 はそのための 有 効 な 手 段 であると 考 える 今 回 B 小 学 校 では 授 業 参 観 で 実 施 したが 保 護 者 の 理 解 の 大 切 さが 感 じられた 児 童 生 徒 に 教 え るとともに 保 護 者 にも 知 ってもらうこと 協 力 体 制 を 築 いていくことも 大 切 な 要 素 である 携 帯 電 話 に 関 しては 持 ってから 考 え 方 を 変 えていくのは 難 しい 早 い 時 期 に 話 をして 考 えさせて いくことが 重 要 である また 今 回 は 小 学 校 中 学 校 でそれぞれ 同 じような 内 容 を 教 えたが 発 達 段 階 に 応 じて 扱 う 事 例 に 変 化 を 持 たせたり 法 制 面 での 理 解 を 加 えたりしながら 繰 り 返 しによる 情 報 モラルの 定 着 が 必 要 と 考 える 最 後 に 研 究 を 進 めるに 当 たり ご 支 援 ご 助 言 をくださいました 原 克 彦 先 生 ( 目 白 大 学 教 授 川 崎 市 総 合 教 育 センター 専 門 員 ) また 校 長 先 生 をはじめ 学 校 教 職 員 の 皆 様 に 心 より 感 謝 し 厚 くお 礼 申 し 上 げます 参 考 文 献 日 本 教 育 工 学 振 興 会 すべての 先 生 のための 情 報 モラル 指 導 実 践 キックオフガイド 2007 年 堀 田 龍 也 編 事 例 で 学 ぶNetモラル 三 省 堂 2006 年