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Transcription:

平 成 28 年 2 月 諮 問 説 明 資 料 ページ 諮 問 第 1 号 退 職 手 当 支 給 制 限 処 分 に 関 する 審 査 請 求 について 1 総 務 企 画 局

諮 問 第 1 号 退 職 手 当 支 給 制 限 処 分 に 関 する 審 査 請 求 について 第 1 議 会 への 諮 問 の 理 由 酒 気 帯 び 運 転 を 行 った 教 員 に 対 して, 平 成 27 年 5 月 28 日 付 けで 福 岡 市 教 育 委 員 会 が 行 った 退 職 手 当 支 給 制 限 処 分 ( 以 下 本 件 支 給 制 限 処 分 という )に 関 して, 同 年 6 月 24 日 に 地 方 自 治 法 第 206 条 第 2 項 の 規 定 に 基 づく 福 岡 市 長 への 審 査 請 求 がなされたため, 同 条 第 4 項 に 基 づき 諮 問 するもの 第 2 審 査 請 求 の 概 要 1 審 査 請 求 人 元 福 岡 市 立 中 学 校 教 諭 2 処 分 庁 福 岡 市 教 育 委 員 会 3 審 査 庁 福 岡 市 長 ( ) 福 岡 市 情 報 公 開 条 例 に 定 める 非 公 開 情 報 と 認 められるおそれのある 情 報 については, 掲 載 しておりません 4 審 査 請 求 の 趣 旨 処 分 庁 が 平 成 27 年 5 月 28 日 付 けで 審 査 請 求 人 ( 以 下 請 求 人 という )に 対 して 行 っ た 本 件 支 給 制 限 処 分 を 取 り 消 すとの 裁 決 を 求 める 5 審 査 請 求 の 対 象 となった 処 分 の 内 容 (1) 本 件 支 給 制 限 処 分 の 内 容 福 岡 県 職 員 の 退 職 手 当 に 関 する 条 例 ( 以 下 条 例 という ) 第 12 条 第 1 項 の 規 定 に より, 退 職 手 当 2,684,850 円 の 全 額 を 支 給 しない 請 求 人 は 県 費 負 担 教 職 員 であったため, 福 岡 県 の 条 例 に 基 づき, 福 岡 市 教 育 委 員 会 が 本 件 支 給 制 限 処 分 を 行 った 1

(2) 本 件 支 給 制 限 処 分 の 主 な 経 緯 平 成 27 年 4 月 19 日 ( 日 ) 午 後 4 時 30 分 頃 午 後 5~10 時 頃 午 後 10 時 頃 平 成 27 年 4 月 20 日 ( 月 ) 午 前 4 時 20 分 頃 ~30 分 頃 午 前 4 時 48 分 頃 平 成 27 年 5 月 28 日 ( 木 ) 平 成 27 年 6 月 24 日 ( 水 ) 平 成 27 年 11 月 27 日 ( 金 ) 請 求 人 は 友 人 の 教 員 を 誘 って, 知 人 が 経 営 する 福 岡 市 中 央 区 の 居 酒 屋 で 飲 食 する 約 束 をし, 自 家 用 車 を 運 転 して 自 宅 から 居 酒 屋 に 向 かった その 際, 飲 酒 後 に 車 内 で 仮 眠 するつもりで, 車 内 に 布 団 を 積 み 込 んだ 自 家 用 車 を 駐 車 した 後, 居 酒 屋 及 び 付 近 の 焼 き 肉 店 で, ビール 中 ジョッキ1 杯 半 と 焼 酎 3.5 合 を 飲 酒 した 同 席 者 が 手 配 してくれた 代 行 タクシーを 断 り, 同 席 者 ら と 別 れた 後, 付 近 の 駐 車 場 に 駐 車 していた 自 家 用 車 に 戻 っ て, 車 内 で 仮 眠 した 勤 務 校 へ 出 勤 する 前 に, 約 10 キロメートル 離 れた 自 宅 に 一 旦 戻 るため, 自 家 用 車 を 運 転 して 駐 車 場 を 出 発 した 自 宅 に 向 けて 自 家 用 車 を 運 転 していたところ, 駐 車 場 か ら 700 メートルほどの 地 点 で, 整 備 不 良 のため 警 察 官 に 呼 び 止 められた 呼 気 検 査 の 結 果, 呼 気 1リットル 当 たり 0.32 ミリグラム のアルコールが 検 出 されたとして, 酒 気 帯 び 運 転 の 容 疑 で 逮 捕 された( 後 日 罰 金 30 万 円 の 略 式 命 令 を 受 けた) 処 分 庁 は, 請 求 人 を 同 日 付 けで 懲 戒 免 職 処 分 とするとと もに, 本 件 支 給 制 限 処 分 を 行 った 請 求 人 から, 人 事 委 員 会 に 対 して 懲 戒 免 職 処 分 の 取 消 し を 求 める 不 服 申 立 て, 市 長 に 対 して 本 件 支 給 制 限 処 分 の 取 消 しを 求 める 審 査 請 求 がそれぞれなされた 人 事 委 員 会 から 不 服 申 立 てを 棄 却 する 判 定 がなされた 第 3 当 事 者 の 主 張 及 び 審 査 庁 の 判 断 1 請 求 人 の 主 張 要 旨 条 例 に 基 づき, 本 件 に 関 する 次 のような 具 体 的 事 情 を 勘 案 すれば, 全 額 支 給 ないしは 一 部 支 給 すべき 場 合 に 該 当 する 日 頃 の 勤 務 ぶりはまじめで 教 育 センターから 表 彰 されたこともあり,ラグビー 部 顧 問 として 部 活 動 の 指 導 にも 精 力 的 に 取 り 組 んでいた 過 去 に 処 分 歴 や 飲 酒 運 転 等 の 不 祥 事 もなく,アルコール 依 存 の 傾 向 もなかった 飲 酒 後 は 代 行 運 転 で 帰 宅 するつもりであった 車 内 で 仮 眠 後 に, 体 調 を 確 認 し 飲 酒 の 影 響 はないと 判 断 して 運 転 を 行 った 本 件 では 人 身 事 故 や 物 損 事 故 はなく, 逃 走 行 為 などもしていない 2

2 処 分 庁 の 主 張 要 旨 次 のような 理 由 から, 本 件 支 給 制 限 処 分 は 適 法 かつ 妥 当 なものである 条 例 では, 懲 戒 免 職 の 場 合 に 退 職 手 当 の 全 部 を 支 給 しないことを 原 則 としており, 本 件 は, 処 分 庁 が 一 部 支 給 できることとしている 場 合 ( 国 の 運 用 指 針 で 定 める 場 合 と 同 様 ) のいずれにも 該 当 しない 請 求 人 の 職 責 や 酒 気 帯 び 運 転 に 至 る 経 緯 など, 本 件 における 具 体 的 事 情 を 勘 案 しても, 例 外 的 に 一 部 支 給 する 必 要 は 認 められない 3 審 査 庁 の 判 断 (1) 結 論 本 件 支 給 制 限 処 分 に 違 法 又 は 不 当 な 点 はなく, 審 査 請 求 は 棄 却 されるべきである (2) 考 え 方 1 条 例 は 退 職 手 当 の 全 部 不 支 給 を 原 則 としつつ, 条 例 で 列 挙 する 具 体 的 な 事 情 を 勘 案 して 必 要 と 認 めるとき に 一 部 支 給 できると 定 めており,このような 広 範 な 事 情 に ついて 総 合 的 な 検 討 を 要 する 以 上,その 判 断 は 任 命 権 者 の 裁 量 に 委 ねられていると 解 すべきである そのため, 退 職 手 当 支 給 制 限 処 分 は,それが 社 会 通 念 上 著 しく 妥 当 を 欠 き, 裁 量 権 の 逸 脱 濫 用 が 認 められる 場 合 に 限 り, 違 法 と 判 断 すべきものと 解 され る 2 本 件 においては, 条 例 において 勘 案 すべき 事 情 として, 請 求 人 が 高 い 倫 理 観 を 求 め られる 教 育 公 務 員 であったこと, 飲 酒 運 転 防 止 やアルコールに 関 する 研 修 を 十 分 受 け ていたこと, 過 去 にも 飲 酒 後 に 車 内 で 仮 眠 して 翌 朝 車 を 運 転 することが 複 数 回 あった こと, 請 求 人 自 ら 車 内 に 仮 眠 用 の 布 団 を 用 意 し 同 席 者 が 手 配 した 代 行 タクシーも 断 っ ていること, 処 分 庁 を 含 む 福 岡 市 全 体 で 飲 酒 運 転 撲 滅 に 取 り 組 んできた 状 況 下 での 本 件 酒 気 帯 び 運 転 は 強 く 非 難 されるべきであり, 本 件 が 広 く 報 道 されることで 福 岡 市 全 体 の 信 用 を 著 しく 失 墜 させたことなどが 認 められる 3 以 上 のことからは, 請 求 人 に 処 分 歴 がないこと, 飲 酒 の 終 了 から 運 転 の 開 始 までに 数 時 間 仮 眠 をとったこと, 結 果 として 事 故 は 起 こしていないことなどの 事 情 を 勘 案 し たとしても, 一 部 支 給 すべき 場 合 に 当 たるとは 言 えない 4 また, 処 分 庁 が 本 件 について 退 職 手 当 を 一 部 支 給 できる 場 合 に 該 当 しないとした 判 断 は, 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 に 係 る 国 の 運 用 とも 均 衡 したものである 5 したがって, 本 件 支 給 制 限 処 分 に 裁 量 権 の 逸 脱 濫 用 は 認 められない 3

参 考 資 料 1: 関 係 法 令 ( 抜 粋 ) 福 岡 県 職 員 の 退 職 手 当 に 関 する 条 例 ( 昭 和 38 年 福 岡 県 条 例 第 27 号 ) 第 12 条 退 職 をした 者 が 次 の 各 号 のいずれかに 該 当 するとき は, 当 該 退 職 に 係 る 退 職 手 当 管 理 機 関 ( 任 命 権 者 )は, 当 該 退 職 をした 者 に 対 し, 当 該 一 般 の 退 職 手 当 等 の 全 部 を 支 給 しないこととする 処 分 を 行 うものとする ただし, 当 該 退 職 をした 者 が 占 めてい た 職 の 職 務 及 び 責 任, 当 該 退 職 をした 者 の 勤 務 の 状 況, 当 該 退 職 をした 者 が 行 つた 非 違 の 内 容 及 び 程 度, 当 該 非 違 に 至 つた 経 緯, 当 該 非 違 後 における 当 該 退 職 をした 者 の 言 動, 当 該 非 違 が 公 務 の 遂 行 に 及 ぼす 支 障 の 程 度 並 びに 当 該 非 違 が 公 務 に 対 する 信 頼 に 及 ぼす 影 響 を 勘 案 して 必 要 と 認 めるときは, 当 該 退 職 に 係 る 退 職 手 当 管 理 機 関 は, 当 該 一 般 の 退 職 手 当 等 の 一 部 を 支 給 しないこととする 処 分 を 行 うことができる 一 懲 戒 免 職 等 処 分 を 受 けて 退 職 をした 者 二 地 方 公 務 員 法 第 28 条 第 4 項 の 規 定 による 失 職 又 はこれに 準 ずる 退 職 をした 者 2 退 職 手 当 管 理 機 関 は, 前 項 の 規 定 による 処 分 を 行 うときは,その 理 由 を 付 記 した 書 面 により,その 旨 を 当 該 処 分 を 受 けるべき 者 に 通 知 しなければならない 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 の 運 用 方 針 ( 昭 和 60 年 4 月 30 日 総 人 第 261 号 ) 第 12 条 関 係 一 非 違 の 発 生 を 抑 止 するという 制 度 目 的 に 留 意 し, 一 般 の 退 職 手 当 等 の 全 部 を 支 給 し ないこととすることを 原 則 とする ものとする 二 一 般 の 退 職 手 当 等 の 一 部 を 支 給 しないこととする 処 分 にとどめることを 検 討 する 場 合 は, 施 行 令 第 17 条 に 規 定 する 当 該 退 職 をした 者 が 行 った 非 違 の 内 容 及 び 程 度 について, 次 のいずれかに 該 当 する 場 合 に 限 定 する その 場 合 であっても, 公 務 に 対 する 国 民 の 信 頼 に 及 ぼす 影 響 に 留 意 して, 慎 重 な 検 討 を 行 うものとする イ 停 職 以 下 の 処 分 にとどめる 余 地 がある 場 合 に, 特 に 厳 しい 措 置 として 懲 戒 免 職 等 処 分 とされた 場 合 ロ 懲 戒 免 職 等 処 分 の 理 由 となった 非 違 が, 正 当 な 理 由 がない 欠 勤 その 他 の 行 為 によ り 職 場 規 律 を 乱 したことのみである 場 合 であって, 特 に 参 酌 すべき 情 状 のある 場 合 ハ 懲 戒 免 職 等 処 分 の 理 由 となった 非 違 が 過 失 ( 重 過 失 を 除 く )による 場 合 であっ て, 特 に 参 酌 すべき 情 状 のある 場 合 ニ 過 失 ( 重 過 失 を 除 く )により 禁 錮 以 上 の 刑 に 処 せられ, 執 行 猶 予 を 付 された 場 合 であって, 特 に 参 酌 すべき 情 状 のある 場 合 4

地 方 自 治 法 ( 昭 和 22 年 法 律 第 67 号 ) 第 206 条 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 がした( 略 ) 給 与 その 他 の 給 付 に 関 する 処 分 に 不 服 がある 者 は, 法 律 に 特 別 の 定 めがある 場 合 を 除 くほか, 都 道 府 県 知 事 がした 処 分 については 総 務 大 臣, 市 町 村 長 がした 処 分 については 都 道 府 県 知 事 に 審 査 請 求 をすることができる この 場 合 においては, 異 議 申 立 てをすることもできる 2 第 138 条 の4 第 1 項 に 規 定 する 機 関 ( 教 育 委 員 会 等 )がした 前 項 の 給 与 その 他 の 給 付 に 関 する 処 分 に 不 服 がある 者 は, 法 律 に 特 別 の 定 めがある 場 合 を 除 くほか, 当 該 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 に 審 査 請 求 をすることができる 3 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 及 び 前 項 に 規 定 する 機 関 以 外 の 機 関 がした 第 1 項 の 給 与 その 他 の 給 付 に 関 する 処 分 についての 審 査 請 求 は, 法 律 に 特 別 の 定 めがある 場 合 を 除 くほか, 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 が 処 分 庁 の 直 近 上 級 行 政 庁 でない 場 合 においても, 当 該 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 に 対 してするものとする 4 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 は, 第 1 項 の 給 与 その 他 の 給 付 に 関 する 処 分 についての 異 議 申 立 て 又 は 審 査 請 求 ( 略 )があつたときは, 議 会 に 諮 問 してこれを 決 定 しなければならない 5 議 会 は, 前 項 の 規 定 による 諮 問 があつた 日 から 20 日 以 内 に 意 見 を 述 べなければなら ない 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 49 条 の2 前 条 第 一 項 に 規 定 する 処 分 ( 懲 戒 その 他 その 意 に 反 すると 認 める 不 利 益 な 処 分 )を 受 けた 職 員 は, 人 事 委 員 会 に 対 してのみ 行 政 不 服 審 査 法 による 不 服 申 立 て ( 審 査 請 求 又 は 異 議 申 立 て)をすることができる 地 方 教 育 行 政 の 組 織 及 び 運 営 に 関 する 法 律 ( 昭 和 31 年 法 律 第 162 号 ) 第 58 条 指 定 都 市 の 県 費 負 担 教 職 員 の 任 免, 給 与 の 決 定, 休 職 及 び 懲 戒 に 関 する 事 務 は, 第 37 条 第 1 項 の 規 定 ( 県 費 負 担 教 職 員 の 任 命 権 は 都 道 府 県 教 育 委 員 会 に 属 する)にかか わらず, 当 該 指 定 都 市 の 教 育 委 員 会 が 行 う 福 岡 市 教 育 委 員 会 懲 戒 処 分 の 指 針 ア 酒 酔 い 運 転 又 は 酒 気 帯 び 運 転 ( 以 下 飲 酒 運 転 という )をした 職 員 は, 免 職 とする ただし,この 場 合 において, 特 段 の 事 情 があるときは, 停 職 とする イ 飲 酒 運 転 となることを 知 りながら 他 の 者 に 酒 類 を 提 供 し, 又 は 飲 酒 を 勧 めた 職 員 は, 免 職 又 は 停 職 とする 飲 酒 運 転 であることを 知 りながら,これに 同 乗 した 職 員 も 同 様 と する 5

参 考 資 料 2: 審 査 請 求 の 流 れ 審 査 請 求 の 流 れ 審 査 請 求 人 審 査 庁 ( 福 岡 市 長 ) 処 分 庁 ( 福 岡 市 教 育 委 員 会 ) 処 分 があったことを 知 った 日 H27.5.28 H27.5.28 退 職 手 当 支 給 制 限 処 分 H27.6.24 審 査 請 求 書 ( 正 副 2 通 ) 処 分 があったことを 知 っ た 日 の 翌 日 から 起 算 して60 日 以 内 ( 行 審 法 14) 受 付 要 件 審 査 身 分 等 の 確 認 受 理 通 知 受 理 決 定 請 求 書 の 副 本 送 付 弁 明 書 の 提 出 依 頼 弁 明 書 ( 正 副 2 通 ) 行 審 法 22 本 反 論 書 行 審 法 23 案 審 弁 明 書 ( 副 本 )の 送 付 行 審 法 22 相 当 の 期 間 内 相 当 の 期 間 内 理 書 面 審 理 議 会 に 諮 問 地 自 法 2064 議 会 の 意 見 (20 日 以 内 ) 裁 決 書 裁 決 6