第 五 章 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 保 存 管 理 方 針
第 五 章 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 保 存 管 理 方 針 第 1 節 基 本 方 針 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 群 の 保 存 管 理 は 施 設 個 々 に 保 存 管 理 を 行 うと 同 時 に これらの 施 設 群 をと りまく 周 辺 環 境 を 含 めた 地 域 全 体 を 文 化 景 観 資 源 としてとらえ 地 域 の 生 活 環 境 と 調 和 のとれた 保 存 管 理 を 行 うものとする また 近 代 化 遺 産 群 が 有 効 に 活 用 され 地 域 の 誇 りとして 引 き 継 がれてい くよう 産 官 学 民 が 連 携 する 仕 組 みづくりを 推 進 し 地 域 の 人 々を 中 心 とした 持 続 可 能 な 保 存 管 理 を 行 うものとする (1) 周 辺 環 境 との 一 体 的 な 保 存 管 理 保 存 管 理 の 対 象 は 近 代 化 遺 産 群 及 びそれらと 一 体 をなす 周 辺 環 境 とする 近 代 化 遺 産 群 は 国 県 及 び 市 の 文 化 財 関 連 諸 法 令 に 従 って 保 存 管 理 を 推 進 する 周 辺 環 境 は 景 観 法 等 の 関 連 諸 法 令 を 視 野 に 入 れ 関 係 諸 機 関 との 連 携 体 制 の 強 化 を 図 りながら 一 体 的 な 保 存 管 理 を 推 進 する 整 備 にあたっては 自 然 環 境 及 び 地 域 の 生 活 環 境 との 調 和 に 配 慮 する また 施 設 間 のアクセス 整 備 にあたっても 同 様 に 配 慮 するとともに 案 内 標 識 の 設 置 場 所 及 び 意 匠 について 十 分 な 検 討 を 行 う ものとする (3) 持 続 可 能 な 保 存 管 理 の 仕 組 みづくり 継 続 的 な 保 存 管 理 を 行 うため 地 域 に 密 着 した 活 動 を 目 指 した 実 施 体 制 の 整 備 充 実 を 図 る その ためには 地 域 の 人 々に 近 代 化 遺 産 群 に 関 する 情 報 をしっかりと 伝 え 歴 史 を 語 る 大 切 な 資 源 とし て 残 し 伝 えるものであることを 認 識 してもらうこ とが 重 要 となる その 結 果 地 域 の 人 々が 高 い 意 識 をもってこれら 近 代 化 遺 産 群 の 意 味 を 考 え 保 存 管 理 の 活 動 を 行 うことで 旧 佐 渡 鉱 山 の 価 値 や 魅 力 がよりよい 状 態 に 保 たれる そこで 遺 産 が 重 要 なものであり 人 々に 伝 えたい という 思 いを もって 地 域 の 人 々が 自 ら 行 動 することを 支 援 する 仕 組 みづくりを 推 進 する (4) 他 の 文 化 財 との 総 合 的 な 保 存 管 理 相 川 には 近 代 化 遺 産 群 の 他 にも 多 くの 文 化 財 が 保 存 されている 特 に 国 指 定 史 跡 の 佐 渡 金 山 遺 跡 は 保 存 管 理 計 画 が 策 定 されていることから 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 群 とともに 佐 渡 鉱 山 遺 跡 全 体 の 保 存 管 理 として 総 合 的 な 計 画 とする また 相 川 郷 土 博 物 館 ( 旧 御 料 局 佐 渡 支 庁 )をは じめとする 多 くの 近 代 化 遺 産 建 造 物 が 保 存 活 用 さ れており 相 川 のまちなみ 形 成 とも 関 連 づけた 計 画 とする (2) 施 設 の 個 別 特 性 と 相 互 関 係 の 重 視 個 々の 施 設 が 持 つ 特 性 と 施 設 相 互 の 関 係 性 を 重 視 し 保 存 管 理 と 活 用 のための 整 備 を 実 施 する 実 施 にあたっては 文 化 財 価 値 を 損 ねることのな いよう 十 分 な 検 討 を 行 うものとし 機 械 類 におい ては 施 設 と 一 体 的 な 保 存 管 理 を 行 うものとする 保 存 活 用 にあたっては 対 象 施 設 毎 に 復 原 現 状 保 存 活 用 のための 改 善 等 の 整 備 方 法 を 計 画 し 建 造 物 と 遺 構 について 鉱 山 システムとの 関 連 性 が 理 解 できるよう 適 切 な 整 備 を 行 うものとする また 日 常 の 維 持 管 理 行 為 と 文 化 財 価 値 に 影 響 をあたえ る 整 備 行 為 の 区 分 を 明 確 にし 行 為 に 対 する 事 前 協 議 及 び 完 了 後 の 確 認 を 法 令 に 従 って 行 うものと する -218-
第 2 節 保 存 管 理 と 段 階 的 整 備 第 2 節 保 存 管 理 と 段 階 的 整 備 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 群 の 保 存 管 理 に 至 る 前 段 階 として 先 ずは 多 くの 人 々に 遺 産 の 状 況 及 び 価 値 を 知 ってもらい 文 化 財 としての 認 識 を 高 める ことが 重 要 である そこで 全 体 的 な 保 存 管 理 に ついて 段 階 的 に 進 めることとする また 近 代 化 遺 産 群 は 各 地 区 に 点 在 する 多 数 の 構 造 物 に 対 して 整 備 が 行 われることから 個 別 施 設 の 整 備 を 進 めて 行 く 中 で 様 々な 整 備 段 階 の 施 設 が 混 在 しながら 全 体 的 な 整 備 段 階 を 向 上 して いくこととなる そこで 個 別 整 備 に 優 先 順 位 を 計 画 し 全 体 的 な 整 備 を 効 果 的 に 行 うこととする さらに これらの 整 備 を 進 める 中 で 鉱 山 のシ ステムを 構 成 する 複 数 の 施 設 要 素 の 関 係 性 をわか りやすく 解 説 するためのビジターセンター 施 設 の 整 備 も 早 期 段 階 において 重 要 なものとなる ビジ ターセンター 施 設 は 相 川 郷 土 博 物 館 などの 既 存 施 設 を 利 用 することも 視 野 に 入 れる 以 下 にそれぞれの 段 階 を 示 す 高 任 貯 鉱 舎 及 びベルトコベアーヤード 佐 渡 鉱 山 機 械 工 場 中 尾 変 電 所 北 沢 火 力 発 電 所 発 電 機 室 棟 戸 地 川 第 二 発 電 所 大 間 港 b.アピール 性 の 高 い 施 設 を 整 備 する 道 遊 坑 間 ノ 山 搗 鉱 場 間 ノ 山 上 アーチ 橋 間 ノ 山 下 アーチ 橋 旧 北 沢 青 化 浮 選 鉱 所 北 沢 浮 遊 選 鉱 場 北 沢 浮 遊 選 鉱 場 インクライン 北 沢 50mシックナー c.その 他 の 施 設 を 整 備 する 高 任 坑 高 任 分 析 所 上 相 川 火 薬 庫 諏 訪 隧 道 神 明 トンネル 戸 地 川 第 一 発 電 所 (1) 全 体 的 な 保 存 管 理 の 段 階 a. 近 代 化 遺 産 施 設 群 の 存 在 を 広 く 認 識 してもら い 島 内 外 に 紹 介 する b. 調 査 工 事 等 により 保 存 管 理 のための 具 体 的 な 手 法 を 決 定 する c. 劣 化 を 防 ぎ 現 状 保 存 を 行 う d. 修 復 活 用 のための 改 修 等 を 行 う (2) 個 別 施 設 毎 における 整 備 段 階 a. 植 物 による 構 造 物 への 侵 食 を 防 ぐために 樹 木 を 伐 開 する b. 構 造 体 の 劣 化 を 防 ぐために 表 面 保 護 を 施 す c. 外 観 を 保 存 するための 補 修 補 強 を 行 う d. 施 設 を 活 用 するための 補 修 補 強 を 行 う (3) 整 備 の 優 先 順 位 a. 保 存 状 況 が 良 く 施 設 の 機 能 が 分 かりやすい 施 設 を 整 備 する 大 立 竪 坑 櫓 大 立 竪 坑 捲 揚 室 高 任 粗 砕 場 -219-
第 五 章 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 保 存 管 理 方 針 第 3 節 保 存 管 理 の 仕 組 みづくり 文 化 財 の 保 存 活 用 においてはハード 事 業 とソ フト 事 業 が 相 互 に 機 能 する 必 要 があり 佐 渡 市 担 当 課 を 中 心 に 関 連 各 課 に 連 携 を 働 きかけながら 推 進 していくものとする (1) ソフトづくりの 仕 組 み 生 涯 学 習 講 座 や 現 地 見 学 会 ワークショップの 開 催 など 地 域 住 民 に 対 する 情 報 提 供 の 拡 大 を 図 るとともに 学 校 教 育 においても 地 域 の 自 然 歴 史 文 化 を 学 ぶ 教 育 の 推 進 を 行 い 次 世 代 への 学 習 機 会 の 充 実 を 目 指 す 現 在 相 川 地 区 においては 観 光 客 を 対 象 に 相 川 ふれあいガイド によって 佐 渡 金 銀 山 の 史 跡 を 中 心 とした 案 内 を 行 っている 相 川 ふれあいガイ ド の 人 材 は 相 川 の 歴 史 文 化 財 寺 社 他 に 関 す る 学 習 講 座 を 受 講 した 人 の 中 から 参 加 を 依 頼 し ているものである 今 後 は 旧 佐 渡 鉱 山 の 近 代 化 遺 産 もこの 案 内 の 対 象 に 含 め この 仕 組 みをより 充 実 し 親 子 参 加 型 の 学 習 講 座 に 参 加 した 小 中 学 生 にも 相 川 ふれあいガイド を 依 頼 するなど よ り 多 くの 地 域 の 人 々が 旧 佐 渡 鉱 山 の 歴 史 と 触 れ 合 いながら 観 光 や 学 習 を 行 えるようにする これら 地 域 住 民 による 現 地 案 内 機 能 の 確 保 及 び 充 実 を 図 ることにより 見 学 時 の 興 味 と 理 解 を 深 め 学 習 効 果 を 高 めるようにする また 平 成 19(2007) 年 に 結 成 された 全 島 規 模 の 民 間 団 体 である 佐 渡 を 世 界 遺 産 にする 会 や 古 道 を 歩 く 会 との 連 携 活 動 を 行 い 住 民 が 樹 木 管 理 や 施 設 の 清 掃 イベント 企 画 などの 活 動 に 積 極 的 に 参 加 できるよう 推 進 する さらに 平 成 17(2005) 年 より 景 観 法 が 制 定 され 平 成 19(2007) 年 より 佐 渡 市 においても 景 観 計 画 の 策 定 が 進 められている これにより 地 域 住 民 の 意 向 を 踏 まえ それぞれの 地 域 性 及 び 多 様 な 特 質 の 形 成 が 期 待 されることから 旧 佐 渡 鉱 山 と 周 辺 景 観 を 保 存 管 理 する 上 で 十 分 に 連 携 を 図 るものと する (2) ハードづくりの 仕 組 み 佐 渡 市 担 当 課 が 行 う 文 化 財 に 関 連 した 保 存 活 用 整 備 の 他 に 道 路 誘 導 標 識 や 施 設 案 内 板 整 備 近 代 化 遺 産 施 設 を 取 り 込 んだ 公 園 化 遊 歩 道 散 策 路 整 備 などのまちづくり 関 連 事 業 の 導 入 も 活 用 に 際 して 有 効 な 手 法 となるため 関 係 各 課 との 連 携 を 働 きかける これらの 事 業 は 地 域 の 歴 史 文 化 を 活 かしたまちづくり 施 策 として 導 入 できることか ら 文 化 財 に 関 連 する 保 存 活 用 整 備 のあらゆる 段 階 において 積 極 的 に 推 進 していく また 施 設 の 具 体 的 な 修 復 活 用 のための 改 修 等 を 行 う 場 合 には 建 築 基 準 法 や 消 防 法 都 市 計 画 法 等 の 各 種 関 係 法 令 との 調 整 が 発 生 するため これら 関 係 機 関 との 協 力 体 制 も 推 進 する (3) 学 識 経 験 者 及 び 関 係 各 省 庁 との 体 制 近 代 化 遺 産 群 は 構 造 仕 上 げ 機 能 において 様 々 な 異 なる 条 件 の 施 設 が 残 されているため 保 存 活 用 についての 様 々な 手 法 が 検 討 されたうえで 各 施 設 にとって 最 適 な 方 法 で 整 備 が 行 われる 必 要 がある したがって 国 及 び 県 の 文 化 財 行 政 担 当 課 と 充 分 な 情 報 交 換 を 行 いながら 計 画 や 整 備 を 推 進 するとともに 学 識 経 験 者 を 交 えた 整 備 検 討 委 員 会 を 組 織 し 保 存 活 用 の 方 法 について 広 範 にわ たる 検 討 を 行 うこととする -220-
第 4 節 保 存 管 理 と 公 開 第 4 節 保 存 管 理 と 公 開 現 在 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 群 の 所 有 者 は ゴ ールデン 佐 渡 であり 施 設 の 維 持 管 理 及 び 安 全 管 理 は 同 社 が 鉱 山 法 を 遵 守 しながら 行 っている 施 設 の 公 開 については 佐 渡 金 銀 山 の 史 跡 を 主 にして いたが 近 年 産 業 遺 産 散 策 コース を 設 定 し 大 立 竪 坑 及 び 北 沢 浮 遊 選 鉱 場 の 公 開 を 行 っている 今 後 は 地 域 住 民 行 政 学 校 教 育 機 関 も 加 わり 保 存 管 理 を 推 進 するとともに 他 の 近 代 化 遺 産 に ついても 積 極 的 な 公 開 を 実 施 する 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 群 は 貴 金 属 選 鉱 製 錬 の 技 術 史 的 変 遷 を 中 心 に 近 代 鉱 業 の 先 端 技 術 が 導 入 された 足 跡 を 辿 りながら 新 たな 価 値 や 魅 力 を 発 見 することができる 資 源 である したがって 地 域 への 情 報 提 供 に 加 えて 島 外 でのシンポジウム 開 催 などにより 国 内 外 への 情 報 発 信 を 行 い 多 くの 人 々がこれらの 遺 産 に 触 れられる 機 会 を 増 やすよ う 積 極 的 な PR を 行 うものとする このように 旧 佐 渡 鉱 山 近 代 化 遺 産 群 を 含 む 歴 史 資 源 は 地 域 の 教 育 資 源 及 び 観 光 資 源 ともいえる ものであり 保 存 管 理 と 公 開 が 歴 史 文 化 の 啓 発 と 観 光 等 の 産 業 振 興 につながり 地 域 の 誇 りとなっ て 引 き 継 がれていく 資 源 となるよう 計 画 を 推 進 す るものとする -221-