3 イヌクシュクの石 大阪万博に飾られたイヌクシュク イヌクシュクとは カナダ極北に住んでいる先住民族イヌイット 昔はエスキモーと呼ば れたが生肉を喰う人という差別用語であったので現在は使われない のことですが 現地 におけるさまざまなイヌクシュクを集めてみましたので 是非 次のご覧戴きたい http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/inukusyuku.pdf 1970年の大阪万博のテーマ館をまかされた岡本太郎は 世界中の仮面や神像を集める 計画を立てて 第一線の人類学者たちに収集を依頼した そのなかにカナダの北極圏に住 むイヌイットたちのあいだに伝わる イヌクシュク という石像があった ある日カナダ から現物が届き 岡本たちは倉庫で荷解きをして そこに思いもしなかったものを発見す る 中から出てきたのは 何の変哲もない ただの石ころだった どの石も角張って ま るで加工などされていない 自然の状態のまま のように見えたが 包みに同封されていた 指示書のとおり 順番に組み上げてみると こつぜんと人間の像が現われたのだった 岡 本太郎は 美の呪力 で イヌクシュクは石がただ積んであるだけ 全然接着していない というところにわたしは暗示を受ける いわゆる 作品 としての恒久性 そのものとし
いう繋 つなぎ の神であろう と述べ さらに 男性の象徴 石棒など 男根 石棒 立石 から女性の象徴 炉の火に発出される とも述べた 道祖神は ご く一般に言われているように猿田彦の流れを汲むものであるが さらにその源流を遡ると 男性の象徴 石棒など 男根 石棒 立石 と女性の象徴 炉の火が一体になっ た 縄文住居の祭壇 に辿り着く 10 謎のオルメカ文明 オルメカの巨石人頭像 仮面さながらに無表情で得体の知れない雰囲気 紀元前1200年 約1000年前 日本では縄文時代後期から弥生時代にあたるころ メキシコ湾岸地方に存在したオルメカ文明 その建築や美術様式がマヤ文明など古代文明 の基礎となっていることから 母なる文明 とも呼ばれるが 紀元前200年ごろにこつ ぜんと姿を消した オルメカとは ナワトル語で ゴムの国の人 を意味し スペイン植民地時代にメキシコ 湾岸の住民を指した言葉である 巨石や宝石を加工する技術を持ち ジャガー信仰などの 宗教性も有していた その美術様式や宗教体系は マヤ文明などの古典期メソアメリカ文 明と共通するものがある
モンゴロイドをルーツにもつ しかし オルメカ人に写実の技能がなかったわけではな い それは下の写真で明らかだろう オルメカの巨石人頭像 は人間のようで人間では ない 神のようであって神ではない 不思議な存在だ レスラー 仮面 鳥の器 壷 魚の器 11 オルメカの巨石人頭像 の呪力について 一つここに驚くべき事実がある エール大学のマイケル コー教授の最近の発表によ ると このオメルカの石の頭は最初から土に埋めてあったものらしい 粘土できちんと土 台を作って据え 土をかぶせてあった メキシコ南部サン ロレンスで 雨のために偶然 山が崩れ そこに石造がわずかに露呈してきたのだ これをヒントを得て 周辺の何でも
第3節 美とは何か 1 摩多羅神について 常行堂 じようぎようどう というお堂のある天台系の寺院に祀られている 摩多羅神 まだらしん は 仏教の守護神としては異様な姿をしている だいたい仏法を守る 守護神としては インド伝来の神々の姿をしているものがおおむね主流である これらの 神々は もとはといえば仏教とは関わりのない 野生の思考 から生み出されたインド土 着の神々で 象徴的に含蓄の多い姿をしているものである ところが 常行堂の後戸の場 所に祀られているこの神は 少しもインド的でない さりとて中国的ですらなく かと いって日本的かと言えば そうとも言いきれない かつては天台寺院において重要な働き をした神であるのに 摩多羅神は謎だらけの神なのである 摩多羅神の神像図 摩多羅神の曼陀羅 は 古くから伝えられているものである ま ずそれをよく見てみよう 摩多羅神の神像図 摩多羅神の曼陀羅