クムホ アシアナ 杯 2011 あのときの 思 い 出 と 今 愛 農 学 園 農 業 高 等 学 校 3 年 山 崎 香 苗 私 は 今 もう 一 度 会 いたい 人 がいます その 人 は 私 が 小 さい 頃 近 所 に 住 んでいた 韓 国 人 のカン ソンジュちゃんです ソンジュは 私 の 二 つ 年 下 で 幼 稚 園 のとき 同 じバス 停 から 一 緒 にバスに 乗 って 幼 稚 園 に 通 っていました ソンジュとは 幼 稚 園 や 休 みの 日 によく 遊 んでいました ソンジュの 家 はお 父 さん の 仕 事 の 都 合 か 何 かで 日 本 に 引 っ 越 してきて 住 んでいました ソンジュのお 母 さんやお 父 さん は 普 段 は 日 本 語 で 話 をしていましたが 夫 婦 で 話 す 時 は 韓 国 語 を 使 っていました 小 さい 私 は 二 人 が 使 う 韓 国 語 が 不 思 議 でじっと 聞 いていましたが 怒 っているように 聞 こえました ソンジュの 家 のテーブルとイスの 脚 にはテニスボールがついていました ソンジュのお 母 さん は 私 のつめを 切 ってくれました 私 のつめを 切 りながら カナエちゃんのつめは 熊 の 爪 みた いに 硬 い と 言 っていました ソンジュのお 母 さんは 私 に ありがとう や さよなら を 言 うとき 私 を 抱 きしめました 私 は どうして 抱 きしめるんだろうな と 照 れくさいような 不 思 議 な 気 持 ちでし た ソンジュのお 父 さんは よく 生 卵 と 韓 国 のりを 私 にくれました その 頃 韓 国 のりは 日 本 のお 店 に 売 られていなくてとても 珍 しいものでした 今 でも 私 は 韓 国 のりを 食 べるとソンジュを 少 し 思 い 出 します ソンジュは 小 学 校 に 上 がる 年 に 少 し 遠 い 町 に 引 っ 越 しました それから 何 年 か 後 韓 国 に 引 っ 越 しました 初 めは 連 絡 を 取 り 合 っていましたが 時 が 経 つにつれて 連 絡 を 取 らなくなりまし た 今 私 は 高 校 生 になり 韓 国 という 国 について 少 し 知 るようになりました 戦 争 中 の 日 本 は 隣 国 の 韓 国 に 対 してとてもひどい 事 をしたということ たくさんの 韓 国 人 を 殺 し 傷 つけたというこ と 時 は 経 ち 日 本 と 韓 国 は 親 しくしているけれど 韓 国 の 傷 は 癒 えていないということ 日 本 と 韓 国 の 間 には 悲 しい 歴 史 があります 目 をそむけたくなるような 写 真 も 見 たことがあり ます 韓 国 にとってきっと 日 本 は 忌 々しい 国 だと 思 います それでもソンジュと 私 は 一 緒 に 遊 び ソンジュのお 母 さんは 私 を 抱 きしめてくれました ソンジュとすごした 日 々から 十 数 年 も 経 った 今 私 は 韓 国 語 の 勉 強 をしたり 韓 国 の 映 画 を 見 て 感 動 したりします 口 蹄 疫 の 影 響 で 中 止 になりましたが 修 学 旅 行 で 韓 国 に 行 く 予 定 もあ りました ソンジュは 今 どこにいるのか どんな 人 になっているのか 全 く 分 かりません でも お 互 い 成 長 した 今 もしも 会 えたら 私 は 韓 国 語 でこう 言 いたいです 반가워요! 4
日 本 語 エッセイ 部 門 거리( 距 離 距 離 ) 島 根 県 立 飯 南 高 等 学 校 2 年 森 山 あずさ 日 本 と 韓 国 それは 近 くて 遠 い 国 である 遠 いとは 無 論 物 理 的 な 距 離 ではない それは 人 の 心 が 生 み 出 した 微 妙 な 距 離 であり 微 妙 であるがゆえの 越 え 難 さを 伴 っているように 私 は 感 じる 私 はそんな 隣 国 のアイドル슈퍼주니어(スーパージュニア)に 心 を 奪 われている それぞれ のメンバーが 多 彩 な 才 能 を 持 っており 歌 に 踊 りにドラマと 多 方 面 で 活 躍 している しかし 彼 らのように 何 でもこなすアイドルは 日 本 にもいる それなのに どうして 彼 らにこんなにも 惹 かれ るのか?どうして 韓 国 人 なのか? 私 が 彼 らに 惹 かれていったのにはどうやら 理 由 があるらしい こんな 思 いがきっかけで 私 は 日 本 と 韓 国 の 距 離 について 考 えることになったのだ まず この 微 妙 な 距 離 感 を 生 じさせるものとして 両 国 の 相 違 点 がある 文 化 風 俗 兵 役 制 度 など 違 う 点 は 多 くあるが 私 が 特 に 注 目 したのは 国 民 性 の 違 いである 外 見 は 似 ているが 日 本 人 の 気 性 は 比 較 的 あっさりしていて 淡 白 一 方 韓 国 は 情 熱 的 で 熱 い 印 象 を 受 けた 大 衆 文 化 の 代 表 であるドラマにも 様 々な 違 いを 見 ることができる それは 速 度 だ 日 本 では 物 語 の 展 開 が 非 常 にスピーディだ 一 方 韓 国 ドラマにはゆとりがあり 物 語 の 展 開 も 速 すぎな い 展 開 が 速 いと 制 作 側 が 視 聴 者 に 投 げかけるだけの 一 方 的 なものになってしまうが ある 程 度 ゆとりがあれば 視 聴 者 は 与 えられるだけでなく 感 じることや 考 えることができる またドラマの 内 容 にも 違 いがある 韓 国 ドラマは 素 朴 で 人 の 心 を 動 かすものがあると 思 う それは 最 近 の 日 本 ドラマには 感 じられないものである 現 在 の 日 本 ドラマはどこか 現 実 味 がな いものや 突 拍 子 のないものが 多 いように 思 える そうしたいわば 空 虚 なものが 溢 れている 中 どこかほっとする 韓 国 ドラマを 求 める 心 理 が 日 本 人 にはあり そして 現 代 人 の 心 の 隙 間 にす っと 入 ってくるような 暖 かさが 韓 国 ドラマにはあると 感 じた 理 屈 では 語 れない 部 分 もある 人 を 好 きになるにしても 何 かに 興 味 を 持 つにしても 大 き な 意 味 を 持 たずして びびっ とくるものがある まさに その 現 象 が슈퍼주니어を 見 た 私 にお きたのだ 数 年 前 冬 ソナブーム が 社 会 現 象 となり 多 くの 女 性 は 主 演 のペ ヨンジュンを 始 めとするキャストに 魅 了 された あの 場 合 にも 何 か 特 別 な 理 由 というものは 存 在 しないのかも しれない 直 感 というものが 支 配 している 割 合 が 多 いように 思 える 改 めて 日 本 と 韓 国 との 間 には 言 葉 では 説 明 しつくせない 微 妙 な 距 離 があると 思 う しかし そういう 遠 さ があってもいいのではないだろうか 実 際 私 にはこの 距 離 感 がとても 愛 しいも のに 思 えてならない そう 考 えていくと この 微 妙 な 距 離 は 絶 妙 な 愛 しい 距 離 と 自 信 を 持 って 言 える 日 本 にいるからこそ 私 は 彼 らにこんなにも 惹 かれるのだ 今 はこの 絶 妙 な 距 離 間 に いられることを 幸 せに 思 える 5
クムホ アシアナ 杯 2011 ちょっと 得 した 気 分 中 央 大 学 杉 並 高 等 学 校 3 年 高 絢 実 私 は 在 日 韓 国 人 です 生 まれて 初 めて 覚 えた 韓 国 語 は 엄마 と 아빠 でした 戦 時 中 に 祖 父 と 祖 母 が 朝 鮮 半 島 から 渡 ってきて 日 本 に 住 み 始 めました 父 も 母 も 日 本 で 生 まれ 韓 国 に 住 んだことはありません だから 私 は 自 分 の 母 国 がどのような 雰 囲 気 で 実 際 の 現 地 の 人 の 人 柄 はどのようなもので 地 方 のなまりがどんなものなのかも 知 りません 在 日 韓 国 人 の 中 では 私 のように 自 分 が 韓 国 人 であることを 公 表 している 人 もいれば そのことを 隠 して 日 本 人 として 生 活 している 人 もいま す 私 の 家 では 日 常 会 話 は 韓 国 語 ではありません では 何 故 私 が 日 常 生 活 で 使 わないのに 韓 国 語 を 聞 き 取 り 話 し 書 くことが 出 来 るのかと 言 うと 小 学 1 年 生 の 時 から 朝 鮮 学 校 に 通 ったからです 中 学 卒 業 までそこに 通 ったからこそ 自 分 が 在 日 韓 国 人 であると 胸 を 張 って 言 えることが 出 来 るし 朝 鮮 半 島 に 存 在 する 同 じ 民 族 の2つの 国 家 の 歴 史 などについても 知 ることが 出 来 ました 日 本 を 含 む 世 界 各 国 の 韓 国 と 北 朝 鮮 に 対 する 扱 いの 違 いは 明 確 です 拉 致 事 件 や 最 近 の 砲 撃 事 件 など 北 朝 鮮 には 不 可 解 な 行 動 が 多 くあります そのことが 私 の 中 でも 韓 国 と 北 朝 鮮 に 対 するイメージの 違 いとして 大 きく 影 響 しています 元 々は 同 じ 民 族 ですし 元 々は1つの 国 だったんだと 考 えはするものの やはり 北 朝 鮮 に 対 する 自 分 のイメージも 決 して 良 いものだと 言 えません これは 自 分 が 日 本 に 住 んでいるからなのでしょうか それならば 実 際 に 韓 国 に 住 んでいる 人 はどう 思 っているのでしょう 同 じ 民 族 であるけど と 考 えると 韓 国 って 自 分 って 何 だろう と 思 います 自 分 は 韓 国 人 だと 言 っているけど その 自 覚 を 持 たせてくれたのは 朝 鮮 学 校 なの です このもやもやした 思 いを 解 消 することは 不 可 能 だと 思 っています でも 自 分 を 育 ててくれたのは 韓 国 人 である아빠と엄마 韓 国 語 を 教 えてくれたのは 조선학교です 自 分 の 中 に한국と조선が 存 在 していると 思 うと もやもやではなく ちょっと 得 した 気 分 になります 中 学 に 入 って 英 語 を 習 い 始 めてからは 3ヶ 国 の 言 葉 を 理 解 することが 出 来 るようになりました もし 私 が 韓 国 で 生 まれ 育 っていたのなら 3ヶ 国 語 喋 れなかったかもしれませんし 北 朝 鮮 を 日 本 を そして 世 界 を 様 々な 視 点 から 見 つめることも 出 来 なかったと 思 います 自 分 の 母 国 である 韓 国 を 考 えることは 世 界 を 考 えることに 繋 がっているのです 竹 島 問 題 での 日 本 と 韓 国 の 対 立 や 北 朝 鮮 の 韓 国 に 対 する 砲 撃 事 件 に 関 わってくる 中 国 やアメリカ 思 いつくだけで も 様 々な 世 界 情 勢 が 見 えてきます 私 は 自 分 の 母 国 に 色 んなことを 教 わっているのかもしれま せん 韓 国 は 私 にとって 今 も 昔 も 変 わらない 大 事 な 故 郷 なのです 6
日 本 語 エッセイ 部 門 HARU HARU 富 山 県 立 中 央 農 業 高 等 学 校 1 年 吉 田 樹 僕 は 音 楽 が 好 きだ しかし 韓 国 の 音 楽 についてまったくといっていいほど 興 味 がわかなか った なにしろ 日 本 に 来 て 歌 を 歌 っていた 歌 手 やグループなどは 日 本 語 の 意 味 や 使 い 方 イントネーションが 間 違 っているイメージがあり なんとなく 好 きになれなかった そんな 僕 の 思 いを 見 透 かすように K-POP という 言 葉 が 一 般 的 になるほど 韓 国 の 音 楽 が 世 間 に 広 まっていった そんな 世 間 の 流 れに 逆 らうように 韓 国 の 音 楽 をバカにしつづけていた が 韓 国 の 或 るヒップホップグループとの 出 会 いにより 韓 国 音 楽 えへの 見 方 が 180 度 変 わる ことになる そのヒップホップグループというのが 最 近 日 本 でも 人 気 が 高 い BIGBANG 彼 らの 音 楽 は 不 安 定 な 僕 の 精 神 を 不 思 議 と 元 気 にしてくれた 勉 強 で 疲 れているとき 嫌 なことがあったとき そんなときには 決 まって 彼 らの 曲 を 聴 く 落 ち 込 んでいた 気 持 ちや 疲 れがどこかにふっとんで いくのだ 特 に 僕 を 元 気 づけてくれたのは ガラガラ GO!! どぉ?そばに 来 て give you some more! すべてを 忘 れちゃおう Come on and feel the real in my flow... そしてここで 二 人 ずっと bumpin shakin 踊 ろよハニー 嫌 なことやつらいことがあったとき この 曲 の 歌 詞 が 頭 に 浮 かぶ もうひとがんばり がんば ろう と 勇 気 とやる 気 をくれているようだ 僕 を 含 め 多 くの 日 本 人 に 支 持 を 受 けている BIG BANG だが 日 本 での 活 動 を 始 める 際 に は 不 安 やとまどいが 少 なくなかったという 僕 がもし 韓 国 で 仕 事 をしなくてはならないとしたら きっと 不 安 で 逃 げ 出 したくなることだろう 僕 にはとても 考 えられないことだ それなのに 異 国 の 地 日 本 に 進 出 し 僕 たちにエールをおくってくれる 彼 らの 生 き 方 に さらに 勇 気 づけられるの だ よくわかりもしないで 韓 国 人 の 音 楽 をバカにしていたころの 僕 では そんなことに 思 いをは せることもなかっただろう 僕 の 偏 見 を 変 えてくれた BIG BANG に 感 謝 と 尊 敬 の 思 いでいっぱ いである BIG BANG の 曲 を 通 じて 僕 は 韓 国 語 も 出 会 った HARU HARU という 曲 のタイトルは 韓 国 語 で 하루하루 日 本 語 で 一 日 一 日 大 好 きな 人 を 失 った 思 いも 一 日 一 日 薄 れてい く なんとかやっていけるから どうか 幸 せになってくれ というメッセージの 曲 だ 彼 らのプロモ ーションビデオにはいつもドラマがある 彼 らの 演 技 を 見 ているだけで 曲 の 内 容 が 伝 わってく る そんなところも 彼 らの 魅 力 なのだと 思 う 네가 없이는 단 하루도 못 살 것만 갔았던 나 君 がいないと 一 日 も 過 ごせないと 思 っていた 俺 彼 らが 韓 国 語 で 歌 う このフレーズの 意 味 がわかるほど 大 人 になったとき 僕 は 本 当 の 意 味 で 偏 見 から 解 放 されるだろう これからも 韓 国 人 が 歌 う 音 楽 にもっとふれていきたい 無 意 味 な 偏 見 から 解 放 される 日 まで ハル ハル 7
クムホ アシアナ 杯 2011 休 戦 下 の평화 판문점が 教 えてくれたこと 聖 心 女 子 学 院 高 等 科 2 年 辻 佐 智 代 えっ 血 の 気 が 引 くのが 分 かる 程 の 大 きな 衝 撃 を 受 けた판문점 見 学 は 改 めて평화を 構 築 してい くことの 難 しさと 同 じ 民 族 が 武 器 を 持 って 睨 み 合 っている 事 の 辛 さを 痛 感 した 昨 夏 私 は 学 校 の 研 修 で 韓 国 を 訪 れた 生 まれて 初 めて 近 くて 遠 い 国 韓 国 で 過 ごした 日 々は 私 の 好 奇 心 を 大 いにくすぐる とても 充 実 したものだった 華 やかな서울の 街 や 生 活 の 違 いに 驚 くばかりのホームステイ 美 しい 文 化 財 に 秘 められた 日 韓 の 悲 しい 歴 史 など 韓 国 について 様 々な 視 点 から 学 ぶことが 出 来 た その 中 でも 特 に판문점 見 学 は 私 にとって 南 北 問 題 の 現 状 を 実 際 に 肌 で 感 じられた 貴 重 な 体 験 だったと 思 う 1950 年 に 開 戦 した 朝 鮮 戦 争 の 休 戦 協 定 を 締 結 した 地 であり 現 在 は 南 北 会 談 を 開 く 場 でも ある판문점 私 は 実 際 に판문점を 訪 れるまで テレビや 新 聞 で 報 道 されているような 赤 十 字 会 談 などを 行 う 場 としての 認 識 しかなく 판문점の 中 で 起 こった 事 件 についてや 立 地 条 件 などは 全 く 知 らなかった なので 서울から 北 上 していくにつれて 静 かで 重 い 雰 囲 気 が 漂 う 町 や 視 線 の 先 に 何 を 見 ているのか 分 からない 連 合 軍 の 兵 士 が 放 つ 一 種 異 様 なオーラに ただただ 圧 倒 されてしまった そんな 糸 をピンと 張 ったように 緊 迫 した판문점に 入 った 私 を 宣 言 書 へ 署 名 が 待 ち 構 えてい た 見 学 前 に 必 ず판문점についての 説 明 を 受 けるのだが 南 北 共 同 で 警 備 していた 時 代 があ った 事 や 死 傷 者 が 出 た 斧 殺 害 事 件 をはじめとする판문점の 中 で 発 生 した 事 件 について 聞 い た 時 は 思 わず 目 を 覆 いたくなる 程 辛 かった 更 に 必 ず 署 名 しなければならない 宣 言 書 に 記 載 されていた 一 文 を 目 にした 時 には 正 に 背 筋 が 凍 りつくようだった 敵 の 行 動 ( 活 動 )によっては 危 害 をうける 又 は 死 亡 する 可 能 性 があります しかし その 時 ふと 冷 静 に 考 えた 事 があった バスの 車 窓 から 見 た 静 かで 重 い 雰 囲 気 の 町 に 住 む 人 々や 兵 士 達 は 毎 日 命 の 危 険 が 伴 うこの 地 で 生 活 しているのだと 思 うと 先 程 から 臆 病 な 考 えをしていた 自 分 に 腹 立 たしさを 覚 えたのだ 판문점や 会 議 場 などを 巡 る 内 に 今 まで 以 上 に 心 の 底 から 南 北 関 係 についてもっと 知 り 伝 えたい! という 強 い 思 いに 変 わっていた 見 学 終 了 後 판문점 地 区 内 にある 売 店 でパンフレットなどを 購 入 していた 私 は サングラスを 外 して 朗 らかに 話 す 兵 士 達 の 姿 を 見 た 無 表 情 で 警 備 に 立 つ 姿 しか 頭 になかった 私 にとって は 意 外 に 思 えたが 彼 らに 心 休 まる 時 がほとんどないのかと 思 うと 悲 しくなってしまった 今 回 の판문점 見 学 で 感 じた 緊 張 感 は 今 までより 更 に 南 北 情 勢 について 関 心 を 寄 せる 契 機 となった 最 近 では 延 坪 島 砲 撃 事 件 が 起 き 南 北 問 題 は 更 に 溝 を 深 めてしまったように 感 じるが あの 時 に 見 た 兵 士 の 笑 顔 を 思 う 度 に평화を 願 わずにはいられなくなる この 経 験 を 単 に 一 時 的 な 関 心 事 として 終 わらせることの 無 いように 一 人 でも 多 くの 人 に 私 が 見 た 事 を 伝 え 南 北 間 の평화 構 築 に 向 けて 努 力 したい 8
日 本 語 エッセイ 部 門 ムグンファに 咲 く 笑 顔 盈 進 高 等 学 校 1 年 山 本 真 帆 そこはいつも 優 しさと 温 かさのある 場 所 瀬 戸 内 海 に 浮 かぶ 美 しい 島 ハンセン 病 療 養 所 長 島 愛 生 園 整 備 された 園 内 の 一 角 に 可 憐 な 白 いムグンファの 花 が 咲 く 私 たちの 大 好 きなハ ラボジ 金 泰 九 さんの 家 の 前 私 の 所 属 するクラブは 13 年 間 金 さんと 交 流 を 続 けている 金 さんが 静 かに 語 る ムグンフ ァは 韓 国 の 国 花 でね 近 くにあるとなんだか 安 心 するし やっぱり 嬉 しいなぁ 金 さんのお 部 屋 は 四 畳 半 一 間 多 い 時 には 18 人 もおじゃまして 金 さんやみんなの 思 いを 共 有 するのだ その 空 間 はいつも 83 歳 の 金 さんが 私 たちの 質 問 にとても 丁 寧 に 答 えてくださ るのでゆっくりと 時 間 が 過 ぎてゆき 心 地 よい 笑 いあり 涙 ありの 会 話 が 一 段 落 すると いつも の 楽 しい 光 景 私 たちはきまって 韓 国 直 送 の 激 辛 ラーメンをごちそうになる みんなで 金 さんを 囲 んで 汗 をかきかき おいしい! と 言 いながら 夢 中 になって 麺 をすすり 汁 まで 飲 み 干 す 何 でもおいしいと 食 べる 人 が 真 の 国 際 人 だよ とニコニコ 笑 う 金 さんの 笑 顔 が 大 好 きで 私 た ちまで 顔 がほころんでしまう 金 さんは 韓 国 慶 尚 南 道 で 生 まれた 日 本 による 植 民 地 時 代 に 若 くして 日 本 に 渡 って 来 られ 戦 後 の 大 阪 で 発 病 し 強 制 収 容 された 以 来 約 60 年 間 愛 生 園 で 暮 らしておられる ハンセ ン 病 にかかった ただそれだけでふるさとと 愛 する 家 族 を 奪 われた 人 々 中 でも 金 さんたち 在 日 コリアンにとって 母 国 は 遠 すぎるものだった そのご 苦 労 の 原 因 は 紛 れもなく 絶 対 隔 離 の 法 律 とそれによって 拡 大 生 産 された 私 たち 市 民 の 差 別 と 偏 見 という 壁 だった 金 さんがもっとも 辛 かったことは 何 ですか ここに 暮 らすみんな 等 しく 辛 かったなぁ だから 僕 も 耐 えられたよ みんなが 力 を 合 わせて 生 きてきたからね でもね 大 阪 に 残 してきた 妻 が 亡 くなっても 帰 してもらえなかった 時 は さすがに 辛 すぎたよ 隔 絶 の 島 は 当 時 完 全 に 一 般 社 会 から 閉 ざされた 場 所 だったと 思 い 知 らされる 20 年 後 ここにはきっと 納 骨 堂 だけが 残 るだろう 僕 も 仲 間 たちとここに 眠 るよ 今 こうして 私 たちはいつでも 金 さんに 会 うことができる 会 うたびに 金 さんは あまりに 重 く 悲 しい 過 去 を 優 しく 語 ってくださる 苦 難 の 歴 史 を 生 き 抜 いてきた 金 さんたちだから 誰 よりも 人 間 として 本 当 の 強 さと 優 しさを 知 っているのだと 思 う 金 さんたちの 生 き 様 と 笑 顔 は 誰 かが 口 に 出 したり 記 録 したりして 伝 えなければならない それをするのはもちろん 私 たちだ 金 さんが 一 番 嬉 しいことは 何 ですか みんながこうして 会 いにきてくれることだよ それは 私 たちにとっても 一 番 嬉 しいことだ 金 さんのお 家 から 帰 る 際 私 たちは 必 ず 全 員 が 握 手 をする 金 さんの 手 は 病 気 の 後 遺 症 で 麻 痺 し 感 覚 がない だけど 金 さんはいつも 両 手 でしっかり 握 ってくださる ムグンファの 花 が 風 に 揺 れる 中 私 はいつものように 金 さんの 手 の 温 かさを 感 じる 金 さん また 必 ず 会 いに 来 ま すね! 9