付 属 資 料 欧 州 における 労 働 時 間 とワーク ライフ バランスの 実 態 欧 州 労 働 条 件 調 査 から 欧 州 は 拡 大 を 続 けており 域 内 における 労 働 生 活 条 件 の 水 準 の 格 差 もまた 明 らかに 拡 大 し 続 けている 欧 州 レベルで 生 産 性 を 向 上 させ 雇 用 を 拡 大 し 労 働 の 質 を 改 善 しようとす る 政 策 立 案 者 にとって このような 格 差 は 深 刻 な 問 題 となっている このような 状 況 下 EU 加 盟 国 および 他 の 欧 州 の 国 々における 労 働 条 件 を 把 握 することの 重 要 性 が 高 まっている 同 時 に 欧 州 各 国 の 労 働 の 質 における 変 化 を 追 うことが 将 来 的 にこの 領 域 に 影 響 を 与 え 得 る トレンドを 推 測 することの 鍵 となる 欧 州 生 活 労 働 条 件 改 善 財 団 (The European Foundation for the Improvement of Living and Working Conditions) 1 は 欧 州 各 国 における 労 働 時 間 とワーク ライフ バランスの 実 態 に 関 する 調 査 2 を 行 った 本 調 査 は 欧 州 31カ 国 における 労 働 者 を 対 象 に 包 括 的 な 労 働 実 態 を 明 らかにすることを 目 的 に 実 施 された これは 職 場 組 織 労 働 時 間 帯 機 会 の 平 等 訓 練 保 健 健 康 および 仕 事 への 満 足 度 などの 幅 広 いテーマに 関 する 労 働 者 の 反 応 により 欧 州 の 労 働 者 は 自 分 たちの 労 働 生 活 をどのように 過 ごし 労 働 生 活 や 労 働 条 件 をどのように 評 価 しているのかを 分 析 したものである 本 稿 ではこの 中 から 労 働 時 間 とワーク ライフ バ ランスに 係 る 部 分 について 紹 介 することとしたい 1. 労 働 時 間 (1) 労 働 時 間 の 推 移 労 働 時 間 は 仕 事 以 外 にも 人 間 の 生 活 全 体 に 大 きな 影 響 を 持 つ 主 要 素 の 一 つである すな わち 労 働 時 間 は 労 働 条 件 に 留 まらず すべての 生 活 を 構 成 する 上 での 重 要 な 条 件 つまり ワーク ライフ バランスに 係 わる 重 要 な 要 素 でもある 1991 年 以 来 EU では 有 給 の 労 働 時 間 の 減 少 が 大 きなトレンドとなっている 2004 年 の 新 規 加 盟 国 の 労 働 時 間 が それまでの EU の 平 均 労 働 時 間 の 平 均 より 長 かったため こ のトレンドは2005 年 には 少 しスローダウンした しかしながら 新 規 加 盟 10カ 国 におい ても 週 41 時 間 を 超 えて 働 く 者 の 数 は 2001 年 以 来 減 少 し 続 けているうえ 労 働 時 間 1 欧 州 生 活 労 働 条 件 改 善 財 団 は 1975 年 に 設 立 された 欧 州 共 同 体 の 初 の 専 門 機 関 現 在 の 同 財 団 は EU( 欧 州 連 合 )の 機 関 の 一 つとして 位 置 づけられており 欧 州 におけるよりよい 生 活 と 労 働 条 件 のための 企 画 立 案 を 行 っている 同 財 団 は 生 活 労 働 条 件 労 使 関 係 人 事 管 理 の 変 更 などのEU 社 会 政 策 の 主 な 要 素 につい て 比 較 研 究 調 査 分 析 に 基 づく 情 報 助 言 専 門 知 識 の 提 供 を 行 っている 主 なテーマは 雇 用 および 労 働 条 件 ワーク ライフ バランス 労 使 関 係 およびパートナーシップなど 同 財 団 は 政 府 (および 欧 州 委 員 会 ) 使 用 者 団 体 および 労 働 組 合 の 代 表 による 三 者 構 成 主 義 の 運 営 委 員 会 を 有 している 2 第 4 回 欧 州 労 働 条 件 調 査 (Fourth European Working Conditions Survey, 2005) 本 調 査 は 財 団 と 契 約 し た 欧 州 ギャラップ 社 が 実 地 調 査 を 担 当 した 2005 年 9 月 19 日 ~11 月 30 日 に 調 査 を 実 施 し (EU 25 加 盟 国 にブルガリア クロアチア ノルウェー ルーマニア トルコおよびスイス 加 えた)31カ 国 にお いて 約 3 万 人 にインタビューを 行 った - 47 -
の 少 ない 労 働 者 の 比 率 が 次 第 に 大 きくなってきている 図 表 3-1 週 平 均 労 働 時 間 の 分 布 (1990 年 ~2005 年 ) ( 単 位 :%) EU12:ベルギー フランス オランダ イタリア ルクセンブルク 西 ドイツ デンマーク アイルランド イギリス ギリシャ スペイン ポルトガル EU15:EU12+オーストリア フィンランド スウェーデン EU25:EU15+チェコ ハンガリー エストニア マルタ キプロス ポーランド ラトビ ア スロベニア リトアニア スロバキア( 現 在 は ブルガリア ルーマニアを 加 え た 27 カ 国 となっており EU27 と 表 記 ) 図 表 3-2は 2005 年 の31カ 国 調 査 における( 被 雇 用 者 および 自 営 業 者 双 方 の) 平 均 労 働 時 間 を 示 している 各 国 における 労 働 時 間 の 平 均 も 分 布 も バラつきが 大 きい 四 角 形 内 のグレーの 太 線 は 平 均 労 働 時 間 を 示 している 太 線 を 囲 む 四 角 形 は 四 分 位 範 囲 3 であ る 同 四 角 形 から 左 右 に 延 びる 横 線 は 5%~95%の 範 囲 を 示 している 例 えばオランダ の 場 合 は 週 平 均 労 働 時 間 は33 時 間 で 労 働 者 の50%が24 時 間 ~40 時 間 働 き 5% が50 時 間 超 5%が10 時 間 未 満 働 いていることを 示 している トルコが 最 も 労 働 時 間 が 長 いうえ 労 働 時 間 の 分 布 も 最 大 であることが 分 かる ほとんどの 国 において 平 均 労 働 時 間 は 週 40 時 間 となっており 多 くの 労 働 者 がこの 平 均 時 間 を 標 準 としている しかしながら 各 国 間 に 差 があり 東 南 ヨーロッパが 一 番 長 く 中 央 および 北 ヨーロッパ の 国 々(アイルランドとイギリスを 含 む)は 労 働 時 間 が 短 い パートタイム 労 働 の 比 率 が 非 常 に 高 いオランダは ( 労 働 時 間 の 分 布 が 大 きいが) 最 も 平 均 労 働 時 間 が 短 い 3 労 働 者 の50%の 平 均 労 働 時 間 が 収 まる 範 囲 小 さい 方 の25%のデータと 大 きい 方 25%のデータを 捨 てて 残 った 中 央 部 の 半 分 (50%)のデータの 範 囲 を 求 めた 値 - 48 -
図 表 3-2 国 別 週 平 均 労 働 時 間 ( 単 位 : 時 間 ) - 49 -
図 表 3-3は 欧 州 の 全 31カ 国 における 週 当 たりの 労 働 日 数 を 示 している( 週 7 日 働 い ている 労 働 者 の 多 い 国 順 ) トルコは 最 も 労 働 日 数 が 多 く 労 働 者 のほぼ50%が 週 7 日 働 いており 70%が 週 6 日 以 上 働 いている これは トルコ 経 済 と 他 の 欧 州 の 国 家 経 済 を 比 較 すると 労 働 時 間 が 長 い 農 業 セクターに 従 事 する 労 働 者 の 比 率 が 高 いことが 原 因 だと 思 わ れる 各 国 間 の 差 は 週 平 均 労 働 時 間 の 差 と 非 常 に 似 かよっている 東 南 ヨーロッパは 労 働 日 数 が 多 く 北 と 中 央 ヨーロッパは 少 ない ただし 各 国 間 に 違 いがあるとしても トルコとオランダを 除 けば 標 準 労 働 時 間 と 呼 ばれる 週 5 日 40 時 間 を 中 心 として 働 いていることは 明 らかである 図 表 3-3 週 当 たりの 労 働 日 数 ( 単 位 :%) - 50 -
(2) 長 時 間 労 働 図 表 3-4は 週 当 り48 時 間 を 超 えて 働 いている 人 々の 比 率 を 示 している 本 調 査 にお ける 長 時 間 労 働 の 定 義 は 48 時 間 を 超 える 労 働 である 各 国 間 の 違 いは 平 均 労 働 時 間 と 同 様 の 傾 向 を 示 している アイルランドだけは 例 外 で 平 均 労 働 時 間 は 短 い 方 なのに (ほぼ17%の 労 働 力 人 口 が) 非 常 に 長 時 間 働 いている イギリスの 場 合 を 見 てみると 労 働 時 間 は 平 均 的 だが 男 性 のフルタイム 労 働 者 に 限 れば 他 の EU15カ 国 よりも 労 働 時 間 が 長 くなっている 図 表 3-4 ( 週 48 時 間 を 超 える) 長 時 間 労 働 の 比 率 ( 単 位 :%) 図 表 3-5は 長 時 間 労 働 は 欧 州 においては 男 性 の 傾 向 であることを 示 しているし(し かしながら 無 給 の 家 事 労 働 については 後 述 する) 被 雇 用 者 よりも 自 営 業 者 の 方 が 労 働 時 間 は 長 い - 51 -
図 表 3-6は 最 も 長 時 間 労 働 なのは 農 業 ホテル レストランおよび 建 設 業 である(20% 以 上 の 労 働 者 が 長 時 間 労 働 をしている)ことを 示 している 職 種 別 に 見 れば 管 理 者 と 農 業 労 働 者 が しばしば48 時 間 を 超 える 労 働 をしている 図 表 3-5 EU27カ 国 における(48 時 間 を 超 える) 長 時 間 労 働 性 別 雇 用 形 態 別 ( 単 位 :%) EU27 男 性 女 性 被 雇 用 自 営 図 表 3-6 EU27カ 国 におけるセクター 職 種 別 による 長 時 間 労 働 ( 単 位 :%) 農 業 製 造 電 気 ガス 水 道 建 設 卸 小 売 部 門 別 ホテル レストラン 運 輸 通 信 金 融 不 動 産 公 務 防 衛 教 育 保 健 その 他 上 級 管 理 者 専 門 職 技 術 職 事 務 職 職 サービス 販 売 種 農 林 漁 業 別 技 能 職 機 械 操 作 非 熟 練 労 働 軍 隊 - 52 -
図 表 3-7は 健 康 やワーク ライフ バランスなど 長 時 間 労 働 が 与 える 影 響 を 労 働 条 件 以 外 の 指 標 により 示 したものである 第 一 の 指 標 では 仕 事 を 完 了 するために 十 分 な 時 間 が 滅 多 に あるいは 全 く 無 い との 不 満 を 抱 いている 比 率 は 長 時 間 労 働 者 の 方 が 高 いこ とを 示 している 次 に 48 時 間 を 超 える 長 時 間 労 働 をしている 場 合 自 分 たちの 労 働 安 全 衛 生 が 危 機 に 晒 されていると 感 じている 者 が 多 い( 長 時 間 労 働 をしていない 者 の2 倍 )うえ 仕 事 が 自 分 の 健 康 に 害 を 及 ぼすと 考 えている 者 も 多 い さらに 長 時 間 労 働 はワーク ライ フ バランスに 大 きな 悪 影 響 を 与 えていることも 分 かる 長 時 間 労 働 者 は 長 時 間 労 働 をし ていない 労 働 者 に 比 べて 社 会 的 家 族 的 責 任 を 果 たせていないと 考 えている 比 率 が3 倍 も 高 い しかしながら 労 働 条 件 に 対 する 満 足 度 では 長 時 間 労 働 者 とそうでない 労 働 者 の 回 答 に 大 きな 差 はない これは 長 時 間 労 働 に 対 して それなりの 対 価 が 支 払 われているから だろう 例 えば 長 時 間 労 働 が 昇 進 には 繋 がらないとしても 超 過 勤 務 手 当 が 支 払 われてい るなどである 長 時 間 労 働 者 の 半 数 は 収 入 十 分 位 階 級 4 の 上 位 三 階 級 に 属 している また 長 時 間 労 働 は 柔 軟 性 を 制 限 していることも 分 かる 48 時 間 を 超 えた 長 時 間 労 働 をしてい る 者 の 三 分 の 二 は 一 定 の 始 業 終 業 時 間 を 押 し 付 けられていると 考 えており 同 様 に 感 じ ている48 時 間 以 内 の 労 働 者 の 比 率 よりも2 倍 も 多 い 図 表 3-7 EU27カ 国 における 長 時 間 労 働 の 影 響 ( 単 位 :%) 4 十 分 位 階 級 は 全 労 働 者 を 賃 金 の 低 い 者 から 高 い 者 へと 一 列 に 並 べて 十 等 分 したもの - 53 -
(3) 労 働 時 間 の 構 成 要 素 労 働 時 間 の 分 析 のほとんどは 制 限 的 な 定 義 に 基 づいている 標 準 的 な 労 働 力 調 査 におけ る 労 働 時 間 は 主 要 な 有 給 の 仕 事 に 費 やされる 時 間 を 測 定 している しかしながら 個 人 が 仕 事 に 費 やす 時 間 とは 必 ずしも 一 致 していない 主 要 な 有 給 労 働 に 費 やされる 時 間 という 定 義 が 制 限 的 過 ぎるという 理 由 は 次 のとおりである 主 要 ではない 有 給 労 働 に 費 やされる 時 間 を 勘 案 していない 副 業 に 充 てる 時 間 の 比 率 は 小 さいとしても 無 視 すべきではない さらに 副 業 が 労 働 者 に 影 響 を 与 えているとすれば 大 いに 重 要 通 勤 時 間 を 勘 案 していない 使 用 者 の 観 点 からは 通 勤 時 間 は 労 働 時 間 ではないとされて いるが 労 働 者 の 観 点 からすれば 間 違 いなく 労 働 に 捧 げた 時 間 なのである したがって 労 働 に 捧 げた 時 間 を 議 論 する 場 合 には 考 慮 すべき 最 も 重 要 なことは 無 給 労 働 に 費 やされる 時 間 を 勘 案 していないということだ 無 給 労 働 は 報 酬 は 得 られていないものの 社 会 的 経 済 的 に 見 れば 有 給 労 働 と 同 じように 重 要 である さらに 個 人 の 観 点 からすれば ( 家 事 育 児 介 護 などに 費 やしている) 無 給 労 働 は 間 違 いなく 労 働 なのであるから 有 給 労 働 と 同 一 のカテゴリーには 置 かないとし ても 一 定 の 考 慮 はされるべき これまでの 議 論 は 主 要 な 有 給 労 働 に 費 やされる 時 間 という 定 義 に 基 づいていたが 本 調 査 では 上 記 のような その 他 の 労 働 時 間 を 勘 案 し さらに 統 合 的 な 観 点 から 労 働 時 間 を 分 析 するための 新 たな 指 標 を 採 り 入 れた しかしながら 無 給 労 働 の 分 析 については 一 つだけ 限 定 条 件 がある 本 調 査 は 回 答 し た 週 に 有 給 労 働 をした 者 だけを 対 象 としているが 無 給 労 働 は 有 給 労 働 をしている 者 だけ が 行 っているものでないことは 明 らかだからである 無 給 労 働 の 大 半 は ( 専 業 主 婦 など) 有 給 労 働 を 行 っていない 者 によって 担 われている したがって 本 調 査 において 無 給 労 働 と 言 及 している 場 合 は 何 らかの 有 給 労 働 を 行 っている 者 が 行 っている 無 給 労 働 と 解 釈 しなけ ればならない (4) 副 業 本 調 査 の 対 象 となった31カ 国 の 平 均 では 二 つ 以 上 の 職 業 を 持 っている 労 働 者 の 比 率 は 7% 未 満 であった 全 ての 国 において かなり 低 い 比 率 であったが ノルウェーだけは15% を 超 えていた 北 欧 諸 国 とオランダ および 東 欧 諸 国 では 二 つ 以 上 の 職 業 を 持 っている 労 働 者 の 比 率 が 高 かった ヨーロッパのその 他 の 国 においては 副 業 はかなり 稀 であった - 54 -
(5) 通 勤 時 間 全 対 象 国 の 労 働 者 の 通 勤 時 間 の 平 均 は 40 分 であった 特 筆 するほどではないが 標 準 的 な8 時 間 労 働 日 において 8% 増 加 していた なお 図 表 3-8が 示 すように 週 労 働 時 間 が 長 いほど 通 勤 時 間 も 長 くなっている 48 時 間 を 超 える 長 時 間 労 働 についてのみ こ の 傾 向 から 外 れているが それは 農 業 労 働 者 が 大 きな 割 合 を 占 めているからである( 農 業 労 働 者 の 平 均 通 勤 時 間 は 最 短 であり ホテル レストランの 労 働 者 も 同 様 に 短 い) 特 筆 すべき は パートタイム 労 働 者 の 通 勤 時 間 は フルタイム 労 働 者 と 比 較 して 短 いということである これは パートタイム 労 働 ジェンダーおよび 通 勤 時 間 の 関 連 性 に 関 する 数 多 くの 研 究 結 果 に 共 通 している 結 果 だ 男 女 の 家 事 責 任 が 異 なることが 女 性 が 通 勤 時 間 の 短 い 仕 事 を 選 ぶ 原 因 だ( 同 様 の 原 因 で 女 性 のパートタイム 労 働 者 の 方 が 多 いという 主 張 がある) 図 表 3-8 EU27カ 国 における 週 労 働 時 間 と 平 均 通 勤 時 間 の 関 係 ( 通 勤 分 ) 20 以 内 21~34 35~38 39~41 42~48 48 超 ( 労 働 時 間 ) (6) 無 給 の 労 働 時 間 本 調 査 には 無 給 労 働 に 費 やす 週 当 たりの 労 働 時 間 数 に 関 する 質 問 はなかったが 有 給 労 働 以 外 の 活 動 に 1 日 当 りどの 程 度 の 時 間 を 費 やすかを 回 答 してもらっているので これを 7 倍 して 週 あたりの 時 間 数 を 計 算 した(1 日 当 り1 時 間 未 満 という 回 答 の 場 合 は 毎 日 隔 日 または 二 日 おき に1 時 間 未 満 なのか それとも 週 当 たり 1 時 間 未 満 なのか を 選 択 してもらった) 無 給 の 労 働 時 間 数 を 調 査 することは 全 体 の 労 働 時 間 を 測 ることに 繋 がるが 有 給 の 労 働 時 間 数 に 比 べると 正 確 さに 欠 ける 図 表 3-9および 図 表 3-10は 育 児 介 護 家 事 という 無 給 労 働 の3 要 素 に 費 やされ る 時 間 数 を 国 グループおよびジェンダー 別 に 示 している 無 給 の 労 働 時 間 数 は 前 述 の3 要 素 に 費 やされた 時 間 数 を 合 計 して 求 めた 欧 州 の 全 ての 国 において 無 給 労 働 に 捧 げてい る 時 間 数 は 男 女 間 に 大 きな 差 があることを 示 している このデータは 有 給 労 働 人 口 から の 回 答 のみを 反 映 していることを 考 えれば もし 有 給 雇 用 されていない 者 たち( 多 くは 専 業 主 婦 たち)も 考 慮 に 入 れれば 実 際 の 差 はさらに 拡 大 するだろう - 55 -
データは 欧 州 の 全 ての 国 において 働 く 女 性 は 働 く 男 性 より 多 くの 時 間 を 無 給 労 働 に 費 やしていることを 示 している しかし 国 グループに 注 目 すると ジェンダー 間 の 負 担 に は 大 きな 差 も 存 在 する オランダおよび 北 欧 諸 国 (スイスも 含 む)は 南 欧 大 陸 および 加 盟 国 候 補 グループと 比 較 すると 男 女 間 の 無 給 労 働 時 間 数 の 較 差 は 少 ない 東 欧 諸 国 は そ の 中 間 ぐらいである 労 働 の 内 容 についても 各 国 間 の 違 いが 明 らかである オランダと 北 欧 諸 国 では 育 児 に 多 くの 時 間 を 割 いている 一 方 大 陸 グループ アイルランドおよびイ ギリスでは 家 事 に 時 間 を 割 いている 介 護 に 費 やしている 時 間 は 全 ての 国 において 他 の 労 働 に 費 やしている 時 間 よりは 少 ないが 南 欧 諸 国 では 他 の 国 々よりも 多 くの 時 間 を 費 やしている 無 給 労 働 に 関 する 情 報 は 貴 重 だが 本 稿 においては これ 以 上 の 分 析 を 試 みる ことは 適 当 ではない もし さらに 分 析 するのであれば 国 により 異 なる 福 祉 システム 労 働 市 場 の 状 況 子 育 てに 対 する 文 化 在 宅 勤 務 を 可 能 とする 技 術 およびジェンダーの 平 等 の 達 成 状 況 などのデータも 必 要 となるからである 図 表 3-9 国 グループ 性 別 育 児 介 護 に 週 当 たり 費 やしている 時 間 ( 単 位 : 時 間 ) 非 EU スイス ノルウェー 加 盟 候 補 国 トルコ クロアチア 2007 年 加 盟 国 ブルガリア ルーマニア 東 欧 諸 国 南 欧 諸 国 大 陸 諸 国 アイルランド イギリス 北 欧 諸 国 - 56 -
図 表 3-10 国 グループ 性 別 家 事 に 週 当 たり 費 やしている 時 間 ( 単 位 : 時 間 ) ( 国 グループ 略 号 ) 東 欧 諸 国 :チェコ エストニア ラトビア リトアニア ハンガリー ポーランド スロベニ ア スロバキア 南 欧 諸 国 :ギリシャ スペイン イタリア キプロス マルタ ポルトガル 大 陸 諸 国 :ベルギー ドイツ フランス ルクセンブルク オーストリア 北 欧 諸 国 :デンマーク ノルウェー フィンランド スウェーデン (7) 労 働 時 間 構 成 要 素 の 指 標 図 表 3-11は 欧 州 31カ 国 における 労 働 時 間 構 成 要 素 の 指 標 を 示 している 同 表 は 週 当 たりの 労 働 時 間 副 業 の 労 働 時 間 通 勤 時 間 および 無 給 労 働 時 間 により 構 成 されている - 57 -
図 表 3-11 国 別 労 働 時 間 構 成 要 素 の 指 標 ( 単 位 : 時 間 ) 図 表 3-12は 労 働 時 間 構 成 要 素 を 国 グループ 別 ジェンダー 別 に 示 したものである 無 給 労 働 を 考 慮 に 入 れると 男 女 間 の 労 働 時 間 に 大 きな 較 差 があることが 分 かる 有 給 労 働 については 全 ての 国 において 男 性 は 女 性 より 長 く 働 いているが 有 給 および 無 給 労 働 を 合 わせると 実 際 は 女 性 のほうが 長 く 働 いているのである - 58 -
図 表 3-12 国 グループ 性 別 週 当 たり 労 働 時 間 構 成 要 素 指 標 ( 上 が 男 性 下 が 女 性 ) ( 単 位 : 時 間 ) 北 欧 諸 国 アイルランド イギリス 大 陸 諸 国 南 欧 諸 国 東 欧 諸 国 ブルガリア ルーマニア トルコ クロアチア スイス ノルウェー EU27 カ 国 平 均 労 働 時 間 構 成 要 素 の 指 標 は パートタイム 労 働 についても 面 白 い 発 見 をもたらした パー トタイム 労 働 は 労 働 者 が 労 働 生 活 と 労 働 以 外 の 責 任 のバランスを 取 りやすいということで しばしば 家 族 に 優 しい 働 き 方 として 推 奨 される しかし 数 値 が 示 しているように 無 給 労 働 に 費 やされている 時 間 は 男 女 間 で 大 きな 隔 たりがある 男 性 と 女 性 は パートタイム 労 働 により 生 み 出 された 余 剰 の 時 間 を どのように 費 やすのだろうか 図 表 3-13は EU27カ 国 におけるフルタイム パートタイム 労 働 者 の 労 働 時 間 構 成 要 素 の 男 女 別 の 比 率 を 示 している ある 程 度 予 想 はしていたものの この 結 果 はショッキン グだ 男 性 のパートタイム 労 働 者 は 女 性 のフルタイム 労 働 者 より 無 給 労 働 に 費 やしている 時 間 が(7.2 時 間 ) 短 い 一 方 女 性 のパートタイム 労 働 者 は パートタイム 労 働 により 生 まれた 余 剰 の 時 間 を 無 給 労 働 のために 費 やしている( 時 間 数 だけに 言 及 しているが パート - 59 -
タイム 労 働 は 賃 金 やキャリアとも 無 関 係 ではない) 平 均 的 にみて 女 性 のパートタイム 労 働 者 の 無 給 労 働 と 有 給 労 働 の 比 率 は1.5:1だが 男 性 のパートタイム 労 働 者 は1:3であ る また もし 有 給 と 無 給 労 働 を 併 せて 考 えると 女 性 のパートタイム 労 働 者 は 男 性 のフ ルタイム 労 働 者 よりも 長 く 働 いていることになる( 前 者 が56 時 間 に 対 して 後 者 は54 時 間 ) 女 性 のフルタイム 労 働 者 の 総 労 働 時 間 はさらに 長 く 週 65 時 間 を 超 えている 図 表 3-13 EU27カ 国 におけるフルタイム パートタイム 労 働 者 の 男 女 別 労 働 時 間 比 率 ( 単 位 : 時 間 ) パートタイム 男 性 女 性 フルタイム 男 性 女 性 2.ワーク ライフ バランス 本 調 査 においては 労 働 時 間 ( 家 庭 責 任 育 児 介 護 レジャー ボランティアおよび 政 治 活 動 などの) 労 働 以 外 の 活 動 に 費 やす 時 間 など 時 間 の 使 い 方 に 関 する 広 範 囲 なデータを 収 集 するとともに 家 族 的 および 社 会 的 責 任 と 仕 事 を 両 立 するための 方 法 に 関 する 人 々の 認 識 を 調 査 している (1)ワーク ライフ バランスに 対 する 満 足 度 本 調 査 では 自 分 の 仕 事 と 仕 事 以 外 の 家 族 的 社 会 的 責 任 との 両 立 性 はどうか? とい う 質 問 に 対 して 回 答 者 に( 非 常 に 満 足 満 足 やや 不 満 不 満 )の 四 者 択 一 で 回 答 さ せている この 結 果 欧 州 の 労 働 者 の5 人 に1 人 は 仕 事 と 仕 事 以 外 の 責 任 の 両 立 性 に 満 足 していることが 分 かった EU の 旧 加 盟 国 (EU15)は 2000 年 の 前 回 調 査 とほぼ 同 じ 結 果 であったが ブルガリアとルーマニアを 含 む 新 たな 加 盟 国 では 満 足 している 比 率 が5% 低 下 した( 図 表 3-14 参 照 ) 全 体 的 には 満 足 という 回 答 が 多 い(EU 全 体 では80% 超 ) ワーク ライフ バランスに 大 きな 影 響 を 与 える 要 因 は 労 働 時 間 である より 長 く 働 いていれば 仕 事 と 仕 事 以 外 の 活 動 の 調 和 を 図 ることは より 難 しくなる 週 30 時 間 未 満 の 労 働 時 間 である 者 においては ワーク ライフ バランスの 満 足 度 が 非 常 に 高 い(85% 以 上 )が 週 45 時 間 を 超 える 労 働 をしている 者 の45% 超 は 自 分 たちの 労 働 時 間 と 家 族 的 社 会 的 責 任 が 両 立 できていな - 60 -
いと 感 じている( 図 表 3-15 参 照 ) 国 別 に 見 ると ワーク ライフ バランスに 満 足 していないが11%のノルウェイ オー ストリアから40%のギリシャまで かなりバラつきがある( 図 表 3-16 参 照 )が ( 回 答 者 の 主 要 な 仕 事 における) 週 平 均 労 働 時 間 とワーク ライフ バランスとの 明 確 な 関 係 が 確 認 された 表 3-14 ワーク ライフ バランの 満 足 度 の 推 移 ( 単 位 :%) 表 3-15 EU27カ 国 におけるワーク ライフ バランスの 満 足 度 労 働 時 間 数 別 ( 単 位 :%) - 61 -
図 表 3-16 ワーク ライフ バランスの 満 足 度 国 週 労 働 時 間 別 ( 単 位 :% 時 間 ) ジェンダー 間 の 差 - 62 -
調 査 の 結 果 働 く 女 性 は 無 給 の 家 事 および 育 児 介 護 活 動 にも 過 剰 に 縛 られていること を 示 唆 する 確 証 が 見 つかった ワーク ライフ バランスに 関 する 論 議 は 働 く 女 性 に 対 す る 大 きな 圧 力 となっている しかしながら ワーク ライフ バランスについては 男 性 の 方 が 女 性 より 不 満 が 高 いという 結 果 は 興 味 深 い この 予 想 外 の 結 果 は 週 労 働 時 間 および 男 女 の 労 働 時 間 の 在 り 方 の 相 違 に 起 因 するのだろう 一 般 的 に パートタイム 労 働 者 は ワー ク ライフ バランスに 対 する 満 足 度 は フルタイム 労 働 者 より2 倍 高 い 女 性 にはパート タイム 労 働 者 が 多 く 男 性 には 少 ないということが 働 く 男 女 間 のワーク ライフ バラン スに 対 する 満 足 度 の 違 いの 原 因 となっているのだろう しかしながら フルタイム 労 働 者 だ けに 限 ってみても 男 性 の 方 が 女 性 より 少 し 不 満 が 大 きい( 男 性 25%: 女 性 20%) (2) 働 く 両 親 16 歳 未 満 の 子 を 持 ちながら 働 いている 両 親 に 焦 点 を 当 てると 男 女 間 の 差 は さらに 大 きくなる 図 表 3-17が 示 すように 働 く 父 親 たちの 自 分 たちのワーク ライフ バラン スに 対 する 不 満 は 働 く 母 親 たちよりも 大 きい( 父 親 27%: 母 親 18%) 図 表 3-17 ワーク ライフ バランスの 満 足 度 男 女 別 被 扶 養 者 の 有 無 別 ( 単 位 :%) ワークライフバランス に 対 する 満 足 度 16 歳 未 満 の 子 なし 男 性 16 歳 未 満 の 子 あり 16 歳 未 満 の 子 なし 女 性 16 歳 未 満 の 子 あり 非 常 に 満 足 31.3 24.4 36.6 32.9 満 足 48.4 48.7 47.7 48.8 やや 不 満 15.4 20.0 13.1 14.7 不 満 5.0 6.9 2.6 3.6 週 労 働 時 間 数 については 男 女 のパートタイム 労 働 者 間 で 大 きな 差 があり 働 く 両 親 の 中 でもジェンダーのギャップが 大 きいことが 分 かる 男 性 のパートタイム 労 働 者 は 一 般 的 に 少 ないが 図 表 3-18が 示 すように パートタ イム 労 働 者 の 中 では 子 どもがいない 男 性 の 方 が 子 どものいる 男 性 より2 倍 も 多 い(9%: 4%) これとは 対 照 的 に 子 を 持 つ 女 性 はパートタイム 労 働 をしている 場 合 が 多 い これは 父 親 がフルタイムで 働 き 母 親 がパートタイムで 働 くという 1.5 人 労 働 世 帯 が 増 加 して いるというトレンドを 反 映 している - 63 -
図 表 3-18 EU27カ 国 のパートタイム 労 働 者 の 比 率 性 別 家 族 構 成 別 ( 単 位 :%) また 働 く 父 親 は 親 としての 責 任 が 高 まるとともに 週 労 働 時 間 が 延 びる 傾 向 がある 16 歳 未 満 の 子 が 二 人 いる 父 親 は 子 どものいない 父 親 に 比 べて 毎 週 2 時 間 長 く 働 いてい る( 図 表 3-19 参 照 ) ただし さらに 家 族 責 任 の 重 い( 子 どもが3 人 以 上 いる) 父 親 たち は 子 ども 二 人 の 父 親 たちに 比 べて 週 労 働 時 間 はわずかに 短 くなっている 図 表 3-19 EU27カ 国 における 家 族 構 成 と 週 労 働 時 間 ( 単 位 : 時 間 ) 働 く 母 親 は 対 照 的 で 子 どものいない 女 性 より 働 いている 時 間 が 短 いが これは 働 く 母 親 はパートタイム 労 働 を 中 心 としていることに 起 因 している フルタイムで 働 いている 女 性 の 中 では 子 どもの 数 が 増 えるほど 週 平 均 労 働 時 間 は 長 くなっている 子 どものいる 男 女 の 週 労 働 時 間 のパターンが 様 々であることは ワーク ライフ バラン スに 対 する 満 足 度 のギャップを 反 映 している 働 いている 両 親 は 男 女 ともにワーク ライ フ バランスに 対 する 満 足 度 が 低 い 傾 向 があるが パートタイム 労 働 をしている 母 親 の 満 足 - 64 -
度 は それほど 低 くない より 長 く 働 いている 父 親 たちは 社 会 が 父 親 に 求 めている 家 庭 で の 役 割 がプレッシャーとなって(あるいはまた そのような 要 求 に 応 えられないフラストレ ーションから) 彼 らのワーク ライフ バランスに 対 する 不 満 が 大 きいのだろう (3) 家 事 労 働 力 への 女 性 の 参 加 は 拡 大 しているにもかかわらず 家 庭 における 男 女 間 の 伝 統 的 な 役 割 分 担 は 変 わっていない 本 調 査 により 育 児 家 事 料 理 などの 家 庭 責 任 を 果 たしている のは 圧 倒 的 に 女 性 だということが 確 認 された 労 働 時 間 に 記 述 したように これらの 無 給 労 働 と 有 給 労 働 の 双 方 に 費 やした 時 間 を 積 算 すれば 世 間 一 般 の 通 念 は 逆 転 するのである 平 均 的 には 有 給 労 働 においては 男 性 の 方 が 女 性 より 長 く 働 いているが 有 給 労 働 と 無 給 労 働 を 併 せれば 女 性 が 最 も 長 く 働 いているのである とりわけ25 歳 ~54 歳 の 女 性 は 有 給 労 働 と 無 給 労 働 の 双 方 に 同 じぐらいの 時 間 を 捧 げているというのが 女 性 のワーク ライ フ バランスなのである 一 方 男 にとっての 労 働 は 有 給 労 働 だけに 限 定 する 傾 向 が 強 い 図 表 3-20 週 当 たりの 無 給 労 働 時 間 ( 単 位 : 時 間 ) (4) 仕 事 と 仕 事 以 外 の 時 間 当 プロジェクトは(2005 年 の 調 査 から) 仕 事 以 外 の 生 活 に 影 響 を 及 ぼす 仕 事 に 関 する 調 査 を 始 めている 回 答 者 には 自 分 の 主 要 な 有 給 労 働 において 通 常 の 勤 務 時 間 以 外 の 勤 務 契 約 が 可 能 かどうか? を 質 問 した 過 去 5 年 間 の( 固 定 電 話 携 帯 電 話 ブロードバン ドによるインターネットやEメールなどの) 高 速 度 通 信 技 術 の 発 展 により 欧 州 の 人 々の 大 半 は そのような 雇 用 契 約 を 結 ぶことが 可 能 となった また 特 定 の 労 働 者 例 えば 監 督 者 や 自 営 業 者 などは 仕 事 と 仕 事 以 外 の 境 界 が 不 鮮 明 となっている しかし 一 方 で これらの 通 信 技 術 が さらに 働 くことを 可 能 としてしまい 密 かに 労 働 時 間 を 延 長 している これは 柔 軟 性 の 影 の 部 分 である また 通 常 の 勤 務 時 間 外 の 労 働 に 対 して 反 対 せず 勤 務 時 間 外 に 長 時 間 働 く 労 働 者 が 増 えていることがわかった( 図 表 3-21) ( 部 下 を 管 理 監 督 する) 管 理 職 層 は 他 の 労 働 者 よりも 通 常 の 勤 務 時 間 以 外 の 労 働 をす る 者 が 多 く 一 般 的 に 男 性 に 多 い( 図 表 3-22) - 65 -
図 表 3-21 通 常 の 就 業 時 間 以 外 の 労 働 の 頻 度 週 平 均 労 働 時 間 別 ( 単 位 :%) 図 表 3-22 通 常 の 就 業 時 間 以 外 の 労 働 の 頻 度 職 責 別 性 別 ( 単 位 :%) (5) 働 き 方 のタイプ ワーク ライフ バランスの 認 識 に 影 響 を 与 えるもう 一 つの 要 因 は 就 業 時 間 の 定 期 性 および( 週 40 時 間 平 日 のみ 勤 務 という) 標 準 的 な 就 業 時 間 という 観 点 からの 就 業 時 間 の 在 り 方 である 定 期 的 に ( 夜 間 勤 務 週 末 勤 務 あるいは22 時 以 降 の 深 夜 勤 務 などの) 非 標 準 的 勤 務 をしている 者 の 満 足 度 は 低 い お 店 の 営 業 時 間 公 共 機 関 の 開 庁 時 間 学 校 の 授 業 時 間 などは 標 準 的 な 日 中 の 就 業 時 間 が 基 本 となっている したがって ワーク ライフ バランスの 観 点 から 最 適 な 就 業 時 間 は - 66 -
平 日 の 日 中 の 標 準 的 な 時 間 帯 である この 時 間 帯 以 外 に 定 期 的 に 働 かなくてはならない 労 働 者 は ワーク ライフ バランスの 満 足 度 が 低 い とりわけ 定 期 的 に 夜 間 勤 務 をしている 者 の 満 足 度 は 低 い( 図 表 3-23 参 照 ) 図 表 3-23 ワーク ライフ バランスに 不 満 を 感 じている 者 就 業 形 態 別 ( 単 位 :%) 継 続 的 かつ 定 期 的 な 就 業 時 間 の 場 合 は ワーク ライフ バランスに 対 する 満 足 度 が 高 く 勤 務 の 時 間 帯 が 変 る 場 合 は 満 足 度 が 低 い つまり 週 当 たりの 労 働 日 数 や 1 日 の 労 働 時 間 が 変 るよりは 週 当 たりの 労 働 日 数 と 毎 日 の 労 働 時 間 が 一 定 な 方 を 好 むということだ 一 定 の 始 業 終 業 時 刻 を 誰 もが 好 んでいる 流 動 性 や 課 された 柔 軟 性 は 働 き 方 の 定 期 性 や 予 見 性 を 損 なうので ワーク ライフ - 67 -
バランスの 観 点 からは 労 働 者 に 嫌 われている 企 業 側 は 営 業 時 間 を 延 長 したいと 望 んでい るなど 多 様 な 働 き 方 を 求 める 圧 力 があるにもかかわらず ( 平 日 労 働 で 日 中 の 週 40 時 間 労 働 標 準 的 な 勤 務 時 間 以 外 の 労 働 は 極 力 少 なくか 無 しという) 旧 態 依 然 とした 就 業 時 間 が 依 然 としてワーク ライフ バランスの 観 点 からは 望 ましいとみなされていることは 興 味 深 い 仕 事 と 仕 事 以 外 の 責 任 を 両 立 さえせるためには 柔 軟 性 より 定 期 性 の 方 が 重 要 だ と 考 えられているのである 就 業 時 間 が 流 動 的 な 労 働 者 は ワーク ライフ バランスに 対 する 満 足 度 が 低 い( 図 表 3-24 参 照 ) さらに 就 業 時 間 変 更 の 予 告 期 間 が 短 ければ 短 いほど 満 足 度 は 低 下 する そ のような 働 き 方 は 仕 事 以 外 の 時 間 の 使 い 方 を 制 限 するからであろう 集 団 的 な 始 業 終 業 時 刻 に 基 づく 就 業 時 間 管 理 は 通 常 は 古 くて 伝 統 的 な 製 造 業 で 使 用 さ れている 柔 軟 な 就 業 時 間 制 度 のメリットに 関 する 議 論 があるが 固 定 化 かつ 標 準 的 な 就 業 時 間 で 働 く 労 働 者 は 自 分 たちのワーク ライフ バランスに 対 して かなり 大 きな 満 足 度 を 示 していることは 興 味 深 い ( 例 えばフレックス 勤 務 など) 労 働 者 の 選 択 肢 を 増 やすような 柔 軟 性 については ワーク ライフ バランスの 観 点 から 支 持 する 者 が 多 い しかしながら 就 業 時 間 は 自 分 自 身 で 全 て 決 められる と 回 答 した 者 たちが 労 働 時 間 と 家 族 的 社 会 的 生 活 との 両 立 が 最 もできてい ないと 回 答 していることは 逆 説 的 である これらの 者 たちは 就 業 時 間 の 自 由 裁 量 という 点 では 最 も 力 を 持 つ グループであるが 長 時 間 労 働 などの 他 の 要 素 で 相 殺 されてしま っているのである 自 らの 就 業 時 間 を 自 由 に 決 められるはずの 自 営 業 者 は 被 雇 用 者 よりも 長 時 間 労 働 をしている これは ワーク ライフ バランスに 対 する 満 足 度 に 影 響 を 持 つの は 就 業 時 間 の 裁 量 権 ではなく 総 労 働 時 間 だという 主 張 を 裏 付 けている 図 表 3-24 就 業 時 間 変 更 の 通 知 時 期 によるワーク ライフ バランスの 満 足 度 ( 単 位 :%) - 68 -
JILPT 資 料 シリーズ No. 41 欧 州 における 働 き 方 の 多 様 化 と 労 働 時 間 に 関 する 調 査 発 行 年 月 日 2008 年 5 月 31 日 編 集 発 行 独 立 行 政 法 人 労 働 政 策 研 究 研 修 機 構 177-8502 東 京 都 練 馬 区 上 石 神 井 4-8-23 ( 編 集 ) 国 際 研 究 部 TEL:03-5903-6321 印 刷 製 本 株 式 会 社 相 模 プリント C2008 JILPT * 資 料 シリーズ 全 文 はホームページで 提 供 しております (URL:http://www.jil.go.jp/)