1/5 計 測 自 動 制 御 学 会 東 北 支 部 第 271 回 研 究 会 (2021.3.9) 資 料 番 号 271-6 無 段 変 速 機 用 四 節 リンク 機 構 の 運 動 解 析 Movement analysis of four linkage mechanism for CVT 佐 藤 悠 貴 * * *, 高 橋 泰 輔, 湯 川 俊 浩 Y.Sato *,T.takahashi *,T.Yukawa * * 岩 手 大 学 工 学 部 機 械 システム 工 学 科 Department of Mechanical Engineering,Faculy of Engineering,Iwate University キーワード: 無 段 変 速 機 (Continuously Variable Transmission), 四 節 リンク 機 構 (Four Linkage mechanism), てこ クランク 機 構 (Lever-Crank Mechanism) 連 絡 先 : 019-621-6403,FAX:019-621-6403,E-mail:yukawat@iwate-u.ac.jp 1. 緒 言 自 動 車 の 変 速 機 の 一 種,CVT( 無 段 変 速 機 : Continuously Variable Transmission)は MT や AT と 異 な り 無 段 階 に 変 速 が 可 能 であることから 理 論 上 効 率 のよ い 変 速 機 とされている.しかし, 現 在 のベルト 式 CVT と いった 形 式 の CVT は 歯 車 を 用 いない 摩 擦 伝 動 方 式 であ るため, 動 力 損 失, 磨 耗, 騒 音 などが 生 じたり, 高 ト ルクの 制 御 が 難 しいといった 問 題 がある. そこで, 本 論 文 では, 大 排 気 量 車 や 大 型 船 舶 1) などの ようなの 高 トルク 負 荷 のかかる 状 態 での 無 段 変 速 を 実 現 するための, 摩 擦 伝 動 方 式 を 用 いない 無 段 変 速 機 と して, 四 節 リンク 機 構 を 用 いた CVT( 以 下,L-CVT とする)を 開 発 している 2-5). 本 論 文 では,CVT に 用 いるための 四 節 リンク 機 構 について 解 析 を 行 い, 無 段 変 速 を 実 現 するためのリンク 伸 縮 制 御 法 について 考 察 する. 2.CVTの 特 徴 現 在 主 流 となっている CVT はベルト 式 CVTである 6). ベルト 式 CVTの 長 所 は 主 に 以 下 の 二 つである.ⅰ) 減 速 比 の 連 続 可 変 が 可 能 であり,エンジン 効 率 の 良 い 回 転 域 のみで 運 転 でき, 特 に 減 速 比 の 変 化 が 大 きい 停 止 発 進 を 繰 り 返 す 市 街 地 走 行 などに 適 していること. ⅱ) 有 段 変 速 機 に 存 在 するような 変 速 時 のクラッチを 繋 ぐ 際 の 衝 撃 がないことである. ベルト 式 CVT の 短 所 は 主 につぎの 二 つである.ⅰ) プーリーとベルトの 摩 擦 力 によって 動 力 が 伝 達 される 摩 擦 伝 動 方 式 であるため, 許 容 トルクが 低 く, 大 トル クが 発 生 する 大 排 気 量 車 やターボ 車,4WD 車 には 採 用 が 難 しいこと.ⅱ)ベルトとプーリー 間 のスリップに よる 伝 達 ロス, 油 圧 機 構 のロスなどにより, 伝 達 効 率 が 低 いことである. 3.L-CVTの 基 本 構 造 本 論 文 で 提 案 するL-CVTの 概 略 図 を 図 1に 示 す.L-CVT は, 二 つの 四 節 リンク 機 構 と 呼 ばれる 機 構 abcd,a b c d によって 構 成 されている.エンジン 側 から 回 転 運 動 が Oneway clutch 直 接 入 力 される 入 力 軸 は O で, 最 終 的 に 車 輪 軸 側 へ 動 力 を 伝 達 する 出 力 軸 は O である. 入 出 力 軸 で 得 られ る 入 力 角 度, 出 力 角 度 φより, 回 転 数 ( 角 速 度 )ま たは 入 出 力 トルクの 比 を 取 ることで,L-CVTの 系 全 体 の 減 速 比 が 決 定 される. 四 節 リンク 機 構 とは, 歯 車 などと 同 様 に 運 動 を 伝 達 するためなどに 用 いられる 機 構 である. 四 節 リンク 機 構 は, 四 つのリンクと, 各 リンク 同 士 を 連 結 する 回 り 対 偶 によって 構 成 されている. 四 つのリンク a,b,c そ して d は, 各 々の 役 割 によってa: 固 定 リンク,b: 入 力 リンク,c: 連 結 リンク,d: 出 力 リンクと 呼 ばれる. 本 研 究 では, 四 節 リンク 機 構 の 中 でも 特 に, 四 つのリ ンク 長 さの 条 件 により 限 定 された,てこ クランク 機 構 ( 早 戻 り 機 構 )と 呼 ばれる 機 構 を 用 いる.てこ ク ランク 機 構 の 特 徴 は, 入 力 軸 O の 回 転 によって 入 力 リ ンク bが 完 全 に 回 転 するのに 対 して, 出 力 リンク d は 揺 動 することである. てこ クランク 機 構 は, 各 リンク 長 さを 連 続 的 に 変 化 させることで, 出 力 リンク d の 揺 動 角 速 度 が 変 化 し, それに 伴 って 減 速 比 も 変 化 する. 本 研 究 では 特 に, 連 結 リンク c の 伸 縮 によって 出 力 リンク d の 揺 動 を 等 角 速 度 に 制 御 し, 入 力 リンク b の 伸 縮 によって 出 力 リン ク d の 揺 動 速 度 を 増 減 させることで 連 続 的 な 変 速 ( 無 段 変 速 )を 目 指 している. 出 力 リンク d は 往 復 運 動 をすることから, 復 路 にお いて 逆 回 転 の 出 力 を 伝 達 してしまう.ここで,ワンウ ェイクラッチ 機 構 を 出 力 軸 部 に 搭 載 することで, 逆 回 転 時 の 出 力 を 空 転 させ, 順 回 転 する 往 路 のみを 出 力 す る 方 式 を 取 っている.L-CVT に 四 節 リンク 機 構 を 対 称 的 に 二 つ 配 置 したのは, 各 リンク 機 構 の 空 転 時 の 出 力 を, 互 いの 順 回 転 時 の 出 力 で 補 完 し 合 うためである. L-CVT はベルト 式 CVT と 異 なり, 摩 擦 伝 動 方 式 では ないことから, 伝 達 効 率 の 改 善, 許 容 トルクの 向 上 な どが 期 待 できると 考 えられる. 4. 四 節 リンク 機 構 の 成 立 条 件 / 角 度 / 力 / 減 速 比 4 1.てこ クランク 機 構 の 成 立 条 件 四 節 リンク 機 構 は 入 力 リンクと 出 力 リンクの 運 動 に よって,てこ てこ 機 構,てこ クランク 機 構,クラ ンク クランク 機 構 の 三 つに 大 別 される.この 三 つの 機 構 は 各 リンク 長 さの 条 件 による. 本 論 文 では,この 中 のてこ クランク 機 構 についての 成 立 条 件 を 以 下 に 示 す. てこ クランク 機 構 であるためには, 最 短 リンクが 他 のリンクに 対 して 完 全 に 回 転 できればよい.すなわ ち, 最 短 リンクと 他 の 一 つのリンクの 和 は 残 りの 二 つ のリンクの 和 より 常 に 小 さいことが 必 要 条 件 となる. 回 転 するリンクは 入 力 リンク b であることから,リン Fig. 1 The fundamental mechanism of L-CVT
2/5 ク b を 最 短 リンクとして 以 下 の 不 等 式 が 成 立 条 件 とな る. b a c d (1) b c a d (2) b d a c (3) この 三 つの 不 等 式 は, 四 つのリンクの 中 で 最 長 リ ンク 長 さを L M とおくと 一 つの 不 等 式 で 表 すこと ができる 7). b LM a c d L M (4) (4) 式 より, 最 短 リンク b の 上 限 値 bmax が 得 られる. bmax a c d 2L M (5) 4 2. 四 つのリンクがなす 角 度 てこ クランク 機 構 において, 図 2のように 四 つのリ ンクがなす 角 度, ',, ' を 定 義 する.また, 四 節 リンク 機 構 の 入 力 リンク b と 連 結 リンク c が 直 線 をなすときのリンク 配 置 を 死 点 とよび,てこ クラン ク 機 構 においては, ' が 最 大 と 最 小 の 値 をとるとき の 二 つの 死 点 が 存 在 する. ' が 最 大 値 をとるときの を 1, 最 小 値 をとるときの を 2 とする. 1,2 の とき,( 死 点 のとき) 出 力 リンクdの 往 復 が 切 り 替 わる. 以 下, 出 力 リンク d の 運 動 の 様 子 から 便 宜 的 に, 1 2 のときを 往 路, 0 1 または2 2 のときを 復 路 と 呼 ぶことにする. 四 節 リンク 機 構 は, 自 由 度 が1であることから, 四 つのリンク 長 さと 一 つの 角 度 が 決 まれば, 機 構 全 体 の リンク 配 置 は 決 定 される.したがって, 四 つのリンク 長 さ a,b,c,d と 入 力 角 度 によって, 残 りの 三 つの 角 度 ',, ' を 決 定 できる. ',, ' は 余 弦 定 理 を 用 いて 以 下 のように 表 すことができる 2 2 L a b 2abcos (6) 2 2 2 1 a b L 1 = cos 2aL (7) 2 2 2 1 d c L 2 = cos 2dL (8) 2 2 2 1 b a L 1 = cos 2bL (9) 2 2 2 1 c d L 2 = cos 2cL (10) 2 2 2 1 a c b d cos 2 (11) 2a( c b) ' 1 2 ( 0 ) (12) ' 2 2 1 ( 2 ) (13) ' 2 1 2 ( 2 2 ) (14) 2 2 2 2 1 c d a b ab cos cos (15) 2cd cd ' ( 0 ) (16) ' 1 2 1 2 ( 2 ) (17) 4 3. 入 出 力 リンクにかかる 力 てこ クランク 機 構 において, 図 3に 示 すように, 連 結 リンク c を 介 して 入 力 リンク b から 出 力 リンク d へ 伝 達 される 力 の 関 係 について 考 える. 入 力 リンク d が 連 結 リンク c に 伝 達 する 力 を F i ( F i は 常 に 入 力 リンク b に 対 して 直 交 している), 連 結 リンク c にかかる 内 力 を f ( 図 のような 向 きを 正 とする), 最 終 的 に 出 力 リ ンク d に 伝 達 される 力 を Fo( Fo は 常 に 出 力 リンク d に 対 して 直 交 している)とする. 連 結 リンク c にかかる 内 力 f の 中 の, 入 力 Fi と 対 抗 する 方 向 の 成 分 が, 入 力 Fi とつりあっていると 考 えると,(18) 式 が 成 り 立 つ. F i F f i sin ' (18) cos ' 2 連 結 リンクcによって 伝 達 された 内 力 のうち, 出 力 リン ク dに 垂 直 な 方 向 の 成 分 が 最 終 的 な 出 力 と 考 えると, Fo につい て(19) 式 が 成 り 立 つ. F o f cos f sin (19) 2 これらの 力 の 関 係 式 は, 0 ' 2, 0 max の 全 範 囲 で 常 に 成 り 立 つ. 4 4. 減 速 比 てこ クランク 機 構 における 減 速 比 は 入 出 力 におけ るトルク,または 角 速 度 の 比 の 二 通 りで 表 すことがで きる. 減 速 比 をRとして,まず 入 出 力 トルクについて 考 える. 入 出 力 トルクをそれぞれ T i, T o とおくと, 減 速 比 R は (20) 式 のように 表 せる. T df d sin R o o (20) T bf bsin ' i i つぎに 入 出 力 角 速 度 をそれぞれ i, o とおくと, 減 速 比 R は(21) 式 のようにも 表 現 できる. Fig. 2 Angle relationships in the lever crank mechanism Fig. 3 Force relationships in the lever crank mechanism
3/5 R i (21) o この 式 は, 各 リンク 長 さや 入 力 角 速 度 が 未 知 でも, 入 出 力 角 速 度 の 計 測 が 可 能 であれば 減 速 比 Rを 求 めるこ とができることを 示 している. 5.てこ クランク 機 構 の 運 動 解 析 5 1. 減 速 比 と 入 力 角 度 の 関 係 てこ クランク 機 構 のリンク 長 さと 減 速 比 との 関 係 を 調 べる.ここではまず 減 速 比 に 与 える 影 響 を 見 る 前 にリンク 長 さを 固 定 したときの 減 速 比 R と 入 力 角 度 の 関 係 について 考 察 する. とR の 関 係 を 図 4に 示 す (MATLABを 用 いた). R は 周 期 関 数 であるが,グラフ では 一 周 期 分 のみ 描 いた. 各 リンク 長 さは, a 1, b 0.4,c 0.8,d 1の 値 をとった. このグラフから 読 み 取 れたことは 以 下 の 三 つである. 一 つ 目 は, 1, 2 において, 減 速 比 は 正 または 負 の 無 限 大 に 発 散 し,その 付 近 の 減 速 比 の 変 化 率 が 激 しいことである. 減 速 比 が 無 限 大 になるのは,(21) 式 より, o がゼロの 点,すなわち 出 力 リンク d の 往 復 が 切 り 替 わる 点 で, 減 速 比 が 無 限 大 になることがわかる. 二 つ 目 は1 2 の 範 囲 ( 往 路 )で 減 速 比 は 下 に 凸 かつ 常 に 正 の 曲 線 を 描 き,その 範 囲 の 外 ( 復 路 )では 上 に 凸 かつ 常 に 負 の 曲 線 を 描 くことである. 三 つ 目 は, における 往 路 ( 1 2 )と 復 路 ( 0 1 と 2 2 )の 大 きさは 等 しくないこと である.したがって, 分 割 された 二 つの 範 囲 で 描 かれ る 正 と 負 の 二 つの 曲 線 は 対 称 なものではなく, 異 なっ た 曲 線 であると 考 えられる.ゆえに, 往 路 と 復 路 での 時 間 の 長 さや 出 力 リンクの 挙 動 は 異 なる.これがて こ クランク 機 構 が 早 戻 り 機 構 と 呼 ばれる 理 由 で ある. 5 2. 入 力 リンクの 伸 縮 が 減 速 比 に 与 える 影 響 つぎに 入 力 リンク 長 さ b の 伸 縮 が 減 速 比 Rにどのよう に 影 響 を 与 えるかをみるために, 入 力 角 度 と 入 力 リ ンク 長 さbによって 決 まる 減 速 比 R(,b)について 三 次 元 のグラフを 描 いた. 描 いたグラフのうち, 斜 め 上, 正 面 (b 軸 方 向 視 点 ), 上 面 (R 軸 方 向 視 点 )から 見 た 図 を 図 5 に 示 す.リンク b 長 さ 以 外 は 値 を 固 定 し,a=1, c=0.8,d=1 とし,リンク b の 長 さは,てこ クランク 機 構 の 成 立 条 件 を 常 に 満 たすような 範 囲,0から bmax 0.8 の 間 で 値 を 変 化 させた. この 三 次 元 のグラフの,b=0.4( 正 確 には b=0.39~0.41 の 領 域 )における 断 面 図 を 図 6に 示 す.この 断 面 図 が 図 4とほぼ 一 致 していることから,この 三 次 元 グラフは, 図 4の R- グラフにおいて 長 さbを 変 化 させて 得 られた -b-r グラフであることがわかる. -b-r グラフからわかることは 以 下 の 三 つである. 一 つ 目 は,リンク 長 さ b がゼロに 近 づくに 従 って 減 速 比 R は 正 または 負 の 無 限 大 へ 発 散 することである. これは b の 減 少 に 伴 って 出 力 リンクd の 揺 動 角 速 度 o が 減 少 していることを 示 している. 二 つ 目 はリンク 長 さ b の 増 加 に 伴 って 往 路 ( 1 2 )の 領 域 が 増 加 していることである.これ は,b の 増 加 に 伴 って 往 路 時 間 が 増 加 していることを 示 している. 三 つ 目 は, 往 路 ( 1 2 )において 減 速 比 R はリ ンク 長 さ b の 増 加 とともに 曲 線 的 に 単 調 減 少 していく 領 域 ( 図 7)と, 双 曲 線 的 に 減 少 から 増 加 へ 転 じる 領 域 ( 図 8)が 存 在 することである.したがって, 往 路 にお いて,リンク b を 増 加 させれば 必 ずしも 減 速 比 が 減 少 するとは 限 らない. 5 3. 出 力 角 速 度 等 速 化 のための 連 結 リンク 伸 縮 制 御 出 力 角 速 度 を 一 定 にするため( 入 力 角 度 によらず 一 定 の 減 速 比 を 得 るため)に, 連 結 リンク c の 長 さをど のように 制 御 すればよいかを 考 える. 復 路 ( 0 1, 2 2 )は 空 転 するので 考 慮 せず, 往 路 ( 1 2 )についてのみ 考 える.まず, 目 標 とする 減 速 比 R があるとする. 入 力 角 度 が 一 定 の 割 合 で 増 加 している とき, によらず 一 定 な 減 速 比 R を 得 るた めには, 出 力 角 度 φ が, の 増 加 量 の 1/R の 割 合 で 変 化 すればよいと 考 えられる.いいかえれば, で 微 分 した 値 が1/Rとなればよい.したがって, 減 速 比 Rを 得 るためには, 出 力 角 度 φ が 以 下 の 等 式 を 満 たせばよい. ただし 1,φ の 最 小 値 min を 決 定 するために c の 初 期 値 c 0 を 決 める 必 要 がある. R c 1,, 0 min ( 1 2 ) (22) R 出 力 角 度 φが(22) 式 を 満 たすとき 減 速 比 が によらず 一 定 となることを 図 9に 示 す( 図 9では R=1.5 として 制 御 した). 出 力 角 度 φがこの 等 式 を 満 たしている 状 態 の 入 力 リン ク 先 端 と, 出 力 リンク 先 端 間 の 距 離 を 求 めれば, 出 力 角 速 度 を 等 角 速 度 に 制 御 するためのリンクc 長 さの 条 件 式 が 得 られる. 三 平 方 の 定 理 を 用 いて, 入 力 角 度, 減 速 比 R, 初 期 長 さ c 0 についての c は 以 下 のように 表 せる. c, R, c a d cos bcos 2 d sin b 2 0 sin (23) Fig. 4 The relationship between the input angle and the reduction ratio
4/5 (a) Overall view Fig. 6 The cross section in case of b=0.4 (b) Front view Fig. 7 The cross section in case of θ=2.6[rad] Fig. 5 (c) Top view The relationship between the input angle and the length of link b and the reduction ratio Fig. 8 The cross section in case of θ=3.8[rad]
5/5 各 リンク 長 さを a=1,b=0.4, c 0 =0.8,d=1 として -R-c グラフを 描 いたものを 図 10 に 示 す.( 往 路 1 2 のみ) このグラフから 読 み 取 れることは 以 下 の 三 つである. 一 つ 目 は 減 速 比 R が 0~2 付 近 の 低 減 速 比 域 において, 大 きく 谷 となっている 部 分 を 境 に,リンク 長 さ c の 変 動 が 激 しくなっており, 逆 にそれ 以 上 の 高 減 速 比 域 に おいては 比 較 的 リンク 長 さcの 変 動 は 小 さいことであ る. 二 つ 目 は, 目 標 の 減 速 比 Rを 増 加 させていくと c が ほぼ 同 じ 波 形 に 近 づいていくことである.これは, 減 速 比 を 大 きくするほど 出 力 リンク d の 出 力 角 速 度 o が 減 少 し, 最 終 的 にほぼ 揺 動 せずに 初 期 位 置 min に 静 止 させるようなリンク c の 制 御 状 態 に 収 束 するからだと 考 えられる. 三 つ 目 は,ある 減 速 比 R の 値 を 得 るために,こ のグラフの 通 りに 連 結 リンク c を 伸 縮 できれば, 無 段 階 変 速 が 実 現 することである.つまりリンク c の 伸 縮 のみで 無 段 階 変 速 が 達 成 できる. 6. 解 析 結 果 をふまえたL-CVTの 制 御 法 についての 考 察 解 析 で 得 た 結 果 を 元 に,CVT として 利 用 するための 四 節 リンク 機 構 のリンク 長 さの 制 御 法 について 考 察 す る.まず, 従 来 の 制 御 コンセプトの 一 つである 入 力 リンク b 伸 縮 による 変 速 については,リンク b の 伸 縮 が 直 接 減 速 比 の 減 増 に 対 応 していない 領 域 が 存 在 しており, 変 速 方 法 の 見 直 しが 必 要 だと 考 えられる. つぎに, 連 結 リンク c 伸 縮 による 出 力 の 等 速 制 御 については(22) 式,(23) 式 のようなリンク 長 さ c を 制 御 可 能 であれば,リンクcの 伸 縮 のみで 出 力 角 速 度 を 等 速 に 制 御 しながら, 無 段 変 速 が 可 能 であると 考 えら れ,これは CVT として 必 要 な 機 能 を 満 たしていると 考 えられる.ただし, 低 減 速 比 域 では c の 伸 縮 域 が 増 大 Fig. 9 The response of reduction ratio when output angle is controlled (R=1.5) Fig. 10 The relationship between the input angle and the reduction ratio and the length of link c し, 制 御 が 困 難 であることと,リンクの 伸 縮 に 大 き くエネルギーを 消 費 してしまうと 考 えられる.それを 解 決 する 方 法 として,リンクc 長 さが 比 較 的 安 定 してい る 高 減 速 比 域 でリンク c を 制 御 した 上 で, 出 力 部 に 固 定 減 速 比 の 減 速 機 を 取 り 付 け, 目 標 値 R=0.427~2.561 8) における 無 段 階 変 速 を 達 成 する,という 方 法 なども 今 後 検 討 する. 7. 結 言 本 研 究 では, 四 節 リンク 機 構 (てこ クランク 機 構 ) を 無 段 変 速 機 として 利 用 するために, 入 力 角 度,リ ンク 長,cと 減 速 比 R との 関 係 性 を 考 察 し, 無 段 変 速 を 実 現 する 連 結 リンク 長 さ c の 制 御 式 を 示 した. 謝 辞 本 研 究 は 造 船 学 術 研 究 推 進 機 構 ( 平 成 22 年 度 ~ 平 成 23 年 度 )の 助 成 を 受 けて 実 施 されたものである. 参 考 文 献 1) 瀧 澤 宗 人 : 船 舶 を 変 えた 先 端 技 術, 交 通 研 究 協 会, 初 版 1995,ISBN4-425-77051-X 2) 湯 川 俊 浩 : 四 節 リンク 機 構 を 用 いた 無 段 変 速 機 の 検 討, 日 本 機 械 学 会, ロボティクスメカトロニクス 講 演 会 2008, 2P1A21, 2008.06. 3) 熊 田 哲 也, 湯 川 俊 浩 : 四 節 リンク 機 構 を 用 いた 無 段 変 速 機 のシミュレーション, 計 測 自 動 制 御 学 会, 計 測 自 動 車 学 会 東 北 支 部 45 周 年 記 念 学 術 講 演 会,2009. 4) Toshihiro Yukawa,Tetsuya Kumada,Goro Obinata: Continuously Variable Transmission Using Quadric Crank Chains,2010IEEE INDIN,10431048,2010. 5) 熊 田 哲 也, 湯 川 俊 浩 : 四 節 リンク 機 構 を 用 いた 無 段 変 速 機 のシミュレーション, 計 測 自 動 制 御 学 会, 計 測 自 動 車 学 会 東 北 支 部 45 周 年 記 念 学 術 講 演 会,2009. 6) 守 本 佳 朗 : 無 段 変 速 機 CVT 入 門,グランプリ 出 版, 第 2 刷 2005,ISBN4-87687-264-3 7) 木 村 南 : 動 画 で 学 ぶ 機 構 学 入 門, 日 刊 工 業 新 聞 社, ISBN4-526-05341-4 8) NOTE 諸 元 表, 日 産 自 動 車 株 式 会 社, http://www.nissan.co.jp/note/e11/0801/xml/eq4isr00 00037v5j.html