象 を 見 た 直 後 に 感 想 を 聞 く な ど 事 象 提 示 に 関 す る 手 立 て が 多 く 挙 げ ら れ た り し た も の の, 仮 説 の 設 定 に つ な が る 事 象 の 見 方 や 考 え 方 な ど, 思 考 を 支 援 す る 指 導 法 に 直 結 す



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Transcription:

第 4 章 仮 説 設 定 の 指 導 方 略 (4 QS) 開 発 物 語 は じ め に - The Four Question Strategy と の 出 会 い - 筆 者 は 平 成 14 年 4 月 に 上 越 教 育 大 学 へ 赴 任 し た 学 部 修 士 の 学 生 を 受 け 入 れ 始 め た の は 翌 年 の 平 成 15 年 度 か ら で あ る こ の 年 に 受 け 入 れ た 修 士 課 程 の 学 生 の 中 に 長 野 県 教 育 委 員 会 か ら 派 遣 さ れ た 中 学 校 理 科 教 員 の I 氏 が い た I 氏 が 希 望 し た 研 究 テ ー マ は, 理 科 に お け る 問 題 解 決 の 能 力 育 成 の 指 導 法 に 関 す る も の で あ っ た こ の テ ー マ は, 筆 者 に と っ て も ラ イ フ ワ ー ク で あ り, 思 い が 一 致 し た 当 時 の 教 育 課 程 の 根 拠 と な っ て い た 学 習 指 導 要 領 ( 平 成 11 年 9 月 に 告 示 )に は, 生 徒 が 自 ら 問 題 を 見 い だ し 解 決 す る 観 察, 実 験 な ど を 一 層 重 視 し, 自 然 を 探 究 す る 能 力 や 態 度 を 育 成 す る と 記 さ れ て い た ま た, 目 的 意 識 を も っ た 観 察, 実 験 を 行 う と も 記 さ れ て い た こ と か ら, I 氏 の 研 究 の ポ イ ン ト は, 探 究 の 過 程 の 初 発 の 段 階 で あ る, 仮 説 設 定 の た め の 思 考 を 支 援 す る 指 導 法 を 確 立 す る こ と で あ る と 考 え た I 氏 の 研 究 の 方 向 性 は 決 ま っ た 彼 は 中 学 校 の 理 科 教 員 を 対 象 に, 授 業 に 関 す る 質 問 紙 調 査 を 行 い, そ の 結 果 か ら 探 究 的 な 理 科 授 業 を 実 践 し て い る と 判 断 し た 約 10 名 の 理 科 教 員 に 対 し て, 仮 説 の 設 定 を ど の よ う な 手 立 て で 指 導 し て い る の か に つ い て, 聞 き 取 り 調 査 を 行 っ た そ の 結 果, 班 で 相 談 さ せ る な ど の 指 導 形 態 を 挙 げ た り, 事 図 1 Science Experiments and Project for Student( Kendall / Hunt Publishing Company, 2000) - 1 -

象 を 見 た 直 後 に 感 想 を 聞 く な ど 事 象 提 示 に 関 す る 手 立 て が 多 く 挙 げ ら れ た り し た も の の, 仮 説 の 設 定 に つ な が る 事 象 の 見 方 や 考 え 方 な ど, 思 考 を 支 援 す る 指 導 法 に 直 結 す る 情 報 は 得 ら れ な か っ た 実 の と こ ろ I 氏 と 筆 者 は, 聞 き 取 り 調 査 を 行 い, そ こ か ら 得 ら れ た 知 見 を 集 約 し て 帰 納 す れ ば, 生 徒 自 ら に 仮 説 を 設 定 さ せ る 指 導 の 手 立 て が 浮 き 彫 り に な る と, た か を く く っ て い た の で あ る 研 究 は 行 き 詰 ま っ て し ま っ た I 氏 は も ち ろ ん 指 導 教 員 で あ る 筆 者 も 困 り 果 て, 手 元 に あ る ア メ リ カ 合 衆 国 で 出 版 さ れ て い る, 理 科 指 導 に 関 す る 図 書 を 手 当 た り 次 第 に 当 た っ て み た 何 冊 目 か に, Cothron, j. h.ら の Science Experiments and Projects for Students を 手 に 取 り 頁 を め く っ て い る と, 22 頁 か ら 23 頁 に か け て The Four Question Strategy と い う 見 出 し に 目 が と ま っ た 斜 め 読 み を し て み て, 筆 者 は こ の 方 略 を 取 り 入 れ た 指 導 の 効 果 を 検 証 し, 仮 説 を 設 定 さ せ る 指 導 法 と し て 具 体 化 で き れ ば, 画 期 的 な 提 案 に な る の で は な い か と 直 観 し た I 氏 は 早 速 The Four Question Strategy を 翻 訳 し て, ほ ぼ オ リ ジ ナ ル 通 り の ワ ー ク シ ー ト を 作 成 し, 音 の 単 元 で 検 証 の た め の 実 践 を 行 っ た し か し, 有 効 で あ ろ う と い う 程 度 の 結 果 し か 得 ら れ な か っ た こ こ ま で が, The Four Question Strategy の 研 究 を 始 め る に 至 っ た 物 語 で あ る な お, 筆 者 は こ の 指 導 方 略 を Cothron, j. h.ら に 敬 意 を 表 し て, 頭 文 字 を と り 4 Q S ( フ ォ ー ク ス ) と 命 名 し て い る 第 1 節 引 き 継 が れ た 4 Q S の ワ ー ク シ ー ト 開 発 I 氏 の 研 究 を 引 き 継 い だ の は, 平 成 16 年 度 に 千 葉 県 教 育 委 員 会 か ら 派 遣 さ れ た 高 等 学 校 で 生 物 を 教 え て い る O 氏 で あ る 筆 者 は O 氏 と と も に,オ リ ジ ナ ル の The Four Question Strategy を 翻 訳 し 直 し た オ リ ジ ナ ル は, STEP1 か ら STEP 4 ま で の 順 序 性 の あ る フ ロ ー で 示 さ れ て い る そ の 流 れ は, STEP1 変 化 さ せ る 要 因 を 見 つ け る, STEP 2 変 化 さ せ る 要 因 に と も な っ て 変 化 す る こ と を 見 つ け る, STEP 3 変 化 さ せ る 要 因 を 細 か く 設 定 す る, STEP 4 変 化 さ せ る 要 因 に と も な っ て 変 化 す る こ と を 数 量 化 す る と な っ て い る 翻 訳 に あ た っ て は, 日 本 語 と し て 違 和 感 の な い よ う に 配 慮 し た そ の よ う に し て 作 成 し た ワ ー ク シ ー ト が 図 2 で あ る 後 で 分 か っ た こ と で あ る が, こ の ワ ー ク シ ー ト の 問 題 点 は, STEP1 で 独 立 変 数 を 考 え さ せ る こ と に な っ て い る 点 で あ り, こ れ が 高 校 生 や 学 部 生 の 思 考 を 混 乱 さ せ る 原 因 と な っ て い た O 氏 は 高 校 生 用 に 同 じ フ ォ ー マ ッ ト で ワ ー ク シ ー ト を 作 成 し, プ ラ ナ リ ア の 再 生 の 実 験 で 用 い て, そ の 効 果 の 検 証 を 行 っ た そ の 結 果, STEP 2 変 化 さ せ る 要 因 に と も な っ て 変 化 す る こ と を 理 解 さ せ る こ と が 難 し い と い う 問 題 点 が 浮 き 彫 り に な っ た O 氏 は ワ ー ク シ ー ト か ら 従 属 変 数 を 考 え る STEP 2 を 削 除 す る こ と で, 理 解 が 深 ま っ - 2 -

た と い う 結 論 を 得 た し か し, こ れ は 特 に 変 数 を 明 確 に 意 識 し て い な く て も 観 察 や 実 験 を 行 っ た り 考 察 し た り で き る 傾 向 の あ る 生 物 の 授 業 で あ っ た こ と に よ る も の と 考 え ら れ る も し も, 変 数 ぬ き で は 語 れ な い 物 理 で あ っ た な ら, STEP 2 の 削 除 に よ り 生 徒 は さ ら に 混 乱 を 深 め た か も し れ な い ワ ー ク シ ー ト か ら 従 属 変 数 を 考 え る STEP 2 を 削 除 し た こ と は, 極 め て 重 要 な 示 唆 を 与 え て く れ た つ ま り, 自 然 の 事 象 を 因 果 関 係 を 前 提 と し て 捉 え る と い う 見 方 考 え 方 は, 理 科 に お い て 重 要 で あ る が, STEP 2 の 削 除 に よ り そ の 視 点 が 失 わ れ る こ と を 図 2 開 発 初 期 の 4 Q S に 基 づ く ワ ー ク シ ー ト 教 え て く れ た 生 物 の 観 察 実 験 に お い て は 因 果 関 係 を 前 提 に し な く て も 取 り 組 め る も の も あ る そ の よ う な 教 科 の 特 性 が 大 切 な こ と を 教 え て く れ た こ れ も, 実 践 を 通 し て 検 証 を 試 み た 大 き な 成 果 で あ り, 決 し て 失 敗 で は な か っ た こ と を 明 言 し て お く 一 方 筆 者 も 教 員 養 成 大 学 の 学 部 3 年 生 を 対 象 に, 同 様 の ワ ー ク シ ー ト を 用 い て, そ の 有 効 性 の 検 討 を 行 っ た し か し, 高 校 生 と 同 様 に 芳 し い も の で は な か っ た 問 題 点 は 二 つ あ り, 一 つ は STEP1 か ら STEP 4 ま で の 順 序 性 の あ る フ ロ ー が 思 考 の 柔 軟 性 を 妨 げ て い る こ と で あ っ た も う 一 つ は, STEP1 で 独 立 変 数 を 考 え, 次 の STEP 2 で 従 属 変 数 を 考 え る と い う 順 序 に 関 し て で あ る つ ま り, 変 化 さ せ る 要 因 を 見 つ け る ( 独 立 変 数 )を 考 え る た め に は, 何 が 変 化 し て い る の か ( 従 属 変 数 )を 明 確 に し て お く 必 要 が あ る 従 属 変 数 を 明 確 に せ ず し て, 独 立 変 数 の 発 想 は あ り え な い 筆 者 の 実 践 に お い て も, O 氏 の 高 校 生 を 対 象 と し た 授 業 と 同 様 の 問 題 点 が 浮 き 彫 り に な っ た - 3 -

O 氏 の 研 究 は, さ ら に 平 成 17 年 度 に 長 崎 県 教 育 委 員 会 か ら 派 遣 さ れ た, 高 等 学 校 で 生 物 を 教 え て い る N 氏 に 引 き 継 が れ た O 氏 の 研 究 や 筆 者 の 実 践 か ら, 図 2 に 示 し た 4 Q S の ワ ー ク シ ー ト の 問 題 点 は, STEP1 か ら STEP 4 ま で の フ ロ ー, 特 に 独 立 変 数 を 先 に 考 え, 次 に 従 属 変 数 を 考 え る と い う 順 序 性 に あ る こ と が 示 唆 さ れ た 古 来, 日 本 人 は 季 節 と と も に 移 ろ い 変 化 す る 自 然 の 事 象 に 目 を 向 け て き た 我 々 に は, ま ず 変 化 す る こ と を 先 に 考 え, そ の 次 に 何 が 原 因 か を 考 え る 方 が 自 然 な こ と の よ う に 私 の 疑 問 ( 課 題 ): STEP1 数 で 表 すには どのようにした らよいだろう? STEP4 私 の 仮 説 思 いつくだけ 仮 説 を 立 ててみよう 思 わ れ た そ こ で,N 氏 に 声 を か け, 実 験 室 の 黒 板 に STEP1 か ら STEP 4 ま で を 構 造 化 し た 案 を 板 書 し な が ら 説 明 し, 議 論 を 行 っ た そ の 議 論 STEP2 STEP1に 影 響 を 与 えて いる 要 因 としてどんなこと が 考 えられるだろうか? それぞれの 要 因 をどのように 変 化 させれば STEP1との 関 わりを 確 かめ られるだろう? STEP3 関 連 さ せ て を 踏 ま え て 出 来 あ が っ た ワ ー ク シ ー ト が 氏 名 ( ) 図 2 で あ る 4 Q S 図 3 最 終 的 に 完 成 し た 4 Q S の 考 え 方 に 基 づ く ワ ー ク シ ー ト ワ ー ク シ ー ト が 完 成 し た 瞬 間 で あ る ( 図 3 ) 第 2 節 構 造 化 し た 4 Q S ワ ー ク シ ー ト の 概 要 The Four Question Strategy は, 直 線 的 な 順 序 性 の あ る 4 段 階 の 問 い に つ い て グ ル ー プ で 討 論 し な が ら 独 立 変 数 と 従 属 変 数 を 洗 い 出 し た り, そ れ ぞ れ の 変 数 を ど の よ う に 測 定 す る の か 等 に つ い て 討 論 し な が ら 仮 説 を 設 定 し た り す る ブ レ ー ン ス ト ー ミ ン グ で あ る 4 Q S ワ ー ク シ ー ト は, そ の 理 念 を 大 切 に し つ つ も オ リ ジ ナ ル で 示 さ れ て い る 直 線 的 で 順 序 性 の あ る 4 つ の 問 い を 構 造 化 す る と と も に, 従 属 変 数 を 先 に 考 え, 次 に 独 立 変 数 を 考 え ら れ る よ う に, オ リ ジ ナ ル と 順 を 入 れ 替 え た ま た, 構 造 化 し た こ と に よ っ て, STEP1 か ら STEP 4 に 進 ん で も, STEP1 か ら STEP 2 に 進 ん で も 良 い も の に な っ た 完 成 し た ワ ー ク シ ー ト の 形 式 は, オ リ ジ ナ ル と は 大 き く 異 な る も の に な っ た 以 下 に, そ の 概 要 を 述 べ る 4 Q S ワ ー ク シ ー ト を 使 用 し て 仮 説 を 立 て さ せ る 際 に, ま ず 注 意 を 払 わ な け れ ば な ら な い の は, 課 題 の 文 言 で あ る こ の 文 言 の 中 に 従 属 変 数 の 抽 出 に 直 結 す る キ ー ワ ー - 4 -

課 題 : 電 磁 石 の 強 さを 変 えるには,どのようにしたらよいのだろうか STEP1 STEP4 電 磁 石 の 強 さ 数 で 表 すには どのようにした らよいだろう? くっつくゼムクリップの 数 くっつく 砂 鉄 の 重 さ 私 の 仮 説 思 いつくだけ 仮 説 を 立 ててみよう STEP2 STEP1に 影 響 を 与 えて いる 要 因 としてどんなこと が 考 えられるだろうか? コイルの 巻 き 数 電 流 の 強 さ エナメル 線 の 太 さ 鉄 芯 の 太 さ それぞれの 要 因 をどのように 変 化 させれば STEP1との 関 わりを 確 かめ られるだろう? STEP3 関 連 さ せて コイルの 巻 き 数 を 増 やす 乾 電 池 の 数 を 増 やす エナメル 線 を 太 くする 鉄 芯 を 太 くする コイルの 巻 き 数 を 増 やすと 電 磁 石 は 強 くなる(くっつく ゼムクリップの 数 は 増 える) 乾 電 池 を 増 やして 電 流 を 強 くすると 電 磁 石 は 強 くなる (くっつくゼムクリップの 数 は 増 える) エナメル 線 を 太 くすると 電 磁 石 は 強 くなる(くっつくゼムク リップの 数 は 増 える) 図 4 課 題 : 電 磁 石 の 強 さ を 変 え る に は, ど の よ う に す れ ば よ い だ ろ う か を 例 に し た 4 Q S ワ ー ク シ ー ト へ の 記 入 例 ド が な け れ ば な ら な い そ し て, さ ら に 独 立 変 数 に 考 え が 及 ぶ よ う な 表 現 が セ ッ ト で 組 み 込 ま れ て い る 必 要 が あ る つ ま り, 例 え ば す れ ば, 結 果 は, の よ う に な る 等 の よ う に, 作 業 仮 説 と し て 表 現 で き る も の で な け れ ば な ら な い こ の こ と は, 特 に 強 調 し て お き た い も し も, な ぜ は, だ ろ う と い う 課 題 を 設 定 し た な ら ば, 考 え な け れ ば な ら な い 幅 が 広 が っ て し ま う つ ま り, な ぜ と い う 問 い に 対 し て 因 果 関 係 の 原 因 を あ げ て 説 明 す れ ば 良 い の か, 性 質 を 説 明 す れ ば 良 い の か, そ れ と も 構 造 に 着 目 し て 説 明 す れ ば 良 い の か が 不 明 で あ る た め, 焦 点 を 絞 り に く く な る の で あ る 探 究 の 過 程 に お い て, な ぜ と い う 発 問 は, 探 究 の 極 め て 初 期 の 段 階 に お い て は 必 要 で あ る し か し, 少 な く と も 作 業 仮 説 を 考 え る 段 階 で は, な ぜ と い う 問 い か け を 4 Q S ワ ー ク シ ー ト の 課 題 の 欄 に 記 入 す る こ と は 不 適 切 で あ る 課 題 を 記 入 す る 欄 の 下 に は STEP1 か ら STEP 4 の 枠 と 仮 説 を 記 入 す る 枠 が あ り, そ れ ら が 順 に 矢 印 で つ な が っ て い る 繰 り 返 し に な る が, STEP1 か ら STEP 4 に 進 ん で も, STEP1 か ら STEP 2 に 進 ん で も か ま わ な い こ と に も 注 意 を 要 す る 場 合 に よ っ て は, STEP1 か ら STEP 4 に 進 ん だ 方 が, 授 業 が ス ム ー ス に 展 開 す - 5 -

る STEP1 は 与 え ら れ た 課 題 の 表 記 か ら, 変 化 す る 事 象 を 従 属 変 数 と し て 簡 潔 に 記 述 す る 例 え ば, 課 題 と し て 電 磁 石 の 強 さ を 変 え る に は, ど の よ う に す れ ば よ い の だ ろ う か が 与 え ら れ た と す る と,STEP1 の 枠 の 中 に は, 従 属 変 数 と し て 電 磁 石 の 強 さ を 記 述 す る ( 図 4 ) STEP 2 は 従 属 変 数 に 影 響 を お よ ぼ す 独 立 変 数 を 考 え さ せ る 児 童 生 徒 が 4 Q S ワ ー ク シ ー ト に 慣 れ て い な い 場 合 は, 教 科 書 を 見 な が ら 考 え さ せ る と 良 い 慣 れ て く る と, 思 い つ く 独 立 変 数 を 多 数 挙 げ さ せ る の が 理 想 で あ る そ の 際, 教 員 の 制 御 は で き る だ け 控 え て, 自 由 に 自 分 の 考 え を 発 言 で き る 雰 囲 気 を 醸 成 す る こ と が 大 切 で あ る 電 磁 石 の 場 合 で あ れ ば, 枠 の 中 に コ イ ル の 巻 き 数, 電 流 の 強 さ の 他 に, エ ナ メ ル 線 の 太 さ や 鉄 芯 の 太 さ 等 も 出 て く る だ ろ う 場 合 に よ っ て は, 突 飛 な 独 立 変 数 を 挙 げ る 者 も 出 て く る そ の よ う な 時 の 指 導 の ポ イ ン ト は, 実 証 性 や 再 現 性 の あ る 実 験 の 計 画 と 実 施 が 可 能 な の か を 考 え さ せ る こ と で あ る そ し て, 仮 説 の 検 証 に あ た っ て は, 教 科 書 に 掲 載 さ れ て い る 条 件 の 実 験 は 最 優 先 で 行 う こ と と し て, 子 ど も が ど う し て も 確 か め た い と い う 仮 説 に つ い て は, 実 証 性, 再 現 性, 客 観 性 が 保 証 で き る 実 験 計 画 が 立 て ら れ た も の 一 つ 程 度 に 限 定 し て 取 り 組 ま せ る よ う に す る と, 子 ど も の 興 味 関 心 を 維 持 で き る と と も に 授 業 内 容 が 発 散 し す ぎ る こ と は な い STEP 3 は STEP 2 で 挙 げ た 独 立 変 数 を 実 験 条 件 と し て, ど の よ う に 変 化 さ せ る の か を 考 え さ せ る 電 磁 石 の 例 で あ れ ば, コ イ ル の 巻 き 数 を 増 や す や 電 池 の 数 を 増 や す を は じ め, エ ナ メ ル 線 を 太 く す る, 鉄 芯 を 太 く す る 等 を 記 述 す る STEP 4 は STEP1 で 挙 げ た 従 属 変 数 を 数 量 と し て あ ら わ す 方 法, つ ま り 測 定 方 法 を 考 え て 記 入 さ せ る も ち ろ ん, 慣 れ な い う ち は, 教 科 書 を 見 な が ら の 作 業 で か ま わ な い 小 学 校 理 科 の 実 験 で あ れ ば, 電 磁 石 に つ く ゼ ム ク リ ッ プ の 数 等 と 記 述 す れ ば 良 い だ ろ う そ し て, 最 後 に STEP 3 と STEP 4 と を 関 連 付 け て, 例 え ば す れ ば, は に な る と い う よ う な 表 現 で 仮 説 を 文 で 記 述 さ せ る 電 磁 石 の 実 験 の 場 合, コ イ ル の 巻 き 数 を 多 く す る と 電 磁 石 に く っ つ く ゼ ム ク リ ッ プ の 数 は 増 え る ( 電 磁 石 は 強 く な る ) 等 と 記 述 す る 第 3 節 小 学 校 教 員 志 望 学 生 を 対 象 と し た 4 Q S ワ ー ク シ ー ト の 有 効 性 の 検 証 1. 授 業 の 概 要 完 成 し た 4 Q S ワ ー ク シ ー ト の 有 効 性 の 検 討 は, ま ず 教 員 養 成 課 程 の 学 部 生 を 対 象 に, 必 修 科 目 初 等 理 科 指 導 法 ( 受 講 生 約 200 人 )で 行 っ た 授 業 (1 単 位 時 間 90 分 ) は 平 成 18 年 7 月 11 日 と 18 日 に, 合 計 2 回 実 施 し た 第 1 回 目 の 授 業 で は, 仮 説 を 設 定 す る 題 材 と し て, イ ン ゲ ン マ メ を 取 り 上 げ た - 6 -

イ ン ゲ ン マ メ は 本 授 業 の 課 題 と し て 対 象 学 生 が 一 人 一 鉢 で 栽 培 を し な が ら 観 察 記 録 を つ け て い る 植 物 で あ る こ と か ら, イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 に 関 わ る 様 々 な 要 因 を 抽 出 し や す い と 考 え た な お, こ の 授 業 は 小 学 校 6 年 生 の あ る 児 童 が イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 に つ い て 研 究 し た い と 申 し 出 て き た 教 員 と し て の あ な た は 児 童 の 思 い や 気 づ き を 引 き 出 し, 仮 説 に 到 達 さ せ る た め に ど の よ う な 指 導 や 助 言 を す れ ば よ い だ ろ う か 児 童 の 考 え を 生 か せ る よ う に 先 生 の 立 場 で,で き る だ け た く さ ん の 仮 説 を 設 定 し て み よ う と い う 場 面 設 定 の も と で 行 っ た 授 業 で は ワ ー ク シ ー ト を 配 布 し た 後, 筆 者 か ら 従 属 変 数 を 提 示 し, STEP1 に イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 を 記 入 さ せ, 仮 説 を 立 て る 手 順 に つ い て 説 明 し た STEP 2 で は STEP1 の 従 属 変 数 に 影 響 を 及 ぼ す 独 立 変 数 を 思 い つ く だ け 挙 げ る こ と, STEP 3 は STEP 2 で 取 り あ げ た 独 立 変 数 を ど の よ う に 変 化 さ せ る か を 考 え る こ と, STEP 4 で は 従 属 変 数 を 数 量 化 す る 手 立 て を 考 え る こ と, そ し て 最 後 に STEP 3 と STEP 4 と を 対 応 さ せ, 仮 説 を で き る だ け 多 く 文 で 表 現 す る こ と な ど を 説 明 し た 次 に, 4 ~ 5 名 の 班 を 編 成 し た 後, 自 由 な 発 想 で 討 論 を さ せ, そ の 結 果 に 基 づ き 仮 説 を 設 定 さ せ た 討 論 と 仮 説 設 定 に は 30 分 を 当 て た そ の 後, 一 つ の 班 を 指 名 し て 4 Q S ワ ー ク シ ー ト に 記 入 し た 内 容 を 板 書 さ せ た そ し て, そ の 内 容 に つ い て 筆 者 が 説 明 し た り, 問 題 の あ る 部 分 に つ い て は 二 本 線 で 削 除 し て 適 切 な 表 記 に 修 正 し た り し て, 理 解 が 深 め ら れ る よ う に し た 全 体 で の 検 討 に は 約 30 分 を 当 て た 第 2 回 目 の 授 業 は, 題 材 と し て 小 学 校 5 年 生 の 学 習 内 容 で あ る 振 り 子 の 実 験 を 取 り 上 げ た 本 時 で は,ま ず 前 時 の 内 容 に つ い て 次 の よ う な 確 認 を 行 っ た 前 回 は, 変 化 す る も の と し て イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 を 取 り 上 げ, そ れ に 影 響 を 与 え る 要 因 を 抽 出 し, イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 と 要 因 を 関 連 づ け て 仮 説 を 立 て た 変 化 す る も の と, そ れ に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 と の 関 わ り に 気 づ く こ と が 大 切 で あ る 次 に, 前 回 と 同 様 に, 従 属 変 数 を 提 示 し, ワ ー ク シ ー ト の STEP1 に 振 り 子 の 1 往 復 に 要 す る 時 間 を 記 入 さ せ, グ ル ー プ で 討 論 さ せ な が ら 仮 説 を 設 定 さ せ た な お, 仮 説 設 定 に 当 た っ て は 児 童 の 発 想 に 立 ち, 物 理 学 的 に 誤 り で あ っ て も, 実 験 で 検 証 が で き る の で あ れ ば 問 題 な い と 強 調 し た 第 2 回 目 の 授 業 が 終 了 し た 時 点 で, 仮 説 設 定 や そ の 手 立 て な ど に 関 す る 理 解 の 程 度 に つ い て 質 問 紙 調 査 を 行 っ た ( 表 2 ) 当 日 の 出 席 者 は 207 名 で あ っ た が, 記 入 も れ な ど の あ っ た 7 名 を 除 く 200 名 に つ い て 集 計 し た 分 析 は 各 項 目 に つ い て 百 分 率 を 求 め て 行 っ た 2. 4 Q S ワ ー ク シ ー ト と そ れ を 用 い た 授 業 の 評 価 ま ず, 第 1 回 目 の 授 業 に お い て 学 生 が 考 え た STEP1 か ら STEP 4 の 内 容 及 び 仮 説 の - 7 -

う ち 板 書 さ せ た 班 の 事 例 に つ い て 述 べ る な お, 従 属 変 数 に つ い て は, 筆 者 が STEP1 に イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 を 記 入 す る よ う 指 示 し た 従 属 変 数 を 筆 者 か ら 指 示 し た の は, 慣 れ な い う ち は, STEP1 で つ ま ず く こ と が あ る か ら で あ る STEP 2 で は 独 立 変 数 と し て 日 光, 水, 肥 料, 気 温, 湿 度, 土, 水 は け, 鉢 の 大 き さ, 添 え 木 な ど を 思 い つ い て い た 日 光, 水, 肥 料, 気 温, 土 な ど 一 般 的 な も の だ け で は な く, 鉢 の 大 き さ, 添 え 木 な ど, 自 ら が 鉢 に 土 を 入 れ, 水 や り な ど の 世 話 を し た 直 接 体 験 が な け れ ば 思 い つ か な い よ う な 変 数 が 挙 げ ら れ て い た STEP 3 で は 日 光 が 当 た る, 当 た ら な い, 肥 料 を や る, や ら な い, 気 温 が 高 い, 低 い, 添 え 木 を す る, し な い な ど を 記 述 し て い た 従 属 変 数 と し て の イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 を 数 量 化 す る STEP 4 で は 葉 の 数, 種 子 の 数, 花 の 数, 茎 の 太 さ, 草 丈, 重 さ ( 植 物 体 全 体 ) な ど を 挙 げ て い た 植 物 の 成 長 を 示 す 一 般 的 な 指 標 と し て 考 え ら れ る 草 丈 だ け で は な く, 葉 の 数 や 種 子 の 数 な ど, 数 量 化 の 観 点 と し て 多 様 な 考 え が 挙 げ ら れ て い た そ し て, 最 後 に STEP 3 と STEP 4 を 関 連 付 け て 日 光 を 当 て る と 草 丈 が 伸 び る, 日 光 を 当 て る と 葉 の 枚 数 が 増 え る, 添 え 木 を す る と 背 丈 が 伸 び る, 肥 料 を 与 え る と 種 子 が 大 き く な る の 4 つ の 仮 説 を 設 定 し て い た な お, 他 の 班 で は そ の 他 の 独 立 変 数 と し て 二 酸 化 炭 素 濃 度, 風, 空 気 の 振 動 を 挙 げ て い た ま た, 従 属 変 数 の 数 量 化 に つ い て は 花 の 数, 果 実 の 数, 果 実 の 収 穫 量, 葉 の 面 積 を 挙 げ て い た 以 上 の よ う に, 学 生 は 4 Q S の 手 法 に よ り, 従 属 変 数 を 数 量 化 す る 視 点 や 従 属 変 数 に 影 響 を 与 え る 独 立 変 数 を 多 数 抽 出 す る と と も に, そ れ ら を 関 連 づ け 観 察 実 験 で 検 証 可 能 な 仮 説 を 設 定 し て い た 次 に, 振 り 子 の 実 験 を 題 材 と し た 第 2 回 目 の 授 業 に お い て 学 生 が 考 え た 各 STEP の 内 容 に つ い 図 5 イ ン ゲ ン マ メ の 成 長 を 従 属 変 数 と し た 板 書 の 例 て 述 べ る な お, 従 属 変 数 は 筆 者 の 指 示 で STEP1 に 振 り 子 の 1 往 復 に 要 す る 時 間 を 記 入 さ せ た あ る 班 は, STEP 2 で お も り の 重 さ, ひ も の 長 さ, 振 り 始 め の 位 置 ( 振 れ 幅 ), ひ - 8 -

も の 太 さ な ど の 要 因 ( 独 立 変 数 )を 抽 出 し, STEP 3 で は お も り の 重 さ を 変 え る, ひ も の 長 さ を 変 え る, 振 り 始 め の 位 置 ( 振 れ 幅 )を 変 化 さ せ る な ど と 記 述 し て い た 従 属 変 数 と し て の 振 り 子 の 一 往 復 に 要 す る 時 間 を 数 量 化 す る た め の STEP 4 で は 一 往 復 す る 時 間 を 測 る と 記 述 し て い た そ し て, 仮 説 と し て 振 り 子 の お も り の 重 さ を 重 く す る と 一 往 復 す る 時 間 は 長 く な る, 振 り 子 の ひ も の 長 さ を 長 く す る と 一 往 復 す る 時 間 が 短 く な る, 振 り 始 め の 位 置 が 高 い ( 振 れ 幅 が 大 き い ) 方 が 一 往 復 す る 時 間 が 短 く な る な ど を 設 定 し て い た な お, 実 際 の 測 定 に お い て は 振 り 子 が 十 往 復 す る 時 間 を 測 定 さ せ た こ の 班 が 立 て た 仮 説 の う ち, 振 り 子 の お も り の 重 さ を 重 く す る と 一 往 復 す る 時 間 は 長 く な る と 振 り 子 の ひ も の 長 さ を 長 く す る と 一 往 復 す る 時 間 が 短 く な る は, 物 理 学 的 に は 誤 り で あ る が, 実 験 で 検 証 可 能 で あ り, 仮 説 と し て 成 り 立 っ て い る 仮 説 を 設 定 す る に 当 た り, 児 童 の 発 想 に 立 つ よ う 指 示 し た こ と か ら, こ の よ う な 仮 説 を 立 て た も の と 考 え ら れ る 児 童 同 士 の 討 論 で は, こ の よ う な 考 え が 出 て く る 可 能 性 が あ る 物 理 学 的 に は 誤 り で は あ る が, 検 証 可 能 な 仮 説 を 設 定 し た 子 ど も の 考 え を 生 か せ る 小 学 校 教 員 と し て の 資 質 を 高 め る 上 で, 4 Q S の 手 法 は 教 員 養 成 段 階 の 演 習 と し て 意 義 が あ る と 考 え る も う 一 つ の 仮 説 振 り 始 め の 位 置 が 高 い ( 振 れ 幅 が 大 き い ) 方 が 一 往 復 す る 時 間 が 短 く な る に つ い て は, 厳 密 に 考 え る と 難 し い 問 題 を 含 ん で い る 高 校 の 物 理 で は, 単 振 り 子 の 運 動 は 単 振 動 と し て 扱 わ れ て い る 単 振 動 と し て 考 え る 場 合, そ の 周 期 は 糸 の 長 さ と 重 力 加 速 度 だ け で 決 ま り, 周 期 は そ の 振 れ 幅 で は 変 わ ら ず 等 時 性 を 示 す 単 振 り 子 の 運 動 が 単 振 動 と 近 似 で き る の は, そ の 振 幅 が お も り を つ る し て い る 糸 の 長 さ に 比 べ て 十 分 に 小 さ い と き に 限 ら れ, 実 際 の 振 り 子 の 周 期 は そ の 振 幅 に よ っ て 変 わ る こ と が 知 ら れ て い る 物 理 学 的 に は 誤 り で あ っ た り, 実 験 の 厳 密 さ が 要 求 さ れ た り す る が,い ず れ に せ よ こ の 仮 説 も 実 験 で 検 証 可 能 な 仮 説 で あ る い ず れ の 班 も 仮 説 と し て は お も り の 重 さ を 変 え て も 一 往 復 に 要 す る 時 間 は 変 わ ら な い, 糸 の 長 さ を 長 く す る と 一 往 復 に 要 す る 時 間 は 長 く な る な ど の よ う に, 実 験 で 検 証 可 能 な 仮 説 を 立 て て い た 次 に, 第 2 回 目 の 授 業 を 受 け た 直 後 の 4 Q S ワ ー ク シ ー ト に 対 す る 学 生 の 評 価 に つ い て 述 べ る 今 ま で 仮 説 を 立 て る の は 難 し い と 思 っ て い た か の 問 い に 対 し て, と て も そ う 思 う と 回 答 し た の は 18.2%で, や や そ う 思 う は 48.0%で あ っ た 両 者 を 合 わ せ る と 66.2%の 学 生 が 仮 説 を 立 て る の は 難 し い と 感 じ て い た 児 童 に 仮 説 を 立 て さ せ る 手 立 て が 理 解 で き た か の 問 い に 対 し て と て も そ う 思 う と 回 答 し た の は 31.3% で, や や そ う 思 う は 62.1%で あ っ た 合 わ せ る と 93.4%の 学 生 が, 理 解 で き た と 回 - 9 -

0% 20% 40% 60% 80% 100% とてもそう 思 う 今 まで 仮 説 を 立 てるのは 難 しいと 思 っていた 18.2 48.0 28.8 5.1 ややそう 思 う あまり 思 わない 全 く 思 わない 児 童 に 仮 説 を 立 てさせる 手 だてが 理 解 できた 31.3 62.1 6.10.5 小 学 校 理 科 の 観 察 実 験 について 仮 説 を 文 章 で 表 現 する 手 だてが 理 解 できた 26.8 66.2 6.60.5 ワークシートは 使 いやすかった 47.5 42.4 9.1 1 図 6 授 業 後 に 学 生 が 感 じた 仮 説 設 定 の 手 だてに 関 する 印 象 答 し た ま た 小 学 校 理 科 の 観 察 実 験 に つ い て 仮 説 を 文 章 で 表 現 す る 手 立 て が 理 解 で き た か に 対 し て と て も そ う 思 う と 回 答 し た の は 26.8%で, や や そ う 思 う は 66.2%で あ っ た こ れ に つ い て も, 合 わ せ る と 93.0%の 学 生 が, 理 解 で き た と 回 答 し た 最 後 の ワ ー ク シ ー ト は 使 い や す か っ た か に つ い て, と て も そ う 思 う と 回 答 し た の は 47.5%で, や や そ う 思 う は 42.4%で あ っ た 両 者 を 合 わ せ る と 89.9%の 学 生 が 使 い や す い と 感 じ て い た 以 上 の 結 果 か ら, The Four Question Strategy を 参 考 に し て 開 発 し た 4 Q S ワ ー ク シ ー ト は, 科 学 的 な 探 究 の 初 期 に お い て 重 要 な 仮 説 設 定 に 関 す る 指 導 の 手 立 て を, 小 学 校 教 員 志 望 学 生 に 習 得 さ せ る 上 で 有 効 で あ っ た と 考 え ら れ る 特 に, 実 質 的 に は 60 分 の 授 業 を 2 回 行 う だ け で, 90%を 超 え る 学 生 が よ く 理 解 で き た や や 理 解 で き た と 回 答 し た こ と か ら, 教 員 養 成 段 階 で 仮 説 設 定 の 手 立 て を 習 得 さ せ る 指 導 法 が ほ ぼ 確 立 で き た と 判 断 し た 約 三 年 の 年 月 を か け て 開 発 し た 4 Q S ワ ー ク シ ー ト は, 仮 説 設 定 の 手 立 て を 小 学 校 教 員 志 望 学 生 に 習 得 さ せ る 上 で 有 効 で あ る と 判 断 で き た こ と か ら, 一 応 の 完 成 を 見 た と 結 論 づ け た オ リ ジ ナ ル の 直 線 的 で 順 序 性 の あ る ワ ー ク シ ー ト を 用 い た 前 年 度 の 実 践 で は, 学 生 に 理 解 さ せ る こ と が 困 難 で あ っ た し か し, 4 つ の 問 い を 構 造 化 す る と と も に,STEP1 に 従 属 変 数 を 位 置 付 け,そ こ か ら STEP 4 に 進 ん で も,STEP1 か ら STEP 2 に 進 ん で も 良 い 形 式 に し た こ と が 学 生 に 受 け 入 れ ら れ や す く な っ た も の と 考 え て い る 4 Q S ワ ー ク シ ー ト を 用 い て 検 証 可 能 な 作 業 仮 説 が 設 定 で き る と, 次 は 観 察 実 験 の 計 画 の 立 案 が 課 題 と な る 4 Q S ワ ー ク シ ー ト に は, 観 察 実 験 の 計 画 立 案 に 必 要 な 要 素 で あ る 従 属 変 数 と そ の 数 量 化 の 方 法 独 立 変 数 と そ の 条 件 設 定 が 明 確 に 分 か る よ う に 構 造 化 さ れ て い る そ の た め, 指 導 者 の 指 導 助 言 に よ っ て, 基 準 と な る 値 の 設 定 や 単 位 の 確 認, 測 定 す る 範 囲 の 設 定, 必 要 な 観 察 実 験 器 具 の 選 択 や 考 案 な ど, 詳 細 な 観 察 実 験 計 画 の 検 討 を 行 わ せ る こ と も 容 易 に な る - 10 -

ま た, 仮 説 が 検 証 で き な か っ た 場 合, 仮 説 設 定 の 段 階 に 戻 っ て 再 検 討 を 容 易 に 行 え る 形 式 に な っ て い る こ と も 本 ワ ー ク シ ー ト の 優 れ た 点 の 一 つ で あ る 堀 ( 2005) は, 中 国 文 学 者 の 白 川 静 を 引 用 し, 理 科 教 育 に お け る 思 考 と は, 新 し い も の を つ く る 力 を 生 み 出 す も の で あ る こ と が 望 ま し い と 述 べ て い る 指 導 者 に よ り あ ら か じ め 設 定 さ れ た 仮 説 で は な く, 討 論 を 通 し て 学 生 が 相 互 に 自 由 な 考 え を 出 し 合 い, 自 分 た ち の 考 え を 生 か し た 仮 説 を 設 定 す る こ と が で き た こ と か ら, 4 Q S ワ ー ク シ ー ト は, 創 造 性 の 育 成 に つ い て も 可 能 性 を 内 包 し て い る も の と 考 え ら れ る 第 4 節 完 成 し た 4 Q S の そ の 後 平 成 20 年 度 頃 か ら は, 初 等 理 科 指 導 法 で の 4 Q S ワ ー ク シ ー ト を 用 い た 仮 説 設 定 の 授 業 (90 分 )は 1 回 の み で 済 ま せ て い る 授 業 で は 小 学 校 理 科 教 科 書 の 電 磁 石 の 実 験 の 頁 を カ ラ ー コ ピ ー し て 配 布 し, そ れ を 手 が か り に し て 個 人 で ワ ー ク シ ー ト に 記 入 さ せ る よ う に し て い る そ の 作 業 と 説 明 の 時 間 は 約 60 分 で あ る そ の 後 の 残 り 時 間 で, 課 題 と し て 振 り 子 が 一 往 復 す る 時 間 は, ど の よ う に す れ ば 変 え ら れ る だ ろ う か を 与 え て 個 人 で 作 業 仮 説 を 設 定 さ せ る よ う に し て い る つ ま り, 1 単 位 時 間 で 4 Q S ワ ー ク シ ー ト を 用 い た 仮 説 設 定 の 説 明 と 確 認 の 演 習 と が 行 え る 程 の 完 成 度 に な っ て い る そ し て 次 の 週 に, 振 り 子 の 実 験 に つ い て, 自 分 が 考 え た 仮 説 を 2 ~ 3 人 の グ ル ー プ で 検 証 さ せ て い る 実 験 を 終 え た 学 生 に 感 想 文 を 書 か せ て い る が, な か な か 良 い こ と を 書 い て く れ る 平 成 26 年 度 の も の を 二 つ 紹 介 す る 一 つ は 実 際 に 実 験 で 確 認 し て み る と, 自 分 の 仮 説 と は 異 な っ た 結 果 が 得 ら れ, イ ン パ ク ト を 受 け た 教 え て も ら う よ り, 自 分 で 検 証 す る 方 が, 明 ら か に 納 得 で き る と 感 じ た ま た, 自 然 に 疑 問 や こ う な る の で は な い か と 声 に 出 し て 予 測 を し て い る こ と に 気 付 い た 自 然 に 子 ど も 達 が 気 付 き, 実 感 の 上 で 習 得 す る と は, こ の よ う な こ と を い う の だ な と 気 付 か さ れ た ぜ ひ 子 ど も 達 に も こ の 生 の 驚 き を 味 わ っ て も ら い た い と 感 じ た と 記 し て お り, こ の 学 生 は 仮 説 を 立 て て 検 証 し て 新 し い こ と を 発 見 す る こ と に, 知 的 な 感 動 を 覚 え た よ う で あ る も う 一 つ は 振 り 子 の 実 験 で は, お も り の 重 さ, 糸 の 長 さ, 振 れ 幅 の 大 き さ を 変 え る こ と で, ( 一 往 復 に か か る 時 間 が ) 変 化 す る と 考 え て い ま し た が, お も り の 重 さ と 振 れ 幅 の 大 き さ を 変 化 さ せ て も 変 わ ら な い こ と に 驚 い た 糸 の 長 さ に よ っ て 振 り 子 の 一 往 復 す る 時 間 が 変 化 す る と 知 っ た 仮 説 を 立 て て み た が, 検 証 が 重 要 で, 検 証 し て み て 初 め て 結 果 が 分 か る こ の 流 れ は 大 切 だ と 感 じ た 地 道 な 作 業 だ っ た け ど, 改 め て 勉 強 に な る こ と ば か り だ っ た と 記 し て お り, 自 分 の 素 朴 概 念 が 正 し い 科 学 概 念 に 変 容 し た こ と と, 探 究 の 過 程 の 重 要 性 を 実 感 を 伴 っ て 理 解 で き た こ と を 述 べ て い る ほ と ん ど 全 員 の 学 生 が こ の よ う な 感 想 を 書 い て い る こ と か ら, 4 Q S ワ ー ク シ ー ト を 用 い た 仮 説 - 11 -

設 定 の 授 業 と 実 験 で 検 証 す る 授 業 の 組 み 合 わ せ が 効 果 的 で あ る こ と を 毎 年 実 感 し て い る お わ り に - 小 学 生 や 中 学 生 に も 有 効 な 4 Q S - 教 員 養 成 課 程 の 学 生 を 対 象 と し た 仮 説 設 定 の 指 導 方 略 (4 Q S )の 指 導 方 法 は, 平 成 20 年 頃 に ほ ぼ 完 成 し た そ の 後, 金 子 や 山 田 が 中 学 生 や 小 学 校 高 学 年 を 対 象 と し て, 4 Q S ワ ー ク シ ー ト を 活 用 し た 仮 説 設 定 の 指 導 の 効 果 を 検 証 し, 学 会 誌 に 発 表 し て い る 金 子 は 中 学 校 1 年 生 の フ ッ ク の 法 則 の 実 験 で 4 Q S を 用 い た 実 践 を 行 い, 4 QS を 用 い い た 群 の 方 が グ ラ フ 作 成 能 力 を 習 得 し た 生 徒 の 割 合 が 有 意 に 高 く な っ た こ と や, 応 用 問 題 に 対 し て も グ ラ フ 作 成 能 力 を 適 用 で き る 生 徒 の 割 合 が 有 意 に 高 く な っ た こ と 等 を 報 告 し て い る ま た, 山 田 は 小 学 校 6 年 生 の 単 元 も の の 燃 え 方 と 空 気 の 学 習 に お い て, 4 Q S を 用 い た 群 の 方 が 燃 焼 の 仕 組 み に 関 す る 科 学 的 知 識 を 高 い 水 準 で 理 解 及 び 維 持 で き る こ と や 燃 焼 現 象 を 科 学 的 に 説 明 す る 能 力 の 育 成 に も 有 効 で あ る こ と を 報 告 し て い る 探 究 の 過 程 に お け る 仮 説 の 意 義 と 重 要 性 を 認 識 し た 実 践 者 に よ っ て, そ の 有 効 性 が 裏 付 け ら れ つ つ あ る 最 後 に 実 践 の 参 考 と な る 資 料 を 掲 載 し て お く こ の 資 料 は 妙 高 市 新 井 小 学 校 の 先 生 が 4 Q S ワ ー ク シ ー ト の 概 要 を た い へ ん 分 か り や す く ま と め て く れ た も の で あ る 実 践 の 参 考 に し て い た だ け れ ば 幸 い で あ る 文 献 1 ) Cothron, j. h., Giese, R. N., & Rezba, R. J. m: Science Experiments and Project for Student, pp. 21-35, Kendall / Hunt Publishing Company, 2000. 2 ) 金 子 健 治 小 林 辰 至, The Four Question Strategy(4QS)を 用 い た 仮 説 設 定 の 指 導 が 素 朴 概 念 の 転 換 に 与 え る 効 果 - 質 量 の 異 な る 台 車 の 斜 面 上 の 運 動 の 実 験 を 例 と し て -, 理 科 教 育 学 研 究, 日 本 理 科 教 育 学 会, 第 50 巻 第 3 号, pp.67-67, 2010. 3 ) 金 子 健 治 小 林 辰 至, The Four Question Strategy( 4 QS) に 基 づ い た 仮 説 設 定 の 指 導 が グ ラ フ 作 成 能 力 の 習 得 に 与 え る 効 果 に 関 す る 研 究, 理 科 教 育 学 研 究, 日 本 理 科 教 育 学 会, 第 51 巻 第 3 号, pp.75-83, 2010. 4 ) 山 田 貴 之 寺 田 光 宏 長 谷 川 敦 司 稲 田 結 美 小 林 辰 至, 児 童 自 ら に 変 数 の 同 定 と 仮 説 設 定 を 行 わ せ る 指 導 が 現 象 を 科 学 的 に 説 明 す る 能 力 の 育 成 に 与 え る 効 果 - 第 6 学 年 も の の 燃 え 方 と 空 気 を 事 例 と し て -, 日 本 理 科 教 育 学 会, 第 55 巻 第 2 号, pp.219-229, 2014. 5 ) 妙 高 市 立 新 井 小 学 校, 平 成 21 22 23 年 度 新 潟 県 小 学 校 教 育 研 究 会 理 科 指 - 12 -

定 研 究 研 究 の あ ゆ み わ か た け ~ 言 葉 と 体 験 を 一 体 化 さ せ る 理 科 生 活 科 の 創 造 ~, pp.12-13, 2010. 6 ) 堀 哲 夫, 科 学 的 思 考 の 課 題 と そ の 育 成, 理 科 の 教 育, Vol.55, pp. 8-11, 2005. - 13 -

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