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なくなりました 以 前 のグローバリゼーションはと 言 えば, 経 済 のグローバリゼーションのことであり, みんなアメリカ 化 することでした 今 そのようなことをやる 時 ではありません グローバリゼーションするためには,みんなが 住 んでいるこの 美 しい 地 球 を 大 事 にする ことです 喜 多 方 の 人 も, 喜 多 方 のことを 考 えるのと 同 時 に 地 球 のことを 考 えるというの がグローバリゼーションなのです そういう 時 に,まずしなければならないことは,それぞれの 国 に 住 んでいる 人 がみんな で 地 球 の 上 で 一 緒 に 暮 らすということを 考 えることです 例 えば, 地 球 がなぜ 美 しい 星 なのかについて, 全 体 のことをみんなが 考 えることです 植 物 があり,その 中 に 生 き 物 たちがくらしていて,その 生 き 物 の 一 つとして 人 間 も 一 緒 に 暮 らしています ところが,この 美 しい 星 にいる 人 間 が, 今 から 一 万 年 くらい 前 に,ほかの 生 き 物 が 決 し てやらなかったことで, 自 分 で 食 べるものを 自 分 たちでつくるという 農 業 を 始 めました その 結 果,ほかの 生 き 物 たちよりもたくさんの 仲 間 が 暮 らせるようになり,ほかの 生 き 物 たちの 数 には 限 りがあるにもかかわらず, 人 間 は 少 しずつ 仲 間 の 数 を 増 やしてきました そして, 仲 間 を 少 しずつ 増 やしながらこの 地 球 で 暮 らしていくはずであった 人 間 が,1800 年 代 のいわゆる 産 業 革 命 により, 工 業 というものを 興 した 結 果, 便 利 になって 急 速 に 人 口 を 増 やすことになりました 特 にこの 100 年 で 急 激 に 人 口 が 増 え,60 億 や 65 億 と 言 われ るようになり,もう 少 し 立 つと 100 億 だと 言 われるような 時 代 になってきました 私 は 生 命 科 学 を 専 門 としているので, 生 き 物 がこうような 増 え 方 をした 時 には,ある 種 の 危 険 があると 思 うのです 世 の 中 一 般 に 言 われているグローバリゼーションは,アメリカを 主 導 者 として 科 学 技 術 文 明 をこのまま 伸 ばしていき,お 金 をどんどん 回 して,どんどん 便 利 にしていくことを 続 けて 行 こうとしています しかし,それは 不 可 能 だと 思 うのです それをエネルギーという 面 で 見 ると,エネルギーもものすごく 使 っています こういう ことはあり 得 ないことであり,こういう 類 のグローバリゼーションは 続 かないということ です そこで,もう 一 度 生 き 物 が 暮 らしているこの 美 しい 星 の 中 で, 人 間 はどのように 生 きて いくかという 本 当 のグローバリゼーションをやるのなら, 英 語 よりも 農 業 を 教 えた 方 が 本 当 のグローバリゼーションだという 考 え 方 でなければ, 人 間 の 未 来 はないと 思 っています 4 生 きるということ 20 世 紀 のグローバリゼーションは, 機 械 と 火 (エネルギー) をどんどん 使 うこと が 優 れた 生 き 方 だと 考 えられてきました その 結 果, 人 間 は 幸 せになれたのでしょうか 新 聞 によると, 現 代 の 小 学 生 は 疲 れてい る 時 間 が 足 りない 寝 不 足 だという 状 態 になっています - 2 -

そのような 機 械 とエネルギー に 追 いまくられるような 生 き 方 よりも, 命 と 水 を 大 事 にしていくという 選 択 をするべきでないかと 思 っています 命 を 大 事 にしましょうと 言 っても,なんだかよく 分 かりません 私 自 身 も 生 命 科 学, 生 命 誌 を 考 えて 命 って 何 生 命 って 何 を 考 え 続 けてきましたがよく 分 からないし,これ からも 分 からないだろうと 考 えています しかし, 生 きているものが 何 をやっているかは わかるので,そのことを 大 事 にした 社 会 にしたいと 考 えています そのために, 次 の 4 つのことを 大 切 にしたいと 思 っています 食 べ 物 まず, 食 べ 物 がきちっとしいるということです そして,おいしくて 安 心 して 食 べられ る 食 べ 物 を 大 切 にするということです そのためには, 自 分 のところで 作 ったものが 一 番 なのです しかし, 現 在 日 本 はやたら 外 国 から 食 べ 物 を 買 い 込 んでいます 日 本 のように 緑 豊 かな 美 しい 国 が 外 国 から 食 べ 物 を 買 い 込 むなどということはおかしいことです お 金 の 計 算 を するからそういうことになるのであり, 生 命 を 考 えれば 自 分 のところでつくるに 決 まって います だから, 産 業 で 言 えば 農 業 を 大 切 にしなければならないのです 健 康 二 番 目 は 健 康 です だれもが 健 康 になるための 基 本 は,ちゃんとした 食 べ 物 を,ちゃん とした 時 に 食 べるということです 朝 ごはんをちゃんと 食 べましょう などということも その1つです そうすればメタボリック 症 候 群 にはなりません 昔,アメリカに 行 っていた 時 に,どうしてこんなに 太 れるのかという 女 の 子 をよく 見 か けました 当 時 はそのような 女 の 子 は 日 本 では 見 かけませんでした しかし,ここ 数 年 日 本 でも 見 かけるようになりました そればかりでなく, 発 展 途 上 国 でもメタボリック 症 候 群 が 増 えています 飢 えと 同 時 にメタボリック 症 候 群 が 存 在 しているということなのです これは,アメリカ 型 のファストフードが 世 界 中 に 広 がり, 食 べ 物 がでたらめになっている ということです だから, 健 康 も 基 本 は 食 べ 物 だということです 心 と 知 3 番 目 は 心 と 知 です 豊 かな 心 としっかりした 知 恵 があるということです 人 間 は 次 の 世 代 が 素 敵 であって 欲 しい,あるいはよく 育 っていって 欲 しいと 願 い,それ を 伝 えていきたいと 願 っています 小 学 生 の 発 表 の 中 にも,おばあちゃんに 教 えてもらい, それを6 年 生 が1 年 生 に 教 えた 思 い 上 手 に 教 えられたからよかった という 発 表 があり ました そして, 今 度 分 からなかったら 高 校 生 に 聞 くというようにずっとつながっていき ます これが 教 育 であり, 心 と 知 を 育 てて 行 くことです こうような 教 育 が, 生 きている あるいは 生 命 を 大 切 にするということにつながっていくのです 小 学 校 で 農 業 科 に 取 り 組 む 意 義 もここにあるのです - 3 -

環 境 4 番 目 が 環 境 です 人 間 はその 場 所 の 空 気 を 必 ず 吸 うために, 空 気 というものがとても 大 切 になってきます 言 い 換 えれば, 生 きているということは 環 境 とやり 取 りをしている ということになります 環 境 がしっかりとしていないと 人 間 は 生 きられません 環 境 とい うのは, 空 気 であり 水 であり,もっと 大 切 なのが 生 き 物 たちであり,その 生 き 物 たちがし っかりと 生 きていてくれるということです しかし,いろいろな 生 き 物 が 生 きにくくなってきており,また 人 間 も 生 きにくくなって います だから, 空 気 や 水 という 環 境, 生 き 物 たちがつくっている 地 球 の 環 境,そしても っと 大 事 な 人 と 人 との 環 境 がうまくいっているということが 大 切 なのです 生 き 物 は1つで 存 在 することはできません 人 間 もたった 一 人 では 生 きていけません 他 の 生 き 物 たちが 生 きていなかったら, 人 間 も 生 きていけないのです この 四 つのことをしっかりと 考 え,このことをみんなが 大 事 だと 思 えるような 社 会 にし ないと,21 世 紀 は 続 いていかないと 思 っています 5 利 便 性 と 農 業 20 世 紀 の 社 会 は 便 利 さを 大 事 にしてきました 国 も 法 律 で 利 便 性 を 高 めることをめざし, 便 利 な 社 会 をつくろうとしてきました 科 学 技 術 が 社 会 をつくり, 車 が 走 ったり 飛 行 機 が 飛 んだりしています なぜこのようなことをするかと 言 えば, 利 便 性 を 高 めることがとて もよいことだと 考 えられているからです しかし, 利 便 性 と 生 き 物 のどちらを 優 先 させるかを 考 えた 時 に,やはり 生 き 物 を 先 にお いて 考 えていかなければなりません だから 小 学 生 の 時 に 農 業 をやると, 生 き 物 を 大 切 に するということが 分 かるようになると 考 えています 便 利 を 考 えてみると, 物 事 が 早 くできて, 手 が 抜 けて, 人 間 の 思 い 通 りにできるという ことです 一 方, 農 業 は 小 学 生 の 発 表 にもあったとおり,メロンを 食 べたいと 思 いメロンを 育 てた が, 残 念 ながら 思 い 通 りにできなかった だから, 来 年 はこういうふうにしようと 考 える ことが 大 切 なのです 思 い 通 りにならないから 考 える 思 い 通 りにならないから 我 慢 する 思 い 通 りにならないことから, 意 外 な 発 見 がある 現 在 思 い 通 りになることがよいことだ と 決 めつけてすべてのことをやってしまうのではなく, 思 い 通 りにならないことのおもし ろさや 発 展 性,そこから 考 えるという 姿 勢 が 大 切 になってきます 農 業 は, 手 はぬけない 早 くはできない,しっかりと 時 間 をかけて 手 をかけないといけな い,その 結 果 やっと 作 物 が 実 るというものです それでも, 思 い 通 りにできないことがあ り,また 考 えることが 素 晴 らしいのです - 4 -

6 愛 ずる なぜ, 小 学 校 で 農 業 をやって 欲 しかったのか それは, 単 に 農 業 を 楽 しんで 欲 しいので はなく, 根 本 的 に 21 世 紀 という 時 代 を 人 間 が 人 間 らしく, 地 球 環 境 問 題 などで 暗 い 先 行 き にしないで, 今 の 小 学 生 が,そしてその 小 学 生 の 次 の 世 代 が 明 るく 暮 らせるためには, 小 学 校 での 農 業 というのは 象 徴 でした 地 球 のことを 考 え 時, 人 間 のことだけを 考 えていてのではだめです 地 球 上 には 5000 万 種 類 ぐらいの 生 き 物 がいて,その 一 つとして 人 間 がいると 思 わなければなりません この 50 年 間 で, 生 き 物 はすべて 細 胞 でできていて,その 中 にDNAが 入 っていることが 分 かってきました バクテリアから 人 間 までそれが 同 じだということは, 偶 然 に 起 こった ことだとは 考 えられません 38 億 年 ほど 前, 地 球 の 海 の 中 で 私 たちの 祖 先 となる 細 胞 が 生 まれました そこから,いろいろな 生 き 物 が 生 まれ, 様 々な 生 き 物 になってきました そ の 38 億 年 の 歴 史 を 紐 解 き,この 物 語 を 読 み 解 きたというのが, 生 命 誌 という 私 の 仕 事 です 大 切 なことは, 人 間 がその 物 語 の 中 にいるということです 38 億 年 の 間,ほかの 生 き 物 と 共 有 しているということです 虫 愛 ずる 姫 というお 姫 様 がいて,みんながそんな 汚 い 虫 を 飼 うのをやめなさいとい うのですが, 飼 い 続 けるのです このお 姫 様 が 言 うには, 蝶 になったらみんながきれいと ほめるけれど,きれいな 蝶 になったらもうおしまいで,すぐ 死 んでしまうのです 本 当 に 生 きる 力 は 毛 虫 の 方 にあるのだというのです その 生 きている 様 子 をじっくりと 時 間 をか けてみているから,この 蝶 の 本 質 が 見 えてきたのだと 思 います 今 の 便 利 さは, 早 くやることや 効 率 よくやることを 求 めて, 遅 い 子 や 時 間 をかけた 子 ど もをだめにしています 時 間 をかけてじっくりとやって, 時 には 間 違 って 考 え 直 すことが 教 育 では 大 切 なのです そうすれば 物 事 本 質 が 見 えるようになり,この 愛 ずる という 気 持 ちが 生 まれてくると 思 います これは 人 間 にとって, 一 番 基 本 の 気 持 ちです 喜 多 方 市 の 小 学 生 は, 農 業 を 通 してじっくりと 時 間 をかけて 取 り 組 み, 本 質 を 見 抜 き, 愛 ずるという 気 持 ちを 持 ってくれたのではないかと 思 います - 5 -