20101129-1 中 国 法 令 調 査 報 告 書 社 会 保 険 法 報 告 日 :2010 年 11 月 29 日 管 理 番 号 :20101129-1 今 回 のご 報 告 のポイント 本 法 は 社 会 保 険 制 度 ( 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 失 業 保 険 生 育 保 険 )に ついて 定 めるものである これまで 外 国 籍 従 業 員 については 社 会 保 険 への 加 入 義 務 はないとされてきたが 本 法 により 外 国 籍 従 業 員 にも 社 会 保 険 加 入 義 務 が 生 じる ことになる( 第 97 条 ) また 現 行 制 度 では 地 域 によっては 農 民 工 ( 農 民 戸 籍 従 業 員 )には 一 部 の 社 会 保 険 の 加 入 義 務 がないとされているが 本 法 施 行 後 は 保 険 加 入 義 務 が 生 じるものと 考 えられる( 第 95 条 ) 外 国 籍 従 業 員 や 農 民 工 を 雇 用 している 現 地 法 人 にとっては コスト 増 大 の 要 因 となりうる 1. 法 令 等 の 名 称 番 号 中 国 語 名 称 : 社 会 保 険 法 日 本 語 訳 : 社 会 保 険 法 法 令 番 号 : 主 席 令 第 35 号 (ソース) 新 法 規 ウェブサイト 2. 公 表 した 政 府 部 門 全 国 人 民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 3. 発 表 日 2010.10.28 4. 施 行 日 2011.07.01 5. 分 野 社 会 保 険 1
6. 概 要 コメント 本 法 は 社 会 保 険 関 係 を 規 範 化 し 公 民 の 社 会 保 険 への 参 加 社 会 保 険 待 遇 を 享 受 す る 権 益 を 保 護 し 公 民 に 国 家 発 展 の 成 果 を 共 同 で 享 受 させ 社 会 の 調 和 と 安 定 を 促 進 す るため 憲 法 に 基 づき 制 定 されたものである 一 国 家 は 基 本 養 老 保 険 基 本 医 療 保 険 労 災 保 険 失 業 保 険 及 び 出 産 保 険 など 社 会 保 険 制 度 を 構 築 し 公 民 が 老 後 病 気 労 災 失 業 及 び 出 産 などの 場 合 に 法 により 国 家 及 び 社 会 から 物 質 的 な 援 助 を 取 得 する 権 利 を 保 障 する ( 本 法 第 2 条 ) 二 中 華 人 民 共 和 国 国 内 における 使 用 者 ( 中 国 語 : 雇 用 単 位 ) 及 び 個 人 は 法 によ り 社 会 保 険 料 を 納 付 し 保 険 料 納 付 記 録 個 人 権 益 記 録 を 問 い 合 わせ 社 会 保 険 取 扱 機 構 に 社 会 保 険 コンサルティングなどのサービスの 提 供 を 求 める 権 利 がある 個 人 は 法 により 社 会 保 険 待 遇 を 享 受 し その 使 用 者 の 本 人 のための 保 険 料 納 付 状 況 を 監 督 する 権 利 を 持 つ ( 本 法 第 4 条 ) 三 社 会 保 険 取 扱 機 構 は 社 会 保 険 サービスを 提 供 し 社 会 保 険 登 記 個 人 権 益 記 録 社 会 保 険 待 遇 の 支 払 などの 業 務 に 責 任 を 負 う ( 本 法 第 8 条 ) 四 従 業 員 は 基 本 養 老 保 険 に 参 加 しなければならない 使 用 者 と 従 業 員 は 共 同 で 基 本 養 老 保 険 を 納 付 する ( 本 法 第 10 条 参 照 ) 五 個 人 が 統 一 計 画 地 区 を 跨 いで 就 職 した 場 合 その 基 本 養 老 保 険 も 転 職 と 同 時 に 移 し 保 険 料 納 付 年 限 は 累 計 して 計 算 される 個 人 が 法 定 の 定 年 になった 場 合 基 本 養 老 金 は 各 就 職 段 階 によってそれぞれ 計 算 され 統 一 で 支 払 われる 具 体 的 な 弁 法 は 国 務 院 が 定 める ( 本 法 第 19 条 ) 六 従 業 員 は 従 業 員 基 本 医 療 保 険 に 参 加 しなければならない 雇 用 者 と 従 業 員 は 国 家 の 規 定 により 共 同 で 基 本 医 療 保 険 料 を 納 付 する ( 本 法 第 23 条 参 照 ) 七 従 業 員 は 労 災 保 険 に 参 加 しなければならない 使 用 者 が 労 災 保 険 料 を 納 付 するもの とし 従 業 員 は 労 災 保 険 料 を 納 付 しない ( 本 法 第 33 条 ) 八 国 家 は 業 種 の 労 災 リスクの 程 度 によって 各 業 種 に 異 なる 保 険 料 率 を 確 定 し 労 災 保 険 基 金 の 使 用 労 災 の 発 生 率 などの 状 況 に 基 づいて 各 業 種 内 でも 保 険 料 率 のランクを 確 定 する 業 種 ごとの 保 険 料 率 及 び 業 種 内 での 保 険 料 率 のランクは 国 務 院 社 会 保 険 行 政 部 門 が 制 定 し 国 務 院 の 認 可 を 経 て 公 布 し 施 行 する ( 本 法 第 34 条 参 照 ) 2
九 従 業 員 の 使 用 者 が 法 により 労 災 保 険 料 を 納 付 していない 場 合 において 労 災 事 件 が 生 じたときは 使 用 者 が 労 災 保 険 待 遇 を 支 払 う 使 用 者 が 支 払 わない 場 合 には まず は 労 災 保 険 基 金 からそれを 支 払 う 労 災 保 険 基 金 から 支 払 われた 労 災 保 険 待 遇 は 使 用 者 が 返 済 しなければならない 使 用 者 が 返 済 しない 場 合 社 会 保 険 取 扱 機 構 は 本 法 第 63 条 の 定 めに 返 済 を 求 めること ができる ( 本 法 第 41 条 ) 十 従 業 員 は 失 業 保 険 に 参 加 しなければならない 使 用 者 と 従 業 員 は 国 家 の 規 定 により 共 同 で 失 業 保 険 料 を 納 付 する ( 本 法 第 44 条 ) 十 一 失 業 者 が 次 に 掲 げる 要 件 に 該 当 する 場 合 失 業 保 険 基 金 から 失 業 保 険 金 を 受 領 する ( 一 ) 失 業 する 前 に 使 用 者 と 本 人 が 失 業 保 険 料 を1 年 間 納 付 していること ( 二 ) 本 人 の 意 思 によらずに 就 業 が 中 断 されたこと ( 三 ) 失 業 登 記 を 行 っており かつ 求 職 の 要 望 があること ( 本 法 第 45 条 ) 十 二 使 用 者 は 迅 速 に 失 業 者 に 対 して 労 働 関 係 の 終 了 又 は 解 除 に 関 する 証 明 を 発 行 しな ければならず 労 働 関 係 の 終 了 日 又 は 解 除 日 から15 日 内 に 失 業 者 の 名 簿 を 社 会 保 険 取 扱 機 構 に 知 らせなければならない ( 本 法 第 50 条 参 照 ) 十 三 従 業 員 は 出 産 保 険 に 参 加 しなければならない 使 用 者 は 国 家 の 規 定 により 出 産 保 険 料 を 納 付 するものとし 従 業 員 は 出 産 保 険 料 を 納 付 しない ( 本 法 第 53 条 ) 十 四 使 用 者 は 設 立 日 から30 日 内 に 営 業 許 可 証 登 記 証 書 又 は 社 印 をもって 所 在 地 の 社 会 保 険 取 扱 機 構 へ 社 会 保 険 登 記 を 申 請 しなければならない 社 会 保 険 取 扱 機 構 は 申 請 を 受 領 してから15 日 内 に 審 査 を 行 い 社 会 保 険 登 記 証 書 を 発 行 しなければならない ( 本 法 第 57 条 参 照 ) 十 五 使 用 者 は 雇 用 の 日 から30 日 内 に 当 該 労 働 者 のために 社 会 保 険 取 扱 機 構 へ 社 会 保 険 登 記 を 申 請 しなければならない 社 会 保 険 登 記 を 行 わない 場 合 社 会 保 険 取 扱 機 構 は その 納 付 すべき 社 会 保 険 料 を 査 定 する 任 意 に 社 会 保 険 に 加 入 した 従 業 員 のいない 個 人 事 業 者 ( 中 国 語 : 個 人 工 商 戸 ) 使 用 者 において 社 会 保 険 に 加 入 していないパート 従 業 員 ( 中 国 語 : 非 全 日 制 従 業 人 員 ) 及 びその 他 の 臨 時 従 業 員 は 社 会 保 険 取 扱 機 構 に 対 し 社 会 保 険 登 記 を 申 請 しな ければならない ( 本 法 第 58 条 ) 十 六 使 用 者 が 期 日 どおりに 全 額 の 社 会 保 険 料 を 納 付 していない 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 3
構 が 期 限 を 定 めて 納 付 又 は 補 充 納 付 を 出 す 雇 用 者 が 期 限 を 過 ぎてもまだ 社 会 保 険 料 を 納 付 又 は 補 充 納 付 しない 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 構 は 銀 行 及 びそのほかの 金 融 機 構 でその 預 金 口 座 を 調 査 し かつ 県 レベル 以 上 の 関 連 行 政 部 門 から 社 会 保 険 料 に 振 り 替 える 旨 の 決 定 を 申 請 した 上 で 書 面 にて その 口 座 開 設 銀 行 又 はその 他 の 金 融 機 構 に 対 して 社 会 保 険 料 に 振 り 替 える 旨 の 通 知 を 出 すことができる 使 用 者 の 口 座 にある 金 額 が 納 付 すべき 社 会 保 険 料 に 満 たない 場 合 会 社 保 険 料 徴 収 機 構 は 当 該 使 用 者 に 対 し 担 保 の 提 供 及 び 延 期 納 付 協 議 の 締 結 を 求 めることができる 使 用 者 は 会 社 保 険 料 を 完 納 しておらず かつ 担 保 も 提 供 していない 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 構 は その 価 値 が 納 付 すべき 社 会 保 険 料 に 相 当 する 財 産 への 差 し 押 さえ 及 び 競 売 を 人 民 法 院 に 申 請 し 競 売 による 所 得 を 社 会 保 険 料 の 支 払 に 充 てることがで きる ( 本 法 第 63 条 ) 十 七 県 級 以 上 の 人 民 政 府 の 社 会 保 険 行 政 部 門 は 使 用 者 及 び 個 人 による 社 会 保 険 関 連 法 律 法 規 への 遵 守 状 況 に 対 する 監 督 検 査 を 強 化 するものとする 社 会 保 険 行 政 部 門 が 監 督 検 査 を 実 施 する 際 に 検 査 を 受 ける 使 用 者 及 び 個 人 は 事 実 どおりに 社 会 保 険 の 関 連 資 料 を 提 供 しなければならず 検 査 の 拒 否 又 は 虚 偽 報 告 真 実 の 隠 隠 蔽 をしてはならない ( 本 法 第 77 条 ) 十 八 使 用 者 が 期 限 どおりに 社 会 保 険 料 を 完 納 していない 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 構 は 期 限 内 に 納 付 又 は 追 加 納 付 するよう 是 正 命 令 を 出 し かつ 未 納 日 から1 日 あたり1 万 分 の5の 滞 納 金 を 課 する 期 限 を 過 ぎても 納 付 しない 場 合 関 連 行 政 部 門 は 未 納 金 額 の 一 倍 以 上 三 倍 以 下 の 過 料 を 科 する ( 本 法 第 86 条 ) 十 九 都 市 で 就 業 する 農 村 住 民 は 本 法 の 定 めにより 社 会 保 険 に 参 加 する ( 本 法 第 95 条 ) 二 十 外 国 人 が 中 国 国 内 に 就 労 する 場 合 本 法 の 定 めを 参 照 して 社 会 保 険 に 参 加 する ( 本 法 第 97 条 ) 以 上 上 記 の 事 項 についてさらに 詳 細 な 情 報 をご 希 望 される 場 合 には 下 記 までご 連 絡 いただきます ようお 願 いいたします 森 脇 章 パートナー 弁 護 士 Email: akira.moriwaki@amt-law.com Telephone: 03-6888-1055( 東 京 事 務 所 ) 4
中 川 裕 茂 パートナー 弁 護 士 北 京 事 務 所 首 席 代 表 Email: hiroshige.nakagawa@amt-law.com Telephone: 03-6888-1174( 東 京 事 務 所 ) +86-10-6590-9060( 北 京 事 務 所 ) 本 報 告 書 は 法 令 の 一 般 的 な 解 釈 を 示 したものであり 当 事 務 所 の 法 律 上 会 計 上 税 務 上 の アドバイスを 含 むものではありません 本 報 告 書 の 著 作 権 は 出 典 が 明 記 されているものを 除 き アンダーソン 毛 利 友 常 法 律 事 務 所 に 帰 属 します 5