ブロックチェーン 導 入 における 課 題 とその 対 応 について 2016 年 8 月 23 日 株 式 会 社 NTTデータ 赤 羽 喜 治
Agenda 1. 直 近 のブロックチェーン 界 隈 のトピック Ethereumハードフォーク 問 題 ビットコイン 半 減 期 問 題 Vault OSローンチ 2. 当 社 の 取 組 と 実 装 事 例 貿 易 金 融 分 散 板 寄 せ 3. 導 入 にあたって 考 慮 すべき 安 全 面 の 課 題 ブロックチェーンを 構 成 する 技 術 各 レイヤーごとの 課 題 4. 実 システムへの 導 入 に 向 けて 2
1. 直 近 のブロックチェーン 界 隈 のトピック 3
1.1 Ethereumハードフォーク 問 題 4 2016 年 6 月 The DAO Attack 問 題 発 生 (DAO decentralized autonomous organization) スマートコントラクトを 使 って 作 られた 資 金 集 めプログラムの 脆 弱 性 をついて 不 正 送 金 が 繰 り 返 され 約 50 億 円 もの 詐 取 が 行 われかけた 事 件 正 常 時 動 作 1Split 要 求 DAO (0x1234567 ) 3 引 出 依 頼 2DAO 生 成 4 送 金 子 DAO (0x987654 ) 攻 撃 時 動 作 1Split 要 求 DAO (0x1234567 ) 3 引 出 依 頼 2DAO 生 成 3と4の ループ 4 送 金 ( 総 額 約 52 億 円 ) 子 DAO (0x987654 ) ユーザ( 自 分 の 出 資 分 を 引 き 揚 げて 別 の 資 金 集 めをしたい) 攻 撃 者 不 正 コード 埋 め 込 み 2016 年 7 月 Ethereumコミュニティがどのような 対 応 を 取 るか 注 目 されていたが 結 局 ハードフォーク(ブロックチェーンを 不 正 の 行 われる 以 前 に 巻 戻 し) となった 反 対 運 動 も 発 生 Mt Gox 事 件 と 同 じく Ethereumという 基 盤 ではなく DAOというプログラムの 脆 弱 性 が 原 因 とはいえ 本 件 で 垣 間 見 えたように 何 らかの 原 因 で 正 しくない 情 報 がブロックチェーンに 書 き 込 まれてしまった 場 合 の 運 用 対 処 方 法 は 重 要 な 観 点 となる
1.2 ビットコイン 半 減 期 問 題 5 2016 年 7 月 ブロック 生 成 の 報 酬 が 半 額 に(25BTC 12.5BTC) マイナー 業 界 への 影 響 はBTC 相 場 の 高 騰 で 限 定 的 ( ) BTC 対 ドルレート マイナー 業 者 の 収 入 取 引 所 Bitfinex への ハッキング 盗 難 事 件 により 急 落
1.3 Vault OSローンチ 6 銀 行 基 幹 システムをブロックチェーンで 置 き 換 えることを 目 指 すVault OS 発 表 Googleをスピンアウトした 技 術 者 により 設 立 されたThoughtMachine 社 が 開 発 LINUXベース クラウド(AWS) 上 で 提 供 (BaaS) ブロックチェーンを 謳 う 傍 らで 中 央 集 権 型 パーミッション 型 とも 言 っていて 詳 細 は 不 明
2. 当 社 の 取 組 と 実 装 事 例 7
貿易金融分野へのブロックチェーン技術の利用 Ethereum を用いて 貿易金融のL C発行に係る業務の一部をプロトタイプ実装し検証いたしました 本PoCでの検証対象となる機能は 以下の通りです ①信用状発行依頼 ②信用状発行 開設依頼の受付 ③信用状確認 開設取引の照会 従来型システムの処理の流れ 海外 Ethereumのブロックチェーン技術を活用した処理の流れ 国内 海外 (3) 与信 枠確認 (5) 確認 オリックス銀行様 海外コルレス銀行 (海外コルレス銀行) 静岡銀行様 信用状発行銀行 (4) L/C発行 (4) L/C発行 通知銀行 買取銀行 SWIFT/郵送 税関 船会社 通知銀行 買取銀行 (3) 与信 枠確認 ③ ③ (5) L/C確認 (5) L/C確認 静岡銀行様 信用状発行銀行 (4) L/C発行 ブロックチェーン でL/Cを共有 ② 税関 (2) L/C発行依頼 (2) L/C発行依頼 (6) L/C発行 到着通知 オリックス銀行様 海外コルレス銀行 (海外コルレス銀行) 国内 船会社 ブロックチェーン ネットワーク L/C Ethereum contract 外為ネットバンキング 税関 税関 (2) L/C発行依頼 オリックス 輸出者 銀行様 Shipper (7)確認 (7) 確認 (輸出者) (1) 売買契約 オリックス様 輸入者 Buyer (輸入者) オリックス 輸出者 銀行様 Shipper (輸出者) 輸入者 オリックス様 Buyer (輸入者) (1) 売買契約 ③ ① (5) L/C確認 (5) L/C確認 ③ 分散型アプリケーションの構築プラットフォーム ブロックチェーンの支払いの仕組み以外に 独自の振る舞いを持つコントラクトをプログラマブルに定義可能となっており 様々な拡張が容易であることが特徴 8
検証内容 検証範囲 アプリケーション概要 (2) 与信 枠確認 オリックス銀行様 海外コルレス銀行 通知銀行 買取銀行 (4) L C確認 船会社 税関 ブロックチェーン でL Cの情報を共有 (4) L C確認 (3) L C発行 ブロックチェーン ネットワーク Ethereum [凡例] (1) L C発行依頼 (4) L C確認 システム構成 ②User Webブラウザ ③Flow IE JavaScript データ取得 (JSON-RPC接続) 各種関係者 処理 (4) L C確認 Contract構成 ①ControllerContract 全てのContract処理の起点(呼び出しの窓口) ②UserContract ユーザ毎の権限設定を管理 ③FlowContract 全てのL Cのアドレスを保有 ④MasterContract 画面に共通的に表示するコードや値を保持 ⑤DataContract(L C) L Cの内容を保持 Contract 税関 各種 contract オリックス銀行様 輸出者 静岡銀行様 信用状発行銀行 ① Controller Ethereum node ④ Master ⑤Data (L C) オリックス様 輸入者 ブロックチェーンの各ブロック へ個別に格納された各種 コントラクト アプリケーショ ンプログラム が連携し L Cを生成し フロー制御で ステータスを更新する 更新結果はブロックチェーンに 格納 保持される 9
分 散 証 券 取 引 プラットフォーム 検 証 範 囲 10 証 券 取 引 全 体 にブロックチェーン 技 術 を 適 用 トレード ポストトレード 株 式 発 行 注 文 注 文 受 付 価 格 の 決 定 ( 約 定 ) 権 利 移 転 今 回 検 証 した 範 囲 ク リ ア リ ン グ 決 済 今 まで 検 証 された 範 囲
分散証券取引におけるスマートコントラクト構成 注文コントラクト 銘柄コントラクト <変数> 銘柄名 銘柄コード 所有者リスト 発行済株数 現在価格 など <メソッド> 投資家追加 権利移転 保有株情報取得 銘柄情報取得 所有者リスト取得 増資 減資 <メソッド> 注文受付 注文内容取得 注文内容更新 注文削除 投資家B 投資家A 投資家A ブロックチェーン ネットワーク 銘柄A 取引コントラクト 投資家C 投資家B 投資家C <メソッド> 価格決定 板寄せ 注文 運営会社コントラクト 銘柄B 投資家コントラクト 投資家E <変数> 氏名 住所 残高 買付余力 所有銘柄リスト <メソッド> 買い注文 売り注文 注文履歴取得 取引履歴取得 所有銘柄情報取得 銘柄C 取引 運営会社X 投資家E 投資家D 投資家D [凡例] 運営会社 Ethereum node <変数> 管理銘柄一覧 残高 <メソッド> 板寄せ実行 クリアリング実行 決済 これらのコントラクトが互いに連携し 自律的に価格を決定し その結果より 所有権の移転 決済を実行する 11
12 詳 しくは 日 経 FinTech5 月 号 をご 参 照 ください
3. 導 入 にあたって 考 慮 すべき 安 全 面 運 用 面 の 課 題 13
主 要 なブロックチェーンプラットフォーム 実 装 14 名 称 開 発 元 特 徴 Bitcoin Core Bitcoin Core オリジナルのビットコインクライアントの 後 継 Ethereum Hyperledger Fabric Corda Chain OS 1 Ethereum Foundation Hyperledger Project R3 Chain スマートコントラクトを 使 用 してコインの 移 転 以 外 にも 広 く 使 える PoWではなくBFTを 使 うのでブロックの 生 成 が 速 い 認 証 の 仕 組 みを 標 準 で 持 つ 参 加 者 間 ですべてのデータが 共 有 されるわけで はない 一 貫 性 の 維 持 にSimplified BFTを 使 う mijin Orb Eris テックビューロ Orb Eris Industries Proof of Stakeを 使 用 するが 高 速 な 処 理 を 指 向 ブロックチェーンのフォークによるトランザク ションの 手 戻 りリスクの 低 減 Ethereumから 派 生 し 許 可 型 ネットワーク 向 け に 改 造 したもの
各ブロックチェーン実装の構成比較と課題 ブロックチェーンを構成する各技術のレイヤごとに技術の深堀と検証が必要 メンバーシップ管理など 従来システムと同様の安全対策が求められるレイヤーと ブロックチェーンならではの観点が求められるレイヤーとがあり 特に後者についての蓄積が求められている 拡張機能 メンバー管理 安全対策 スマートコントラクト コンセンサスアルゴリズム メンバー管理 認証 Membership services Contract chaincode 言語 Go Java 言語 Solidity 他 Sieve PBFT PoS PoW PoW PoW,Paxos,RAFT 偽造防止 暗号化 Public-key crypto Crypto Hash Public-key crypto Crypto Hash Public-key crypto Crypto Hash P2Pネットワーク Discovery Management Message Format Discovery Management Message Format Discovery Management grpc, Protocol Buffers 運用 周辺機能 bitcoin パブリック型 ethereum 補完していく領域 ブロックチェーン 特有 監視 Hyperledger Fabric コンソーシアム型 15
P2Pネットワーク 16
P2Pネットワークの 分 類 と 特 徴 (1) 17 主 なP2Pネットワークの 形 態 ハイブリッドP2P 探 索 用 のインデックス サーバを 持 つ ピュアP2P 全 ノードが 同 じ 役 割 スーパーノード 型 メンバシップ 管 理 など 特 定 のノードが 管 理 機 能 を 持 つ シンプルでシステムを 管 理 しやすい システムに 中 心 を 持 つため スケーラビリティや 耐 障 害 性 が 十 分 に 発 揮 されにくい スケーラビリティや 耐 障 害 性 が 高 い 実 装 が 複 雑 ノード 数 が 増 えた 場 合 に マシン リソース 消 費 拡 大 の 懸 念 ハイブリッドP2Pとピュア P2Pの 長 所 を 併 せ 持 つ スーパーノードがSPOFに なりやすいため 対 策 が 必 要
安 全 面 運 用 面 で 考 慮 すべきこと 18 パフォーマンス 転 送 回 数 やネットワーク 遅 延 等 - P2Pネットワーク 上 で 動 作 するブロックチェーンは クライアント サーバ 型 のシステム と 比 較 して 遅 延 が 懸 念 されるため リアルタイム 性 を 求 められる 領 域 での 適 用 が 難 しい とされている 確 実 性 ブロードキャスト -ブロックチェーンネットワーク 全 体 で 同 期 が 可 能 か - 到 達 保 証 ( 受 信 確 認 )はどうするか ノードやネットワークの 信 頼 性 -ブロックチェーンが 有 効 に 動 作 するために 最 低 限 必 要 なノード 数 や これを 下 回 った 際 の 運 用 ルールの 策 定 が 必 要 -ノード 障 害 を 考 慮 したネットワーク 設 計
偽 造 防 止 暗 号 化 19
ブロックチェーンにおける 電 子 署 名 の 利 用 20 ブロックチェーンにおける 偽 造 改 ざん 防 止 は 既 知 の 暗 号 化 技 術 である 電 子 署 名 とハッシュを 組 み 合 わせるこ とで 実 現 している トランザクションにおける 電 子 署 名 の 利 用 電 子 署 名 による 本 人 性 保 証 トランザクション トランザクション トランザクション 花 子 さんの 公 開 鍵 次 郎 さんの 公 開 鍵 三 郎 さんの 公 開 鍵 ハッシュ ハッシュ ハッシュ 検 証 検 証 太 郎 さんの 署 名 花 子 さんの 署 名 次 郎 さんの 署 名 花 子 さんの 秘 密 鍵 署 名 次 郎 さんの 秘 密 鍵 署 名 三 郎 さんの 秘 密 鍵 ブロックチェーンでは 各 トランザクションに1つずつ 電 子 署 名 が 付 与 される また 電 子 署 名 を 検 証 するための 公 開 鍵 もセットで 付 与 される ビットコインを 例 にとると 電 子 署 名 と 公 開 鍵 がセットで 付 与 されることで 過 去 ビットコイン 上 で 行 われた 全 ての 取 引 を 順 次 検 証 することができる ビットコインの 電 子 署 名 を 検 証 することで 以 下 を 確 認 することができる 第 三 者 が 取 引 内 容 を 偽 造 改 ざんしていないこと 第 三 者 がなりすましを 行 って 取 引 を 行 っていないこと コインの 正 しい 所 有 者 が 確 かに 取 引 を 行 ったこと (そんな 取 引 はしていないと 否 認 することを 防 止 )
ブロックチェーンにおけるハッシュの 利 用 21 ブロックチェーンにおける 偽 造 改 ざん 防 止 は 既 知 の 暗 号 化 技 術 である 電 子 署 名 とハッシュを 組 み 合 わせるこ とで 実 現 している ブロック 生 成 時 におけるハッシュの 利 用 ハッシュによる 改 竄 防 止 ブロックヘッダ1 前 ブロックヘッダの ハッシュ 値 ナンス ハッシュ ブロックヘッダ2 前 ブロックヘッダの ハッシュ 値 ナンス ハッシュ 前 ブロックヘッダの ハッシュ 値 ハッシュ 木 のルート ハッシュ 難 易 度 に 指 定 された 閾 値 と 比 較 小 大 ブロックヘッダ3 前 ブロックヘッダの ハッシュ 値 ブロック 生 成 成 ナンス 功! ハッシュ 木 のルート ハッシュ 木 のルート ナンス トランザクション1 トランザクション1 ナンスを 変 更 ハッシュ 木 のルート トランザクション1 トランザクション2 トランザクション3 : トランザクション2 トランザクション3 : 照 合 トランザクション1 トランザクション2 ハッシュ ハッシュ 木 のルート トランザクション2 トランザクション3 : トランザクション3 ブロックチェーンでは 複 数 のトランザクションをまとめたブロックを 作 り ブロックには 前 のブロックのハッ シュを 付 与 する また ハッシュの 計 算 に 使 用 するナンスと 呼 ばれる 値 もセットで 付 与 される ブロックに 付 与 されるハッシュは 1つ 前 のブロックをハッシュ 関 数 に 入 力 することで 生 成 される そのため あるブロックの 内 容 を 偽 造 改 ざんすると ハッシュ 関 数 の 特 性 により その 次 のブロックに 付 与 す るハッシュが 変 わり 同 様 に 以 降 全 てのブロックに 付 与 するハッシュが 変 わる 偽 造 改 ざんを 成 功 させるためには これら 全 てのハッシュを 再 計 算 しなければならず 偽 造 改 ざんを 困 難 に する
安 全 面 運 用 面 で 考 慮 すべきこと 22 秘 匿 情 報 をどのように 扱 うか ブロックチェーンにおける 暗 号 化 技 術 の 利 用 は 偽 造 改 ざんを 防 止 するためのものであり 取 り 扱 うデータそのものは 暗 号 化 されていない そのため ブロックチェーンで 機 密 情 報 や 個 人 情 報 等 を 扱 いたい 場 合 に どのように 情 報 を 秘 匿 化 するか 検 討 する 必 要 がある 暗 号 技 術 を 利 用 したシステムにおける 運 用 課 題 鍵 管 理 - 鍵 ペアの 有 効 期 間 の 管 理 新 しい 鍵 への 置 き 換 え 等 暗 号 技 術 の 危 殆 化 -ハッシュ 関 数 や 電 子 署 名 は 時 間 の 経 過 と 共 にその 強 度 が 弱 くなる 運 命 - 量 子 コンピュータが 登 場 すると 電 子 署 名 の 有 効 性 が 失 われる (ブロックチェーンは 長 期 的 に 運 用 される 前 提 にも 関 わらず 検 討 がされていない セキュリティ 界 隈 では 取 り 組 みは 始 まっている( 英 Post Quantum 等 )) 実 装 面 での 脆 弱 性 トランザクション 展 性 のような 実 装 面 で 脆 弱 性 が 入 り 込 んでいないかの 検 証 ビットコインで 問 題 となった トランザクションの 一 部 が 署 名 対 象 となっていなかった ことに 起 因 する 脆 弱 性 デジタル 署 名 が 検 証 可 能 のままで 取 引 データが 改 ざん 可 能 だった MtGOX 事 件 などでも 取 り 上 げられた
コンセンサスアルゴリズム 23
コンセンサスアルゴリズムとは 分 散 ネットワーク 上 で 各 ノードが 合 意 形 成 をするためのアルゴリズム コンセンサスアルゴリズムの 一 つとしてPoWがある PoW(Proof of Work) -Proof-of-Workアルゴリズムは 取 引 情 報 (Block)を 時 系 列 にチェインし ひとつ 前 の 取 引 情 報 のハッシュ 値 (タイムスタンプを 含 む)を 元 に 自 取 引 のハッシュ 値 を 生 成 / 設 定 する 仕 組 み - 改 ざん/ 複 製 する 場 合 一 部 だけの 改 ざんでは 矛 盾 が 発 生 する 為 過 去 に 遡 ってハッシュ 値 を 書 き 替 える 必 要 がある 過 去 に 遡 ってハッシュ 値 を 書 き 替 える 為 には 膨 大 なコンピューターリソースが 必 要 -BitcoinはコンセンサスアルゴリズムとしてPoWを 用 いている 同 時 に 作 られた ブロック 長 い 方 を 正 当 な ブロックとする 同 時 に 作 られた ブロック PoS(Proof of Stake) PoI(Proof of Importance) -Proof of Workへの 代 替 案 (マイニングによる 消 費 電 力 がない 等 ) -コインを 持 っている 割 合 (Stake)や 重 要 性 でブロックの 承 認 の 割 合 を 決 める 24
コンセンサスアルゴリズムとは BitcoinではPoWでコンセンサスを 成 立 させていたが ブロックチェーン 的 には 他 にも 様 々なコ ンセンサスアルゴリズムが 提 唱 実 装 されている Raft -P2Pなアルゴリズムと 異 なり Leaderが 存 在 する -CandidateからLeaderを 選 び Leaderを 中 心 にデータを 送 信 しコミットしてから 合 意 に 達 する Paxos -L. Lamportが 提 案 -State MachineはProposers Acceptors Learnersのいづれかの 役 割 を 果 たし コンセンサスの 合 意 を 目 指 す PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance) -M. Castro と B. Liskovが 提 案 -Client Validator Execution Agreementから 構 成 Sieve -PBFTを 拡 張 したアルゴリズム -Client Validator Replicaから 構 成 Hyperledger Fabricではこれらの 実 装 が 差 し 替 え 可 能 となることを 目 指 す 25
アルゴリズムの 例 :PBFTの 動 作 概 要 26 1. クライアントが 命 令 をすべてのサーバー(Replica 0~3)に 送 る 2. primary は 実 行 順 序 nをつけた 上 で 命 令 を 他 のすべてのサーバーへ 送 付 する 3. 各 サーバー は 命 令 を 受 け 取 ったら 他 のサーバー に 受 け 取 った 合 図 を 送 る リーダー による 合 意 形 成 4. 各 サーバーは 3 で 他 のサーバーが 送 付 した PREPARE メッセージを 受 け 取 る ある 一 定 数 以 上 の 他 のサーバーからのPREPAREメッセージが 集 まったら 他 のサーバーに 受 け 取 った 合 図 を 送 付 する 5. 各 サーバーは 4 で 他 のサーバーが 送 付 したCOMMITメッセージを 受 け 取 る ある 一 定 数 以 上 の 他 のサーバーからの COMMIT メッセージが 集 まったら そのサーバーのコミット 命 令 として 登 録 する 実 行 順 序 n 未 満 のコミット 命 令 がすべて 実 行 されていれば この n 番 目 の 命 令 を 実 行 する そうでなければ n 未 満 の 数 値 の 命 令 がコミットされるまで この 番 号 の 命 令 に 関 しては 実 行 を 保 留 する 実 行 結 果 をクライアントに 送 る(REPLYメッセージ) 6. クライアントは 各 サーバーが 送 付 したREPLYメッセージを 受 け 取 る ある 一 定 数 以 上 のサーバーからのメッセージが 集 まったら 中 身 がすべて 同 じか 確 認 する 同 じ REPLYメッセージがある 一 定 数 以 上 あれば REPLY の 値 として これを 実 行 結 果 とする 1 6 primary =リーダー 2 3 4 5
安 全 面 運 用 面 で 考 慮 すべきこと 27 コンセンサスアルゴリズム 毎 の 属 性 ( 耐 障 害 性 対 攻 撃 性 ) 把 握 Primaryノード 障 害 発 生 時 のリーダー 交 替 プロセスの 振 る 舞 いや 各 ノードの 異 常 動 作 時 (リーダー リーダー 以 外 )の 振 る 舞 いについての 検 証 が 必 要 ex. ノード 障 害 により リーダーが 交 替 し 続 け コンセンサス 形 成 に 非 常 に 時 間 がかかる 事 象 等 分 断 耐 性 - 分 断 時 に 複 数 のブロックチェーンに 分 岐 が 発 生 し 分 断 解 消 時 に 上 書 き 等 の 問 題 が 発 生 する 耐 攻 撃 性 -クエリー 内 容 の 改 ざんやエクリプス 攻 撃 等 への 対 応 eclipse 攻 撃 のイメージ
スマートコントラクト 28
スマートコントラクトの分類 スマートコントラクトの実行環境は 実装によって様々な形態がある 例1 Ethereum EVMという 仮想マシン 上でプログラムを実行するEthereum 例2 ノードの実際のOS環境上でネイティブなプログラムを実行するHyperledger Fabric ある程度の制約のかかるEthereumと一般のプログラムと同じ自由度のあるHyperledger Fabric ネイティブ型 仮想マシン型 (Ethereum) コントラクトX Hyperledger Fabric 実OS環境 CC CC:チェーンコード WS:ワールドステート プロパティ ステート B Node1 EVM Peer1 処理 ステート変更( ) WS 実OS環境 Node2 EVM Node4 EVM CC Peer4 Peer2 実OS環境 WS WS CC Peer3 Node3 EVM WS WS プロパティ ステートB CC 実OS環境 29
安 全 面 で 考 慮 すべきこと 30 コントラクト 自 体 の 脆 弱 性 コントラクトコードのバグ 脆 弱 性 をついて 不 正 な 処 理 を 実 行 されることが 考 えられる 例 )The DAO Attack 事 件 ブロックチェーン 自 体 の 脆 弱 性 ではなくとも コントラクトの 脆 弱 性 により 誤 った 記 録 が ブロックチェーンに 書 き 込 まれるという 事 象 攻 撃 ではなくともコントラクト 自 体 のバグに より 同 様 の 問 題 が 発 生 するリスクがある( 従 来 のシステムと 同 様 のリスクが 存 在 ) スマートコントラクトの 実 行 環 境 配 布 方 式 自 由 度 の 高 さと 安 全 性 は 基 本 的 に 二 律 背 反 プログラムの 安 全 性 がどのように 担 保 されて いるのか 実 装 ごとに 確 認 が 必 要 仮 想 マシンで 実 行 環 境 を 分 離 したり 機 能 やリソースを 制 限 したりすることにより 不 具 合 や 悪 意 のあるコードへのある 程 度 の 問 題 の 緩 和 はできるが 開 発 生 産 性 や 実 行 効 率 に 影 響 がある スマートコントラクトプログラムを 一 般 的 なプログラミング 言 語 で 書 き コンピュータ 上 で 直 接 動 作 させるのは 効 率 は 良 いが 不 具 合 や 悪 意 のあるコードへの 考 慮 がより 重 要 になる
安 全 面 運 用 面 の 課 題 まとめ 31 安 全 面 の 課 題 ブロックチェーンに 関 する 安 全 性 の 定 義 が 定 まっておらず その 結 果 十 分 な 安 全 性 の 検 証 がなされているとは 言 いがたい ブロックチェーン 基 盤 だけでなく その 上 で 実 行 されるプログラムの 安 全 性 を 担 保 する 手 段 についても 十 分 な 検 証 が 必 要 運 用 面 の 課 題 ブロックチェーンに 誤 った 情 報 が 書 き 込 まれた 際 の 対 応 については 検 討 と 検 証 が 必 要 P2Pネットワークに 分 断 が 発 生 した 際 に 運 行 を 続 行 するか 停 止 するかといったルール 作 りも 必 要 となる コンソーシアム 型 パブリック 型 といった 切 り 口 でも 運 用 の 考 え 方 は 大 きく 変 わる ブロックチェーンは 安 全 面 の 課 題 がある 危 ない 技 術 というメッセージではない 過 去 に 出 現 した 様 々な 新 規 技 術 と 同 様 に 検 証 すべき 項 目 が 数 多 く 残 されているということ 原 理 的 に 大 丈 夫 という 言 葉 の 及 ぶ 範 囲 実 装 とのGAPをしっかりと 意 識 する 必 要 がある ブロックチェーンはパーツの 一 つでしかない
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