講 義 における 聴 覚 障 害 学 生 への 教 育 的 配 慮 について 河 野 純 大 先 生 ( 筑 波 技 術 大 学 准 教 授 ) 1. 講 義 時 の 心 がまえ みんなの 一 歩 ずつの 歩 み 寄 りが 大 切 私 が 言 いたいのはここです 教 員 として 誰 に 向 かって 講 義 していますか? 講 義 にはいろいろな 学 生 が 来 ています そして きこえ ない 学 生 もいるということです 目 の 前 の 学 生 にきちん と 伝 えるという 気 持 ちを 先 ず 持 って 欲 しいと 思 います 例 えば 講 義 の 話 がわかりにくくて 字 幕 になっていな かったり 手 話 通 訳 が 止 まっていたりすることがありま す 講 義 しながら 字 幕 や 手 話 がどこまで 話 についてき ているか 機 能 しているかを 見 るくらいの 気 持 ちを 持 っていただきたい それができれば 大 丈 夫 です きこえない 学 生 と 一 緒 に 学 ぶ 学 生 講 義 室 の 状 況 は? 普 段 の 講 義 時 にはないものがある 訳 です 手 話 通 訳 や 字 幕 です 何 をしているのかなあ? と 興 味 を 持 って 欲 しいです この 仕 組 みがわかれば 普 通 の 感 覚 だと 私 語 はしなくなると 思 います 沢 山 いる 学 生 の 中 にきこえない 学 生 もいる 状 況 で 今 日 お 昼 何 食 べる? というような 私 語 がきこえると 手 話 通 訳 者 も 字 幕 を 打 つ 人 も 出 来 なくなってしまいます そういう 配 慮 をする!というこ とです 支 援 学 生 支 援 技 術 の 状 況 は? ノートテイク パソコン 通 訳 者 も 自 分 の 持 っている 技 術 をもっともっと 高 めて いい 情 報 保 障 にするという 気 持 ちを 持 って 欲 しいと 思 います 聴 覚 障 害 学 生 待 っているだけでは 何 も 変 わりません 黙 って 我 慢 していると 周 りは 満 足 していると 勘 違 いをします 自 らも 積 極 的 にコミュニケーションをとって 自 分 に 必 要 なものは 何 か? どのような 情 報 保 障 を 望 むのか? 何 が 足 りなくて どう 改 善 すればいいのか? 意 見 が 言 え る 人 になって 欲 しいです 大 学 職 員 コーディネートの 状 況 は? 私 の 希 望 を 言 わせてもらいますと コーディネーターや 大 学 の 職 員 は 全 部 を 知 っていっ て 欲 しいです きこえない 学 生 を 教 えている 先 生 の 状 況 はどうなのか?ノートテイカーは 上 手 く 仕 事 が 出 来 ているか?きこえない 学 生 は 休 まず 来 て 眠 らないで 授 業 を 受 けている か?そういうことも 含 め 上 手 く 講 義 の 情 報 保 障 が 回 っているかチェックをする 見 渡 せる 人 であって 欲 しいと 思 います
最 近 このノートテイカーさん 元 気 がないけどどうしたんだろう? とか 上 手 く 書 け ないという 気 持 ちがあるから 元 気 がないのか? など その 辺 りまで 気 を 配 り 上 手 く 回 わ せるようになって 欲 しいです 講 義 保 障 には 様 々な 人 達 がかかわります これらの 人 達 それぞれが ちょっとずつ 近 づ いてより 良 いものにしていくのだという 気 持 ちを 持 っていれば それだけで 明 日 から 良 く なると 信 じています 2. 情 報 保 障 とその 周 辺 先 生 の 話 声 を 文 字 情 報 に 変 えるノートテイク パ ソコンノートテイク 手 話 情 報 に 変 える 手 話 通 訳 と あります FM 補 聴 器 など 補 聴 器 による 保 障 もあり ます これらは 学 生 のきこえのレベルや これまでの 環 境 でどのようなコミュニケーション 方 法 をとって きたかによって 異 なるので それぞれの 状 況 状 態 に 合 わせた 保 障 手 段 を 相 談 して 決 めて 欲 しいと 思 います 情 報 保 障 を 介 した 講 義 での 配 慮 事 項 教 員 側 のテクニック 集 授 業 準 備 編 先 生 は 授 業 の 主 役 ですから 主 役 は 主 役 らしく そ こそこ 準 備 はして 欲 しいです 余 裕 をもった 資 料 作 成 予 習 する 時 間 を 与 える 為 には 次 の 週 の 講 義 の 大 体 の 流 れだけでも レジュメだけでも 構 わないので 作 成 しておくといいと 思 います ビデオには 字 幕 付 与 取 り 込 んでいる 大 学 もありますが まだの 所 は 相 談 をしてやっていただきたいと 思 います わりと 手 軽 なソフトで 出 来 ますし そんなに 高 価 なものでなくても 出 来 ます ただ 字 幕 付 与 には 時 間 がかかるので 最 低 限 使 用 する 2 週 間 くらい 前 までに 依 頼 するという 余 裕 が 欲 しいです 授 業 中 編 常 に 心 にゆとりを!なかなか 難 しいです 情 報 保 障 者 に 対 する 配 慮 した 喋 り 方 をして 欲 しいで す 目 標 としては ゆっくり 話 してもらいたいが ゆ
っくり 話 すのは 普 段 と 違 ってやりにくいものです その 場 合 は 大 事 なところは 繰 り 返 し 言 って 下 さい そうすると 手 書 きの 場 合 は 丸 囲 みが 出 来 ますので 大 事 だということが 伝 えやすくなります そういうあたりで 話 し 方 に 工 夫 をしてもらいた いと 思 います 今 も 私 は 話 しながら 時 々パソコンや 手 話 通 訳 を 見 て 自 分 の 話 が 早 くなっていないか 確 認 しています 開 始 前 に 確 認 と 終 了 後 にお 礼 これは 情 報 保 障 の 準 備 が 出 来 ていないのに 授 業 を 始 めてしまう 先 生 がいます 今 から 授 業 を 始 めますけど 準 備 はいいですか? と 確 認 していただき 終 了 後 には 今 日 はお 疲 れ 様 でした ありがとうございました という 言 葉 をかけていただきたいのです 私 の 喋 りは 打 ちにくいだろうと 思 って 喋 っているので いつもすみません という 気 持 ちでいま す 今 どこを 見 て 欲 しいのか 先 生 に 常 に 考 えて 欲 しい 大 事 なことです 大 事 なこ とは 見 ます きこえる 人 は 資 料 を 見 ながら 話 をき くということが 出 来 ますが きこえない 人 には 出 来 ません 資 料 を 読 んで 欲 しい 時 読 んでいる 間 は 読 み 終 わるのを 待 ってください 読 み 終 わったのを 確 認 してから 資 料 の 説 明 することが 大 事 と 思 います また 聴 覚 障 害 学 生 がメモをとっているような 時 も その 間 は 情 報 保 障 を 見 ることは 難 しいので 少 し 待 つなど 常 に 学 生 の 様 子 に 気 を 配 ってい ただきたいです 100 人 の 中 のたった 1 人 かもしれませんが このくらいの 気 持 ちで 臨 んで いただきたいと 思 います 今 は 手 話 通 訳 を 見 て 欲 しいのか テイクしているノートを 見 て 欲 しいのか はたまた ま ずはスライドを 見 て 欲 しいのか 目 線 をどこに 誘 導 するのかを 意 識 して 講 義 していただけ ると 非 常 に 学 生 は 授 業 が 受 けやすくなります 身 ぶりを 激 しくして 先 生 に 注 目 して 欲 し い 時 は 先 生 を 見 て! と 誘 導 していただくといいと 思 います 授 業 後 編 授 業 が 終 わった 後 のアフターケアも 大 切 です 講 義 内 容 が 伝 わったかどうか テイクされたノート や 字 幕 内 容 の 確 認 をして 自 分 が 話 した 内 容 が 文 字 ノートを 通 して 学 生 にきちんと 伝 わっているか 確 認 をして 欲 しいと 思 います 学 生 や 支 援 者 の 満 足 度 の 把 握 学 生 に ちゃんとわかった? とか テイカーに 今
日 はどの 辺 が 書 きにくかった? というコミュニケーションをとって 欲 しいと 思 います ノートテイクがいる 手 話 通 訳 がついているからといって 任 せっぱなしにせずに これら の 人 と 一 緒 に 授 業 を 伝 えるという 気 持 ちでいていただきたいと 思 います また それを 受 けている 学 生 が 誰 なのか 把 握 できている 時 は その 学 生 に 確 認 をとりながら 進 めるという ことを 心 がけて 頂 ければと 思 います まわりのフォロー 体 制 職 員 コーディネーターさんは 情 報 保 障 者 養 成 や 教 員 と 聴 覚 障 害 学 生 支 援 学 生 との 関 係 がうまくいっ ているのか 授 業 後 もフォローする 形 を 考 えて 欲 しい と 思 います 支 援 学 生 は 利 用 学 生 と 教 職 員 と 上 手 くコミュニケ ーションをとって 欲 しいです 場 所 は 忘 れましたが 以 前 パソコン 通 訳 を 出 している 所 へ 行 き これはおかしいなぁ と 感 じたことがありました 支 援 をしている 学 生 さんに 表 示 される 文 字 が 読 みにくくな いか 尋 ねると 利 用 学 生 にきいてください と 言 われました 何 か 違 う この 文 字 の 大 きさでいいか?フォントはこれでいいか? と 支 援 している 学 生 と 聴 覚 障 害 学 生 がお 互 いにやりとりして 確 認 すれば 信 頼 関 係 もできていいと 思 うのですが ちょっとしたことではありますが なぜその 一 言 が 言 えないのか? と 感 じました 一 緒 に 受 講 する 学 生 は 情 報 保 障 のしやすい 環 境 への 配 慮 を 心 がけて 欲 しいと 思 います 私 語 をしないようにしたり 或 いは 学 生 が 情 報 保 障 を 受 けやすいよう パソコンの 席 を 譲 るというような 配 慮 が 出 来 るようになってくれるといいと 思 います 今 私 たちの 大 学 で DVD を 作 っています タイトル は 高 等 教 育 機 関 における 聴 覚 障 害 学 生 支 援 です そこでは いろいろな 大 学 を 紹 介 したり コーディ ネーターにはどのような 苦 労 があるのかインタビュー をしています 是 非 講 義 方 法 の 良 い 例 悪 い 例 を 見 て 欲 しいと 思 います 情 報 保 障 を 使 った 良 い 例 悪 い 例 を 映 像 とし てまとめています 3.ほんのちょっと 集 ちょっとした 手 話 単 語 の 表 現 先 生 としては ありがとう と お 疲 れ 様 でした の 2 つの 手 話 を 覚 えていただきたいです
また 学 生 が 喜 ぶ 手 話 は 終 わる です 学 生 は 早 い 時 間 に 講 義 が 終 わるのが 嬉 しいので 私 はいつも 早 く 終 わる と 言 って 喜 ばせておいて 実 は 長 く 喋 っています ありがとう と お 疲 れ 様 でした は きこえない 学 生 にも 通 じますので 覚 えてあげる といいと 思 います コミュニケーションの 基 本 必 ず 確 認 をとるということです 自 分 の 話 した 内 容 が 相 手 に 伝 わっているか? 相 手 が 言 っていることを 自 分 がとれているか? 確 認 をきっちりするということです いつでも どこでもコミュニケーション 私 は 聴 覚 障 害 学 生 とはどこで 会 うかわからないので 筆 談 用 の 紙 を 持 ち 歩 いています いつ 誰 に 会 ってもコミュニケーションがとれます 相 手 のコミュニケーションモードの 把 握 ひと 口 に 聴 覚 障 害 学 生 と 言 ってもきこえのレベルはまちまちです その 学 生 は 手 話 が 出 来 るか? 出 来 ないか? 難 聴 でも 電 話 ができる 学 生 もいます それぞれの 学 生 のコミュニケーションモードが 何 のか? 状 態 を 知 って 接 することを 心 がけ ていただければ コミュニケーションがとれてくると 思 います 遠 隔 情 報 保 障 システム 手 話 通 訳 や 字 幕 を 打 つ 支 援 者 がこの 現 場 にはいません インターネットなどを 通 して 別 の 場 所 で 情 報 を 飛 ばし その 場 所 から 手 話 通 訳 或 いは 字 幕 を 打 ってこちらに 返 すということ をやっています このシステムがもっと 広 がれば 遠 方 まで 支 援 をしに 出 かけ なくて 済 みます 例 えば 東 京 にいて 仙 台 の 大 学 の 情 報 保 障 が 出 来 てしまうのです 大 事 なことは みんなが 少 しずつ 一 歩 ずつ 近 づいていくことです それだけでも 随 分 変 わります というのが 私 の 一 番 言 いたかったことです