所 得 階 級 別 にみる 消 費 の 変 化 について 家 計 の 所 得 を 勤 労 者 の 現 金 給 与 総 額 でみると 9 年 月 期 をピクに 減 少 に 転 じ た 後 年 79 月 期 を 底 にやや 持 ち 直 していたが 8 年 になって 伸 び 悩 みがみられ る 同 様 に 家 計 の 最 終 消 費 支 出 は 概 ね 右 肩 上 がりの 増 加 が 続 いていたが 8 年 に なって 伸 び 悩 んでいる( 第 Ⅱ-- 図 ) 注 注 そこで 最 近 の 世 帯 ( 二 人 以 上 の 勤 労 者 世 帯 ) ) あたりの 消 費 支 出 について い わゆるバブル 崩 壊 後 の 年 当 時 や 所 得 の 減 少 が 底 を 打 った 年 当 時 と 比 較 しながら 可 処 分 所 得 との 関 係 を 確 認 するとともに 所 得 の 違 いによる 消 費 支 出 の 費 目 構 成 比 や その 変 化 をみることによって 最 近 の 消 費 の 特 徴 について 考 察 する 第 Ⅱ-- 図 GDP( 実 質 家 計 最 終 消 費 支 出 ) と 実 質 現 金 給 与 総 額 の 推 移 ( 季 節 調 整 済 ) ( 年 =) GDP( 実 質 家 計 最 終 消 費 支 出 除 帰 属 家 賃 ) 実 質 現 金 給 与 総 額 ( 常 雇 * 実 質 現 金 給 与 総 額 ) 9 9 8 ⅠⅡ ⅢⅣⅠⅡ ⅢⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣ ⅠⅡ ⅢⅣ ⅠⅡ ⅢⅣⅠⅡ ⅢⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠⅡⅢ ⅣⅠⅡ ⅢⅣ ⅠⅡ ⅢⅣ 年 6 年 7年 8年 9 年 年 年 年 年 4年 年 6年 7年 8年 資 料 : 国 民 経 済 計 算 ( 内 閣 府 ) 毎 月 勤 労 統 計 調 査 ( 厚 生 労 働 省 ) () 可 処 分 所 得 と 消 費 支 出 の 関 係 可 処 分 所 得 は 増 加 傾 向 が 続 いていたが 9 年 をピクに 減 少 傾 向 に 転 じ 8 年 は 注 ) 9 年 ピク 時 の 89%の 水 準 になっている これを 年 間 収 入 階 級 別 にみると 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅳ 階 級 は 年 以 降 4 年 まで 低 下 し その 後 8 年 までほぼ 横 ばい 傾 向 にある が 第 Ⅴ 階 級 のそれは7 年 に 増 加 に 転 じており 他 の 階 級 との 水 準 差 が 拡 大 している また 年 から8 年 までのここ 年 間 について 年 間 収 入 階 級 別 に 増 加 率 を 要 因 分 解 注 ) 本 稿 では 年 間 収 入 階 級 別 に 世 帯 の 消 費 支 出 をとらえている 家 計 調 査 や 全 国 消 費 実 態 調 査 を 使 っている なお 家 計 調 査 では 二 人 以 上 の 農 林 漁 家 を 除 く 勤 労 者 世 帯 を 全 国 消 費 実 態 調 査 では 二 人 以 上 の 勤 労 者 世 帯 の 値 を 原 則 いている 注 ) 今 回 の 分 析 では 数 量 的 な 視 点 よりも 所 得 と 消 費 支 出 の 関 係 や 消 費 支 出 における 各 費 目 の 割 合 の 視 点 を 重 視 したため 実 質 値 ではなく 名 目 値 を いている - 79 -
すると 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 は 実 収 入 の 減 少 によって 可 処 分 所 得 が 減 少 しているが 逆 に 第 Ⅳと 第 Ⅴ 階 級 は 実 収 入 の 増 加 によって 可 処 分 所 得 が 増 加 し 特 に 第 Ⅴ 階 級 で 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 との 差 が 生 じている( 第 Ⅱ-- 図 ) 第 Ⅱ-- 図 年 間 収 入 階 級 別 の 可 処 分 所 得 の 推 移 ( 名 目 値 ) 推 移 ( 年 =) 可 処 分 所 得 の 要 因 分 解 (8 年 / 年 ) 9 9 8 8 総 数 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅴ 階 級 6 7 8 9 4 6 7 8 年 (%) 4 4 総 数 非 消 費 支 出 実 収 入 可 処 分 所 得 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 ( 注 ) 可 処 分 所 得 は 税 込 みの 現 金 収 入 ( 勤 め 先 収 入 の 他 財 産 収 入 社 会 保 障 給 付 など)で ある 実 収 入 から 税 金 や 社 会 保 険 料 などの 非 消 費 支 出 を 差 し 引 いた 額 である 注 ) 年 間 収 入 階 級 別 ( 五 分 位 階 級 )とは すべての 世 帯 を 毎 月 世 帯 の 年 間 収 入 を 収 入 の 低 い 方 か ら 順 番 に 並 べ それを 調 整 集 計 世 帯 数 の 上 で 五 等 分 して 五 つのグルプを 作 った 場 合 の 各 グ ルプのことで 収 入 の 低 い 方 から 順 次 第 Ⅰ 第 Ⅱ 第 Ⅲ 第 Ⅳ 第 Ⅴ 五 分 位 階 級 という 図 年 間 収 入 の 分 布 図 (8 年 ) (% ) 8 7 6 4 第 Ⅰ 階 級 4 第 Ⅱ 階 級 4 6 第 Ⅲ 階 級 6 7 7 8 第 Ⅳ 階 級 9 第 Ⅴ 階 級 ( 万 円 ) 図 年 間 収 入 階 級 別 世 帯 の 特 徴 (8 年 ) 総 数 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 平 均 世 帯 人 員 ( 人 ).4...47.6.69 平 均 有 業 人 員 ( 人 ).67.4.7.66.7.97 世 帯 主 の 平 均 年 齢 ( 歳 ) 47. 44.6 4. 46.6 48.4. 持 ち 家 率 (%) 69.9.8 6.4 74. 78.6 84.4 在 学 者 数 ( 人 ).8.68.77.9.98.9 ( 注 )ここでは 二 人 以 上 の 農 林 漁 家 世 帯 を 含 む 勤 労 者 世 帯 の 値 を いた - 8 -
年 から8 年 までの 可 処 分 所 得 と 消 費 支 出 の 関 係 ( 全 階 級 平 均 )をみると 9 年 を ピクに 所 得 消 費 支 出 ともに 減 少 傾 向 にあり ほぼ 同 一 線 ( 近 似 線 ) 上 に 位 置 している 所 得 の 増 加 傾 向 が 続 いた 時 期 である 年 当 時 は 近 似 線 ( 理 論 値 )よりも 上 方 に 位 置 し ていることから この 年 間 でみれば 所 得 に 比 べて 消 費 が 活 発 であったと 考 えられる 一 方 8 年 は 近 似 線 ( 理 論 値 )より 下 方 に 位 置 していることから 年 から4 年 ごろと 同 様 この 年 間 の 中 では 所 得 に 比 べて 消 費 支 出 が 抑 えられている 時 期 と 読 み 取 るこ とができる なお 特 に 年 から8 年 までの 年 間 に 限 ってみると 可 処 分 所 得 の 下 げ 止 まりが みられる 一 方 で 消 費 支 出 は8 年 に 大 きく 下 げている( 第 Ⅱ-- 図 ) 第 Ⅱ-- 図 可 処 分 所 得 と 消 費 支 出 の 関 係 ( 名 目 値 ) (log 消 費 支 出 ).8 年 9 年.7 y =.77x +.6 ( t.6) R =.9.7 8 年 年.6.9.... (log 可 処 分 所 得 ) さらに 可 処 分 所 得 と 消 費 支 出 との 関 係 を 6 年 年 6 年 の 時 点 において 年 間 収 入 階 級 別 の 所 得 と 消 費 支 出 のクロスセクションで 所 得 弾 性 値 を 算 出 した このとき 集 計 世 帯 数 の 多 い 全 国 消 費 実 態 調 査 を い 年 間 収 入 階 級 別 ( 十 分 位 階 級 )のうち 第 Ⅱ 階 級 から 第 Ⅸ 階 級 の 可 処 分 所 得 を 説 明 変 数 消 費 支 出 を 被 説 明 変 数 とした ただし 住 宅 ロンの 返 済 額 は 高 所 得 者 ほど 大 きく 逆 に 家 賃 地 代 は 低 所 得 者 ほど 大 きいこと から 所 得 層 によるその 影 響 を 排 除 するため 可 処 分 所 得 は 可 処 分 所 得 から 土 地 家 屋 借 金 返 済 と 住 居 費 ( 家 賃 地 代 と 設 備 費 )を 減 じたもの また 消 費 支 出 は 住 居 費 を 除 い たものを いた その 結 果 6 年 の 消 費 支 出 の 所 得 弾 性 値 は.89 となった この 値 は 可 処 分 所 得 が.% 高 い( 低 い) 階 層 と 比 較 すると 消 費 支 出 に±.89%の 差 がみられるというこ とであり 回 帰 分 析 のt 値 も 高 いことから 所 得 の 消 費 への 影 響 は 依 然 大 きいと 考 えられ る ただし 6 年 の 所 得 弾 性 値 は 6 年 の 所 得 弾 性 値.86 や 年 の 所 得 弾 性 値 - 8 -
.8 よりも 低 いことから 所 得 の 増 減 による 消 費 支 出 への 影 響 は 以 前 に 比 べれば 小 さくなっているといえる( 第 Ⅱ-- 表 ) 第 Ⅱ-- 表 消 費 支 出 の 可 処 分 所 得 に 対 する 弾 性 値 弾 性 値 t 値 6 年.86 4. 年.8 46.9 6 年.89.7 資 料 : 全 国 消 費 実 態 調 査 ( 総 務 省 ) ( 注 ) 所 得 弾 性 値 は 年 間 収 入 階 級 別 ( 十 分 位 階 級 )のうち 第 Ⅱ 階 級 から 第 Ⅸ 階 級 の 消 費 支 出 と 可 処 分 所 得 の 値 を いて 次 の 単 回 帰 式 により 算 出 した logc = a logi + b (C: 消 費 支 出 I: 可 処 分 所 得 ) このように 消 費 支 出 が 所 得 の 増 減 から 受 ける 影 響 度 合 は 大 きいものの 6 年 は 従 来 よりもその 影 響 度 が 小 さくなっており また 直 近 の8 年 は 可 処 分 所 得 に 対 して 消 費 支 出 が 低 く 抑 えられていることがわかる このような 消 費 支 出 の 状 況 において 最 近 で はその 内 訳 品 目 は 顕 著 な 動 きを 示 す 品 目 がある 一 方 で 逆 な 動 きをする 品 目 も 存 在 す るのではないだろうか () 年 間 収 入 階 級 別 の 費 目 別 消 費 の 時 系 列 変 化 全 階 級 ともに 交 通 通 信 が 上 昇 し 被 服 履 き 物 や 食 料 の 構 成 比 が 低 下 第 Ⅳ 階 級 と 第 Ⅴ 階 級 では 育 と が 上 昇 消 費 支 出 の 推 移 をみると 9 年 をピクに 減 少 しており 一 時 6 年 に 上 昇 に 転 じたが 再 び 減 少 傾 向 で 推 移 している 消 費 支 出 を 年 間 収 入 階 級 別 に 要 因 分 解 すると 年 から 年 にかけてほぼ 全 ての 階 級 で 減 少 がみられたが 8 年 9 年 6 年 の 増 加 局 面 では 第 Ⅳ 階 級 や 第 Ⅴ 階 級 の 増 加 による 寄 与 が 大 きい( 第 Ⅱ--4 図 ) 第 Ⅱ--4 図 消 費 支 出 の 年 間 収 入 階 級 別 要 因 分 解 ( 名 目 値 前 年 比 ) (%) ( 千 円 ) 6 4 6 7 8 9 4 6 7 8 年 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 消 費 支 出 ( 右 目 盛 ) 総 数 4 8 6-8 -
年 から8 年 までの 消 費 支 出 について 費 目 別 構 成 比 の 変 化 をみると 移 動 電 話 通 信 料 などの 交 通 通 信 光 熱 水 道 などが 上 昇 し その 他 の 消 費 支 出 被 服 及 び 履 物 食 料 などが 低 下 している これをさらに 年 間 収 入 階 級 別 にみると 特 徴 的 な 動 きをしている 費 目 は が 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 で 低 下 しているのに 対 して 第 Ⅳ 階 級 から 第 Ⅴ 階 級 では 上 昇 し ていることと 育 が 第 Ⅲ 階 級 のみで 低 下 していることである 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 で は 交 通 通 信 の 構 成 比 が 総 数 ( 平 均 )に 比 べて 大 幅 に 拡 大 していることから 交 通 通 信 の 支 出 増 を 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 では 又 は 育 で 抑 えているのではな いかと 推 測 される( 第 Ⅱ--6 表 ) 第 Ⅱ--6 表 消 費 支 出 の 費 目 別 年 間 収 入 階 級 別 構 成 比 (% %ポイント) 総 数 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 年 8 年 差 年 8 年 差 年 8 年 差 年 8 年 差 年 8 年 差 年 8 年 差 消 費 支 出.................. 食 料.9. (.7) 7. 4.9 (.).9. (.8) 4..7 (.6).8. (.8) 9. 9. (.) 住 居 6. 7. (.9) 9.4.7 (.) 7. 9. (.9) 6. 6. (.) 4.4 4.9 (.) 4. 4.6 (.6) 光 熱 水 道.4 7. (.7) 6. 8.8 (.).9 7.7 (.8). 7. (.9). 6. (.) 4.4. (.) 家 具 家 事 品.7. (.6).8. (.7).7. (.7).. (.).6. (.4).9. (.8) 被 服 及 び 履 物 6. 4.4 (.9).6 4. (.6) 6. 4. (.) 6. 4.4 (.7) 6.7 4. (.) 7.4. (.) 保 健 医 療.8.7 (.8). 4. (.6)..8 (.7).7.7 (.).4.4 (.).. (.) 交 通 通 信.8 4. (.6).4 4. (.7)..7 (4.8).8.8 (.).8.7 (.9)..8 (.8) 育 4.9. (.6)..6 (.4).8 4. (.7).7. (.6).9 7. (.).9 7. (.) 9.7 9.6 (.) 8.9 8. (.8) 9.8 9. (.8).4 9.9 (.) 9.6.6 (.9) 9.9. (.6) その 他 の 消 費 支 出 6..9 (.). 8.6 (.9).6. (.6).. (.) 8.8. (.6).7 8. (.) さらに 年 から8 年 の 最 近 年 間 の 消 費 支 出 について 年 平 均 増 加 率 で 年 から 4 年 の9 年 間 と 比 較 すると 住 居 と 保 健 医 療 が 増 加 ( 年 から4 年 の 間 )から 最 近 年 間 では 減 少 に 育 が 減 少 から 最 近 年 間 では 増 加 に 転 じている これを 年 間 収 入 階 級 別 にみると 保 健 医 療 は 年 から4 年 の 間 ではほぼ 全 ての 階 級 で 増 加 していたが 最 近 年 間 では 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 では 減 少 に 転 じている 育 は 年 から4 年 の 間 ではどの 階 級 も 減 少 かわずかな 増 加 だったが 最 近 の 年 間 では 第 Ⅳと 第 Ⅴ 階 級 で 増 加 している このように 最 近 年 間 では 保 健 医 療 と 育 が 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 では 減 少 と なる 一 方 で 第 Ⅳ 階 級 と 第 Ⅴ 階 級 では 増 加 するなど 年 間 収 入 階 級 別 の 消 費 に 違 いが みられる( 第 Ⅱ--7 表 ) - 8 -
第 Ⅱ--7 表 消 費 支 出 の 費 目 別 年 間 収 入 階 級 別 年 平 均 増 加 率 ( 名 目 値 %) 総 数 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 -4 年 -8 年 -4 年 -8 年 -4 年 -8 年 -4 年 -8 年 -4 年 -8 年 -4 年 -8 年 消 費 支 出.8.6...6.7..7.6..7. 食 料.....7.7.4.6...6. 住 居.7...9.7.9. 7..4..8.8 光 熱 水 道..8..6........4 家 具 家 事 品...9..8..6.4.8.4.6. 被 服 及 び 履 物 4.. 4.6. 4.4. 4.4.8 4...7. 保 健 医 療....4.7..7...6.9.7 交 通 通 信.4.7.4.....8..6.. 育....4..6....7.9...8...9...6..9..8 その 他 の 消 費 支 出.6..9.6........ () 費 目 からみた 消 費 の 変 化 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 の 消 費 は 生 活 必 需 品 に 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 は 選 択 品 に 特 化 8 年 の 年 間 収 入 階 級 別 消 費 支 出 の 費 目 別 構 成 比 から 各 階 級 がどの 費 目 に 特 化 し た 消 費 をしているかをみると 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 は 食 料 住 居 光 熱 水 道 保 険 医 療 などの 生 活 必 需 的 性 質 の 強 い 費 目 に 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 は 被 服 及 び 履 物 育 などの 選 択 的 性 質 の 強 い 費 目 に 特 化 している このため 食 料 住 居 光 熱 水 道 保 険 医 療 などの 支 出 は 所 得 の 影 響 を 受 けにくく 逆 に 被 服 及 び 履 物 育 の 支 出 は 所 得 の 影 響 を 受 けやすいのではないかと 推 測 される( 第 Ⅱ--8 表 ) なお 被 服 及 び 履 物 は 生 活 必 需 品 と 類 推 されるにもかかわらず 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 でその 割 合 が 大 きい 恐 らく 所 得 階 級 によって 購 入 品 の 平 均 価 格 などに 差 があるの ではないかと 考 えられる 第 Ⅱ--8 表 年 間 収 入 階 級 別 消 費 支 出 の 費 目 別 構 成 比 の 比 較 (8 年 特 化 係 数 ) 費 目 総 数 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 食 料...7..97.89 生 活 必 需 品 に 特 化 住 居..6.4.9.76.7 光 熱 水 道..8..6.9.8 家 具 家 事 品...98... 被 服 及 び 履 物..88.89.98.. 保 健 医 療..4.7..94.9 交 通 通 信..99...96.9 選 択 品 に 特 化 育..6.77.87....8.9..7.7 その 他 の 消 費 支 出..78.84.9.. ( 注 ) 特 化 係 数 = 各 階 級 の 費 目 別 構 成 比 / 総 数 の 費 目 別 構 成 比 - 84 -
注 ) さらに 所 得 と 品 目 別 支 出 との 関 係 をみるため 6 年 時 点 における 年 間 収 入 階 級 別 の 可 処 分 所 得 と 品 目 別 支 出 のクロスセクションで 所 得 弾 性 値 を 算 出 した このときの 算 出 方 法 は 前 述 の 消 費 支 出 の 所 得 弾 性 値 と 同 様 で 可 処 分 所 得 は 可 処 分 所 得 から 土 地 家 屋 借 金 返 済 と 住 居 費 を 減 じたもの また 消 費 支 出 は 住 居 費 を 除 いたものを い た その 結 果 消 費 支 出 全 体 の 所 得 弾 性 値 と 比 べて 所 得 弾 性 値 が 高 い 品 目 すなわち 所 得 の 影 響 度 の 大 きい 品 目 は 補 習 育 ( 所 得 弾 性 値.6) 授 業 料 等 ( 同.8)と いった 育 関 連 支 出 鉄 道 運 賃 などの 交 通 ( 同.44) サビス( 同.) 耐 久 財 ( 同.9) 品 ( 同.8)といった 関 連 支 出 シャツ セタ 類 ( 同.9) 被 服 履 物 その 他 ( 同.9) 洋 服 ( 同.)といった 被 服 関 連 支 出 となった 一 方 所 得 弾 性 値 が 低 い 品 目 すなわち 所 得 の 影 響 度 の 小 さい 品 目 は 保 健 医 療 サビス( 同.) 光 熱 水 道 ( 同.4) 通 信 ( 同.46)などとなった 6 年 の 品 目 別 所 得 弾 性 値 を6 年 や 年 と 比 較 すると 育 関 連 支 出 である 補 習 育 や 授 業 料 等 はともに 年 の 弾 性 値 が6 年 より 減 少 したものの 6 年 の 弾 性 値 が 年 に 比 べ 上 昇 に 転 じていることから 縮 小 傾 向 にあった 所 得 の 影 響 度 合 が 最 近 は 逆 に 拡 大 する 傾 向 にあると 考 えられる その 背 景 としては 7 年 月 期 の 産 業 活 動 分 析 でみたように 大 学 などへの 進 学 率 の 上 昇 私 立 の 入 学 者 数 の 増 加 ゆとり 育 の 実 施 による 補 習 育 の 増 加 などによる 育 費 の 支 出 増 が 考 えられ このことが 所 得 によ る 影 響 度 の 拡 大 として 表 れているのではないかと 推 測 される また 関 連 支 出 である 耐 久 財 品 サ ビス 鉄 道 運 賃 などの 交 通 はともに 年 の 弾 性 値 が6 年 に 比 べて 6 年 の 弾 性 値 が 年 に 比 べておおむね 上 昇 していることから 所 得 の 影 響 度 が 拡 大 する 傾 向 にあると 考 えられる 特 に 耐 久 財 は テレビやパソコンなど 年 々 大 幅 な 値 下 がりが 続 いて いる 製 品 が 多 いにもかかわらず 所 得 影 響 度 が 拡 大 している その 背 景 としては 製 品 注 )ここでは 消 費 支 出 の 品 目 を 細 分 類 をまとめた 中 分 類 ごととしたが 消 費 支 出 に 占 める 割 合 が % 未 満 の 品 目 については なるべく 他 の 品 目 とまとめるなどしている 具 体 的 には 以 下 のとおり 表 消 費 支 出 の 品 目 表 ( 途 分 類 ) 費 目 品 目 食 料 食 材 等 調 理 食 品 外 食 住 居 ( 除 く) 光 熱 水 道 光 熱 水 道 家 具 家 事 品 家 庭 耐 久 財 その 他 家 具 家 事 品 被 服 及 び 履 物 洋 服 シャツ セタ 類 その 他 被 服 履 物 保 健 医 療 医 薬 品 等 保 健 医 療 サビス 交 通 通 信 交 通 自 動 車 等 関 係 費 通 信 育 授 業 料 等 補 習 育 耐 久 財 品 書 籍 他 の 印 刷 物 サビス その 他 の 消 費 支 出 諸 雑 貨 (こづかい 交 際 費 仕 送 り 金 を 除 く) - 8 -
の 質 の 向 上 に 消 費 者 が 敏 感 になって 購 入 に 向 かっていることも 要 因 の 一 つと 考 えられる 一 方 家 電 製 品 ( 冷 蔵 庫 洗 濯 機 など)などの 家 庭 耐 久 財 は 年 の 弾 性 値 が6 年 に 比 べて 6 年 の 弾 性 値 が 年 に 比 べてともに 大 きく 低 下 していることから 他 の 品 目 に 比 べて 所 得 の 影 響 を 受 けにくくなってきている すなわち より 生 活 必 需 的 性 質 が 強 くなってきていると 考 えられる また 財 サビスの 区 分 でみたとき 所 得 弾 性 値 が 高 いと 類 推 されるサビスや 耐 久 財 についてみると サビスでは 鉄 道 運 賃 などの 交 通 や サビスなどは 注 所 得 弾 性 値 が 高 いものの 外 食 通 信 ) 保 健 医 療 サビスなどは 低 い このため 外 食 や 移 動 電 話 とその 通 信 料 を 含 む 通 信 などは 他 の 品 目 に 比 べて 所 得 の 影 響 を 受 け にくい すなわち より 生 活 必 需 的 性 質 が 強 いと 考 えられる また 耐 久 財 では 耐 久 財 は 所 得 弾 性 値 が 高 いものの 家 庭 耐 久 財 は 低 い このように サビスや 耐 久 財 の 中 でも 選 択 的 性 質 の 強 い 品 目 と 外 食 通 信 家 庭 耐 久 財 などのように 生 活 必 需 的 性 質 が 強 い 品 目 があると 考 えられる( 第 Ⅱ-- 図 ) 第 Ⅱ-- 図 品 目 別 所 得 弾 性 値 6 年 の 所 得 弾 性 値. 被 服 関 連 支 出 育 関 連 支 出 関 連 支 出.. 消 費 支 出 の 所 得 弾 性 値.89... 消 費 支 出 食 材 等 調 理 食 品 外 食 光 熱 水 道 家 庭 耐 久 財 そ の 他 家 具 家 事 品 洋 服 シ ャ ツ セ タ 類 そ の 他 被 服 履 物 医 薬 品 等 保 健 医 療 サ ビ ス 交 通 自 動 車 等 関 係 費 通 信 授 業 料 等 補 習 育 耐 久 財 品 書 籍 他 の 印 刷 物 サ ビ ス 諸 雑 費 注 ) 通 信 には 移 動 電 話 通 信 料 固 定 電 話 通 信 料 郵 便 料 などのサビスに 加 えて 移 動 電 話 や 他 の 通 信 機 器 といった 耐 久 財 の 購 入 費 が 含 まれるが サビスの 支 出 割 合 が 高 いため ここでは 通 信 をサビスと 位 置 付 けている - 86 -
所 得 弾 性 値 の 変 化 ( 抜 粋 ) 近 年 影 響 が 拡 大 近 年 影 響 が 縮 小 (ポイント)..4........4. 外 食 家 庭 耐 久 財 洋 服 シ ャ ツ セ タ 類 6 年 と 年 の 差 分 そ の 他 被 服 履 物 保 健 医 療 サ ビ ス 交 通 通 信 授 業 料 等 補 習 育 年 と6 年 の 差 分 耐 久 財 品 サ ビ ス 資 料 : 全 国 消 費 実 態 調 査 ( 総 務 省 ) ( 注 ) 所 得 弾 性 値 は 年 間 収 入 階 級 別 ( 十 分 位 階 級 )のうち 第 Ⅱ 階 級 から 第 Ⅸ 階 級 の 品 目 別 支 出 と 可 処 分 所 得 の 値 を いて 次 の 単 回 帰 式 により 算 出 した logc = a logi + b (C: 品 目 別 支 出 I: 可 処 分 所 得 ) 最 後 に 6 年 の 所 得 弾 性 値 が 消 費 支 出 全 体 よりも 高 い 品 目 を 集 めて 選 択 的 支 出 と し 消 費 支 出 に 占 める 割 合 をみた 年 間 収 入 階 級 別 にみると 8 年 の 選 択 的 支 出 の 構 成 比 は 収 入 階 級 が 高 いほど 上 昇 している 8 年 の 構 成 比 を 年 前 の 年 と 比 較 する と 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 は 低 下 しているものの 第 Ⅳ 階 級 はわずかに 低 下 第 Ⅴ 階 級 は 上 昇 しており 第 Ⅰ 階 級 から 第 Ⅲ 階 級 と 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 で 差 が 広 がっている ( 第 Ⅱ--6 図 ) 第 Ⅱ--6 図 消 費 支 出 に 占 める 選 択 的 支 出 の 割 合 ( 年 間 収 入 階 級 別 ) (% ) 4 差 分 (8 年 - 年 )( 右 目 盛 ) 8 年 構 成 比 (% ポイント) 4 総 数 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 資 料 : 全 国 消 費 実 態 調 査 ( 総 務 省 ) 家 計 調 査 ( 総 務 省 ) 企 業 収 益 が 増 加 しているにもかかわらず 家 計 の 所 得 が 伸 び 悩 んでいることに 加 え 将 来 の 所 得 の 増 加 が 不 透 明 なことなどを 背 景 として 現 在 の 消 費 支 出 はその 所 得 にみ - 87 -
あったところまで 達 していない また 受 け 取 る 所 得 についても 年 間 収 入 階 級 別 にみると 低 中 階 層 高 階 層 で 増 加 に 差 が 生 じており それが 預 貯 金 などの 預 け 入 れや 取 り 崩 し を 相 殺 した 金 融 資 産 純 増 比 率 でも 差 が 生 じていることに 影 響 していると 思 われる このよ うな 状 況 下 で 低 中 所 得 層 の 消 費 は 通 信 などの 生 活 必 需 的 性 質 の 強 い 費 目 の 支 出 に 高 所 得 層 は 育 などの 選 択 的 性 質 の 強 い 費 目 の 支 出 へと 特 化 してきている 特 に 高 所 得 層 において 育 支 出 を 増 加 させていることは 将 来 に 目 線 をおいた 投 資 と みることもできる また 費 目 に 着 目 すると 外 食 や 家 電 製 品 などへの 支 出 は 所 得 環 境 に 左 右 されに くく 逆 に 育 関 係 や 関 係 被 服 への 支 出 は 所 得 環 境 に 左 右 されやすいとみ ることもできる なかでも 育 費 において 所 得 環 境 による 消 費 の 変 化 に 広 がりをみせて いることは 次 世 代 への 影 響 も 考 えられ 今 後 の 動 向 を 注 視 する 必 要 があるのではない だろうか ( 参 考 ) 年 間 収 入 階 級 別 の 金 融 資 産 純 増 率 の 推 移 (%) 総 数 第 Ⅰ 階 級 第 Ⅱ 階 級 第 Ⅲ 階 級 第 Ⅳ 階 級 第 Ⅴ 階 級 6 7 8 9 4 6 7 8 年 - 88 -