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( + ) ( ) () or ( ) () (1-3) となります これは 差 分 による 表 現 ですが 時 間 差 分 が 限 りなくゼロに 接 近 したケース では 以 下 のような 微 分 によって 表 現 されます d ( ) () (1-4) ここで 時 点 における 価 格 の 微 分 d() はいわば 瞬 間 的 な 収 益 を 意 味 しています さてここまで 解 説 したところで 読 者 の 中 には 瞬 間 ( 連 続 ) 的 な 収 益 ( 率 )のような 実 務 には 役 に 立 ちそうもない 概 念 がなぜ 導 入 されるのか 疑 問 を 持 たれるかもしれません この 疑 問 に 対 してはさしあたって 次 のように 答 えておきましょう すなわち 瞬 間 的 なXXX という 連 続 概 念 を 導 入 することによって 17 世 紀 にニュートンやライプニッツによって 開 発 され 大 成 功 を 収 めた 微 積 分 計 算 の 適 用 が 可 能 となり 収 益 率 計 算 をはじめとする 金 融 商 品 の 評 価 においても 他 の 科 学 技 術 分 野 と 同 様 に 工 学 化 が 可 能 になったということです た だ この 説 明 だけでは 微 積 分 計 算 を 適 用 することの 御 利 益 が 理 解 できないと 思 われますが この 疑 問 はこの 講 座 で 徐 々に 明 らかにして 行 きたいと 考 えています 1-2) 投 資 期 間 という 問 題 ~ 暗 黙 の 了 解 に 要 注 意! 投 資 効 率 の 比 較 測 定 は 収 益 率 という 概 念 で 十 分 でしょうか 再 び100 円 から110 円 に 値 上 がりした 証 券 Aに 登 場 してもらいましょう ここで 証 券 Aが100 円 から110 円 に 上 昇 するの に1 年 間 を 要 したとしましょう ところがこの 証 券 Aは 投 資 開 始 から 半 年 後 にはすでに108 円 に 上 昇 していたとします 単 純 な 収 益 率 計 算 では 両 者 は 比 較 できません なぜなら 前 節 の 収 益 率 計 算 には 投 資 期 間 という 概 念 が 入 ってないからです つまり 収 益 は 投 資 額 当 りの 収 益 率 に 変 換 するだけでなく さらに 投 資 期 間 当 りの 収 益 率 (= 単 位 時 間 当 たりの 収 益 率 ) に 変 換 する 必 要 があるわけです ところが 収 益 率 にしても 金 利 にしても1 年 =1 期 が 暗 黙 の 前 提 になっている 場 合 が 多 く 単 なる 収 益 率 と 単 位 時 間 当 たりの 収 益 率 がしばしば 混 同 される 傾 向 にあります 例 えば1 年 を1 期 だとすれば 証 券 Aが1 年 で100 円 から110 円 に 上 昇 した 収 益 率 は ( + 1) ( ) () 110 100 = 10% (1-5) 100 3

であり 半 年 で100 円 から108 円 になったケースは ( + 0.5) ( ) () 108 100 = 8% (1-6) 100 となりますが 後 者 を 単 位 期 間 (1 年 =1 期 ) 当 りの 収 益 率 に 一 致 させるには8%を 二 倍 する 必 要 があります(いわゆる 年 率 換 算 という 操 作 です) つまり 単 位 期 間 当 りの 収 益 率 を r と しますと ( + 0.5) ( ) () = r 0.5 ( + 0.5) ( ) () 0.5 = r (1-7) この 考 え 方 を 前 者 のケースにも 適 用 すると ( + 1) ( ) () = r 1 ( + 1) ( ) () 1 = r (1-8) となります この 場 合 は 単 位 期 間 と 投 資 期 間 が 一 致 しているので 両 者 の 比 率 が1となり 数 式 上 には 現 れません これが 単 なる 収 益 率 と 単 位 時 間 当 たりの 収 益 率 が 混 同 される 理 由 で す 以 上 の 考 察 結 果 を 差 分 表 現 すれば ( + ) ( ) () ( ) () (1-9) であり 微 分 表 現 では ( ) d (1-10) ()d となります 以 上 の 解 説 は 当 たり 前 といえば 当 たり 前 なのですが 抽 象 的 に 表 現 されると 意 外 と 見 落 とされがちです 私 の 経 験 では 3ヶ 月 預 金 金 利 が8%の 場 合 100 億 円 の3ヵ 月 後 の 元 利 合 計 はいくら? との 質 問 に108 億 円 と 答 える 人 がかなりの 割 合 で 存 在 するのです オーバー ナイトや1ヶ 月 あるいは5 年 であろうが 期 間 にかかわりなく 金 利 という 場 合 は 年 率 = 一 期 age 4

が 基 本 という 暗 黙 の 了 解 が 案 外 忘 れられるケースが 多 いということです 実 務 ではこの ような 単 純 なミスのほうが 致 命 傷 となるのです 1-3) 金 利 計 算 との 関 係 貨 幣 の 収 益 率 が 金 利 です つまり 投 資 開 始 時 期 の 証 券 価 格 を 貨 幣 の 元 本 投 資 終 了 時 の 証 券 価 格 を 貨 幣 の 元 利 合 計 と 考 えればいいわけです 差 分 モードで 表 現 しますと ( + ) ( ) = r () ( + ) = ( ) + ( ) ( + ) = ( )[ 1+ r] r (1-11) と 変 形 できますが これでは 抽 象 的 ですので 下 のように 書 き 換 えてみましょう 1+ ( 運 用 調 達 期 間 金 利 ) 元 利 合 計 = 元 本 (1-12) 何 のことはない 単 純 な 単 利 計 算 です くどいようですが 金 利 計 算 も1 期 =1 年 が 基 準 ですか ら 運 用 調 達 期 間 が 例 えば184 日 の 場 合 は 184 (1-13) 365 を 金 利 にかけて 按 分 ( Inerpolaion )します 例 えば100 億 円 を184 日 間 5%で 運 用 した 場 合 の 元 利 合 計 は 184 10000000000 1+ 5% = 102520547945 (1-14) 365 となります ただし 国 際 金 融 の 実 務 では 分 母 が360 日 とする 慣 習 (ユーロ マネー マーケ ット ベイシスと 呼 ばれています)をはじめとして 様 々な 金 利 計 算 方 式 がありますので 注 意 が 必 要 です また 金 利 表 示 は 年 率 ですが 複 利 計 算 の 最 小 期 間 を 半 年 にするか1 年 にするか では 計 算 結 果 は 異 なってきます 5

1-4) 収 益 率 と 対 数 収 益 率 の 関 係 さて 価 格 分 析 やオプション プライシングにおいて 頻 繁 に 登 場 する 概 念 の 代 表 が 対 数 収 益 率 です 単 なる 収 益 率 と 対 数 収 益 率 とどこが 違 うのでしょうか 理 解 のプロセスをはし ょって 公 式 暗 記 的 な 表 現 をすれば 対 数 収 益 率 は 連 続 複 利 ベースで 測 定 される 収 益 率 であ って 通 常 の 収 益 率 は 単 利 ベースであるということです そこに 本 質 的 な 差 異 は 存 在 しませ んが 同 じ5%でも 単 利 と 複 利 では 具 体 的 な 数 値 にズレが 存 在 することだけ 注 意 してくだ さい 連 続 複 利 や 指 数 対 数 の 概 念 は 理 論 面 だけでなく 金 融 実 務 においても 極 めて 重 要 な 役 割 を 果 たしていますので 後 で 改 めて 詳 細 な 解 説 をしますが 今 回 はさしあたって 単 利 ベ ースと 連 続 複 利 ベースでは1 円 あたりの1 期 間 後 の 元 利 合 計 にどのくらいズレが 発 生 する かを 示 すことにします 次 はスプレッド シートでの 計 算 例 です 単 利 ベースでは 収 益 率 に1 円 ( 元 本 )をプラスし 連 続 利 子 率 ではスプレッド シート 関 数 =EX()に 収 益 率 を 代 入 しています 収 益 率 が 大 きくなるに 従 って 元 利 合 計 のズレも 増 大 しているのがわかります 注 目 すべきは 収 益 率 が100%のケースです(コラムG) 単 利 ベースの 場 合 は1 円 の 投 資 に 対 して1 円 の 収 益 ( 利 息 )ですから 元 利 合 計 は2 円 となるのは 簡 単 に 理 解 できますが 連 続 利 子 率 ベースで 運 用 した 場 合 元 利 合 計 は2.71828 円 になります 実 を 言 うとこの 数 値 (2.71828 )は 複 利 効 果 を 極 限 まで 発 揮 した 場 合 の 最 大 値 を 示 し ていて 数 学 的 には 自 然 対 数 の 底 eの 値 になります 最 後 に 数 式 で 敷 衍 してみましょう まず1 期 間 の( 単 利 ) 収 益 率 は ( +1) ( ) () = r (1-15) ですから 変 形 すれば age 6

( + ) = ( )[ 1 r] 1 + (1-16) となりました 一 方 対 数 収 益 率 は ( 1) + log ( ) = r (1-17) と 定 義 されますので 指 数 対 数 の 関 係 から ( + 1) ( ) = e r ( = Exp( r) ) (1-18) と 変 形 でき 結 局 r ( + 1) = ( ) e (1-19) となります つまり 単 利 収 益 率 で 測 るか 連 続 収 益 率 で 測 るかは1+rを 利 用 するかExp(r) を 利 用 するかの 違 いなのです さらに 具 体 例 を 挙 げてみましょう 現 在 100 円 の 証 券 価 格 が105 円 に 上 昇 すれば 簡 単 に 暗 算 できるように 収 益 率 は5%ですが これを 対 数 価 格 で 考 えてみることにします 対 数 変 換 のスプレッド シート 関 数 =LN( )に100 円 と1 05 円 を 代 入 すれば 4.65396と4.60517ですが 後 者 から 前 者 を 引 けば 0.04879となり 連 続 利 子 率 ベースの 収 益 率 4.879%が 求 まります これは 単 利 5%に 対 応 する 連 続 的 な 収 益 率 で す この 計 算 過 程 は ( 1) + log ( ) log = r ( + 1) log ( ) = r (1-20) に 他 なりませんが 指 数 対 数 のメリットの 一 つはこのように 割 り 算 が 引 き 算 に 変 換 でき ることです ところで 収 益 率 に 関 して 言 えば オプション プライシングを 理 解 する 上 で 注 意 しなけ ればならない 事 があります 周 知 のようにオプション プライシングでは 対 数 収 益 率 が 正 規 分 布 するという 仮 定 されています ここで 誤 解 しやすのは 対 数 収 益 率 が 正 規 分 布 なのだ 7

から 収 益 率 は 対 数 正 規 分 布 するのではないかという 思 い 込 みです これは 間 違 いです 対 数 正 規 分 布 をするのは< 価 格 比 >であって 収 益 率 ではありません 価 格 比 は 価 格 変 動 率 と 呼 ばれることもありますが 収 益 率 と 混 同 しないようにしてください 簡 単 に 整 理 しますと 確 率 変 数 X の 対 数 log X が 正 規 分 布 に 従 うとき X 自 身 は 対 数 正 規 分 布 に 従 います ここでオプション プライシングの 場 合 は log X ( 1) () + = log (1-21) ですから X ( +1) () = (1-22) ということになります これが 価 格 比 です 経 済 学 の 理 論 書 では 議 論 の 展 開 を 簡 潔 にする 為 に 価 格 比 を 収 益 率 と 同 一 視 しているケースが 多 いようですが 具 体 的 計 算 段 階 では 区 別 が 必 要 です 価 格 比 を 収 益 率 と 比 較 してみますと ( + 1) ( ) () = ( + 1) () 1 = r (1-23) ですから 収 益 率 は1 円 当 りの 成 長 率 ですから 価 格 比 から1を 引 いたものになります 逆 に 価 格 比 とは 元 本 を 包 括 した1+r(1 円 あたりの 元 利 合 計 )のことなのです 第 2 講 収 益 分 布 2-1)ヒストグラムと 確 率 分 布 前 講 で 解 説 した 収 益 計 算 は 投 資 の 結 果 をどのように 評 価 するのかという 問 題 に 焦 点 をあ てたものです つまり< 事 後 的 な 儲 け>を 解 説 したわけです しかしながら 投 資 の 収 益 は 無 リスクの 証 券 を 満 期 まで 保 有 する 以 外 は 事 前 には 確 定 できません そこで 過 去 の 収 益 データを 元 にして 収 益 の 分 布 をチェックし その 証 券 投 資 のリスクを 把 握 する 必 要 があり ます 収 益 の 分 布 をチェックする 手 法 なかで 最 も 身 近 なものがヒストグラムです ヒストグラ age 8