() 農 業 就 業 者 の 動 向 ( 農 業 就 業 人 口 は 引 き 続 き 減 少 高 齢 化 ) 農 業 就 業 人 口 は 平 成 (010) 年 には 61 万 人 となり 平 成 1(000) 年 と 比 べ 33% 平 成 17(005) 年 と 比 べ % 減 少 しています 1 この 減 少 の 要 因 は 高 齢 化 による 離 農 のほか 小 規 模 農 家 の 農 業 者 が 集 落 営 農 組 織 に 参 加 したことが 主 なものと 考 えられます また 平 成 (010) 年 における 農 業 就 業 人 口 については その 平 均 年 齢 は 65.8 歳 になるとともに 65 歳 以 上 の 者 の 割 合 が6 割 75 歳 以 上 の 者 の 割 合 が3 割 になるなど 引 き 続 き 高 齢 化 が 進 行 しています( 図 - 60) 年 齢 別 に 農 業 就 業 人 口 の 動 きをみると 平 成 17(005) 年 時 点 における 30 ~ 49 歳 層 ( 平 成 (010) 年 35 ~ 54 歳 層 )では ほぼ 横 ばいで 50 ~ 59 歳 層 ( 同 55 ~ 64 歳 層 )では 増 加 となっていますが 65 歳 以 上 層 ( 同 70 歳 以 上 層 )では 大 きく 減 少 しています このような 高 齢 者 層 の 減 少 については 昭 和 一 けた 世 代 ( 平 成 (010) 年 時 点 で 76 ~ 84 歳 )あるいは 昭 和 10 年 代 前 半 生 ま れ( 同 71 ~ 75 歳 )の 農 業 者 の 引 退 が 進 んでいることが 主 な 理 由 と 考 えられます 他 方 平 成 17(005) 年 時 点 における 50 ~ 59 歳 層 ( 平 成 (010) 年 55 ~ 64 歳 層 )の 増 加 は 定 年 後 の 就 農 が 主 な 理 由 と 考 えられます なお 農 業 構 造 の 展 望 によれば 農 業 就 業 人 口 のうち 基 幹 的 農 業 従 事 者 数 は 平 成 1(009) 年 の 191 万 人 から 平 成 3(00) 年 には 145 万 人 とさらに 大 きく 減 少 し そのうち 65 歳 以 上 は 94 万 人 ( 全 体 の 65%)になると 見 込 まれています 1 部 章 1 農 林 水 産 省 農 林 業 センサス 農 業 就 業 人 口 のうち ふだんの 主 な 状 態 が 主 に 仕 事 ( 農 業 ) である 者 7
3 節 農 業 経 営 体 と 農 業 就 業 者 の 動 向 農 業 就 業 人 口 の 平 均 年 齢 は 多 くの 地 域 において 65 歳 を 超 えていますが 都 道 府 県 別 にみると その 様 相 は 異 なります 広 島 県 (70.4 歳 ) 山 口 県 (70.3 歳 ) 島 根 県 (70.1 歳 ) では 70 歳 を 超 え 岡 山 県 (69.9 歳 ) 福 井 県 (69.4 歳 ) 岐 阜 県 (69.4 歳 ) 三 重 県 (69.3 歳 ) 香 川 県 (69.1 歳 ) 等 でも 70 歳 に 近 付 いています( 図 - 61) また これらの 県 では 平 成 17(005) 年 から 平 成 (010) 年 の5 年 間 で 高 齢 化 がさらに 進 んでいる 状 況 に あります 一 方 で 北 海 道 (56.8 歳 ) 青 森 県 (6.6 歳 ) 佐 賀 県 (63. 歳 ) 熊 本 県 (63. 歳 ) では 相 対 的 に 低 く また 東 京 都 (63.8 歳 ) 大 阪 府 (64.0 歳 ) 等 の 大 都 市 圏 でも 低 くな っています このように 平 均 年 齢 が 相 対 的 に 低 い 都 道 府 県 については 稲 作 の 割 合 が 低 く 野 菜 果 樹 畜 産 等 が 盛 んなところで 多 くなっています ( 若 者 等 の 就 農 促 進 が 重 要 ) 平 成 1(009) 年 の 新 規 就 農 者 は6 万 7 千 人 となり 前 年 と 比 べ7 千 人 程 度 増 加 しま した( 図 - 6) これは 60 歳 以 上 の 農 家 子 弟 ( 農 家 出 身 者 )による 自 営 農 業 への 就 農 が6 千 人 増 加 したことによるものです 他 方 39 歳 以 下 の 就 農 は1 万 5 千 人 と 近 年 横 ばいで 推 移 しており 就 農 形 態 別 にみると 自 営 農 業 就 業 者 が9 千 人 と 最 も 多 く 次 いで 雇 用 農 業 者 5 千 人 となっています 8
1 部 章 なお 平 成 0(008) 年 における 新 規 自 営 農 業 就 業 者 の 営 農 類 型 をみると 全 体 では 稲 作 単 一 経 営 が 49% 複 合 経 営 %と 多 くなっています( 表 - 7) 年 齢 階 層 別 にみ ると 60 歳 以 上 では 稲 作 単 一 経 営 が 59%と 最 も 多 くなっており 次 いで 複 合 経 営 17 % 等 となっています 一 方 39 歳 以 下 では 稲 作 単 一 経 営 は 15%にとどまっており 複 合 経 営 35% 畜 産 単 一 経 営 13% 露 地 野 菜 単 一 経 営 9% 果 樹 類 単 一 経 営 8% 等 が 多 く なっています 9
3 節 農 業 経 営 体 と 農 業 就 業 者 の 動 向 今 後 若 者 の 農 業 者 をふやしていくためには 農 家 子 弟 のみならず 非 農 家 出 身 者 の 就 農 も 促 進 していく 必 要 があります しかし 非 農 家 出 身 者 が 新 規 に 就 農 し 農 業 経 営 を 開 始 す る 場 合 は 営 農 技 術 の 習 得 資 金 農 地 住 宅 の 確 保 等 が 大 きな 課 題 となっています このため 技 術 指 導 面 での 支 援 のほか 新 たに 農 業 を 始 めたい 人 への 無 利 子 資 金 の 貸 付 け 農 地 や 住 宅 の 紹 介 農 業 機 械 や 施 設 等 の 取 得 にかかる 初 期 投 資 の 負 担 軽 減 研 修 等 の 支 援 が 重 要 となっています コラム フランスにおける 若 者 の 就 農 支 援 策 フランスにおいては 農 業 基 本 法 ( 昭 和 35(1960) 年 )が 我 が 国 と 同 時 期 に 制 定 され 就 農 者 人 による 家 族 経 営 を 農 業 のモデルとして 保 護 育 成 すること 等 により 農 業 の 生 産 性 向 上 競 争 力 の 強 化 農 業 構 造 の 近 代 化 が 図 られてきました *1 このような 観 点 から 新 規 就 農 を 優 先 し 小 規 模 高 齢 農 業 者 の 離 農 を 促 進 するため 青 年 農 業 者 への 経 営 移 譲 を 条 件 とした 離 農 終 身 補 償 金 交 付 制 度 とともに 青 年 農 業 者 への 就 農 交 付 金 低 金 利 融 資 制 度 が 実 施 されてきました 青 年 就 農 交 付 金 は 昭 和 48(1973) 年 に 創 設 され 18 ~ 40 歳 の 青 年 を 対 象 に 研 修 計 画 の 実 施 就 農 発 展 計 画 の 作 成 受 給 後 1 年 以 内 の 就 農 最 低 5 年 間 の 営 農 等 を 要 件 と して 交 付 されるものです 交 付 金 の 額 は 平 地 地 域 88 万 ~ 190 万 円 * 条 件 不 利 地 域 113 万 ~ 46 万 円 山 岳 地 域 18 万 ~ 395 万 円 (いずれも 主 業 農 業 者 に 支 払 われる 金 額 副 業 農 業 者 はこの 半 額 )となっており 平 成 1(009) 年 には 総 額 107 億 円 (1 農 業 者 当 たり 平 均 180 万 円 )が 支 払 われています 交 付 金 受 給 者 は 平 均 年 齢 が 8.3 歳 計 6 千 人 (う ち 農 家 子 弟 7 割 )となっています また 交 付 金 受 給 者 の 10 年 後 の 定 着 率 は 95%と 非 常 に 高 くなっています これら 支 援 によって フランスにおける 新 規 就 農 者 に 占 める 40 歳 未 満 の 者 の 割 合 は6 割 主 業 農 業 者 に 占 める 割 合 は3 割 へと 大 きく 増 加 し 就 農 者 の 若 返 りが 実 現 されていま す フランスにおける 主 業 農 業 者 の 年 齢 構 成 * 1 山 崎 亮 一 現 代 農 業 構 造 問 題 の 経 済 学 的 考 察 (( 財 ) 農 林 統 計 協 会 平 成 (010) 年 3 月 ) * レートは1ユーロ 110 円 ( 平 成 3(011) 年 1 月 時 点 )で 換 算 30
( 雇 用 形 態 による 就 農 の 促 進 には 環 境 整 備 が 課 題 ) 農 業 法 人 等 に 雇 用 される 形 態 で 就 農 する 者 には 若 者 が 多 く 農 業 法 人 等 の 合 同 会 社 説 明 会 への 参 加 者 数 も 増 加 傾 向 にあります 一 方 で 農 業 法 人 等 の 従 業 員 を 対 象 に 行 った 調 査 によると 仕 事 のやりがい 内 容 等 では 満 足 度 が 高 いものの 職 場 環 境 の 改 善 希 望 点 につ いて 給 与 額 40% 職 場 の 設 備 37% 研 修 教 育 体 制 6% 等 があげられています( 図 - 63) 特 に 職 場 の 設 備 については 女 性 からの 改 善 希 望 が 多 く トイレや 更 衣 施 設 等 の 整 備 を 求 めていると 考 えられます また 就 農 しても 早 々に 離 農 してしまう 人 も 少 なくありません これは 労 働 保 険 社 会 保 険 就 業 規 則 昇 給 や 退 職 金 制 度 等 が 整 備 さ れていないことも 要 因 の 一 つと 考 えられます このため 農 業 法 人 等 における 雇 用 の 改 善 を 進 め 農 業 経 営 の 健 全 な 発 展 と 従 業 員 の 働 く 意 欲 の 向 上 に 努 めることを 目 的 として 平 成 (010) 年 8 月 には 農 業 雇 用 環 境 の 改 善 を 支 援 する 全 国 農 業 経 営 支 援 社 会 保 険 労 務 士 ネットワーク が 設 立 されています 同 ネットワークの 会 員 は 農 業 法 人 の 雇 用 労 務 管 理 の 改 善 に 向 けた 相 談 活 動 社 会 保 険 等 への 加 入 促 進 等 に 取 り 組 んでいます 1 部 章 コラム 農 業 を 実 践 的 に 学 びながら 就 農 農 業 法 人 等 に 雇 用 される 形 での 就 農 は 営 農 開 始 時 のリスクや 負 担 が 少 ないことから 農 業 に 関 心 がある 者 が 円 滑 に 就 農 していくための 重 要 なルートになっています このた め 農 業 法 人 や 農 家 が 就 業 希 望 者 を 正 社 員 として 新 たに 雇 用 し 基 礎 的 な 栽 培 技 術 や 経 営 ノウハウを 習 得 させるための 実 践 研 修 (OJT 研 修 ) 等 の 経 費 の 一 部 ( 月 額 9 万 7 千 円 を 上 限 に 最 長 1 か 月 間 )を 助 成 する 農 の 雇 用 事 業 が 平 成 0(008) 年 度 から 実 施 され ています 実 践 研 修 の 内 容 をみると 農 作 物 の 栽 培 管 理 を 中 心 としつつ 農 産 物 加 工 農 村 社 会 での 暮 らし 方 農 業 経 営 に 関 する 実 務 や 知 識 の 習 得 等 多 様 なものとなっています これら 研 修 を 受 けた 者 が 研 修 修 了 後 に 当 該 法 人 等 で 引 き 続 き 就 業 するなど 農 業 分 野 における 将 来 の 担 い 手 になっていくことが 期 待 されます 31
3 節 農 業 経 営 体 と 農 業 就 業 者 の 動 向 ( 農 業 関 係 の 学 校 等 による 就 農 支 援 ) 農 業 関 係 の 学 校 研 修 教 育 機 関 からの 就 農 は 平 成 1(009) 年 度 には,38 人 となっ ており 新 規 学 卒 就 農 の 主 要 ルートになっています このうち 農 業 高 校 からは 77 人 道 府 県 農 業 大 学 校 等 の 農 業 研 修 教 育 機 関 からは 1,580 人 民 間 教 育 機 関 からは 1 人 が 就 農 しています( 表 - 8) 卒 業 者 の 就 農 率 をみると 農 業 高 校 3% 道 府 県 農 業 大 学 校 51% 農 業 者 大 学 校 91% 大 学 短 大 ( 農 学 系 の 学 部 )3% 民 間 教 育 機 関 40%となっ ています 農 業 経 営 の 担 い 手 を 養 成 する 中 核 的 な 教 育 機 関 である 道 府 県 農 業 大 学 校 では 農 業 への 関 心 の 高 まりのなか 応 募 者 数 が 増 加 しています 1 また これら 農 業 大 学 校 では 卒 業 生 の 就 農 促 進 のため 奨 学 金 の 貸 与 枠 を 拡 大 したり 雇 用 形 態 による 就 農 でも 奨 学 金 を 免 除 したりするなど 独 自 の 取 組 も 行 われていますが これらをさらに 強 化 していくことが 重 要 です 他 方 農 業 関 係 の 学 校 等 の 卒 業 生 だけでなく 農 業 への 意 欲 や 斬 新 な 発 想 をもつ 農 業 関 係 以 外 の 学 校 等 からの 就 農 を 進 めていくことも 必 要 です このため 一 旦 他 産 業 に 就 業 し た 者 向 けに 土 日 や 夜 間 に 農 業 の 基 礎 を 学 べる 就 農 準 備 校 が 全 国 に8 校 開 設 されているほ か 道 府 県 農 業 大 学 校 においても 社 会 人 等 の 農 業 未 経 験 者 向 けの 基 礎 的 な 研 修 コースが 設 定 されていますが 今 後 これらをさらに 進 めていくことが 重 要 です また 長 期 的 には 子 どもをはじめ 国 民 に 農 業 への 関 心 をもってもらうような 取 組 が 重 要 です 青 少 年 の 成 長 段 階 に 応 じ 農 業 に 対 する 関 心 理 解 を 深 め 将 来 の 農 業 の 担 い 手 を 育 成 していく 観 点 から 農 業 体 験 学 習 が 小 学 校 の8 割 中 学 校 の3 割 で 実 施 されていま す 1 全 国 農 業 大 学 校 協 議 会 平 成 年 度 全 国 農 業 大 学 校 の 概 要 ( 平 成 (010) 年 10 月 公 表 ) 平 成 1(009) 年 度 の 受 講 者 数 は 延 べ 1,109 人 受 講 地 は 茨 城 県 埼 玉 県 東 京 都 愛 知 県 長 野 県 三 重 県 大 阪 府 福 岡 県 石 川 県 の 大 都 市 を 中 心 に 教 室 が 設 置 されているほか 通 学 が 困 難 な 場 合 は 農 業 e ラーニング 講 座 も 選 択 できます 3