博物館調査研究レポート アレクサンドリア 2014 年年 ICOM- UMAC 年年次 大会参加 京都外国語 大学 国際 文化資料料館館 長南博史 はじめに ICOM- UMAC(University Museums and Collections: 大学博物館とコレクション委員会 ) の 2014 年年年年次 大会に出席するためエジプト アレクサンドリアを訪問した i 国際 文化資料料館は 2013 年年に ICOM の会員となり その年年にリオデジャネイロで開催された世界 大会を 見見学する機会をえた そして今回は 国際 文化資料料館が属する UMAC の年年次 大会への初の参加となった この年年次 大会では 国際 文化資料料館が属している京都 大学ミュージアム連携についてのポスター発表とそれに関する 口頭発表を 行行った 会議は 10 月 10 日から 10 月 14 日まで CECA(Committee for Education and Cultural Action: 教育と 文化活動委員会 ) との共催で アレクサンドリア図書館附属ホールにて開催された 本稿では 年年次 大会の参加報告として 発表内容 会議の様 子 アレクサンドリア市内での 見見学会についてまとめる また ICOM 日本委員会では ICOM2019 年年 大会を京都へ招致することを 目指しており それに関連した内外の状況も触れてみたい エジプト アレクサンドリアへエジプトのアレクサンドリア県県庁所在地のアレクサンドリアは ナイル川が地中海にそそぐ広 大な三 角州の 西側 アレクサンドリア湾を背景に広がる 人 口 430 万 人 カイロに次ぐエジプト第 2 の都市である 紀元前 4 世紀エジプトがアレクサンドロスの 支配下 入った時に築かれた その後は 古代エジプト最後王朝のプトレマイオス朝の 首都となった そして 地中海 文明の中 心地と
して全盛期を迎える この地には ギリシアの学術 芸術の 女女神を祀る神殿 ( ムセイオン ) として また 当時のヘレニズム 文化の学者や書籍 文物を集めた図書館があった クレオパトラ 7 世によるプトレマイオス朝の命運をかけローマとの戦争 その後の略略奪などによって紀元 5 世初めに消滅した このムセイオンがミュージアムの語源となったことは有名である その後アレクサンドリアの町は 7 世紀のアラブ侵 入以降降 首都がカイロに移ったこともあってしだいに衰退するが 19 世紀モハンマド アリ朝に 入って 西欧化が進み 近代的な町として再建された 内陸陸の乾燥したエジプトとは異異なり 温暖湿潤な地中海気候も相まって あちこちにヨーロッパの趣を感じる町となった ( 写真 1) アレクサンドリア図書館会場となったアレクサンドリア図書館は 2001 年年に開館した 11 階建て 総 面積 85,000 m2におよぶ図書館と 文化センターからなる施設である アレクサンドリア市の北北側にあって アレクサンドリア湾を望む メインの図書館の建物は 円柱を斜めに切切り落落としたような形になっていて 外側には世界各地 民族の 文字がデザインされている ( 写真 2 3) また 入 口近くにたつ付属 文化ホールの前に 立立つ巨 大な古代エジプトの彫像が印象的であった ( 写真 4) 図書館 ( 写真 5) の内部は カットされた天井に沿うように少なくとも 8 層に閲覧室 レファレンス ギャラリーなどが階段状に配置されている ( 写真 6) 大変開放的であり かつ落落ち着いた雰囲気となっている 天井のルーバーによって 自然光がコントロールされているのだろう ( 写真 7) 最終的には 800 万冊を所蔵することができるという 一 方 地下には書庫のほかに 現代美術 ( 写真 8) 考古遺物( 写真 9) 文
献資料料 歴史 民族資料料 ( 写真 10) などの展 示室が並び 映像シアター ( 写真 11) や 子どもを対象とした体験学習室 ( 写真 12 13) が設けられていたことに興味をひかれた 展 示室をつなぐ通路路は 少し離離れて 入 口付近に建てられている付属の 文化センターに繋がっている ICOM- UMAC2014 年年年年次 大会 2014 年年次 大会は以下の 日程で 行行われた 会場は アレクサンドリア図書館附属 文化センターの中のホールである 10 月 9 日 UMAC 委員会 10 月 10 日受付 パネル展 示作業オープニング 記念念講演会 1 ポスター 口頭発表 セッション1 2 10 月 11 日記念念講演会 2およびセッション3 4 10 月 12 日エクスカーション ( アレクサンドリア図書館 アレクサンドリア国 立立博物館 コームッシュアーファ地下墳墓 ポンペイの柱とセラピオン ローマ円形劇場 ) ガラディナー 10 月 13 日セッション5 6 7セッション 10 月 14 日アレクサンドリア カイロ ギザへのエクスカーション 日本からの発表 日本からは 3 名の 口頭発表 ポスター発表があった 日本博物館協会からは UMAC ボードメンバーでもある東京国 立立博物館栗栗原祐司副館 長 ( 独 立立 行行政法 人国 立立博物館総務部 長 ) が参加 ( 写真 14) し 2019 年年 ICOM 世界 大会を 日本誘致へ向けたポスター発表を 行行った ICOM 日本委員
会では 2019 年年の ICOM 世界 大会を京都への誘致を 目指すことが決まっており 今回の CECA と共同で 行行われた ICOM- UMAC2014 年年年年次 大会は 2015 年年 6 月に投票が 行行われるパリでの ICOM 総会に向けての重要な活動の場でもあった ちなみに CECA では 黒岩啓 子 (Learning Innovayion Network) さんが 口頭発表を 行行った ( 写真 15) 国際 文化資料料館ポスター発表では 国際 文化資料料館が所属している 京都 大学ミュージアム連携 活動を 10 日のセッション2の中で紹介した なお 5 分ほど 口頭での発表も 行行った ( 写真 16 17) 発表では 京都は 大学のまちであり 全国の 大学博物館の 1 割近くが京都にあること 京都市を中 心として 比較的狭いエリアの中の 13 大学 14 施設が連携をしており 国 立立 大学から私 立立 大学 規模の 大 小に関わらずフラットな関係が形成されていること また総合系 歴史系 美術系など 大学の設 立立主旨に基づくさまざまなコレクションがあることが特徴であることを 示した 具体的な活動としては 各館を回るスタンプラリーや とくに出開帳つまり各館の所蔵品を集めた巡回展を開催していることを強調した 開催期間中 2 ~ 3 名の UMAC メンバーから質問を受けたが こうした 大学博物館同 士の連携活動は他では 見見られないとのことだった セッションとエクスカーションセッションは CECA と UMAC が共同開催ということで 一部発表が重複していたため おもに UMAC の発表を聞いた UMAC 参加者は CECA に 比べると半分以下の50 名 足らずという状況であった エクスカーションは最終 日の前 日に開催された 約 60 名が参加 会場となったアレクサンドリア図書館をスタートに アレクサンドリア国 立立博物館 ( 写
真 18) コームッシュアーファ地下墳墓 ポンペイの柱とセラピオン( 写真 19) ローマ円形劇場( 写真 20) をまわった 10 年年前にアレクサンドリアを訪問しアレクサンドリア国 立立博物館 コームッシュアーファ地下墳墓 ポンペイの柱とセラピオンを 見見学していたが ローマ円形劇場は初めてということもあり 大変おもしろかった 発掘調査が進んでおりまちなかにギリシア ローマの遺跡がのこっている 風景は 京都と平安京の関係を思い出させた 現代まで続く古代都市の特徴でもあり 文化財保護という観点からは課題である 2019 年年 ICOM 世界 大会誘致に向けてさて 2019 年年に向けた動きとしては 栗栗原 氏と 一緒に UMAC 委員 長の Hugues DREYSSÉ 氏に 面会し 来年年 5 月に予定されている UMAC マニラ 大会終了了後 京都での国際シンポの開催などについて打ち合わせを 行行った 委員 長としては前向きに検討したい旨の返答があった くわえてマニラ 大会参加者へ京都ツアーを呼びかけてどうかというアイデアが出た 京都 大学ミュージアム連携が窓 口になって各館を 見見学してもらえればと思う 今回 アレクサンドリアのギリシア ローマ博物館の学芸員から博物館交流流の呼びかけがあるなど セッションだけではなく多くの 方々と交流流ができたことが 一番の収穫である ( 写真 21) 国際 文化資料料館は 本学の建学の精神を具体的な形にする活動を 行行っている 学芸員課程履履修 生だけではなく 多くの学 生諸君に世界の歴史や 文化を知ってもらうため 今後も世界の博物館とつながるような活動を 行行っていきたい 1 トルコ航空で関 西空港からイスタンブール経由 10 月 9 日カイロへ到着した その後 車車で約 5 時間 砂 漠ロード を 走ってアレクサンドリアの町にはいった 帰路路は 14 日にカイロからローマに移動 ローマ市 内の博物館を調査し 17 日イスタンブール経由 関 西空港へ帰着した
1 アレクサンドリアの町 2 図書館 ( 正 面 ) と 文化ホール ( 左 ) 3 図書館 4 文化センターと彫像 13 5 図書館 入 口 6 図書館内部
7 図書館天井ルーパー 8 図書館現代美術展 示室 9 図書館考古展 示室 10 図書館 民族展 示室 11 映像シアター 12 体験学習室 1
13 体験学習室 2 14 UMAC 委員会会場 15 CECA 黒岩さんの発表 16 ポスター発表の様 子 17 筆者ポスター 口頭発表 18 国 立立博物館
19 オリンピアの柱を背景に 20 ローマ円形劇場 21 UMAC- CECA メンバーと