耐 久 設 計 施 工 指 針 (AIJ) 耐 久 性 ( 中 性 化 を 例 に) 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 久 設 計 施 工 指 針 ( 案 ) 同 解 説 要 求 性 能 耐 用 年 数 の 確 保 型 設 計 法 構 造 詳 細 配 筋 設 計 かぶり 厚 さ コンクリートの 品 質 コンクリートの 材 料 鉄 筋 コンクリートの 調 合 仕 上 げ 材 などの 仕 様 基 準 型 一 般 設 計 法 一 般 的 な 検 証 法 型 特 別 設 計 法 特 別 な 検 証 法 + + 一 部 の 使 用 基 準 一 部 の 使 用 基 準 建 築 性 能 論 #1 建 築 性 能 論 # 性 能 設 計 と 仕 様 書 設 計 性 能 検 証 型 耐 久 設 計 の 流 れ 性 能 設 計 : 決 められた 要 求 性 能 値 を 実 現 するために 実 験 や 計 算 を 根 拠 に 仕 様 を 自 由 に 選 定 する 設 計 の 自 由 度 が 大 きい 高 度 な 知 識 能 力 技 術 力 が 求 められる 仕 様 書 設 計 : 標 準 仕 様 書 に 記 載 された 材 料 工 法 の 仕 様 書 を 転 記 して 要 求 水 準 を 確 定 する 既 に 広 く 普 及 し 施 工 検 査 体 制 が 整 う 仕 様 書 で 固 定 されるため 設 計 の 自 由 度 が 制 限 される 耐 用 年 数 を 短 縮 維 持 管 理 の 実 施 性 能 の 見 直 し 仕 様 の 変 更 建 築 主 からの 要 求 耐 用 年 数 要 求 性 能 耐 用 設 計 年 数 の 推 定 ( 章 ) 計 画 的 な 維 持 保 全 設 計 劣 化 外 力 の 評 価 (3 章 ) 設 計 限 界 状 態 の 設 定 (4 章 ) 材 料 調 合 かぶり 厚 さ 等 の 設 定 (5 章 ) 法 的 経 済 的 社 会 的 制 約 条 件 予 測 式 による 劣 化 現 象 の 進 行 予 測 (5 章 ) 計 画 耐 用 年 数 における 終 了 維 持 保 全 年 数 の 設 定 ( 章 ) 設 計 劣 化 外 力 の 評 価 (3 章 ) 維 持 保 全 限 界 状 態 の 設 定 (4 章 ) 建 築 性 能 論 #3 建 築 性 能 論 #4
性 能 の 検 証 限 界 状 態 と 耐 用 年 数 設 計 耐 用 年 数 の 期 間 内 は 設 計 限 界 状 態 に 達 してはならない 維 持 保 全 計 画 のある 場 合 には 維 持 保 全 期 間 内 に 維 持 保 全 限 界 状 態 に 達 してはな らない 建 築 物 の 性 能 初 期 性 能 維 持 保 全 > 設 計 限 界 状 態 維 持 保 全 限 界 状 態 要 求 性 能 JASS5 維 持 保 全 年 数 ( 第 一 回 目 ) 大 規 模 補 修 不 要 予 定 期 間 維 持 保 全 年 数 ( 第 二 回 目 ) 供 用 限 界 期 間 時 間 設 計 耐 用 年 数 要 求 耐 用 年 数 建 築 性 能 論 #5 建 築 性 能 論 #6 限 界 状 態 と 耐 用 年 数 コンクリートに 生 じる 劣 化 要 求 耐 用 年 数 : 建 築 物 の 計 画 に 際 して 建 築 物 の 所 有 者 や 使 用 者 ある いは 社 会 から 要 求 される 建 築 物 またはその 部 分 の 耐 用 年 数 設 計 耐 用 年 数 : 建 築 物 の 設 計 に 際 して 要 求 耐 用 年 数 を 元 に 設 定 され る 設 計 の 目 標 とする 建 築 物 またはその 部 分 の 耐 用 年 数 設 計 限 界 状 態 : 建 築 物 の 構 造 体 および 部 材 の 性 能 の 低 下 に 伴 って 現 れ る 劣 化 現 象 のうち 耐 久 設 計 の 段 階 でそれ 以 上 の 低 下 を 許 容 しえない 限 界 の 劣 化 状 態 維 持 保 全 限 界 状 態 : 建 築 物 の 構 造 体 および 部 材 の 性 能 の 低 下 に 伴 って 現 れる 劣 化 現 象 のうち 耐 久 設 計 の 段 階 でそれ 以 上 低 下 すると 維 持 保 全 が 極 めて 困 難 になると 予 想 される 限 界 の 劣 化 状 態 維 持 保 全 : 建 築 物 の 性 能 や 機 能 を 要 求 条 件 に 適 合 するように 維 持 する こと また そのために 行 う 諸 行 為 中 性 化 CO との 反 応 によりアルカリが 失 われ 鉄 筋 腐 食 を 誘 発 Ca(OH) + CO CaCO 3 + H O 塩 害 海 岸 沿 いなど 塩 化 物 の 作 用 により 鉄 筋 を 腐 食 させる 性 能 変 化 の 予 測 凍 害 コンクリート 中 の 水 分 が 凍 結 と 融 解 を 繰 り 返 し 凍 結 時 の 膨 張 水 圧 によってコンクリートにひび 割 れを 生 じる アルカリ 骨 材 反 応 骨 材 がコンクリート 中 でアルカリシリカゲルを 生 成 し 水 分 によって 膨 張 することで 全 面 的 にひび 割 れを 生 じる > 設 計 限 界 状 態 維 持 保 全 限 界 状 態 建 築 性 能 論 #7 建 築 性 能 論 #8
中 性 化 に 対 する 劣 化 外 力 CO 濃 度 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 硫 黄 酸 化 物 窒 素 酸 化 物 濃 度 Ca(OH) +CO CaCO 3 +H O Ca(OH) +SO 3 CaSO 4 +H O Ca(OH) +4NO Ca(NO 3 ) +Ca(NO ) +H O 特 に 実 測 などに 寄 らない 場 合 二 酸 化 炭 素 濃 度 [ 屋 内 : 屋 外 : ] 建 築 物 に 接 する 土 水 の 炭 酸 濃 度 建 築 性 能 論 #9 建 築 性 能 論 #1 限 界 状 態 鉄 筋 の 腐 食 確 率 中 性 化 に 対 する 場 合 限 界 状 態 :コンクリートの 中 性 化 が 進 行 して 最 外 側 鉄 筋 の%が 腐 食 状 態 になったとき 表 面 から の 距 離 鉄 筋 かぶり 厚 さの 位 置 かぶり 厚 さの 分 布 限 界 状 態 : 中 性 化 深 さが いずれかの 鉄 筋 表 面 を 腐 食 させる 位 置 に 達 したとき 15 年 5 年 1 年 中 性 化 深 さの 分 布 中 性 化 速 度 式 材 齢 ( 年 ) 建 築 性 能 論 #11 建 築 性 能 論 #1
中 性 化 領 域 と 鉄 筋 腐 食 中 性 化 進 行 のメカニズム Z C 中 性 化 領 域 CaCO 3 未 中 性 化 領 域 Ca(OH) 中 間 領 域 Ca(OH) +CO CaCO 3 +H O CO 侵 入 CO 侵 入 濃 度 屋 外.5% 屋 内.% 大 気 S X コンクリート x x+dx Y 建 築 性 能 論 #13 建 築 性 能 論 #14 CO の 拡 散 フィックの 法 則 CO の 拡 散 フィックの 法 則 深 さ x でのCO 量 C ΔCO = D x S Δ 消 費 されるCO 量 ΔCO x : 中 性 化 深 さ : 時 間 D : 拡 散 係 数 C : 表 面 のCO 濃 度 S : 面 積 H : 単 位 体 積 当 たりのCa(OH) 量 = H S Δx J = D dc dx J : 流 束 ( 物 質 が 単 位 時 間 単 位 面 積 あたりに 通 過 する 量 ) D : 拡 散 係 数 c : 濃 度 x : 位 置 の 勾 配 による 物 質 ( 例 えばCO )の 移 動 を 記 述 拡 散 係 数 は コンクリートの 組 織 の 緻 密 さ などによって 決 まる 値 建 築 性 能 論 #15 建 築 性 能 論 #16
中 性 化 の 進 行 予 測 中 性 化 の 進 行 予 測 深 さ x でのCO 量 C ΔCO = D x 消 費 されるCO 量 ΔCO x = = H S Δx D C H S Δ のとき dx d D C = H x 両 辺 を 積 分 して x D C xdx = d H x D C = H [ 岸 谷 式 ] (w/c<6%) [ 白 山 式 ] = R C = 1.7 C = 1.41 7. C ( 4.6 w 1.76) c R ( w.38) c = α β χ δ ε 1 α β χ δ ε 5 C ( W 38) C ( W 38) [ 和 泉 式 ] C 35.4 R R R R R R C = 1 3 4 5 6 R : 中 性 化 比 率 α : 骨 材 混 和 剤 による 差 β : セメントによる 差 γ : 施 工 程 度 による 差 δ : 仕 上 げによる 差 ε : 室 内 外 による 差 R 1 : セメント 種 類 および 水 セメン ト 比 の 影 響 係 数 R : セメント 種 類 および 湿 潤 養 生 の 影 響 係 数 R 3 : 炭 酸 ガス 濃 度 の 影 響 係 数 R 4 : 温 度 の 影 響 係 数 R 5 : 湿 度 の 影 響 係 数 R 6 : 仕 上 げの 影 響 係 数 建 築 性 能 論 #17 建 築 性 能 論 #18 中 性 化 の 進 行 予 測 係 数 の 決 定 C = A s A = k α 1 α α3 β1 β β3 コンクリートの 種 類 α 1 普 通 コンクリート 1. 軽 量 コンクリート1 種 1. 軽 量 コンクリート 種 1.4 α 3 =w/c.38 セメントの 種 類 α 普 通 ポルトランドセメント 1. 早 強 ポルトランドセメント.85 高 炉 セメントB 種 1.4 フライアッシュセメントB 種 1.8 k : 岸 谷 式 では1.7 白 山 式 では1.41になる 係 数 α 1 : コンクリートの 種 類 ( 骨 材 の 種 類 )による 係 数 α : セメント 種 類 による 係 数 α 3 : 調 合 ( )による 係 数 β 1 : 気 温 による 係 数 β : 湿 度 による 係 数 β 3 : による 係 数 s : 中 性 化 抑 制 効 果 の 係 数 都 市 年 平 均 温 度 ( ) β 1 年 平 均 湿 度 (%) β 東 京 15.9 1 63 1 札 幌 8.5.83 7.8 仙 台 1.1.91 71.79 大 阪 16.5 1.1 64.98 鹿 児 島 18.3 1.5 71.79 屋 内 外 炭 酸 ガス 濃 度 (%) β 3 屋 外.5 1 屋 内. 建 築 性 能 論 #19 建 築 性 能 論 #
中 性 化 抑 制 効 果 の 係 数 (s) 設 計 例 題 屋 外 仕 上 げなし 1. 仕 上 げなし 1. モルタル.6 モルタル.48 モルタル+ 塗 装. 屋 モルタル+ 塗 装 塗 装.19.61 タイル.16 内 タイル.31 プラスター.73 モルタル+リシン.1 モルタル+プラスター.49 人 造 石.31 建 物 の 計 画 場 所 : 宮 城 県 コンクリート 材 料 : 普 通 ポルトランドセメント 普 通 コンクリート W/C=55% 仕 上 材 料 は 考 慮 しない 設 計 耐 用 年 数 の 設 定 :6 年 ( 建 築 主 からの 要 求 耐 用 年 数 :5 年 ) 計 画 的 な 維 持 保 全 をしない( 定 期 的 な 点 検 等 を 除 く) 設 計 劣 化 外 力 ( 中 性 化 ): CO 濃 度.%( 屋 内 ).5%( 屋 外 ) 設 計 限 界 状 態 : 最 外 側 鉄 筋 の%が 腐 食 状 態 建 築 性 能 論 #1 建 築 性 能 論 # 設 計 例 題 設 計 例 題 対 象 部 材 の 断 面 形 状 C = A s A = k α 1 α α3 β1 β β3 k : 岸 谷 式 では1.7 白 山 式 では1.41になる 係 数 α 1 : コンクリートの 種 類 ( 骨 材 の 種 類 )による 係 数 α : セメント 種 類 による 係 数 α 3 : 調 合 ( 水 セメント 比 )による 係 数 β 1 : 気 温 による 係 数 β : 湿 度 による 係 数 β 3 : 二 酸 化 炭 素 濃 度 による 係 数 s : 中 性 化 抑 制 効 果 の 係 数 建 築 性 能 論 #3 建 築 性 能 論 #4
設 計 例 題 設 計 例 題 中 性 化 深 さの 変 動 係 数 ( ):1% かぶり 厚 さの 標 準 偏 差 ( ):1mm 上 記 の 場 合 鉄 筋 のかぶり 厚 さと 中 性 化 深 さの 差 の 確 率 分 布 f ( D ) は ( ) 平 均 値 : D C 標 準 偏 差 : C ν +σ の 正 規 分 布 となるため 下 式 で 表 される f ( D C ) C {( D C ) ( )} D C ( ) C ν + σ 1 = exp π C ν + σ 部 位 の 種 類 環 境 区 分 d' 腐 食 確 率 柱 屋 外 面 屋 内 面 梁 屋 外 面 屋 内 面 建 築 性 能 論 #5 建 築 性 能 論 #6 塩 害 に 対 する 照 査 標 準 仕 様 選 択 型 耐 久 設 計 の 流 れ 土 木 学 会 :コンクリート 標 準 示 方 書 設 計 編 7 年 制 定 p.119 供 用 期 間 中 に 鋼 材 に 腐 食 を 発 生 させない = 鋼 材 位 置 での 塩 化 物 イオン 濃 度 が 鋼 材 腐 食 発 生 限 界 濃 度 ( 例 えば1.kg/m 3 ) 以 下 であることを 照 査 する 建 築 主 からの 要 求 耐 用 年 数 要 求 性 能 法 的 経 済 的 社 会 的 制 約 条 件 C d c dc C d cl erf.1 = γ 1 D D dx d 設 計 劣 化 外 力 の 評 価 (3 6 章 ) 耐 用 設 計 年 数 の 設 定 (6 章 ) C d : 鋼 材 位 置 における 塩 化 物 イオン 濃 度 の 設 計 値 [kg/m 3 ] C : コンクリート 表 面 での 想 定 塩 化 物 イオン 濃 度 [kg/m 3 ] : かぶりの 設 計 値 [mm] c d : 耐 用 年 数 [ 年 ] γ cl : ばらつきを 考 慮 した 安 全 係 数 D d : 塩 化 物 イオンに 対 する 設 計 ( 見 かけの) 拡 散 係 数 [cm / 年 ] 材 料 調 合 かぶり 厚 さ 等 の 設 定 (6 章 ) 終 了 建 築 性 能 論 #7 建 築 性 能 論 #8
標 準 仕 様 選 択 型 設 計 法 標 準 仕 様 選 択 型 設 計 法 6.4.4 かぶり 厚 さ 6.4.5 コンクリートの 品 質 土 または 水 に 接 しない 土 または 水 に 接 する 設 計 耐 用 年 数 65 年 1 年 仕 上 あり 3 3 床 スラブ 屋 内 仕 上 げなし 3 4 屋 根 スラブ 非 耐 力 壁 屋 外 仕 上 あり 3 4 仕 上 げなし 4 5 仕 上 あり 4 4 柱 屋 内 仕 上 げなし 4 5 梁 耐 力 壁 屋 外 仕 上 あり 4 5 仕 上 げなし 5 6 土 または 水 に 接 する 柱 梁 床 スラブ 耐 力 壁 5 基 礎 擁 壁 7 a. コンクリートは 所 要 のワーカビリティおよび 強 度 を 有 するものとする b. コンクリートの 種 類 は 設 計 耐 用 年 数 が1 年 の 場 合 は 普 通 コンク リートとし 設 計 耐 用 年 数 が65 年 の 場 合 は 普 通 コンクリート 軽 量 コ ンクリート1 種 および 軽 量 コンクリート 種 とする c. コンクリートの 設 計 基 準 強 度 は 構 造 設 計 図 書 による d. コンクリートの は 設 計 耐 用 年 数 が1 年 の 場 合 は 3N/mm 以 上 65 年 の 場 合 は4N/mm 以 上 を 標 準 とする e. コンクリートの 品 質 基 準 強 度 の 定 め 方 は JASS 5 による f. コンクリート 中 に 含 まれる 塩 化 物 イオン 量 は.3kg/m 3 以 下 とする g. コンクリートは アルカリ 骨 材 反 応 を 生 じるおそれのないものとする 建 築 性 能 論 #9 建 築 性 能 論 #3