諮 問 庁 : 国 税 庁 長 官 諮 問 日 : 平 成 2 1 年 6 月 1 8 日 ( 平 成 2 1 年 ( 行 情 ) 諮 問 第 2 9 5 号 ) 答 申 日 : 平 成 2 2 年 2 月 8 日 ( 平 成 2 1 年 度 ( 行 情 ) 答 申 第 5 1 4 号 ) 事 件 名 : 法 人 課 税 部 門 における 消 費 税 還 付 申 告 に 係 る 事 務 処 理 手 順 等 につい て の 一 部 改 正 について の 一 部 開 示 決 定 に 関 する 件 答 申 書 第 1 審 査 会 の 結 論 平 成 2 0 年 7 月 7 日 付 け 課 法 第 7 6 号 ほか2 課 共 同 法 人 課 税 部 門 にお ける 消 費 税 還 付 申 告 に 係 る 事 務 処 理 手 順 等 について の 一 部 改 正 について( 事 務 運 営 指 針 ) ( 以 下 本 件 対 象 文 書 という )につき,その 一 部 を 不 開 示 と した 決 定 は, 妥 当 である 第 2 審 査 請 求 人 の 主 張 の 要 旨 1 審 査 請 求 の 趣 旨 行 政 機 関 の 保 有 する 情 報 の 公 開 に 関 する 法 律 ( 以 下 法 という )3 条 の 規 定 に 基 づく 本 件 対 象 文 書 の 開 示 請 求 に 対 し, 平 成 2 1 年 2 月 1 9 日 付 け 富 山 総 第 3 6 号 により 富 山 税 務 署 長 ( 以 下 処 分 庁 という )が 行 った 一 部 開 示 決 定 ( 以 下 原 処 分 という )を 取 り 消 し,その 不 開 示 とした 部 分 の 開 示 を 求 めるものである 2 審 査 請 求 の 理 由 の 要 旨 (1 ) 本 件 対 象 文 書 は, 消 費 税 の 還 付 事 案 に 係 る 事 務 処 理 の 基 本 マニュアルと も 言 うべきものであるところ,これは, 還 付 事 務 に 係 る 事 務 処 理 の 基 本 を 整 理 したもので,その 内 容 は, 個 別 具 体 的 な 事 案 に 係 る 個 別 具 体 的 な 判 断 基 準 等 が 記 述 されたものでなく, 一 般 的 抽 象 的 な 記 述 にすぎず, 原 処 分 の 不 開 示 理 由 の 存 否 につき 真 しに 検 討 し 判 断 されておらず,また 存 在 するとは 到 底 言 えない ちなみに, 別 紙 に 掲 げる 部 分 ( 以 下 本 件 不 開 示 部 分 という )の 番 号 2 のうち, 改 正 前 欄 の 箇 所 は, 審 査 請 求 人 が 本 件 対 象 文 書 の 改 正 前 の ものを 過 去 に 開 示 請 求 した 際 には, 開 示 されていた 部 分 である 既 に 開 示 さ れた 部 分 が,なぜ 今 回 不 開 示 となるのか 理 解 に 苦 しむ したがって, 原 処 分 は, 違 法 不 当 であり, 取 り 消 されるべきである (2 ) 諮 問 庁 は 個 々 具 体 的 に 不 開 示 の 必 要 性 を 検 討 せず, 概 括 的 に おそれ を 強 調 しているにすぎない 標 準 的 な 書 式 及 びその 書 き 方 の 説 明 を 公 表 したからといって, 諮 問 庁 が 説 明 する おそれ は 生 じない - 1 -
第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 の 対 象 文 書 等 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 平 成 2 0 年 7 月 7 日 付 け 課 法 第 7 6 号 ほか2 課 共 同 法 人 課 税 部 門 における 消 費 税 還 付 申 告 に 係 る 事 務 処 理 手 順 等 について の 一 部 改 正 について( 事 務 運 営 指 針 ) の 開 示 を 求 めるものであ る 処 分 庁 は, 本 件 対 象 文 書 のうち, 本 件 不 開 示 部 分 について, 法 5 条 6 号 イ に 該 当 するとして 一 部 開 示 決 定 ( 原 処 分 )を 行 った 以 下, 本 件 不 開 示 部 分 の 不 開 示 情 報 該 当 性 について 検 討 する 2 不 開 示 情 報 該 当 性 について 法 5 条 6 号 イは, 国 の 機 関 が 行 う 事 務 に 関 する 情 報 であって, 公 にすること により, 租 税 の 賦 課 若 しくは 徴 収 に 係 る 事 務 に 関 し, 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれ 又 は 違 法 若 しくは 不 当 な 行 為 を 容 易 にし, 若 しくはその 発 見 を 困 難 にするおそれがあるものを 不 開 示 情 報 として 規 定 している 本 件 不 開 示 部 分 には, 消 費 税 に 係 る 還 付 保 留 基 準, 還 付 申 告 法 人 に 対 する 接 触 方 法, 還 付 保 留 の 原 因 解 明 に 係 る 着 眼 点 及 び 検 討 項 目, 並 びに 審 査 手 順 等 が 具 体 的 に 記 載 されている 還 付 保 留 基 準 等 は, 膨 大 な 数 の 消 費 税 還 付 申 告 がある 中 で, 国 税 当 局 が 限 られた 人 員 の 下 で, 効 率 的 かつ 適 正 に 還 付 処 理 を 行 うためのものである 本 件 不 開 示 部 分 を 公 にした 場 合 には, 消 費 税 の 還 付 を 不 正 に 受 けようとする 一 部 の 納 税 者 が, 還 付 保 留 や 実 地 調 査 等 を 免 れるため,これらが 行 われる 基 準 を 下 回 る 水 準 等 での 還 付 申 告 を 行 い, 還 付 を 不 正 に 受 けることが 容 易 となり,また, 実 地 調 査 の 対 象 とされる 可 能 性 が 高 いことを 予 見 し, 不 正 手 口 の 巧 妙 化 を 図 るなどにより, 国 税 当 局 による 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれ 又 は 違 法 若 しくは 不 当 な 行 為 の 発 見 を 困 難 に するおそれがあるものと 認 められる したがって, 当 該 部 分 は, 法 5 条 6 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 すると 認 めら れる 3 結 論 以 上 のことから, 本 件 不 開 示 部 分 は, 法 5 条 6 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 す ると 認 められるので, 原 処 分 は 妥 当 であると 判 断 する 第 4 調 査 審 議 の 経 過 当 審 査 会 は, 本 件 諮 問 事 件 について, 以 下 のとおり, 調 査 審 議 を 行 った 1 平 成 2 1 年 6 月 1 8 日 諮 問 の 受 理 2 同 日 諮 問 庁 から 理 由 説 明 書 を 収 受 3 同 年 7 月 1 0 日 審 査 請 求 人 から 意 見 書 を 収 受 4 同 年 1 2 月 1 0 日 本 件 対 象 文 書 の 見 分 及 び 審 議 5 平 成 22 年 2 月 4 日 審 議 - 2 -
第 5 審 査 会 の 判 断 の 理 由 1 本 件 対 象 文 書 について 本 件 対 象 文 書 は, 消 費 税 の 不 正 還 付 の 確 実 な 防 止 を 図 るため, 還 付 申 告 法 人 への 接 触 体 制 や 審 査 手 順 などの 事 務 処 理 手 順 等 を 定 めた 事 務 運 営 指 針 ( 通 達 )の 一 部 を 改 正 した 行 政 文 書 である 処 分 庁 は, 本 件 対 象 文 書 のうち, 本 件 不 開 示 部 分 について,いずれも 法 5 条 6 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 するとして 原 処 分 を 行 い, 諮 問 庁 も 原 処 分 を 維 持 すべきとしていることから, 本 件 対 象 文 書 を 見 分 した 結 果 を 踏 まえ, 本 件 不 開 示 部 分 の 不 開 示 情 報 該 当 性 について 検 討 する 2 不 開 示 情 報 該 当 性 について (1 ) 還 付 保 留 基 準 が 記 載 された 部 分 ( 別 紙 の1,2,4,6 及 び7 ) 当 審 査 会 において 本 件 対 象 文 書 を 見 分 したところ, 別 紙 に 掲 げる 本 件 不 開 示 部 分 の 番 号 1,2,4,6 及 び7 には, 法 人 から 提 出 された 消 費 税 の 還 付 申 告 書 に 係 る 還 付 保 留 基 準 が 具 体 的 に 記 載 されていると 認 められる 当 審 査 会 事 務 局 職 員 をして 諮 問 庁 に 確 認 させたところ, 還 付 保 留 基 準 は, 国 税 当 局 が 消 費 税 還 付 申 告 書 の 収 受 後 に, 還 付 処 理 を 保 留 するかどうか 判 断 するための 基 準 であり, 当 該 基 準 に 該 当 する 申 告 書 については, 還 付 処 理 が 保 留 された 上, 調 査 担 当 に 回 付 され, 一 定 の 調 査, 判 断 を 経 て, 更 に 実 地 調 査 等 が 実 施 されるものと 還 付 処 理 がされるものに 分 別 され, 他 方, 当 該 基 準 に 該 当 しない 申 告 書 については, 直 ちに 還 付 処 理 が 行 われるもの とされているとのことであった 上 記 のような 性 質 の 還 付 保 留 基 準 が 公 にされた 場 合 には, 消 費 税 の 不 正 還 付 を 受 けようとする 一 部 の 法 人 が, 還 付 保 留 を 免 れるため, 当 該 基 準 を 下 回 る 水 準 等 での 還 付 申 告 を 行 うことが 容 易 となることから, 国 税 当 局 によ る 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれ 又 は 違 法 若 しくは 不 当 な 行 為 を 容 易 にし, 若 しくはその 発 見 を 困 難 にするおそれがあると 認 められる さらに, 当 該 基 準 に 該 当 する 不 正 還 付 申 告 書 を 提 出 した 法 人 が, 還 付 保 留 された 場 合 には, 実 地 調 査 等 による 確 認 が 行 われることを 予 測 し, 税 額 計 算 上 の 不 正 手 口 の 巧 妙 化 を 図 るなどにより, 国 税 当 局 による 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれがあると 認 められる したがって, 当 該 部 分 は, 法 5 条 6 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 すると 認 め られるので, 不 開 示 とすることが 相 当 である (2 ) 還 付 申 告 法 人 に 対 する 実 地 調 査 等 の 接 触 方 法 等 が 記 載 された 部 分 ( 別 紙 の3 及 び5 ) 当 審 査 会 において 本 件 対 象 文 書 を 見 分 したところ, 別 紙 に 掲 げる 本 件 不 開 示 部 分 の 番 号 3 及 び5 には, 還 付 申 告 書 を 提 出 した 法 人 に 対 するその 申 告 内 容 等 に 応 じた 実 地 調 査 等 の 接 触 の 態 様 やその 分 別 の 基 準 等 が 具 体 的 - 3 -
に 記 載 されていると 認 められる 当 該 部 分 を 公 にした 場 合 には, 不 正 還 付 を 受 けようとする 一 部 の 法 人 が, 例 えば, 実 地 調 査 を 回 避 するため, 実 地 調 査 が 行 われる 基 準 を 満 たさない 形 で 申 告 書 を 提 出 することが 考 えられることから, 国 税 当 局 による 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれ 又 は 違 法 若 しくは 不 当 な 行 為 の 発 見 を 困 難 に するおそれがあると 認 められる また, 不 正 還 付 を 受 けようとする 一 部 の 法 人 が 実 地 調 査 の 対 象 に 選 定 される 可 能 性 が 高 いことを 予 測 し, 税 額 計 算 上 の 不 正 手 口 の 巧 妙 化 を 図 るなどにより, 同 様 のおそれがあると 認 められる したがって, 当 該 部 分 は, 法 5 条 6 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 すると 認 め られるので, 不 開 示 とすることが 相 当 である 3 審 査 請 求 人 の 主 張 について 審 査 請 求 人 は, 本 件 不 開 示 部 分 の 番 号 2 のうち, 改 正 前 欄 の 本 文 9 行 目 の 一 部 の 箇 所 は, 審 査 請 求 人 が 本 件 対 象 文 書 の 改 正 前 のものを 過 去 に 開 示 請 求 した 際 には 開 示 されたことを 理 由 に, 原 処 分 の 違 法, 不 当 を 主 張 している しかしながら, 上 記 部 分 が 改 正 前 の 開 示 請 求 において 開 示 されていたから といって, 現 時 点 において, 直 ちに 同 部 分 が 公 にされている 情 報 又 は 何 人 にも 知 り 得 る 状 態 におかれている 情 報 であるとは 言 い 難 く, 本 件 開 示 請 求 におい て, 同 部 分 を 公 にすることにより, 上 記 2 (1 )のとおり, 国 税 当 局 による 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれ 又 は 違 法 若 しくは 不 当 な 行 為 を 容 易 に し, 若 しくはその 発 見 を 困 難 にする 具 体 的 なおそれがあるのであるから, 審 査 請 求 人 の 主 張 は 採 用 できない また, 審 査 請 求 人 は,その 他 種 々 主 張 するが, 当 審 査 会 の 判 断 を 左 右 する ものではない 4 本 件 一 部 開 示 決 定 の 妥 当 性 について 以 上 のことから, 本 件 対 象 文 書 につき,その 一 部 を 法 5 条 6 号 イに 該 当 す るとして 不 開 示 とした 決 定 については, 不 開 示 とされた 部 分 は 同 号 イに 該 当 す ると 認 められるので, 妥 当 であると 判 断 した ( 第 4 部 会 ) 委 員 西 田 美 昭, 委 員 園 マリ, 委 員 藤 原 静 雄 - 4 -
( 別 紙 ) 1 別 添 1 ページ 及 び2 ページ 改 正 前 及 び 改 正 後 欄 中, 第 1 還 付 保 留 について の 2 還 付 保 留 基 準 に 該 当 する 法 人 の 抽 出 の 還 付 保 留 基 準 の 部 分 2 別 添 2 ページ 改 正 前 及 び 改 正 後 欄 中, 第 1 還 付 保 留 について の 2 還 付 保 留 基 準 に 該 当 する 法 人 の 抽 出 の (1 ) 還 付 保 留 者 名 簿 の 作 成 等 の 本 文 9 行 目 の 一 部 3 別 添 5 ページ 及 び6 ページ 改 正 前 及 び 改 正 後 欄 中, 第 2 還 付 申 告 法 人 に 対 する 接 触 の 部 分 4 別 添 8 ページ 改 正 前 欄 中, ( 別 紙 1 ) 消 費 税 還 付 申 告 書 のチェック 体 制 の 還 付 保 留 基 準 の 部 分 及 び 改 正 後 欄 中, ( 別 紙 2 ) 消 費 税 還 付 申 告 書 のチェック 体 制 の 還 付 保 留 基 準 の 部 分 5 別 添 9 ページ 改 正 前 欄 中, ( 別 紙 2 ) 消 費 税 還 付 申 告 法 人 に 対 する 接 触 体 制 の 部 分 及 び 改 正 後 欄 中, ( 別 紙 3 ) 消 費 税 還 付 申 告 法 人 に 対 する 接 触 体 制 の 部 分 6 別 紙 1 消 費 税 還 付 申 告 原 因 解 明 票 審 理 担 当 欄 の 一 部, 還 付 保 留 理 由 欄, 審 理 担 当 者 所 見 欄 の 一 部 並 びに チェック 項 目 の 着 眼 点 及 び 検 討 項 目 欄 7 別 紙 1 裏 面 消 費 税 還 付 申 告 原 因 解 明 票 の 記 載 要 領 1 行 目 の 一 部,6 行 目 及 び7 行 目 の 一 部 並 びに1 1 行 目 の 一 部 - 5 -