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報 告 1 日 本 伝 来 の 占 いに 関 する 書 物 水 口 幹 記 ( 立 教 大 学 ) 日 本 には 数 多 くの 占 い 関 連 の 書 物 が 大 陸 朝 鮮 半 島 から 伝 来 している それは 平 安 時 代 に 編 纂 された 日 本 伝 来 漢 籍 目 録 である にほんこくげんざいしょもくろく 日 本 国 見 在 書 目 録 の 記 録 からも 確 認 できる しかしながら 伝 来 した 書 物 全 てが 参 照 され 利 用 されていたわけではなく むしろ 限 ら れた 書 物 によって 日 本 の 占 いは 成 立 していたとも 言 える 本 報 告 では 平 安 時 代 から 江 戸 時 代 までに 日 本 に 伝 来 し 利 用 された 書 物 を 中 心 に 紹 介 していく 具 体 的 には 以 下 の 三 点 について 述 べていく 1. 天 てんちずいしょうし そんけいかく 地 瑞 祥 志 ( 前 田 育 徳 会 尊 経 閣 文 庫 本 が 最 古 の 写 本 ) 本 書 は 平 安 時 代 から 利 用 が 確 認 され 江 戸 時 代 中 期 まで 陰 陽 道 家 を 中 心 に 利 用 され ていた 書 物 である しかしながら 本 書 は 大 陸 や 半 島 には 残 存 せず 日 本 のみに 残 ってい る 佚 存 書 である 本 書 の 成 立 をめぐっては 唐 新 羅 ( 水 口 説 )と 確 定 されていないが 利 用 の 中 心 は 日 本 である( 一 部 高 麗 史 に 引 用 が 残 る) 本 報 告 では その 利 用 の 実 態 を 示 す 実 例 ( 逸 文 などから 紹 介 )を 紹 介 し 確 認 していく 2. どうぞう 道 蔵 日 用 類 書 類 の 伝 来 と 利 用 本 項 目 では 日 本 で 作 成 された 呪 符 を 中 心 に 中 国 書 物 からの 影 響 について 述 べていく 吉 田 神 道 が 使 用 していた 霊 符 が 道 蔵 所 収 のものであること 若 わかすぎけ もんじょ 杉 家 文 書 ( 陰 陽 道 家 伝 来 の 文 書 群 京 都 府 総 合 資 料 館 所 蔵 )に 残 る 呪 符 が 日 用 類 書 に 影 響 を 受 けていること またそ の 日 用 類 書 が 日 本 のみならず 朝 鮮 半 島 琉 球 ベトナムにまで 伝 来 していたことについ て 触 れる 3. てんもんずしょうがんせん ほ う さ 天 文 図 象 玩 占 ( 名 古 屋 市 蓬 左 文 庫 蔵 ) 本 書 は 全 四 冊 で 構 成 されている 天 文 関 係 の 占 書 である 本 書 は 上 下 二 段 で 構 成 され 上 部 にカラーで 図 下 段 に 占 文 が 付 された 特 殊 な 形 態 をもつ 本 書 が 日 本 で 利 用 された 形 跡 はないが 今 まで 本 書 に 関 する 論 稿 はなく 本 シンポにおいて 簡 単 に 紹 介 していきたい ここまでの 検 討 の 結 果 本 書 は 明 代 に 作 成 された 天 てんげんぎょくれきしょういふ 元 玉 暦 祥 異 賦 ( 図 説 ) などからの 抄 本 であったことがわかっている 天 元 玉 暦 祥 異 賦 は 様 々なヴァリエーションをもって 日 本 中 国 韓 国 に 複 数 残 存 しているが( 最 近 佐 々 木 聡 氏 が 天 元 玉 暦 祥 異 賦 の 系 統 を 検 討 し 本 年 の 日 本 道 教 学 会 で 報 告 している 未 論 文 化 ) 詳 細 に 検 討 すると 本 書 には それらとは 重 ならない 文 章 も 見 られ 成 立 の 事 情 がわからないものである 詳 細 な 検 討 に ついては 現 在 鋭 意 進 行 中 である (なお 本 書 は 蓬 左 文 庫 の 目 録 には 記 されていないが 朝 鮮 本 である 可 能 性 が 高 い ) 以 上 の 三 点 を 軸 に 占 書 が 中 国 を 起 源 としながらも 朝 鮮 半 島 日 本 など 周 辺 諸 国 に 広 がり 受 け 入 れられ 利 用 されていったこと またその 際 に 生 じる 日 本 的 特 徴 について 述 べていきたい 1

報 告 2 具 注 暦 の 淵 源 工 藤 元 男 ( 早 稲 田 大 学 ) 1975 年 に 中 国 湖 北 省 雲 夢 県 睡 虎 地 11 号 秦 墓 から 日 書 が 出 土 して 以 来 日 書 ある いは 日 書 とみなされる 占 書 が 多 数 発 見 されるようになった これによって 中 国 古 代 社 会 の 占 卜 文 化 の 状 況 がかなり 具 体 的 に 分 り 始 めた また 同 じ 墓 葬 からこうした 占 書 と 共 に 出 土 する 資 料 として 暦 譜 が 出 土 することにも 注 目 される 日 書 を 出 土 す る 墓 葬 の 墓 主 の 多 くは 郡 県 レベルの 地 方 官 である これより 日 書 および 暦 譜 は 中 国 古 代 の 郡 県 少 吏 層 の 職 務 活 動 と 密 接 な 関 係 があったとみなされよう 暦 譜 の 呼 称 は 羅 振 玉 王 国 維 が 流 沙 墜 簡 (1914 年 )の 中 で 暦 関 連 資 料 を 漢 書 芸 文 志 術 数 略 の 分 類 によって 定 名 したことに 由 来 する しかし 具 体 的 な 篇 題 を 有 する 暦 譜 類 の 資 料 が 近 年 発 見 され その 分 類 と 定 名 をめぐる 議 論 が 起 っている すなわち 1985 年 ~88 年 湖 北 省 江 陵 県 張 家 山 136(336) 号 漢 墓 から 七 年 質 日 ( 前 173)が 出 土 し( 未 発 表 ) その 内 容 は 干 支 日 で 日 を 配 したものとされる 同 じく 質 日 の 篇 題 を 有 す る 暦 譜 は さらに 睡 虎 地 77 号 漢 墓 嶽 麓 書 院 蔵 秦 簡 ( 伝 世 )でも 発 見 されている これら の 質 日 には 干 支 日 の 下 に 墓 主 生 前 の 職 務 に 関 する 手 記 が 記 されている そのため 1993 年 に 湖 北 省 荊 州 市 周 家 台 30 号 秦 墓 出 土 の 秦 始 皇 二 世 時 代 の 四 種 の 暦 譜 1983 年 ~ 84 年 に 湖 北 省 張 家 山 247 号 漢 墓 の 暦 譜 も その 手 記 の 存 在 によって 質 日 に 分 類 される このような 有 記 事 暦 譜 の 典 型 的 なものは 1993 年 に 江 蘇 省 連 雲 港 市 尹 湾 6 号 漢 墓 出 土 のい わゆる 元 延 二 年 日 記 である 質 日 の 篇 題 はないが そこにはこれまで 発 見 された 暦 譜 の 中 で 最 も 多 くの 手 記 が 見 える 一 方 もう 一 種 の 暦 譜 として 注 目 されるのが 1972 年 に 山 東 省 臨 沂 県 銀 雀 山 2 号 漢 墓 か ら 出 土 した 元 光 元 年 暦 譜 ( 前 134)である この 暦 譜 には 篇 題 はあるものの 筆 蹟 が 薄 く 字 の 判 読 が 難 しかったが 七 年 視 日 と 釈 文 する 説 が 有 力 となっている 視 日 は 伝 世 文 献 にもみえる 語 で 如 淳 は 日 時 の 吉 凶 や 挙 動 の 占 いを 視 る 者 ( 史 記 陳 渉 世 家 の 集 解 引 )とし 日 者 の 類 とみなしている 日 者 とは 戦 国 ~ 漢 代 に 活 躍 した 民 間 の 占 家 で ある すると 視 日 とはそのようなそのような 占 家 に 関 連 する 暦 譜 ということになる そこで 改 めて 質 日 と 視 日 を 比 較 すると 前 者 は 干 支 日 の 下 に 墓 主 の 手 記 を 記 した もの 後 者 は 建 除 反 支 天 李 などの 数 術 および 節 気 などの 暦 注 を 記 したもの という 相 違 があることになろう このような 数 術 や 節 気 などを 記 した 暦 譜 に 関 する 新 資 料 として 2002 年 の 山 東 省 日 照 市 西 郊 の 海 曲 106 号 漢 墓 出 土 の 漢 武 帝 後 元 二 年 視 日 ( 前 87)に 注 目 される 原 篇 題 は 磨 滅 して 不 明 であるが その 主 たる 内 容 は 干 支 日 の 下 に 記 された 陰 陽 家 の 刑 徳 七 舎 である このような 暦 注 によって 報 告 者 はこの 暦 譜 を 漢 武 帝 後 元 二 年 視 日 と 定 名 している これらの 新 資 料 の 発 見 によって 暦 譜 は 干 支 表 に 墓 主 の 手 記 が 記 される 質 日 の 方 向 および 干 支 表 に 暦 注 や 節 気 などが 記 される 具 注 暦 への 方 向 というような 分 化 が 秦 漢 時 代 の 暦 譜 で 展 開 したのである 2

報 告 3 五 行 占 の 日 本 的 変 容 天 の 信 仰 不 在 の 日 本 における 五 行 占 小 林 春 樹 ( 大 東 文 化 大 学 ) 天 上 に 発 生 する 異 変 を 対 象 とする 占 いが 天 文 占 であるのに 対 して 五 行 占 は 大 気 圏 地 上 さらには 地 下 に 発 生 するそれらを 対 象 とした 占 いである 五 行 占 と 五 行 占 書 の 先 駆 けをなす 占 法 と 占 書 に 言 及 した 史 料 としては ちょうさ 長 沙 ( 現 在 の 湖 南 省 長 沙 市 )に 左 遷 された か 賈 誼 ぎ ( 前 200~ 前 168)の 居 室 に 不 吉 な 鳥 とされていたフクロ ウが 舞 い 込 んできたときに 彼 が 書 を発 ひら いて 之 れを 占 って 自 らの 死 期 が 近 いことを 知 ったとする 史 記 の 一 文 があるが 五 行 占 を 体 系 化 した 最 大 の 功 労 者 は 賈 誼 よりも 一 世 代 ほどのちの とうちゅうじょ 董 仲 舒 ( 前 178?~ 前 140?)である ちなみに 董 仲 舒 によって 体 系 化 さ れた 五 行 占 とは 概 略 以 下 のような 占 法 であった 1. 人 間 の 代 表 である 君 主 や 皇 帝 の 行 動 や 施 政 が 正 しければ 人 格 神 である 天 によ る 賛 意 のあらわれとしての 瑞 祥 が その 逆 に 正 しくなければ 天 の 戒 告 さらには 譴 責 としての 災 異 が 下 されるとする 天 人 相 関 思 想 瑞 祥 思 想 災 異 思 想 を 基 本 理 念 とする 2. 天 と 人 とを 実 際 に 結 び 付 ける 役 割 を 有 するのは 陰 陽 二 気 と それらから 生 成 された 五 行 ( 木 金 火 水 土 という 万 物 の 物 質 的 根 源 )であり 人 君 の 善 行 や 善 政 によっ て 調 和 すれば 瑞 祥 が 悪 行 や 悪 政 によって 不 調 和 になれば 災 異 が 惹 起 すると 考 える 3.そのうえで 人 君 の 行 動 や 施 政 を 正 すことによって 災 異 を 消 伏 し 瑞 祥 を 招 来 する ことを 目 指 す そのような 五 行 占 において 重 要 な 意 義 を 有 していた 理 念 は 天 への 信 仰 であったが それはあくまでも 中 国 独 自 のものであり 日 本 には 本 来 存 在 しない 思 惟 もしくは 信 仰 で あった それではそのような 日 本 においては 五 行 占 が 対 象 とした 種 々の 災 異 は 何 故 に 発 生 し いかなる 方 法 によって 消 伏 されるものと 考 えられたのか さらには 五 行 占 自 体 に 対 し てはどのような 日 本 的 変 容 が 加 えられたのか 本 発 表 ではそれらの 疑 義 に 対 して 以 下 のよ うな 理 解 を 提 出 する Ⅰ. 日 本 に 受 容 され 陰 陽 寮 に 専 門 の 部 署 と 官 僚 がおかれた 天 文 占 とは 明 暗 を 分 かつ 形 で 五 行 占 は 日 本 には 受 容 されなかった Ⅱ. 五 行 占 においては 天 への 信 仰 天 人 相 関 思 想 災 異 思 想 などの 諸 思 想 にもとづいて 天 戒 さらには 天 譴 とみなされた 災 異 は 日 本 では 人 間 の 怨 霊 の 所 為 であると 考 えられた Ⅲ. 五 行 占 にかわってそのような 日 本 的 災 異 変 すなわち 祟 り の 発 生 原 因 を 明 らか にするのみならず それを 消 伏 する 役 割 をになったものは 陰 陽 道 であり 陰 陽 師 であった のである 3

報 告 4 日 本 中 世 期 における 易 學 の 受 容 と 展 開 桃 源 百 衲 襖 と 胡 一 桂 易 學 啓 蒙 翼 傳 近 藤 浩 之 ( 北 海 道 大 学 ) 桃 源 瑞 仙 は 日 本 中 世 の 禪 僧 易 學 の 代 表 者 である 京 都 五 山 禪 僧 と 足 利 學 校 は 當 時 の 易 學 の 維 持 發 展 を 擔 う 主 力 であり 桃 源 は 禪 林 足 利 學 校 博 士 家 の 易 學 を 吸 收 し 集 大 成 した 者 と 言 ってよい 芳 賀 幸 四 郎 氏 は 高 く 評 價 して 禪 林 易 學 不 滅 の 金 字 塔 を 建 立 した と 云 う 桃 源 の 百 衲 襖 (1477.3.1 成 )は 一 種 の 綜 合 的 易 學 解 釋 集 成 で 王 注 孔 疏 程 傳 朱 義 朱 子 易 學 啓 蒙 董 楷 周 易 傳 義 附 録 胡 方 平 易 學 啓 蒙 通 釋 胡 一 桂 易 學 啓 蒙 翼 傳 等 を 參 酌 折 衷 して 講 述 している( 基 本 的 には 後 者 三 書 を 逐 一 講 義 する) その 内 容 や 方 法 には 獨 自 の 見 解 や 見 識 も 有 り 當 時 の 日 本 易 學 が 達 到 した 水 準 を 示 す 儒 教 經 典 の 哲 理 の 書 であった 易 經 を 朱 子 は 易 は 乃 ち 卜 筮 の 書 とみなして 易 学 啓 蒙 を 作 り 易 を 占 術 書 として 実 用 化 した その 門 弟 たちは 易 学 啓 蒙 の 解 釋 書 ( 通 釋 翼 傳 など)を 作 り それが 日 本 に 傳 わり 朱 子 學 による 易 解 釋 が 日 本 で も 主 流 をなしてゆく 禪 林 足 利 學 校 博 士 家 の 易 學 を 總 合 した 百 衲 襖 は 日 本 にお ける 易 學 啓 蒙 の 受 容 と 展 開 の 様 相 や 特 色 を 如 実 に 示 しているのである 一 足 利 學 校 の 易 學 の 吸 收 鈴 木 博 氏 の 研 究 に 據 れば 足 利 學 校 出 身 の 柏 舟 がその 周 易 抄 の 中 で 桃 源 に 言 及 するのは 僅 かに 一 箇 所 桃 源 がその 百 衲 襖 の 中 で 柏 舟 に 言 及 するのは 三 箇 所 ( 與 派 者 今 講 主 柏 舟 師 也 余 寫 之 入 百 衲 襖 抄 中 など) 私 見 によれば 他 にもいくつか 言 及 箇 所 があり 柏 舟 の 易 學 は 桃 源 の 易 學 にかなりの 影 響 を 與 えただろう 二 博 士 家 の 易 學 の 吸 收 百 衲 襖 で 日 本 ノ 大 外 記 環 翠 老 人 清 三 位 法 名 常 忠 ( 清 原 業 忠 )ハ 得 講 書 三 昧 第 一 等 ノ 名 儒 ナリ 前 關 白 一 條 殿 ( 一 條 兼 良 ) 下 ニ 次 テハ 古 今 無 雙 ノ 名 儒 也 余 皆 陪 其 講 筳 親 聽 諸 論 矣 と 云 うように 桃 源 は 清 原 業 忠 の 講 義 を 聽 いている 三 桃 源 自 身 の 易 學 の 特 徴 桃 源 の 易 學 は 私 見 によれば 尊 敬 する 胡 一 桂 の 易 學 の 繼 承 が 中 心 である 百 衲 襖 では 朱 子 易 學 啓 蒙 の 學 を 極 めるため 胡 方 平 易 學 啓 蒙 通 釋 胡 一 桂 易 學 啓 蒙 翼 傳 を 講 義 し 特 に 胡 一 桂 の 易 學 を 懇 切 丁 寧 に 解 説 する また 桃 源 は 胡 一 桂 翼 傳 によって 易 傳 ( 易 學 啓 蒙 )を 胡 一 桂 纂 疏 によって 易 經 ( 六 十 四 卦 )を 講 義 したかったようだが 纂 疏 の 方 は 入 手 できなかったため やむを 得 ず 董 楷 周 易 傳 義 附 録 によって 講 義 したようである 四 易 學 の 受 容 と 展 開 の 一 例 胡 一 桂 が 引 用 した 以 三 錢 擲 之 について 桃 源 は 大 易 斷 例 卜 筮 元 龜 の 以 錢 代 蓍 法 擲 錢 爻 式 擲 錢 卦 爻 式 などを 引 用 抄 寫 し さら にその 擲 錢 法 による 占 いの 實 踐 例 と 問 題 點 を 具 體 的 に 講 義 する 實 はそこにも 桃 源 の 易 學 啓 蒙 研 究 の 成 果 が 十 分 に 盛 り 込 まれている 4

報 告 5 宿 曜 道 の 特 質 と 展 開 山 下 克 明 ( 大 東 文 化 大 学 ) すくようどう 宿 曜 道 とは 暦 算 によって 人 の 誕 生 日 時 における 九 曜 ( 七 曜 に らこう 羅 睺 計 都 星 )の 位 置 を 算 出 し これを 二 十 八 宿 十 二 宮 等 の 黄 道 座 標 を 記 したホロスコープ 上 に 示 して 運 勢 を 占 うとともに 災 厄 をはらう 星 祭 を 行 う 術 をいい これを 専 門 とした 僧 を 宿 曜 師 と 称 した その 源 流 は 紀 元 二 三 世 紀 頃 ギリシャ バビロニアのホロスコープ 占 星 術 がインドに 伝 えられて 固 有 の 二 十 七 宿 ( 二 十 八 宿 )の 体 系 と 融 合 したところにある この 占 星 術 の 要 素 は 仏 教 とともに 中 国 に 伝 わり とくに 盛 唐 期 の 密 教 では 星 厄 をはらう 法 や 宿 曜 に 基 づく 吉 凶 善 悪 を 説 き 造 仏 や 修 法 を 行 うとき 吉 日 良 辰 を 選 ぶことが 重 視 され その 法 を 説 明 した のが 不 空 の 宿 曜 経 ( 乾 元 二 年 759 初 訳 )であった しかし 実 際 にホロスコープ 占 星 そうしい 術 を 行 うには 暦 法 書 が 必 要 であり これを 可 能 にしたのが 建 中 年 間 (780~84)に 術 者 曹 士 り 蔿 が 編 纂 した 符 天 暦 であり 民 間 で 用 いられ ついで 貞 元 年 間 (785~804)に 術 士 李 が 西 天 竺 より 西 方 起 源 の 占 星 術 の 書 都 とりいつしきよう 利 聿 斯 経 を 伝 えるなど 唐 末 には 密 教 よりも 民 間 の 術 士 達 の 星 占 が 盛 んに 行 われたようである しかしその 後 は 鄭 氏 星 案 によると 占 者 として 唐 に 張 果 がいたがそれも 続 かず 元 の 鄭 希 誠 は 異 人 からこの 術 を 授 かり 占 験 を 以 て 神 と 称 されたとあるが 系 統 だった 展 開 は 見 られなかったようである それに 対 して 日 本 では 密 教 のもとで 大 きく 展 開 したことを 特 色 とする 大 同 元 年 (806) に 唐 から 帰 国 した 空 海 は 宿 曜 経 を 将 来 して 初 めて 七 曜 日 を 日 本 に 伝 えた 本 格 的 な 密 教 の 受 容 とともに 七 曜 二 十 八 宿 の 知 識 が 不 可 欠 であったことがわかるが 占 星 術 が 可 能 になったのは 天 徳 元 年 (957)に 延 暦 寺 僧 の 日 延 が 呉 越 国 から 符 天 暦 を 請 来 してからで あり その 背 景 には 貴 族 社 会 おける 星 辰 信 仰 の 興 隆 と 密 教 の 北 斗 法 本 命 供 など 星 宿 法 成 立 の 問 題 があった 同 法 で 祀 る 本 命 宿 は 暦 算 による 確 定 を 必 要 としており これを 契 機 と して 十 世 紀 末 から 仁 宗 仁 統 証 昭 らの 宿 曜 師 が 輩 出 され 彼 らは 暦 算 を 行 い 宿 曜 勘 文 を 作 成 して 天 皇 や 貴 族 の 運 勢 を 占 うとともに 祈 祷 の 星 供 を 行 い ここに 宿 曜 道 が 成 立 した 平 安 中 期 以 降 東 寺 延 暦 寺 園 城 寺 などの 権 門 寺 院 は 星 宿 法 を 大 法 に 位 置 づけ 朝 廷 貴 族 の 帰 依 を 集 めるが 宿 曜 師 の 祈 祷 活 動 も 活 発 化 した 十 二 世 紀 初 頭 に 宿 曜 師 深 算 が 撰 し か た 宿 曜 占 文 抄 では 北 斗 法 などを 属 星 秘 法 = 宿 曜 道 の 法 とし それは 北 天 竺 月 氏 国 の 迦 ら くまらじゅう き じ こ く 羅 王 の 病 苦 を 救 った 秘 法 で 鳩 摩 羅 什 が 亀 茲 国 より 漢 地 に 伝 えものであり 唐 の 高 宗 や 玄 宗 皇 帝 の 災 害 病 を 除 き 日 本 でも 藤 原 鎌 足 僧 道 鏡 吉 備 真 備 らはこの 属 星 秘 法 を 行 っ て 高 位 に 昇 ったとの 伝 承 をまとめている さらに 十 二 世 紀 末 の 宿 曜 師 珍 賀 や 慶 算 らも 貴 族 の 信 仰 を 集 め 慶 算 は 北 斗 本 拝 供 などの 独 自 の 祭 供 を 行 い 宿 曜 道 の 正 統 な 継 承 者 であるこ とを 喧 伝 し その 門 流 は 十 五 世 紀 初 頭 まで 栄 えた や 弥 けん 乾 5

報 告 者 プロフィール( 報 告 順 ) 1 氏 名 2 所 属 3 専 門 分 野 4 主 要 論 著 1 水 口 幹 記 (みずぐち もとき) 2 立 教 大 学 文 学 部 日 本 文 学 専 修 助 教 3 東 アジア 文 化 史 4 日 本 古 代 漢 籍 受 容 の 史 的 研 究 ( 汲 古 書 院 2005 年 ) 齋 藤 勵 著 王 朝 時 代 の 陰 陽 道 解 説 ( 名 著 刊 行 会 2007 年 ) 関 於 敦 煌 文 書 (P2610) 中 風 角 関 連 条 的 一 個 考 察 参 考 天 地 瑞 祥 志 等 與 風 角 有 関 的 類 目 ( 張 伯 偉 編 風 起 雲 揚 中 華 書 局 2009 年 ) 僧 円 能 作 成 の 厭 符 と 彰 子 敦 成 親 王 道 長 への 呪 詛 ( 倉 田 実 編 王 朝 人 の 婚 姻 と 信 仰 森 話 社 2010 年 ) 日 本 呪 符 の 系 譜 天 地 瑞 祥 志 道 蔵 日 用 類 書 ( 武 田 時 昌 編 陰 陽 五 行 のサイエン ス 思 想 編 京 都 大 学 人 文 科 学 研 究 所 2011 年 ) 1 工 藤 元 男 (くどう もとお) 2 早 稲 田 大 学 文 学 学 術 院 教 授 3 中 国 古 代 史 4 雲 夢 秦 簡 日 書 の 研 究 ( 平 成 3 4 年 度 文 部 省 科 学 研 究 費 補 助 金 / 一 般 研 究 (C) 研 究 成 果 報 告 書 1993 年 ) 睡 虎 地 秦 簡 よりみた 秦 代 の 国 家 と 社 会 ( 創 文 社 1998 年 ) 秦 簡 楚 簡 よりみた 中 国 古 代 の 地 域 文 化 の 研 究 ( 平 成 15~18 年 度 科 学 研 究 補 助 金 / 基 盤 研 究 (C) 研 究 成 果 報 告 書 2008 年 ) 尹 湾 簡 牘 元 延 二 年 日 記 與 占 卜 ( 北 京 師 範 大 学 古 籍 与 伝 統 文 化 研 究 院 編 印 第 二 届 中 国 古 文 献 与 伝 統 文 化 国 際 学 術 研 討 会 会 議 論 文 集 2011 年 ) 占 いと 中 国 古 代 の 社 会 発 掘 された 古 文 献 が 語 る ( 東 方 書 店 2011 年 ) 1 小 林 春 樹 (こばやし はるき) 2 大 東 文 化 大 学 東 洋 研 究 所 准 教 授 3 中 国 古 代 の 占 い 中 国 古 代 史 学 史 4 若 杉 家 文 書 中 国 天 文 五 行 占 の 研 究 ( 大 東 文 化 大 学 東 洋 研 究 2007 年 ) 漢 書 五 行 志 の 述 作 目 的 ( 福 井 重 雅 先 生 古 稀 退 職 記 念 論 集 古 代 東 アジアの 社 会 と 文 化 汲 古 書 院 2007 年 ) 漢 書 五 行 志 における 董 仲 舒 の 役 割 ( 東 洋 研 究 187 号 2013 年 ) 6

1 近 藤 浩 之 (こんどう ひろゆき) 2 北 海 道 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 准 教 授 3 中 国 哲 学 易 學 思 想 史 4 朱 伯 崑 原 著 伊 東 倫 厚 監 訳 近 藤 浩 之 主 編 易 学 哲 学 史 ( 全 四 巻 朋 友 書 店 2009 年 ) 中 国 古 代 における 文 法 的 説 明 による 論 証 とその 形 式 ( 中 国 哲 学 第 37 号 2009 年 ) 重 新 考 察 馬 王 堆 帛 書 以 周 易 為 例 ( 鄭 吉 雄 主 編 周 易 経 伝 文 献 新 詮 台 大 哲 学 叢 書 01 台 大 出 版 中 心 2010 年 ) 名 を 正 すこと 中 国 古 典 における 誤 解 の 分 析 と 対 策 ( 松 江 崇 編 著 誤 解 の 世 界 楽 しみ 学 び 防 ぐために 北 大 文 学 研 究 科 ライブラリ 北 海 道 大 学 出 版 会 2012 年 ) 神 明 の 思 想 易 伝 を 中 心 に ( 佐 藤 錬 太 郎 鄭 吉 雄 編 著 中 国 古 典 の 解 釈 と 分 析 日 本 台 湾 の 学 術 交 流 北 海 道 大 学 出 版 会 2012 年 ) 1 山 下 克 明 (やました かつあき) 2 大 東 文 化 大 学 東 洋 研 究 所 兼 任 研 究 員 国 際 日 本 文 化 研 究 センター 共 同 研 究 員 3 日 本 古 代 中 世 文 化 史 4 平 安 時 代 の 宗 教 文 化 と 陰 陽 道 ( 岩 田 書 院 1996 年 ) 陰 陽 道 の 発 見 (NHK ブックス 日 本 放 送 協 会 2010 年 ) 陰 陽 道 の 成 立 と 儒 教 的 理 念 の 衰 退 ( 古 代 文 化 第 59 巻 第 2 号 2007 年 ) 密 教 修 法 と 陰 陽 道 ( 大 橋 一 章 新 川 登 亀 男 編 仏 教 文 明 の 受 容 と 君 主 権 の 構 築 東 アジアのなかの 日 本 勉 誠 出 版 2012 年 ) 陰 陽 道 信 仰 の 諸 相 中 世 初 期 の 貴 族 官 人 都 市 民 陰 陽 師 ( 上 杉 和 彦 編 経 世 の 信 仰 呪 術 竹 林 舎 刊 2012 年 ) 1 細 井 浩 志 (ほそい ひろし) 2 活 水 女 子 大 学 文 学 部 教 授 3 日 本 古 代 史 4 古 代 の 天 文 異 変 と 史 書 ( 吉 川 弘 文 館 2007 年 ) 古 代 壱 岐 島 の 世 界 ( 編 著 )( 高 志 書 院 2012 年 ) 時 間 暦 と 天 皇 ( 岩 波 講 座 天 皇 と 王 権 を 考 える 8 巻 岩 波 書 店 2002 年 ) 日 本 古 代 の 宇 宙 構 造 論 と 初 期 陰 陽 寮 技 術 の 起 源 ( 東 アジア 文 化 環 流 1-2 2008 年 ) 平 安 貴 族 の 遅 刻 について ( 時 間 学 研 究 4 2011 年 ) 7