小 児 耳 30(: 37 41, 2009 原 著 言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 に 受 診 した 小 児 13 例 の 検 討 中 橋 美 紀, 澤 田 亜 也 子, 前 山 啓 充, 井 優 子, 森 靖 子, 西 村 洋, 宇 野 敦 彦 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 大 手 前 病 院 言 語 聴 覚 室 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 大 手 前 病 院 耳 鼻 咽 喉 科 2005 年 4 月 から2007 年 12 月 までの 間 に 当 科 小 児 難 聴 外 来 へ 言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 に 受 診 し た 小 児 のうち 聴 力 検 査, 発 達 検 査, 構 音 検 査 を 行 った13 例 を 対 象 として, 当 科 での 経 過 およ びその 後 の 対 応 を 検 討 した 13 例 中 2 例 は 両 側 難 聴 で 補 聴 器 装 用 を 要 し,5 例 に 滲 出 性 中 耳 炎 を,3 例 に 機 能 性 構 音 障 害 を 認 めた 構 音 指 導 を 行 い,7 例 は 構 音, 言 語 発 達 ともに に 改 善 した 発 達 障 害 が 疑 われた 6 例 は 専 門 機 関 での 精 密 検 査 や 療 育 が 必 要 と 判 断 した 言 語 発 達 遅 滞 の 原 因 は 単 一 ではないため, 聴 力, 構 音 だけでなく, 小 児 の 行 動 観 察 を 含 め 精 神 運 動 発 達 を 総 合 的 に 評 価 し, 早 期 療 育 につなげていく 必 要 があると 考 えられた キーワード 言 語 発 達 遅 滞, 難 聴, 構 音 障 害, 発 達 障 害, 精 神 運 動 発 達 はじめに 言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 に 受 診 する 小 児 は, 小 児 科 または 耳 鼻 咽 喉 科 を 受 診 することが 多 い 患 児 の 家 族 は 耳 鼻 科 的 疾 患 がありそれを 改 善 する ことで 言 語 発 達 の 遅 れも 解 消 するのではという 期 待 を 持 って 耳 鼻 咽 喉 科 を 受 診 することが 多 い が, 言 語 発 達 遅 滞 の 原 因 は 種 々あり 単 一 ではな い また 言 語 の 遅 れだけではなく, 保 育 所 や 幼 稚 園 など 集 団 生 活 の 場 で すぐにうろうろする 指 示 を 理 解 できない などといった 精 神 運 動 発 達 の 問 題 も 同 時 に 抱 えている 小 児 も 少 なく ない 4) 当 科 では2003 年 より 小 児 難 聴 外 来 を 開 設 しているが, 言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 に 受 診 す る 小 児 の 中 には 難 聴 以 外 にも 問 題 があり, 当 科 の 診 療 だけでは 確 定 診 断 できない 小 児 も 混 在 し ている 今 回, 我 々は 言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 とし 当 科 を 受 診 した 小 児 について 種 々 検 討 を 行 った ので 報 告 する 対 象 と 方 法 対 象 は2005 年 4 月 から2007 年 12 月 までの 間 に 当 科 を 受 診 し, 聴 力 検 査, 発 達 検 査 および 構 音 検 査 を 行 った 小 児 13 例 ( 男 児 11 例, 女 児 2 例, 年 齢 は 3 歳 1 カ 月 から 7 歳 2 カ 月 )であ る ( 表 聴 力 検 査 は 小 児 の 発 達 年 齢 に 応 じて, 条 件 詮 索 反 応 聴 力 検 査 (COR), 遊 戯 聴 力 検 査, 純 音 聴 力 検 査 のうちのいずれかを 行 い, 他 覚 的 検 査 として 歪 成 分 耳 音 響 放 射 (DPOAE), 聴 性 脳 幹 反 応 (ABR), 聴 性 定 反 応 (ASSR)を 併 せて 行 った 発 達 検 査 としては 乳 幼 児 精 神 発 達 質 問 紙 ( 津 守 式 )と 絵 画 語 彙 発 達 検 査 (picture vocabulary test : PVT)を 用 いた 津 守 式 では, 養 育 者 に 子 どもの 日 生 活 の 行 動 に 関 して, 運 動, 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 大 手 前 病 院 耳 鼻 咽 喉 科 ( 540 0008 大 阪 市 中 央 区 大 手 前 1 5 34) 37 ( 37 )
小 児 耳 30(, 2009 中 橋 美 紀, 他 7 名 表 13 例 のプロフィール 症 例 性 別 初 診 時 年 齢 受 診 契 機 1 男 5 歳 3 カ 月 他 院 からの 紹 介 2 男 4 歳 11カ 月 他 院 からの 紹 介 3 男 3 歳 5 カ 月 3 歳 児 健 診 で 指 摘 4 男 3 歳 1 カ 月 3 歳 児 健 診 で 指 摘 5 男 3 歳 5 カ 月 3 歳 児 健 診 で 指 摘 6 女 7 歳 2 カ 月 学 校 健 診 で 指 摘 7 女 4 歳 6 カ 月 家 族 の 心 配 8 男 4 歳 1 カ 月 他 院 からの 紹 介 9 男 3 歳 8 カ 月 3 歳 児 健 診 で 指 摘 10 男 3 歳 11カ 月 3 歳 児 健 診 で 指 摘 11 男 3 歳 4 カ 月 家 族 の 心 配 12 男 5 歳 11カ 月 他 院 からの 紹 介 13 男 5 歳 11カ 月 他 院 からの 紹 介 探 索, 社 会, 生 活 習 慣, 言 語 の 5 領 域 全 ての 質 問 に 答 えてもらい, 領 域 ごとに 得 点 を 計 算 し, 発 達 年 齢 を 算 出 した 語 彙 理 解 力 の 発 達 水 準 をみる 絵 画 語 彙 発 達 検 査 (PVT)では, 対 象 児 に 直 接 ~はどれですか の 音 声 に 対 して 絵 を 選 ばせ, 答 数 から 修 得 点 を 換 算 し, 語 彙 年 齢 を 算 出 した 両 検 査 ともに, 歴 年 齢 と 検 査 結 果 で 得 られた 発 達 年 齢 および 語 彙 年 齢 を 比 較 した 構 音 評 価 は, 音 声 言 語 医 学 会 と 日 本 聴 能 言 語 学 会 の 検 査 法 委 員 会 で 作 成 された 構 音 検 査 法 ( 阿 倍 ら,1981, 船 山 ら,1989)に 基 づき 行 っ た 日 本 語 のすべての 音 素 が 含 まれる50 単 語 の 絵 カード を 呼 称,あるいは 復 唱 させ, 対 象 児 の 構 音 を 聴 き 取 り, 誤 り 音 の 種 類 や 数, 誤 り 方 の 一 貫 性 や 被 刺 激 性 の 有 無, 誤 りのタイプ などを 調 べた 結 果 初 診 時 年 齢 ( 表 初 診 時 の 年 齢 は3 歳 から5 歳 が12 例 であ り,ほとんどの 症 例 が 就 学 前 に 来 院 していた 1 例 のみ 学 校 検 診 で 指 摘 され 7 歳 2 カ 月 での 初 診 であった 受 診 契 機 ( 表 13 例 のうち11 例 (84 )が 健 診 ないし 他 院 からの 紹 介 であった その 内 訳 は 3 歳 児 健 診 が 5 例, 学 校 検 診 が 1 例, 耳 鼻 咽 喉 科 開 業 医 から の 紹 介 が 5 例 である 難 聴 の 有 無 の 精 査 依 頼 が 8 例 と 最 も 多 かった 3) 聴 力 検 査 の 結 果 ( 表 両 側 難 聴 が 5 例, 一 側 難 聴 が 3 例, 聴 力 が 5 例 であった 両 側 難 聴 のうち 1 例 は 両 側 感 音 難 聴 ( 症 例,1 例 は 右 側 小 耳 症 と 先 天 性 外 耳 道 閉 鎖 症, 左 側 外 耳 道 狭 窄 症 ( 症 例, 残 りの 3 例 は 両 側 滲 出 性 中 耳 炎 による 伝 音 難 聴 であった 症 例 1 と 症 例 2 のオージオ グラムを 図 1 に 示 す 一 側 難 聴 のうち 2 例 は 滲 出 性 中 耳 炎 による 軽 度 伝 音 難 聴 で,1 例 は 脳 腫 瘍 術 後 による 高 度 感 音 難 聴 ( 後 迷 路 性 難 聴 ) であった 4) 発 達 検 査 ( 表 遅 滞 があったのは, 津 守 式 と PVT の 両 検 査 ともが 4 例, 津 守 式 のみが 1 例,PVT のみが 3 例 であった 5) 構 音 障 害 ( 表 構 音 障 害 は10 例 にみとめられた 9 例 は 構 音 器 官 に 異 がなく,1 例 ( 症 例 1は 運 動 障 害 性 構 音 障 害 であった また 聴 力, 言 語 発 達 検 査 は で 構 音 のみに 障 害 があったのは 3 例 ( 症 例 5,6,7)であった 6) 受 診 後 の 経 過 に 改 善 した 群 症 例 1,2 症 例 1 では,/ke/ /t1e/,/ ge/ /$e/,/ki/ /t1i/,/gi/ /$i/といった 構 音 の 誤 りが 単 音 レベルでみられ,また 津 守 式 で は 言 語 のみ6 カ 月 の 遅 滞 を 認 めた 症 例 2 は,/ke/ /te/,/se/ /te/,/sw/ /t1w/,/ 1a/ /t1a/の 誤 りが 単 音 レベルで 浮 動 的 にみら れ, 特 に 単 語 や 文 レベルでは 顕 著 だった 津 守 式 や PVT は 範 囲 だった 両 症 例 ともに 難 聴 が 原 因 と 考 えられたため 補 聴 器 装 用 を 開 始 し た その 後 3 カ 月 毎 に 聴 力, 構 音, 言 語 発 達 の ( 38 ) 38
言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 に 受 診 した 小 児 13 例 の 検 討 小 児 耳 30(, 2009 表 検 査 結 果 構 音 言 語 発 達 症 例 聴 力 検 査 津 守 式 ( 歴 年 齢 との 遅 れ) PVT ( 歴 年 齢 との 遅 れ) 構 音 1 両 側 感 音 難 聴 ( 言 語 -6 カ 月 ) に 改 善 し た 群 2 両 側 伝 音 難 聴 ( 右 小 耳 症 外 耳 道 閉 鎖, 左 外 耳 道 狭 窄 ) 3 両 側 伝 音 難 聴 ( 滲 出 性 中 耳 炎 ) 4 一 側 難 聴 ( 滲 出 性 中 耳 炎 ) ( 探 索 社 会 生 活 習 慣 各 -6 カ 月, 言 語 -12カ 月 ) (-8 カ 月 ) 5 6 7 8 両 側 伝 音 難 聴 ( 滲 出 性 中 耳 炎 ) (-1 歳 6 カ 月 ) 改 善 し な か っ た 群 9 両 側 伝 音 難 聴 ( 滲 出 性 中 耳 炎 ) 10 一 側 難 聴 ( 滲 出 性 中 耳 炎 ) 11 一 側 難 聴 ( 高 度 感 音 難 聴 ) ( 言 語 -8 カ 月 ) ( 探 索 社 会 言 語 各 -5 カ 月 ) ( 言 語 運 動 -12カ 月 ) 12 (-1 歳 8 カ 月 ) (-11カ 月 ) (-8 カ 月 ) (-1 歳 5 カ 月 ) 13 (-1 歳 8 カ 月 ) 図 症 例 1, 2 のオージオグラム 39 ( 39 )
小 児 耳 30(, 2009 中 橋 美 紀, 他 7 名 経 過 をみて, 本 人 や 養 育 者 から 家 庭 や 学 校 生 活 の 様 子 を 聞 き, 補 聴 器 の 調 整 や 日 生 活 でのア ドバイスを 行 った 約 1 年 後 の 検 査 結 果 は, 両 症 例 ともに 構 音 も 言 語 発 達 も 改 善 し 範 囲 内 となった 症 例 3,4 滲 出 性 中 耳 炎 の 治 療 で 受 診 し た 際 に, 子 供 への 話 しかけ 方 などいくつかの 注 意 点 について 母 親 へ 指 導 し, 日 生 活 の 中 で 実 践 してもらうことにより, 数 カ 月 後 には 言 語 発 達 および 構 音 は 範 囲 内 に 改 善 した 症 例 5,6,7 3 例 ともに 機 能 性 構 音 障 害 と 診 断 し, 構 音 指 導 を 行 い 数 カ 月 で 構 音 は 改 善 し となった に 改 善 しなかった 群 症 例 8,9 両 症 例 ともに 発 語 が 不 明 瞭 で, 語 彙 数 の 少 なさや 構 音 の 未 熟 さがみられた 初 回 PVT の 結 果 は, 症 例 8 で 1 歳 6 カ 月 の 遅 滞, 症 例 9 で 1 歳 8 カ 月 の 遅 滞 を 認 めた 両 症 例 ともに 両 側 滲 出 性 中 耳 炎 があり, 両 側 チ ューブ 留 置 術 を 行 った チューブ 留 置 後 に 聴 力 は となり, 発 語 の 明 瞭 度 が 改 善 し, 語 彙 数 の 増 加 も 若 干 みられたが,4 カ 月 後 の PVT の 結 果 でも, 症 例 8 で 1 歳 8 カ 月 の 遅 滞, 症 例 9 で 1 歳 9 カ 月 の 遅 滞 であったため, 発 達 障 害 を 疑 い 専 門 機 関 へ 紹 介 した 現 在 はそこで 指 導 を 受 けている 症 例 10,11 症 例 10はすでに 他 院 にて 広 汎 性 発 達 障 害 の 疑 いと 診 断 され, 経 過 観 察 中 で あった 当 科 で 滲 出 性 中 耳 炎 の 保 存 的 治 療 と 構 音 指 導 を 行 った 聴 力 は に 改 善 したが, 言 語 発 達 遅 滞 および 構 音 障 害 は 改 善 せず, 現 在 は 発 達 障 害 の 専 門 機 関 で 指 導 を 受 けている 症 例 11は 脳 腫 瘍 術 後 の 嚥 下 障 害, 構 音 障 害, 言 語 発 達 遅 滞, 一 側 高 度 感 音 難 聴, 小 脳 失 調 があ り, 小 児 科 にて 軽 度 精 神 運 動 発 達 遅 滞 で 経 過 観 察 中 である 当 科 で 嚥 下 構 音 指 導 を 行 い, 構 音 障 害, 言 語 発 達 は 徐 々に 改 善 されているが, 年 齢 相 当 のレベルには 達 していない 症 例 12,13( 双 生 児 ) ともに 検 査 中 に 多 動 傾 向 がみられ, 初 回 の PVT の 結 果 は, 歴 年 齢 5 歳 11カ 月 に 対 し, 症 例 12は 語 彙 年 齢 4 歳 6 カ 月, 症 例 13 は 語 彙 年 齢 4 歳 3 カ 月 であっ た 聴 力, 津 守 式, 構 音 に 異 を 認 めなかっ た 多 動 性, 不 注 意, 衝 動 性 の 3 症 状 が 年 齢 不 相 応 に 著 しく 認 められ, 児 童 精 神 科 にて 多 動 性 障 害 と 診 断 された 考 察 今 回 の 対 象 においては,3 歳 児 健 診 を 契 機 に 当 科 を 受 診 した 症 例 が 5 例 あった その 他 に 以 前 に 3 歳 児 健 診 にて 言 語 の 遅 れを 指 摘 されたことのある 症 例 が 5 例 ( 症 例 1,2, 11,12,13)あった このうち 2 例 ( 症 例 2, 1はすでに 他 院 にて 精 神 運 動 発 達 などの 精 査 を 受 け 経 過 観 察 中 であった 他 の 3 例 ( 症 例 1,12,13)は 3 歳 児 健 診 後 に 医 療 機 関 を 受 診 した 経 歴 があったが,その 後 継 続 して 通 院 しな くなり,5 歳 になってから 再 度 耳 鼻 咽 喉 科 開 業 医 に 相 談 に 行 っていた この 3 例 のように 3 歳 児 健 診 後 に 充 分 な 経 過 観 察 がなされなかった 例 もあり,3 歳 児 健 診 後 の 身 近 な 相 談 窓 口 とし て 耳 鼻 咽 喉 科 開 業 医 の 役 割 も 重 要 と 考 えられた 症 例 1 は 5 歳 を 過 ぎてから 両 側 感 音 難 聴 が 判 明 したため,その 後 補 聴 器 装 用 を 開 始 した が, 構 音 指 導 が 奏 功 し, 構 音 および 言 語 発 達 は に 復 した しかしながら 補 聴 開 始 時 期 が 遅 れ, 乳 幼 児 期 より 十 分 な 聴 覚 補 償 がなされてい ないと, 構 音 障 害 や 言 語 発 達 の 遅 滞 につながる とされており 5,6),より 早 期 の 発 見 が 望 ましい と 考 えられる 症 例 3 と 4 は 滲 出 性 中 耳 炎 の 改 善 後 に 構 音 や 言 語 発 達 も 改 善 傾 向 を 認 め, 以 前 の 報 告 と 同 様 に 滲 出 性 中 耳 炎 が 言 語 発 達 遅 滞 の 要 因 となっ ていたと 考 えられた 6,7) 滲 出 性 中 耳 炎 に 罹 患 しやすい 低 年 齢 層 の 小 児 に 対 しては 継 続 した 治 療 と 聴 力 の 経 過 観 察 が 重 要 と 考 える 両 側 難 聴 の 2 例 ( 症 例 1,と 機 能 性 構 音 障 害 の 3 例 ( 症 例 5,6,7)は 構 音 指 導 が 奏 功 したが, 発 達 障 害 を 合 併 した 6 例 ( 症 例 8,9, 10,11,12,13)は 改 善 度 が 乏 しかった 構 音 言 語 発 達 が 年 齢 相 当 の レベルに 改 善 し ( 40 ) 40
言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 に 受 診 した 小 児 13 例 の 検 討 小 児 耳 30(, 2009 た 群 と 改 善 しなかった 群 を 比 較 すると, 改 善 し なかった 群 では 全 症 例 において PVT で 発 達 の 遅 滞 がみとめられ, に 改 善 した 群 では 1 例 を 除 き PVT は であった PVT が で 構 音 障 害 のある 症 例 に 対 しては, 構 音 指 導 が 奏 功 する 傾 向 が 認 められた 言 語 発 達 遅 滞 を 評 価 する 場 合,その 原 因 が 聴 覚 障 害 や 構 音 障 害 であるのか,あるいは 発 達 障 害 が 主 であるのかを 見 極 めるために, 小 児 の 行 動 観 察 も 行 い, 精 神 運 動 発 達 遅 滞 の 有 無 を 確 認 することが 重 要 であると 考 える 発 達 障 害 が 主 な 原 因 で 療 育 が 必 要 と 考 えられる 場 合 は, 早 期 に 支 援 することが 望 ましい ま と め 言 語 発 達 遅 滞 を 主 訴 に 受 診 した 小 児 13 例 に ついて 検 討 を 行 った 補 聴 器 装 用 や 滲 出 性 中 耳 炎 の 治 療 および 構 音 指 導 により 7 例 は 言 語 発 達 が に 改 善 したが,6 例 は 改 善 しなかった 特 に 発 達 障 害 が 主 な 原 因 である 場 合 は 聴 力, 構 音 だけでなく, 小 児 の 行 動 観 察 を 含 め 精 神 運 動 発 達 を 総 合 的 に 評 価 し, 早 期 療 育 につなげて いく 必 要 があると 考 えられた 参 考 文 献 本 郷 一 夫, 飯 島 典 子, 平 川 久 美 子, 他 保 育 の 場 における 気 になる 子 どもの 理 解 と 対 応 に 関 するコ ンサルテーションの 効 果.LD 研 究 16: 254 263, 2007 小 枝 達 也, 関 あゆみ, 前 垣 義 弘 ちょっと 気 にな る 子 どもたちへの 理 解 と 支 援 5 歳 児 健 診 の 取 り 組 み.LD 研 究 16: 265 272, 2007 3) 益 田 慎, 新 妻 由 希 枝, 山 田 朝 美, 他 言 語 発 達 障 害 児 の 早 期 発 見 に 1 歳 半 児 健 診 と 3 歳 児 健 診 は 貢 献 しているのか. 小 児 耳 鼻 咽 喉 科 29: 13 18, 2008 4) 中 川 信 子 健 診 とことばの 相 談 1 歳 6 カ 月 児 健 診 と 3 歳 児 健 診 を.ぶどう 社, 東 京,2008, pp 9 44 5) 杉 内 智 子, 佐 藤 紀 代 子, 浅 野 公 子, 他 軽 度 中 等 度 難 聴 児 30 症 例 の 言 語 発 達 とその 問 題. 日 本 耳 鼻 咽 喉 科 会 報 104: 1126 1134, 2001 6) 小 林 智 子, 能 登 谷 晶 子 軽 度 言 語 聴 覚 障 害 児 が 抱 える 問 題 聴 覚 障 害 児 の 場 合. 言 語 聴 覚 研 究 3: 135 140, 2006 7) 鈴 木 重 忠, 能 登 谷 晶 子, 手 取 屋 浩 美, 他 言 語 障 害 幼 児 における 軽 度 難 聴. 日 本 耳 鼻 咽 喉 科 会 報 96: 946 951, 1993 原 稿 受 理 2009 年 1 月 19 日 別 刷 請 求 先 540 0008 大 阪 市 中 央 区 大 手 前 1 5 34 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 大 手 前 病 院 耳 鼻 咽 喉 科 中 橋 美 紀, 澤 田 亜 也 子 Clinical study of 13 children suspected of speech and language delays Miki Nakahashi,AyakoSawada, Nobuyoshi Maeyama,YukoTakai,YasukoMori, Hiroshi Nishimura,AtsuhikoUno Department of Speech, Language, and Hearing Therapy, KKR Otemae Hospital Department of Otolaryngology, KKR Otemae Hospital From April 2005, we followed 13 children with speech and language delays. Audiometric and developmental tests and evaluation of articulation were performed for all cases. Bilateral hearing loss was found in 2 cases, and hearing aids were ˆtted. Otitis media with ešusion was found in 5 cases. The other 3 cases had functional dyslalia. During speech therapy, articulation, speech, and language improved in 7 cases, but not in 6. In these 6 cases, more general developmental disorder was noted, and therapeutic education at a special institute was required. Because the causes of speech and language delays vary, we must evaluate all aspects including articulation and psychomotor development as well as hearing. Key words: speech and language delay, dyslalia, hearing loss, developmental disorder, psychomotor development 41 ( 41 )