平 成 27 年 4 月 9 日 クローズアップ 現 代 報 道 に 関 する 調 査 委 員 会 クローズアップ 現 代 報 道 に 関 する 中 間 報 告 本 委 員 会 は 平 成 26 年 5 月 14 日 に 放 送 した クローズアップ 現 代 追 跡 出 家 詐 欺 ~ 狙 われる 宗 教 法 人 ~ ( 以 下 クロ 現 )に 対 して いわゆる やらせ があった との 指 摘 を 受 けて 設 置 された 調 査 チームから 報 告 のあった 現 時 点 での 調 査 の 状 況 と 検 証 のポイントを 公 表 する 1) 調 査 の 概 要 当 該 クロ 現 は 多 重 債 務 者 を 出 家 させて 名 前 を 変 えさせ 金 融 機 関 から 多 額 の 住 宅 ローンを 騙 し 取 る 出 家 詐 欺 の 実 態 と 背 景 に 迫 り その 対 策 を 探 ったものである 調 査 では クロ 現 および クロ 現 に 先 立 って 4 月 25 日 に 関 西 ローカルで 放 送 した かんさい 熱 視 線 追 跡 出 家 詐 欺 ~ 狙 われる 宗 教 法 人 ~ ( 以 下 熱 視 線 ) について 取 材 制 作 を 担 当 した 職 員 11 人 と 外 部 スタッフ 3 人 から 聞 き 取 りを 行 い インタビュー 素 材 や 取 材 メモ 等 の 資 料 を 調 べた また 番 組 で 出 家 を 斡 旋 するブローカー と 紹 介 した 男 性 ( 以 下 A 氏 )や 多 重 債 務 者 と 紹 介 した 男 性 ( 以 下 B 氏 )など 外 部 の 3 人 からも 聞 き 取 りを 行 った A 氏 からの 聞 き 取 りは 双 方 の 弁 護 士 立 ち 会 いの 下 で 実 施 した なお 上 記 の 2 番 組 に 関 し A 氏 の 代 理 人 弁 護 士 より 記 者 の 指 示 によるいわゆる やらせ があり A 氏 がブローカーとして 放 送 された として 放 送 での 訂 正 を 求 め る 申 入 書 が 提 出 されている 2) 取 材 から 撮 影 までの 経 緯 番 組 は 26 年 2 月 大 阪 放 送 局 と 京 都 放 送 局 の 取 材 チームが 大 津 市 の 寺 を 舞 台 と した 出 家 詐 欺 事 件 を 取 材 するなかで 企 画 提 案 された このうち 大 阪 放 送 局 の 記 者 が 関 係 者 取 材 を 進 めていたところ 知 人 で 多 重 債 務 者 で あるB 氏 より 出 家 する 方 法 について 近 くA 氏 に 相 談 に 行 く と 聞 かされた B 氏 によれば 以 前 A 氏 から 袈 裟 を 着 て 首 から 数 珠 を 下 げたA 氏 本 人 の 写 真 を 見 せ られ 出 家 を 誘 われたことがあったという これを 聞 いた 記 者 は B 氏 がA 氏 に 相 談 する 場 面 を 撮 影 できないかと 考 え B 氏 を 通 じて 打 診 したところ B 氏 から A 氏 の 了 解 が 得 られた との 連 絡 があった 4 月 19 日 大 阪 市 内 のビルの 一 室 で まずB 氏 がA 氏 に 相 談 する 場 面 続 いてA 氏 のインタビュー B 氏 のインタビューの 順 で 撮 影 が 行 われた 1
3) 記 者 とB 氏 およびA 氏 との 関 係 記 者 によれば B 氏 とは 8 9 年 前 に 知 り 合 ったという B 氏 が 事 業 に 失 敗 して 多 額 の 負 債 を 抱 えるようになった 後 も 事 情 通 として 付 き 合 いを 続 けていた 記 者 は 25 年 10 月 頃 B 氏 から 寺 関 係 の 事 情 に 詳 しい 人 物 としてA 氏 を 紹 介 さ れた その 後 記 者 は 番 組 の 撮 影 当 日 までA 氏 に 会 っておらず 連 絡 もとっていない 撮 影 の 打 診 などのやりとりはすべてB 氏 を 通 じて 行 ったという 4) 検 証 のポイント 記 者 は 演 技 を 依 頼 したか 撮 影 当 日 の 4 月 19 日 午 後 記 者 はB 氏 とともにタクシーでA 氏 を 自 宅 まで 迎 えに 行 き 大 阪 市 内 のホテルのカフェに 立 ち 寄 って 15 分 ほど 打 ち 合 わせをした A 氏 によれば この 場 で 記 者 から A 氏 がブローカー 役 を B 氏 が 多 重 債 務 者 役 を 演 じるよう 依 頼 された という 一 方 記 者 は 撮 影 の 事 前 説 明 として 音 声 を 変 えて 映 像 も 加 工 することなどを 説 明 したもので 演 技 の 依 頼 はしていない と 一 貫 して 否 定 している また B 氏 も 記 者 が 演 技 を 依 頼 したことはない と 話 している A 氏 の 話 と 記 者 及 びB 氏 の 話 は 大 きく 食 い 違 っている 撮 影 場 所 は 活 動 拠 点 であったか クロ 現 では 記 者 がビルの 一 室 を 訪 れる 場 面 で 看 板 の 出 ていない 部 屋 が 活 動 拠 点 でした とコメントしている ( 熱 視 線 ではこのコメントはない) この 部 屋 についてB 氏 は 知 人 男 性 が 借 りている 部 屋 で 鍵 は 自 分 が 預 かっていた と 説 明 した 知 人 男 性 も 聞 き 取 りに 対 し (ブローカーの) 活 動 拠 点 ではない と 明 言 した B 氏 は A 氏 から 撮 影 のOKが 出 たが 場 所 を 見 つけてくれ と 言 われ 自 分 が 場 所 を 決 めた 記 者 はあずかり 知 らない と 話 している 記 者 は そうした 経 緯 は 知 らなかった クロ 現 の 制 作 の 際 相 談 に 行 った 場 所 は(ブローカーの) 拠 点 でよいか とB 氏 に 尋 ねたところ A 氏 に 確 認 する とのこ とだった その 後 B 氏 から それでいい と 打 ち 返 しがあったので 番 組 で 活 動 拠 点 と 表 現 した としている 相 談 場 所 の 設 定 に 記 者 の 関 与 は 認 められないが 活 動 拠 点 とコメントしたことは 誤 りであり 裏 付 けが 不 十 分 であった A 氏 を ブローカー と 伝 えたことについて 記 者 は B 氏 より 出 家 する 方 法 について 近 くA 氏 に 相 談 に 行 く と 聞 かされた 2
ことから B 氏 がA 氏 に 相 談 する 場 面 の 撮 影 を 申 し 入 れた 4 月 19 日 の 撮 影 当 日 記 者 ら 取 材 班 は B 氏 がA 氏 に 相 談 する 場 面 を 約 19 分 間 A 氏 の 単 独 インタビューを 約 40 分 間 撮 影 した 相 談 場 面 の 映 像 の 中 でA 氏 は 得 度 度 牒 僧 籍 などの 専 門 的 な 用 語 を 用 いな がら 出 家 による 名 前 変 更 の 方 法 や 費 用 家 庭 裁 判 所 における 手 続 きが 必 要 であること などを 説 明 している 単 独 インタビューの 中 でA 氏 は 自 分 のことを われわれ や われわれブローカー と 呼 び また 出 家 詐 欺 の 舞 台 となる 寺 や 住 職 の 見 つけ 方 や 勧 誘 方 法 多 重 債 務 者 を 説 得 する 際 の 言 葉 の 使 い 方 などを 詳 しく 解 説 している 記 者 は A 氏 が 出 家 詐 欺 の 手 口 を 詳 細 に 語 り 自 らを われわれブローカー と 称 したことなどから ブローカーに 間 違 いないと 思 ったという これに 対 してA 氏 は 自 分 がインタビューなどで 語 ったのは 数 年 前 知 人 の 住 職 に 師 事 して 寺 に 出 入 りしていた 時 に 見 聞 きした 知 識 や 十 数 年 前 に 知 人 から 聞 いた 出 家 詐 欺 に 関 する 話 などであり 自 分 はブローカーではないと 話 している 記 者 の 認 識 とA 氏 の 主 張 は 大 きく 食 い 違 っている 指 摘 された 場 面 の 構 成 について 記 者 によれば 一 連 の 取 材 は 多 重 債 務 者 であるB 氏 から A 氏 に 出 家 詐 欺 の 相 談 に 行 く と 聞 いたことをきっかけに 始 まり B 氏 にA 氏 との 交 渉 を 依 頼 し 相 談 の 場 面 を 撮 影 するという 流 れで 行 われている ところが 番 組 のコメントと 映 像 は 記 者 がまずブローカーの 存 在 を 突 き 止 めてイン タビューを 行 い 更 にブローカーの 元 を 訪 れた 多 重 債 務 者 との 相 談 を 取 材 し 相 談 後 に 債 務 者 を 追 いかけて 犯 罪 につながる 認 識 はないかを 質 す 流 れになっている 視 聴 者 の 多 くは 記 者 はブローカーから 了 解 を 得 た 上 で 多 重 債 務 者 が 相 談 に 現 れる のを 待 って 撮 影 したと 実 際 とは 異 なる 取 材 過 程 を 印 象 づけられたと 思 われる 構 成 が 適 切 さを 欠 いていなかったか 演 出 が 過 剰 ではなかったか という 観 点 から 検 証 をさらに 進 める 必 要 がある 相 談 場 面 の 撮 影 について B 氏 がA 氏 に 相 談 する 場 面 は 斜 向 かいのビルの 屋 上 からブラインド 越 しに 撮 影 され 音 声 は 室 内 に 置 かれたマイクから 無 線 で 飛 ばす 方 法 で 収 録 された カメラマンとディレクター 音 声 照 明 マンは ビルの 屋 上 に 移 動 して 撮 影 にあたり 室 内 には 記 者 が 残 った カメラが 回 りはじめてからまもなく 記 者 が よろしくお 願 いします 10 分 か 15 分 やりとりしてもらって などと 話 す 声 が 収 録 されている B 氏 とA 氏 のやりとりが 一 通 り 終 わると 記 者 が お 金 の 工 面 のところのやりとり 3
がもうちょっと 補 足 で 聞 きたい などと 声 をかけ やりとりの 終 わりには A 氏 が こ んなもんですか と 記 者 に 話 す 声 が 収 録 されている 映 像 素 材 を 見 た 限 り 記 者 がやりとりの 文 言 を 指 定 したり 新 たな 内 容 を 付 け 加 えた りはしていない しかし 番 組 を 見 た 視 聴 者 の 多 くは このような 形 で 撮 影 が 行 われたとは 想 像 し 得 な いと 思 われる 取 材 撮 影 の 手 法 が 適 切 だったかどうかの 観 点 から 十 分 に 検 証 する 必 要 がある B 氏 が 多 重 債 務 者 であるのは 事 実 か B 氏 は 数 百 万 円 の 借 金 があると 話 している 番 組 でも 数 百 万 円 の 借 金 を 抱 えた 男 性 と 紹 介 し B 氏 は 撮 影 されたA 氏 への 相 談 の 場 面 などでも 経 済 的 困 窮 を 語 った B 氏 から 提 供 された 債 務 関 係 の 資 料 をNHKの 職 員 弁 護 士 が 点 検 したところ 多 重 債 務 者 と 言 える とのことであった B 氏 が 分 譲 マンションを 所 有 し 賃 料 収 入 がある と 一 部 で 報 じられていることに ついて B 氏 は マンションは 知 人 が 単 独 名 義 で 購 入 したものだ と 説 明 した 登 記 簿 も 知 人 名 義 となっている 番 組 の 取 材 であることを 伝 えたか A 氏 は 自 らを 撮 影 されたことについて NHKの 番 組 取 材 であること テレビで 放 送 されることすら 知 らされなかった 資 料 映 像 か 何 かであると 思 った と 話 している 記 者 は 熱 視 線 で 放 送 することは ホテルでの 打 ち 合 わせで 伝 えたはずだし 少 なくとも 撮 影 現 場 では 放 送 日 も 含 めてA 氏 に 伝 えた としている ディレクターも 撮 影 の 際 に NHKの 担 当 ディレクターと 名 乗 って 放 送 日 を 伝 え 相 談 の 場 面 を 斜 向 かいのビルから 撮 影 することも 事 前 に 説 明 した と 話 している カメラなどの 機 材 には NHK 大 阪 報 道 のステッカーが 貼 られていた ただ クロ 現 で 全 国 放 送 することについては 記 者 は B 氏 を 通 じてA 氏 に 伝 え たつもりだが 実 際 にA 氏 に 伝 わったかは 確 認 はしていない と 話 している 口 止 めの 依 頼 などはあったか A 氏 は 今 年 3 月 に 週 刊 誌 で 報 じられる 直 前 に 記 者 が 口 止 め 料 を 払 うと 言 った とB 氏 から 聞 かされた としている これについてB 氏 は 話 が 週 刊 誌 に 出 ると 騒 ぎになると 思 ったので 足 代 を 払 うか ら 止 められないか とA 氏 に 電 話 したのは 確 かである 私 が 払 うのは 変 だから 記 者 が 払 う という 言 い 方 をしたかもしれない 私 の 独 断 であり 記 者 は 関 係 ない と 述 べ た 記 者 は B 氏 にそのようなことは 頼 んでいない と 口 止 めの 依 頼 を 否 定 した 4
さらに 記 者 とB 氏 が 27 年 3 月 1 日 に 大 阪 市 内 のホテルでA 氏 と 面 会 した 際 記 者 がA 氏 に シラを 切 って 下 さい と 言 った と 報 じられている これについて 記 者 は A 氏 から 自 分 が 番 組 に 出 たことが 人 に 知 られた と 言 われ たが 音 声 や 映 像 を 何 重 にも 加 工 したので 特 定 されるはずはないと 思 い 取 材 源 を 守 る 意 味 で シラを 切 ってください とお 願 いした やらせ を 否 定 してくれという 意 味 ではない と 話 している 5) 今 後 の 対 応 取 材 制 作 のプロセスや 放 送 内 容 が 適 正 だったのか 関 係 者 の 話 が 食 い 違 う 点 を 中 心 にさらに 事 実 関 係 を 明 らかにするための 調 査 を 進 める ポイントとなるNHK 関 係 者 や 外 部 の 方 からの 聞 き 取 りにあたっては 調 査 の 公 平 性 透 明 性 を 高 めるため 外 部 委 員 の 所 属 事 務 所 の 弁 護 士 に 立 ち 会 ってもらう 番 組 の 取 材 制 作 のチェック 体 制 についても 調 査 を 進 める 取 材 内 容 に 見 合 った 妥 当 な 構 成 や 演 出 であったのか 視 聴 者 に 誤 解 を 与 える 表 現 はなかったのかについても 調 査 を 深 めていく さらに 改 善 策 も 検 討 する 調 査 にあたっては 引 き 続 きヒアリング 内 容 や 関 係 資 料 を 外 部 委 員 にすべて 開 示 し その 都 度 ご 意 見 をいただき 透 明 性 のある 調 査 に 努 める 自 ら 徹 底 的 に 調 査 し 視 聴 者 に 説 明 することは 放 送 事 業 者 としてのNHKの 責 務 であ る 調 査 はスピード 感 を 持 ってすすめ 調 査 報 告 書 は 改 善 策 も 盛 り 込 んだ 上 で できる 限 り 早 い 時 期 にまとめて 公 表 する 調 査 報 告 書 については 外 部 委 員 の 見 解 をいただき あわせて 公 表 する 以 上 < 参 考 > ( 報 道 資 料 ) 平 成 27 年 4 月 3 日 クローズアップ 現 代 報 道 に 関 する 調 査 委 員 会 の 設 置 について http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20150403.pdf 5