2 廿 日 市 市 の 国 際 化 の 現 状 と 課 題 (1) 現 状 ア 本 市 における 国 際 化 の 歴 史 廿 日 市 市 は 海 外 移 民 の 多 い 地 域 であり 明 治 の 半 ばからハワイ 北 米 南 米 などの 諸 国 へ 進 出 し それぞれの 国 において 地 域 社 会 の 発 展 に 貢 献 し てきた 近 年 の 国 際 化 の 進 展 に 伴 い 国 際 交 流 活 動 を 行 うボランティアが 芽 生 え 平 成 7(1995) 年 2 月 には 市 民 間 の 交 流 の 推 進 母 体 となる 国 際 交 流 協 会 が 設 立 された 設 立 から10 年 以 上 経 過 した 現 在 でも ボランティアが 活 動 の 主 体 となり 多 くの 交 流 事 業 が 展 開 されている また 市 内 企 業 が 平 成 4(1992) 年 にニュージーランドのマスタートン 市 に 合 板 工 場 を 建 設 したことを 機 に 木 材 業 を 主 とした 経 済 交 流 を 発 端 にし て 両 市 の 市 民 間 交 流 が 活 発 となり 平 成 10(1998) 年 4 月 21 日 に 姉 妹 都 市 提 携 を 締 結 し 現 在 も 中 高 生 のホームステイなどを 中 心 とした 相 互 交 流 が 行 われている 世 界 文 化 遺 産 の 関 係 では 平 成 21(2009) 年 5 月 16 日 に 廿 日 市 市 とフ ランス 国 モン サン=ミッシェルとで 宮 島 地 域 を 核 とした 観 光 友 好 都 市 提 携 を 廿 日 市 商 工 会 議 所 では 平 成 18(2006) 年 5 月 24 日 にアメリカ 合 衆 国 ハワイ 州 コナ コハラ 商 工 会 議 所 と 姉 妹 提 携 がされるなど 近 年 海 外 と の 交 流 が 広 がってきている 市 内 の 高 等 学 校 でも 山 陽 女 学 園 高 等 部 では 留 学 生 の 受 入 や 生 徒 を 留 学 させる 取 り 組 みを 長 年 続 けており 平 成 24(2012) 年 5 月 15 日 には 廿 日 市 西 高 等 学 校 が 中 国 四 川 省 広 漢 市 広 漢 中 学 と 姉 妹 校 提 携 を 6 月 14 日 に は 廿 日 市 高 等 学 校 がニュージーランドニュープリマス 市 スポッツウッド カレッジと 姉 妹 校 提 携 するなど 海 外 との 交 流 も 進 められている イ これまでの 国 際 化 の 取 り 組 み 平 成 以 降 の 急 速 な 国 際 化 の 進 展 に 伴 い 国 際 化 への 対 応 と 国 際 交 流 の 推 進 を 不 可 欠 な 課 題 と 位 置 付 け 平 成 5(1993) 年 に 廿 日 市 市 国 際 化 推 進 計 画 を 策 定 している この 計 画 においては 国 際 化 の 促 進 を 目 標 とし 基 本 的 方 向 として 1 公 民 協 力 体 制 の 整 備 及 び 庁 内 推 進 体 制 の 整 備 を 主 とした 推 進 体 制 の 整 備 2 交 流 学 習 機 会 の 充 実 及 び 国 際 性 豊 かな 人 材 育 成 を 主 とした 国 際 感 覚 の 高 揚 3 国 際 協 力 の 推 進 友 好 親 善 交 流 の 促 進 及 び 経 済 の 国 際 化 の 促 進 を 主 とした 多 様 な 交 流 の 推 進 4 都 市 環 境 の 国 際 化 及 び 情 報 2
提 供 サービスの 充 実 を 主 とした 外 国 人 の 住 みやすく 訪 れやすい 環 境 づ くりの 推 進 の4つの 目 標 を 掲 げている 計 画 に 基 づき 本 市 の 国 際 化 を 進 め 現 在 においても 市 民 が 主 体 的 に 活 動 できる 環 境 の 支 援 充 実 を 目 指 した 取 り 組 みを 行 っている (ア) 市 民 による 国 際 化 活 動 国 際 交 流 協 会 のボランティアを 中 心 とした 国 際 理 解 イベントなどの 国 際 交 流 ボランティア 活 動 外 国 人 市 民 への 日 本 語 指 導 や 生 活 ガイド ブックの 原 稿 作 成 翻 訳 などの 生 活 支 援 を 始 め 市 内 の 学 校 における 語 学 交 流 や 留 学 生 招 致 企 業 における 外 国 人 研 修 生 の 受 入 など 多 様 な 活 動 が 行 われている また 救 援 衣 料 や 物 品 の 寄 贈 など 国 際 協 力 活 動 も 行 われている また 宮 島 を 中 心 とした 観 光 ガイドの 養 成 研 修 やボランティアガイ ドの 自 主 的 な 活 動 なども 見 られるようになった (イ) 行 政 の 取 り 組 み 学 校 教 育 における 外 国 青 年 による 語 学 指 導 や 市 民 センター( 公 民 館 ) での 国 際 理 解 講 座 を 先 駆 けとし この10 年 間 で 国 際 交 流 員 の 招 致 や 姉 妹 都 市 交 流 を 通 じての 国 際 性 豊 かな 人 材 育 成 交 流 イベントの 実 施 等 による 多 様 な 国 際 交 流 の 推 進 日 本 語 教 室 の 開 催 外 国 人 のための 生 活 ガイドブック 作 成 家 庭 ごみ 分 別 表 母 子 健 康 手 帳 及 び 行 政 資 料 等 の 外 国 語 表 記 などにより 外 国 人 の 住 みやすい 環 境 づくりの 推 進 を 図 ってきた また これらの 取 り 組 みは 主 に 公 民 一 体 で 設 立 した 国 際 交 流 協 会 が 実 施 しており 国 際 交 流 協 会 事 務 局 への 人 的 補 助 財 政 的 支 援 を 行 っている ウ 外 国 人 登 録 者 の 状 況 市 内 の 外 国 人 登 録 人 口 は 平 成 24(2012)3 月 末 現 在 において932 人 であり 10 年 前 の 廿 日 市 市 ( 現 在 の 廿 日 市 地 域 )と 比 較 して2 倍 近 い 人 数 となっている 別 表 1 参 照 国 籍 別 では 中 国 が 最 も 多 く 全 体 の40% 近 くを 占 めている 続 いて 韓 国 朝 鮮 が22% フィリピンが21%である その 他 米 国 やブラジ ル ペルーなど 南 米 やタイ ベトナムなどのアジア 諸 国 からの 来 日 もある 在 留 資 格 別 では 技 能 実 習 が289 人 と 最 も 多 く 続 いて 永 住 者 270 人 特 別 永 住 者 192 人 定 住 者 60 人 日 本 人 の 配 偶 者 等 35 人 となっ ている 別 表 2 参 照 3
別 表 1 国 籍 別 外 国 人 登 録 人 口 年 総 数 韓 国 朝 鮮 中 国 米 国 カナダ 英 国 フィリピン オーストラリア ブラジルペルー タイ ベトナムその 他 H24 (2012) 932 209 361 34 12 7 202 3 32 5 7 27 33 H23 (2011) 899 216 330 42 10 6 187 4 37 5 8 20 34 H22 (2010) 905 221 344 29 6 7 184 3 37 7 10 16 41 H21 (2009) 934 230 363 33 8 8 183 3 39 7 15 11 34 H20 (2008) 894 249 331 32 8 8 151 3 43 9 14 11 35 H17 (2005) 876 274 221 38 4 9 182 4 55 18 - - 71 H15 (2003) 599 242 82 29 3 4 71 3 97 23 - - 45 H10 (1998) 539 274 52 16 5 6 48 3 126 3 - - 6 H6 (1994) 431 322 15 11 5 3 19 4 45 - - - 7 各 年 3 月 末 現 在 平 成 15(2003) 年 は 廿 日 市 地 域 佐 伯 地 域 吉 和 地 域 のみの 数 値 平 成 14(2002) 年 以 前 は 廿 日 市 地 域 のみの 数 値 別 表 2 在 留 資 格 別 外 国 人 登 録 人 口 3 月 末 現 在 在 留 資 格 H24(2012) 宗 教 14 投 資 経 営 1 研 究 0 教 育 8 技 術 5 人 文 知 識 国 際 業 務 17 企 業 内 転 勤 2 興 行 6 技 能 3 技 能 実 習 289 短 期 滞 在 6 就 学 留 学 5 研 修 3 家 族 滞 在 7 特 定 活 動 4 特 別 永 住 者 192 永 住 者 270 日 本 人 の 配 偶 者 等 35 永 住 者 の 配 偶 者 等 4 定 住 者 60 在 留 の 資 格 なし(その 他 ) 1 合 計 932 これらの 国 籍 や 在 留 資 格 の 統 計 から 永 住 資 格 の 取 得 や 日 本 人 との 婚 姻 により 長 期 滞 在 する 傾 向 が 多 くなっており 一 方 で 短 期 の 企 業 研 修 や 季 節 的 労 働 による 滞 在 も 多 いことがわかる 4
エ 市 民 アンケートから 本 指 針 の 策 定 にあたり 国 際 化 や 多 文 化 共 生 に 関 する 意 識 や 経 験 などの 実 態 を 把 握 するため 日 本 国 籍 市 民 を 対 象 とした 国 際 化 市 民 意 識 アンケ ート 及 び 外 国 籍 市 民 を 対 象 とした 外 国 籍 市 民 アンケート を 実 施 した ( 実 施 期 間 : 平 成 23(2011) 年 1 月 から2 月 ) (ア) 日 本 国 籍 市 民 アンケートの 結 果 から 国 際 化 に 関 する 活 動 への 経 験 は 全 体 で6 割 と 少 ないが 7 割 近 くが 何 らかの 活 動 に 参 加 したいと 思 っている 重 要 な 取 り 組 み 及 び 市 へ 力 を 入 れてほしいことは 学 校 での 英 語 活 動 英 語 教 育 の 充 実 が 最 も 多 く 海 外 との 芸 術 文 化 経 済 交 流 の 推 進 が 続 いた グローバル 化 が 進 展 する 社 会 において 海 外 へ 目 を 向 けた 人 材 の 育 成 や 交 流 の 推 進 が 求 められている 7 割 近 くの 人 が 外 国 籍 市 民 が 多 くなったと 感 じており 共 生 の 必 要 性 も 半 数 以 上 があると 回 答 している 外 国 籍 市 民 に 対 して 日 本 語 や 日 本 の 習 慣 を 学 んでほしいという 意 識 が 強 い (イ) 外 国 籍 市 民 アンケートの 結 果 から 生 活 で 困 ったことや 不 安 なことは 言 葉 ( 日 本 語 )の 問 題 が 一 番 多 く 続 いて 健 康 保 険 や 年 金 税 金 の 仕 組 みについて が 多 い 困 ったときの 相 談 相 手 は 家 族 親 戚 が3 割 以 上 で 市 役 所 や 外 国 人 相 談 窓 口 の 利 用 は4%と 低 い 数 字 である 生 活 に 必 要 な 情 報 についても 家 族 親 戚 など の 身 近 なところから 情 報 を 得 ている ことが 多 く 市 役 所 市 の 広 報 紙 から というのは 低 い 結 果 である どのようなつきあいがあるかでは 近 所 の 人 とあいさつをする 同 じ 会 社 の 人 と 親 しくしている が 多 く つきあいがない とい う 回 答 も1 割 以 上 見 られた どのような 交 流 をしたいかでは 日 本 の 文 化 や 習 慣 を 教 えてほし い 日 本 人 と 友 だちになりたい 近 所 の 人 と 仲 良 くしたい の 順 に 多 く 5 割 以 上 が 何 らかの 形 で 日 本 人 との 交 流 を 求 めている 日 本 語 の 学 習 については6 割 以 上 が 日 本 語 教 室 で 学 習 したい と 答 えている 子 育 てや 教 育 のことで 心 配 なことや 困 っていることは 学 校 から のお 知 らせが 読 めない 学 校 の 行 事 に 参 加 するのが 不 安 健 診 や 予 防 接 種 のお 知 らせが 読 めない の 順 で 多 い どのようなものがあったらもっと 住 みやすくなると 思 うかについて は 外 国 籍 市 民 に 対 する 差 別 や 偏 見 をなくす 健 康 保 険 や 税 金 な 5
どの 手 続 きを 母 国 語 や 簡 単 な 日 本 語 で 説 明 してもらう 病 院 銀 行 学 校 などへ 行 く 時 に 通 訳 をしてもらう の 順 で 多 く それらに 続 いて 母 国 語 で 相 談 できる 窓 口 をつくる 生 活 するために 必 要 な 情 報 を 母 国 語 で 知 らせてもらう が 多 くなっている 3 割 以 上 が 日 本 でいやな 思 いをしたことが ある と 回 答 しており 具 体 的 には 差 別 的 な 言 動 や 態 度 に 関 するものが 多 い 廿 日 市 市 についての 印 象 は 住 みやすい という 意 見 や 清 潔 で 静 かなところが 良 い という 意 見 もあるが 交 通 の 利 便 性 に 対 する 要 望 の 意 見 も 数 件 見 られた 自 由 回 答 欄 には 外 国 人 と 日 本 人 が 一 緒 に 参 加 できるイベントの 開 催 を 増 やしてほしい 仕 事 を 紹 介 してほしい 自 動 車 の 免 許 が 取 りたい 図 書 館 にポルトガル 語 の 本 を 増 やしてほしい あいプ ラザで 日 本 人 と 外 国 人 が 交 流 会 を 開 いたらどうか 税 金 や 保 険 市 役 所 から 来 る 手 紙 ( 書 類 )を 英 語 で 送 ってほしい 日 本 語 が 学 べる 日 本 語 学 校 を 要 望 タガログ 語 や 英 語 での 情 報 提 供 を 望 む 差 別 的 な 見 方 や 見 下 したような 態 度 は 止 めてほしい 市 役 所 の 窓 口 にフ ィリピン 語 の 通 訳 者 をおいてほしい という 意 見 や 要 望 があった (2) 課 題 ア 社 会 情 勢 や 地 域 社 会 の 変 化 これまで 本 市 においては 国 際 交 流 に 主 眼 をおいて 国 際 化 の 取 り 組 みを 進 めてきたが 近 年 の 社 会 情 勢 や 地 域 社 会 の 状 況 と 取 り 組 んできた 活 動 内 容 を 比 較 すると 課 題 も 生 じている これまで 国 際 理 解 のための 学 習 機 会 の 提 供 に 重 点 が 置 かれており 実 際 に 地 域 の 外 国 人 市 民 と 交 流 する 場 や 機 会 が 少 なく 地 域 での 交 流 がまだまだ 定 着 していない イ 人 材 育 成 活 動 する 人 材 (ボランティア)の 減 少 固 定 化 が 顕 著 であり 多 くの 市 民 への 国 際 感 覚 の 醸 成 活 動 への 参 画 のために 新 しい 人 材 の 育 成 や 活 躍 できるような 環 境 整 備 や 情 報 提 供 が 課 題 となっている ウ 外 国 人 市 民 への 生 活 支 援 外 国 人 市 民 の 定 住 化 国 籍 の 多 様 化 が 進 む 中 行 政 情 報 の 提 供 や 社 会 的 ルールの 周 知 等 の 対 応 が 立 ち 遅 れているため 市 へ 直 接 支 援 を 求 める 外 国 人 市 民 は 少 ない 平 常 時 だけでなく 災 害 時 においても 地 域 で 安 心 して 生 活 するために 外 国 人 市 民 の 必 要 としているサービスを 把 握 し 支 援 が 必 要 な 人 への 広 報 情 報 提 供 を 充 実 させることが 必 要 となっている 支 援 する 外 国 語 はこれまで 英 語 が 主 であったが 中 国 語 やタガログ 語 6
など 外 国 人 市 民 の 出 身 国 に 応 じた 多 様 な 言 語 に 対 応 していくことが 必 要 である 7