Microsoft Word - No.35_2012_仮訳.doc



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目次 1. 一般 目的 適用範囲 参照文書 用語及び定義 内部監査 一般 内部監査における観点 内部監査の機会 監査室

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目次 0. 序文 適用範囲 引用文書 用語と定義 一般要求事項 法的及び契約上の事項 法的責任 認証の合意 ライセンス, 認証書及び適合マークの使用.

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何故 2 つの規格としたのですか (IATF 16949:2016 及び ISO 9001:2015)? 2 つの規格となると 1 つの規格の場合より, 読んで理解するのが非常に難しくなります 1 まえがき 自動車産業 QMS 規格 IATF と ISO との間で,IATF を統合文書と

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Transcription:

この資料は業務の参考のための仮訳です 利用者が当情報を用いて行う行為については 利用者の責任でお願いいたします 横浜植物防疫所 植物検疫措置に関する国際基準 ISPM No. 35 ミバエ類 ( ミバエ科 ) の病害虫リスク管理のためのシステムズアプローチ (2012)

目次 採択 序論範囲参照定義要件の概要 背景 要件 1. FF SA 実施の決定 2. FF SA の設定 3. 文書化及び記録保持 4. 認証 5. 許容レベル 6. 不適合及び不順守

採択 本基準は 2012 年 3 月に第 7 回植物検疫措置に関する委員会によって採択された 序論 範囲 本基準は 経済的に重要なミバエ類 ( ミバエ科 ) の病害虫リスク管理のための選択肢としてのシステムズアプローチにおける統合措置の開発 実施及び認証に関する指針を提供する 参照 IPPC. International Plant Protection Convention. Rome, IPPC, FAO. ISPM 2.2007. Framework for pest risk analysis. Rome, IPPC, FAO. ISPM 5. Glossary of phytosanitary terms. Rome, IPPC, FAO. ISPM 11. 2004. Pest risk analysis for quarantine pests including analysis of environmental risks and living modified organisms. Rome, IPPC, FAO. ISPM 13.2001Guidelines for the notification of non-compliance and emergency action. Rome, IPPC, FAO. ISPM 14. 2002. The use of integrated measures in a systems approach for pest risk management. Rome, IPPC, FAO. ISPM 24.2005. Guidelines for the determination and recognition of equivalence of phytosanitary measures. Rome, IPPC, FAO. ISPM 26. 2006. Establishment of pest free areas for fruit flies (Tephritidae). Rome, IPPC, FAO. 定義 現行の基準における植物検疫用語の定義は ISPM 5( 植物検疫用語集 ) において確認することができる 要件の概要 ミバエ類のためのシステムズアプローチ (FF SA) の開発においては 寄主及び対象となるミバエ種と寄主果実及び野菜 1 の生産地域の関係が考慮されるべきである 病害虫リスク管理措置の選択は 病害虫リスクアナリシス (PRA) により決定されるべきである FF SA には少なくとも 2 つの独立した措置が含まれ 特に生育期及び収穫 ; 収穫後及び輸送 ; 並びに輸入国内への搬入及び流通といった過程におけるさまざまな段階に渡って適用することができる FF SA は 輸入国の植物検疫要件を満たすことを目的とした有害動植物のリスク低減のために 対象となるミバエ種の有害動植物低発生地域又は一時的若しくは局所的な無発生地域において その他の措置 ( 例えば 感受性の低い寄生の選択 作物管理業務又は収穫後の取扱い ) と組み合わせて設定することができる 1 以下 果実及び野菜を果実と呼ぶ

FF SA の設定 実施及び認証に関しては 運用手順が必要である これらの手順との適合は 輸出国側の国家植物防疫機関 (NPPO) により保証及び認証が行われるべきである 手順は実施中に監視され 不適合の場合には是正措置が講じられるべきである FF SA の設定 実施及び認証は適切に文書化され 文書は必要に応じて輸出国 NPPO によって見直し及び改訂が行われるべきである 背景 ミバエ科に属するミバエ類の種の多くは経済的に重要な有害動植物であり その侵入は病害虫リスクをもたらす可能性がある 対象となるミバエ種のリスクの特定及び管理のために 輸入国 NPPO によって PRA が実施されるべきであり 植物検疫措置が適用されうる (ISPM 2:2007 ISPM 11:2004) システムズアプローチは 単独措置が利用できない若しくは実施できない状況 又はシステムズアプローチの方が単独措置の利用よりも費用効率が高い場合に 病害虫リスク管理措置として開発されてきた 特定の FF SA の実施の決定は 寄主果実 対象となるミバエ種及び特定された果実生産地域との間の特殊な関係に依存する システムズアプローチは 互いに独立した少なくとも 2 つの措置の組合せを必要とし 相互依存する措置をいくらでも含むことができる (ISPM 14:2002) FF SA において用いられる処理は 単独措置として適用するには十分な効果が得られないと見なされている 本措置はさまざまな時間のさまざまな場所において適用することができ そのため多くの組織及び個人に関与し得る しばしば 各国は寄主果実の輸入又は移動をサポートするため ミバエ類に対する処理又はミバエ類無発生地域 (FF-PFAs) (ISPM 26:2006) のような植物検疫措置を用いてきた 他の場合においては禁止措置が適用されてきた FF SA は 危険にさらされている地域へのミバエ寄主の輸出及び移動を促進する代替手段となりうる NPPO は FF SA が単独の措置に相当すると認めることができる 輸出国は輸入国とともにこれらの措置の同等性を公式に承認しようと努めることができる 効果的な FF SA が実施された場合 そうしたシステムの構成要素は 同様の条件を持つ地域からの果実の移動を促進するために その他の輸入国及び輸出国に利用されうる FF SA は 生産用地から国全体までの大きさの果実生産地域に適用可能である 要件 1. FF SA 実施の決定 技術的に正当な輸入植物検疫要求事項の規定と伝達を行うのは 輸入国の責任である FF SA に統合されている病害虫リスク管理措置の組合せは 輸入植物検疫要求事項のための基盤として輸入国が選定することのできる選択肢の 1 つである (ISPM14:2002) FF SA の開発は 輸出国 NPPO の責任である FF SA は以下のような場合に開発され 実施され得る :

(1) 輸入国が自国の輸入植物検疫要求事項において 輸出国におけるシステムズアプローチの利用を規定している (2) 輸入国はシステムズアプローチを明確には要求していないが 輸出国 NPPO がシステムズアプローチを輸入国の輸入植物検疫要求事項を満たすための適切で効果的なアプローチであると考えている 輸出国は 措置の同等性に関する正式な承認について 輸入国との交渉を必要とするかもしれない (ISPM24:2005) FF SA は 適切な保護の水準を達成するための適切な措置の組合せを有するべきである それらは科学的根拠に基づき 輸入植物検疫要求事項を満たすために選定されなければならない 運用上の実行可能性の側面は 適用される措置の費用対効果と同時に 対象となるミバエ種のリスクを管理するために必要な最も制限の少ない措置を課すことへの努力が含まれる FF SA の実施を提案された果実生産地域は明確にされ 関与する生産者らは輸出国 NPPO の承認を受けるべきである FF SA を設定 (ISPM 2:2007) するにあたっては NPPO がその他の利害関係者を関与させることが望ましいかもしれない FF SA の設定に求められる基本情報には以下のものが含まれる : - 寄主は種レベルまで特定されるべきである リスクが品種によって異なる場合 ( 例 : 寄生への抵抗性が異なるなどの理由により ) は 寄主は品種レベルまで特定されるべきである - 検討されている果実の成熟段階は妥当である ( 例えば 生理学上の成熟バナナはミバエ類の寄主には適さないと認識される ) - 寄主に関連した対象となるミバエ種のデータは利用可能であるべきである ( 例えば 学名 発生及び変動 寄主選好性など ) - FF SA の実施のために特定された果実生産地域は 商業地域及び適切な場合は非商業地域における寄主の分布に対して特別の注意を払いながら記述され 適切に文書化されるべきである 実際には FF SA は同じ果実生産地域における一つあるいは複数の寄主又は対象となるミバエ種に適用することができる 2. FF SA の設定 措置は 輸出国内における果実の生産から輸入国内における流通に至るまでのさまざまな段階に適用することができる 輸入国 NPPO はまた 積荷の到着時に 1 つまたは複数の措置を講じることができる ミバエの寄生防止を目的とした さまざまな段階に適用される措置には以下のものが含まれ得る : 栽培前 - 対象となるミバエ種の低発生栽培地の選定 ( 例 : 有害動植物低発生地域 地理的な位置 高度 気候のために適さない地域 ) - 感受性の低い果実の種又は品種の選定

生育期 収穫 - 衛生管理 - 作物以外の寄主の管理 - ミバエの寄主ではない植物との間作 - 対象となるミバエ種の発生が少ない又は一時的無発生となる特定の期間内に寄主果実を栽培する - 開花時期制御及び果実生産のタイミング - 誘引剤による殺虫剤処理 ベイトステーション 雄除去法などの化学的防除及び天敵などによる生物的防除 - 物理的保護法 ( 例 : 果実の袋がけ ミバエから保護する構造 ) - 不妊虫技術 - 大量捕獲 - 生産地域内における非商用寄主の管理 ( 例 : 適切な場合 除去又は非寄主植物による他の寄主植物の置き換え ) - 対象となるミバエ種のモニタリング及び調査例 : トラップの使用又は果実サンプリング - 衛生管理 ( 例 : 園地における落下した果実の収集 除去 適切な廃棄又は木からの成熟果実の除去 ) - 果実の除去 - 果実発達の特定の段階又は一年の決まった時期における収穫 - 収穫時の寄生を防ぐための安全保護活動 - 果実の切開を含む調査 - 衛生管理 ( 例 : 落果した果実の安全な除去及び廃棄 ) 収穫後及び取扱い - 寄生を防ぐための安全保護活動 例えば果実冷蔵 冷蔵機能を備えた輸送 網戸で保護された室内 倉庫及び輸送機関内での作業 低温貯蔵の利用 果実の包装 - こん包施設内及び周辺でのトラッピングによる対象となるミバエ種の無発生のモニタリング - 衛生管理 ( 例 : 梱包施設における寄生の兆候のある果実の除去 ( 選抜除去 )) - サンプリング 検査 ( 例 : 果実の切開による ) 又は検定 - 単独の措置としては十分有効であると見なされない処理 - こん包要件 ( 例 : 防虫パッケージの使用 ) - ロットの追跡可能性の保証

輸送及び流通 - 対象となるミバエ種の寄生を防ぐための安全保護活動 - 単独の措置としては十分有効であると見なされない処理 ( 輸送前 輸送中又は輸送後において ) - 対象となるミバエ種が定着不可能又は適切な寄主が存在しない地域又は期間に地理的及び季節的に限定した流通 いくつかあるいは全ての段階に適用される措置 : - 国民からの支援を生み出すための地域社会認識プログラム - 寄主果実及び他の経路による地域への移動の制御 ( 例 : 生産用地又は島に対する要求 ) 3. 文書化及び記録保持 FF SA の設定 実施並びに認証は輸出国 NPPO により適切に文書化されるべきである 輸出国及び輸入国 NPPO の役割及び責務が規定され 文書化されるべきである 文書及び記録は定期的な見直しと更新を行い 少なくとも 24 か月間保管し 要請に応じて輸入国 NPPO が利用可能とするべきである 文書化には以下のものが含まれる : - 輸入植物検疫要求事項及び可能な場合は病害虫リスクアナリシス報告書 - リスクを低減するための措置の特定及び記述 - FF SA の運用手順に関する要件の記述 - FF SA を行う予定である地域の記述 - 輸出予定の寄主果実及び対象となるミバエ種の記述 - 以下に例示するような 関係組織とその役割 責務及び関連性の記述 関係組織又は利害関係者の登録 監視及び防除手順における協力への同意 FF SA 要件 ( 果実の原産地 生産地からの移動 果実の選定とこん包 果実の輸送と安全保護対策 ) への適合 適切な是正措置を講じることへの同意 記録の管理及びそれらを利用可能にすること - 有害動植物の監視及び防除計画 - 調査結果 - FF SA 参加者のための訓練計画 - 追跡調査手順 - 特定の手順に関する技術的根拠 - 調査 検出及び診断方法 - 是正措置に関する記述及びフォローアップの記録

- FF SA 実施に関する見直し - 緊急時対応策 4. 認証 FF SA における措置は公的に承認された手順に従って実施すべきであり システムがその目的を達成していることを保証するために 輸出国 NPPO により監視されるべきである 輸出国 NPPO は FF SA の全ての段階の実施及び有効性を監視する責任を負う FF SA の運用手順が適切に実施されているものの 一つもしくはそれ以上の要素が 全ての段階に求められる有効性を与えるための十分な病害虫リスク管理を提供していない場合 輸入植物検疫要求事項を確実に満たすために FF SA の改正が行われるべきである この改正は 必ずしも貿易の停止を伴うものではない FF SA のその他の構成要素については 再度認証される必要はないかもしれない 認証の頻度は FF SA の設計によって影響を受けるべきである 輸入国 NPPO は 輸出国 NPPO との合意に基づき FF SA を監査することができる 5. 許容レベル 多くの場合 FF SA 設定の基盤となり得るのは 例えば有害動植物低発生地域 (ALPP) のように ある地域における対象ミバエ種の発生が 輸入国 NPPO により特定された許容レベル ( ミバエに関連して 特定の有害動植物個体群レベル という用語が時々 許容レベル の代わりに用いられることがある ) を維持あるいは下回っていることである これは 対象となるミバエ種の発生が元々低いことによる結果又は防除措置の実施の結果であるかもしれない 対象となるミバエ種の発生が規定の許容レベルを維持又は下回っていることを裏付ける証拠が必要とされる場合があり その場合 証拠はトラッピング及び果実のサンプリングの結果として得られるべきである 対象となるミバエ種の発生の監視は 寄主果実の生育期のみならず生育期ではない期間にも実施されることがある 6. 不適合及び不順守 不適合は FF SA の不正確な実施又は失敗を含む その場合 輸出国 NPPO は 不適合に対処するための是正措置が講じられるまで FF SA の不適合要素からの貿易を一時停止することができる 不適合は FF SA の 1 つあるいはそれ以上の段階で起こりうる 不適合がどの段階で発生したのかを特定することが重要である 輸出国 NPPO は 積荷や植物検疫証明に影響を与える可能性のあるあらゆる不適合について輸入国 NPPO に速やかに通知するべきである 輸入国 NPPO は あらゆる不順守 (ISPM 13:2011 参照 ) について輸出国 NPPO に通知するべきである