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US ホワイト ペーパー翻訳版 詳細レビュー 要約 重複除外ストレージ システムの導入により 多くの企業がオペレーションのリカバリにおけるテープの使用を最小限に抑えることができるようになりました しかし 長期保存の要件があるお客様の場合 TCO ( 総所有コスト ) 電力消費量 データの移植性 障害の切り分けの面で利点があると考えられることから 依然としてテープ ベース ソリューションに依存しています 長期保存データの保存に関するベスト プラクティスは 専用のアーカイブ プロセスまたはアプリケーションを使用することですが バックアップほど採用が進んでいないのが現状です このホワイト ペーパーでは 業界初のバックアップの長期保存システムである EMC Data Domain Archiver を紹介し Data Domain システムの特長であるシステム スループットおよび復旧性を実現する仕組み および優れたコスト パフォーマンス 障害の切り分け データ管理の向上を実現する新しい最適化機能について説明します DD Archiver は 現在一般的に運用されているバックアップ プロセスから 長期保存のベスト プラクティスの発展的導入への橋渡しとしての役割を果たします 2011 年 1 月

Copyright 2011 EMC Corporation. All Rights Reserved. EMC Corporation は この資料に記載される情報が 発行日時点で正確であるとみなしています この情報は予告なく変更されることがあります この資料に記載される情報は 現状有姿 の条件で提供されています EMC Corporation は この資料に記載される情報に関する どのような内容についても表明保証条項を設けず 特に 商品性や特定の目的に対する適応性に対する黙示の保証はいたしません この資料で説明されているいかなる EMC ソフトウェアの使用 コピー 配布に関しても 適切なソフトウェア ライセンスが必要です 最新の EMC 製品名リストについては http://japan.emc.com/ にある EMC Corporation の商標 を参照してください 他のすべての名称ならびに製品についての商標は それぞれの所有者の商標または登録商標です パーツ番号 h8140-j 2

目次エグゼクティブ サマリー... 4 概要... 5 対象読者... 5 Data Domain Archiver の概要... 5 データ移動ポリシー... 8 拡張性に優れたシングル ファイル システム... 9 技術的な実装... 11 アーカイブ ユニットの障害の切り分けと詳細レベルのリカバリ... 13 複製データからの詳細レベルのリカバリ... 14 コスト パフォーマンスに優れた拡張性... 15 将来のアーキテクチャ上の拡張... 16 一般的な導入シナリオとベスト プラクティス... 16 バックアップ データの長期保存... 17 DD Archiver へのデータのアーカイブと階層化... 18 長期保存に関する DD Archiver とテープの比較... 19 最後に... 19 3

エグゼクティブ サマリー バックアップ リカバリに重複除外ストレージを導入することにより 多くの企業がテープ オートメーションの使用を最小限に抑えることができるようになりました EMC Data Domain 重複除外ストレージは このカテゴリーにおけるマーケット リーダーとしての地位を確立しています 通常 データのバックアップには数週間から数か月の保存期間があります 保存要件が長期になると 多くのユーザーは単純にバックアップをテープに長期間保存しますが 専用のディスク ベースのアーカイブ アプローチを採用するユーザーもいます テープは移植性 冗長性 障害の切り分けといった特長を備えていますが データ保存向けに使用する場合 次に示す欠点があります 想定されるテープ カートリッジの設備コスト面でのメリットよりもテープ オートメーションのコストや運用コストが上回る場合が多い テープに保存されたファイルへのアクセスに非常に長い時間を要する ( 特にオフサイトの場合 ) テープ ドライブ テクノロジーを移行する場合 5~7 年ごとに高価で時間のかかる旧テープの一括移行が必要となる場合がある 長期保存向けにテープおよびバックアップ プロセスを使用する代わりに 図 1 に示すように 専用のアーカイブ プロセスまたはアプリケーションを使用して プライマリ ストレージおよび対応するバックアップ プロセスからアーカイブ プラットフォームにデータを移動する方法があります 図 1: バックアップの前にアーカイブを行う場合のベスト プラクティス :1) 重要な情報を階層型インフラストラクチャにアーカイブ 2) 使用頻度の高い本番情報をディスクにバックアップ 3) アーカイブから取得またはバックアップからリカバリ アーカイブ プロセスを導入することにより プライマリ ストレージの容量が解放され データ保存が行われ より効率的にバックアップ プロセスを実行できるようになります しかし この代替アプローチは 複雑であると認識されている点 統一されたポリシーまたは要件がない点 予算の制約 ソフトウェアの制約など 多くの理由からバックアップほど一般的に採用されていません その結果 運用面での課題が認識されているにもかかわらず テープ バックアップの長期間にわたる保持が長期保存の代替アプローチとして最も広く採用されています バックアップ / アーカイブ プロセスの進化に伴い 現在の一般的な運用方法から未来のベスト プラクティスへの橋渡しをするプラットフォームの必要性が高まっています この移行過程では 保存を目的としてバックアップ インフラストラクチャを使用することから脱却し アーカイブ プロセスの導入を図るお客様もいるかもしれませんが 移行に要する期間は依然として未知数のままです 現時点では ストレージ プラット 4

フォームの要件に バックアップ データを迅速に取り込むことができる ( 高スループット ) コスト パフォーマンスに優れながら堅牢に保存できることがあります は 業界初のバックアップ データの長期保存システムであり 既存のバックアップ プロセスを変えずにそのまま導入することができます DD Archiver は バックアップ環境で広く導入されている実証済みのミッドレンジ Data Domain システムの構成を拡張し 大容量の静的データを格納するためのストレージ階層を組み込んでいます 大容量のストレージを徐々に拡張できるよう 新しくアーキテクチャを拡張し システム コストの削減 データの長期的な可用性と整合性の確保が可能になります アーカイブのアプローチが有効な場合は ユーザーはアーカイブ ワークロードのターゲットを同じインフラストラクチャ内の DD Archiver に保存できます 概要 このホワイト ペーパーでは を紹介し Data Domain システムの特長であるスループットおよび復旧性を実現する仕組み および優れたコスト パフォーマンスと障害の切り分けを実現する新しい最適化機能について説明します このホワイト ペーパーを読むと DD Archiver が 現在一般的に運用されているデータ保存向けのバックアップ プロセスをどのようにサポートするのかをご理解いただけます 以降のセクションでは データ移動 障害の切り分け 計画的なアーキテクチャの拡張などの DD Archiver 独自の特徴に加え 他の長期保存オプションとの比較について説明します 対象読者 このホワイト ペーパーは Data Domain Archiver の詳細に興味を持つ EMC のお客様 テクニカル コンサルタント パートナー EMC とパートナーのプロフェッショナル サービス コミュニティのメンバーを対象としています Data Domain Archiver の概要 Data Domain Archiver は 内部階層化アプローチによる実証済みの Data Domain アーキテクチャを拡張することにより 拡張性およびコストに関する長期保存要件に対応します 共通のコントローラ 管理 ネームスペースを共有する 2 つの階層があります オペレーションのリカバリで使用される標準の Data Domain システムと同様に機能するアクティブ ストレージ階層 長期保存のポリシーの閾値 ( 前回の変更からの経過時間 ) を経過した場合にファイルが内部的に移行されるアーカイブ ストレージ階層 これらの階層は 1 台のコントローラに接続されているストレージの論理的な区分です データは最初にアクティブ階層に保存されます ユーザーが定義した期間内に変更が行われなかったデータはアーカイブ階層に移動されます アーカイブ階層では 障害 5

の切り分けと詳細レベルのリカバリ性が追加で組み込まれており より大きな容量が長期保存用に確保されます また 管理性が向上し 高度な圧縮が行われます 異なる階層にデータが分離されるため 長期保存用に非常に大きな容量を持つことができます この新しいアーキテクチャは 1 台の Data Domain コントローラの背後に大きな拡張性を備えており これを平均するとシステム コストが低減します DD Archiver は 新しく独立したシステムであり Data Domain システムをオプションで拡張したものではありません ただし 標準バージョンの DD OS(Data Domain Operating System) が稼働する 1 台のコントローラで構成される従来の Data Domain システムを利用します これは 標準の Data Domain ES20 ストレージ シェルフに接続されています バックアップの長期保存がメインの用途になりますが 加えてアーカイブ用途 ( メール ファイル プロジェクト 階層化 ) を検討している場合 これらのデータ タイプをコスト パフォーマンスに優れた方法で DD Archiver に組み込むこともできます 図 2:DD Archiver で利用される従来の Data Domain システムの一般的なコンポーネント Data Domain Archiver のストレージ階層 DD Archiver のアクティブ階層は 基本的に標準の Data Domain システムと同様に機能し 同じガイドラインに基づいてサイズが設定されます たとえば フル バックアップを毎週行い 最大 90 日間増分バックアップを毎日行えるようアクティブ階層のサイズを設定できます アクティブ階層は 1~4 台のストレージ シェルフで構成できます ( 利用できる容量は最大 96 TB) アーカイブ階層は 1 台以上のアーカイブ ユニットで構成されます 各アーカイブ ユニットは ストレージ シェルフの論理的なグループであり 独自の重複除外コンテキストがあります 各アーカイブ ユニットは 1~4 台のストレージ シェルフで構成できます ( 利用できる容量は最大 96 TB) ユーザーが定義したポリシー ベースのプロセスが定期的に実行され 古くなったデータがアクティブ階層からアーカイブ ユニットに移動されます これは アーカイ 6

ブ ユニットに空き領域がなくなるまで実行されます 図 3 では アクティブ階層からアーカイブ階層内のアーカイブ ユニットへのデータの移動を示しています 階層とアーカイブ ユニットはエンド ユーザーおよびアプリケーションに対して透過的であるため DD Archiver は単なる大規模な Data Domain システムのように見えます 図 3: コントローラ アクティブ階層 アーカイブ階層内のアーカイブ ユニットで構成される Data Domain Archiver 内部のデータ移動は 古くなったデータをアクティブ階層から空き容量のあるアーカイブ ユニットに移動することで行われます アーカイブ ユニットのシーケンシャルなデータ移動 DD Archiver は 空き領域がなくなったアーカイブ ユニットを直ちに封印して 障害から切り離す独自機能を備えています 各ユニットは 完全な自己完結型のデータ保存ユニットです ( アーカイブ ユニットの障害の切り分けと詳細レベルのリカバリ を参照 ) あるアーカイブ ユニットがいっぱいになり封印されると 次に使用可能なアーカイブ ユニットに切り替わり 新たに古くなったデータが移動されます この方法では 図 4 に示すように データが経過期間の順序でアーカイブ ユニットに配置されます アクティブ階層は 増分バックアップといった直近のアクティブなバックアップ データを保持します 一方 アーカイブ階層は 数か月または数年前に保存されたフル バックアップといった比較的静的なデータを保持します これにより 同じタイプのコントローラを搭載した同等の従来の Data Domain システムの容量と比較して 最大 4 倍の容量にまでアーカイブ階層を拡張できます 7

図 4: すべてのコンポーネントで構成されている DD Archiver アーカイブ ユニット 0 と 1 は空き領域がなく封印されています アーカイブ ユニット 3 にはアクティブ階層から移動された新たに古くなったデータが現在移動されています データ移動ポリシー システム管理者は DD Archiver のアクティブ階層からアーカイブ階層へのデータ移動を指示するポリシーを構成できます データ移動ポリシーは mtree に基づいて管理され 該当する mtree のポリシーのしきい値を満たすファイルのみがアーカイブ階層に移動されます mtree は Data Domain ファイル システムのネームスペースの論理パーティションであり 管理目的で一連のファイルをグループ化できます たとえば 特定の用途に関連する一連のファイルに独自のスナップショット スケジュールを適用できます mtree の詳細については Data Domain User s Guide (5.0 以降 ) を参照してください データセットごとに同じ DD Archiver の異なるデータ移動ポリシーが必要な場合は 別々の mtree に配置する必要があります データ移動ポリシーは 2 つのユーザー定義要素に基づいて実施されます ファイルの選択された最終更新日時 ( たとえば 変更が行われない状態で 90 日後 ) 定期的なデータ移動スケジュール ( たとえば クリーンアップ プロセスの前に毎週 ) データ移動プロセスの実行中 ファイルはアクティブ階層から空き容量のあるアーカイブ ユニットに移動されます 各ファイルは 1 回だけしか移動されません データ移動プロセスはシステムの稼働率が比較的低いときに実行するようスケジュールを設定できるバックグラウンド プロセスであるため 対象のデータをさらに圧縮することができます 具体的には アクティブ階層からアーカイブ階層にデータを移動するときに よりプロセス集約的な圧縮アルゴリズムをシステムで実装して データを再圧縮し より高い密度でデータをパッケージ化できます これにより アーカイブ階層のストレージの効率性がさらに高くなります データ移動プロセスは 定期的に実行され ユーザー定義のファイル保存期間ポリシーに基づいてアクティブ階層からターゲットのアーカイブ ユニットに個別のファイ 8

ルを移動します ただし 物理的にコピーされるのはアーカイブ ユニットごとに固有のセグメントに限られます これは EMC Data Domain のファイル レプリケーション オプションと同じプロセスです ( 詳細については ホワイト ペーパー EMC Data Domain Replicator を参照してください ) 定期的なデータ移動スケジュールは Data Domain システムの クリーニング スペースの再利用プロセスと同様の方法でデータ移動ポリシーを開始します データ移動プロセスは 指定した時刻に実行 停止 再開 またはスロットリングするようスケジュールを設定できます データ移動プロセスは 長期保存ファイルをアーカイブ階層に移動した直後にアクティブ階層内のすべての空き容量を再利用できるようクリーンアップ プロセスの直前に実行することをお勧めします たとえば バックアップの長期保存を行いたい場合は 指定したバックアップ サイクルの期間 ( たとえば 90 日間 ) は毎週のフル バックアップと毎日の増分バックアップを保存して その期間後は長期 ( たとえば 7 年間 ) に渡り 月単位のフル バックアップを保管することもできます このデータ移動ポリシーを構成するには 対象の mtree のデータ移動プロセスを毎週実行し 指定した日付より前の 90 日の期間に最終更新されたファイルをすべて移動するよう管理者がデータ移動プロセスを設定します 保存期間のポリシー設定は 指定した日付の経過後に毎月のフル バックアップのみを保管するようバックアップ ソフトウェアで設定できます 毎週のデータ移動では 90 日の期間が経過した残りのファイルはアーカイブ階層に移動されます 拡張性に優れたシングル ファイル システム 従来の Data Domain システムと同様に DD Archiver はストレージ全体にわたりシングル ファイル システム構成をとっており 使いやすさとシンプルな管理を実現します そのため DD Archiver ではユニットや階層が別々に表示されず エンド ユーザーやアプリケーションからは大規模な Data Domain システムのように認識されます 当然 この単一のファイル システムは CIFS 共有 (Windows の場合 ) NFS マウント ポイント (UNIX/Linux の場合 ) または DD Boost(EMC NetWorker Symantec NetBackup Backup Exec をサポート ) による専用のバックアップ ターゲットとして表示できます EMC Data Domain Virtual Tape Library ソフトウェア オプションは 将来のリリースで DD Archiver に対応する予定です 古いデータを大量に保持している大規模な環境の場合 古いデータへのアクセス頻度は時間の経過とともに大幅に低下すると予想されます Data Domain Archiver は 読み取りパフォーマンスを維持しながら数ペタバイトのデータを保存できるよう拡張できます ただし 各アーカイブ ユニットが最大容量に達した場合を除きます その場合は 新しいデータに対してのアクセス性を優先します 最大容量に達したアーカイブ ユニットに保存されている古いデータにアクセスすると 読み取りで若干遅延が生じているように感じる場合があります これは すべてのアーカイブ ユニットのメタデータをシステム コントローラのメモリに残す必要がないという発想に基づいています アーカイブ ユニットの使用容量が最大に達した場合には いくつかのアーカイブ ユニットのメタデータはメモリからスワップ アウトされます データは経過期間の順序でアーカイブ ユニットに書き込まれるため システムにより各ユニットのアクセス頻度が管理されます また 遅延の確率を減らすために 最も古くアクセス頻度の低いデータが格納されているユニットの優先順位を下げます ただし スワップ アウ 9

トされたアーカイブ ユニットにアクセスした場合でも 最初に生じる遅延は 30 秒程度にすぎません その後 アクセスがあったユニットのメタデータが別のユニットに優先してコントローラのメモリに取り込まれるので 以降は標準のパフォーマンスに戻って読み取りが行われます DD Archiver はテープの使用を最小限に抑えることを目的としているため システムを検討する際に この低い確率でしか発生しない遅延 ( システムが最大容量に達した場合にしか発生せず 最も古く最もアクセス頻度の低いデータにしか影響しない遅延 ) と オフラインのテープからデータにアクセスする場合に生じる遅延とを比較します 通常 オフラインのテープは シェルフの上に置いてあるか 外部の施設までオフサイトに輸送されています したがって スワップ アウトされたユニットに格納されているファイルの最初のバイトにアクセスする際に生じる 30 秒のレイテンシーと オフラインのテープをテープ ライブラリに入れてデータにアクセスする場合に生じる数時間あるいは数日の遅延と比較すれば DD Archiver の方が望ましいのは明らかです 10

技術的な実装 図 5 に示すように 従来の Data Domain システムには 物理ディスク ストレージの上位に複数レベルの論理データがあります 図 5:Data Domain OS ファイル システムでは 論理ファイル システム レイヤーにアクセスするためのプロトコル固有のネームスペースが提供されています 各 mtree 内のファイルとディレクトリ および mtree スナップショットは すべて一意のセグメントが存在する同一のプールを参照しています このプールはコレクションと呼ばれ ログ構造化コンテナで構成されます これらのコンテナによりディスク上のセグメントが整理され スループットと重複除外効果が最適化されます この図は Data Domain Operating System ファイル システムの複数のコンポーネントとレイヤーを示しています 1. プロトコル固有のネームスペース : アプリケーションに対する外部インタフェースとして CIFS/NFS ファイル共有 (Ethernet 経由 ) 仮想テープ ライブラリ ( ファイバ チャネル経由 DD Archiver では現時点で未サポート ) DD Boost ストレージ ユニットなどのプロトコル ネームスペースがあります Data Domain では これらの任意の組み合わせで 同時にデータ保存ならびにアクセスできます 2. ファイル システムの mtree ディレクトリ ファイル スナップショット : 各ネームスペースのファイルとディレクトリは DD OS ファイル システムの mtree に格納されます CIFS/NFS 以外の場合 データ ( 仮想テープ カートリッジなど ) は特別なディレクトリの下にファイルとして格納されます DD OS の mtree スナップショットは 基盤となる同一データ セグメントを共有するため 論理的で容量効率に非常に優れています 11

3. 一意のセグメント コレクション ローカリティ コンテナに格納 : コレクション は ファイル ( または仮想テープ ) と論理 mtree スナップショットのセットです システムは 各コンテナ内の重複データ セグメントを特定し 重複除外後のデータ セグメントを圧縮して物理ディスクに書き込みます 各セグメントは コレクション内で一意です ( 自己修復および高速リカバリを有効にするために DD OS で格納されている特定の重複は対象に入っていません ) Data Domain システムごとにコレクションが 1 つあり セグメント ローカリティ コンテナのログに格納されます セグメントのローカリティの詳細については ホワイト ペーパー EMC Data Domain SISL スケーリング アーキテクチャ を参照してください 4. RAID 対応ディスク ストレージ : これらのコレクション コンテナは 高レベルの整合性を確保するために RAID 対応ディスク ドライブ ブロック上で階層化されています Data Domain 重複除外ストレージ システムでは 内蔵ディスクと拡張シェルフで構成される Data Domain RAID 6 を使用して ディスクの 2 重障害に対応します さらに Data Domain Archiver では アーキテクチャ上の拡張がいくつか導入されています 図 6 では アーカイブ ユニットで構成されるアーカイブ階層を DD Archiver がどのように組み込んでいるかを示しています 図 6:DD OS ファイル システムでは 論理ファイル システム レイヤーにアクセスするためのプロトコル固有のネームスペースが提供されています 各 mtree のファイルとディレクトリ および mtree スナップショットは 一意のセグメントが存在する個別のフォールト コンテインメント ( 障害封じ込め ) ドメインを参照しています このフォールト コンテインメント ドメインはコレクション パーティションと呼ばれ ログ構造化コンテナで構成されます これらのコンテナによりディスク上のセグメントが整理され スループット 拡張性 重複除外効果が最適化され 一定の障害隔離が可能になります 12

DD Archiver のアーキテクチャに関する技術革新は図 6 のレイヤー 3 と 4 に反映されています 内部的な階層化 高度な拡張性 障害を隔離する機能を実装するために DD Archiver ではストレージをコレクション パーティションで分割します コレクション パーティションは アクティブ階層とアーカイブ ユニットとして分けられます 各コレクション パーティションは アクティブ階層かアーカイブ ユニットかにかかわらず RAID 6 で保護されたストレージ シェルフに保存されます アーカイブ階層の場合 各ストレージ ユニット単位にそれぞれ重複除外インデックスが割り当てられます アクティブ階層に新しい書き込みが行われる際は これらのアーカイブ ユニットのインデックスはチェックしません この設計により 移動するファイルのネームスペースに変更なく アクティブ階層からアーカイブ ユニットにデータを透過的に移動できます また このアーキテクチャは アーカイブ階層のドライブのスピン ダウンなどの拡張予定があります ただし アプリケーションやユーザーからはユニットと階層を見分けることはできません 外面的には ネームスペースの管理可能な要素はすべて従来の Data Domain システムと変わりません アーカイブ ユニットの障害の切り分けと詳細レベルのリカバリ DD Archiver は バックアップ データの長期保存プラットフォームとして設計されています そのため 規模の拡張 および従来のディスク ストレージよりも大幅に長い稼働期間での運用が想定されています 長期保存を実現するために システムは障害の切り分けと詳細レベルのリカバリ性に重点を置いて設計されています 前述のように DD Archiver は RAID 6 で保護されており 同時に 2 つのディスク障害でもデータを守り ストレージ シェルフの可用性を維持します また DD Archiver は DD OS の持つ特徴である 非脆弱性アーキテクチャ (DIA :Data Invulnerability Architecture) により堅牢に保護されます 非脆弱性アーキテクチャは すべての保存データを対象に 継続的な障害検出機能と自己修復機能を備えており データの整合性を確認し bit lot( ビット崩壊 ) などの長期保存による悪影響がデータの整合性に及ばないようにします 詳細については ホワイト ペーパー EMC Data Domain Data Invulnerability Architecture を参照してください RAID 6 や Data Invulnerability Architecture に加え DD Archiver はアーカイブ ユニットを封印することによる独自の障害の隔離機能を備えています アーカイブ ユニットの封印は アーカイブ ユニットが最大容量に達した時点で ファイル システムと重複除外のメタデータのスナップショットを各アーカイブ ユニットに保存することで行います 封印されたユニットにはデータが書き込まれなくなり 後続のデータ移動ポリシーは次に用意されているアーカイブ ユニットに送られます 各ユニットは障害の切り分けを目的として封印されるため すべてのアーカイブ ユニットには他のアーカイブ ユニットやアクティブ階層と異なる重複除外インデックスがそれぞれ割り当てられます 障害の隔離でシステム全体の重複除外の効率性は下がりますが アーカイブ階層にはより強力な圧縮アルゴリズムが適用されるため コスト効率を補いながら データの長期アクセスとリカバリ性というメリットをもたらします DD Archiver で不具合が発生 もしくはプライマリ サイトでマイナーな災害が発生したことで 1 つのアーカイブ ユニットが使用不可の状態に陥った場合でも 影響を受けていないコンポーネントを使用して稼働し続けます 他のファイル システムの場合 同様の事態 (1 つの RAID グループを超えるような大規模なコンポーネント障害 ) が 13

発生すると 完全に使用不可の状態に陥り データが完全または部分的に消失する恐れがあります DD Archiver の場合 システムは稼働し続け 影響を受けていないデータにすべてアクセスできます システムは コントローラとアクティブ階層が機能している限り稼働し続けます 図 7: この例では DD Archiver でアーカイブ ユニット 2 に障害が発生しています 影響を受けていないすべてのデータは引き続き使用でき システムは機能し続けます 図 7 に示したような障害が発生した場合 次の 3 つの状況と対応のいずれかが想定されます 小規模な障害 ( ケーブル コネクタ ファンなど ) の場合 アーカイブ ユニットの障害部分を修理してシステムに再接続できます アーカイブ ユニットの主要部分が障害で使用できなくなり リモート サイトにレプリケーション データが残っているような場合は 新しいアーカイブ ユニットをリモート サイトでデータ コピーした後 ユニットをデータセンターに戻してシステム復旧させます アーカイブ ユニットが使用できなくなり DR システムも用意されていない場合 障害ユニットを新しいユニットに交換すれば システムを再度稼働させることができます さらに障害の切り分けを掘り下げます この災害の規模がさらに大きく システムの大半が影響を受け 複製データがない場合は リカバリ対象のすべてのユニットを新しい DD Archiver システムに交換できます また 災害を切り抜け回収されたデータは 新しいシステムで使用できます 複製データからの詳細レベルのリカバリ 多くのストレージ プラットフォームと同様に DD Archiver では 災害から免れることができるリモート サイトにあるシステムに すべてのデータのフル レプリカを保持するよう災害対策を行う必要があります ただし 非常に大規模な従来のストレージ システムの場合 大きなシステム障害により レプリケーションの同期が取れなくなったり レプリケーションが完全に停止したりする場合があります このような場合 管理者が最も避けたい事態は リモート サイトからローカルのデータセンターにネットワーク経由で数ペタバイトのデータを転送することです WAN 経由による大量のデータ転送は 数週間もかかることがあるため実用的ではありません また トラックでデータを輸送する場合 保存した容量によっては数十ものデバイスが含まれ 管理が難しく費用がかかる場合があります 14

DD Archiver は 独自のアーキテクチャを活用することにより より詳細なレベルでのリカバリを実現します データセンター内のソース システムとリモート サイト内のレプリカ システムとのシステム間のレプリケーション関係だけではなく ソース システム内のアクティブ ユニット / アーカイブ ユニットとレプリカ システム内の相対するユニットとのレプリケーション関係を確立します 図 8:DR( 災害復旧 ) 構成が行われた 2 つの DD Archiver システムは より詳細なレベルでのコレクション レプリケーションを実現します 主なメリットは この図の例の場合 システム全体をリカバリしなくても 1 つのユニットをリカバリするだけでアーカイブ ユニット 2 を交換できる点です 図 8 で示したように 何らかの要因で主要コンポーネント ( たとえば ソース システムのアーカイブ ユニット 2) の可用性に影響が生じた場合 影響を受けたユニットのみを再同期またはリカバリする ( リモート サイトでシーディングしてデータセンターに輸送する ) だけで済みます このような詳細のレプリケーション レベルがない場合 リモート サイトからデータセンターにすべてのデータを送る必要があります 規模によっては トラックで 20 個以上のコンポーネントに相当する量になります DD Archiver の詳細レベルのレプリケーション関係により ペタバイト規模のシステム内で特定のユニットが影響を受けた場合 より詳細なレベルでのリカバリを実現します この詳細レベルのリカバリは 標準のファイル システムのアプローチよりもリカバリを高速化でき 影響を受けていないシステムへのリスクを軽減できます コスト パフォーマンスに優れた拡張性 DD Archiver のもう 1 つのメリットとして 1 台のミッドレンジ コントローラでのアーカイブ階層の高度な拡張性が挙げられます 現在 DD Archiver は 同じクラスのコントローラを搭載した標準の Data Domain システムの 4 倍の容量をサポートしています アクティブ階層の最大容量は 96 TB ですが DD Archiver では有効容量を合計 570 TB にまで拡張できます 10~50 倍のバックアップの圧縮率を想定した場合 DD Archiver では長期保存バックアップ データの容量を最大 28.5 PB にまで拡張できます 多数のストレージ シェルフでコントローラを共有すれば 拡張すればするほどコ 15

ントローラ コストを抑えられます バックアップの場合 前述のデータ削減率を想定すると DD Archiver の容量価格はギガバイトあたり 10 円 ~50 円レベルになります テープ カートリッジの方が安価な場合もありますが テープの運用に伴うリスクなども考慮すると果たして適しているのかという懸念があり 前述のように予期しない追加コストが生じる場合もあります 将来のアーキテクチャ上の拡張 前述のすべてのメリットに加え DD Archiver のアーキテクチャは高い拡張性を備えており 将来のリリースでさらに追加機能を組み込む計画があります 具体的な計画については 適切な守秘義務契約に基づいて EMC 担当者にご相談ください 今後の拡張予定の一部を以下に示します モジュール形式のアップグレードおよびマイグレーション :DD Archiver は モジュール形式で随時アップグレードできるよう設計されています Data Domain のハイエンド システムでは すでにデータ イン プレース アップグレードをサポートしており データを移行しなくても最新のコントローラ テクノロジーにアップグレードできます 拡張機能を追加すると さらに効率的にストレージ サブシステムをアップグレードしたり統合したりすることもできます 電源管理 / スピン ダウン : アーカイブ ユニットの封印および独立したユニットへの重複除外コンテキストの分離により アーカイブ ユニットをスピン ダウンして電力消費量を削減できます その場合でもデータ保存容量には影響ありません より圧縮率の高いデータ削減技術 : 現在 アクティブ階層のデフォルトの圧縮では標準の LZ 圧縮アルゴリズムが使用されています ただし データをアーカイブ階層に移動する際は さらに圧縮率の高い GZ アルゴリズムでデータが圧縮されます 将来 アーカイブ階層は 高密度のシェルフ / ドライブや圧縮率の高いグローバル / ローカル圧縮技術など よりコスト効率を高めるための機能追加を重視します コンプライアンス規制のサポート : 現在 DD Archiver は EMC Data Domain Retention Lock ソフトウェアにより社内ガバナンス基準を満たしています ただし 将来的には SEC 17a-4 などの厳格なコンプライアンス規制に対応できるようにする予定です 一般的な導入シナリオとベスト プラクティス Data Domain Archiver は Data Domain 製品ファミリの一部であり 一般的なオペレーティング システムを利用するため スタンドアロン システムとして導入したり お客様の環境が大規模な場合に他の Data Domain システムの統合ターゲットとして使用したりできます DD Archiver は さまざまな状況や用途で使用できます ただし 主な用途はバックアップの長期保存です 16

バックアップ データの長期保存 バックアップの短期保存と長期保存を 1 つのシステムで行ないたいお客様は DD Archiver をスタンドアロン重複除外バックアップ ストレージとして導入できます この用途では図 9 に示すように EMC NetWorker や Symantec NetBackup などの標準のバックアップ ソフトウェアを利用して セーブセットを DD Archiver に直接送信します 図 9: この例では バックアップが Data Domain Archiver に直接送信される構成を示しています アクティブ階層のサイズは短期バックアップ サイクルのデータを格納するように設定されます そして アーカイブ階層は長期保存データにより時間の経過とともに増加します アクティブ階層で複数のシェルフを利用することにより DD Archiver は データ リストア目的の短期バックアップ データと 保存目的での長期バックアップ データの両方を格納できます この構成の場合 アクティブ階層のサイズは標準の Data Domain システムと同様に設定され アーカイブ階層のサイズは必要な保存ポリシー ( 保存期間の長さ ) に基づいて設定されます DD Archiver は 企業内の分散したシステム全体にわたる長期バックアップを統合する目的でも使用できます 図 10 に示すように 他の Data Domain システムは一元管理された 1 つの Data Domain Archiver にレプリケーションを実行しています この構成の場合 各リモート サイトのバックアップ ソフトウェアがバックアップ データをローカルの Data Domain システムに保存してから DD Replicator および DD Boost を利用して長期保存向けに重複除外後の尐なくなったデータのみを WAN 経由で DD Archiver に送信します 図 10: この例では 長期バックアップのみが他の DD システムから Data Domain Archiver にレプリケートされる構成を示しています アクティブ階層のサイズはレプリケーション データをサポートするように設定されます 一方 アーカイブ階層のサイズは集約したデータの長期保存を行い 時間の経過とともに増加します 17

図 9 の最初の用途と異なり この導入ではアクティブ階層がデータ リカバリ向けに使用されないため データの送信量によっては 必要となるシェルフの台数は 1 台か 2 台で済みます また DD Archiver は DD Boost をサポートしているので システム間のレプリケーションおよびレプリカの異なる保存期間の実装はシンプルになります これは すべての管理をバックアップ ソフトウェアで行うことができるためです この管理の容易さは DD Boost と EMC NetWorker を併用している場合 あるいは Symantec NetBackup または Backup Exec を使用している場合にのみ実現します DD Archiver へのデータのアーカイブと階層化 DD Archiver は 標準のバックアップ データの保護に加え 長期保存向けにアーカイブ データとファイル階層化データを同時に保存することもできます 通常の Data Domain システムと同様に DD Archiver は バックアップ用途でもアーカイブ用途でも使用できる多目的デバイスです 具体的には DD Archiver は 仮想化ファイルの階層化 (EMC File Management Appliance または F5 ARX ファイル仮想化デバイスを使用 ) アーカイブ プロジェクト データ ( 手動またはスクリプトでアーカイブ ) および (EMC SourceOne Symantec Enterprise Vault などの ) アーカイブ アプリケーションで実行したメール ファイル Microsoft SharePoint のアーカイブのターゲットとなりえます どの場合でも 古いデータはプライマリ ストレージから ( よりコスト パフォーマンスに優れた )DD Archiver に移動され プライマリ ストレージに残っているデータは同一の DD Archiver システムに通常通りバックアップできます 図 11: 長期保存バックアップ データの保存に加え DD Archiver はアーカイブ ワークロードを組み込んでコスト パフォーマンスに優れた方法で保存することもできます 前述のようなバックアップ専用の用途の場合と異なり この DD Archiver の導入では システムに保存される前の段階ですべてのデータはアーカイブ データになるよう決定されています したがって 正式なサイジング解析は必要ですが シェルフの台数を尐なくしてアクティブ階層のサイズを設定したり 非常に積極的なデータ移動ポリシーを構成したりできます 18

長期保存に関する DD Archiver とテープの比較 DD Archiver は 1 台のコントローラで優れた拡張性を備えています この拡張性に重複除外の効率性が加わることにより ギガバイトあたりの容量価格で 10~50 円のコストを実現します この平均コストは ギガバイトあたり 7~13 円程度のテープ メディアのコストより安くはありません しかし 全体的なテープ コストの大部分は テープ ライブラリのコスト テープ ライブラリ管理ソフトウェアのコスト テープ インフラストラクチャ管理者の人件費 テープの輸送コスト オフサイト ストレージのコスト 5~7 年ごとに最新のテープ ドライブ テクノロジーにアップグレードする必要があるメディア移行コストになります テープ インフラストラクチャの運用に伴う TCO( 総所有コスト ) を調査したところ テープ メディアのコストはテープ全体のコストを算定する方程式のごく一部にすぎません したがって ギガバイトあたり 10~50 円という DD Archiver はコスト パフォーマンスに優れており 価格破壊とも言えます DD Archiver の拡張時における平均システム コスト およびオンライン データ アクセス 障害の切り分け 詳細レベルのリカバリ性 管理性の向上といったメリットを同時に実現する DD Archiver は 重複除外ストレージでのバックアップ長期保存の世界に大きな変化をもたらすソリューションです 最後に DD Archiver は 現在および将来における長期保存の運用をサポートするストレージ プラットフォームとして設計されています お客様は 従来のアーカイブ ソリューションを随時実装して コスト パフォーマンスに優れた方法でバックアップを長期間ディスクに保存および保持できます DD Archiver は アーカイブ専用のワークロードと従来のバックアップ ワークロードの両方をサポートする長期保存システムです つまり 事実上の標準のアーカイブ方法としての長期バックアップ保存から 専用のアーカイブ プロセスへの段階的な移行をサポートします DD Archiver は 障害の切り分け機能を備えており アーカイブ ユニットをデータ保存の自己完結型ユニットとして利用します また 長期の詳細レベルのリカバリ性を実現します システムのコスト パフォーマンスに優れた拡張性に加え 復旧性 モジュール式のアップグレードと移行 シンプルな管理 拡張可能なアーキテクチャにより バックアップとアーカイブの橋渡しとしてのプラットフォームが満たす必要がある長期保存の要件に対応できます また バックアップ ワークロードをサポートするには バックアップを予定通りに完了し コスト パフォーマンスに優れた方法でバックアップを保存するためのスループット パフォーマンスと適切な重複除外が必要となります DD Archiver では 標準の Data Domain コントローラを使用して アクティブ階層に保存されるバックアップ データについて最適化されたスループットと可変長の重複除外を実現します DD Archiver は 業界をリードする Data Domain テクノロジーを活用しているため Data Domain の実証済みの復旧性を備えています こうしたテクノロジーには 非脆弱性アーキテクチャ ネットワーク効率に優れたレプリケーション向けの DD 19

Replicator ソフトウェア オプション ハードウェアで実施されるファイル保存向けの Data Domain Retention Lock ソフトウェア オプションがあります 図 12: このグラフは バックアップ データの長期保存の要件を基準にした複数のプラットフォームのランクを示しています バックアップを迅速に取り込み コスト パフォーマンスに優れた方法で保存するには 高いバックアップ スループットが必要です また コスト パフォーマンスに優れた長期保存を実現するには 保存モデルが必要となります 2004 以来 Data Domain システムはオペレーションのリカバリにおけるテープの排除に向けた最適なソリューションとしてのポジションを確立しています そして DD Archiver は バックアップ データの長期に保存し テープをさらに削減できます 図 12 に示すように 高いバックアップ スループット 拡張性に優れた長期保存機能 コスト パフォーマンスに優れた設計 拡張可能なアーキテクチャを備えた DD Archiver は 究極のデータ保存プラットフォームであり データ保護市場におけるテープの使用率を低減します 20