REF-P を使った 在宅栄養ハンドブック 監修 日本在宅医療学会理事長 城谷典保 ( 医療法人社団鴻鵠会理事長 元東京女子医科大学教授 )
はじめに 章 流動食を投与するルート 経管栄養 とは チューブを通して直接胃や腸に栄養 ( 流動食など ) を送 りこむ方法のことです 病気や高齢で かむことができない うまく飲み 込めない など口から食事を十分にとれない時に必要な栄養を摂ってい ただく方法です その際 チューブは鼻の穴や胃 腸にあけた小さな注 入口 ( 胃ろう 腸ろう ) などから体内に通します 経管栄養で使う流動食 ( 栄養剤 ) の多くは液体です ただし液体のまま では 人によって胃食道逆流を起こしたり 下痢になったりする場合も あります そこで最近では こうした副作用を予防するために流動食に粘度 ( とろ み ) をつける方法が広まっています これを 半固形化 と呼びます 流動食を半固形化する方法はいくつかありますが このハンドブックで は REF-P ( レフ ピーワン / 粘度調整食品 ) という商品を使って半固形 化する際の手順や注意点を解説します 本書がご自宅で経管栄養を安全に続けるための一助になれば幸いです どのタイプか最初に確認しておきましょう チューブが体内を通るルートにはいくつか種類があります 下の図の点線を赤ボールペン等でなぞり チューブがどのように挿入されているか把握しておきましょう 監修 : 日本在宅医療学会理事長 城谷典保 ( 医療法人社団鴻鵠会理事長 元東京女子医科大学教授 ) C O N T E N T S 章流動食を投与するルート 章投与の手順 章 9 章こんな時はどうするの? 章よくある質問 栄養補給ルート : チューブの先端位置 : 胃 小腸 造 設 日 : 月 日 交換予定日 : 月 日 交換予定日 : 月 日 交換予定日 : 月 日 チューブ製品名 : メーカー名 : チューブのサイズ : Fr. ( フレンチ )
章投与の手順 Step 事前の準備 石けんで手を洗う 6 流動食をつるす 用意するもの 器 具 膿盆はさみ クレンメ ( 投与速度を調整する器具 ) 必要に応じて 注入用ボトル クランプ ( 液を止めたり流し滴下筒たりする開閉器具 ) ( ドリップチャンバー ) 意識や体調を確認する 7 ベッドの頭側を0~90 度上げる P 9 水 流動食 ( 栄養剤 ) カテーテルチップ型シリンジ 接続用チューブ チューブの破損や抜けがないか確認する 8 滴下筒を指でゆっくり押しつぶして 滴下筒内に/~/ 程度流動食を充填する 栄養素がバランスよく含まれていて 食事 の代わりになります 医薬品扱いのもの 食 品扱いのものがあり 容器もさまざまです /~/ REF-P 流動食と合わせることで トロッとした半固 形化状態にします ペクチンを水に溶かした 液状の製品です 胃の内容物 ( 残留物 ) も確認 クレンメを閉める P 9 9 クレンメを開け チューブの先端まで流動食を満たす 日の投与回数 : 朝 昼 夜 回の投与エネルギー : / 回 流動食を注入用ボトルに入れる 日の投与エネルギー : / 日 流動食製品名 : 0 クレンメを閉める 流動食メーカー名 : 水の補給量 : P 7 投与スケジュール あらかじめバッグなどに入っているタイプは直接注入用チューブにつなげる
Step 流動食を投与する前に まず REF-P を使います REF-P には容器によって つのタイプがあります お使いの REF-P のタイプに合わせて注入しましょう パウチタイプの場合 REF-P の注入 袋の中身をいったんシリン ジに移してから注入します REF-P を開封 し シリンジで吸 い上げる チューブの接続 口にシリンジの先端をしっかり差し込む チューブの接続口に手を添えながら REF-Pを注入する シリンジを外す チューブの洗浄 チューブにシリンジで水 (0ml) を注入し チューブを洗浄する スパウト付きタイプの場合 容器先端のスパウトを直接チューブに差し込んで注入します フタをまわして開けます しっかり押し込んで接続します 逆さにします 接続部分が濡れていると抜けやすくなってしまいます 袋をツブしたままはずします液が戻ってこないように注意してください スパウト 透明キャップを カチッ と音がするまで回した後 さらに回転しながらキャップを取り外す 容器の上部にスパウト先端部があることを確認する チューブの接続口に REF- Pのスパウト口をしっかりと差し込む REF-P を逆さにし て チューブの接続 口に手を添えながら注入する 袋をつぶしたまま外す Step 流動食の投与 REF-P 注入後 チューブを洗浄したら すぐに流動食を投与します 声をかけ投与開始を伝える 流動食側のチューブと接続チューブとをつなぐ 注入用バッグチューブ接続チューブ 注入用バッグチューブ接続チューブ クレンメをゆっくりと緩めて滴下する 注意決められた時間内に投与を完了してください あなたの投与時間は分以内です 適切な滴下滴下停止 お医者様へ 異常がないか様子を見る チューブ先端の留置が胃の場合は60 分以内 小腸 ( 十二指腸 空腸 ) の場合は0 分以内で完了するよう ご説明をお願いします P 0 流動食を投与し終わったら 水を通してチューブを洗浄します 投与終了後もしばらくは同じ姿勢で安静を保ちましょう クレンメを閉める チューブを外す チューブにシリンジで水 (0ml) を注入し チューブを洗浄する Step チューブの洗浄 後片付け 栓がある場合は栓を閉める 終了後もしばらく同じ姿勢を保つ 注意 水分補給は流動食の投与 0 分以上前に行ってください P 7 P 9 体の痛みや吐き気がないか尋ねる P トラブル対応 後片付け 器具の洗浄を行う 投与スケジュール 薬の投与がある場合 流動食と一緒に投与しないでください P 6
一日の投与スケジュール 追加水 必要な場合 朝 REF-P チューブ洗浄 薬投与 流動食 チューブ洗浄 時 水分含有量 水分量合計 昼 時 水分含有量 夜 時 水分含有量 エネルギー合計 7 日の合計エネルギー 日の合計水分量 ml 8
章 投与時 投与後の姿勢 投与した流動食が逆流する危険性を減らすために 投与する時と投与後しばらくの間 姿勢は0~90 度の楽な角度を保って下さい 姿勢により床ずれの危険性がある方は担当医師又は看護師の指示に従ってください 投与前に胃の内容物を確認 胃内に流動食が残っている状態で投与すると 逆流の危険性が高くなります 流動食が残っていないか シリンジ等で吸い出してみて下さい 詳しくは担当医師又は看護師から説明をお聞きください 残留が見られる場合には投与を控え 60 分ほど様子を見ましょう お腹にガスがたまっていたら チューブを開放してガスを抜いてください 投与について 時間やタイミングを守らないと 流動食の逆流などの危険性もあります 以下のポイントに注意して投与しましょう 水分補給はREF-P 投与の0 分以上前に行う 理由 :0 分あれば十分水が胃から排出され REF-Pの効果を妨げないため ( 腸の場合も同様 ) REF-P 投与後すぐに流動食の投与を開始する 理由 :REF-Pが胃から排出されてしまう前に流動食を投与しないと 胃内で半固形化しないため ( 腸の場合も同様 ) 決められた時間内に流動食の投与を完了する 理由 : 胃内投与は60 分以内 小腸内投与は0 分以内に完了しないと REF-Pが排出されてしまい 半固形化しないため チューブの洗浄やお薬の投与用の水は0ml 程度にする 理由 : 量が多いと 流動食の粘度が下がり 逆流しやすくなるため 流動食の取扱い 体位 : 角度 : 度 投与後姿勢を保つ時間 : 流動食は 開封前は室温で保管する ( 冷蔵する必要はありません ) 使用する際は常温で投与する ( 加温する必要はありません ) 流動食を投与用ボトルに移し替える場合は 衛生的に取り扱う 開封後は使い切る 流動食を水でうすめて投与しない 決められたもの以外を流動食に混ぜない 9 胃残留物確認方法 : 減圧方法 : 流動食投与時間 : 分 0
お薬について お薬は温湯に溶かすなどして投与します 投与のタイミングや溶かし方は お薬の種類によって異なります 詳しくは担当医師又は看護師から説明をお聞き下さい 参考 注意 お薬の溶かし方例 ❶カップに入れた約 の温湯 0mlの中に 回分の薬を入れてかき混ぜ 0 分間自然放置します ❷0 分後には錠剤やカプセル剤は溶けているので その懸濁液をよく混ぜてシリンジに吸い取り経管投与します お薬の用法 用量については 担当医師または看護師にご相談ください お薬の種類 章こんな時はどうするの? トラブルが起こった際の対応について 経管栄養を行っている際には予期せぬトラブルが起こることもあります トラブルが起こらないように予防を心がけましょう 予防を行っても改善しない場合は担当医師にご相談ください 吐き気 嘔吐 おなかが張ったり 吐き気がある場合 投与中に嘔吐した場合はすぐに流動食の投与を中止します 予防方法の一例 決められた投与速度で流動食を投与する おなかが張ったり胃内に残留がある時は 投与を控えて60 分ほど様子を見る 胃内に残留がないのにおなかが張る時はガス抜きを行う 必ず上体を起こした姿勢 (0~90 度 ) で投与する 投与後も60 分程度はその姿勢を保持する 下 痢 薬を溶かす温湯の量 : ml 薬投与タイミング : 経管栄養を行っている時によく見られる症状です 服用している薬の副作用で起こる場合もあります 脱水症状を引き起こす場合があるので十分な水分投与を心がけましょう 予防方法の一例 REF-Pを毎食時に投与する 決められた投与量を守る 投与容器を清潔に保つ ( 回ごとに洗浄を行う )
便秘 長期で流動食を使用されている方によく見られる症状です 服用している薬の副作用で便秘になることもあります 予防方法の一例 十分量の水分を投与する 便意を我慢しない おなかのマッサージなどを行う 可能であれば軽い運動を心がける 栄養士などに相談し 食物繊維などを投与する 胃ろうから漏れる まずは流動食がどこから漏れているか確認しましょう 胃ろうのチューブから漏れる場合胃ろう本体やチューブの交換が必要です 担当医師にご相談ください ろう孔 ( 穴 ) から漏れる場合胃ろう周りの皮膚が胃ろう本体に圧迫されている時や皮膚が赤く腫れている時などは 圧迫を緩めます 詳しくは担当医師にご相談ください 予防方法の一例 胃ろう本体を軽く上下に動かしたり 回転させたりして 皮膚が締め付けられていないか定期的に観察する 日ごろから胃ろうの周りの皮膚を清潔に保つ REF-Pを使用するなど 流動食を半固形化する 章よくある質問 Q なぜ流動食を半固形化するのですか? 半固形化することで 流動食の胃や腸からの逆流が予防でき また短時間での投与も可能となります その結果 患者さんご自身や看護 介護される方の拘束時間を短縮することができます また 流動食のろう孔 ( 穴 ) からの漏れ 下痢を低減するなどの効果も確認され 学会などで発表されています Q どんな流動食でも使用できますか? REF-Pは流動食中のカルシウムイオンと反応して流動食を半固形化させます 多くの流動食と反応することが確認できていますが 一部のカルシウムイオンが少ない流動食とは反応しません ただし そのような場合でも 少量の牛乳を加えることで反応することもあります 詳しくは担当医師にご確認ください Q 先に流動食と REF-P を混ぜてから投与しても良いですか? すぐに粘度がついてしまい 流動食がボトルなどから滴下しなくなります シリンジで投入する事は可能ですが 細いチューブの場合 押し出すのに強い力が必要ですので 特別な指示がない限り避けてください Q チューブが詰まったら? 滴下が止まってしまった 予防方法の一例 クレンメを一度全開にして 流動食が流れる事を確認してからもう一度投与速度を調整する 胃内がガスで充満している場合はガス抜きを行う シリンジで少量 (0ml 程度 ) の水をチューブに通して洗浄する 適切な滴下 滴下停止 シリンジで少量 (0ml 程度 ) の水をチューブに通して洗浄してください どうしても汚れが取れない時は 担当医師にご相談ください Q REF-P の底に黒っぽいものがたまっている 原料であるペクチン由来のオリ ( 沈殿物 ) です 品質 効果への影響はありません よく振ってご使用ください ペクチンは天然物なので オリ ( 沈殿物 ) の量も一定ではありません 保管は室温でお願いします
年月日 MEMO お名前 下痢 発熱 体重の減少 尿量の減少など気になる症状があれば 担当医師にご相談ください 連絡先 病 院 名 主 治 医 担当ナース 病 院 名 主 治 医 担当ナース 流動食購入先 REF-P 購入先 REF-P を使った在宅栄養ハンドブック 編集 制作 : 株式会社ジェフコーポレーション資料提供 : キユーピー株式会社 0