山陽小野田市空き家等の適正管理に関する条例 ( 素案 ) 山陽小野田市市民生活部生活安全課平成 2 4 年 6 月 1 5 日
山陽小野田市空き家等の適正管理に関する条例 ( 素案 ) ( 目的 ) 第 1 条この条例は 空き家等が管理不全な状態となることを防止し 又は管理不全な状態にある空き家等を適正な管理状態に導くことにより 生活環境の保 全及び安全で安心なまちづくりの推進に寄与することを目的とする この条は この条例の目的について明らかにしています 空き家の増大が社会問題となっています 特に 長期間管理されず 放置されたままの空き家は 老朽化が進むと 建材が剥落し 風の強いときは飛散し 果て には倒壊にまで至る場合があります また 敷地も樹木や草が繁茂し 荒廃することとなります このような空き家は 生活環境の悪化を招き 災害 火災 犯罪等の危険を市民生活にもたらします そこで このような事態を防止し 又は改善し 生活環境の保全及び安全で安心なまちづくりの推進に寄与することを目的として本条例を制定します ( 定義 ) 第 2 条この条例において 次の各号に掲げる用語の意義は それぞれ当該各号 に定めるところによる (1) 空き家等市内に所在する建物その他の工作物で 常時無人の状態にあるもの及びその敷地をいう (2) 管理不全の状態空き家等が次のいずれかに該当する状態をいう ア著しい老朽化による一部又は全部の倒壊のおそれがある状態イ強風により容易に建築材等が飛散する状態ウ樹木や草が繁茂し 除枝又は除草が必要な状態 エ病害虫が大量発生する状態オ野犬等の動物が営巣する状態カ資材やごみが散乱する状態 キごみの不法投棄場所になる状態ク不特定者の侵入による火災又は犯罪若しくは非行を誘発するおそれがある状態 ケ交通安全の障害になる状態コ前各号に掲げるもののほか 周辺の良好な生活環境を著しく損なう状態 (3) 所有者等市内に所在する建物その他の工作物を所有し 占有し 又は管理する者をいう (4) 市民等市内に居住し 若しくは滞在し 又は市内を通過する者をいう この条は この条例中の用語の意義について定めています * 第 1 号について - 1 -
この号は 空き家等 の意義について定めています 工作物 には 壁 門 煙突等があります 常時無人の状態 とは 普段の様子が無人である状態をいいます 空き家の問題は その敷地の管理も重要であることから 空き家等 の定義に 空き家の敷地も含めています * 第 2 号について この号は 空き家等の 管理不全な状態 の意義について 10 項目に渡り例示しています 具体的には次のような状態があります 1 建物の老朽化が進み 壁や屋根が崩落し 果てには倒壊し 隣接する土地や建物を侵害するおそれがある 2 建物の老朽化が進み 建築材が剥落し 風が強いときは容易に周辺に飛散 するおそれがある 3 建物の老朽化とともに 敷地も荒廃し 樹木や草が繁茂する また 無秩序に成長した樹木が隣接する土地 建物を侵害する 4 建物と敷地が荒廃し 病害虫に適した環境となりシロアリ ノミ等が大量発生する 5 野犬 ねずみ等の動物のすみかとなり 悪臭の発生ほか不衛生な環境になる また 動物が周辺の土地 建物に侵入し 害をもたらすおそれがある 6 長期間風雨にさらされたことなどにより 資材やごみが散乱する 7 荒廃した建物と敷地が車両の通行できる道路に面している場合は ごみや 家電などの不法投棄の格好の場所となる 8 無施錠のまま放置された空き家は 浮浪者等が侵入し 火災の危険が増大する また 青尐年のたまり場等になり 犯罪や非行の温床となるおそれがある 9 歩道や道路に接した建物や敷地の荒廃が進むと 歩道に面した側の壁の崩落の危険が発生する また 樹木の枝が歩道に飛び出すなどして 交通安全の障害となるおそれがある 10 このほか 管理不全の状態にある空き家が存在することで 景観の悪化など周辺の生活環境が著しく損なわれる * 第 3 号について この号は 所有者等 の意義について定めています 所有者及び管理者のほかに実際に建物等を占有し 使用している者に対しても適正管理を求める必要があるため 占有する者も対象に含めます 占有する者の例としては 所有者以外の居住者 例えば 土地 建物を独占的に使用する権利を有する借受人 ( 賃借人 ) などがあります 管理する者とは 所有者の依頼を受けて その物を保存し 又は利用する者をい います * 第 4 号について この号は 市民等 の意義について定めています - 2 -
( 民事による解決との関係 ) 第 3 条この条例の規定は 管理不全な状態にある空き家等の所有者等と当該空き家が管理不全な状態であることにより被害を受けるおそれがある者との間で 民事による解決を図ることを妨げない この条は この条例が管理不全な状態にある空き家等が原因で 住民間で生じた紛争について 当事者間が民事裁判等で解決を図ろうとすることを妨げないことを明らかにしています 管理不全な状態にある空き家の問題は 元より民事の問題ですが 当事者間にとどまらず 多くの市民の生活環境等に影響を与えていることから 公益上の必要があると認め 行政が介入し解決を図ろうとするもので あり 民事による解決にまで干渉するものではありません ( 市の責務 ) 第 4 条市は この条例の目的を達成するために必要な施策を実施しなければならない この条は 市は 市民の生活環境の保全及び安全で安心なまちづくりの推進とい う目的を達成するため 空き家等の適正管理の推進に必要な施策を実施する責任 と義務があることを定めています ( 所有者等の責務 ) 第 5 条空き家等の所有者等は 当該空き家等が管理不全な状態にならないよう常に適正な管理を行わなければならない この条は 所有者等は 空き家等を 管理不全な状態 にならないよう常に適正 に管理する責任と義務があることを定めています 管理不全な状態 については 第 2 条第 2 号で示しています ( 市民等の役割 ) 第 6 条市民等は 管理不全な状態である空き家等があると認めるときは 速やかに市にその情報を提供するとともに 市がこの条例の目的の達成のために実施する施策に協力するよう努めるものとする この条は 空き家対策の推進のためには 市民の協力が欠かせないことから 市民の役割について 定めています - 3 -
空き家の調査は 市において実施しますが すべての空き家の実態把握には相当の時間と労力を必要としますので 市民等にも情報提供の協力を求めることとしています また 市が生活環境の保全及び安全で安心なまちづくりの実現のために実施する施策に協力するよう求めています なお 市民に情報提供の協力を求めることで 地域での関心が高まり 管理不全な状態の空き家が漫然と放置されることを防ぐ効果も期待しています ( 実態調査 ) 第 7 条市長は 前条の規定による情報提供があったとき 又は第 5 条に規定す る所有者等の責務が履行されていないと認めるときは 当該空き家等の実態調査を行うことができる 2 市長は 前項の実態調査を行う場合において必要があると認めるときは 職員に当該空き家等に立ち入らせ 必要な調査及び指導を行わせることができる 3 前項の規定により立入調査を行う職員は その身分を示す証明書を携帯し 関係者に提示しなければならない 4 第 2 項の規定による立入調査の権限は 犯罪捜査のために認められたものと解してはならない この条は 市長は空き家等の実態調査を行い 空き家等の適正管理の指導等のために必要な情報を収集することができることについて定めています 実態調査は 空き家等の管理不全な状態及び所有者等の把握を目的として行います 実態調査には 所有者等の把握のための周辺住民からの聴き取り調査 土地 建物の登記簿調査 市が保有する関係書類の調査等があります 第 2 項では 市長は管理不全な状態の把握のため 当該空き家等への職員の立入調査を行わせることができることを定めています 第 4 項では 憲法第 35 条 ( 住居不可侵 ) との関係において この条で規定する 実態調査が 犯罪捜査のために認められたものではないことを明らかにしていま す ( 助言 指導及び勧告 ) 第 8 条市長は 前条の実態調査により 空き家等が管理不全な状態になるおそれがあると認めるとき 又は管理不全な状態であると認めるときは 当該所有者等に対し 必要な措置について助言又は指導を行うことができる 2 市長は 前項の助言又は指導を行ったにもかかわらず なお当該空き家等が管理不全な状態であるときは 当該所有者等に対し 履行期限を定めて必要な 措置を講じるよう勧告することができる - 4 -
この条は 空き家等の適正管理を推進するため 市長は所有者等に対して 指導 勧告 助言その他行為 ( 山陽小野田市行政手続条例第 2 条第 7 号 ) を行うことができることについて定めています 第 1 項では 実態調査の結果 空き家等が管理不全な状態になるおそれがあるとき 又は現に管理不全な状態であるときは 必要な措置について助言又は指導を行うことができることを定めています 第 2 項では 助言又は指導を行ったにもかかわらず 適正な管理を行わず 管理不全な状態が改善されないときは 履行期限を定めて必要な措置を実施するよう勧告できることについて定めています ( 命令 ) 第 9 条市長は 空き家等の所有者等が正当な理由なく前条第 2 項の規定による勧告に応じないとき 又は空き家等が著しく管理不全な状態であると認めるときは 当該所有者等に対し 履行期限を定めて必要な措置を講じるよう命じることができる 2 市長は 前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において 過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができず かつ 当該措置を放置することが著しく公益に反すると認めるときは その者の負担に おいて 当該措置の全部若しくは一部を自ら行い 又は第三者にこれを行わせることができる この場合において 市長は相当の期限を定めて 当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは 当該措置を自ら行 い 又は第三者に行わせる旨を あらかじめ公告しなければならない この条は 市長は行政処分としての命令を行うことができることついて定めています 第 1 項では 命令を行うことができるケースとして 所有者等が正当な理由なく勧告に応じないとき 又は 建物の一部が倒壊し隣接する家屋へ倒れ掛かっている 周辺住民の生活環境に重大な障害が発生しているなど 著しく管理不全な状 態であると認めるときと定めています 第 2 項では 市長は 実態調査を行ったにも係らず所有者等が不明であったり 不在であったりして確知できない場合に 事態を放置することが周辺住民の生活 環境を著しく害すると認めるときは いわゆる 略式の代執行 を行うことができることについて定めています 略式の代執行とは 行政代執行法に基づく正式の代執行において行われる 戒告及び代執行令書による通知の手続 を省略した手続きをいいます 代執行をしようとしても 履行義務者を確知できないため 命令や代執行の戒告を送達できない場合は 民法第 98 条の公示による意思表示の規定に準拠して 民事訴訟法第 110 条 ~ 第 113 条に定める公示送達の方法を用いることがあったことから 履行義務者を確知できない場合の手段として認められていると考えられています - 5 -
( 公表 ) 第 10 条市長は 前条第 1 項の規定による命令を行ったにもかかわらず 当該所有者等が正当な理由なく命令に従わないときは 次に掲げる事項を公表することができる (1) 命令に従わない者の住所及び氏名 ( 法人にあっては 主たる事務所の所在 地 名称及び代表者の氏名 ) (2) 命令の対象である空き家等の所在地 (3) 命令の内容 (4) その他市長が必要と認める事項 2 市長は 前項の規定により公表するときは 当該公表に係る所有者等に意見 を述べる機会を事前に与えなければならない この条は 市長は 履行義務者である所有者等が命令に従わないときに その者の氏名等を公表できることについて定めています 公表の規定は 制裁的な措置として定めるものであり これにより命令の実効性 を担保する効果を期待しています 第 2 項では 公表を行うに当たっては 山陽小野田市行政手続条例の規定に準じて 所有者等に意見を述べる機会を公表の前に与えることを義務付けています ( 関係機関への協力要請 ) 第 11 条市長は 必要があると認めるときは 市の区域を管轄する警察その他の関係機関に前 4 条の規定による実態調査 助言 指導 勧告 命令及び公表の内容を提供し 当該空き家等の管理不全な状態を解消するために必要な協力を求めることができる この条は 火災予防 犯罪防止等の対策が必要な場合 又は緊急を要する場合は 事態に適切に対処するため 消防 警察等の関係機関への協力要請ができることについて定めています また 関係機関への協力要請にあたっては 緊密な連携を図るため 一連の情報を提供することについて定めており 個人情報を外部提供するにあたっての根拠としています - 6 -
( 代執行 ) 第 12 条市長は 第 9 条第 1 項の規定による命令を受けた者 ( 以下 受命者 という ) が 当該命令に従わない場合において 他の手段によってその履行を確保することが困難であり かつ その履行を放置することが著しく公益に反すると認めるときは 行政代執行法 ( 昭和 23 年法律第 43 号 ) の定めるとこ ろにより自ら受命者が行うべき行為の全部若しくは一部を行い 又は第三者にこれを行わせ その費用を受命者から徴収することができる この条は 履行義務者である所有者等が命令に従わない場合において 市長は 他の方法で命令に従わせることが困難であり かつ そのままでは周辺住民の生 活環境が深刻な打撃を受けるなど 著しく社会一般の利益を損なう場合に 代執行できることについて定めています なお 代執行については 条例中に規定がなくとも 命令に応じないことを根拠として行政代執行法に基づき実施できますが 空き家対策に関する市の姿勢を明確にするため 条例中に明記しています ( 支援 ) 第 13 条市長は 空き家等の所有者等に対し 必要があると認めるときは 当 該空き家等が管理不全な状態にならないための必要な支援をすることができる この条は 空き家等が管理不全な状態になる一因として どのように対処したらよいのか分からない どこに改修又は解体を依頼したらよいのか分からない等 情報不足があることから 指導等の際には技術的な相談にも応じ 適切な管理が実施できるよう所有者等を支援することができることについて定めています ( 委任 ) 第 14 条この条例の施行に関し必要な事項は 市長が別に定める この条は この条例を施行するために必要な事項は 市長が規則等に定めること を定めています 附則 この条例は 平成 年 月 日から施行する この附則は この条例の効力を発生させる日を定めています - 7 -