アクションプランの構成

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

2008年6月XX日

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

政府開発援助大綱 平成 15 年 8 月 29 日 外務省経済協力局

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

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1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部 運輸交通 情報通信グループ第二チーム 1. 案件名国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 和名国際空港保安能力強化プロジェクト英名 The Project for Security Improvement of International Ai

ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料

平成18年度標準調査票

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

ISO9001:2015内部監査チェックリスト

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

(3) その他 全日制高校進学率の向上を図るため 更に公私で全体として進学率が向上するよう工夫する そのための基本的な考え方として 定員協議における公私の役割 を次のとおり確認する 公立 の役割: 生徒一人ひとりの希望と適性に応じて 多様な選択ができるよう 幅広い進路先としての役割を担い 県民ニーズ

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第1章 評価の目的と実施方法

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

制度見直しに関する主な方向性については 次の通り考えるものとする 1. ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し 個人情報及びプライバシーの保護に配慮したパーソナルデータの利用 流通を促進するため 個人データを加工して個人が特定される可能性を低減したデータに関し 個人情報及びプラ

平成18年度標準調査票

政策目標 6-2: 開発途上国における安定的な経済社会の発展に資するための資金協力 知的支援を含む多様な協力の推進 1. 政策目標の内容自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向け 開発途上国における貧困の問題や気候変動等の地球環境問題等の課題への対応を含む国際的な協力に積極的に取り組むこ

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

内部統制ガイドラインについて 資料

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平成18年度標準調査票

~この方法で政策形成能力のレベルアップが図れます~

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各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

2

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4-(1)-ウ①

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ブレンディングを実施しているドナー 13 機関 30 プログラムについて その制度の概形を 各種文献並びに各機関へのアンケートやインタビューを通じて調査した その結果 ブレンディングの実施形態は 自ら直接実施する形態と 他のドナー機関等を通じて実施する形態の 2 形態が存在することが判明した 前者の

平成22 年 11月 15日

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02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

統計改革 最終取りまとめ 以降の経緯 統計改革推進会議 最終取りまとめ (H29.5 月 ) 今後の統計改革の具体的方針を取りまとめ 官民データ活用推進本計画 (H29.5 月閣議決定 ) 官民データ活用推進戦略会議の下に EBPM 推進委員会の設置を決定 骨太方針 2017(H29.6 月閣議決定

国費投入の必要性 事業の効率性 事業の有効性 関連事業 事業所管部局による点検 改善 項目 評価 評価に関する説明 事業の目的は国民や社会のニーズを的確に反映しているか 被災者の資力やニーズを踏まえた効率的 効果的な住まいの確保策に関する調査等を行っている 地方自治体 民間等に委ねることができない事

知創の杜 2016 vol.10

三沢市行政経営推進プラン

新興国市場開拓事業平成 27 年度概算要求額 15.0 億円 (15.0 億円 ) うち優先課題推進枠 15.0 億円 通商政策局国際経済課 商務情報政策局生活文化創造産業課 /1750 事業の内容 事業の概要 目的 急速に拡大する世界市場を獲得するためには 対象となる国 地

CONNEX Basic Principles

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平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

ここに議題名を入力

⑴ 政策目的本件は, 我が国において開発資金のための国際連帯税 ( 国際貢献税 ) を導入し, 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 等, 国際的な開発目標の達成に対応 貢献するために, 世界の開発需要に対応し得る幅広い開発資金を調達するもの これは, 外務省政策評価, 基本目標 Ⅵ 経済協

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

金融円滑化に関する方針 千葉銀行は 地域金融機関として 金融サービスの提供をつうじて 地域のお客さまニーズにお応えし 地域の発展に貢献する という役割 使命を果たす 姿勢を堅持してまいりました 特に 地域への円滑な資金供給をはじめとする金融仲介機能の発揮やお客さまへの経営健全化支援等による地域密着型

資料3

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第 2 章日本の政府開発援助 (ODA) 実績第 7 節有償資金協力 1. 実績 図表 36 円借款実績 1. 地域別 ( 債務救済を除く ) ( 交換公文ベース 東欧向けを含む 単位 : 億円 ) 地域 年度 金額構成比 (%) 金額構成比 (%) 金額構成比 (%) 金額構成比 (%) 金額構成

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実現力を高める方法

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

政策目標 5-2: 多角的自由貿易体制の維持 強化及び経済連携の推進並びに税関分野における貿易円滑化の推進 1. 政策目標の内容自由貿易の推進は我が国の対外経済政策の柱であり 力強い経済成長を実現するためには 自由貿易体制を強化し 諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があるというのが 政府全体と

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手

責任ある農業投資 - 原則の策定に向けた背景と概要 年 7 月 外務省

Ⅰ. 経緯 国際金融コミュニティにおける IAIS の役割は ここ数年大幅に増加している その結果 IAIS は 現行の戦略計画および財務業績見通しを策定した際には想定していなかった システム上重要なグローバルな保険会社 (G-SIIs) の選定支援やグローバルな保険資本基準の策定等の付加的な責任を

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平成23年9月29日WG後修正

Microsoft PowerPoint - 渋谷班【最終】概要

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

PowerPoint プレゼンテーション

企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

きである 学校保健と学校給食は子供の就学と子供の健康を共に改善させ得ることから 我々は教育と 他の開発分野の相乗効果を促進する 49. 我々は 万人のための教育 (EFA) 及びそれを実施する国際機関に対し引き続きコミットしており 初等教育の完全普及に向けたファスト トラック イニシアティブ (FT

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

JISQ 原案(本体)

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

西アフリカ 3億人ビジネス市場マップ ―2035年5億人市場に向けて―

火山防災対策会議の充実と火山活動が活発化した際の協議会の枠組み等の活用について(報告)【参考資料】

生活設計レジメ

44 4 I (1) ( ) (10 15 ) ( 17 ) ( 3 1 ) (2)

I II III 28 29


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学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) 研究課題別中間評価報告書 1. 研究課題名 テーラーメード育種と栽培技術開発のための稲作研究プロジェクト (2013 年 5 月 ~ 2018 年 5 月 ) 2. 研究代表者 2.1. 日本側研究代表者 : 山内章 ( 名古屋大学大学

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下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

施策の体系 本目標3 地域力と行政の連携がつくる人と地球に優しいまち179

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

プロダクトオーナー研修についてのご紹介

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

Transcription:

平成 17 年 2 月 援助効果向上のためのわが国の行動計画 I. はじめに 1. 国際ドナーコミュニティでは ミレニアム宣言の採択 (2000 年 ) モンテレイ コンセンサス (2002 年 ) ミレニアム プロジェクト報告書(2005 年 ) によって 援助の量的拡大と並んで 援助の効果向上 (aid effectiveness) を中心とする質的側面に対する関心が高まっている 特にサブサハラ諸国を中心とする開発援助の現場では 2003 年のローマ調和化宣言の採択 SPA(Strategic Partnership with Africa) での継続的な議論 マラケシュ開発成果マネジメント ラウンドテーブル会合の開催 (2004 年 ) を経て 調和化 国家開発戦略への整合性 ( アラインメント ) 公共財政管理 援助予測性向上 調達 開発成果マネジメントなどに焦点を当てた援助効果向上への取り組みが主流化しつつある 地域的にも これらの動きは アフリカにとどまらずアジア 大洋州 中南米の各地域にも広がりを見せており 我が国としても 今後 特にアジア地域の調和化に関してリーダーシップをとるとともに 援助効果向上努力を更に強化していくことが重要であると考えている 2. 他方 これまでの開発支援とその成果を地域的に比較した際 全ドナーによる対東アジア 対サブサハラ地域への支援の累計額と開発成果の間に歴然とした格差が見られることに留意する必要がある LDCや紛争国の多いアフリカの現実を踏まえ 対アフリカ支援において アジアで成功したアプローチをどのように適用していくかについて 新たな方向性を指し示すことが有用である 今後 世界レベルで対アフリカ支援の重要度が増していく中で MDGsなど開発目標を達成していくためには わが国の援助政策の立案及び実施体制の強化を図っていくことが重要である 3. 上記の問題認識に立って わが国はパリ宣言の実施のために最大限努力するため ローマHLFで発表したわが国の行動計画の上に 以下の新たな行動計画を定める II. 基本認識 パリ宣言のフォローアップに当たって 我が国は以下の観点を重視する 1. オーナーシップは 援助効果向上を図る上での出発点である 同時に パートナー国政府 他ドナーとのパートナーシップが重要である 2. 適切な能力開発が伴わなければならない 3. 途上国の開発政策との整合性 ( アラインメント ) を確保する 1

4. パートナー国の各種制度 ( 含む 公共財政管理 ) の改善に向けた努力を支援する 5. わが国の実施体制のより一層の強化が重要である 6. 援助効果向上努力を進めるにあたって 以下に留意する (1) ローマ調和化宣言の精神に則り 援助効果向上のために最大限努力する ( オーナーシップ尊重 国別アプローチ尊重 援助モダリティの多様性尊重 ) (2) 費用対効果を勘案した実践的なアプローチの下 着実に成果を出していく (3) 包括的アプローチ ( 援助効果向上の阻害要因を広範に捉え それぞれに対応措置を講じていくことによって 援助効果向上の実現を図る ) (4) グッドプラクティスの一般化 また パートナー国 他ドナーとのグッドプラクティスの共有を進めていく III. 具体的方策 わが国は パリ宣言の実施に向けて努力する中で 以下に重点的に取り組んでいく 1. 国家開発戦略への整合性 ( アラインメント ) 向上 被援助国の国家開発戦略 予算システムへの整合性の確保 ( アラインメント ) は途上国政府のオーナーシップ尊重の最も基本的な要素である Program-based approaches(pbas) は ドナーにそれを促す有効な手段である 今後 我が国は 既にPBAsに参加している援助協調重点国においては更にPBAsの拡大 (expanding) 及び深化 (deepening) を図っていく それ以外のパートナー国においては PBAsの拡大を図っていく PBAsを実践するにあたっては 以下に留意する (1) パートナー国のニーズ及び現地の能力に見合った柔軟な PBAs の枠組みづくり (2) 上記 (1) を途上国自身が独自に分析 立案 実施できるための能力開発 (3) パートナー国のニーズに応じて プロジェクト型援助 (project aid) やノン プロジェクト型援助 (non-project aid) 等の様々な援助モダリティを機動的に組み合わせる ( 援助モダリティの補完性 ) (4) セクター支援の計画立案 予算システム 実施 評価という一連のプロセスを通じた一体的マネジメント 具体的措置 1: Program-based approaches のより一層の強化 (1) 援助協調重点国において アップストリームの分析作業に積極的に参加する また 現地の他ドナー国及び国際機関と十分協議した上で わが国の比較優位が認められ支援が出来るセクターを選択し PBAs への関与をより一層強化していく PBAs にお 2

いては パートナー国のオーナーシップ リーダーシップ発揮を支援する (2) 関係するドナーが途上国政府と結ぶ共同文書 (Joint arrangements such as Declaration and the memorandum of understanding) は 法的拘束力をもたないなどの柔軟性をもつ限り PBAs 実施のための有効な枠組みとなりうるところ 右文書への署名に向けて 前向きに対応する (3) 援助ニーズにあわせて 様々な援助モダリティを柔軟に適用していくことによって より高い援助効果の発現を図る ( ドナー ドナー間で補完性とともに わが国 ODA における借款と無償援助 技協との有機的連携による援助効果向上 プロジェクト型援助とノン プロジェクト型援助の連携を含む ) (4) PBAs の計画立案 実施プロセスで行われる パートナー国 ドナーによる様々な共同作業 (joint diagnostic work, joint review, joint mission 等 ) に積極的に参加する (5) 我が国の国別援助計画や各種協議等のプロセス及び結果の共有を進めていく 2. 能力開発 能力開発は パートナー国が援助効果向上プロセスにおけるオーナーシップを発揮する上でも また近い将来自立して 自らの開発ビジョンを自ら描き その中から優先順位付けを行い 主体的に事業を実施 評価していく上でも 得られた効果を持続し その後の社会状況の変化にあわせて改善していく上でも不可欠な要素である そのためには これまでの我が国の経験から 多くの場合 パートナー国 ドナーがそれぞれ以下に取り組むことが適切である パートナー国 : 能力開発ニーズの現状診断 公務員制度など 持続的な能力開発の前提条件となる行政改革 (public administration reform) の断行 ドナー : パートナー国による上記制度レベルの取り組みに対する支援 能力開発支援の改善 さらなる工夫 ( 例 : パートナー国関係者主導によるプロジェクトの設計 実施プロセスの徹底 在来技術 知識の活用 南々協力及び地域協力の活用等 ) 具体的措置 2: 開発援助の各段階 ( 国 セクター分析 援助戦略の立案 プロジェクト事前準備 実施 モニタリング評価の各段階 ) において能力開発をより一層主流化する 具体的措置 3: 途上国の能力開発ニーズの現状診断を支援する 具体的措置 4: 有効な場合 南々協力及び地域協力を推進する 非 DAC 諸国との対話継続に努める 上記に取り組むにあたって JICA-NET 及び世銀の東京ラーニングセンター (TDLC) 等の IT インフラ 技術を活用する 3

3. 公共財政管理制度の改善 健全な公共財政管理 (public financial management) は 健全な財政規律の下 国家開発戦略 ( 含む 貧困削減戦略 ) に基づき資源配分 ( 含む ODA 資金 ) を行っていく上で極めて重要な要素である しかし 多くのパートナー国は かかる公共財政管理を構築するに至っていないのが実情である そのために 早急にその能力開発を推し進める必要がある いくつかの国においては公共財政管理に関する改革プログラム等が開始されているところ 今後 我が国は 様々なリソースを活用し これらへの参加を強化する サブサハラ諸国など援助依存度の大きいパートナー国においては ドナーからの援助の予測性向上は 中期的な歳入見通しの下 健全な公共財政管理を行っていく上で不可欠な要素の一つである 援助予測性向上は (1) パートナー国或いは特定セクターへの援助資金のフロー ( マクロレベル ) (2) 事業実施計画 ( 注 : 円借款の年次供与国におけるロングリスト方式はその一例 )( メソレベル ) (3) 個別プロジェクトの事業予算 ( ミクロレベル ) の3つのレベルで整理出来るが わが国としては実現可能なレベルから取り組んでいくことによって わが国 ODAの予測性を向上させていく 具体的措置 5: 公共財政管理分野の能力開発を支援する 様々なリソースを活用し パートナー国の公共財政管理能力向上のための能力開発を支援する 例えば 世銀等が実施する CFAA(country financial accountability assessment) や PEFA(public expenditure and financial accountability) が実施する PMF (Performance Measurement Framework) 等に積極的に参加し 共有する 具体的措置 6: 援助予測性を向上させる 以下に最大限努力する (1) マクロレベルの措置 : パートナー国或いは特定セクターへの援助資金のフロー見通しに関する情報の共有 (2) メソレベルの措置 : 将来の事業実施見通しに関する情報の共有 (3) ミクロレベルの措置 : ( プロジェクト実施について合意に達した案件については ) 案件開始前に速やかに個別プロジェクトの事業予算の通報 上記に当たって わが国財務省の知見も活用する 4. アンタイド化 具体的措置 7: DAC LDC アンタイド化勧告 を引き続き遵守する 4

5. 援助手続きの改善 援助手続きの改善は パートナー国政府への取引費用 (Transaction cost) を引き下げるための有効な手段の一つである パートナー国によっては援助手続き調和化及び合理化のための広範な議論が進行しており その調和化議論に積極的に参加し 可能な限りパートナー国の取引費用の削減に向けて協力する わが国は援助手続きの改善のために最大限努力する 具体的措置 8: 借款分野における援助効果向上のための作業を一層推進する 調達 公共財政管理等において 世界銀行 地域開発銀行等との間で手続きの調和化を進める 具体的措置 9: 贈与分野における援助手続き合理化に最大限努力する 具体的措置 10: わが国 ODA を供与する際に 将来的にはドナーのスタンダードに見合って援用することが可能と思われる調達 公共財政管理 モニタリング報告等の country system を有する国及び当該 country system に関しては 制度改善及び人材育成等の能力開発を支援する 具体的措置 11: 調査団の数及び二国間ベースの会議の回数の削減を図る (1) 国際機関をはじめとする他ドナーの既存の基礎的な調査成果物の共有の徹底 案件形成における現地への権限委譲を進めることにより TOR の重複する調査団の派遣を回避する (2) 同一テーマについては 複数の機関合同の調査団派遣の可能性も検討する 多国間ベースでの援助手続き調和化努力が進められているパートナー国においては わが国としても コスト ベネフィットを勘案しつつ 前向きに議論に参加し 調和化の可能性を探ることとする 6. 開発成果マネジメントの強化 パートナー国は ODA を含む開発資金を効果的 効率的に活用し ミレニアム宣言等を達成するためには 国家開発戦略やセクター開発戦略における目標の明確化と優先順位付け 裏付けとなる公共支出計画の策定 実効性のあるモニタリング評価制度づくりを進めるとともに これらの相互の関連付けを強めていくことが重要である 今後 わが国は 開発成果マネジメントをすでに実践しているいくつかのパートナー国の先進的な事例を共有しながら 徐々に開発成果マネジメントを実践していく 5

具体的措置 12: 今後 策定予定の国別援助計画については 試行的に成果主義を導入する ( 例 : 当該国の開発目標の中で特に我が国が追求すべき開発目標を明確にし そのために必要な援助の重点分野 重点項目を検討していく ) 具体的措置 13: パートナー国の成果重視によるモニタリング フレームワーク (result-based monitoring framework) に基づき 現地レベルにおけるわが国 ODA の案件の実施状況のレビューを強化する ( 注 )IDAの第 14 次増資交渉において 結果計測についての議論が行われ 結果計測の際に経済 健康 教育等に関する14の指標が用いられており 参考に出来る 7. 援助の政策立案 実施体制強化 具体的措置 14: パートナー国における援助効果向上ニーズに柔軟に対処するため 以下について最大限努力する (1) 東京サイド 現地サイドの業務効率向上を図る 既存業務を見直し 整理 統合 合理化を図る (2) 中期政策における現地 ODA タスクフォース強化方針や JBIC JICA の現地機能強化 ( 含む 特に重点国において現地ドナーコミュニティで積極的に関与できるよう専門的知識やコミュニケーションスキルを備えた人材の配置 ) に引き続き取り組んでいく IV. モニタリング 評価の仕組み ポスト パリ において この行動計画に沿って 毎年パリ宣言の実施状況のモニタリング 評価を行い その結果をパートナー国及び他ドナーと共有する ( 了 ) 6