VB= ビジュアルブック Ch= チャプター ユニット8( 運動 感覚器 ) MCQ 問題 2011 年度本試験 1)20 歳男性 1 年前から網膜出血と網膜滲出斑 非肉芽腫性前部ぶどう膜炎による右眼の視力低下を繰返している 下腿に結節性紅斑が時々出現する 治療に用いる薬剤はどれか ベーチェット病 VB 眼 :181~191 Ch12: 後眼部疾患 ぶどう膜炎まずブドウ膜炎とわかったらサルコイドーシス Vogt- 小柳 - 原田病 ベーチェット病の三つを頭に浮かべよう あとは患者の症状からどれであるかを診断する サルコイドーシス: 非乾酪性類上皮肉芽腫 両側肺門部リンパ節腫脹など Vogt- 小柳 - 原田病 : 眼症状に先行する頭痛 耳鳴り 難聴 頭髪の違和感など 眼症状とともに起こる虹彩結節 角膜後面沈着物 回復期における夕焼け状眼底 皮膚白斑 白髪 脱毛など ベーチェット病: 口腔粘膜アフタ性潰瘍 結節性紅斑 陰部潰瘍などこの三つ以外にも感染性ぶどう膜炎がある 今回は結節性紅斑があるのでベーチェット病である a.( ) アシクロビル b.( ) インフリキシマブ ( み 6:94) c.( ) リツキシマブ d.( ) ズンシクロビル e.( ) ラニビズマブぶどう膜炎の治療には副腎皮質ステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬が使われる それで治療が難航する場合は免疫抑制薬 (Vogt- 小柳 - 原田病 ) や TNF-α 拮抗薬 [ インフリキシマブ ]( ベーチェット病 ) などが使われる 2) 次の組合せで不適切なものはどれか a.( )blepharitis 眼瞼炎 b.( )ciliary injection 毛様充血 c.( )keratoplasty 角膜移植 d.( )lens luxation 水晶体脱臼 e.( )retianl detachment 網膜分離症 網膜剥離 3) 次の文章で誤っているものを 1 つ選びなさい Ch1 総論 a.( ) 光受容細胞として杆体と錐体がある正しい 杆体は光覚を 錐体は色覚をつかさどっている b.( ) ロドブシンは杆体の視物質である. 正しい ついでに錐体にはヨードプシンという視物質がある c.( ) 黄斑には錐体が密に存在する正しい 杆体は周辺に存在している d.( ) 脈絡膜は網膜外層を栄養する 正しい 機能は網膜外層の栄養と酸素供給 網膜の温度調節 ( 黄斑部の冷却 ) 光の遮蔽 房水の排出など e.( ) 硝子体の容積の 80% は水分である 誤り 99% が水分である まるでクラゲみたいだ 国試に出るらしい
4) 次の文章で正しいものを 1 つ選びなさい Ch1: 総論 a.( ) 角膜上皮は 1 層である 誤り 角膜上皮は重層扁平上皮である b.( ) 毛様体上皮は房水を産生する 正しい 毛様体の機能は房水の生産 排出 水晶体の支持 調節などである c.( ) 水晶体上皮細胞は水晶体嚢の外側に存在する 誤り 水晶体能の内側に存在する d.( ) 杆体は明視に関与する 誤り 暗視での光覚に関与する e.( ) 視色素は視細胞の内節にある 誤り 内節にあるのはミトコンドリア ゴルジ装置 粗面小胞体などである 視色素は外節に存在する 5) 次の文章で正しいものを 1 つ選びなさい VB 眼 :12~14 21~23 Ch1: 総論 a.( ) 矯正視力 0.1 とは視角 10 分のことである 視力 =1/ 視角 (4/22_3 三根 :1) 正しい 視力値は 2 点が分離して見分けられる最少視角 θの逆数 ( 視力 =1/θ) であらわす つまり視角 10 分だと視力 =1/10 となり 0.1 である b.( ) 小児の視力検査では字づまり視力表を 用いたほうが良い 誤り 字づまり視力とは眼鏡屋にある視力検査のポスターのような 多数の視標が配列されている視力表で測定した視力のことである これに対し視標を一つ一つ見せて測定する視力を字ひとつ視力という 佐賀大学の健康診断で使われる視力検査の機械がたぶん字ひとつ視力検査である 小児の中枢は未発達な為字づまり検査ではすみわけ困難が起きるので 字ひとつ視力検査の方が適している c.( ) 近視は凸レンズで矯正する 誤り 凹レンズで矯正する d.( ) 不正乱視は円柱レンズで矯正する 誤り 不正乱視は角膜の表面が不規則な状態にあり 円柱レンズでも矯正は困難である e.( ) 老視は凹レンズで矯正する 誤り 凸レンズで矯正する 6) 硝子体手術の適応とならない疾患は以下のどれか 1 つ選べ VB 眼 :192~229 Ch13: 網膜疾患 a.( ) 糖尿病網膜症 (VB 眼 :201) 増殖網膜症では硝子体への血管新生 出血が起き牽引性網膜剥離を生じることがある 遷延する硝子体出血や黄斑部に掛かる牽引性網膜剥離は硝子体手術の適応となる b.( ) 黄斑円孔 macular hole(vb 眼 :205) 黄斑円孔は加齢による後部硝子体剥離 ( 特発性 ) や眼外傷 黄斑上膜の牽引 黄斑浮腫 ( 続発性 ) などにより黄斑に円孔が生じ視力低下 変視症をきたす疾患である 初期には自然寛解もあるが 多くは進行性で硝子体手術が適応となる c.( ) 網膜上膜 macular epispore(vb 眼 :209) 黄斑の表面に膜様の組織が形成され 視力低下や変視床をきたす疾患である 眼底疾患による続発性変化や加齢変化による後部硝子体剥離が原因となる 視力低下が進行する場合は硝子体手術を行う d.( ) 黄斑ジストロフィ (VB 眼 :226) おもに杆体が遺伝性 進行性に変性することで夜盲症 錐体機能低下などをきたす疾患 現状有効な治療法がないため 硝子体手術は行われない
e.( ) 増殖硝子体網膜症 網膜色素上皮細胞から神経網膜が剥がれている網膜剥離や 高血糖により網膜の血管に異常が起きている糖尿病 網膜症が悪化して起きる病態 ただちに硝子体手術を行う必要がある 7) 兎眼にならないのはどれか 1 つ選べ (VB 眼 :89) Ch4 シラバス 4/23 兎眼とは種々の原因で閉瞼が不完全となり 角膜が常時露出している状態をいう 原因は顔面神経麻痺 外傷 熱傷瘢痕 内反術後 眼瞼外反 眼球突出など a.( ) 顔面神経麻痺 b.( ) 眼瞼熱傷 c.( ) 眼瞼内反症手術後 d.( ) 眼瞼外反症 e.( ) 動眼神経麻痺動眼神経は外眼筋の運動にかかわっており 眼瞼の閉鎖には関与していない 8) 次のうち正しいのはどれか 1 つ選べ VB 眼 :112~115 Ch6: 結膜疾患 a.( ) 臨床実習中に流行性角結膜炎を発症しても 貴重な臨床実習は休むべきでない 誤り 本症は集団感染の原因となるため 学校や仕事を休ませる必要がある b.( ) 流行性角結膜炎は発症早期から角膜混濁をきたすのが特徴である 誤り 角膜混濁は進行 ( 約 10 日後 ) してからきたす c.( ) 流行性角結膜炎の診断はアデノウイルスの分離培養が迅速かつ簡便である 誤り 簡易にできるのはアデノウイルスの抗体価測定である ついでにいうなら診断の最も重要な手掛かりは問診 d.( ) 流行性角結膜炎は両眼に発症するのはまれである 誤り 接触により感染するため 両眼の発症も十分ありうる e.( ) 流行性角結膜炎の原因であるアデノウイルスに対する治療薬はない 正しい ウイルス感染のため有効な特異的療法はない 混合感染を防ぐ目的の抗生剤の点眼と 消炎目的のステロイド点眼を使用する 9) 次のうち誤った文はどれか 1 つ選べ (VB 眼 :90) Ch4: 眼瞼疾患 a.( ) 麦粒腫 hordeolum は細菌感染に伴い発症する 正しい 起炎菌の多くは黄色ブドウ球菌であり 皮脂腺 ( ツァイス腺 ) 汗腺( モル腺 ) に生じるものを外麦粒腫 マイボーム腺に生じるものを内麦粒腫という b.( ) 霰粒腫 chalazion の病態は Meibom 腺の梗塞に起因する慢性肉芽腫性炎症である (4/24_1 岩切 :2) 正しい 麦粒腫と異なりこれに細菌感染は関係ない c.( ) 高齢者の再発性の霰粒腫様病態では 脂腺癌の鑑別が重要である 正しい d.( ) 翼状片 pterygium は単純切除手術後も再発の少ない疾患である (VB 眼 :119) 誤り 単純切除のみでは非常に高い再発率を伴うため 初回手術は有茎もしくは遊離結膜弁移植を行う 再発した場合次回の術後再発率はさらに高くなるため マイトマイシンCの使用や角膜輪部移植 羊膜移植の併用を行う e.( ) 小児の先天性鼻涙管閉塞は多くの場合自然開口が期待できる 正しい
10) 角膜に関する説明のうち正しいものはどれかシラバス 5/8 a.( ) 角膜の知覚は 皮膚の知覚と同程度である誤り 角膜には三叉神経の第一枝が分布しており 痛みに対する感受性が高い b.( ) 角膜内皮 デスメ膜 角膜実質は 損傷しても再生する 誤り 角膜上皮は再生する 角膜実質も少しは再生する 内皮は再生しない c.( )VDT 作業に伴うドライアイは マイボーム腺機能異常が原因である (VB 眼 :124) 誤り VDT 作業に伴うドライアイは瞬目の減少が原因である d.( ) 角膜化学熱傷は 酸よりアルカリによるものの方が重症化しやすい (VB 眼 :251) 正しい アルカリは細胞膜の脂質と結合して細胞を破壊し 組織への浸透性が高く 長期間進行するため重症化しやすい 酸は組織のタンパク質を変性 凝固させてしまい 変性した組織が薬剤の浸透を抑えるため 傷害が深部に達しにくく 角膜深層実質への影響は少ない e.( ) コンタクトレンズ装用によりアカントアメーバ角膜炎が改善する 誤り むしろコンタクトレンズ装用者における感染が急増している 11) 白内障の原因とならない疾患はどれか VB 眼 :149~154 Ch6: 白内障シラバス 4/23 a.( ) 筋緊張性ジストロフィ b.( ) 風疹 c.( ) アトピー性皮膚炎 d.( )Wagner 病 e.( ) 糖尿病 12) 斜視 弱視の治療として適切な組み合わせはどれか VB 眼 :24~28 Ch1: 総論 a.( ) 調節性内斜視 - 斜視手術誤り 調節性内斜視では眼鏡による完全屈折矯正を行う b.( ) 外斜位 - 斜視手術誤り 外斜位はトレーニングで矯正可能である c.( ) 右眼弱視 - 右眼遮蔽誤り 眼遮蔽は健側の眼に行う この場合左目を遮蔽すべきである d.( ) 麻痺性斜視 - プリズム眼鏡処方正しい ほかにボツリヌス毒素を使った治療法がある e.( ) 間欠性外斜視 - 眼鏡処方
誤り 間欠性外斜視には手術が行われる ただし恒常性外斜視に移行していなければ比較的両眼機能が良好な場 合が多く 手術に緊急性はない 13) ペンライトで診察できないのはどれか a.( ) 眼位 b.( ) 眼球運動 c.( ) 対光反射 d.( ) 水晶体 e.( ) 眼底眼底は眼底鏡や眼底カメラで診察する 14)MLF 症候群で正しいのはどれか (VB 眼 :40)(5/8_1 中尾 :3) Ch1: 総論 MLF 症候群は核上性の神経障害で 1 側方視時の内転障害 2 輻輳可能 3 反対眼 ( 外転時 ) の眼振等が特徴である 原因は内側縦束の障害や多発性硬化症 血管障害など a.( ) 眼振はみられない (Medial longitudinal fasciculus: 内側縦束 ) b.( ) 輻輳は障害される c.( ) 患側の外転障害である 内転障害 d.( ) 瞳孔異常を伴う e.( ) 多発性硬化症が原因となることがある 15) 正しいものはどれか (VB 眼 :164) Ch10: 緑内障 a.( ) ゴールドマン圧平式眼圧計は空気を用いて 眼圧を測定する 誤り 空気ではなく 実際に測定器を眼球 ( 黒目 角膜 ) に押しつけて測定する b.( ) 線維柱帯切開術 ( トラベクロトミー ) 後は結膜濾過胞 ( ブレブ ) 形成が眼圧下降に必要である 誤り たぶん必要ない c.( ) 日本人で最も多い緑内障の病型は閉塞隅角緑内障である 誤り 日本人では開放隅角緑内障が約 8 割である d.( ) 視野異常が生じる前から 視神経乳頭の緑内障性変化は認められる 正しい e.( ) ゴールドマン視野検査は静的視野検査である 誤り ゴールドマン視野検査は動的検査で ハンフリー視野検査が静的視野検査である 覚え方 : ゴールドマンはどうてい ( 動的 ) かく言う私も でね 16) 次の緑内障に関する記載で正しいものはどれか (VB 眼 :157) Ch10: 緑内障 a.( ) ステロイド緑内障の発症頻度は 4% 程度である b.( )2011 年現在 本邦における中途失明の原因として緑内障は 2 位である 誤り 緑内障が1 位である 2 位は糖尿病網膜症である c.( ) 糖尿病放置例における血管新生緑内障は 点眼治療による眼圧コントロールが容易である 誤り 続発緑内障は原発緑内障に比べ急激な眼圧上昇をきたす場合が多く 原発緑内障と同様の眼圧下行薬のみでは良好なコントロールは得難い d.( ) 先天緑内障は角膜径の縮小が特徴である 誤り 拡大が特徴である
e.( ) 本邦における緑内障の有病率は 5% 程度である 17)Basedow 病について誤っているものを選べ VB 眼 :171~172 Ch11: 眼窩疾患 本症は自己免疫疾患であり その原因は不明である 甲状腺に対する自己抗体 (TSH 受容体抗体 ) の産生によ り甲状腺機能が亢進する疾患である a.( ) 上眼瞼が眼球下転に伴って下がらない正しい 上眼瞼挙筋の過度の緊張により下方視の際に上眼瞼の下降に遅れが見られる これをグレーフェ徴候という また同様の原因から正面視により上眼瞼が後退する ( ダルリンプル徴候 ) b.( ) 放射線治療が頻用される誤り 治療法は抗甲状腺薬や甲状腺摘出などである c.( ) 眼球突出を認める正しい 外眼筋および眼窩脂肪組織に炎症性腫脹が起きた結果 眼窩内が狭くなり 眼球が全欧に押し出されるためと考えられる d.( ) 輻輳不全が見られるバセドウ病での直筋の障害頻度は下直筋が最も多く次いで内直筋である 内直筋に傷害が見られると輻輳 ( より目みたいなもの ) 不全は起こりうる e.( ) 青壮年の女性に多い正しい これに限らず甲状腺疾患は女性に多い 18) 補聴器の適応にならないのはどれか VB 耳鼻咽頭 :111 Pa.2 補聴器は治療困難 あるいは手術を希望しない場合など聴覚障害の改善が望めない場合に検討される a.( ) 耳硬化症 VB 耳 :75~76 原因不明の骨病変が前庭窓で生じ 前庭窓とアブミ骨の間が固着して難聴が起こる疾患である 伝音性難聴をきたすため補聴器の適応である b.( ) 老人性難聴 (VB 耳 :89) 老人性難聴は不可逆性であり対策はもっぱら補聴器装用となる c.( ) 機能性難聴純音聴力検査が難聴を示すものの原因となる器質的疾患が認められない状態を指す 代表的疾患は心因性難聴で小児に多い 一方で主に金銭的利益を求めて難聴を演じ 有利に検査結果を偽ろうとするものである 佐〇河内がこれではないかと言われている 基質的異常を認めないので補聴器の適応とならない というよりはつけたところで意味はない d.( ) 慢性中耳炎中耳炎が慢性化して鼓膜に穿孔が生じ 膿性耳漏と難聴を示す疾患である 難聴は伝音性難聴のため補聴器の適応となる e.( ) 乳幼児の高度難聴小児の行動難聴では人工内耳の導入も検討するが その前の補聴手段として補聴器の適応が検討される 19) 良性発作性頭位眩暈症について正しいものを選べ (VB 耳 :99) Pa.2 頭位変換によって 数秒から 1 分以内の眩暈発作が起きる 剥離した耳石片の半規管内での浮遊やクプラへの付 着が原因と考えられる
a.( )epley 法などの浮遊耳石置換法は禁忌である誤り この疾患は日常動作中に自然軽快することが多いが 難治例には耳石片を卵形嚢まで移動させる浮遊耳石置換法を使う b.( ) 発作を繰り返すことで 最終的に内耳機能が廃絶する誤り 発作を繰り返しても聴力変化や中枢神経症状は表れない c.( ) 病因としては内リンパ水腫が最も代表的なものである誤り 病因は頭部外傷 むち打ち 中耳炎 内耳疾患 長期臥床等があるが誘因の不明な例がほとんどである 内リンパ腫が原因で起こる眩暈はメニエール病である d.( ) 通常 眩暈発作と相関する蝸牛症状の出現 変動は伴わない正しい 蝸牛症状とは耳鳴り 難聴 耳閉塞感などである e.( ) 前半規管型 後半規管型 外側半期管型の順に多い誤り 刺激される半規管は後半規管が多く 外側半規管のこともある 20) メニエール病において 最も典型な所見を選べ (VB 耳 :94) Pa.2 誘因なく突発性に起こる激しい回転性めまい発作 一側性の難聴を繰り返す疾患である 吐き気 嘔吐などの自律神経症状を伴うが 第 Ⅶ 脳神経以外の中枢神経症状はない 内耳のリンパ水腫で発作を起こすと考えられており 発作を繰り返すうちに難聴や平衡機能は悪化していく a.( ) リクルートメント現象が陰性である誤り 陽性である 感音難聴の患者の一部では 閾値以下の小さい音は聞こえないが 閾値から少し音を大きくしただけで非常に大きく感じられ 時には不快にすら感じる これをリクルートメント現象 ( 補充現象 ) と呼び 内耳障害が原因であると考えられている b.( ) めまい発作の持続時間は 30 秒から 2 分程度である誤り 激しい回転性めまい発作が 30 分 ~ 数時間続く 眩暈発作と相関する蝸牛症状もある c.( ) 注視眼振検査では特徴的な Bruns 眼振がみられる誤り これは聴神経腫瘍で見られる d.( ) 頭位眼振検査にて方向交代性上向性眼振がみられる誤り 眼振検査で見られるのは水平回旋混合性眼振である 発作中は患側向きで しばらくすると眼振の方向は健側向きに変わる e.( ) グリセロールテストで陽性を示す正しい グリセロール内服後 純音聴力が二つ以上の周波数で 10dB 以上の改善が見られる グリセロールテストはグリセロールの脱水効果で内リンパ水腫が軽減するかを調べる検査である 21) 副鼻腔炎について 以下の記載の中から正しいものを選びなさい VB 耳 :141~153 Ch3 a.( ) 薬物療法としては ベータ ラクタム少量長期投与が一般的である誤り 慢性副鼻腔炎で使われるのはマクロライド系抗生剤である これは本来の抗菌作用よりも 抗炎症性作用 免疫調節作用 粘液過剰分泌抑制作用を目的として投与される b.( ) 以前内視鏡下手術が主流であったが 近年は確実性の高い外切開手術が多く選択される誤り 現在の標準的な術式は内視鏡的鼻内副鼻腔手術 (ESS) である c.( ) 病態としては感染症であり アレルギー性鼻炎はほとんど関係しない誤り 慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎の反復やアレルギー性鼻炎 アデノイド増殖などの存在が背景となって発症する
d.( ) かつての副鼻腔手術では 術後長期間 ( 場合によっては数十年 ) を経て術後性上顎嚢胞を形成することがある正しい 副鼻腔手術として盛んに行われていた上顎洞根本術の後 十数年の経過中に上顎洞を含めた頬部骨が変形し もと上顎洞だった部位に病的粘膜による閉鎖孔が生じて 術後性嚢胞となる 現在は ESS が主流であるため数は少なくなっているのではないかと予想される e.( ) 両側性は稀であり 両側性では癌等との鑑別が問題になる誤り 通常は両側性である 22) アレルギー性鼻炎について 以下の記載の中から正しいものを選びなさい. VB 耳 :136~140 Pa.3 発作性反復性のくしゃみ 水様性鼻汁 鼻閉を三主徴とする鼻粘膜の Ⅰ 型アレルギー性疾患 しばしばアレルギ ー素因を伴う 全国民の 3 割に及ぶと報告されている a.( ) 診療ガイドラインでは ステロイド使用時は点鼻より内服が勧められている誤り 軽症例では第 2 世代抗ヒスタミン薬が頻用され 中等度以上ではステロイド点鼻薬を併用する 点鼻薬は一部の患者で鼻粘膜の痂皮形成や出血の副作用があるという欠点があるが 経口薬に比べ作用発現が早い b.( ) 診療ガイドラインでは 抗ヒスタミン薬 カルシウム桔抗剤などの使用が勧められている誤り 抗ヒスタミン薬とステロイドの使用が進められている c.( ) 抗原に応じた除去と回避は重要な治療法のひとつである正しい 抗原回避の工夫は必須である d.( ) アレルギー性疾患であるため 手術療法の適応はない誤り 重症になり鼻閉型で鼻腔形成異常を伴う症例では手術が行われる e.( ) 減感作療法は近年 従来の経口法に代わり より効果が確実な皮下注射法の開発 普及が始まっている誤り 舌下免疫療法と言い パンの小片を用いて舌下に抗原を置き 口腔内のリンパ組織に十分に抗原を提示し 免疫誘導する方法が欧米では主流であり 本邦でも治験が行われている 23) 以下について 正しいものを選びなさい (4/10_2-3 佐藤 ) VB 耳 :282~284 Pa.5 睡眠時に呼吸が停止 減弱することにより 酸素不足の状態が起こり 脳をはじめとする臓器に負担がかかる 睡眠時のいびき 無呼吸や 日中の強い眠気が主症状である a.( ) 睡眠時無呼吸症候群では 中枢性より閉塞性の方が多い (VB 耳 :282) 正しい 睡眠時無呼吸は閉塞性睡眠時無呼吸 ( 上気道での閉塞 ) と中枢性睡眠時無呼吸 ( 呼吸リズムをコントロールする部位の異常 ) の 2 つのタイプがあり ほとんどが閉塞性睡眠時無呼吸である b.( ) 睡眠時無呼吸症候群の手術療法は 日本では気管切開が第一選択である誤り 睡眠時無呼吸症候群に対して行われる手術療法は口蓋錐軟口蓋咽頭形成術である c.( ) 睡眠時無呼吸症候群に対して手術を行えば 基本的に CPAP 療法から離脱できる微妙 CPAP 療法は 睡眠時に鼻マスクを装着して 吸気を加圧することにより気道を広げて呼吸を助ける治療法である 手術で改善した場合には CPAP や口腔内装具から解放されるが 長期的に見て再発する場合がある でも解放されるなら 基本的に CPAP 療法から離脱できる って言ってもいいのでは? d.( ) 錠剤を包装する PTP は胃内異物になるが サイズが小さく食道異物にはならない誤り PTP 異物症としては食道異物の報告がほとんどである e.( )3 歳未満の気管支異物は 多くの場合開胸手術にならざるを得ない誤り まず 軟性内視鏡での摘出を行う 軟性内視鏡での摘出が困難な場合は硬性内視鏡を用いる
24) 次の組み合わせのうち 誤りはどれか a.( ) 甲状腺 parathyroid gland 副甲状腺 b.( ) 喉頭 larynx c.( ) 副鼻腔 paranasal sinus d.( ) 口蓋 palate e.( ) 咽頭 pharynx 25) 喉頭癌 (laryngeal cancer) に関する下記の記載で誤っているものを一つ選べ (VB 耳 :217) 喉頭癌は男性に多く喫煙との関連が深い 喉頭癌はその発生部位によって声門上部癌 声門部癌 声門下部癌に分類されるが このうち声門下部癌はまれである a.( ) 前連合に生じた癌は声門癌に分類される 正しい 喉頭は 以下の 3 つの解剖学的領域に分けられる : 声門上部は喉頭蓋 仮声帯 喉頭室 披裂喉頭蓋ひだおよび披裂からなる 声門部は声帯 前連合および後連合からなる 声門下部は 声帯下約 1cm から始まり輪状軟骨の下縁または第一気管輪までである というわけで前連合に生じた癌は声門癌である b.( ) 披裂部に生じた癌は声門上癌に分類される 正しい 上にある通り c.( ) 声門癌は早期より上内深頚部リンパ節に転移を生じやすい 誤り 声門部癌は声帯そのものに癌が発生するため 早期から嗄声が出現し早期癌の段階で発見されることが多い また声門にはリンパ流がないため早期にはリンパ節転移はきたさない 上 中内深頚部リンパ節転移を起こしやすいのは声門上部癌である ちなみに声門下部癌は喉頭前リンパ節や気管周囲リンパ節 下内深頚リンパ節に転移が起こりやすい d.( ) 声門上癌の初期症状はのどのイガイガ感や嚥下時の引っかかり感などである 微妙 声門上部癌はすぐには声の異常が出現せず 嚥下時の痛みや呼吸困難感などの局所症状をまずきたす e.( ) 喉頭全摘術後は吸気の乾燥に対する注意が必要である ちょっとわからないけど 注意すべきは乾燥ではなく水ではないかと考えられる 喉頭を全摘すると呼吸のため
に永久気管口を首に空ける必要がある この気管孔は肺と直接つながっているためここから水が入ると直接肺に 入ってしまい 大量に入ると溺れた時と同じ状態になってしまう 26) 癌に関する下記の記載で正しいものを一つ選べ Pa.4 a.( ) 一側の上顎骨に骨肥厚があれば上顎洞癌を疑う ちょっとわからない 一側性に起きやすいのは副鼻腔乳頭腫や真菌性副鼻腔炎など b.( ) 舌癌が好発するのは舌背部である VB 耳 :174 誤り 舌の部位別頻度では側縁が最も多く 舌背部や舌尖はまれである ちなみに舌癌は口腔癌の中でもっとも頻度が高い c.( ) 上咽頭癌は顎下リンパ節に転移しやすい VB 耳 :189~202 誤り 頚部リンパ節に転移しやすい 上咽頭のみならず中咽頭や下咽頭の癌も頚部リンパ節に転移しやすい d.(?) 中咽頭癌は放射線感受性が高い 放射線感受性が一番高いのは上咽頭癌である 中咽頭癌の治療は手術を中心としたものと放射線を中心とした治療に大別される 別に放射線治療が主だというわけでもない e.( ) 下咽頭癌で重複癌が多いのは喉頭癌である 誤り 食道癌がおおい (VB 耳 :198) 27) 頚部病変に関する下記の記載で誤っているものを一つ選べ Pa.5 a.( ) 頚部リンパ節転移で被膜外浸潤を生じると予後が不良となる b.( ) 左鎖骨上リンパ節に無痛性腫大がある場合は消化管の癌からの転移を疑う 正しい いわゆるウィルヒョウ転移である 胃癌から転移されやすい c.( ) 耳下腺腫瘍では悪性腫瘍が約半数を占める (VB 眼 :250) 誤り 75 90% が良性腫瘍である d.( ) 唾石症は顎下腺に生じやすい (VB 耳 :240) 正しい 唾液腺の中ではほとんどが唾液の粘稠な顎下腺に生じ 耳下腺や舌下腺では少ない e.( ) 正中頸嚢胞は甲状舌管の遺残である (VB 耳 :263) 正しい 頚部膿疱の原因の一つである 先天性嚢胞状腫瘤には胎児期に退縮すべき組織の遺残が原因となる 28) 聴力検査に関する下記の記載のうち誤っているものを一つ選べ a.( ) 音叉 Weber 法検査は一側難聴が伝音難聴か感音難聴かを鑑別するのに有用である 正しい 低音の音叉 (125~500Hz 程度 ) は 骨導検査に使用できる 前頭部や下顎部の正中にあてれば 一側の聴力が正常の場合は 伝音性難聴であれば患側に 感音難聴であれば健側に偏って聞こえる b.( ) 標準純音聴力検査は内耳性難聴と後迷路性難聴の鑑別に有用である 誤り 純音聴力検査は伝音性難聴か感音性難聴かを調べるのに有用な検査である この検査は気導聴力検査と骨導聴力検査の二つを行う 気導聴力検査では専用のヘッドホンを当てて聴力検査を行い ( 外耳から音を伝導させる ) 骨導聴力検査では専用の端子を乳様突起にあてて音を振動として与える ( 内耳から音を伝導させる ) 気導聴力が悪くても骨導聴力がよければ伝音性難聴 ( 外耳 ~ 中耳に原因が存在 ) どちらも悪ければ感音性難聴( 内耳 ~ 神経に原因が存在 ) となる 難聴の原因が内耳にあるか 更に内耳より中枢側にあるかを調べるには補充現象があるかを調べるとよい 内耳の障害だと補充現象が現れる 補充現象を検出する検査は種々のものがあるが 自記オージオメトリーで調べることが多くなってきている c.( ) 語音明瞭度検査は補聴器装用効果の判定に有用である
正しい 語音を検査音として用いる聴力検査であり 補聴器や人工内耳の適応や効果を評価したりする場合に用いられる d.( ) 聴性脳幹反応 (ABR) は心因性難聴の診断に有用である 正しい 音刺激を与えてから 10 ミリ秒以内に 5~7 個の波形のピークを持つ反応である 音に対する神経の電気的な反応をひろう他覚検査であるため 正確な意思表示のできない新生児や乳幼児 心因性難聴や詐聴などの診断にも有効である e.( ) ティンパノメトリーは他覚的検査である 正しい 鼓膜の可動性や陥凹を検査する方法である 正確には外耳道に圧力をかけた状態で音を与えて鼓膜から反射してくる音を測定する方法である 正常者や感音性難聴者は外耳道圧 0mmHg の時に鼓膜は動きやすくなり 反射音は最大となる つまり 0mmHg でコンプライアンスは最大となり グラフは山を示す 浸出液の貯留などで鼓膜が動かない患者ではピークそのものが見られない 耳管狭窄症などを起こしている患者ではピークが陰圧側に偏る 29) 急性中耳炎に関する下記の記載のうち正しいものを一つ選べ (H:215) VB 耳 :63.64 急性中耳炎は上気道感染のウイルスや細菌が耳管を通して中耳に感染して炎症が起こる疾患である 鼓膜が発赤 して膿が中耳に貯留するため耳痛 発熱 難聴が生じる a.( ) 起炎菌の検査は鼻咽腔から採取した検体を用いて行う 正しい 上気道感染が背景にあるため鼻咽腔から検体を採取する b.( )3 大起炎菌は肺炎球菌とインフルエンザ菌とブドウ球菌である 誤り 肺炎球菌 インフルエンザ菌 モラクセラ カタラーリスなどが起炎菌である これは上気道感染のほか副鼻腔炎も原因になるからである c.( )3 歳以上では難治化しやすい 誤り 3 歳ごろから免疫機能が整い始めるため この年齢以降から難治化するとは考えにくい 難治化するのはこれより下の年齢 d.( ) 抗菌薬の使用は必須である 誤り 軽度の場合は耳痛に対して解熱鎮痛剤の投与を行うのみ e.( ) 鼓膜切開の適応は体温 ( 発熱 ) に応じて検討する 誤り 体温でなく 鼓膜の発赤 膨隆に応じて検討する 30) 次の口腔疾患でウィルス感染が病因であるものを選べ a.( ) 尋常性天疱瘡誤り デスモグレイン分子に対する自己抗体が原因の自己免疫疾患である b.( ) 扁平苔癖誤り 原因不明であるが 薬剤 C 型肝炎 歯科金属が誘因になる時がある c.( ) 伝染性単核球症正しい EB ウイルスが原因である ( み 6:238) d.( ) 口腔カンジダ症誤り 口腔カンジダ症は真菌感染である e.( )Sjogren 症候群誤り 自己免疫疾患である ( み 6:91)
31)14 歳女性 学校検診にて血尿を指摘され 近医内科を受診 IgA 腎症を疑われ 当院腎臓内科に精査目的で入院した 耳鼻咽喉科医として今後の治療にどのように関与したらよいか 適切なものを選べ 扁桃自体はほとんど無症状か 軽い痛みや異和感がある程度であるが それが原因となって扁桃から離れた臓器 ( 皮膚 関節 腎臓 ) に引き起こされる疾患を扁桃病巣感染症と呼ぶ 現在はその極めて高い扁桃摘出術の有効性から 掌蹠膿疱症 胸肋鎖骨過形成症および IgA 腎症が扁桃病巣感染症の代表的疾患として認識されている a.( ) 病巣感染が強く疑われ 扁桃摘出術を勧める b.( )ASO 値が高い症例のみ扁桃摘出術を勧める c.( ) 上気道感染後に肉眼的血尿が減少する例は扁桃摘出術の良い適応である d.( ) 誘発試験で陰性であった症例は扁桃摘出術の適応にならない e.( ) 扁桃摘出術による尿所見の改善度は1 年以上では 30% 程度である 32) 味覚障害について正しいものを選べ a.( ) カルシウム投与は有効な治療法のひとつである 誤り 栄養不足は味蕾細胞の内的障害につながる 欠乏により味覚障害となる栄養は鉄 亜鉛 ビタミン A ビタミン B12 などである b.( ) 味蕾は軟口蓋には存在しない 誤り 味蕾のほとんどは舌の乳頭 ( 有郭乳頭 葉状乳頭 茸状乳頭 ) に存在し 少量のものは軟口蓋 咽頭 喉頭蓋などの粘膜にもみられる c.( ) 舌癌では味覚障害が高頻度に出現する 誤り 舌癌の症状は疼痛 出血 運動障害などである d.( ) 舌前方 3 分の 2 の味覚は舌下神経支配である 誤り 舌前方 2/3 の味覚は顔面神経がつかさどっている 舌後方 1/3 は舌咽神経が支配している a.( ) 口腔癌に対する放射線治療は味覚障害の原因となる 正しい 33) 鼻腔後部からの鼻出血の処置で正しいものはどれか (4/10_1-2 佐藤 :6) VB:130~132 Pa3 鼻出血は主に鼻中隔前下方 ( キーゼルバッハ部位 ) と鼻腔後部で発生する 80% はキーゼルバッハ部位からの出血である 鼻出血の処置は出血部位の程度 部位により下記のような止血方法がある [ 出血部位が前方で軽傷 ] 両鼻翼を指で圧迫 止血後は電気凝固器や化学的腐食剤を用いて焼灼止血を行う [ 出血が重症であり 焼灼止血が困難な場合 ] 抗菌薬を含む軟膏を塗布したガーゼを出血点を圧迫するようにあて 更にガーゼを層状に挿入 [ 前鼻孔からのガーゼによる圧迫で止血困難な場合 ] バルーンタンポン ベロックタンポンを用いて上咽頭を閉鎖した後 前鼻孔から軟膏ガーゼを挿入 というわけで答えは c a.( ) 酸素療法を行う b.( ) ネブライザー療法を行う c.( )Bellocq タンポン ( 後鼻孔タンポン ) を挿入する d.( ) 気管切開を行う
e.( ) 副鼻腔洗浄を行う 34) 50)( 整形外科 ) は 2012 年度と同一のため省略する 参考 (VB 耳 : 耳鼻咽喉科疾患ビジュアルブック初版 ) (VB 眼 : 眼科疾患ビジュアルブック初版 ) http://www42.tok2.com/home/sagaaquos/ 最終更新 2013/5/17 22:27