土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

102 第 4 章 農業 農地の承継時の特例 資価格は 国税庁 HPの路線価ページから確認できます なお 平成 30 年度税制改正において 対象となる農地の範囲等が改正されました 詳細は 後記 6を参照してください 3 適用要件 (1) 被相続人この特例の対象となる被相続人は 次のいずれかに該当する

平成16年版 真島のわかる社労士

個人版事業承継税制の創設について 現行税制上の事業承継支援特例を踏まえた検討

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

⑷ 納税猶予の打ち切り P. 49 Q. 納税猶予の対象の農地を売却する場合 納税猶予が打ち切られてしまうのですか ⑸ 市町村合併と納税猶予 P. 54 Q.B 町が平成 3 年 1 月 1 日現在特定市であるA 市に合併される場合 旧 B 町の農地等は生産緑地の指定を受けていないと納税猶予の特例は

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相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

第 5 章 N

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

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目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

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所得税確定申告セミナー

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

三ケ島工業団地周辺地区 第一回勉強会

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問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

改 正 後 改 正 前 課税の特例 )) 関係 70の6の5 1 認定都市農地貸付け又は農園用地貸付けを行っている者の範囲 70の6の5 2 措置法第 70 条の6の5 第 1 項に規定する認定都市農地貸付け又は農園用地貸付けを 行っていた農地 70の6の5 3 相続又は遺贈により取得 の意義 70

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

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2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

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平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

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2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

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契約をするとき 契約書に貼る印紙税不動産取引で取り交わす契約書は 印紙税の対象となります 具体的には 不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書 土地賃貸借契約書 ローン借入時の金銭消費貸借契約書等がこれに当たります 印紙税の額は 契約書に記載された金額によって決定されます 原則として 収入印紙を課税

生産緑地制度の概要 市街化区域内の農地で 良好な生活環境の確保に相当の効用があり 公共施設等の敷地に供する用地として適している 500 m2以上 *1 の農地を都市計画に定め 建築行為や宅地の造成を許可制により規制し 都市農地の計画的な保全を図る 市街化区域農地は宅地並み課税がされるのに対し 生産緑

猶予適用農地について 譲渡 貸付 転用 耕作放棄 (1 農業振興地域内の農地においては 農地法第 36 条の規定による協議の勧告があったこと 21 以外の農地においては 農地法第 36 条第 1 項各号に該当したこと ) をした場合は その部分に対応する猶予税額に利子税を加え 納税しなければなりませ

日税研メールマガジン vol.143 ( 平成 31 年 2 月 15 日発行 ) 公益財団法人日本税務研究センター Article 平成 31 年度税制改正大綱の解説 ( 2) 税理士金井恵美子 * 本稿では 前号 ( vol.142) に引き続き 平成 31 年度税制改正の大綱 に示された改正事

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る 1 減価補償金を交付すべきこととなる被災市街地復興土地区画整理事業において 公共施設の整備改善事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 2 第二種市街地再開発事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 (3) 特定住宅被災市町村の区域内にある土地等が 国

また 農業の継続意思の証を示したい都市農業者のために 底地所有権の物納制度を創設することによって相続税納税猶予とは別の選択肢を用意する必要がある 3. 養豚経営安定対策事業の負担金の損金算入 ( 法人税 ) 養豚経営安定対策事業において 基金に係る負担金に支出した場合 当該事業年度の所得の金額の計算

時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

土地 建物の譲渡に伴う課税 所得税 住民税 譲渡所得の計算個人が不動産を譲渡した場合には 出た利益 ( 譲渡所得 ) に対して所得税と住民税が課税されます 課税譲渡所得 = 譲渡収入金額 - 取得費 ( 1)- 譲渡費用 ( 2)- 特別控除額 1 取得費 : 譲渡した不動産の取得に要した費用 購入

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

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15 相続税納税マニュアル

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

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生産緑地に関する税制改正とその影響-平成30年度税制改正による都市農地の見通しと課題

平成23年度税制改正の主要項目

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

小規模宅地等の評価減の特例 1. 概要 居住用や事業用宅地を相続した場合 小規模とされる一定面積までを 50%~80% 評価減できる特例があります ( 措置法 69 条の 4) 区分宅地の区分事業や居住の見込減額割合対象面積 1 号特例特定事業用等宅地等 1 親族が相続して事業を継続 80% 400

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

平成26年度税制改正及び土地住宅政策に関する提言書(案)

12. 小規模宅地等の特例の見直し 1. 改正のポイント (3) 適用時期平成 30 年 4 月 1 日以後に相続又は遺贈により取得する宅地等に係る相続税について適用される ただし (2)1 の改正について 平成 30 年 3 月 31 日においての別居親族の要件を満たしていた宅地等を平成 32 年

平成19年12月○日

p43-48 (不動産取得税)

やさしい税金教室

Microsoft Word - 東日本大震災により被害を受けた場合の相続税・贈与税の取扱い

団法人 ( その設立当初において拠出をされた金額の2 分の1 以上の金額が地方公共団体により拠出をされているものに限る ) であって その定款において その法人が解散した場合にその残余財産が地方公共団体又は当該法人と類似の目的をもつ他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めがあるものに限る

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5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

速報!  平成27年度税制改正セミナー

税金のいろいろ所得税の計算の税金サラリーマン20 生活の税金株式の税金事業の税金不動産の税金贈与の税金相続の税金(2) 適用を受けるための主な要件 取得又は増改築等をした日から6か月以内に居住すること 住宅の床面積が50m 2 以上で取得又は増改築後の家屋の床面積の1/2 以上が居住用であること 中

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

8 分筆の必要性 所有している生産緑地が一筆の一部である場合 所有者の費用負担が大きいため 分筆しなくてもよい運用にしてもらえますか 現時点では 分筆が必要と考えています 都市計画運用指針の記載内容や 皆さまの考え方も考慮して今後整理し 平成 31(2019) 年度の指定手続きに係る説明会時において

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

A&K パートナーズ税理士法人 秋山税理士事務所 秋山総合研究所 1

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

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農地等に対する課税制度について 参考資料 3

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30% となる 注 1) 土地等の譲渡所得は 他の所得と分離して課税される 注 2) このほかに住民税が課税される 税額 = 譲渡所得金額 5%( 取得後 5 年以内に売却した場合は9%) 法人 ( 法人税 ) 税額 = 土地譲渡益 税率 ( ) 法人の形態や所得に応じて 15% ~ 23.9% とされている (H27.4.1 以降に開始される事業年度に適用される税率 ) 注 1) 土地等の譲渡所得は 他の所得と合算して課税される 注 2) このほかに法人住民税や事業税等が課税される 1 法人住民税 : 税額 = 法人税額 17.3% 2 事業税 : 税額 = 土地譲渡益 3.4% ~ 6.7% (H26.10.1 以降に開始される事業年度に適用される税率 ) 特別控除 特定の譲渡を行った場合 1 所得税については譲渡収入金額から 一定の金額が控除され 2 法人税については一定の金額が損金 に算入される 特別控除の例 譲渡の種類 公共事業などのために土地建物を譲渡した場合 特定土地区画整理事業などのために土地を譲渡した場合 農地保有の合理化などのために土地を譲渡した場合 控除額 5,000 万円 2,000 万円 800 万円 1

農地の保有に対する税金 ( 固定資産税 ) 固定資産税において農地は 一般農地 市街化区域農地に区分され 評価及び課税される 一般農地 については 農地の売買実例価格を基に評価 ( 農地評価 ) され 課税に当たっては 一般農地の負担調整措置 ( 注 ) が講じられる ( 農地課税 ) 市街化区域農地のうち 生産緑地地区の農地 については 生産緑地法により転用規制がされているため 評価及び課税に当たっては一般農地と同様の取扱いとなる 市街化区域農地 は 道路状況など宅地として利用する場合の利便性が類似する宅地の価額を基準とした価額から 農地を宅地に転用する場合に必要と認められる造成費相当額を控除して 評価額が求められる ( 宅地並評価 ) このうち 一般市街化区域農地 は 一般農地の負担調整措置 ( 注 ) が適用されるため 評価額は高くなっても実質の課税は農地に準じた課税となる 三大都市圏の特定市の市街化区域農地 は 宅地の負担調整措置 ( 注 ) が適用される ( 宅地並課税 ) ( 評価 ) ( 課税 ) 税額のイメージ 固定資産税は 1 月 1 日現在の固定資産 ( 土地 家屋 償却資産 ) の所有者に課せられる 農地 一般農地 生産緑地地区の指定を受けた農地 農地評価農地評価 農地課税農地課税 千円 /10a 数千円 /10a ( 本則 ) 税額 = 固定資産税評価額 1.4% 市街化区域農地 一般市街化区域農地 宅地並評価 農地に準じた課税 数万円 /10a 三大都市圏の特定市の市街化区域農地 ( 特定市街化区域農地 ) 宅地並評価 宅地並課税 数十万円 /10a 農地評価 : 農地利用を目的とした売買実例価格を基準として評価宅地並評価 : 近傍の宅地の売買実例価格を基準として評価した価格から造成費相当額を控除した価格 2

農地を相続した場合の課税の特例 ( 相続税納税猶予制度 ) 農地を相続した場合の課税の特例 ( 相続税納税猶予制度 ) 農地を農業目的で使用している限りにおいては到底実現しない高い評価額により相続税が課税されてしまうと 農業を継続したくても相続税を払うために農地を売却せざるを得ないという問題が生じるため 自ら農業経営を継続する相続人を税制面から支援するために相続税の納税猶予制度が設けられた ( 昭和 50 年度創設 ) 従来 相続税の納税猶予制度は 相続人自らが農業の用に供する場合のみを対象としていたが 農地の効率的な利用を促進する観点から 市街化区域外の農地に限り 特定貸付け ( ) を行った場合についても適用できることとなった ( 平成 21 年度改正 ) 特定貸付け 次の事業により貸し付けることをいう 1 農地中間管理事業 2 農地利用集積円滑化事業 3 利用権設定等促進事業 ( 農用地利用集積計画 ) 相続税納税猶予の概要 相続又は遺贈により取得された農地が 引き続き農業の用に供される場合には 本来の相続税額のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税が 一定の要件のもとに納税が猶予され 相続人が死亡した場合等に猶予税額が免除される 納税猶予額のイメージ本来の税額納税猶予額 農業投資価格 ( ) による相続税額 農業投資価格農地等が恒久的に農業の用に供される土地として自由な取引がされるとした場合に通常成立すると認められる価格として国税局長が決定した価格 (20 万円 ~90 万円程度 /10a) 被相続人の範囲 1 死亡の日まで農業を営んでいた者 2 生前一括贈与 ( 贈与税納税猶予 ) をした者 3 死亡の日まで特定貸付けを行っていた者 ( 注 ) 特例の対象となる農地 相続税納税猶予を受けるための要件 相続 農業相続人の範囲 1 相続税の申告期限までに農業経営を開始し その後 引き続き農業経営を行う者 2 生前一括贈与を受けた受贈者 3 相続税の申告期限までに特定貸付けを行った者 ( 注 ) 被相続人が 農業の用に供していた又は特定貸付けを行っていた農地 ( 注 ) で 次のいずれかに該当するもの 被相続人から相続により取得した農地で遺産分割がされているもの 贈与税納税猶予の対象となっていたもの 相続の年に被相続人から生前一括贈与を受けたもの 注 : 特定貸付けを行っていた農地は市街化区域外の農地に限られる 3

農地を生前一括贈与した場合の課税の特例 ( 贈与税納税猶予制度 ) 贈与税の納税猶予制度は 旧農業基本法の趣旨である農業経営の近代化に資するため 民法の均分相続等による農地の細分化防止と農業後継者の育成を税制面から支援するために設けられた ( 昭和 39 年度創設 ) 農業を営む者が その農業の用に供している農地の全部を農業後継者 ( 推定相続人の1 人 ) に一括して贈与した場合は 後継者に課税される贈与税の納税が猶予され 贈与者又は受贈者のいずれかが死亡したときに贈与税は免除される 贈与者の死亡により贈与税額の免除を受けた場合には 贈与農地を相続により取得したものとみなされ相続税の課税対象となる この場合 農業を継続する場合は 相続税納税猶予の適用を受けることができる 贈与者 ( 親 ) 農地等を一括贈与 贈与税額の計算 ( 基礎控除 110 万円 ) 贈与税の納税猶予 後継者 ( 推定相続人の 1 人 ) 免除 ( 贈与者又は受贈者の死亡 ) 相続税の納税猶予に移行 相続税の課税対象 贈与者の要件 農地等を贈与した日まで引き続き 3 年以上農業を営んでいる個人であること ( 注 ) 相続時精算課税の適用を受ける場合を除く 贈与の要件 贈与税の納税猶予を受けるための要件等 贈与 受贈者の要件 次の要件をすべて満たすこと 1 贈与者の推定相続人であること 2 農地等を取得した日の年齢が 18 歳以上であること 3 農地等を取得した日まで引き続き 3 年以上農業に従事していたこと 4 農地等を取得した日以後 速やかに農業経営を行うこと 贈与者が農業の用に供している農地の全部 ( 採草放牧地及び準農地を所有している場合 その 2/3 以上 ) を推定相続人の 1 人に一括して贈与すること ( 注 ) 特例の対象となる農地等の範囲は相続税と同じ 猶予税額がすべて確定する場合 猶予適用農地等について 20% 超 ( 面積 ) の譲渡 貸付 転用 耕作放棄をした場合 受贈者が猶予適用農地等での農業経営をやめた場合 受贈者が贈与者の推定相続人に該当しないこととなった場合 継続届出書を提出しなかった場合等 納税猶予期限の確定事由 猶予税額が一部確定する場合 収用交換等による譲渡等をした場合 猶予適用農地等について 20% 以下 ( 面積 ) の譲渡 貸付 転用 耕作放棄をした場合 生産緑地地区内の農地について 買取申出をした場合 農用地区域内の農地について 1 農地中間管理事業 2 農地利用集積円滑化事業 3 利用権設定等促進事業に基づく事業により譲渡した場合等 4

土地の投機的取得の抑制等を目的とした税制 ( 地価税 特別土地保有税 ) 土地の投機的取得の抑制等を目的として 昭和 48 年に特別土地保有税 ( 市町村税 ) が 平成 3 年に地価税 ( 国税 ) が措置された なお 地価税については平成 10 年以降 特別土地保有税については平成 15 年度以降 課税が停止されている 地価税 ( 国税 ) 税額 = ( 保有する土地等の価額 - 基礎控除額 ( )) 0.3% 基礎控除額 :10 億円 ( 個人及び中小法人は 15 億円 ) 又は保有土地面積 ( 非課税分を除く ) 3 万円の いずれか高い金額 課税対象 : 毎年 1 月 1 日に個人及び法人が保有する土地及び借地権等 評価 : 毎年 1 月 1 日の時価 ( 相続税評価額 ) 非課税 : 国等の保有する土地等及び一定の公益的な用途に供されている土地等 居住用の土地等 (1,000 平米以下の部分に限る ) 1 m2当たりの評価額が 3 万円以下の土地等 課税価格の特例 : 一定の公的規制を受ける土地等 (3 分の 1 2 分の 1 軽減 ) 優良な一団の宅地造成事業等に係る土地等 (5 分の 4 軽減 ) 特別土地保有税 ( 地方税 ) (1) 土地の取得 保有 税額 = 土地の取得価格 税率 ( 1) - 他の税額 ( 2) 1 取得の場合 :3% 保有の場合 :1.4% 2 取得の場合 : 不動産取得税相当額 保有の場合 : 固定資産税相当額 (2) 遊休土地 ( ) の保有 税額 = 遊休土地の時価又は取得価額のいずれか高い金額 1.4% - 固定資産税額 遊休土地 : 都市計画法に規定する遊休土地転換利用促進区域内の土地で 一団の土地の面積が 1,000 m2以上であるもの 5