2. 全数把握対象感染症患者報告状況 (1) 全数把握対象感染症の過去 5 年間の届出状況 疾患名平成 19 年平成 2 年平成 21 年平成 22 年平成 23 年 二類三類 結核 159 1) 217 198 188 291 コレラ 1 細菌性赤痢 1 1 腸管出血性大腸菌感染症 19 13 18 27 14 A 型肝炎 1 1 4 E 型肝炎 1 四類 つつが虫病 1 3 1 デング熱 2 1 日本紅斑熱 2 2 3 5 1 マラリア 1 1 レジオネラ症 2 2 2 2 アメーバ赤痢 2 5 3 3 ウイルス性肝炎 (E 型 A 型を除く ) 3 1 クロイツフェルト ヤコブ病 1 1 1 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1 1 3 五類 後天性免疫不全症候群 3 2 4 9 6 ジアルジア症 1 梅毒 1 1 2 3 1 破傷風 1 1 5 1 バンコマイシン耐性腸球菌感染症 1 1 風しん 2) 1 麻しん 3) 3 2 1 1) 平成 19 年は 4 月 ~12 月までの届出数 2)3) 平成 2 年より全数把握対象感染症へ変更された (2) 各疾病の届出状況 一類感染症 一類感染症の届出はなかった - 5 -
二類感染症 1 結核平成 23 年は 291 件の届出があり 前年 (188 件 ) の約 1.5 倍に増加した 月別届出数は 16~43 件で推移した 症状別では 患者 198 件 ( 内訳 : 肺結核 143 件 その他の結核 42 件 肺結核およびその他の結核 13 件 ) 疑似症患者 1 件 無症状病原体保有者 92 件であった 年齢別では すべての年齢層から届出があったが 年齢が高くなるのに伴い届出数が多くなり 6 歳以上が全体の約 56% を占めた また 7 歳以上が 患者 の半数を占めている 2~5 歳代の割合は 42%( 前年 :29%) と増加した 職業別では 医療 介護関係者が約 23% であるが 2~4 歳代の層では約 62% を占めている 結核の月別届出数 45 無症状病原体保有者 3 疑似症患者件感染症死亡 ( 疑い ) 者の死体数)患者 15 前年 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月( 年齢 性別構成 男 女 計 1 歳未満 2 2 4 1 歳代 2 1 3 2 歳代 13 6 19 3 歳代 1 21 31 4 歳代 2 16 36 5 歳代 21 14 35 6 歳代 25 1 35 7 歳代 31 21 52 年齢 症状別届出数 8 無症状病原体保有者患者 6 (件 4 数)2 8 歳以上 38 38 76 計 162 129 291-6 -
三類感染症 2 コレラコレラは 12 月に 1 件届出があった 検出された菌はエルトール 小川型で フィリピンからの輸入感染例であった 過去の状況では 平成 16 年に 1 件 ( 輸入感染例 ) 届出があった 診断月性別年齢症状推定感染経路推定感染地域 12 月男 5 代米とぎ汁様下痢経口感染フィリピン 3 腸管出血性大腸菌感染症腸管出血性大腸菌感染症は 14 件の届出があった 過去 5 年間では 集団発生のあった平成 18 年を除くと届出数は年間 13~27 件で推移している 本年は 5 月 ~1 月に届出があり 8 月が最も多く夏季を中心に発生した 診断の類型では 患者 9 件 無症状病原体保有者 5 件であった 年齢層では 患者 は 2 歳未満および 5 歳以上 無症状病原体保有者 は 3 歳代および 6 歳代であった 症状では 患者 のうち 腹痛が 57% 水溶性下痢が 57% 血便が 43% 発熱が 21% 見られた 重症の合併症である溶血性尿毒症症候群 (HUS) は報告されていない 感染経路や感染源は 本疾患の潜伏期間が2~14 日と比較的長いこともあり はっきりしないことが多い 原因の特定には至っていないが 発症前に自宅調理で生の肉 ( 牛レバーなど ) を喫食していた事例が5 件 また 患者との接触による二次感染が推定される事例があった 4 3 2 1 腸管出血性大腸菌感染症の月別届出数 ( 件 ) 6 無症状病原体保有者患者 5 5 ( 件 ) 4 3 2 1 年齢 症状別 無症状病原体保有者患者 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 - 7 -
診断月 性別 年齢 症状 推定感染地域 型別 5 月 男 5~9 歳 腹痛 水様性下痢 血便 発熱 O157(VT1VT2) 6 月 女 8 歳代 腹痛 水様性下痢 血便 O26(VT1) 6 月 女 6 歳代 なし 不明 (VT1) 6 月 女 6 歳代 腹痛 水様性下痢 O111(VT1) 7 月 女 1 歳代 腹痛 水様性下痢 血便 発熱 不明 (VT2) 7 月 女 7 歳代 腹痛 水様性下痢 血便 O157(VT1VT2) 8 月 男 1 歳代 腹痛 O157(VT1VT2) 8 月 男 1 歳代 水様性下痢 O157(VT1VT2) 8 月 女 3 歳代 なし O157(VT1VT2) 8 月 女 3 歳代 なし O157(VT1VT2) 8 月 男 3 歳代 なし O157(VT1VT2) 9 月 女 5 歳未満 腹痛 水様性下痢 血便 発熱 O157(VT1VT2) 9 月 男 6 歳代 なし O157(VT1VT2) 1 月 男 5 歳代 腹痛 水様性下痢 血便 O157(VT1) 四類感染症 4 E 型肝炎 E 型肝炎は 2 月に 1 件の届出があり 平成 15 年 11 月の感染症見直し改正後 はじめての届出となった 推定感染経路は経口感染であり 発症する約 3 週間前にイノシシの生肝を喫食していた E 型肝炎は動物由来感染症として注目されており 野生動物の肉 内臓の生食を避け 十分加熱調理して喫食することを狩猟者 食肉関係者および消費者に啓発することが大切である 2 月 男 6 歳代 全身倦怠感 食欲不振 黄疸 肝機能異常 肝腫大 経口感染 5 デング熱デング熱は 1 月に 1 件の届出があり 推定感染地域はインドであった 過去の状況は 平成 14 年に 1 件 平成 22 年に 2 件であり 海外流行地での感染であった デングウイルスは 現在に常在しないため 海外流行地への渡航時には予防対策が必要である 1 月 男 2 歳代 発熱 2 日以上続く発熱 発疹 白血球減少 不明 インド - 8 -
6 日本紅斑熱 日本紅斑熱は 1 件の届出があり 過去 5 年間 ( 年間 2~5 件の届出 ) と比較して やや増加した 届 出月は 6,7 月を中心に 4 月 ~1 月 12 月であった 年齢層はすべて 5 歳以上であり 県内でマダニ等 に刺咬され感染したと推定された 登山 森林作業 農作業など野外作業機会の多い中高年者を中心に ダニの刺咬を防ぐ予防対策の重 要性を啓発する必要がある 4 月 男 7 歳代 発熱 頭痛 刺し口 発疹 動物 蚊 昆虫等肝機能異常からの感染 5 月 女 7 歳代 発熱 刺し口 発疹 6 月 男 7 歳代 発熱 刺し口 発疹 DIC 動物 蚊 昆虫等肝機能異常からの感染 6 月 女 7 歳代 発熱 発疹 肝機能異常 7 月 女 6 歳代 発熱 刺し口 発疹 肝機能異常 7 月 女 6 歳代 発熱 刺し口 発疹 ダニからの感染 7 月 女 5 歳代 発熱 刺し口 発疹 肝機能異常 8 月 女 5 歳代 発熱 刺し口 発疹 肝機能異常 1 月 女 6 歳代 発熱 刺し口 発疹 マダニからの感染 12 月 男 5 歳代 発熱 刺し口 発疹 マダニからの感染 7 マラリアマラリアは 6 月に 1 件 ( 病型は 三日熱 ) の届出があった 推定感染地域はインドであった 過去の届出状況は 平成 13 年 21 年に各 1 件となっている 診断月性別年齢症状推定感染経路推定感染地域 6 月男 3 歳代発熱蚊からの感染インド 8 レジオネラ症レジオネラ症は 6 月 8 月に 2 件の届出があった 病型はいずれも 肺炎型 であり 診断方法としては 全員尿中抗原による検出例であった 感染地域は 県内 ( 推定 ) であり 推定される感染経路は 水系感染が 1 例 不明 1 例であった 診断月性別年齢症状推定感染経路推定感染地域水系感染 6 月男 6 歳代発熱 咳嗽 呼吸困難 肺炎 ( 用水路の清掃 ) 8 月男 4 歳代発熱不明 - 9 -
五類感染症 9 アメーバ赤痢 アメーバ赤痢は 3 件の届出があった 年齢は 3~5 歳代で 性別はすべて男性であった 1 月 男 4 歳代 発熱 肝膿瘍 性的接触 3 月 男 3 歳代 下痢 肝膿瘍 不明 4 月 男 5 歳代 粘血便 不明 1 ウイルス性肝炎ウイルス性肝炎の届出は 5 月に 1 件あった 年齢は 7 歳代であった 病型は C 型肝炎 であり 推定される感染経路は 針等鋭利なものの刺入による感染 であった 過去 5 年間の発生状況は 平成 19 年に 3 件の届出があったが それ以降届出はなかった 診断月性別年齢症状推定感染経路推定感染地域全身倦怠感 褐色尿 肝機能異常 針等鋭利なものの 5 月女 7 歳代黄疸刺入による感染 11 クロイツフェルト ヤコブ病 クロイツフェルト ヤコブ病の届出は 1 月に 1 件あった 年齢は 7 歳代で病型は 孤発性プリオン 病 であった 診断月 性別 年齢 症状 1 月 女 7 歳代 進行性認知症 ミオクローヌス 錐体路症状 錐体外路症状 視覚症状 無動性無言状態 記憶障害 精神 知能障害 臨床的に頑固な不眠 筋強剛 12 後天性免疫不全症候群 後天性免疫不全症候群は 6 件の届出があった 年齢層は 2~5 代であり 性別は男性 病型は 無症 候性キャリア であった 推定感染経路は不明 1 件を除き または国外における性的接触であった 全国的に HIV/AIDS ともに届出数が増加傾向にあり 保健所等を中心に利用者の利便性に配慮した検 査 相談体制の構築が進められている 今後もハイリスク層や検査を受けていない 2~4 代を中心とし た幅広い年齢層に対し より積極的な普及啓発を推進し HIV 感染の早期発見による早期治療と感染拡大 の抑制に努めることが重要である 4 月 男 2 歳代 なし 同性間性的接触 6 月 男 4 歳代 なし 性的接触 7 月 男 2 歳代 なし 同性間性的接触 9 月 男 5 歳代 なし 異性間性的接触 1 月 男 3 歳代 なし 不明 マラウイ 11 月 男 4 歳代 なし 同性間性的接触 - 1 -
13 梅毒梅毒は 1 件の届出があった 患者は 2 歳代の男性で 病型は 早期顕症梅毒 Ⅱ 期であった 感染経路はでの同性間性的接触と推定され HIV 無症候性キャリアであった 4 月 男 2 歳代 鼠径部リンパ節腫脹 ( 無痛性 ) 梅毒性バラ疹 同性間性的接触 14 破傷風破傷風は 8 月に 1 件の届出があった 推定感染経路はでの創傷感染であった 過去 5 年間の届出状況は 年間 ~3 件で推移している 8 月 女 9 歳代 筋肉のこわばり 嚥下障害 発語障害 痙笑 呼吸困難 ( 痙攣性 ) 反弓緊張 創傷感染 15 麻しん麻しんは 1 月に 1 件 (3 歳代 ) の届出があった 病型は 修飾麻しん で 血清 IgM 抗体の検出により診断された 予防接種歴は不明であった 麻しんは 212 年度までにから麻しんを排除し その状態を維持することを目標に取り組まれている 確定診断において IgM 抗体検査は 麻しん以外の発しん性ウイルス疾患に罹患している場合にも陽性になることがあると指摘されており 信頼性の高い遺伝子検査が必須となる 関連機関との連携による麻しん排除に向けてのさらなる対策が必要である 診断月性別年齢症状推定感染経路推定感染地域 1 月女 3 歳代発熱 発疹不明 - 11 -