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シリーズ人権 しあわせ わねばと 住所を聞き 手帳に書きと うしても この親切な大学生に礼を言 僕は 旅費の返却のこともあり ど う に な り ま し た それなら助かりま めました その言葉に 僕は思わず涙がこぼれそ そして 君 よかったね と 言い す 車掌はやっと笑顔になりました 言 う と 僕 は こ の 後 十 日 ぐ ら い すぐに お礼に伺います 僕がそう 家にいるから すぐでなくていいんだ 僕 は そ の 大 学 生 に あ り が と う ました ご ざ い ま す と 何 度 も 礼 を 言 い ま れは僕のおごりだよ と言って 僕に 大学生は 弁当を二つ買ってきて こ こまでは歩くの大変だから バスに乗 君 の お 家 西 北 っ て い っ て た ね そ 呼びとめられました て改札口を出ると 後から大きい声で 忘れられない親切 生 は ポ ケ ッ ト か ら 切 符 を 取 り 出 し 手渡してくれました 夕方 名古屋に りなさい と言って 僕の手に百円札 僕は 何度も頭を下げ お礼を言っ よ と 答えてくれました 音楽家さだまさし氏の随筆集に目を そ れ に 鋏 を 入 れ て も ら っ て い ま し た 着くと また駅弁を買ってきてくれま 昼過ぎになり 列車が静岡に入ると した 通していますと 強く 私の胸を打つ した えていきました と言うなり その姿は人ごみの中に消 と す る と じ ゃ ー 君 元 気 で ね 重ねての親切に 僕がお礼を言おう を渡してくれました 次は 僕の番です とっさに僕は嘘を 時間は刻々と過ぎていきます つきました 外や内のポケットを探す 僕は頭からコートをかぶり 寝たふ 話が載っていましたので 今回は こ したのかな と 怪伬な顔で車掌が 真 似 を し て 変 だ な ァ 切 符 を 落 と れを紹介しましょう 氏は一九五二 昭和二七 年 長崎 示してくれたこの大学生に 申し訳の 僕が嘘をついたのに それに善意を りをして泣いていました に 生 ま れ ま し た 中 学 生 に な っ た 時 た その時 大学生が 君 財布は 切 符 が 無 い の で す か と 言 い ま し と聞きました ヴァイオリン修業のために 単身東京 春休みの時 家郷への思いは募るばか ていました てお礼に伺いました でも突然の出費 と共に感激して 翌日 早速僕を連れ 帰宅して 母にこの話をすると驚き 車掌は それは困ったね で どこま このご恩は一生忘れません 僕は心 なさの故か 耐えきれずに泣きつづけ で 行 く の な 長 崎 で す 車掌 であり 貧しかった我が家です この アー エーッと 財布も無いんです に出ました 一年後 中学二年になる りで ある日 いつしか足は東京駅に 向かっていました 以下 氏の一人称で記します の中で何度も叫んでいました じゃー 僕横浜で降ります 規則 したまま グッスリと眠っているよう くと 何もなかったように 腕組みを 熱いものがにじみ出てきました そし 以上 このお話を読んで 私の眼に その時 大学生風の男性が前の席を を うつろな目で眺めておりました が立替えよう エッ そ そんなこと です 分った じゃー君の旅費は僕 家は長崎にあるんだね ハイ 西北 えます その時です 大学生が 君 木川トンネルを越えると そこは長崎 機 関 車 は 煙 を 上 げ て 西 へ 向 か い ま す ト ン ネ ル を 抜 け 門 司 に 着 き ま し た 夜が明けると下関です 列車は関門 でした さだまさし氏著 美しき日本の面影 引用文献 て 氏の芸の奥にある優しさの根元を お金も親戚から借りたようでした では そこまででも運賃が要るんです コートの端からソッとその人をのぞ は 困ったね と 繰り返して言います が待っています 僕は 途中で降りれ よ と 申 し 訳 な さ そ う に 車 掌 が 答 ホームには長崎行の 雲仙 西海号 発車した列車の窓から移り行く景色 ばいいや と 軽い気持で乗りました 指 さ し て 空 い て ま す か と 聞 き それでは済まないです イヤ 立替 した 岡本 元四天王寺国際仏教大学講師 新潮社刊 見た思いがしました ました 僕が ハイ と答えると荷物 らっしゃるんだろ だったら君が帰っ 次男 おもかげ を棚に上げて座りました 市です て か ら 返 し て く れ れ ば い い ん だ よ 午前十時二十七分 長崎駅に着きま えるだけだから 親御さんは長崎にい 僕は一気に心臓が高鳴り 顔から血の 突然 検札の車掌が入って来ました 気が引くのを感じました 向い側の学 4 2015.3
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