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Taro-052第6章1節(p ).jtd

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PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -AL AL 1 頁 工業所有権総局 (GDIP) ( アルバニア ) ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 AL.Ⅰ 委任状 附属書 AL.Ⅱ 略語のリスト国内官庁 : 工業所有権総局 (GD

特許制度 1. 現行法令について 2001 年 8 月 1 日施行 ( 法律 14/2001 号 ) の2001 年改正特許法が適用されています 2. 特許出願時の必要書類 (1) 願書 (Request) 出願人の名称 発明者の氏名 現地代理人の氏名 優先権主張の場合にはその情報等を記載します 現

弁理士試験短答 逐条読込 演習講座 ( 読込編 ) 平成 29 年 6 月第 1 回 目次 平成 29 年度短答本試験問題 関連条文 論文対策 出題傾向分析 特実法 編集後記 受講生のみなさん こんにちは 弁理士の桐生です 6 月となりましたね 平成 29 年度の短答試験は先月終了しました 気持ちも

指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

 

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

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2.2.2 外国語特許出願の場合 2.4(2) を参照 2.3 第 184 条の 5 第 1 項に規定された書面 (1) 日本語特許出願 外国語特許出願を問わず 国際特許出願の出願人は 国内書面提出期間 ( 注 ) 内に 出願人 発明者 国際出願番号等の事項を記載した書面 ( 以下この部において 国

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パラグアイ共和国 (PY) REPUBLIC OF PARAGUAY パラグアイの概要パラグアイ共和国は 南米大陸の内部に位置しブラジルやアルゼンチン又ボリビアと国境を接しております 総面積は約 41 万 k m2で 日本の約 1.1 倍の面積があります 総人口は約 607 万人で首都はアスンシオン

イ特許専門業務特許戦略 法務 情報 調査 特許戦略に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有すること (1) 特許出願戦略 ( ポートフォリオ戦略等 ) (2) 研究開発戦略と特許戦略の関係 (3) 事業戦略と特許戦略の関係 (4) 標準化戦略 法務に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有

なって審査の諸側面の検討や評価が行われ 関係者による面接が開始されることも ある ベトナム知的財産法に 特許審査官と出願人またはその特許代理人 ( 弁理士 ) の間で行われる面接を直接定めた条文は存在しない しかしながら 審査官は 対象となる発明の性質を理解し 保護の対象を特定するために面接を設定す

平成 27 年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書 商標制度におけるコンセント制度についての 調査研究報告書 平成 28 年 2 月 株式会社サンビジネス

ウルグアイ東方共和国 (UY) ORIENTAL REPUBLIC OF URUGUAY ウルグアイの概要 : ウルグアイは 南米大陸の大西洋側に位置しブラジル及びアルゼンチンと国境を接しております ウルグアイの総面積は 約 17.6 万 k m2で人口は約 343 万人 首都はモンデビデオにありま

第28回 クレームの補正 ☆インド特許法の基礎☆

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指定 ( 又は選択 ) 官庁 PCT 出願人の手引 国内段階 国内編 オーストリア特許庁 国内段階に入るための要件の概要 3 頁概要 国内段階に入るための期間 PCT 第 22 条 (1) に基づく期間 : 優先日から 30 箇月 PCT 第 39 条 (1)(a) に基づく期間 : 優先日から 3

保険給付に関する決定についての審査請求に係る労働者災害補償保険審査官の決定に対して不服のある者は 再審査請求をした日から 3 か月を経過しても裁決がないときであっても 再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経ずに 処分の取消しの訴えを提起することはできない (H23-4B)

社会保険労務士法.xlsx

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出願人のための特許協力条約(PCT) -国際出願と優先権主張-

情報公開に係る事務処理規則 ( 平 18 規則第 16 号平成 18 年 8 月 1 日 ) 改正平 19 規則第 52 号平成 19 年 9 月 21 日平 26 規則第 2 号平成 26 年 5 月 13 日平 26 規則第 22 号平成 27 年 3 月 31 日 第 1 章総則 ( 目的 )

作成日 :2012 年 1 月 5 日 ルーマニア 特許庁の所在地 : State Office for Inventions and Trademarks Office de l Etat pour les Inventions et les Marques B. P. 52, Buc

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

参加人は 異議申立人が挙げていない新たな異議申立理由を申し立てても良い (G1/94) 仮 にアピール段階で参加した参加人が 新たな異議申立理由を挙げた場合 その異議申立手続は第 一審に戻る可能性がある (G1/94) 異議申立手続中の補正 EPCにおける補正の制限は EPC 第 123 条 ⑵⑶に

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作成日 :2012 年 1 月 5 日 フィリピン共和国 特許庁の所在地 : Department of Trade and Industry, Intellectual Property Office P. O. Box 296 Manila Philippines T e l:

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1. 特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約とは 特許法条約 (PLT) 及び商標法に関するシンガポール条約 (STLT) は 各国で異なる国内出願手続の統一化及び簡素化に関する条約である 近年 出願件数が多い欧米諸国の加入が進んでおり 両条約の締約国は PLT が 36 か国 STLT が

件 復審 件数無効 請求件数復審審 復審 審件数無効 請求 審件数無効 請求審 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 復審 件数

指定 ( 又は選択 ) 官庁 PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 - ドイツ特許商標庁 国内段階に入るための要件の概要 3 頁概要 国内段階に入るための期間 PCT 第 22 条 (1) に基づく期間 : 優先日から 30 箇月 PCT 第 39 条 (1)(a) に基づく期間 : 優先

作成日 :2017 年 10 月 21 日 インド India 特許庁の所在地 : Ministry of Commerce and Industry Office of the Controller General of Patents, Designs and Trademarks (CGPDT

【DE】和 特許法

学識経験を有する者の知見の活用 実績評価書資料の表 2( 審決取消訴訟が提起されなかった審決件数 ) 記載の 審決件数 が, うち審決取消訴訟が提起されなかった審決件数 及び表 3( 審決取消訴訟によって取り消された審決件数 ) 記載の 審決取消訴訟提起件数 の合計件数にならないのはなぜか ( 小西

旧法第 114 条 ⑴ 第 1 回目の年金の納付は 特許付与の日から起算して遅くとも1 年以内になされなければならない ⑵ その後の年金納付は 当該特許が存続する限り 遅くとも当該特許付与の日又はライセンスの記録の日と同日までになされなければならない ⑶ ⑴にいう年金は出願の最初の年から起算される

意匠法第十七条の三意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは その意匠登録出願は その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす 2 前項に規定する新たな意匠登録出願があつたときは もとの意匠登

インド特許法の基礎(第35回)~審決・判例(1)~

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<433A5C C6B617A B615C B746F705C8E648E965C8D7390AD8F918E6D82CC8BB38DDE5C A28F6F91E882CC8FF095B696E291E88F D7390AD A5C95BD90AC E937894C55C D837A A96A28F6F91E882CC8FF

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Ⅰ. はじめに 近年 企業のグローバル化や事業形態の多様化にともない 企業では事業戦略上 知的財産を群として取得し活用することが重要になってきています このような状況において 各企業の事業戦略を支援していくためには 1 事業に関連した広範な出願群を対象とした審査 2 事業展開に合わせたタイミングでの

問 2 戦略的な知的財産管理を適切に行っていくためには, 組織体制と同様に知的財産関連予算の取扱も重要である その負担部署としては知的財産部門と事業部門に分けることができる この予算負担部署について述べた (1)~(3) について,( イ ) 内在する課題 ( 問題点 ) があるかないか,( ロ )

訂正情報書籍 170 頁 173 頁中の 特許電子図書館 が, 刊行後の 2015 年 3 月 20 日にサービスを終了し, 特許情報プラットフォーム ( BTmTopPage) へと模様替えされた よって,

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ ベトナム国家知的財産庁 (IP Viet Nam) と日本国特許庁 (JPO) との間の特許審査ハイウェイ試行プログラムに関するベトナム国家知的財産庁への申請手続 ( 仮訳 ) 日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ

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2 センターは 前項の届出を受理したときは 当該利用者の設定を解除するものとする ( 設定票等の再発行 ) 第 7 条利用者は センターが交付した Web-EDI 機能利用情報の書類の再交付を申請するときは 様式 WE-04 号 Web-EDI 機能利用証等再交付申込書 に必要事項を記載して センタ

点で 本規約の内容とおりに成立するものとします 3. 当社は OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用申込みがあった場合でも 任意の判断により OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用をお断りする場合があります この場合 申込者と当社の間に利用契約は成立し

しなければならない 2. 乙は プライバシーマーク付与の更新を受けようとするときは プライバシーマーク付与契約 ( 以下 付与契約 という ) 満了の8ヶ月前の日から付与契約満了の4 ヶ月前の日までに 申請書等を甲に提出しなければならない ただし 付与契約満了の4ヶ月前の日までにプライバシーマーク付

別紙 新旧対照表 ( 注 ) アンダーラインを付した部分は 改正部分である 改正後改正前引用の法令番号一覧表引用の法令番号一覧表 索引法令名法令番号 か ( 省略 ) ( 省略 ) 索引法令名法令番号 か ( 同左 ) ( 同左 ) 家事事件手続法 平成 23 年法律第 52 号 家事審判法 昭和

2.1 提供方法 提供形態 登録されたサービス利用者に発行される ID パスワードによりアクセス できるダウンロードサイトから オンラインで提供される 提供周期 新規発生分 / 更新処理分のデータは 日次及び週次で提供される ただし 週次データにおいて期間内に更新又は削除が複

目次 1. ライセンスの概要 2. 技術ライセンスの留意点 2.1 全体の留意点 2.2 特許ライセンス契約作成時の留意点 2.3 ノウハウライセンス契約作成時の留意点 3. 商標ライセンスの留意点 4. まとめ 2

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

市町村合併の推進状況について

第22回 特許要件(3)☆インド特許法の基礎☆

限され 当事者が商標を使用する能力に直接の影響はありません 異議申し立て手続きと取消手続きで最もよく見られる問題とは 混同のおそれ と 単なる記述 です TTAB は登録の内容のみを評価するため その分析の局面には 想定に基づくものもあります 通常 TTAB では どのように標章が実際の製品において

様式 2 特許庁長官殿 平成年月日 特定登録調査機関 印 特定登録調査機関代表者 印 先行技術調査業務規程届出書 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第 39 条の 7 に従い 先行技術調 査業務規程を届け出ます 添付書類 先行技術調査業務規程平成 年 月特定登録調査機関

(9) 商法 会社法 (10) 民事執行法 (11) 民事保全法 5 前各号に掲げる科目のほか次に掲げる科目のうち 受検者が選択するいずれか一の科目イ特許専門業務 A 戦略 A-1 知的財産戦略 B 管理 B-1 法務 C 創造 ( 調達 ) C-1 情報 調査 知的財産戦略に関し 次に掲げる事項に

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆

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欧州特許庁における審査期間短縮手段 背景欧州出願は 日本 米国と比較して係属期間が長い また 欧州出願では 登録まで出願維持年金を特許庁に支払う必要があり 係属期間が長くなると費用が高くなる そこで 早期権利化と 権利化にかかる費用の削減のために 欧州特許庁における審査期

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経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 パブリックコメント担当 御中

作成日 :2006 年 10 月 1 日 世界知的所有権機関 World Intellectual Property Organization (WIPO) 所在地 :34 chemin des Colombettes, 1211 GENEVE 20, Switzerland Tel : (41 2

資料 4 平成 26 年度特許庁実施庁目標 参考資料 2014 年 3 月 28 日

理由群 Ⅰ ア拒絶理由が通知された際の補正は意見書においてすることができるので, 手続補正書の提出は不要であるためイ意見書は必ず提出しなければならないというわけではないためウ拒絶理由が通知された際の補正には, 必ず意見書の提出が必要であるため 問 3 発言 2について, 適切と考えられる場合は を,

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条この業務規程は 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律 ( 平成 2 年法律第 30 号 以下 法 という ) 第 39 条において準用する同法第 22 条第 1 項の規定に基づき 調査業務の実施に関し必要な事項を定めることを目的とする ( 調査業務実施の

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インド特許法の基礎 ( 第 26 回 ) ~ 知的財産権審判部 ~ 河野特許事務所 弁理士安田恵 1. はじめにインドには知的財産権審判部 (IPAB: Intellectual Property Appellate Board) が設置されており 審判部は 中央政府又は特許意匠商標総局の長官によって行われた各種決定 命令 指示に対する審判請求事件 特許取消などの事件を管轄している 審判部における審理対象を概観する 2. 知的財産権審判部インドの中央政府は 迅速な審判事件の処理を目的として 1999 年商標法に基づいて 2003 年 9 月 15 日に知的財産権審判部 1 を設置した ( 商標法第 83 条 ) 審判部の本部はチェンナイに置かれている 審判部は チェンナイ デリー ムンバイ コルカタ及びアーメダバードを巡回し 各地で開廷されている 2 2007 年 4 月 2 日には 審理対象が特許関連事件に拡張された (2002 年改正特許法第 116 条 (1)) 高等裁判所に係属していた各種事件は 中央政府官報により告示された日 (2007 年 4 月 2 日 ) から審判部へ移送され 審判部が審理を行うことになった ( 第 117G 条 ) ただし 侵害訴訟における反訴としての特許取消に係る事件については 審判部へ移送されず 高等裁判所において審理が継続された 3. 審理対象の種類 (1) 審判部における審理対象は大きく分けて次の3つである (i) 中央政府又は長官による決定 命令 指示に対する審判請求 ( 第 117A 条 (2)) (ii) 特許取消に係る申請 ( 第 64 条 ) (iii) 登録簿の更正に係る申請 ( 第 71 条 ) (2) 日本の審判との比較 表 1 は 日本の審判の種類と インドにおける審判部への審判請求及び請求の対象を 1 IPAB のホームページ http://www.ipabindia.in/index.html (2015 年 7 月 21 日現在 ) 2 http://www.ipabindia.in/jurisdiction.aspx 1

比較したものである インド特許法には日本の訂正審判に相当する審判請求の規定が存在しない インドにおいては 特許付与後も長官に願書及び明細書の補正を申請することができるためである ( 第 57 条 ) また インドにおいては 特許権の存続期間を延長させる制度が存在しないため 延長登録無効審判に相当する審判請求の規定も存在しない 一方 日本における行政不服審査法の審査請求若しくは異議申立の対象又は裁判所で争うべき対象の中には インドの審判部における審理対象になっているものもある 日本 インド 拒絶査定不服審判 ( 第 121 条 ) 第 15 条に基づく拒絶命令に対する審判請 求 ( 第 117A 条 (2)) 特許無効審判 ( 第 123 条 ) 特許取消の申立 ( 第 64 条 ) 訂正審判 ( 第 126 条 ) 無し 延長登録無効審判 ( 第 125 条の2) 無し 無し 中央政府又は長官によるその他の決定 命 令 指示に対する審判請求 ( 第 117A 条 (2)) 無し 登録簿の更正の請求 ( 第 71 条 ) 表 1 日本及びインドの審判 4. 審判部への審判請求 (appeal 3 )( 第 117A 条 ) 中央政府又は特許意匠商標総局の長官が行った決定 命令 指示に対して 審判部に審判請求を行うことができる ( 第 117A 条 (2)) 日本特許法に比べ 中央政府及び長官の権限は多岐にわたり 拒絶査定以外にも出願人又は特許権者に対して不利な決定 命令 指示が発せられることがある これらの各種決定 命令又は指示に対する審判も審判部に請求することができる 審判請求を行うことができる対象は以下の通り 第 117A 条 (2) に列挙されている これらの審理対象については いかなる裁判所も当該事項に関する管轄権 権限若しくは権能を有しない ( 第 117C 条 ) (1) 特許出願の拒絶 ( 第 15 条 ) (2) 特許出願の分割命令 ( 第 16 条 ) (3) 特許出願の後日付に関する命令 ( 第 17 条 ) (4) 先発明に係る他の明細書についての言及を明細書中に挿入すべき旨の指示 ( 第 18 条 ) (5) 侵害のおそれがある他の特許についての言及を明細書中に挿入すべき旨の指示 3 2010 年知的財産権審判部 ( 特許手続 ) 規則 2 条 (d) 2

( 第 19 条 ) (6) 出願人の名義変更に係る命令 ( 第 20 条 ) (7) 特許異議申立に係る特許維持命令 補正命令 取消命令 ( 第 25 条 (4)) (8) 特許及び登録簿への発明者の記載命令 ( 第 28 条 ) (9) 特許共有者に対する売却 賃貸 ライセンス許諾に係る指示 ( 第 51 条 ) (10) 追加特許の拒絶 ( 第 54 条 ) (11) 願書又は明細書の補正の申請に対する決定 ( 第 57 条 ) (12) 失効した特許の回復に係る決定 ( 第 60 条, 第 61 条 ) (13) 特許の放棄に係る決定 ( 第 63 条 ) (14) 公共の利益を損なう特許の取消に係る決定 ( 第 66 条 ) (15) 特許に係る各種権限 ( 持ち分 ライセンス等 ) の登録申請の拒絶 ( 第 69 条 (3)) (16) 誤記等の訂正に係る命令 ( 第 78 条 ) (17) 強制実施権に係る命令 ( 第 84 条 (1)~(5), 第 88 条, 第 91 条, 第 92 条, 第 94 条 ) (18) 不実施による特許の取消 ( 第 85 条 ) 第 117A 条 (2) に列挙された審理対象は限定列挙であり その他の中央政府の決定 命令若しくは指示 又は当該命令などを執行することを目的とした長官による決定 命令若しくは指示に対して審判請求を行うことができない ( 第 117A 条 (1)) 例えば 国防目的に関する発明に対する秘密保持の指示 ( 第 35 条 ) 原子力関連発明に係る特許の取消 ( 第 65 条 ) に対して審判請求を行うことができない また 期間延長申請に対する長官の処分に対しても不服を申し立てることができない ( 第 81 条 ) 5. 審判部への申請 (application 4 )( 第 64 条又は第 71 条 ) (1) 特許取消に係る申請 ( 第 64 条 ) 利害関係人は, 第 64 条 (1) に挙げられた理由に基づいて特許の取消を審判部に申し立てることができる ( 第 64 条 (1)) 審判部は, 利害関係人による申立に基づいて特許を取り消すことができる ( 第 64 条 (1)) (2) 登録簿の更正に係る申請 ( 第 71 条 ) 登録簿の記載に瑕疵があった場合, 被害者は登録簿の更正を審判部に申請することができる ( 第 71 条 (1)) 具体的には (a) 何らかの記載の登録簿からの欠如若しくは脱漏, (b) 十分な理由なしに登録簿にされた何らかの記載,(c) 登録簿に不正に残存している何らかの記載,(d) 登録簿へされた何らかの記載における何らかの誤記若しくは瑕疵による被害者は 登録簿の更正を請求することができる 4 2010 年知的財産権審判部 ( 特許手続 ) 規則 2 条 (f) 3

6. 請求時期 (1) 審判請求 ( 第 117A 条 ) 長官又は中央政府による決定 命令又は指示に不服がある者は その日から 3ヶ月以内に審判請求を行わなければならない ( 第 117A 条 (4)) ただし 3 ヶ月の期間を徒過しても 審判部によって附加期間が許可された場合 その附加期間内に審判請求を行うことができる ( 第 117A 条 (4)) (2) 特許取消の申請 ( 第 64 条 ) 申請時期に関する特段の規定は無く いつでも請求できる (3) 登録簿の更正の申請 ( 第 71 条 ) 登録簿の更正の申請についても特段の規定は無い しかし 瑕疵ある登録がなされたときから3 年以内に更正申請を行わなければならない旨の判断が示された判例 5 がある ( 出訴期限法第 137 条 ) 例えば 権原の登録申請を行った者は, 登録内容に不備が無いかを確認し, 不備がある場合, 登録から3 年以内に更新の申請を行うことが望ましい ただ, 上記判例は特許権者が登録更正の申請を行う場合の申請期限を判断したものである 登録簿の瑕疵を知り得ない他の被害者の更正申請も, 瑕疵ある登録がされてから 3 年と解釈することは, 被害者に酷であり, 瑕疵ある登録を知り得ない第三者の更正申請の期限はこれに限られないと考えられる ただ特許の譲渡又は実施許諾によって特許の持ち分又は実施権を取得しておきながら, 登録を行わずに3 年以上も放置していたような場合, 権原登録の申請を行えば発覚し得た登録の瑕疵を放置していたことになり, 登録の更正申請が認められない可能性もあり得ると思われる 特許に係る何らかの権利を取得した場合, その権利が正当な権原に基づくものであっても未登録の状態のまま放置しておくと, 権原登録に支障が生じる可能性もあるため, 遅滞なく権原の登録申請を行うべきと考えられる 7. 審判請求及びその他の請求の手続審判部に対する手続きの詳細は 審判部によって制定された 2010 年知的財産権審判部 ( 特許手続 ) 規則 6 に定められている ( 第 117H 条 ) 以下 適宜 IPAB 規則と呼ぶ また審判請求及び申請の様式及び手数料については 中央政府が制定した 2013 年特許 5 Bayer Aktiengesellschaft Of Leverkusen Federal Republic of Germany vs Controller Of Patents, Government of India, AIR 1982 Cal 30. 当該判決は 2002 年改正法前になされたものである 2002 年改正では審理機関が 高等裁判所 から 審判部 に変更されたが, 改正後の第 71 条に対しても当該判決は適用し得ると考えられる 6 http://www.ipabindia.in/pdf/no.g.s.r.930(e).pdf (2015 年 7 月 21 日現在 ) 4

( 知的財産審判部への審判及び申請 ) 規則 7 に定められている ( 第 159 条 ) (1) 審判請求 ( 第 117A 条 ) 第 117A 条の審判請求は所定の様式により行わなければならない ( 第 117A 条 (3)) 具体的には 2013 年特許 ( 知的財産審判部への審判及び申請 ) 規則に定められた様式 2 8 により行う (IPAB 規則 3 条 (1)) また 審判の対象となる命令の写しを添付し 所定の手数料を納付しなければならず ( 第 117A 条 (3)) 命令の写しの少なくとも一つは認証謄本でなければならない ( 審判手続規則 5 条 (2)) (2) 特許取消及び登録簿の更正の申請 ( 第 64 条及び第 71 条 ) 第 64 条又は第 71 条の申請は 所定の様式により行わなければならない ( 第 117D 条 (1)) 具体的には 当該申請は 2013 年特許 ( 知的財産審判部への審判及び申請 ) 規則に定められた様式 1 9 により行い (IPAB 規則 3 条 (2)) 所定の手数料を納付しなければならない 当該申請書には 必要に応じてその申請を裏付けるための依拠する証拠を 証拠物件に係る宣誓供述書として添付しなければならない ( 審判手続規則 5 条 (1)) 以上 7 http://www.ipabindia.in/pdf/no.g.s.r.209(e).pdf (2015 年 7 月 21 日現在 ) http://www.ipabindia.in/pdf/act2013.pdf(2015 年 7 月 21 日現在 ) 8 IPAB 規則 3 条 (1) は 2010 年特許 ( 知的財産審判部への審判及び申請 ) 規則の別表 1 に添付された様式 1 により審判請求を行うべき旨を規定しているが 2010 年同規則及び別表は 2011 年及び 2013 年に改正されている 9 IPAB 規則 3 条 (2) は 2010 年特許 ( 知的財産審判部への審判及び申請 ) 規則の別表 1 に添付された様式 2 により審判請求を行うべき旨を規定しているが 2010 年同規則及び別表は 2011 年及び 2013 年に改正されている 5