変更の内容 変更の理由 原則的な遡及適用の場合 原則的な遡及適用が実務上不可能な場合 変更の内容 変更の理由 変更による影響額 ( 注 1) 変更による影響額 ( 注 2) 原則的な遡及適用が実務上不可能な理由 会計方針の変更の適用方法 会計方針の変更の適用開始時期 ( 注 1) 原則的な遡及適用に

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参考 企業会計基準第 25 号 ( 平成 22 年 6 月 ) からの改正点 平成 24 年 6 月 29 日 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 の設例 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 平成 22 年 6 月 30 日 ) の設例を次のように改正

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ソフトバンク株式会社

2 決算短信 ( サマリー情報 ) の記載上の注意事項 以下の内容は 原則として 通期第 1 号参考様式を使用する連結財務諸表作成会社 ( 日本基準 ) を念頭において記載しています 連結財務諸表非作成会社 ( 日本基準 ) IFRS 適用会社及び米国会計基準適用会社の場合は 参考様式ごとの取扱いに

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自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

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に相当する金額を反映して分割対価が低くなっているはずですが 分割法人において移転する資産及び負債の譲渡損益は計上されませんので 分割法人において この退職給付債務に相当する金額を損金の額とする余地はないこととなります (2) 分割承継法人適格分割によって退職給付債務を移転する場合には 分割法人の負債

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平成 29 年 12 月期第 3 四半期決算短信 日本基準 ( 非連結 ) 平成 29 年 11 月 7 日 上場会社名 株式会社太陽工機 上場取引所 東 コード番号 6164 URLhttp:// 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 渡辺 登 問

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従って IFRSにおいては これらの減価償却計算の構成要素について どこまで どのように厳密に見積りを行うかについて下記の 減価償却とIFRS についての説明で述べるような論点が生じます なお 無形固定資産の償却については 日本基準では一般に税法に準拠して定額法によることが多いですが IFRSにおい

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会計処理 29 当事業年度の所得等に対する法人税 住民税及び事業税等 29 更正等による追徴及び還付 30 追徴税額について課税を不服として法的手段を取る場合の取扱い 34 開示 36 当事業年度の所得等に対する法人税 住民税及び事業税等 37 受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税 38 外

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

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1 四半期報告書の訂正報告書の提出理由 当社の在外子会社において 過去の繰延税金資産の計上に誤謬があることが判明し 訂正いたしました これに伴い 平成 29 年 2 月 13 日に提出いたしました第 54 期第 3 四半期 ( 自平成 28 年 10 月 1 日至平成 28 年 12 月 31 日


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第 4 経理の状況 1. 四半期連結財務諸表の作成方法について 当社の四半期連結財務諸表は 四半期連結財務諸表の用語 様式及び作成方法に関する規則 ( 平成 19 年内閣府令 第 64 号 ) に基づいて作成しております 2. 監査証明について当社は 金融商品取引法第 193 条の2 第 1 項の規


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2020 年 3 月期第 1 四半期決算短信 日本基準 ( 非連結 ) 2019 年 7 月 31 日上場会社名株式会社スターフライヤー上場取引所東コード番号 9206 URL 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長執行役員 ( 氏名 ) 松石禎己問

ソネット・エムスリー株式会社

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Microsoft Word - メルマガQ&A(23.8.1問2)利益剰余金の資本組入(父確認中)

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Transcription:

前 2 回のMonthly Reportに引き続き 企業会計基準第 24 号 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準 ( 以下 基準という ) 及び企業会計基準適用指針第 24 号 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針 ( 以下 適用指針という ) によって必要となる遡及処理 ( 遡及適用 財務諸表の組替え又は修正再表示 ) 並びにこれに伴う他の会計基準等の改訂の内容について解説します 本文中 意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であることを あらかじめ申し添えます 8. 四半期財務諸表の取扱い (1) 遡及処理会計方針の変更 表示方法の変更及び過去の誤謬の訂正が行われた場合には 基準に準じて遡及処理を行います ( 四半期会計基準 102 項 103 項 162 項 182 項 212 項 213 項 222 項 242 項 ) なお 第 2 四半期会計期間以降に自発的に重要な会計方針を変更する場合で 当年度に含まれる 会計方針の変更を行う四半期会計期間より前のすべての四半期会計期間に新たな会計方針を適用することが実務上不可能なときには 年度との会計処理の首尾一貫性の観点から 翌年度の期首時点で会計方針の変更を行い 当該期首以前の実行可能な最も古い日から将来にわたり新たな会計方針を適用することになると考えられます ( 四半期会計基準 473) たとえば 第 3 四半期会計期間に自発的に重要な会計方針を変更しようとしたところ 新たな会計方針を当該年度の第 1 及び第 2 四半期会計期間に適用することが実務上不可能であった場合 翌年度の期首時点で会計方針の変更を行い 当年度の第 3 四半期会計期間から将来にわたって新たな会計方針を適用することになると考えられます (2) 注記事項 1 会計方針の変更に関する注記 i) 会計基準等の改正以外の正当な理由による会計方針の変更の場合会計基準等の改正以外の正当な理由により会計方針の変更を行った場合には 変更を行った四半期会計期間以後において 以下の事項を注記しなければなりません ( 四半期会計基準 19 項 (2) (22) 25 項 (1) (12))

変更の内容 変更の理由 原則的な遡及適用の場合 原則的な遡及適用が実務上不可能な場合 変更の内容 変更の理由 変更による影響額 ( 注 1) 変更による影響額 ( 注 2) 原則的な遡及適用が実務上不可能な理由 会計方針の変更の適用方法 会計方針の変更の適用開始時期 ( 注 1) 原則的な遡及適用における変更による影響額とは 新たな会計方針の遡及適用により影響を受ける前年度の期首からの累計期間に係る税金等調整前四半期純損益又は税引前四半期純損益 その他の重要な項目 ( たとえば 前年度の期首の純資産に反映された 遡及適用による累積的影響額 )( 以下 税金等調整前四半期純損益等という ) への影響額をいう ( 四半期適用指針 33 項 四半期適用指針 1042 項 ) ( 注 2) 原則的な遡及適用が実務上不可能な場合で 前年度の四半期財務諸表について遡及適用を行っていないときにおける変更による影響額とは 新たな会計方針の適用により影響を受ける 前年度又は当年度 ( 前年度の期首以前の実行可能な最も古い日から将来にわたり新たな会計方針を適用している場合には前年度のみ ) の期首からの累計期間に係る税金等調整前四半期純損益等への影響額をいう なお 当年度の影響額を適時に正確に算定することができない場合には 資本連結をやり直さないなど適当な方法による概算額とすることができる ( 四半期適用指針 33 項 ) 当年度の第 2 四半期以降に自発的に会計方針の変更を行った場合には 上記に加え 第 2 四半期以降に変更した理由も注記しなければなりません ( 四半期会計基準 19 項 (3) 25 項 (2)) また 前年度の第 2 四半期以降に自発的に会計方針の変更を行い かつ 遡及適用により当年度に比較情報として開示する前年度の四半期財務諸表と 前年度に開示した四半期財務諸表に適用した会計方針との間に相違がみられる場合には その旨も注記しなければなりません ( 四半期会計基準 19 項 (32) 25 項 (22)) ii) 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更の場合会計基準等の改正により会計方針の変更を行った場合には 変更を行った四半期会計期間以後において 以下の事項を注記しなければなりません ( 四半期会計基準 19 項 (2) 25 項 (1) 四半期適用指針 33 項 )

変更の内容 会計基準等の名称 経過的な取扱いがない場合 変更の内容 会計基準等の名称 経過的な取扱いに従った場合 変更による影響額 ( 注 3) 変更による影響額 ( 注 4) 経過的な取扱いに従って会計処理している旨 経過的な取扱いの概要 ( 注 3) 経過的な取扱いがなく 原則的な遡及適用を行っている場合における変更による影響額については ( 注 1) を参照 ( 注 4) 経過的な取扱いに従って会計処理を行った場合で 前年度の四半期財務諸表について遡及適用を行っていないときにおける変更による影響額については ( 注 2) を参照 2 表示方法の変更に関する注記表示方法の変更を行った場合には その内容 ( 注 5) を注記しなければなりません ( 四半期基準 19 項 (5) 25 項 (4)) ( 注 5) 組替えの内容 組替えを行った理由 組替えられた四半期財務諸表の主な項目の金額及び四半期財務諸表の組替が実務上不可能な場合にはその理由をいう ただし 変更の内容が明らかである場合には 記載しないことができる ( 四半期適用指針 36 項 ) 3 会計上の見積りの変更に関する注記会計上の見積りを変更した場合 変更を行った四半期会計期間以後において その内容及び影響額 ( 注 6) を注記しなければなりません ( 四半期会計基準 19 項 (4) 25 項 (3)) ( 注 6) 見積りの変更により影響を受ける当年度の期首からの累計期間に係る税金等調整前四半期純損益等への影響額をいう なお 影響額を適時に正確に算定することができない場合には 資本連結をやり直さないなど適当な方法による概算額とすることができる ( 四半期実務指針 34 項 ) 4 会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区分することが困難な場合の注記会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区分することが困難な場合には 変更を行った四半期会計期間以後において その内容 その理由及び影響額 ( 注 7) を注記しなければなりません ( 四半期会計基準 19 項 (42) 25 項 (32) ( 注 7)( 注 6) を参照 5 修正再表示に関する注記過去の誤謬の修正再表示を行った場合には その内容及び影響額 ( 注 8) を注記しなければなりません ( 四半期会計基準 19 項 (22) 25 項 (21)) ( 注 8) 修正再表示により影響を受ける前年度の期首からの累計期間に係る税金等調整前四半期純損益等への影響額をいう ( 四半期実務指針 35 項 )

(3) その他遡及処理が行われた場合の1 株当たり情報やセグメント情報については 年度の取扱い ( 前回の Monthly Reportの7 参照 ) に準じることとなります ( 四半期適用指針 512 項 552 項 ) 9. 有価証券報告書における取扱い (1) 比較情報当年度の財務諸表は 当該財務諸表の一部を構成するものとして比較情報 ( 当該年度に係る財務諸表 ( 附属明細表を除く ) に記載された事項に対応する前年度に係る事項 ) を含めて作成しなければならないものとされました ( 財規 6 連結財規 8の3) よって 比較情報としての前年度の財務諸表は 当年度の財務諸表の一部を構成することになります 比較情報としての前年度の財務数値は 前年度に提出された財務諸表自体を全体として修正したものではなく 当年度の財務諸表に対応する前年度の数値を必要な限りで修正 記載したものであると位置づけられます ( 監査基準の改訂について ( 企業会計審議会 2010 年 3 月 26 日 ) 二 4(1)) 比較情報という考え方の導入に伴い 有価証券報告書に当年度の財務諸表と前年度の財務諸表とを併記すること求めていた規定が削除され ( 旧開示府令第三号様式記載上の注意 (40) 等参照 ) 代わりに 財務諸表等規則の定めによって作成した当年度の財務諸表等を記載することが新たに規定されました ( 開示府令第三号様式記載上の注意 (40) 等 ) ただし 上述のとおり 比較情報としての前年度の財務諸表は当年度の財務諸表の一部を構成しますので 比較情報としての前年度の財務諸表は併記されることになります なお これに併せて 監査対象も有価証券報告書に記載される当年度の財務諸表のみとなっています ( 監査証明府令 1 七 八 ) 当年度の財務諸表に含まれる比較情報については監査手続を限定的に行い 監査意見は当年度の財務諸表のみに言及し 比較情報には明示的に言及しない方式 ( 対応数値方式 ) が採用される見込みですが ( 監査基準の改訂について 二 4(2)) 具体的には 日本公認会計士協会から今後公表されるであろう実務の指針を待つ必要があります (2) ハイライト情報基準によって遡及処理が求められるのは表示期間に係る財務諸表 ( 比較情報としての前年度の財務諸表 ) であるため 最近 5 年度に係る主要な経営指標等の推移 ( いわゆるハイライト情報 ) のうち 前年度に係る経営指標等については遡及処理後の金額で記載する必要があります 前年度以前の期間については必ずしも遡及処理後の金額とすることが求められませんが 提出会社の判断により 遡及処理後の金額とすることは可能であると考えられます ただし この場合には その旨を注記する必要があることに留意が必要です ( 開示ガイドライン5122) (3) 四半期業績の要約開示 第 5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (2) その他 又は 第 5 経理の状況 2. 財務諸表等 (3) その他 において開示される当年度の各四半期会計期間に係る財務情報についても 遡及処理後の金額とすることが有用であると考えられます ( 四半期基準 70 項 )

10. 訂正報告書との関係過去の誤謬の訂正を行う場合 訂正報告書との関係が問題になると考えられます 過去の誤謬を当年度の特別損益 ( 前期損益修正 ) 処理する従来の取扱いは 基準の適用により 比較情報として表示される過去の財務諸表を修正再表示する方法に変更されることになりますが 重要性の判断に基づき修正再表示しない場合は 営業損益又は営業外損益として処理されると考えられます ( 基準 65 項 ) 一方 訂正報告書は 有価証券報告書提出者が有価証券報告書の訂正を必要とすると認めた場合等に提出することとされており ( 金商法 7 条参照 ) 一般的には 有価証券報告書に重要な誤りが発見された場合に訂正報告書が提出されていると考えられます これらの関係を 基準の適用前後でイメージ図として表現すると 概ね以下のようになると考えられます 過去の誤謬の 従来 今後 重要性 修正再表示 訂正報告書の提出 修正再表示 訂正報告書の提出 高 有 有有有 中 無有有 (?) 無 ( 特別損益処理 ) 無無 無 低 ( 営業損益又は営業 無 無 無 外損益処理 ) 修正再表示に関する会計基準はありませんが 開示制度の中で事実上 修正再表示されているといえます 従来は訂正報告書を提出せずに特別損益 ( 過年度損益修正 ) 処理していた過去の誤謬の取扱い ( 上表でハイライトした部分 ) が論点になると考えられます 従来は特別損益 ( 過年度損益修正 ) 処理していたものの 財務諸表利用者の意思決定への影響に照らして量的 質的重要性を考慮 ( 基準 35 項 ) すると重要ではないと判断された過去の誤謬があった場合 その性質に応じて営業損益又は営業外損益処理され 従来どおり訂正報告書は提出されないものと考えられます

一方で 従来は特別損益 ( 過年度損益修正 ) 処理していたもののうち 重要であると判断された過去の誤謬があった場合 修正再表示し 従来どおり訂正報告書を提出しないことも考えられますが 比較情報としての過去の財務諸表を修正再表示したにもかかわらず訂正報告書を提出しない ( 過去の有価証券報告書を訂正しない ) のは整合しないため 訂正報告書を提出することが考えられます この点 基準では 本会計基準は 当期の財務諸表及びこれに併せて比較情報として過去の財務諸表が表示されている場合を前提に誤謬の取扱いについて定めており 既に公表された財務諸表自体の訂正期間及び訂正方法は 各開示制度の中で対応が図られるものと考えられる ( 基準 65 項 ) とされており 訂正報告書との関係については触れていません また 金融商品取引法の手当ても 本稿執筆時点では特段行われていません 過去の誤謬の修正再表示を行った場合に どの範囲で訂正報告書を提出すべきなのか 今後の実務の動向に注意する必要があると考えられます 11. 会社法計算書類における取扱い会社計算規則の適用等に当たっては 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行をしん酌しなければならないため ( 計規 3) 基準の適用を受ける会社においては 会社法の計算書類を作成する際にも基準に準拠する必要があると考えられます しかし 会社法の枠組みにおいては 定時株主総会等によって計算書類が適法に承認 ( 会 4382 等 ) されると当該計算書類が 確定 するため 基準に従って遡及処理を行った場合であっても 確定済みの計算書類の内容が変更されることはありません したがって 遡及処理を行った年度の計算書類作成に当たっては 前期末残高に前期までの遡及処理の累積的影響額を加算又は減算した額を当期首残高として当期の会計処理を開始することになります ( 注 9) なお 過年度の計算書類を会社の判断で遡及処理し 参考書類として定時株主総会に提供することは可能であり ( 計規 1333 1343) 事業報告の直前 3 事業年度の財産及び損益の状況 ( 施規 1201 六 ) を遡及処理後の金額に基づいて作成することも可能です ( 施規 1203) ( 注 9) 小松岳志 澁谷亮 和久友子 会社法における過年度事項の修正に関する若干の整理 ( 商事法務 No.1866) 12. 税務申告との関係会計方針を変更した場合 税務上は遡及適用することはできないため 過年度の課税所得計算に影響を与えることはありません ただし 会計上は遡及適用するため 前年度の確定申告書別表 5(1) における 差引翌期首現在利益積立金額 が当年度の 期首現在利益積立金額 に引き継がれないこととなります したがって 当年度の別表 5(1) において その差額を調整するなどの対応が必要になると考えられます 表示方法を変更した場合 課税所得計算には影響を与えないため 税務上は特段の手当ては必要ないと考えられます ただし 確定申告書別表 4や別表 5(1) などにおいて 会計上の表示科目を用いて調整計算している場合で 当該科目が組替の対象となっているときには 表示科目を調整する必要が生じると考えられます 会計上の見積りを変更した場合 会計上も遡及処理しないため 課税所得計算には影響を与えず 税務上は特段の手当ては必要ないと考えられます

過去の誤謬を訂正した場合 誤謬の内容が課税所得計算に影響を与えないとき ( たとえば 有税で行った資産の評価減の適用誤り ) は 税務上は特段の手当ては必要ないと考えられます しかし 課税所得計算に影響を与えるとき ( たとえば 売上の計上漏れ ) は 修正申告の対象になると考えられます 13. 適用時期等基準及び適用指針は 2011 年 4 月 1 日以後開始事業年度の期首以後に行われる会計上の変更及び過去の誤謬の訂正から適用されます ただし 未適用の会計基準等に関する注記 ( 前回のMonthly Report の6(2) 参照 ) は 2011 年 4 月 1 日以後開始事業年度からの適用となります また 1 株当たり情報 ( 同 7(1) 参照 ) セグメント情報( 同 7(2) 参照 ) 在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い( 同 7(3) 参照 ) 繰延資産 ( 同 7(4) 参照 ) 四半期財務諸表(8 参照 ) の適用時期は基準と同様であり 2011 年 4 月 1 日以後開始事業年度からとなります 2010 年 9 月 30 日に公布及び施行された連結財務諸表規則及び財務諸表等規則の改正 ( 遡及処理に関連する部分に限る ) は 2011 年 4 月 1 日以後開始連結会計年度及び事業年度に係る連結財務諸表及び財務諸表から適用されます 以上 公認会計士中野秀俊 text : hidetoshi nakano