ではないが そのような基準は 例えば保険のカバーなどの例のように 民と民の関係には意味を持つ さらに業界は アデン湾で展開する軍と密接に協力し BMP( ベストマネジメントプラクティス ) を作成している BMP は ハイリスクエリアにおけるシージャックの危険を減らすために船会社および船長が実施する

Similar documents
特定個人情報の取扱いの対応について

特定個人情報の取扱いの対応について

個人情報保護規定

文書管理番号

Microsoft Word - アンチ・ドーピング規程(クリーン).docx

(Microsoft Word - \201iAL\201jAG-Link\227\230\227p\213K\222\350.doc)

Microsoft Word - ○指針改正版(101111).doc

14個人情報の取扱いに関する規程

< F2D958D91AE8F E6A7464>

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

p81-96_マンション管理ガイド_1703.indd

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

SGEC 附属文書 理事会 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文

< F2D8EE888F882AB C8CC2906C>

スライド 1

しなければならない 2. 乙は プライバシーマーク付与の更新を受けようとするときは プライバシーマーク付与契約 ( 以下 付与契約 という ) 満了の8ヶ月前の日から付与契約満了の4 ヶ月前の日までに 申請書等を甲に提出しなければならない ただし 付与契約満了の4ヶ月前の日までにプライバシーマーク付

PowerPoint Presentation

保健福祉局地域福祉課

文書管理規程 1.0 版 1

特定個人情報の取扱いに関する管理規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 特定個人情報の漏えい 滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のための措置を講ずるに当たり遵守すべき行為及び判断等の基準その他必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条 この規定における用語の意義は 江戸川区個人情報保

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

( 審査の申請 ) 第 5 条甲は プライバシーマーク付与適格性審査の実施基準 に基づき 付与適格性審査を申請した者 ( 以下 乙 という ) の審査を行う 乙は 甲が定めるところにより 付与適格性審査にかかわる申請書及び申請書類 ( 以下 申請書等 という ) を甲に提出しなければならない 2 乙

Microsoft Word _3.docx

保健福祉局地域福祉課

Microsoft Word - guideline02

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 23 国民年金関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 甲府市は 国民年金関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかね

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

Webエムアイカード会員規約

個人情報保護に関する規定 ( 規定第 98 号 ) 第 1 章 総則 ( 目的 ) 第 1 条学校法人トヨタ学園および豊田工業大学 ( 以下, 総称して本学という ) は, 個人情報の保護に関する法律 ( 平成 15 年法律第 57 号, 以下, 法律という ) に定める個人情報取り扱い事業者 (

個人情報保護規程

 

また 立入調査は 市職員又は市長が委任した者が行い 調査者については身分等を示す証明書を携帯し 関係者からの請求があった場合は提示しなければならないため 立入調査員証 ( 様式第 2 号 ) により身分を証明するものとします 参考 < 基本指針 > 一 7(p.12~13) <ガイドライン> 第 3

3 治験実施計画書目的 当該治験について 治験実施計画書が手順書に従い適切に作成及び改訂されていることを確認する 次の事項を調べる (1) 治験実施計画書の記載項目 ( 再生医療等製品 GCP 省令第 7 条第 1 項に規定する項目 ) (2) 治験実施計画書の作成 改訂の手順と日付 (3) 治験計

Microsoft Word IHO S-66 日本語版(表紙・目次).docx

新旧対照表

マネジメントシステム認証規則 目次 1 章総則 1.1 一般 2 章マネジメントシステムの登録 2.1 一般 2.2 登録簿 2.3 登録証書 2.4 登録マークの使用及び認証の引用 2.5 登録維持 2.6 登録継続 2.7 登録の拒否 消除 一時停止 一時停止後の復帰 並びに範囲の拡大及び縮小

個人情報管理規程

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

Privacy Policy Code of Ethics - JP

Microsoft Word - 2-1 契約書

厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律

Microsoft Word - 【施行②】第50条解釈適用指針Rev4.doc

プライバシーポリシー 発効日 :2017 年 12 月 本ポリシーはウルルン河口湖が所有し 運営する に適用されます 本ポリシーは ユーザーが のウェブサイトで提供する個人情報を当施設がどのように

財団法人日本体育協会個人情報保護規程

点で 本規約の内容とおりに成立するものとします 3. 当社は OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用申込みがあった場合でも 任意の判断により OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用をお断りする場合があります この場合 申込者と当社の間に利用契約は成立し

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

よこはまウォーキングポイント事業実施要綱 制定平成 26 年 8 月 20 日健保事第 1631 号 ( 局長決裁 ) 最近改正平成 30 年 9 月 28 日健保事第 2150 号 ( 局長決裁 ) ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 歩数計及びスマートフォン歩数計アプリ ( 以下 スマホアプリ

PASMO付身分証等オートチャージサービス会員規約

nanacoネットポイント会員規約

PowerPoint Presentation

4 当社は 1.(3) 3.(2)-2- により同意を得た範囲内で当社または共同利用者が当該情報を利用している場合であっても 中止の申し出があった場合は それ以降の当社および共同利用者での利用を中止する措置をとります 5 当社は ネット会員が入会の申込に必要な事項の記載を希望されない場合 または本条

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9


別式第 1 号 ( 第 2 条関係 ) ( 表面 ) 第 号 立入調査員証 写 真 所 属 職 氏名生 年 月 日 上の者は 米子市空き家等の適正管理に関する条例 ( 平成 24 年米子市条例第 28 号 ) 第 4 条第 2 項の規定に基づき立入調査を行う職権を有する者であることを証する ( 裏面

厚生局受付番号 : 中国四国 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 中国四国 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求者のA 事業所における平成 27 年 7 月 10 日の標準賞与額を6 万 5,000 円に訂正することが必要である 平成 27 年 7 月 10 日の

特定非営利活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

Taro-パブコメ.jtd

privacypolicy

第 2 章 個人情報の取得 ( 個人情報の取得の原則 ) 第 4 条個人情報の取得は コンソーシアムが行う事業の範囲内で 利用目的を明確に定め その目的の達成のために必要な範囲においてのみ行う 2 個人情報の取得は 適法かつ公正な方法により行う ( 特定の個人情報の取得の禁止 ) 第 5 条本条各号

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の概要 目的国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため 遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより 生物多様性条約カルタヘナ議定書 ( 略称 ) 等の的確かつ円滑な実施を確保 主務大臣による基本的事項の公表 遺

a. 氏名及び住所の詳細 b. メールアドレス c. ユーザー名及びパスワード d. IP アドレス e. 雇用に関する情報 履歴書 3.2 当社は 当社サイトを通じてパスポート情報や健康データなどのセンシティブな個人データを収 集することは 適用プライバシー法令の定める場合を除き ありません 3.

仮訳 / JICA 2012 [ 国章 ] インドネシア共和国最高裁判所 仮処分決定に関する インドネシア共和国最高裁判所規則 2012 年第 5 号 インドネシア共和国最高裁判所は a. 意匠に関する法律 2000 年第 31 号第 49 条から第 52 条 特許に関する法律 2001 年第 14

<4D F736F F D F8E598BC6906C834E D8DDA B837C815B838B95D233817A2E646F63>

3 参照基準次に掲げる基準は この基準に引用される限りにおいて この基準の一部となる - プライバシーマーク付与適格性審査実施規程 - プライバシーマーク制度における欠格事項及び判断基準 (JIPDEC) 4 一般要求事項 4.1 組織 審査業務の独立性審査機関は 役員の構成又は審査業務

地方公共団体等による土地の先買い制度について 公有地の拡大の推進に関する法律とは県や市町村等が公共事業を円滑に進めていくためには 事業に必要な用地を前もって取得し 安定的に確保しておく必要があります このため 公有地の拡大の推進に関する法律 ( 以下公拡法と表記 ) に基づく土地の先買い制度がありま

上場会社監査事務所登録制度に係る規定要綱案

劇場演出空間技術協会 個人情報保護規程

証券総合取引および口座開設に関する確認書兼確約書(2017年3月31日改定版)

情報信託機能の認定に係る指針 ver1.0 に基づく データ倫理審査会 ( 仮 ) ( 以下 データ倫理審査会 という ) に相当するものを記載 に説明を行い 助言を受けること (4) 注 : 受任者が委任者に対し第三者提供に係る条件等を個別に指定できる機能を提供する場合には その旨を記載 第 条

JPCERTコーディネーションセンター製品開発者リスト登録規約

対イラン制裁解除合意履行日以降に非米国企業 が留意すべきコンプライアンス要件 2016 年 11 月 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) ドバイ事務所 ビジネス展開支援部ビジネス展開支援課

制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

TPT859057

<433A5C C6B617A B615C B746F705C8E648E965C8D7390AD8F918E6D82CC8BB38DDE5C CC2906C8FEE95F195DB8CEC964082CC92808FF089F090E E291E88F575C95BD90AC E937894C55C D837A A CC2906C8FEE9

プライバシーマーク付与適格性審査に関する約款

MLC,2006への対応について

【PDF】MyJCB利用者規定(セブン銀行用)

1

<8B4B92F681458CC2906C8FEE95F195DB8CEC2E786C7378>

平成24年

エーシーニールセン・コーポレーション株式会社 個人情報保護方針

第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

( 指名停止の期間の特例 ) 第 4 条有資格者が一の事案により別表各号の措置要件の二以上に該当したときは 当該措置要件ごとに規定する短期及び長期の最も長いものをもってそれぞれ指名停止の期間の短期及び長期とする 2 有資格者が次の各号の一に該当することとなった場合における指名停止の期間の短期は それ

1 趣旨このガイドラインは 日本国内の公道 ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 ) 第 2 条第 1 項第 1 号に規定する 道路 をいう 以下同じ ) において 自動走行システム ( 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度に行い 又はその全てを行うシステムをいう 以下同じ ) を

2008年6月XX日

s_prst_2012_24.doc

個人としての利益相反マネジメントの運用指針 平成 30 年 7 月 9 日 利益相反マネジメント委員会決定 個人としての利益相反を適切に管理するため 以下の運用指針を定め実施することとする 1. 利益相反マネジメントの対象事象国立大学法人岡山大学利益相反マネジメント規程第 3 条に規定される行為につ

ETCスルーカード規定

はじめてのマイナンバーガイドライン(事業者編)

個人情報保護規程例 本文

<4D F736F F D B A815B836782CC8A C98C5782E9834B C4>

<4D F736F F D F80976C8EAE A836F815B F CC837E C815B836882C98AD682B782E98B4B92F689FC92E888C E646F63>

6. 当金庫は 申込人がローン申込みに必要な記載事項の記入を希望しない場合ならびに本同意条項および正式な申込時の同意条項の内容の全部または一部に同意できない場合 本契約をお断りすることがあります 7. 申込人は 個人信用情報機関の利用 登録等について 別掲の 個人信用情報機関の利用 登録等に関する同

< F2D D8791CC817995D28F578CE B38CEB94BD8966>

1 アルゼンチン産業財産権庁 (INPI) への特許審査ハイウェイ試行プログラム (PPH) 申請に 係る要件及び手続 Ⅰ. 背景 上記組織の代表者は

Transcription:

海賊対策 乗船武装警備員の使用 ( ノルウェーの法制 ) 掲載誌 掲載年月 : 日本海事新聞 1112 日本海事センター企画研究部 主任研究員野田雅夫 ソマリア沖 アデン湾における海賊は 世界の海運界にとって依然深刻な問題であり 国によっては軍人を民間商船に乗船させ あるいは武装警備会社を利用するような対応もとられている ノルウェーの船舶については 本年 7 月より自国籍船における民間武装警備員の乗船が可能となった これに関し 同 6 月に発表された 暫定ガイドライン を在京大使館より入手したので その概要を紹介する 暫定ガイドライン ノルウェー船における武装警備員の使用 1 はじめに 現状認識と法令の改正 暫定ガイドラインの位置づけ ノルウェー船籍が海賊行為に対して可能な限り効果的に自身を守れるように 民間武装警備員の使用について規律することとし 2004 年 6 月 22 日規則第 972 号 ( セキュリティ規則 ) 及び 2009 年 6 月 25 日規則第 904 号 ( 銃器規則 ) を改正した セキュリティ規則は船舶安全セキュリティ法に 銃器規則は銃器法に基づくものである なお 民間武装警備員を使用するか否かの決定は 船会社に委ねられていることに留意すべきである セキュリティ規則は民間武装警備員の使用を推奨するものではなく その選定や使用について規律することによって 可能な範囲で最も職業的かつ道徳的な水準が守られることを意図するものである 本ガイドラインは 銃器の許可申請 武装警備員の選定や使用 海賊の襲撃に対し有形力を行使した場合の当局への報告に関し 上記規則の説明的なコメントを提供するものである 2 国際法 産業界の基準等 拘束力のある国際法の不在と業界のガイドラインの役割等 現在 民間武装警備員の選定や使用に関する拘束力ある国際法はない 一方 DNK ( ノルウェー戦争保険 ) BIMCO IMO が民間武装警備員の選定と使用についてガイドラインを開発している IMO はこのガイドラインを作成する過程において BIMCO や DNK の基準に準拠している IMO では旗国のためのガイドラインも作成しており 同ガイドラインは更に沿岸国や寄港国を含めすべての国をカバーすることが 期待される ( 筆者注 ;IMO で 9 月に沿岸国及び寄港国をカバーするものが作成されている ) このガイドラインで示された基準は 特に明示されない限り 船会社を拘束するもの

ではないが そのような基準は 例えば保険のカバーなどの例のように 民と民の関係には意味を持つ さらに業界は アデン湾で展開する軍と密接に協力し BMP( ベストマネジメントプラクティス ) を作成している BMP は ハイリスクエリアにおけるシージャックの危険を減らすために船会社および船長が実施することのできる受動的その他の非武装の保安対策を記述している 最新の BMP を効果的に実施することで 海賊による乗船やシージャックを成功裡に防ぐ可能性が高いことが知られている 船会社は 船長等と協議のうえ 武装警備員を乗船させる前に受動的その他の非武装の保安対策について評価を行うことが重要である 武装警備員の使用は BMP や他の非武装保安対策の代替ではなく その補完であるべきだ 国際慣習法では 有形力の行使は必要やむを得ざる時に限られ 必要性 合理性 比例原則の順守が必要で こうした国際慣習法は ノルウェー及びその居住者を拘束する 一方で 海賊 テロ対策に関する国際ルールとしては 1988 年 3 月 10 日の海洋航行の安全に対する不法行為の防止に関する条約 (1988 年 SUA 条約 ) および 1988 年 SUA 条約に関する議定書 (2005 年 SUA 条約 ただしノルウェーは批准していない ) があり 特別の罰則が盛り込まれている 1982 年の海洋法に関する国際連合条約 ( 以下 国連海洋法条約 ) は 国際慣習法に従って公海で海賊と戦うための原則をいくつか採択している 総じてこの国連海洋法条約は 海賊行為に対して国民国家による有形力行使の範囲を非常に広く認めている ( 国連海洋法条約第 105 条および第 110 条 ) しかしながら 国連海洋法条約は民間による警備活動については規定していない したがって 民間武装警備員による有形力の行使については一般的でかつ国際的に認められた自己防衛の原則に基づかなければならない さらに国連海洋法条約は 船舶及び船員に重大な危険を及ぼさない限り 公海における海難者に対する救難の義務も規定している 3 国内法令 国内法令の概略 a. 船舶安全セキュリティ法 (2007 年 2 月 16 日法第 9 号 ) 船舶安全セキュリティ法は プレジャーボートを除くすべてのノルウェー船舶について その所在にかかわらず適用される 第 39 条第 1 項 ; テロ行為 海賊行為等の違法な行為から船舶を守り かつ予防するための方策を講じなければならない これらの方策は予防的なもので その実施の責任は船会社が負う なお 第 39 条第 3 項には ISPS コード ( 船舶と港湾施設の国際保安コード 米国同時多発テロ事件を契機として SOLAS 条約の改定に伴い 2004 年 7 月 1 日に発効した国際規則 ) の主要な内容を基礎とする効果的な方策が列挙されている 第 40 条第 1 項 ; 第 39 条第 1 項にある行為から船舶を守り かつ予防するために必要な場合 方策が実行され 船上の一部で有形力が行使されてよい

同条第 3 項では船長にこうした方策を実施する特別な権限を与えている ただし 船長の承認のもとで民間警備員が有形力を行使することは認められる また 同項は乗船しているすべての者は船長の実施する方策を支援し 尊重する義務を有する とする 同条第 4 項はその他の補足的規則を定めることができるとしており その一つとしてセキュリティ規則がある b. 銃器法 (1961 年 6 月 9 日法第 1 号 ) 銃器法は 銃器その他の戦闘用具に関して民間におけるすべての取引とその保持を規律している 第 7 条 第 8 条等は銃器等の獲得 所有 保持には警察署長の許可が必要であるとしている ( 銃器ライセンス ) 法は元来ノルウェーの領土上の銃器を規制するために制定されたもので 今般のような特別な状況には適切なものではなかった c. 警備サービス法 (2001 年 1 月 5 日法第 1 号 ) 警備サービスの高い質を確保し 警備員の行為の対象となる人の法的権利を保護するため 民間警備サービスの使用について規制するものである 警備員は刑法第 48 条に規定される自己防衛のための一般的権利を超えて有形力を行使することは認められていない また 銃器の使用も認められていない 今般 2011 年 4 月の改正によって この法律はノルウェーの領海外にある船での民間警備員の活動に適用されないこととなった d. ノルウェー海事法 (1994 年 6 月 24 日法第 39 号 ) 状況によっては 撃退された海賊が怪我などのために危機的状況におかれることがある ノルウェー海事法第 135 条は 船舶及び乗船者に重大な危険を及ぼさない限り 船長に海難者に対する救難の義務を課している ただ 救助しなければならない状況でも 必ずしも海賊を乗船させなければならないということではない 状況によっては救命ボートを提供したり 軍事機関に通報することでも足りる 海賊を乗船させる場合には その状況を利用して船舶をコントロールしようとするかもしれない海賊に十分注意する必要がある e. セキュリティ規則セキュリティ規則は 米国におけるテロを受けて採用された ISPS コードと EU 規則 (725/2004/EC) を実施するために 2004 年に海事庁により制定された ISPS コードについては 国際的に様々な異なる見解が存在している 同規則は船舶安全セキュリティ法第 39 条を受けて定められている f. 船上の重大犯罪等に関する規則 (2005 年 3 月 1 日規則第 235 号 ) 船員法に基づいて海事庁が制定した [ 船上の重大犯罪等に関する規則 ] は ノルウェー船舶の上で重大な犯罪が発生した時 乗員が溺れたと信ずる理由がある状況で行方不明となった時等の船長及び船会社の責務を定めている ただし 船舶のオペレーションに関する事案にはそうした義務は課されておらず 海賊の攻撃のような犯罪は船舶のオペレーションに関するものとみなされるので 船長はこうした場合には調査義務を負わな

い g. 罰則 i 刑法刑法第 48 条の条件を満たした有形力の行使については 訴追 法的責任は免除される ii 船舶安全セキュリティ法の罰則条項罰則規定はあるが 有形力の行使等について定めた第 39 条 第 40 条については罰則がない しかし 有形力の行使が正当な自己防衛の範囲を超えれば警備会社 警備員 船長は刑法に基づき訴追される 場合により 刑法の 法人の刑事責任 の規定により 法人も訴追される iii 銃器法の罰則条項銃器法違反は 基本的に罰金または 3 か月以下の収監刑であるが 違法な銃器の輸入 譲渡 獲得 所有は 2 年以内 ( 重大な違反の場合は 4 年以内 ) の収監刑となる 4 地理的範囲 [ 銃器規則 ] 及び [ セキュリティ規則 ] に基づき与えられる時限つき銃器許可は 危険度 2 又は 3 の地域で 地域へまたは地域から航海する船が北緯 30 度以南を航海する場合に限って適用される 5 銃器規則第 23 条の許可に関する要件 船会社に求められる要件 銃器規則第 23 条に従い 船会社は民間武装警備員を乗船させようとする場合は 銃器許可の申請をしなければならない 申請は船会社等が本部を置く地域又は船舶所有者の地元代理店が住所登録する地域を管轄する警察署の署長になされなければならない 最大六か月までの時限許可が認められ この期間終了時に新規許可を申請することができる この許可は包括時限許可で 銃器ライセンスとみなされるが 個々の銃器とは対応しない また 特定の任務とか特定の警備会社に対応しているのでもなく 許可申請時にこれらの情報は不要である しかしながら 禁止されている銃器の保有が許可されるためには 船会社は免除を申請しなければならない 警察署長は以下の禁止銃器に関して免除を付与することができる 弾丸の直径が7.62mm 以下の口径の全自動火器 9 19mm 弾を使用する全自動火器 弾丸の直径が12.7mm 以下の口径の単発 連発式または半自動火器 6 警備会社の選定基準等

船会社は任務ごとに警備会社と警備員の適格性について詳細な事前評価を行うことが求められる セキュリティ規則第 20 条は会社が警備会社を選定するにあたって必要となる事項を定めている これに関し IMOガイドラインがより詳細な規定を有しているため セキュリティ規則第 20 条も民間武装警備員を選定 使用する場合 船会社はIMO ガイドラインを考慮に入れるべき旨定めている 船会社がノルウェー海事庁に提出を義務づけられている書類はセキュリティ規則第 20 条第 2 項で次の通りとされている a) 業界の予防的措置に関するガイドラインが十分ではなく 武装警備員を必要とする理由書 b) 以下の項目に関する警備会社および警備員の適格性に関する審査内容 ( 警備会社自身の作成した文書証拠を含む ) 1. 採用及び訓練に関する手続き 2. 銃器 弾薬類の調達 使用 維持管理 保管 輸送に関する手続き 3. 民間警備員が有する必要な資格及び任務にあたって銃器使用訓練を含む必要な訓練を終了したものであること 4. 民間警備員が18 歳以上であることの証明 また最新の善良行動証明書これらの書類の提出は 例えば違法な有形力の行使が疑われる際に ノルウェーの検察当局が捜査のために一定程度の最小限の情報にアクセスすることを可能とするためのものである また 船会社が警備会社の選定に関し 質の高い評価を行うことを担保する狙いもある なお IMOガイドライン1.2( リスク評価 ) においては これに関して補足的な記述がなされている 船会社は武装警備員の使用を決定する前に船長と協議しなければならない ( セキュリティ規則第 20 条第 1 項 ) ただし 武装警備員使用を決定するのは船会社である 一方 有形力行使の決定は 船長のみが下すことができる ( 同規則第 17 条第 1 項及び第 24 条第 1 項 ) なお 特定の警備会社についてノルウェー船舶での使用に適切でないと認識した場合 ノルウェー海事庁は会社が当該警備会社を使用できないと決定することができる ( 第 20 条第 4 項 ) ノルウェー海事庁は セキュリティ会社の質をチェックする義務はなく 質のチェックはあくまで会社が行うべきものである メデイア等から信頼できる情報を受け取った時は ノルウェー海事庁が安全弁の役割を果たしてこの決定を行う 7 保険会社への通知義務セキュリティ規則第 21 条は 船会社に対し 民間武装警備員を使用する前に 海賊に

起因する責任 損失 経費または支出を補償する保険会社に通知を行うことと 個々の保険会社が要求する情報を提供することを義務づけている また 警備会社自体の保険加入の有無とその保険契約の補償内容を船会社が調査することを規定しているIMOガイドラインの3.( サービス提供の考慮事項 ) にも注意を払うべきである 8 武装警備員および銃器などの使用の手続きセキュリティ規則第 22 条は 船会社が民間武装警備員および銃器などの使用手続きを整備しなければならないと定めている また 警備会社は独自の銃器使用手続きを整備しなければならない 更に IMOガイドラインの3.5( 有形力行使のルール ) においては 手続きの内容に関する補則が含まれており とりわけ船会社と警備会社がそれらの内容に合意すべき旨が明記されている 手続きの策定については船長に協議すべきである 特に有形力を行使する事件が起こった場合にその後調査が行われる可能性を考慮して どういう状況であれば有形力を行使できるのかについて疑義が生じることがないようにするために こうした手続きを整備することは極めて重要である 9 銃器の保管銃器は銃器規則に従って適切に保管しなければならない ( セキュリティ規則第 23 条 ) 具体的には 権限がない人間がアクセスできないようにすること ノルウェー保険承認機構が承認したセキュリティキャビネットかそれ以上のレーティングのキャビネットに保管すること等が求められる また キャビネットが弾薬の保管について別個の承認を受けていない場合 そのキャビネットに弾薬を2,000 発以上保管してはならない 10 有形力の行使 ( 銃器の使用を含む ) セキュリティ規則第 24 条第 1 項 ; 武装及び銃器の使用の手続きの実施は 個別のケースにおいて船長に承認されねばならない この規定は 船舶安全セキュリティ法第 40 条第 3 項と合わせて読まなければならない 第 40 条は 船を海賊から守るために対策を実施し有形力を行使する権利は船長にあると明示している 従って 警備員が船長の指揮下にあると結論づけることは当然である この条項は 海賊の攻撃を阻止するための銃器の使用について 必ずしもすべてのケースで船長の承認を求めているわけではない 例えば 夜間当直の際に船会社が定めた手続きに従って 船長は事前の命令を出すことができる また 同項は 民間警備員は 銃器の使用について常に第 17 条 第 22 条に従うことを確保する責任を有する とする その趣旨はすべての乗船者の行動は独立に評価されるとの意味である つまり 射撃手は 船長や会社の指示のいかんにかかわらず 銃器使用が適法か否かを確認する独立の責任を有するということである 既に述べたように船会社は 銃器を使用する手続きを定めなければならないが その

手続きには最低限 状況が許せば光や音 威嚇射撃の警告がなされなければならないと規定しなければならない ( 同 3 項 ) したがって 銃器使用手続きは 有形力の行使は段階的で 状況の深刻さに応じたものでなければならないという原則を反映したものでなければならない さらに 第 24 条第 4 項は 人に危害を加えないことを目的としつつ 人を狙って発砲することは 他のより緩やかな手段を試したがうまくいかなかった場合や 他の手段では成功する可能性が明らかにない状況において 最後の手段としてのみ行うことができると定めている 11 ノルウェー海事庁およびノルウェー国家犯罪捜査局への事件の報告セキュリティ規則第 18 条第 1 項 ; 船舶が攻撃の対象とされて 有形力を用いたときは 事象は 72 時間以内にノルウェー海事庁に通報されねばならない 報告は事象を記述し 関与した人間 銃器を含む有形力の行使の詳細を説明するものとする 可能であれば音や映像の記録で記録されるべきである 同条第 2 項 ; 有形力の行使が傷害 死亡をもたらす結果となったと信じる理由がある場合 報告は直ちにノルウェー刑事調査サービスになされねばならない この報告はノルウェー当局の武器使用に関する情報収集と事後に必要となるかもしれない捜査を可能とするためである 明文では義務の主体が示されていないが 本条項の第一の対象が船長であることは明確である セキュリティ規則第 23 条第 2 項は 船会社または船長に対して 船舶に持ち込まれ また船舶から降ろされたすべての銃器と弾薬類の一覧表を作成保管する義務を課し 内容に変化があった場合は ただちにノルウェー海事庁に報告しなければならない としている 12 情報公開法との関係セキュリティ規則第 19 条 ; 第 18 条 第 20 条第 2 項 または第 23 条第 2 項に基づきノルウェー海事庁またはノルウェー国家犯罪捜査局に送付される情報は 情報公開法第 24 条に定める開示免除の対象とすることができる 情報の開示を免除されうるのは まず第一に開示すれば犯罪行為の実施を容易化する場合で その場合の情報の内容としては 例えば具体的なセキュリティ方策 民間警備員の行うルーティーン 航海経路などの情報が含まれる 開示免除とするかどうかの評価に際しては 武装警備員を乗船させていない船会社への攻撃をもくろみ そのセキュリティ対策を調べるためにこの情報を利用する可能性もあるという事実を考慮すべきである 当局は 武装警備員を乗船させないことにしてい

る船会社の船舶がハイリスクエリア内を航行または通過する際に攻撃にさらされやすくするようなことをしてはならない 情報の開示を免除されうる第二の場合は 個人を危険にさらすことになる場合である この免除ルールの対象となるのは 情報が公開されると その者が犯罪者による報復にさらされる可能性がある場合で その場合の当該者とはノルウェー在住者または出身者に限定されない