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保育所における食物アレルギー対応マニュアルの趣旨 保育所におけるアレルギーへの対応については 厚生労働省が平成 23 年 3 月に発出した 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン を参考に 取り組まれています また 食物アレルギーを発症する乳幼児の 10% 程度がアナフィラキシーショックを引き起こす危険性があり 生命を守る観点からも適切かつ迅速な対応が急がれています このマニュアルは (1) 基礎知識編 (2) 予防編 (3) 緊急時対応編 (4) 啓発編の4 部構成となっています (1) 基礎知識編は 保育所職員全員が共通の知識がもてるようにするため 食物アレルギーの基本的なことについて記載しています (2) 予防編は 対象児童の受け入れ時の確認事項や保護者との連携 給食提供時の配慮事項について記載しています (1) と (2) は 園内研修などの教材として活用し アレルギー対象児童がいない園でも専門職として必要な知識として一読をお願いします (3) 緊急時対応編は 緊急時にどの職員もすぐに対応できるような基準を示しています それぞれの保育所の実態や アレルギー対象児童の状況に合わせて書き換えるなど 現場の状況にあった内容に合わせて活用してください (4) 啓発編は 小さなミスを見逃さず 保育の経過を振り返り 次の計画に活かすことの重要性を示しています 大きな事故を防ぐために ヒヤリハット事例を活用し 各保育所での体制作りに取り組んでください 子どもたちへの安心 安全な保育のために 取り組んでいきましょう 2
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1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資 4 第第 1 章基礎知識編 (1) 定義食物アレルギーとは 食べたり 触ったり 吸い込んだりした食物に対して 体を守るはずの免疫シ ステムが 過剰に反応して起きる有害な症状をいいます そのほとんどは食物に含まれるタンパク質が 1 食物アレルギーとは 原因で起こります (2) 原因原因食物は多岐にわたりますが 保育所で除去されている食物は鶏卵が最も多く 次いで乳製品です その他の原因食物としては小麦 ピーナッツ 大豆製品 そば ゴマ 甲殻類 ( エビ カニ ) などです (3) 症状症状は多岐にわたります 皮膚 粘膜 消化器 呼吸器 さらに全身性に認められることがありますが 最も多い症状は皮膚 粘膜症状です 複数の臓器に症状が出現する状態をアナフィラキシーと呼び 呼吸器症状の出現はさらにアナフィラキシーショックへ進展するリスクが高まり注意が必要です (4) 治療の基本 原因となる食物を摂取しないこと が治療の基本です そして 万一症状が出現した場合には 速やかに適切な対処を行うことが重要です じんま疹などの軽い症状に対しては抗ヒスタミン薬の内服や経過観察により回復することもありますが ゼーゼー 呼吸困難 嘔吐 ショックなどの中等症から重症の症状には アナフィラキシーに準じた対処が必要です (5) アナフィラキシーアレルギー反応により じんま疹などの皮膚症状 腹痛や嘔吐などの消化器症状 咳 ゼーゼー 呼 吸困難などの呼吸器症状が 複数同時にかつ急激に強く出現した状態をアナフィラキシーと言います その中でも 血圧が低下して意識レベルの低下や脱力を来すような場合を 特にアナフィラキシーショックと呼び 直ちに対応しないと生命にかかわる重篤な状態であることを意味します
2 食物アレルギーの診断第1章食物アレルギーを血液検査だけで診断することはできません 実際に起きた症状と食物負荷試験など基の専門的な検査結果を組み合わせて医師が総合的に診断します 礎知識編置付けになります ただし 鶏卵 牛乳 小麦 大豆などの主な原因物質は年齢を経るごとに耐性化する ( 食べられるようになる ) ことが知られています 実際に乳幼児期に発症する子どもの食物アレルギーの約 9 割は就学第2前に耐性化するので 直近の1~2 年以上症状が出ていない場合には その診断根拠は薄れてきます 章予防編る試験です この結果は (1) に準じたと考えられるため 診断根拠として高い位置付になります ただし 主な原因食物の1 年以上前の負荷試験の結果は信頼性が高いとはいえないため (1) の場合と同様に再度食べられるかどうか検討する必要があります 第3参考 : 食物アレルギー研究会のホームページにて 食物負荷試験実施施設が紹介されています 章http://www.foodallergy.jp/ 緊急時対応編あります まだ食物負荷試験も行えないような状況では (3) が診断根拠とならざるを得ません 幼児期に鶏卵や牛乳などに対する IgE 抗体価がよほど高値の場合には (3) だけを根拠に診断する場合もありますが 一般的には血液や皮膚の検査だけで食物アレルギーを正しく診断することはできません IgE 抗体検査が陽性であっても 実際はその食品を食べられる子どもが多いのも事実です 多くの食物アレ第4ルギー児の場合 除去しなければならない品目数は数種類にとどまります このため 年齢が進んでも章除去品目が多く (1) や (2) という根拠なしに (3) だけが根拠の場合には 保護者と面談し状況啓を確認することも必要です 発編児早期には想定されます 保育所においては 家で摂ったことがない食物を 給食で初めて食べることを回避しますが 家で摂ったことがないための除去対応は 医師による 生活管理指導表 の提出を求める必要はありません 資料 5 (1) 明らかな症状の既往過去に 原因食物の摂取により明らかなアレルギー症状が起きているので 除去根拠としては高い位 (2) 食物負荷試験陽性食物負荷試験は 原因と考えられる食物を試験的に摂取して それに伴う症状が現れるかどうかをみ (3)IgE 抗体等検査結果陽性食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎では IgE 抗体の感作だけで除去している場合が多く (4) 未摂取低年齢児ではまだ与えないような食物に対しては診断根拠を書けない場合 ( 未確定 ) も乳児期から幼
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資 6 第緊急時に備え処方される医薬品としては 皮膚症状等の軽い症状に対する内服薬とアナフィラキシー ショック等に対して用いられるアドレナリンの自己注射薬である エピペン ( 商品名 ) があります 3 食物アレルギーの処方薬 (1) 内服薬 ( 抗ヒスタミン薬 ステロイド薬 ) 1 抗ヒスタミン薬ど限定的で 過度の期待はできません 2 ステロイド薬ます (2) エピペン ます 患者が注射できないときは代わりに保育所の職員が注射します アドレナリン ( エピペン の成分 ) とは? ません 場所 すぐに取り出せるところに保存 子どもたちが容易に手の届くところは避ける 留意点 職員全員が保管場所を知っておく料アナフィラキシーを含むアレルギー症状はヒスタミンなどの物質によって引き起こされます 抗ヒスタミン薬はこのヒスタミンの作用を抑える効果があります しかしその効果は皮膚症状な アナフィラキシー症状は時に一度おさまった症状が数時間後に再び出現することがあります ステロイド薬は急性期の症状を抑える効果はなく 再現を抑える効果を期待して通常は投与され アナフィラキシーショックに対しては 適切なタイミングでのアドレナリンの投与が非常に有効で 重篤な症状への対処という意味では作用する時間 (5 分以内 ) を考えるとエピペン のみが有効と言え アドレナリンはもともと人の体内にあるホルモンで 主に心臓の働きを強めたり 血圧をあげたり 気管支を拡げたりする作用があります 血圧上昇や心拍数増加に伴う副作用は 一般的な小児では 軽微であると考えられます また 効果は注射をしてから約 15 分 ~ 20 分しか持続し エピペン の保管上の留意点保育所での取り扱いは保護者とよく相談して決定し 職員全員に周知します 15 度 ~ 30 度の暗所に保存 ( 冷蔵庫や日光のあたるような場所は不適 ) 利便性という観点から 万が一アナフィラキシー症状発現時に備えて 職員全員が使い方を知っておく 管理表を作成し 毎日 保管状況や有効期限を確認する 管理責任者を決めて 確実に確認をする仕組みを作る
第平成 21 年 7 月 6 日文部科学省スポーツ 青少年学校健康教育課長より医政局医事課長宛の 医師法第 17 条の解釈について の照会により アナフィラキシーショックで生命が危険な状態にある児童生徒に対し 救命の場に居合わせた教職員が アドレナリン自己注射薬を自ら注射できない本人に代わって注射することは 反復継続する意図がないものと認められるため医師法第 17 条によって禁止されている医師の免許を有しない者による医業に当たらず 医師法違反にならない との見解 消防機関との連携について エピペン の処方を受けている入所児童がアナフィラキシーショックとなり 保育所等から消防機関に救急要請 (119 番通報 ) をする場合 エピペン が処方されていることを消防機関に伝えるほか 保護者の同意を得た上で 事前に地域の消防機関に情報を提供するなど 日頃から消防機関との連携を図ります 7 : 保育所におけるエピペン の使用について 1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 参考
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 8 第
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1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資 10 第第 2 章予防編 1 保育所での対応の原則正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去が原則です 2 保育所における対応保育所でのアレルギー対応では 保育所内でのアレルギー発症をなくすこと が第一の目標であり 同時に 乳幼児の健全な発育発達の観点から 不要な食事制限もなくさなければなりません 保育所として 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン を参考に 実際の対応を保護者との面談を行い決定します 保育所は開所日が多く開所時間も長いため 職員の勤務体制は振替休日 時間差出勤などで連絡調整の不備から 配膳や喫食時の取り違えなどの誤食事故に繋がりやすいので 各園の体制に合わせて対応を計画し 施設全体で日々の情報共有とパターン化することが必要です アナフィラキシー症状が発生したとき 全職員が迅速 かつ適切に対応できるよう 日頃から職員 保護者 主治医 緊急対応医療機関が十分に連携をします また 家で摂ったことがない食物を 給食で初めて食べることを回避します 安全な給食対応のためには単純化が望ましく 原則 除去対応とします 用語解説 1 除去食 : 申請のあった原因食物を除いた給食を指します 2 代替食 : 申請のあった原因食物を給食から除き 除かれることによって失われる栄養価を別の食品を用いて補って提供される給食を指します 3 弁当対応 : 全ての給食に対して弁当を持参させる 完全弁当対応 と 普段除去食や代替食対応をしている中で 除去が困難で どうしても対応が困難な料理において弁当を持参させる 一部弁当対応 があります 3 除去食についてある原因食物の除去が必要であっても 少量であれば摂取できることがよくあります 保育所において 個々のバラバラな摂取量上限にそれぞれ対応していくことは実質不可能であり 保育所における対応の基本は完全除去とするべきです しかし 鶏卵アレルギーでの卵殻カルシウム 牛乳アレルギーでの乳糖 小麦での醤油 酢 麦茶 大豆での大豆油 醤油 味噌 ゴマでのゴマ油 魚でのかつおだし いりこだし 肉類でのエキスなどは除去の必要がないことが多いので 摂取不可能な場合のみ申請をしてもらいます 料(1) 鶏卵 : 卵殻カルシウム卵殻カルシウムは 卵殻を主原料とするもので その成分は酸化カルシウムです 焼成 ( 高熱で焼くこと ) でも未焼成であっても鶏卵タンパクの混入はほぼなく アレルギー児にとって除去する必要は基本的にありません
第乳糖 ( ラクトース ) は牛乳に限らず 哺乳類の乳汁に含まれる糖類です 乳という漢字が使われていますが 牛乳との直接的な関連はなく 牛乳アレルギーであっても摂取できます しかし 食品衛生法 において アレルギー物質を含む食品の表示については 乳糖の表記は代替表記として認められており その加工食品に乳タンパクが含有されていることを示唆するので注意が必要です に分解されます このため基本的に小麦アレルギーであっても醤油を摂取することはできます 酢は正確には食酢 このうち醸造酢 ( 米酢 大麦黒酢を除く ) に小麦が使用されている可能性があります 単に酢だけでは小麦が含まれているか否かはわかりません ただ 酢に含まれるタンパク量は非常に少なく (0.1g/100ml) また一回摂取量も非常に少ないため 基本的には摂取することができます 麦茶は大麦の種子を煎じて作った飲み物であり 小麦とは直接関係はありません しかし小麦アレルギーのなかに麦類全般に除去指導されている場合があり この場合には除去が必要な場合があります ものであり油脂成分が原因とは基本的にはなりません 大豆油中のタンパク質は 0g/100ml であり 除去する必要はないことがほとんどです 醤油における大豆タンパクも生成の発酵過程で 小麦タンパクと同じ様に分解が進みます 醤油のタンパク質含有量は 7.7g/100ml ですが 調理に利用する量は少ないこともあり 重症な大豆アレルギーでなければ醤油は利用出来ることが多いです 味噌は本来その生成過程で小麦は使用しないため 純粋な製品には小麦の表記はなく 小麦アレルギーでも使用できます 大豆タンパクに関しても醤油と同様に考えることができます なお 味噌のタンパク質含有量は 9.7-12.5g/100g です マ油はゴマタンパクが混入している可能性があり 除去の対象となることがあり注意を要します と極少量です このためほとんどの魚類アレルギーは出汁を摂取することができます 的に加工食品に使用される量は非常に少量であるので 肉エキスは摂取できます 11 (3) 小麦 : 醤油 酢 麦茶 醤油は原材料に小麦が使用されていますが 醤油が生成される発酵過程で小麦タンパクは完全 (4) 大豆 : 大豆油 醤油 味噌 大豆油に関して そもそも食物アレルギーは原因食物の特定のタンパク質によって誘発される (5) ゴマ : ゴマ油ゴマ油も大豆油と同様で除去する必要がないことが多いです しかし大豆油と違って精製度の低いゴ (6) 魚類 : かつおだし いりこだし魚類の出汁 ( だし ) に含まれるタンパク質量は かつおだしで 0.5g/100ml いりこだしで 0.1g/100ml (7) 肉類 : エキス肉エキスとは肉から熱水で抽出された抽出液を濃縮したもので通常調味料として用いられます 一般 (2) 牛乳 乳製品 : 乳糖1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 12 第4 調乳 授乳について 牛乳アレルギー児向けにアレルギー用調製粉乳があり 完全母乳栄養でない乳幼児の多くは保育所に おいてアレルギー用調製粉乳を授乳させることになります アレルギー用調製粉乳にはいくつかの種類がありますが 重症な牛乳アレルギーでなければどのアレ ルギー用調製粉乳を使っても問題はありません このため保育所で特定のアレルギー用調製粉乳を統一して使うことも可能です
対応のながれ 第 13 5 1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資 14 第(1) 保護者との確認医師の診断に基づき アレルギー対応食を提供する場合 施設長は事故防止のために必要な手順に従 6 園 保護者の役割うことを保護者に説明します 面で確認します ( 進級時 ) とします 料その際 食物アレルギー対応票 ( エピペン が処方されている場合は併せて エピペン 対応票 ) をもとに 家庭での状況も聞き取るほか 万一 誤食が発生した場合の対応について 予め保護者と書 * 保護者と確認を行う回数 入所時 ( 入所してから発症した場合は 発症時 ) 及び少なくとも年 1 回
保育園の献立は月ごとに作成されることから 除去すべき食品について保護者と確認し 除去食を提 供するか 家庭から持参するか等の対応内容を確認する必要があります 施設長 ( 主任 ) 保育士 栄養士 ( 配置園のみ ) 調理担当者 看護師 ( 配置園のみ ) と保護者の打ち 合わせを毎月 月末までに行い 翌月 1 か月分の給食の内容について確認し 個別の献立を決めます 土曜日 夕食 延長保育利用の有無を確認します 打ち合わせの方法 役割 1 除去食等の対応について確認し 保育士は 個別の献立表 調理担当者は 調理用献立表 を作 成します 離乳食提供児には 離乳食献立表 離乳食記録簿 を使用し 作成します 2 打ち合わせにより決定した 個別の献立表 は 保護者 栄養士 ( 配置園のみ ) 調理担当者 保育士が各々持ちます 3 決定した 個別の献立表 は 職員が共有するために 1 部保管します (3) アレルギー対応状況の園での情報共有 入所時の情報共有 アレルギー対応食を提供する場合 全職員 ( 施設長 保育士 栄養士 ( 配置園のみ ) 調理担当者 看護師 ( 配置園のみ ) アルバイト職員等) にアレルギー対応の内容について情報共有する アレルギー児対応一覧表( 様式 6) にまとめ事務室で保管する 日常の周知 毎日のミーティングで除去食等の確認し ミーティングノートやホワイトボード等に記録する ミーティングに参加していない職員は 必ずミーティングノートやホワイトボード等を確認する 15 第(2) 園 保護者で献立の決定1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資 16 第食物アレルギーの誤食事故を防止するためには 事故を未然に防ぐ仕組みづくりが必要です アレル ギー児入所状況や職員体制が変わっても 対応できる標準的な手順を示しますので 事故防止に努めて 7 給食での対応手順 いただくようお願いします
17 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 18 第
19 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
20 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
21 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
22 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
1章 第 23 資料 基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編
24 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
25 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
料1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資 26 第
27 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
28 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
8 1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料給食以外での留意点 第稀ではありますが ごく少量の原因物質に触れるだけでもアレルギー症状を起こす子どもがいます このような子どもは 原因物質を 食べる だけでなく 吸い込む ことや 触れる ことも発症の原因となるため 個々の子どもに応じた配慮が必要です 具体的には 主治医の指示を参考に 保護者と十分な協議をして個別の対応をとる必要があります れていない粘土を使用しましょう また 豆まきは大豆のほかにピーナッツを使用することもあります ピーナッツも アナフィラキシーを起こす子どもがいるため見守りなどの配慮が必要です を抜いたり 忘れたり 間違えたりして事故が起こる例が多く 十分な注意が必要です また 自家栽培の野菜などを食べる場合も 十分に注意が必要です 29 (1) 小麦を使った遊び小麦アレルギー児は小麦粘土に触ることにより アレルギー症状が出る場合があります 小麦は含ま (2) 調理体験 ( おやつ作りなど ) 使用する食材に対してアレルギーを持っていないかどうかの確認が必要です (3) 豆まき節分などの豆まきのときは大豆アレルギーの子どもが誤食しないよう 見守りなどの配慮が必要です (4) 園外活動やその他のイベント非日常的なイベント時は 職員がイベントの準備や手順に追われ つい食物アレルギーに関する手順
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 30 第
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第 3 章緊急時対応編第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料1 保護者との連携 保育所におけるアレルギーの対応は職員全員で取り組み 職員間 保護者 医療機関との連絡を密にすることがポイントです 2 職員の役割 緊急時の対応に備えて大事なのは 保育所の当事者意識と 危機管理能力です 日頃から以下の準備 を行い 緊急時個別対応票 ( 様式 3) を作成しておきます すべての職員が それぞれの役割を理解できるようにします (1) 職員の役割分担 施設長は管理 監督者となり全体の状況を把握し 指揮をとります 緊急時に各職員が具体的に何をするか決めます (2) 連絡先の確認その場にいる職員がすぐに対応できるように 施設長 保護者及び医療機関などの電話番号を確認し ておきます 緊急時個別対応票 に記載し 緊急ボックスなどの置き場所を決め すぐに取り出せるようにしておきます 全職員に置き場所を周知します (3) 緊急時に搬送できる医療機関の確保 緊急時に対応できる場所を確認しておきます 休診日や診療時間外などで 第一候補の医療機関に搬送できない場合もあります 第二候補の医療機関の連絡先も確認しておくことが必要です 32
第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料3 食物アレルギーによる症状への対応 食後に 皮膚に湿疹があらわれたり ゼーゼーしたりといったアレルギー症状があらわれたときは 症状を抑えるために さまざまな薬物療法 ( 抗ヒスタミン薬 気管支拡張薬 ステロイド薬などの投与 ) が行われます 食物アレルギーによる症状は 発現する時間により食物アレルゲン摂取後数分から2 時間以内に出現する即時型とそれ以降に出現する遅発型に分類されます 注意が必要なのは即時型で じんま疹などの皮膚症状が最も多くみられますが 嘔吐 下痢などの消化器症状 咳 喘鳴 ( ゼーゼーして苦しくなる ) などの呼吸器症状が出現することも多く さらにはアナフィラキシーを起こし生命にかかわる場合があります どの程度のアレルゲンをとったか アナフィラキシーの経験があるかどうかにもよりますが 皮膚症状もしくは消化器症状までのときには 経過観察あるいは抗ヒスタミン薬投与で対応できる場合もあります しかし 咳 ゼーゼーなどの呼吸器症状を呈した症例の3 分の1がショック症状に至るとの報告もあることから このような場合には緊急に医療機関を受診してください ( 症状観察については巻末資料 4 参照 ) エピペン を預かっている場合は エピペン の投与を考慮します 4 アナフィラキシーの緊急対応 アナフィラキシーの治療において最も重要なことは早期に医療機関で治療を受けることです 特にショック症状が発現している児童では 救急車等を手配して 一刻も早く医療機関に搬送して治療を受けさせることが求められます アナフィラキシーショックに対しては 適切なタイミングでのアドレナリンの投与が非常に有効で 重篤な症状への対処という意味では作用する時間 (5 分以内 ) を考えるとエピペン のみが有効と言えます ( エピペン の使い方については巻末資料 3 参照 ) * アレルギー症状があったら5 分以内に判断する! * 迷ったらエピペン を打つ! ただちに 119 番通報をする! 33
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 34 第
エピペン について (1) エピペン の保管上の留意点 15 度 ~ 30 度の暗所に保存 ( 冷蔵庫や日光のあたるような場所は不適 ) 利便性という観点から 万が一アナフィラキシー症状発現時に備えてすぐに取り出せるところに保存 子どもたちが容易に手の届くところは避ける 職員全員が保管場所を知っておく 職員全員が使い方を知っておく 管理する責任者を決めて 毎日 保管状況や有効期限を確認する 則として処方された子ども以外に 預かっているエピペンを使うことはできません 注射を打つタイミ ングが 遅くならないことが重要です 効果時間は短いので エピペンで症状が改善しても必ず救急搬 送します (2) 保育所におけるエピペンの使用 エピペン 0.15mg はおおよそ体重 15kg 以上の子どもを対象に医師が処方する自己注射薬です 原 5 1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 36 第
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1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資 38 第第 4 章啓発編 1 園ごとの体制作り保育所は開所日が多く開所時間も長いため 職員の勤務体制は振替休日 時間差出勤などでスタッフ 職員の入れ替わりが多く 体制が頻繁に変化します このため職員間の連絡整備の不備から 配膳や喫食時の取り違えなどの誤食事故に繋がりやすいので 各園の体制に合わせて対応の手順や緊急時の対応 園内の研修計画等を作成し (P) 施設全体で日々の情報共有とパターン化することが必要です(D) また 児童がアレルゲンを口にしていない場合でも 誤食につながる恐れがある事例については 事故を未然に防ぐため 情報共有することが必要です 他園の情報を受けた場合は 自園でも同じような事故が起きる可能性がないか その都度 手順を見直し (C) 必要があれば計画を修正していきます(A) 2 誤食事故 ヒヤリハット事例が起きた場合事故を未然に防ぎ 子どもが安全 安心な保育所生活を送るために 危機管理を高めることが大切です 誤食事故や誤食事故につながる恐れがある事例が発生した場合には 園全体の問題としてとらえ なぜ起こったか議論し 原因や背景を分析し 問題点に対処して再発防止に取り組みます 園で起こったことの報告書を作成し いかに改善していくかを園内で周知することが 事故の予防につながります 料また 他園にも情報を共有することが重要なので 誤食事故 ヒヤリハット事例が起きた場合には 区に必ず報告します
3 1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料ヒヤリハット事例 実際に起こりやすい事例を紹介します 第 39
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 40 第
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編料 第 41 資
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 42 第
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編料 資
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 44 第
45 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
46 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
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1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料 48 第
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50 第1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編資料
1章基礎知識編第2章予防編第3章緊急時対応編第4章啓発編料 保育所における食物アレルギー対応マニュアル 策定検討会委員名簿 太田 恵蔵 横浜市医師会保育園医部会副部会長医師 ( 委員長 ) 太田こどもクリニック 中野 康伸 横浜市医師会保育園医部会常任幹事医師中野こどもクリニックアレルギー専門医 磯崎 淳 みなと赤十字病院アレルギーセンター医師アレルギー指導医 寺本 あい 関東学院大学准教授管理栄養士 山中 あけみ 新杉田のびのび保育園長 ( 民間保育所 ) 加藤 光胤 おひさま保育園設置者 ( 横浜保育室 ) 清水 淳子 横浜市竹之丸保育園長 ( 公立保育所 ) 辻本 愛子 横浜市こども青少年局こども医務監 ( 医務担当部長 ) 田中 博章 横浜市こども青少年局子育て支援部長 資
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