キャンプ中の応急処置 自然の中でキャンプをする私達にとって一番大切なのは 健康を守ることです 特に子どもは 日常生活とは違った環境 人に興奮したり不安になったりと 何かと体調を崩したり怪我をしやすい状態にいます そこで 私達指導員がその子ども達の対応をし 必要であれば応急処置をていく事になります ここでは 基本的な健康管理と応急処置方法を知り 遭遇したときに慌てないようにしましょう 健康管理 キャンプ生活の基本は 健康管理の面から見ると次の 3 つになります 1: 快眠 ( ねる ) キャンプに行くと眠れない子どもがいますが 疲労の回復には充分な睡眠が必要です 眠る時間になっても眠くないから 眠れないからと言って騒ぐことがあります 一日のプログラムをこなし 体は疲れているのにいつもとは違う環境で興奮状態になっていることが大半です 家でもこんなに早く寝ない と言う子どももいるかと思いますが ここはキャンプ 次の日のプログラムもあり 早く起きることを話てとりあえず体を横にするように促します 体は疲れていますから それだけで眠ってしまうでしょう 仮に眠れなくても体は休まります ここで大変なのは 眠れないと騒ぐ子ども達です まずは 眠い子もいるのだから静かにするように注意し その後は 例えば次の日に疲れが残らない程度に 夜のハイキング に行くとか うるさくない様に話をする そして なるべく早い時間に寝るように 明日 眠いなんていってもしらないぞ なんて言ってみてもいいでしょう 2: 快食 ( くう ) 一日プログラムをこなすには エネルギーを補給しなければなりません 子どもの中には こんなの食べたく無い! なんて言ってくることもあります 家では母親が自分の好きなものを作ってくれますが キャンプ場には居ません 少しでもたべてみよう みんなで作ったんだからおいしいよ と少しでもお腹に入るようにしましょう 3: 快便 ( だす ) 環境の変化で ほとんどの人が ベンピ気味 になります キャンプは 3 泊 4 日ありますから 一日でも出なかったら次の朝 目が覚めたらご飯の前に冷たい水を飲ませましょう それでもでない時には 恥ずかしがらずに指導員に相談させ 一日に水分を多く取らせたりトイレに行ったときのマッサージもさせてみましょう ベンピ を甘く見てはいけません 便が原因で発熱することもあります そうならないように 毎日のチェックをしていきましょう
主な応急処置方法 キャンプ中に急な怪我や病気の人がでたとき 適切な処置をすることで怪我や病気の具合を軽くする事ができます 虫刺され 子どもは虫に刺された後 すぐに掻いてしまいます 汚れた手で掻き壊してしまうと そこから細菌が入り 2 次感染を起こす原因となります 掻いてしまう前に 処置をすれば治りも早くなります 蚊 ブヨ 1 刺された後 毒針が残っている場合があるので刺抜きやテープで取り水で洗い流す 2 早めに抗ヒスタミン剤の入ったかゆみ止めを塗る 3 腫れが出てきたときはひたすら冷やす!( 冷えぴたで OK 湿布だと薬効が軟膏と合わないこともあるので ) 水ぶくれになった時 大体は軟膏で治ります 中には アレルギー体質などで刺されたしこりが残り かゆみがおさまらなかったり ひどい腫れ 水ぶくれになったりする人もいます 反応しやすい体質という事です * 湿布の代わりにアクリノール液を浸したガーゼを当て 油紙を当て包帯で固定します 蜂スズメ蜂 ( 活動が活発になるのは 7~10 月頃 その時期は巣に近づかないこと!) など強い毒をもつ蜂に刺されると 激しく痛んで 赤く大きく腫れます 処置は以前に刺された事があるか 無いかで違ってきます 初めての時 1 蜂の針は蜂から取れて患部に残ります そのままでは毒が注入されてしまうので毛抜きでそっと早く毒針を抜き取る 2 患部に口を当て中の毒を吸い出します 3 石鹸でよく洗う 4 痛みや腫れがひどい時は刺された部分を水にぬらしたタオルでよく冷やし安静にします 5 その後 抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン含有軟膏を塗る 6 刺されてから 20 分しても異常が無いようなら ひとまず安心です しかし できれば早めに医者に見てもらうようにしましょう 前に刺された経験がある場合ショックを起こし 命に関わることもあります 以前刺されたことで体内に抗体ができていると アレルギー反応を起こすため要注意です その場合は 30 分以内に血圧低下などのショック反応が起きるので刺された部分が四肢なら心臓に近い部分をきつく縛り 一刻も早く病院に駆け込む 毛虫毒のある毛が刺さることがある 1 こすらないように 水で洗い流す ごしごし洗うと毒毛を皮膚の中に押し込んでしまうので 軽く触れる程度に洗う
2 抗ヒスタミン軟膏か副腎皮質ホルモン軟膏を塗り 患部を冷やします ムカデ毒が強力ですので 激しい痛みと腫れが現れます 患部を掻くと毒が広がるので絶対に掻かない! 1 患部の上の方 ( 心臓に近いほう ) をひもか布で縛り 毒が全身に回らないようにします ( きつすぎないように ) 2 患部を 口で強く吸い毒を出します ( 数回繰り返す ) 3 石鹸と流水で十分洗い 患部を冷やす 4 抗ヒスタミン剤を塗り すぐに病院へ行ってください # 虫に刺されないように まず 山などに入る時などはむやみに肌の露出をしない! # 虫除けスプレーをつけるなど 対応しましょう 止血法 怪我の際に出血を止めることが先決です 大きな傷では大量出血し その状態によっては失血によるショックを起こすこともあります そこで 出血量が多いときや 激しい出血のときには応急手当をすばやく行うことが大切です 一般的には止血 消毒を行いますが 重要なのは するべき事 と してはいけない事 をしっかり覚えておけば良いでしょう 止血法 1: 患部にガーゼや清潔な布を直接当てて その上から手で強く圧迫する 直接圧迫法は 傷口が大きくないときや 細い血管からの出血に有効 2: 患部を圧迫したまま 手足は心臓より高い位置に上げると血が止まりやすくなる 頭 額からの出血は枕などで頭を高くする 3: 上の 1 2 で効果的な止血ができないときは 止血帯 指圧止血を行い 病院へ! 1 止血帯 : 傷口から心臓寄りのところに布を二重に回します 結び目に頑丈な棒をあてて強く締めます 止血帯を締め付けたままにしておくと その部位の組織が壊死してしまうことがある 病院に搬送するまでに時間がかかる場合は 20~30 分置きに少しゆるめて血液の循環をはかる 緩めたときには 指圧止血で出血を抑える 2 指圧止血 : 道具が無いときに 止血点を指で圧迫する方法 患部よりも心臓に近い動脈を指で骨に向けて強く抑える 力を緩めると効果がなくなるので いったん抑えたら力をかけ続ける # 止血点 # 止血点には以下の 10 箇所がある 1 耳の前 2 首 3 あごの下 4 鎖骨のくぼみ 5 わきの下 6 肘の内側 7 手首 8 大腿部の付け根 9 大腿部の内側 10 ふくらはぎの後ろ 注意 傷口に直接当てるのは ガーゼか清潔な布が原則です 脱脂綿やティッシュペーパーは繊維が傷口に付着して化膿することもあるので 絶対に使用しない
鼻血 1: 椅子などに寄りかかるように座らせ 頭をまっすぐにしてあごを引いて 小鼻の部分を指でしっかりつまんで圧迫する よく上を向くといいと言いますが これだと血を飲んでしまうのでいけません また 首の後ろを叩くのも刺激になるのでやめよう 2: 冷やしたタオルなどで 鼻を冷やす 3: 鼻をつまんでも止まらないときは ガーゼや脱脂綿を鼻に詰めてから 鼻をしっかりつまむ 15 分以上経過しても出血が止まらないときは 病院へ 切り傷 擦り傷出血していれば まず止血してから傷口の洗浄 消毒をする 1: 傷口を水道水で洗い流す この際に 決してこすってはいけません! 異物が入っている場合は 大きいものは出血が大きくなる可能性があるためそのままに 小さいものは新たな出血に注意して取り除く 2: 消毒液で消毒をする 軟膏や乾燥スプレーは傷がふさがらなくなりやすいので 使用しない ( できれば自然に乾くのが一番!) 3: 出血があるときは ガーゼを当て 包帯を巻く ここでも 決してティッシュペーパーや脱脂綿は当てない 捻挫 捻挫をした時には ただの捻挫と靱帯の断裂 骨折と似ているので処置をする前に区別する 痛みがひどい時 捻挫をした時になにか 音 を感じた時は応急処置の後に病院へ 何でも無くても早めに病院へ! RICE 法 腫れる 疾患の応急処置に使われる方法 R は REST= 安静 I は ICE= 冷却 C は COMPES SION= 圧迫 E は ELEVATION= 高挙をそれぞれ表す 1:R( 安静 ) 怪我をしたら まずその場所からなるべく動かさず 患部を休ませる 2:I( 冷却 ) 次に痛めた部分を冷やす 氷を入れた袋が良いが 無ければバケツに水を入れるか コールドスプレーで冷やす 15~30 分は冷やし続ける 冷たすぎるときはタオルなどの上から冷やす 3:C( 圧迫 ) 患部をやや強めに包帯などで巻く そのときも冷やし続ける 指先がしびれたり 白くなっているときは強すぎなので やや緩める 4:E( 高挙 ) 患部を心臓より高くする事により 余分な血がたまる ( 内出血 ) を防ぐ これは その日 1 日以上続ける 足首 1 2 までは同じ 3 の圧迫の時に痛めたくるぶしにスポンジやハンカチのような柔らかいものを当て 包帯やテープを巻く 包帯は 体の端から中央に向かって巻くようにする その後 座布団などを足の下に置き 心臓より高くして冷却を続け休む 痛みがすぐ抜けても クセになることがあるため 安静を守る
突き指ほおっておくと指の変形を生むので 早めの RICE 法を行う 冷却の後 指を伸ばし割り箸 鉛筆などで添え木をして ややきつめに包帯で巻く そのあと 指を心臓よりも高くしたまま冷やし続ける 骨折 骨折しているかどうかは 腫れる 押すと痛い 熱感がある グラグラ動く が原則だが 子どもの場合 骨膜 ( 骨を取り囲んでいる膜 ) が厚いため これらの症状がないこともある 子どもの骨折の特徴は 1 大人と比べて折れやすいが治りは早い 2 年齢や骨折した部位によって異なるが 少し曲がった変形も自然に元通りになる ( 自家矯正力 ) 3 骨の成長に関与する骨端線 ( 骨の両端にある成長に関与する部分 ) にかかった骨折の場合 成長障害や関節変形を起こさないように手術が必要なことがある 骨折したときの応急処置の目的は 負傷者を病院に運ぶまでの間に 骨折によって発生する併発症を防ぐことにある 骨折には 次の 2 つのタイプがある 1. 非解放性骨折 : 骨折はあるが皮膚に損傷はない 2. 解放性骨折 : 骨折とともに皮膚の損傷がある 患部が普通と違ってみえたり 正確な動きをしない場合 また負傷者が折れたと感じたり 骨の折れる音を聞いたりした場合には 骨折が疑われるとして処置をすすめる 処置 負傷者に差し迫った危険が無い限り 固定がなされるまでは動かさないようにする 手や足は発見したときのままにしておき そのままの肢位で固定する 固定法 1: 板棒 オール 金属の棒 厚い雑誌や厚く折り畳んだ新聞紙のようにしっかりした物ならなんでも副木に使用できる 2: 副木の長さは 骨折部の上下の関節をこえるくらいの十分な長さが必要 3: 皮膚を傷つけないように 副木に布か柔らかいものを当てる 4: 副木は最低 3 ヵ所で包帯か布で固定する 負傷者は寝かせておき 固定ができたらできるだけ早く 病院へ! やけど やけどをしたら まず患部を水道水を流しながら 30 分以上冷やす 受傷直後 水で十分に冷やすことは やけどの皮膚内深達度をやわらげる その後 何も塗らずにできるだけ清潔な布で密着しないように覆い 病院へ! あわてて家庭用外用薬を塗ってもほとんど意味をなさない 水ぶくれができてしまったやけども 水道水で同様にひやす このときに できる限り水ぶくれはつぶさない やけどの範囲が広く 火事などで煙を吸っていたり ほかの外傷もあったり 意識障害がある場合は 救急車を呼ぶ!
熱射病 ( 日射病 ) あまりの高温下での運動中に体温調節ができなくなり 意識消失を起こすもので 日光によるものを特に日射病という 最悪の場合死亡することもある恐ろしい疾患なので 十分に注意する 予防としては 水分や休息を十分に取る必要がある 症状としては 汗が出なくなる 体温の急上昇 意識消失など 処置 まず 涼しい場所に移動し 衣服を緩め 頭 首 わきの下 足の付け根に氷の入った袋を当てて冷やす スポーツドリンクや水を少量づつ 大量に飲ませる この時に 意識の無い人に無理やり飲ませない 意識が回復してからのませる 意識が回復しない場合 体温が異常に高い場合には すぐに救急車を呼ぶ 意識が戻ったからといって その日に運動するのは止める # 熱疲労熱射病の逆で 体温が下がったり 貧血状態になる疾患もある この場合は 涼しい場所で汗をよく拭き その後毛布などで体をくるんで安静にし 水分を取らせる アレルギー アレルギーとは ギリシャ語の造語で 変じた反応能力 という意味 体内にアレルゲン ( 抗原 ) が入ると抗原抗体反応がおこり その中で生体にとって不利益をもたらすもの すなわち病的のものをアレルギーと言う 子どもに見られるアレルギーには以下のものがある 1 食物アレルギー : 食物抗原 卵 牛乳 大豆 小麦症状 : 食後ある程度時間がたってから 蕁麻疹 腹痛吐き気 不機嫌 下痢 ショックなど 2 アトピー性皮膚炎 蕁麻疹皮膚から入るもの ダニ 家のホコリ症状 : 湿疹 かゆみ 3 気管支喘息 アレルギー性鼻炎吸引性抗原 家のホコリ ダニ ペットのふけ カビなど 症状 : 水のような鼻水 ひっきりなしのくしゃみ 鼻をこする仕草 呼吸のたびにヒューヒュー ゼーゼーの喘鳴花粉やカビでは 目や鼻が赤く腫れる くしゃみ 鼻水などで特徴としてはかゆみがみられること 4 結膜炎