平成 24 年 1 月 25 日 武家の古都 鎌倉 及び 富士山 の世界文化遺産推薦に係る推薦書 ( 正式版 ) のユネスコへの提出について 本日 外務省において世界遺産条約関係省庁連絡会議 ( 構成 : 外務省 文化庁 環境省 林野庁 水産庁 国土交通省 宮内庁 ) が開催され 武家の古都 鎌倉 ( 文化庁 国土交通省の共同推薦 ) 及び 富士山 ( 文化庁 環境省 林野庁の共同推薦 ) の世界文化遺産への推薦について検討が行われました その結果 両資産の推薦書 ( 正式版 ) をユネスコ世界遺産センターへ2 月 1 日までに提出を行うことが決定されましたので お知らせします ( 本件同時発表 : 外務省 環境省 林野庁 国土交通省 ) ( 参考 ) 今後の予定 平成 24 年 2 月 1 日まで 推薦書 ( 正式版 ) のユネスコ世界遺産センターへの提出 平成 24 年夏 ~ 秋 イコモスによる現地調査 平成 25 年 5 月頃 イコモスによる評価結果の勧告 平成 25 年夏 第 37 回世界遺産委員会において審議 < 担当 > 文化庁文化財部記念物課 課 長 矢野和彦 ( 内線 2873) 世界文化遺産室長小林万里子 ( 内線 4784) 世界文化遺産推薦係長 坂本真樹 ( 内線 2877) 世界文化遺産企画係長 中田尚樹 ( 内線 4762) 電話 :03-5253-4111( 代表 ) 03-6734-2877( 直通 )
武家の古都 鎌倉 構成資産全体図 称名寺 円覚寺 建長寺 覚園寺 仮粧坂北条氏常盤亭跡大仏切通鎌倉大仏 亀ヶ谷坂浄光明寺鶴岡八幡宮寿福寺 永福寺跡法華堂跡荏柄天神社東勝寺跡 瑞泉寺 朝夷奈切通 重要な要素 [A] 鶴岡八幡宮 [B] 荏柄天神社 [C] 寿福寺 [D] 建長寺 [E] 円覚寺 [F] 瑞泉寺 [G] 鎌倉大仏 [H] 覚園寺 [I] 浄光明寺 [J] 極楽寺 [K] 称名寺 [L] 永福寺跡 [M] 法華堂跡 [N] 東勝寺跡 [O] 北条氏常盤亭跡 極楽寺 ( 仏法寺跡 ) 名越切通 [P] 朝夷奈切通 [Q] 名越切通切通 [R] 亀ヶ谷坂 [S] 仮粧坂 [T] 大仏切通 [U] 和賀江嶋 和賀江嶋 凡例 推薦資産 ( 古都保存法による歴史的風土特別保存地区等 ) 緩衝地帯 重要な要素 ( 文化財保護法による史跡等 ) 市町境界区境界
武家の古都 鎌倉 の世界文化遺産推薦について 資料 1 平成 2 4 年 1 月 1. 名称 武家の古都 鎌倉 Kamakura, Home of the SAMURAI 2. 所在地 神奈川県横浜市 鎌倉市 逗子市 3. 暫定一覧表記載年 平成 4(1992) 年 4. 共同推薦省庁文化庁及び国土交通省 5. 概要 武家の古都 鎌倉 は 以下に記す観点から顕著な普遍的価値を有する 戦士階級に属した武家が 12 世紀末の日本において古代社会の貴族支配から中世 近世へと続く武家支配への移行という大変革をもたらした政権を樹立し その構築 運営した政治支配体制の中から武家文化を生みだしたことを示す物証である 武家は 日本における時代の大転換期に 要害的地形をなす後背山稜の崖地及び谷戸を切削 造成し そこに重要な施設を機能的に配置し 政権支配 防御の構造を創り出すことによって 山稜部と一体となった稀に見る政権所在地の類型を形成した 武家の古都 鎌倉 の顕著な普遍的価値 評価基準 (ⅲ) 武家政権発足の地 武家文化創出を表す証拠 世襲制による職業的戦士階級を出自とする武家集団による支配 禅宗寺院などの中国文化との交流 摂取 茶 禅などの文化的伝統の醸成 評価基準 (ⅳ) 山稜部と一体となった稀に見る政権所在地の類型 三方を山に囲まれ 一方が海に開く 要害の地 切通 やぐら等独特な土木的施工による造成の痕跡 神社 居館等の機能的配置 6. 資産の保護措置 文化財保護法及び古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法 ( 古都保存法 )
7. 構成資産一覧 構成資産名 重要な要素 ( 括弧内は内包される記念工作物等 ) 種別地形属性 鶴岡八幡宮 ( 若宮大路 上宮 摂社若宮 ) ( つるがおかはちまんぐう ( わかみやおおじ じょうぐう せっしゃわかみや )) 寿福寺 ( じゅふくじ ) 神社 寺院 建長寺 ( 庭園 山門 仏殿 法堂 昭堂 大覚禅師塔 朱垂木やぐら群 ) ( けんちょうじ ( ていえん さんもん ぶつでん はっとう しょうどう だいがくぜんじとう しゅだるきやぐらぐん )) 寺 院 瑞泉寺 ( 庭園 )( ずいせんじ ( ていえん )) 寺院 構成資産 1 鎌倉大仏 ( かまくらだいぶつ ) 覚園寺 ( 百八やぐら群 )( かくおんじ ( ひゃくはちやぐらぐん )) 寺院 寺院 山 仏法寺跡 ( ぶっぽうじあと )( 構成資産 2 に所在する極楽寺に含まれる ) ( 寺院跡 ) 永福寺跡 ( ようふくじあと ) 法華堂跡 ( ほっけどうあと ) 北条氏常盤亭跡 ( ほうじょうしときわのていあと ) 亀ヶ谷坂 ( かめがやつざか ) 仮粧坂 ( けはいざか ) 大仏切通 ( だいぶつきりどおし ) 構成資産 2 極楽寺 ( ごくらくじ )( 構成資産 1 に所在する仏法寺跡を含む ) 構成資産 3 円覚寺 ( 庭園 舎利殿 )( えんがくじ ( ていえん しゃりでん )) 構成資産 4 浄光明寺 ( じょうこうみょうじ ) 構成資産 5 荏柄天神社 ( えがらてんじんしゃ ) 構成資産 6 朝夷奈切通 ( あさいなきりどおし ) 構成資産 7 東勝寺跡 ( とうしょうじあと ) 構成資産 8 名越切通 ( まんだら堂やぐら群 ) ( なごえきりどおし ( まんだらどうやぐらぐん )) 構成資産 9 称名寺 ( しょうみょうじ ) 寺院跡寺院跡武家館跡切通切通切通寺院寺院寺院神社切通寺院跡切通寺院 稜 部 構成資産 1 0 和賀江嶋 ( わかえのしま ) 港跡海浜部 8. 構成資産面積及び緩衝地帯面積構成資産面積 577.2ha 緩衝地帯面積 1466.0ha 合計 2043.2ha
1. 名称 富士山 Fujisan 2. 所在地山梨県 静岡県 3. 暫定一覧表記載年月平成 19(2007) 年 1 月 4. 共同推薦省庁文化庁 環境省及び林野庁 富士山 の世界文化遺産推薦について 資料 2 平成 2 4 年 1 月 5. 概要富士山は 日本を代表し象徴する日本最高峰の秀麗な円錐成層火山として世界的に著名であり その荘厳で崇高な形姿を基盤として日本人の自然に対する信仰の在り方や日本に独特の芸術文化を育んだ山である 山岳に対する信仰の在り方や 海外に影響を与えた 19 世紀後半の葛飾北斎や歌川広重などによる顕著な普遍的価値を持つ 浮世絵 などの日本独特の芸術文化を育んだ山である 時代を超えて 一国の文化の諸相とも極めて深い関連性を示し 山に対する信仰の文化的伝統を表すのみならず 世界的な 名山 としての景観の類型の顕著な事例として顕著な普遍的価値を持つ山である 富士山の顕著な普遍的価値 信仰の対象 芸術の源泉 富士山域 山頂の信仰遺跡群 登山道 浅間神社の境内 社殿群 御師住宅 霊地 巡礼地 名山としての景観 富士山域に対する 展望地点 展望景観 評価基準 (iii) 富士山信仰 という山岳に対する固有の文化的伝統を表わす証拠 評価基準 (iv) 世界的な 名山 としての景観の類型の顕著な事例 評価基準 (vi) 顕著な普遍的意義を持つ芸術作品との直接的 有形的な関連性
6. 資産の保護措置文化財保護法 自然公園法及び国有林野の管理経営に関する法律 7. 構成資産一覧 No 構成資産 1 富士山域 ( ふじさんいき ) 1-1 山頂の信仰遺跡群 ( さんちょうのしんこういせきぐん ) 1-2 大宮 村山口登山道 ( 現富士宮口登山道 ) ( おおみや むらやまぐちとざんど う ( げんふじのみやぐちとざんどう )) 1-3 須山口登山道 ( 現御殿場口登山道 ) ( すやまぐちとざんどう ( げんごてんばぐ ちとざんどう )) 1-4 須走口登山道 ( すばしりぐちとざんどう ) 1-5 吉田口登山道 ( よしだぐちとざんどう ) 1-6 北口本宮冨士浅間神社 ( きたぐちほんぐうふじせんげんじんじゃ ) 1-7 西湖 ( さいこ ) 1-8 精進湖 ( しょうじこ ) 1-9 本栖湖 ( もとすこ ) 2 富士山本宮浅間大社 ( ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ ) 3 山宮浅間神社 ( やまみやせんげんじんじゃ ) 4 村山浅間神社 ( むらやませんげんじんじゃ ) 5 須山浅間神社 ( すやませんげんじんじゃ ) 6 冨士浅間神社 ( 須走浅間神社 )( ふじせんげんじんじゃ ( すばしりせんげんじんじゃ )) 7 河口浅間神社 ( かわぐちあさまじんじゃ ) 8 冨士御室浅間神社 ( ふじおむろせんげんじんじゃ ) 9 御師住宅 ( 旧外川家住宅 ) ( おしじゅうたく ( きゅうとがわけじゅうたく )) 10 御師住宅 ( 小佐野家住宅 ) ( おしじゅうたく ( おさのけじゅうたく )) 11 山中湖 ( やまなかこ ) 12 河口湖 ( かわぐちこ ) 13 忍野八海 ( 出口池 )( おしのはっかい ( でぐちいけ )) 14 忍野八海 ( お釜池 )( おしのはっかい ( おかまいけ )) 15 忍野八海 ( 底抜池 )( おしのはっかい ( そこなしいけ )) 16 忍野八海 ( 銚子池 )( おしのはっかい ( ちょうしいけ )) 17 忍野八海 ( 湧池 )( おしのはっかい ( わくいけ )) 18 忍野八海 ( 濁池 )( おしのはっかい ( にごりいけ )) 19 忍野八海 ( 鏡池 )( おしのはっかい ( かがみいけ )) 20 忍野八海 ( 菖蒲池 )( おしのはっかい ( しょうぶいけ )) 21 船津胎内樹型 ( ふなつたいないじゅけい ) 22 吉田胎内樹型 ( よしだたいないじゅけい ) 23 人穴富士講遺跡 ( ひとあなふじこういせき ) 24 白糸ノ滝 ( しらいとのたき ) 25 三保松原 ( みほのまつばら ) 8. 構成資産面積及び緩衝地帯の面積 構成資産面積 20,702.1ha 緩衝地帯面積 49,627.7ha 合計 70,329.8ha
世界遺産について 資料 3 1. 世界遺産条約 ( 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約 ) (1) 条約の目的文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷 破壊等の脅威から保護し 保存することが重要であるとの観点から 国際的な協力及び援助の体制を確立すること (2) 経 緯 昭和 47(1972) 年 第 17 回ユネスコ総会において採択 昭和 50(1975) 年 条約発効 平成 4(1992) 年 我が国において条約締結のための国会承認及び条約発効 平成 23(2011) 年 10 月現在で締結国数 188ヵ国 2. 世界遺産一覧表への記載プロセス 1 各締約国は 世界遺産一覧表への記載推薦の候補を記載した 暫定一覧表 を提出する 2 各締約国は 暫定一覧表 の記載物件のうち 世界遺産一覧表 に記載する準備が整ったものを世界遺産委員会へ推薦する これに対し 世界遺産委員会が 世界遺産一覧表 への記載の可否を決定する 3. 世界遺産の総数平成 23 年 6 月 29 日現在で 936 件 ( 文化遺産 725 件 自然遺産 183 件 複合遺産 28 件 ) 4. 我が国の世界遺産一覧表記載物件 ( 文化遺産 12 件 自然遺産 4 件 ) 記載物件名 所在地 暫定一覧表記載年 世界遺産一覧表記載年 区分 1 法隆寺地域の仏教建造物 奈良県 4 年 5 年 12 月 文化 2 姫路城 兵庫県 文化 3 屋久島 鹿児島県 自然 4 白神山地 青森県 秋田県 自然 5 古都京都の文化財 京都府 滋賀県 6 年 12 月 文化 ( 京都市 宇治市 大津市 ) 6 白川郷 五箇山の合掌造り集落 岐阜県 富山県 7 年 12 月 文化 7 原爆ドーム 広島県 7 年 8 年 12 月 文化 8 厳島神社 広島県 4 年 文化 9 古都奈良の文化財 奈良県 10 年 12 月 文化 10 日光の社寺 栃木県 11 年 12 月 文化 11 琉球王国のグスク及び関連遺産群沖縄県 12 年 12 月 文化 12 紀伊山地の霊場と参詣道 三重県 奈良県 和歌山県 13 年 16 年 7 月 文化 13 知床 北海道 16 年 17 年 7 月 自然 14 石見銀山遺跡とその文化的景観 島根県 13 年 19 年 7 月 文化 15 小笠原諸島 東京都 19 年 23 年 6 月 自然 16 平泉 - 仏国土 ( 浄土 ) を表す建築岩手県 13 年 23 年 6 月 文化 庭園及び考古学的遺跡群- 5. 我が国の暫定一覧表記載物件 ( 文化遺産 12 件 自然遺産なし ) 平成 4 年 1 古都鎌倉の寺院 神社ほか ( 神奈川県 ) 2 彦根城 ( 滋賀県 ) 平成 19 年 3 富岡製糸場と絹産業遺産群 ( 群馬県 ) 4 富士山 ( 静岡県 山梨県 ) 5 飛鳥 藤原の宮都とその関連資産群 ( 奈良県 ) 6 長崎の教会群とキリスト教関連遺産 ( 長崎県 ) 7 国立西洋美術館 ( 本館 ) ( 東京都 ) 平成 21 年 8 北海道 北東北を中心とした縄文遺跡群 ( 北海道 青森県 岩手県 秋田県 ) 9 九州 山口の近代化産業遺産群 ( 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 鹿児島県 山口県 ) 10 宗像 沖ノ島と関連遺産群 ( 福岡県 ) 平成 22 年 11 金を中心とする佐渡鉱山の遺産群 ( 新潟県 ) 12 百舌鳥 古市古墳群 ( 大阪府 )
世界文化遺産の登録までの手続き等 資料 4 世界遺産への推薦候補を記載した 世界遺産暫定一覧表 を世界遺産委員会に提出 推薦準備作業 ( 顕著な普遍的価値の証明 文化財指定 選定等 ) 準備が整った資産から順次推薦を決定 文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会 文化審議会文化財分科会 世界遺産条約関係省庁連絡会議において決定 世界遺産委員会へ推薦書 ( 暫定版 ) 提出 [ 毎年 9 月 30 日期限 ] ( 世界遺産センターによる形式審査 ) 文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会 文化審議会文化財分科会 世界遺産条約関係省庁連絡会議において決定 世界遺産委員会へ推薦書 ( 正式版 ) 提出 [ 毎年 2 月 1 日期限 ] 専門家で構成された国際非政府機関 ( イコモス : 国際記念物遺跡会議 ) による審査 [ 約 1 年半の審査 ] ( この間にイコモスによる現地審査含む ) イコモスによる評価結果の勧告 ( 例年 5 月 ) 世界遺産委員会で登録の可否を決定 [ 推薦翌年の6~7 月 ] 世界遺産委員会の決議は 次の 4 区分 1 記載 (Inscription): 世界遺産一覧表に記載するもの 2 情報照会 (Referral): 追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回すもの 3 記載延期 (Deferral): より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの 推薦書を再提出した後 約 1 年半をかけて再度イコモスの審査を受ける必要がある 4 不記載決議 (Decision not to inscribe): 記載にふさわしくないもの 例外的な場合を除き再推薦は不可