に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

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最高裁○○第000100号

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

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淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

最高裁○○第000100号

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

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(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

できない状況になっていること 約 6 分間のテレビ番組中で 2 分間を超える放映を し たこと等を理由に損害賠償請求が認容された X1 X2 および Y の双方が上告受理申立て 2 判旨 :Y1 敗訴部分破棄 請求棄却 X1,X2 敗訴部分上告却下ないし上告棄却最高裁は 北朝鮮の著作物について日本国

最高裁○○第000100号

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平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

出願日平成 27 年 8 月 6 日登録日平成 28 年 6 月 17 日登録商標 医心 ( 標準文字 ) 指定役務第 41 類医学 歯学 薬学又は看護学に関する知識の教授, 医学部 歯学部 薬学部 看護学部又はその他の医療系学部に関する受験勉強の教授, 医学部生 歯学部生 薬学部生 看護学部生又は

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

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(Microsoft Word \224\255\225\\\201yMSH\201z \224\273\214\210\201i\217\244\225W\201j.doc)

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

2. 検索連動型広告 ( より ) 2

撮影を,3 株式会社 MONDESIGN Japan( 以下 モンデザイン という ) に対して全体的なデザインをそれぞれ依頼し, 上記 1につき平成 23 年 4 月頃,2につき同年 5 月頃,3につき同年 6 月頃, 各成果物を受領し, その際, 各成果物に係る著作権の譲渡を受けた ( 甲 9,

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

権 ) を侵害するとともに, 原告をプロデューサーとして表示しない点及び劇場用映画として制作された本件映画をインターネットで公表する点において, 本件映画につき原告が有する著作者人格権 ( 氏名表示権及び公表権 ) を侵害する行為であり, 被告が今後本件映画を上映, 複製, 公衆送信若しくは送信可能

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

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最高裁○○第000100号

平成  年(オ)第  号

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

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4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

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平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

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審決取消判決の拘束力

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

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輸入差止件数及び点数の推移 輸入差止件数は 前年に比べ 61.4% 増加の 7,923 件であり 年ベースでは過去 7 番目となりました ( 年ベースの過去最高は平成 25 年の 10,468 件 ) 輸入差止点数は 前年に比べ 31.0% 減少の 165,804 点であり 年ベースでは過去 16

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

登録番号第 号指定商品 役務第 25 類被服, 空手衣第 41 類空手の教授, 空手の興行の企画 運営又は開催登録商標別紙原告商標目録 1 記載のとおりイ本件商標権 2( 以下これに係る登録商標を 本件商標 2 という ) 出願年月日平成 16 年 10 月 15 日登録年月日平成

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判決【】

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4B 電通の部長らとともにタレントの所属事務所に絵コンテを持参し 撮影内容を説明した上で タレントのCM 出演の了解を獲得 5B 電通のミーティング( プリ プロダクション ミーティング ) に参加 当該ミーティングにおいて制作予算及びCM 制作の進行予定が確定 ( この会議にも原告は参加せず )

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

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法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

本教材の利用について 本教材は 平成 28 年度特許庁産業財産権制度問題調査研究 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 ( 請負先 : 国立大学法人大阪大学知的財産センター ) に基づき作成したものです 本教材の著作権は 第三者に権利があることを表

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0A8D6C A49256C A0

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

ア原告は, 平成 26 年 12 月 26 日に設立された, 電気機械器具の研究及び開発等を目的とする株式会社である イ合併前会社ワイラン インクは, 平成 4 年 (1992 年 ) に設立された, カナダ法人である 同社は, 平成 29 年 (2017 年 )6 月 1 日付けで, 他のカナダ法

裁判年月日 平成 20 年 11 月 27 日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平 20( ワ )9871 号 事件名 管理費等請求事件 裁判結果 認容 文献番号 2008WLJPCA 東京都足立区 以下省略 原告上記代表者理事長上記訴訟代理人弁護士同同東京都世田谷区

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最高裁○○第000100号

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

仕出国別 来の知財侵害物品の差止件数は 660 件であり 仕出国別の構成比では 前年に続き全体の 8 割 (79.6%) を占めるに至っている 一方 2 位の来が構成比 9.0% 3 位の来が同 4.9% を占めるにとどまっており 来への一極化の傾向にあると言える なお 前年同期 2 位であった来は

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

同訴訟代理人弁護士同同同同同同同同同同同 三好徹石田央子津田直和井川真由美鶴﨑有一石井修平山崎哲内田尚成前田香織本田雄巳黒木義隆籔之内千賀子 主文 1 控訴人の本件控訴を棄却する 2(1) 被控訴人の附帯控訴に基づき 原判決主文 1 2 項を次のとおり変更する (2) 控訴人は 被控訴人に対し 78

一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

めた事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実 ) (1) 当事者ア原告は, 映画プロデューサーである ( 甲 1,2) イ被告は, 新聞社であり, ウェブサイト 朝日新聞デジタルAJW を運営するものである (2) 原告の著

発信者情報開示関係WGガイドライン

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

同目録記載の番号により 本件著作物 1, 本件著作物 2 といい, 本件著作物 1 及び本件著作物 2を併せて 本件各著作物 という ) の著作権を有する株式会社 CAを吸収合併し, 同社の権利義務を承継したところ, 被告が本件各著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆

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D-102 キャッチフレーズ 著作権侵害等差止等請求事件 : 東京地裁平成 26( ワ )21237 平成 27 年 3 月 20 日 ( 民 29 部 ) 判決 < 請求棄却 > キーワード 広告 ( 新聞 ウェブサイト ), キャッチフレーズ, 著作物, 不正競争 ( 商品等 表示 ), 一般不法行為, 競争関係の有無 事案の概要 1 本件は, 原告 ( 株式会社エスプリライン ) が, 被告 ( エス株式会社 ) による別紙被告キャッチフレーズ目録記載 1ないし4の各キャッチフレーズ ( 以下, 番号に従って 被告キャッチフレーズ1 ないし 被告キャッチフレーズ 4 といい, 併せて 被告キャッチフレーズ という ) の複製, 公衆送信, 複製物の頒布は, 別紙原告キャッチフレーズ目録記載 1ないし3の各キャッチフレーズ ( 以下, 番号に従って 原告キャッチフレーズ1 ないし 原告キャッチフレーズ3 といい, 併せて 原告キャッチフレーズ という ) の著作権侵害 ( なお, 原告は, 侵害に係る支分権を明らかにしていない ) 又は不正競争を構成すると主張して, 被告に対し, 被告キャッチフレーズの複製, 公衆送信, 複製物の頒布の差止めを求めるとともに, 不法行為 ( 著作権侵害行為, 不正競争行為又は一般不法行為 ) に基づく損害賠償金 60 万円及びこれに対する平成 26 年 9 月 2 日 ( 訴状送達の日の翌日 ) から支払済みまでの民法所定年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 2 争点 (1) 著作権侵害の成否 ( 争点 1) (2) 不正競争の成否 ( 争点 2) (3) 一般不法行為の成否 ( 争点 3) (4) 差止請求の可否 ( 争点 4) (5) 損害の有無及びその額 ( 争点 5) 判断 1 争点 1( 著作権侵害の成否 ) について (1) 著作物性ア著作物といえるためには, 思想又は感情を創作的に表現したもの であることが必要である ( 著作権法 2 条 1 項柱書き ) 創作的に表現したもの というためには, 当該作品が, 厳密な意味で, 独創性の発揮されたものであることまでは求められないが, 作成者の何らかの個性が表現されたものであることが必要である 文章表現による作品において, ごく短かく, 又は表現に制約があって, 他の表現が想定できない場合や, 表現が平凡でありふれたものである場合には, 作成者の個性が現れていないものとして, 創作的 1

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合せとしてみても, 平凡かつありふれた表現というほかなく, 作成者の思想 感情を創作的に表現したものとは認められない ウ原告キャッチフレーズ2は, ある日突然, 英語が口から飛び出した! というもの, 原告キャッチフレーズ3は, ある日突然, 英語が口から飛び出した というものであるが,17 文字 ( 原告キャッチフレーズ3) あるいはそれに感嘆符を加えた18 文字 ( 原告キャッチフレーズ2) のごく短い文章であり, 表現としても平凡かつありふれた表現というべきであって, 作成者の思想 感情を創作的に表現したものとは認められない (2) 以上によれば, 原告キャッチフレーズには著作物性が認められないから, その余の点について判断するまでもなく, 原告の著作権に基づく請求は認められない 2 争点 2( 不正競争の成否 ) について (1) 商品等表示 とは, 氏名, 商号, 商標, 標章, 商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいい ( 不正競争防止法 2 条 1 項 1 号 ), 自他識別機能又は出所表示機能を有するものでなければならないと解される キャッチフレーズは, 通常, 商品や役務の宣伝文句であって, これに接する需要者もそのようなものとして受け取り, 自他識別機能ないし出所表示機能を有するものとして受け取られることはないといえ, キャッチフレーズが商品等表示としての営業表示に該当するためには, 長期間にわたる使用や広告, 宣伝等によって, 当該文言が特定人の営業を表示するものとして需要者の間に広く認識され, 自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っていることが必要であるというべきである (2) 原告と被告がいずれも英会話教材の通信販売等を業とする株式会社であり ( 弁論の全趣旨 ), 原告キャッチフレーズが, 平成 16 年 9 月から平成 26 年 2 月にかけて原告広告で使用されており ( 争いがない ), 原告商品の売上が, 平成 24 年 4 月期に約 106 億円, 平成 20 年 4 月期に約 21 億円に上っていたことは被告も認めている ( 平成 26 年 10 月 29 日付け被告準備書面 7 頁 ) としても, 原告キャッチフレーズが平凡かつありふれた表現であることに加え, 原告キャッチフレーズは原告広告の見出しの中で, キャッチフレーズの一つとして使用されているにすぎないこと, 原告広告において, 原告商品を指すものとして スピードラーニング という商品名が記載されており ( 甲 1の 1ないし4), 需要者はこれをもって原告商品を他の同種商品と識別できることなどからすれば, 原告キャッチフレーズが, 単なるキャッチフレーズを超え 2

て, 原告の営業を表示するものとして需要者の間に広く認識され, 自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っているとは認められない (3) 以上によれば, 原告キャッチフレーズが 商品等表示 に当たるとは認められないから, その余の点について判断するまでもなく, 原告の不正競争防止法に基づく請求は認められない 3 争点 3( 一般不法行為の成否 ) について (1) 著作権法は, 著作物の利用について, 一定の範囲の者に対し, 一定の要件の下に独占的な権利を認めるとともに, その独占的な権利と国民の文化的生活の自由との調和を図る趣旨で, 著作権の発生原因, 内容, 範囲, 消滅原因等を定め, 独占的な権利の及ぶ範囲, 限界を明らかにしている また, 不正競争防止法も, 事業者間の公正な競争等を確保するため不正競争の発生原因, 内容, 範囲等を定め, 周知商品等表示について混同を惹起する行為の限界を明らかにしている ある行為が著作権侵害や不正競争に該当しないものである場合, 当該作品を独占的に利用する権利は, 原則として法的保護の対象とはならないものと解される したがって, 著作権法や不正競争防止法が規律の対象とする著作物や周知商品等表示の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り, 不法行為を構成するものではないと解するのが相当である ( 最高裁平成 23 年 12 月 8 日判決 民集 65 巻 9 号 3275 頁 [ 北朝鮮映画事件 ], 知財高裁平成 24 年 8 月 8 日判決 判時 21 65 号 42 頁 [ 釣りゲーム事件 ]) (2) この点, 原告は, 原告キャッチフレーズは多大の労力, 費用をかけ, 相応の苦労 工夫により作成されたものであって, 法的に保護されるべき利益を有すると主張する しかし, 原告の主張によっても, 被告による被告キャッチフレーズの使用に, 著作権法や不正競争防止法が規律の対象とする利益とは異なる法的に保護される利益を侵害するなどの特段の事情があると認めることはできない (3) したがって, 原告の一般不法行為に基づく請求は認められない 4 結論以上によれば, 本件請求はいずれも理由がない よって, 主文のとおり判決する 論説 1. 新聞,TV, ラジオ,WS 等のマスメディアにおいて使用されるキャッチフレーズには様々なものがあり 俳句のような短い文章でも 創作性の高いものもあれば 日用の日本語を並べたにすぎない創作性の低いものもあるところ 本件は後者に属するキャッチフレーズに対する侵害の有無が問題となった事案である 原告のキャッチフレーズ1,2,3,4と被告のキャッチフレーズ1,2,3 とは 別紙目録にそれぞれ記載してあるが 各文章の創作性は低いとしても 小 3

学校 6 年生のレベルの創作性は認められるとし 一つの目的をもって創作されているのだから 著作権法 2 条 1 項 1 号に規定する 著作物 の定義に該当するものと解してもよいだろう これについて裁判所は 作品には創作者の 何らかの個性 の表現が必要であると説示するが 個性の表現 とは 具体的にはどのようなかつどの程度の表現のものをいうのか基準について 裁判所は説示することはできないのだろうか もし裁判所において不可能であれば 文化庁において多くの事例を想定して 著作物性の判断基準と著作権侵害の成否基準を作成されてみてはどうなのだろうか 特許庁においては 出願される特許や意匠や商標に対する審査基準なるものを長年確立しているから 出願人にあっては それに基づいて出願をしているのであり 出願人と特許庁との信頼関係は良好な状態に維持されているのである 2. 次に 不競法 2 条 1 項 1 号の適用について裁判所は キャッチフレーズが商品等表示としての営業表示に該当するためには 長期間にわたる使用や広告, 宣伝等によって 当該文言が特定人の営業を表示するものとして 需要者間に広く認識され 自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っていることが必要であるというべきである と説示する これについて 裁判所は 本件キャッチフレーズは 原告の広告の見出しの中で使用されているにすぎないことを理由に また具体的には原告商品を指すものとして スピードラーニング という商品名が記載されていることを理由に 需要者はこれをもって原告商品を他の同種商品と識別できることからすれば 原告のキャッチフレーズが 単なるキャッチフレーズを超えて 原告の営業を表示するものとして需要者間に広く認識され 自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っているとは認められない と認定した また 被告は 原告の商品売上高についてはすでに把握していたが 裁判所としては 被告の行為は不正競争に該当しないと認定したことから 不競法による不法行為は成立しなかったのである 3. さらに 一般不法行為については 被告の行為は 著作権侵害や不正競争に該当しない場合となるから 当該作品を独占的に利用する権利は 原則として法的保護の対象とはならないと解し 特段の事情がない限り 不法行為を構成しないと解するのが相当であると認定し 原告の一般不法行為に基づく請求は認められないと判断したのである 4. しかしながら このような本件事実に対し既成法を適用しても いずれも否認された判決を見ると 筆者は割り切れない思いである 一口に キャッチフレーズ と言っても その表現形式には様々なものがあるから 表現内容の濃淡や長短などによって著作物性の成否を決定することは 平 4

均的な日本人にとっては容易なことではない しかし 被告キャッチフレーズにあっては原告キャッチフレーズと同一であることを見れば デッドコピーであるから 著作権侵害の成立を認めた方が妥当であるというべきであろう しかも 本件の当事者どうしの場合は 競争関係という背景がそこには存在しているのだから このような要素を特別に考慮してもよいであろう けだし 広告宣伝のためのキャッチフレーズにあっては このような競争関係があり 一方が他方のキャッチフレーズを模倣して使用することは 現実にあり得る現象だからである 牛木理一 5

( 別紙 ) 被告キャッチフレーズ目録 1 音楽を聞くように英語を流して聞くだけ 英語がどんどん好きになる 2 音楽を聞くように英語を流して聞くことで上達 英語がどんどん好きになる 3 ある日突然, 英語が口から飛び出した! 4 ある日, 突然, 口から英語が飛び出す! 以上 ( 別紙 ) 原告キャッチフレーズ目録 1 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ 英語がどんどん好きになる 2 ある日突然, 英語が口から飛び出した! 3 ある日突然, 英語が口から飛び出した 以上 6