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筑波技術短期大学テクノレポート Vol.11(1) Mar.2004 新しい電子録音図書 DAISY の作製方法の改善 筑波技術短期大学視覚部一般教育等 1) 同教務第二課図書係 2) 村上佳久 1) 落合厚子 2) 要旨 : 新しい電子録音図書 DAISY は その立ち上がりから急速に普及し始め カセットテープに代わり録音図書の主流となりつつある 昨今 点字図書館をはじめとする視覚障害者のための図書関連施設では 一斉に DAISY 作製方法がバージョンアップし 電子録音図書から電子マルチメディアへの転換が行われた ここでは 新しい電子録音図書 DAISY のマルチメディア対応への取り組みと 視覚部図書館における DAISY の取り組みについて報告する キーワード :DAISY 電子録音図書 1. はじめに DAISY とは Digital Audio-based Information SYstem デジタル音声情報システム の略で始まったが 2001 年 11 月より 音声以外の画像や文字などの様々なデータも扱うことから名称が変更となり Digital Accessible Information SYstem アクセシブルなデジタル情報システム となった DAISY とは換言すれば 視覚障害者が利用する録音図書の全世界規格のデジタル録音図書と考えるのが分かりやすい 基本的には インターネット関連技術の一つであり 音声や画像 文字情報も取り扱い これらマルチメディアの同期を行うことができる SMIL (Synchronized Multi-media Integration Language スマイル ) 言語によって記述されており 視覚障害者以外の利用も想定されていた DAISY が 新しい電子録音図書として登場して 5 年以上経過したが カセットテープに取って代わるメディアとして 点字図書館での利用は増加の一途を辿っている アナログレコードが CD に置き換わって行った時と同様である 点字図書館などの視覚障害者情報提供施設では 現在 DAISY 作成システムが更新され また朗読の録音システムもカセットテープからフルデジタル化に向けて作業が始まっている ここでは DAISY を取り巻く環境と新しい DAISY 作成システムについて解説する 2.DAISY を取り巻く環境 1999 年の厚生省 ( 当時 ) の補正予算により 全国の点字図書館 盲学校や視力障害センターに DAISY 作成システムと DAISY 再生専用機 及び 2580 タイトルの DAISY システムの CD-ROM( 以下 DAISY CD-ROM と記す ) を配布する事業が年次計画で行われ整備された この当時は 録音図書の主流がカセットテープで あり 点字図書館によっては オープンリールテープで録音作業を行うところさえあった 2000 年以降 点字図書館などの録音図書作成環境は徐々にデジタル化され 多くの点字図書館でカセットテープに代わり MO やMD を利用した録音システムが利用されるようになった DAISY 作成システムも徐々に進化を遂げ 最近では カセットテープや MD の代わりに直接パソコンで朗読を録音する点字図書館も少なくない そこで 点字図書館では録音図書作成環境のデジタル化に向けて環境整備を行っており DAISY 作成ソフト ( オーサリング システム ) もバージョンアップがなされた それまでの DAISY が 電子録音図書としてデジタル音声情報システムであったものが 音声情報だけでなく 文字情報と音声情報の同期が可能という 視覚障害者のみならず聴覚障害者にも対応するようになった これは DAISY が全ての障害者のアクセシビリティに対応するシステムとしての位置づけになったからである ( 元来 その計画であったと言われる ) 録音図書がデジタル化に向けて進化する中 利用者の読書環境も整備する必要がある 点字毎日 ( 活字版 ) 2003 年 10 月 30 日 1 面によると 厚生労働省では 平成 16 年度の概算要求にデジタル録音図書再生機 ( 読書機 ) を盛り込んでおり 視覚障害者の日常生活用として 指定する方向で取り組んでいる 一方 全国の点字図書館等が加盟する 全国視覚障害者情報提供施設協会 では 現在 日本最大の電子点字図書データベースと言うべき ないーぶネット を運営している 点字毎日 ( 活字版 )2003 年 11 月 27 日 1 面によると 平成 15 年の 10 月の第 29 回大会で 2006 年度からの録音図書デジタル化に対応した環境整備について検討を進めている これは 将来的に録音資料などのネット配信を視野 27

に入れたもので ないーぶネット のインターネット化に伴い 地域格差が解消されつつある状況を捉え 点字図書だけでなく録音図書 資料の電子化データベースを構築することにより 視覚障害利用者の利便性とアクセシビリティの向上に向けた活動を各施設で行うことを目指したものである 3. 録音図書の著作権問題著作権法第 37 条では 点字と録音の著作権について規定している 点字については第 2 項で 公表された著作物については 電子計算機を用いて点字を処理する方式により 記録媒体に記録し 又は公衆送信 ( 放送又は有線放送を除き 自動公衆送信の場合にあっては送信可能化を含む ) を行うことができる と規定し 著作権法第 23 条の送信可能化権に関わらず可能としている 一方 録音資料や図書については第 3 項で 点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては 専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するために 公表された著作物を録音することができる と規定している これらの施設は 盲学校や視力障害センター 点字図書館などを言う 視覚部では この著作権法の政令指定を受けるべく 当時の文部省や文化庁と協議を重ね 視覚部図書館が 平成 5 年に文化庁から政令指定を受け 録音図書作成が認められる施設となった ( 庁文著第 61 号平成 5 年 4 月 1 日指定者 : 文化庁長官 ) このような指定を受けていない施設 機関での録音図書作成は 著作権者の許諾が必要となる これは 大学図書館や一般公共図書館でも同様であり 例えば 全盲の学生が在籍する大学などでも政令指定を受けていない限り 録音図書の作成は著作権者の許諾を受ける必要がある また 注意しなければならないのは 政令指定を受けているのは 視覚部図書館であり 視覚部の他の部門 例えば教育方法開発センターや一般教育等は含まれないと言うことである 文化庁の指導では この点について拡大解釈しないよう求めており また録音図書を作成する場所を明記し その場所で録音を行うことを求めている そのため視覚部図書館内の録音室には 録音図書の作成場所として 入口にその事を明記している この録音図書作成の場所の指導は 朗読ボランティアなどが 自宅で録音したカセットテープを編集する場合も含まれ 編集作業は 録音図書作成が明記された場所で行うよう求められた さらに 文化庁文化部長名の通知で下記の点に留意して関係業務を行うよう文書指導を受けている 1) 市販の録音物からの録音は含まれないこと 2) 作成した録音物を視覚部以外の学生に貸出しないこと 3) 著作者人格権に配慮し 著作者との間の信頼関係の維持を図ることこのことは 例え視覚部内であっても 著作権は厳守すべしと言うことを意味する 視覚部図書館以外の部門で録音図書の作成を行うことは どのような事例であれ 作成不可であり また 例えば隣接大学である筑波大学や筑波女子大学 ( 東京家政学院 ) などに在籍する視覚障害学生に対しても 録音図書の貸出が出来ない 平成 13 年に この文化部長名の通知に関して文化庁に改善を申し入れたが 現時点では改善は不可能であるとの口頭回答を得ている したがって 隣接大学の視覚障害学生が録音図書が必要な場合は 視覚部図書館からは貸出すことは出来ないため 近傍の点字図書館から録音図書を借り受ける必要がある 4. 視覚部図書館で扱う 電子録音図書視覚部図書館で現在扱っている電子録音図書には次のようなものがある 1) 従来のカセットテープや DAISY フォーマットによる CD-ROM の利用 ( オフライン ) 2) ネットワークを通じて配信される電子図書 ( オンライン ) 3) 電子携帯端末を通じて配信される電子図書 ( オンライン オフライン ) オンラインやオフラインという考え方は 図書館での蔵書の分類に関する事項で定められており ハードディスクなどにデータが蓄積される場合などは オンラインであり CD-ROM やカセットテープなどの物理的メディアでは オフラインとなる これらの利用形態や利用方法に応じて著作権法では様々な問題が発生する 特にネットワーク配信や電子携帯端末などのオンライン メディアによる配信が著作権法上問題となり得る部分である そこで 電子携帯端末の場合 デジタルデータのコピーが問題となるため 著作権保護機能を有する特殊なフォーマットでデータを作成している ネットワーク配信の場合は 配信場所を視覚部図書館に限定して配信し 事実上 28

DAISY 図書の作製方法の改善 電子録音図書を閲覧できるのは 電子図書閲覧室だけである このような オンラインデータに関しては 著作権に十分に配慮しているが オフライン メディアである DAISY CD-ROM やカセットテープに関しては 視覚部図書館で視覚部内に限定して貸出を行っている DAISY にも基本的にオンラインとオフラインがあるが DAISY の導入時の経緯から インデックス機能を最もよく利用できる DAISY CD-ROM によるオフラインが有効であると思われる 点字の読めない視覚障害者を多く受け入れる 視力障害センター等では DAISY のオフライン利用が盛んで 図書室で貸出された DAISY CD-ROM を専用再生機で利用する事が日常一般化している ネットワークを利用してパソコンで DAISY データを利用する事も可能であるが 簡単操作の専用再生機によるオフライン利用が 視覚部学生には最も有効ではないだろうか 5. 新しい DAISY の規格新しい DAISY 規格 (DAISY2.02) では 下記のように6つのタイプがある DTB のタイプ ( 構造化ガイドライン ) で分類する 1) 音声とタイトルのみ (Audio with Title element only) 講演記録などの録音物タイプ 2) 音声と見出しの図書 (Audio with NCX only ) 現在点字図書館等で制作 貸出しされているタイプ 3) 音声と見出し 一部テキストを持つ図書 (Audio with NCX and partial text) 利用されている例は少ない 4) 音声とフル テキストの図書 (Audio and full text) DAISY ebook と言われているタイプ 5) フルテキストに一部音声を持つ図書 (Full text and some audio) 利用されている例は少ない 6) テキストのみの図書 (Text and no audio) 一般に ebook と称されているようなタイプ点字図書館などでは 2) が主流であるが DAISY がマルティメディア対応となったことで 視覚障害者だけでなく LD など学習障害を有する児童 生徒 認知 知的障害者への対応なども注目されており 実際 教育現場での利用 運用が始まっており これらの養護学校関係者に対する DAISY 作成講習会も数多く実施されている また 視覚障害と聴覚障害の両方の障害を有する重複障害者に対する対応メディアとしても期待されている これらの規格に合致したものが下記のところから既にメ ディアとして販売されている 1)DAISY 絵本 株式会社エルザ (Lp Studio Plus 日本語版の発売元 ) 2)DAISY ebook 株式会社大活字( バリアフリー出版 シリーズの入手先 ) 3)DAISY ebook ( 社 ) 日本図書館協会 (5タイトル提供 ) 6. 新しい DAISY 作成システム視覚部図書館は 点字図書館や盲学校 視力障害センター等と同じように視覚障害者を対象としているが 厚生労働省の視覚障害者情報提供施設の位置づけになっていないため 1999 年の 2580 タイトルの DAISY の CD-ROM の配布が行われなかった その後 全国視覚障害者情報提供施設協会 に加盟し 三重県点字図書館の御尽力もあり 財団法人リハビリテーション協会から 2580 タイトルの CD-ROM の永久貸与を受け また DAISY 作成システムを整え 環境を整備してきた また視覚部図書館では 朗読ボランティアとは別にデジタル朗読ボランティア (DAISY 作成ボランティア ) を組織し DAISY 作成を行って来た 視覚部図書館の録音室内調整室に作成用パソコンを設置し 視覚部図書館で DAISY 作成が可能となっている これまでに DAISY ボランティアによる作成が 50 タイトルを超え 教官作成分を合わせ約 90 タイトルが視覚部図書館で作成された ところで DAISY はどのように作成されるのであろうか 現在 様々な DAISY 作成用のシステム ( オーサリング ツール ) がある (1)Sigtuna DAR2.0.17J: 旧来の DAISY 作成オーサリングツール (2)Sigtuna DAR3 Jp: 最も新しい DAISY 作成オーサリングツール (3)MyStudio PC: 音声のみの DAISY 作成オーサリングツール (4)LpStudio Plus 日本語版 : 販売を目的としたオーサリングツール ( 有償 ) (5)Plextalk Recording Software: 音声のみの DAISY 作成オーサリングツール (DAISY 2.0: 旧来の DAISY 規格 : DAISY 2.02: 新しい DAISY 規格 : ) (5) は プレクストーク ポータブルレコーダ ( 録音編集 再生 )PTR 1に付属するソフトウェアである この PTR 1 単体でも DAISY 作成は可能であり 簡易 29

に DAISY 編集を行うには便利であるが パソコンで作成した DAISY に比べ ノイズが多いという欠点もある 視覚部図書館では 従来は (1) のオーサリングツールで作成してきたが 既にシステムが移行した点字図書館に合わせて 前述の新しいシステム (2) に移行することになった 新しい DAISY 作成システムが要求するパソコン環境は 決して高性能機ではないが 実際に作成してみると パソコンにかかる負荷は非常に大きく グラフィック性能は多少無視しても CPU とディスク性能を最重視したパソコンが必要であることが判明したため この性能に必要な最小限のシステムを選択した 今回の DAISY 作成システムの更新により DAISY 作成がスムーズに行えるようになり 学生へのサービスが向上すれば幸である 7. 備考 この DAISY 作成システムの更新は 平成 15 年度 学長裁量経費に依るものである 参考文献 はじめての DAISY 第 2 版 DAISY TOKYO 2003 年 4 月改訂 30

Tsukuba College of Technology Techno Report, 2004 Vol.11(1) Authoring System of Digital Recording Books for DAISY MURAKAMI Yoshihisa 1) OCHIAI Atsuko 2) 1) Department of General Education, Division for the Visually Impaired, Tsukuba College of Technology 2) Academic Affairs Second Section, Administrative Division, Tsukuba College of Technology Abstract:It is called DAISY, and is rapidly widespread of new digital recording books. DAISY takes the place of the cassette tape, and is becoming the main current of the recording books. Recently, the DAISY authoring system improved the version at the braille library etc. A new system has been changed from a digital recording books to a digital accessible information system. Here, it is reported on the approach of DAISY in the approach of DAISY on multimedia-compatible and the library of visually impaired. Key word:daisy, Digital Recording Book 31