西洋法史 ナチズム体制 1
1 ナチスの組織化 1919/1/5 ミュンヘンでドイツ労働者党 (DAP) 結成 1920/2/24 DAPの党名変更 国家社会主義ドイツ労働者党 Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei ヒトラーの党員証 (NSDAP) http://de.wikipedia.org/wiki/adolf_hitler ( 通称 NAZIまたはNAZIS) 1921.7. ヒットラーが党首に 2
"Völkischer Beobachter" zum Tod von Albert Leo Schlageter http://www.dhm.de/lemo/html/weimar/ innenpolitik/beobachter/index.html ナチ党幹部会議 ( ミュンヘン 1928 年 ) Deutsche Bundestag, Referat Öffentlichkeitsarbeit(Hg.), Fragen an die deutsche Geschichte Wege zur parlamentarischen Demokratie, Bonn 1996. 3
1) 党綱領 (25 カ条 ) 保守主義的 民族的大ドイツ国家主義 反ヴェルサイユ体制 人種主義 キリスト教 社会主義的 労働の義務 不労所得批判 企業の国有化 ブルジョア的 全国民の権利 義務の平等 私有財産の肯定 中産階級保護 4
ナチスの党綱領 (1920 年 ) Deutsche Bundestag, Presse und Informationszentrum Referat Öffentlichkeitsarbeit(Hg.), Fragen an die deutsche Geschichte Ideen, Kräfte Entscheidungen von 1800 bis zur Gegenwart, Bonn 1985. 5
2) 党勢力拡大 国会議席数変化 鹿毛達雄著 ナチズムの台頭 岩波講座 世界歴史 27 1971 年 6
カラー世界史百科 ( 増補版 ) ( 平凡社 1985 年 ) 議席拡大 7
党員数変化 鹿毛達雄著 ナチズムの台頭 岩波講座 世界歴史 27 1971 年 8
地方組織数変化 鹿毛達雄著 ナチズムの台頭 岩波講座 世界歴史 27 1971 年 9
3) 党員 ( 職業構成 ) 鹿毛達雄著 ナチズムの台頭 岩波講座 世界歴史 27 1971 年 10
出身階層 ( 幹部 ) 11
党員の年齢構成 鹿毛達雄著 ナチズムの台頭 岩波講座 世界歴史 27 1971 年 12
4) 政権獲得 - 独裁体制へ 1923/11 バイエルンにおいて 1933 ヒトラー反乱 鎮圧 逮捕 1/30 ヒトラーがライヒ首相に ( ドイツ国民党と連立内閣 ) 2/4 ドイツ民族保護のための大統領令 集会とプレスの自由の制限 2/27~28 国会議事堂放火事件 Photo by German Federal Archive with CC License Attribution Unruhen auf dem Marienplatz in München, 9.11.1923 2/28 民族および国家の保護のための大統領令 基本権の制限 5/26 共産党の財産没収に関する法律 ) 13
http://www.dhm.de/lemo/html/nazi/innenpolitik/etablierung/index.html Photo by Heinrich Hoffmann with CC License Attribution DHM, Berlin ヒトラー内閣成立を祝って松明行進を行う突撃隊 1933 年 1 月 30 日 14
ヒットラー内閣 Deutsche Bundestag, Presse und Informationszentrum Referat Öffentlichkeitsarbeit(Hg.), Fragen an die deutsche Geschichte Ideen, Kräfte Entscheidungen von 1800 bis zur Gegenwart, Bonn 1985. 15
内閣メンバー 16
国会議事堂放火事件 (33 年 2/27~28) http://de.wikipedia.org/wiki/reichstagsbrand 17
民族および国家の保護のための大統領令 18
民族および国家の保護のための大統領令 (1) 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 19
民族および国家の保護のための大統領令 (2) 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 20
1933 3/24 民族および国家の困難を克服するための法律 = 授権法 7/14 新政党結成禁止法 1934 8/1 ドイツ国家元首法 8/19 国民表決で可決 指導者原理 の貫徹 ヒトラーが民族の最高指導者に ヒトラーを頂点とする支配 命令の体系 21
授権法 22
授権法 (1) 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 23
授権法 (2) 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 24
政党新設禁止法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 25
国家元首法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 26
2 授権法体制 1) 議会議員 - 翼賛体制化ナチス党員が議員に 立法 - 形骸化 政府法律 総統命令 布告 27
党 国家統一法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 28
主要法源の変化 閣議回数 広渡清吾著 第三帝国におけるブルジョア法の 転換 より引用 29
2 授権法体制 2) 政府 = 行政組織 閣議: 招集はまれに 行政組織と党組織の統一化 1933 4/7 職業官吏再建法 官吏登用の人種的 政治的差別化 30
主要法源の変化 閣議回数 広渡清吾著 第三帝国におけるブルジョア法の 転換 より引用 31
指導者原理組織 32
官吏法 1 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 33
官吏法 2 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 34
官吏法 3 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 35
官吏法 4 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 36
官吏法 5 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 37
3) 画一化 Gleichschaltung 行政 1933 3/31 ラントとライヒとの暫定的画一化法 4/7 同第二法 1934 1/30 ライヒ改造法 2/14 ライヒ参議院廃止法 1935 1/30 ドイツ ゲマインデ法 ゲマインデ議会の廃止指導者原理の貫徹 38
第一画一化法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 39
第一画一化法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 40
第一画一化法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 41
第一 第二画一化法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 42
ライヒ改造法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 43
参議院廃止法 高田敏 初宿正典編訳 ドイツ憲法集 ( 信山社 1994 年 ) より引用 44
司法 1934 2/16 司法をライヒに委譲するための第一法律 Erstes Gesetz zur Überleitung der Rechtspflege auf das Reich.Vom 16. Februar 1934. 12/5 同第二法 1935 1/24 同第三法 45
司法の画一化 Deutsche Bundestag, Presse und Informationszentrum Referat Öffentlichkeitsarbeit(Hg.), Fragen an die deutsche Geschichte Ideen, Kräfte Entscheidungen von 1800 bis zur Gegenwart, Bonn 1985. 46
4) 法治主義の放棄 罪刑法定主義の否定 1933/3/29 死刑の科刑および執行に関する法律重刑の遡及効の承認 1939/9/16 非常異議申立制度の導入すべての確定刑事判決について確定後 1 年以内に限って検事総長等の申立により特別再審手続を開始 ライヒ裁判所特別刑事法廷の設置ライヒ裁判官長官 ( または副長官 ) 職業裁判官 2 名 非職業裁判官 2 名 47
48
ライヒ裁判所特別刑事法廷判決 広渡清吾著 第三帝国におけるブルジョア法の 転換 より引用 49
特別裁判所 Sondergericht の創設 1933/3/21 特別裁判所設立令 上級ラント裁判所の管轄地域につき一つを設置 (40 年以降は複数に ) 職業裁判官 3 名 上訴なし 管轄 : 法令が指示する一定の政治犯罪 次第に拡大へ 大量の有罪判決死刑 長期の懲役刑 強制収容所多くの場合軽微な犯罪 民族に有害な人物に関する命令 (1939/9/5) ex. 戦闘 空襲時の略奪行為等 : 死刑等の重罰 50
特別裁判所 ( ハンブルク地区 ) 広渡清吾著 第三帝国におけるブルジョア法の 転換 より引用 51
Braunschweig zwischen 02:00 und 03:00 Uhr am 15. Oktober 1944 zu dieser Zeit musste Erna Wazinski durch die brennende Stadt nach Hause laufen. http://de.wikipedia.org/wiki/erna_wazinski 52
民族裁判所 Volksgerichthof の創設 1934/4/24 刑法および刑事手続諸規定の変更に関する法律 刑法典 ( 大逆罪 ラント反逆罪 大統領に対する攻撃の罪 ) 緊急放火令( 第 5 条 2 項 1 号 : ライヒ ラント政府の閣僚 委員の殺害を企てる罪等 ) の適用事件に対する始審かつ終審の専属管轄 非職業裁判官の関与 2 名の職業裁判官と3 名の素人裁判官 ( 党幹部 将校 官僚 ) シュレーベルガー フライスラーなどナチス党の著名な法律家が就任 : 裁判官はヒトラーが任命 53
民族裁判所 Roland Freisler Präsident des Volksgerichtshofes Volksgerichtshof, Prozeß nach dem 20. Juli 1944 Volksgerichtshof Reinecke, Freisler, Lautz Photos by German Federal Archive with CC License Attribution 54
民族裁判所における裁判 http://de.wikipedia.org/wiki/wei%c3%9fe_rose Die Geschwister Hans und Sophie Scholl Widerstandsorganisation Weiße Rose (DDR-Briefmarke von 1961) Prozesse nach dem 20. Juli 1944; Ferdinand Freiherr von Lüninck, Prozess am 13.11.1944 Berthold Schenk Graf von Stauffenberg und andere Angeklagte am 10. August 1944 beim Prozess gegen die Hitler-Attentäter des 20. Juli 1944 vor dem "Volksgerichtshof", zwischen Polizisten sitzend Photo by German Federal Archive with CC License Attribution 55
民族裁判所係属事件数 広渡清吾著 第三帝国におけるブルジョア法の 転換 より引用 56
民族裁判所事件処理内容 広渡清吾著 第三帝国におけるブルジョア法の 転換 より引用 57
即決 ( 軍事 ) 裁判所 Standgerichtの拡大 1945/2/15 即決裁判所設立令 軍事に関わるすべての刑事事件を対象に 軍関係者だけでなく一般民間人も対象に 58
1 9 1 年 9 月 2 9 日木朝日新聞 ( ) 夕刊より 若き日のクラウス バルビー バルビーのボリビア籍身分証 http://inri.client.jp/hexagon/floora6f_hc/a6fhc400.html#09
2 0 1 1 年 5 月 1 4 日土 ( ) 朝日新聞より引用 60
サイモン ウィーゼンタール センター ( ロサンゼルス ) http://de.wikipedia.org/wiki/simon_ Wiesenthal_Center 61
ナチ犯罪追及センター Zentrale Stelle der Landesjustizverwaltungen zur Aufklärung nationalsozialistischer Verbrechen http://www.bundesarchiv.de/bundesarchiv/ dienstorte/ludwigsburg/index.html.de
< 参考文献 > 鹿毛達雄 ナチズムの台頭 ( 岩波講座 世界歴史 27 1971 年 ) 広渡清吾 第三帝国におけるブルジョア法の 転換 宮崎良夫 ナチズムと行政法学 ( 以上 東京大学社会科学研究所編 ファシズム期の国家と社会 5 ヨーロッパの法体制 東京大学出版会 1979 年 所収 ) 63