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侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 119 侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 1) 菊田和䜳子. はじめに 侭侖 黄金䞖玀のスペむン語における無匷勢代名詞ずそれを支配する動詞の䜍眮関係は非垞に耇雑な諞盞を呈しおおり スペむン語史におけるもっずも重芁なテヌマの䞀぀ずなっおいる 本皿は 無匷勢代名詞の䜍眮に関する諞問題の䞭でも 特に䞭䞖から黄金䞖玀の文孊䜜品においお奜んで甚いられた 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の圢匏に特に泚目し その圓時は䞀般に前接蟞であったず蚀われおいる無匷勢代名詞がなぜ䞍定詞の前に出お 匷勢を持たない前眮詞の盎埌に䜍眮するこずになったのかに぀いお 䞻に音声 音韻的な芳点から考察する 侭侖 黄金䞖玀スペむン語における無匷勢代名詞の䜍眮最初に 前眮詞 + 䞍定詞 に共起する無匷勢代名詞の䜍眮に぀いお確認しおおこう 珟圚のスペむン語では 無匷勢代名詞はすべお䞍定詞の盎埌におかれ それに前接する 1) 本皿は 2009 幎 7 月 25 日東京倖囜語倧孊で開催された東京スペむン語孊研究䌚においお口頭発衚した内容に再怜蚎を加えおたずめたものである 貎重なご意芋を䞋さった出垭者の皆さたには深く感謝申し䞊げたい

120 (1)Me alegro de verte pronto. (2)He venido aquí para decírtelo. しかし 䞭䞖および黄金䞖玀のスペむン語では 無匷勢代名詞を䞍定 詞に前眮するこずも埌眮するこずもあった 2) A.para hacerlo 型 珟圚ず同じように 前眮詞 + 䞍定詞 に支配される無匷勢代名詞は 䞍定詞に前接するこずが可胜であった (3) Casi todo aquel día caminó sin acontecerle cosa que de contar fuese, de lo cual se desesperaba, porque quisiera topar luego luego con quien hacer experiencia del valor de su fuerte brazo. (Quijote, p. 107) (4) De verte o de oyrte descender por la escalera, parlan lo que éstos fingidamente han dicho, en cuyas falsas palabras pones el fin de tu desseo.(celestina, p. 115) B.para lo hacer 型しかし 16 䞖玀たでは無匷勢代名詞が䞍定詞に前眮されるこずも少なくなかった 文頭や䌑止の埌においおも この圢は頻繁に甚いられた すなわち 侭侖 黄金䞖玀のスペむン語では para hacerlo 型ず para lo hacer 型が共存しおいたこずになる 2) 説明の䟿宜のために 本皿では 前眮詞 + 䞍定詞 + 無匷勢代名詞 の連蟞を para hacerlo 型 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の連蟞を para lo hacer 型ず呌ぶこずにする

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 121 (5)(...)y el intento de tus palabras[calisto]ha seýdo cómo de ingenio de tal hombre como tú aver d de salir para se perder en la virtud de tal mujer como yo.(celestina, p. 87) (6) Por me lo otorgar, señoras, escrevirvos he grand saçon de dicho e de fecho e de todo coraçon(...)(libro de Buen Amor, 494) たた 16 䞖玀の文法家 Juan de Valdés は 圓時のスペむン語では hacerlo 型も lo hacer 型も同じように䜿えたずいう蚌蚀を残しおいる Valdés にずっおは hacerlo 型の方がより䞀般的で 玔粋であり ゚レガントでカスティヌダ語的ず考えられるものであったらしい 正確に蚀えば Valdés の蚘述では それが ( 助 ) 動詞 + 䞍定詞 の連蟞に珟われるものか 前眮詞 + 䞍定詞 の連蟞に珟われるものかがはっきりずしおいない しかし Valdés 本人は䞋蚘に匕甚した自身の著䜜 Diálogo de la lengua の䞭で ( 助 ) 動詞の埌ろであろうず 前眮詞の埌ろであろうず 基本的に hacerlo 型を甚いおいる Valdés の蚘述は 前眮詞 + 䞍定詞 の構造に぀いおもあおはたるず考えおよいであろう (7) Valdés(1491 1541), Diálogo de la lengua( 成立幎䞍明 )( 䞋線は菊田 ) V.También avisaría que conviene usar la composición del verbo con lo y la, los, y las muy libremente, sin pensar decir por otra manera lo que se puede decir por aquélla. M. Cómo se haze essa composición?? V.Diziendo hablarlo y traerla, hablarlos y traerlas.

122 M. Qué queréis en esto, que no os entiendo?? V.Que se deve usar esta composición de la manera que digo, y no andar por las ramas como algunos, que por no hablar como los otros dizen por ponerlos, los poner, y por traerlas, las traer, etc. Es bien verdad que lo uno y lo otro se puede seguramente usar, pero el decir ponerlos y traerlas a mi parecer es más llano y más puro, y aun más galano y más castellano. なお Eberenz(200: 157 164) によれば 15 䞖玀の末たでは para lo hacer 型が優䜍だったずいう para hacerlo 型もその傍らに垞に存圚はしおいたが その䜿甚頻床が 25% を越えるこずはめったになかった たた 懐叀的な文䜓が奜たれる䜜品では 16 䞖玀の間も para lo hacer 型が䜿われ続けたようである その甚いられ方は文䜓や話法などによっお異なり 盎接話法では para hacerlo 型が優䜍であるのに察し 間接話法では para lo hacer 型が優䜍であるずいう傟向がみられる Eberenz は para lo hacer 型は ( 曞きこずばで ) よく考えられた文䜓 (lengua elaborada) の特城であるこずを瀺唆しおいる 䞍定詞ず無匷勢代名詞の䞀般的な䜍眮関係文における無匷勢代名詞の䜍眮に぀いおは 既に倚くの先行研究が存圚し 分析がかなり進んでいる ここでは先行研究を参照し぀぀ 無匷勢代名詞の基本的な性質を確認しおおく 0. 2. 1 代名詞の基本的な性質 たずは無匷勢代名詞配眮の䞀般的な芏則に぀いお確認しおおこう 例

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 123 蚘の Posner(1996) の蚘述からも分かるように 無匷勢代名詞の基本 的性質は enclisis( 前接 ) 3) であった (8) Posner(1996: 218)( 䞋線は菊田 ) En las lenguas antiguas los pronombres débiles y fuertes eran variantes que dependían de las diferencias de énfasis: las formas de objeto átonas se solían adjuntar en enclisis a cualquier palabra que ocupara la posición inicial de la oración ya fuera el verbo, el sujeto o cualquier otra palabra acentuada y, en estos últimos casos, podía quedar separada del verbo por otros elementos. Este es un esquema habitual en otras lenguas indoeuropeas, por el cual no puede empezar la oración un elemento átono(la ley de Wackernagel tiene su equivalente en romance en la ley de Toblar-Mussafia). Posner によれば 無匷勢の目的栌代名詞は文頭の䜍眮に来る語が䜕 であれ それが匷勢語であればその文頭の芁玠に前接したずいう ( 䟋. El rey me dixo.) 䞀方 無匷勢の代名詞は文を始めるこずが出来なか 3) なお 無匷勢代名詞ずそれに先行する芁玠ずの関係぀いおは 研究者の間で解釈の違いがみられる ぀たり 単に語順のみに泚目し 無匷勢代名詞の前には匷勢のある芁玠が来るずいう点のみを問題にする研究者もいれば 先行する芁玠に音声的に結び぀く点を重芖する研究者もいる 本皿では Real Acaemia Española の定矩に基づいお 前接の代名詞は単に文を始められないだけでなく 先行する匷勢を持぀芁玠に音声的に結び぀くず考える enclisis/proclisis: Palabras inacentuadas o átonas. Algunas palabras carecen de sílaba tónica, por lo que se unen, a efectos de pronunciación, a la palabra tónica que las sigue o a la que las precede, formando con ella un grupo acentual. Estas voces que carecen de independencia fónica se denominan palabras clíticas o clíticos ; si se agrupan con la palabra tónica siguiente, se llaman proclíticos : en mi casa[enmikása](la preposición y el posesivo, que son átonos, son aquí palabras proclíticas); y si lo hacen con la palabra tónica precedente, se llaman enclíticos : dímelo[dímelo](los pronombres personales átonos me y lo son, en este caso, palabras enclíticas; los pronombres enclíticos se escriben siempre unidos al verbo).(rae: Diccionario pánhispánico de dudas, 2005)

124 ったため それが文頭に来おしたいそうな堎合には 動詞の方を前に出し 動詞に前接するこずずなる ( 䟋.Díxome el rey.) Posner によれば 無匷勢代名詞を文頭に眮かないずいうこの性質は印欧語に共通した性質であったようである たた Keniston(1937) は呌気段萜あるいは音声グルヌプ (breathgroup) における無匷勢代名詞の䜍眮を詳しく怜蚌した Keniston によれば 無匷勢代名詞の配眮に぀いおは 音韻䞊の制玄 があり 同じ呌気段萜で動詞が最初の匷勢を持぀芁玠ずなる堎合には 無匷勢代名詞は動詞の埌ろに眮かれ 同じ呌気段萜の䞭で匷勢を持぀芁玠が動詞に先行する堎合には 無匷勢代名詞は動詞の前に眮かれるずいう これは実質的には Posner の説明ずも䞀臎しおおり 珟圚では無匷勢代名詞の䜍眮に぀いおの基本的な芏則ずしお広く認められおいる 0. 2. 2 䞍定詞ず共起する代名詞の䜍眮次に本皿に深く関連する䞍定詞に察する無匷勢代名詞の䜍眮に぀いお確認しおおこう 前述の Keniston は 定動詞 + 無匷勢代名詞 の堎合ず同じく 䞍定詞 + 無匷勢代名詞 の堎合にも 匷勢が眮かれる芁玠ずその䜍眮を重芖した 䞀般的に無匷勢代名詞は䞍定詞に埌眮されるが 䞍定詞に匷勢を持぀芁玠が前眮されれば 無匷勢代名詞は䞍定詞の前に来るこずも珍しくなかったずいう (9) Keniston(1937: 98)( 䞋線は菊田 ) III. Simple infinitives. As has already been remarked, the object pronoun usually follows the infinitive. But throughout the century it is not uncommon to place the pronoun before the infinitive when a stressed element precedes the infinitive. The

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 125 construction is however, of decreasing frequency; of the 150 counted examples, 101 are found in the first half of the century. 䞍定詞は ( 助 ) 動詞に支配されるこずが倚く 構成芁玠が増える分だけ 耇雑な様盞を呈しおいるが それでもやはり無匷勢代名詞は文頭に眮かれるこずはなかった 4) 定動詞ず共起する堎合でも 䞍定詞ず共起する堎合でも 無匷勢代名詞は前接蟞ずしお機胜しおいたのである すなわち 無匷勢代名詞は それが支配する動詞の文法圢匏ずは関わりなく 音韻䞊の制玄によっおその䜍眮が決定されおいたず蚀えるのである 0. 2. 3 前眮詞 + 䞍定詞 ず共起する代名詞の䜍眮䞊の 0. 1 で芋た内容ず䞀郚重耇するが 最埌に本皿のテヌマである 前眮詞 + 䞍定詞 ずそれに共起する無匷勢代名詞に぀いおの䜍眮関係に぀いお確認しおおく これは Hanssen(1913) が比范的詳しい Hanssen によれば 初期の文献には para hacerlo 型が倚かったが 14 䞖玀から para lo hacer 型が増え 15 16 䞖玀には優䜍になっおいたこずが分かる これは前述の Eberenz の蚘述ずもほが䞀臎しおいるず蚀えるだろう たた 16 䞖玀を過ぎおからは para lo hacer 型は埐々に甚いられなくなるが この幎代はいわゆる 音韻䞊の制玄 や 音韻䞊の安定 が匱たっお行く時期ずも合臎しおいる 5) (10) Hanssen(1913: 196 7)( 䞋線は菊田 ) Los casos oblicuos del pronombre personal pueden separarse del vebo cuando pertenecen á un infinitivo ó gerundio: no 4) 詳しくは菊田 (2008) を参照されたい 5) ただし無匷勢代名詞が文頭に甚いられるたでにはもう少し時間がかかっおいる 詳しくは菊田 (2004) 菊田 (2008) を参照されたい

126 quiero decirlo.( )Cuando el infinitivo viene regido por una preposición, se dice en antiguo castellano por lo matar(cr.g. 187b, 47)y pora vencerse(cr.g. 416a, 10). por lo matar se puede comparar con e lo dixo y por matarlo con e díxolo. También aquí se puede presentar el caso de que el verbo venga precedido de varias palabras débiles: por se non egualar á su padre(cr.g. 195b, 51). De las dos formas de lo fazer y de fazerlo prevalece la segunda en los primeros documentos. La primera aumenta en el siglo XIV y domina en los siglos XV y XVI. Después desaparece(gessner, Z. XVII, 53; Weigert 58; Subak, Z.XXX, 131).( ). 問題提起 さお 本皿で問題にするのは 䞭䞖および黄金䞖玀で甚いられた 2 ぀の圢匏のうちの 1 ぀である para lo hacer 型に぀いおである この圢は䞊蚘の䟋でも芋たずおり 文頭でも文䞭でも甚いられおいたものだが 実は無匷勢代名詞の配眮の倧前提である音韻䞊の制玄に反しおいる 0. 2 でも述べたずおり 無匷勢代名詞は原則ずしお前接蟞であり 先行する匷勢を持぀芁玠に音声的に融合するはずだが para lo hacer 型の堎合には 無匷勢語である前眮詞が無匷勢代名詞に先行しおいる 文䞭であれば 前眮詞の前にある芁玠に前眮詞ごず匕き぀けられたず考えられなくもないが 文頭や䌑止の埌に前眮詞が珟われる堎合は 無匷勢代名詞が䞍定詞の前に来おいる理由が説明できない 前眮詞ずそれに続く芁玠はそれ自䜓で呌気段萜 (Keniston の蚀う breath-group) を圢成するこずも倚い その堎合 呌気段萜内で無匷勢代名詞が匷勢を持たないは

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 127 ずの前眮詞の盎埌に眮かれるのは䞍自然ではないかずいう疑問が生じる しかし すでに芋たように厳然ずしお para lo hacer 型は存圚しおいる 他方に para hacerlo 型があったにも関わらず para lo hacer 型が倚甚されたのには おそらく 無匷勢代名詞を䞍定詞の前に眮く語順を誘発する芁因があったはずであるず考えられる 音韻䞊の制玄には反しおいる ( ように芋える ) にも関わらず 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の圢匏が䞀定期間甚いられた芁因を明らかにするために 本皿では次のような芳点から考察を進めおいくこずにする (11) 音声的芁因 1 前眮詞の匷勢に぀いお (12) 音声的芁因 2 無匷勢代名詞の埌接蟞的な性質に぀いお (13) 情報構造䞊の䟿宜 代名詞を前に出すべき情報構造䞊の理由に぀ いお 6). 考察 音声的芁因 1 前眮詞の匷勢に぀いお䞭䞖から珟代に至るたでスペむン語の前眮詞は匷勢を持たないずいうのが定説である しかし この前眮詞に䜕らかの圢で匷勢がおかれれば 音韻䞊の制玄 に関する矛盟はなくなる 音韻䞊の制玄 を非垞に重芖しおいる Keniston 自身は 定説に反しお前眮詞の匷勢に぀いお次のように述べおいる (14) Keniston(1937: 90)( 䞋線は菊田 ) 6) 2. 3 においお扱うが (13) に぀いおは (11) (12) ずは性質が異なるため本皿においおは詳しい考察の察象から倖すこずずした

128 Similarly, the pronoun follows an infinitive or participle when the infinitive or participle is the first stressed element in its particular group. Here sixteenth-century usage shows a certain amount of variation because of a sifting feeling for the extent to which a preposition was capable of bearing a stress. In the earlier language it is clear that prepositions were felt as stressed. And in the sixteenth century some prepositions, such as para, por, sin después de, were apparently still felt as of sufficient weight to bear a stress. When these prepositions introduced an infinitive, or when a relative or interrogative pronoun introduced an infinitive, or when the infinitive was preceded by no, the infinitive was not necessarily the first element in its group, and therefore the pronoun might precede the infinitive. But the usual practice of the century was to consider the preposition as unstressed, and hence the pronoun followed the infinitive. The same practice appears in the use of the present participle, although here the only stressed element which naturally precedes the participle is the negative no. 確かに 音韻䞊の制玄 を適甚するためには 無匷勢代名詞に先行する芁玠には匷勢がかからなければならないため para lo hacer 型に぀いおは 前眮詞である para に匷勢があったず考える方が自身の説にずっお郜合がよいのであろう しかし Keniston は前眮詞が匷勢語であるず感じられた点に぀いお根拠ずなるような材料は䜕も具䜓的には挙げおいない 本皿の目的は para lo hacer 型においお無匷勢代名詞が䞍定詞の前に来る理由を明らかにするこずであるが その過皋でこの

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 129 Keniston の蚘述を補う䜕らかの材料を瀺すこずができればず思う 2. 1. 1 ラテン語における前眮詞の匷勢考察を始める前にラテン語時代の前眮詞の匷勢に぀いお確認しおおこう Grandgent(1991) によれば 前眮詞はラテン語時代から無匷勢であったずいう (15) Grandgent(1991: 113) 156. Las voces breves y no enfáticos, en latín como en las otras lenguas, no tenían acento y en la pronunciación se unían como sílabas adicionales al principio o al fin de las demás palabras(s., págs. 38 39): non-ámat, áma-me, te-vídet, dó-tibi, cave-fácias, circum-lítora(quintiliano, I, 5). Muchas palabras, especialmente preposiciones y conjunciones, lo mismo que algunos adverbios y pronombres, se usaban solamente como enclíticas o proclíticas. ただし いく぀かの前眮詞には匷勢を持っおいた圢跡があるものもある たずえば contra(<contra) は時代によっお encuentra ずなっおいるこずがあり CON が匷勢を持぀音節であったこずがうかがえる 7) たた Bourciez(1967: 39 40) によれば ad などの前眮詞は叀兞ラテン語時代には文脈によっおは匷勢を持぀こずもあったが のちに倱われお埌接蟞になったず考えられるずいう しかし 前者の䟋はごく限られた地域 幎代におけるものであり 埌者の䟋も叀兞ラテン語時代の限られたケヌスである 䞀般的にはラテン語の時代から前眮詞は無匷勢 7) Menéndez Pidal(1989: 336)

130 語であり その性質がスペむン語にも匕き継がれたず考えおよいであろ う 2. 1. 2. 盞察的な匷勢すでに芋たように ラテン語時代もスペむン語になっおからも 音韻レベルでは前眮詞は無匷勢語であったず考えられる しかし 音声レベルでは前眮詞にある皮の匷勢 ( らしきもの ) がおかれた可胜性を瀺唆する性質がスペむン語にはある 次の Alarcos(1994) の匕甚は珟代スペむン語に関するものであるが 匷勢のある音節の前に倚くの匷勢のない音節が䞊ぶ堎合には 衚珟を豊かにするリズムによっお 2 次的な匷さを持った音節ずの亀替が行われるこずを明らかにしおいる これはあくたでも盞察的な匷さであっお 無匷勢語を匷勢語にするほどのものではなかったが 盞察的な匷さの違いを付けるこずで 文のリズムを敎えたり 衚珟を豊かにしたりする働きがあったず蚀える (16) Alarcos(1994: 46)( 䞋線は菊田 ) 46. El número de sílabas átonas que en la secuencia pueden preceder a la tónica es indefinido. En constantinopolitàno se suceden seis sílabas inacentuadas delante de la tónica tà; en Pero cuando para nuestra incompatibilidàd son trece las sílabas átonas que preceden a la tónica dàd. Sin embargo, en estos casos, el ritmo elocutivo suele establecer una alternancia de sílabas con intensidad secundaria, menor que la de la tónica, pero mayor que la de las átonas.

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 131 本皿のテヌマである para lo hacer 型の堎合には 前眮詞の埌ろに無匷勢代名詞が䞊ぶため 䞊の䟋ず同じように䞻たる匷勢を持぀䞍定詞の前に匷勢のない音節がいく぀も䞊ぶこずになる ( 䟋.para lo hacer, por te lo comprar) Alarcos を揎甚すれば 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の連蟞の堎合にも 本来無匷勢である音節にリズムを敎えるための第 2 匷勢がおかれる可胜性があるず考えるこずはできないだろうか なお 䌌たような珟象はロマンス語党般に芋られるようである Lausberg(1965) はロマンス諞語には匷勢の前でか぀語頭の音節に第 2 匷勢がおかれる傟向があるず考えおいる 8) (17) Lausberg(1965: Tomo I, 153) 177. La primera sílaba protónica(inicial de palabra)lleva el acento secundario; esto es, se articula con una intensidad inmediatamente inferior a la de la sílaba que lleva el acento principal: màniére, sànitáte, mànducáre, vìridiáriu, àntecessóre. この蚘述はあくたでも 1 ぀の語の内郚においおもものであるが Lausberg は同曞の䞭で無匷勢語は匷勢のある語に音声的に融合しお 1 語の mot phonétique( 音声レベルの語 ) を圢成するずも述べおいる (18) Lausberg(1965: Tomo I, 450) 576. La manifestación más importante de la fonética sintáctica consiste en borrar los límites de las palabras. Los elementos átonos suelen asociarse a los elementos tónicos vecinos, con los 8) Lausberg はこの珟象がい぀の時代に圓おはたるものかは述べおいない しかし倚くラテン語の䟋を䞻に挙げおいる点 たた珟代のスペむン語にも同様の傟向がみられる点から これがラテン語から珟代たで匕き継がれおいる性質であるず考えられる

132 que forman un ritmo o unidad elocutiva más o menos estrecha. La forma más íntima de la unidad elocutiva se llama mot phonétique; la palabra fonética es un grupo de palabras que fonéticamente son tratadas como una palabra sola. この 2 ぀の匕甚の内容を合わせお考えるず 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の連鎖が 1 ぀の mot phonétique を圢成し その語の最初の音節にも盞察的な匷勢がかかる可胜性があるず蚀うこずができそうである さらに この第 2 匷勢に぀いお さらに明確に蚘述しおいるのが Gili Gaya(1988) である Gili Gaya によれば 無匷勢の音節が続いた堎合 匷勢の匷さにグレヌドを付けお リズムを敎える傟向が認められるずいう この第 2 匷勢で盞察的な匷さを補う性質はどの蚀語においおも芳察されるもので たた スペむン語には特に最初の音節を匷める性質が顕著に芋られるようである (19) Gili Gaya(1988: 38)( 䞋線は菊田 ) En la sucesión de las sílabas inacentuadas dentro de cada grupo, se percibe en todas las lenguas una tendencia a la alternancia de sus intensidades relativas, a partir del acento principal. Señalando arbtrariamente tres grados de intensidad, con las cifras 3, 2, 1 la alternancia rítmica del español puede representarse así: con sue tu di na rio 2 1 2 1 3 1

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 133 gua pe to na 2 1 3 1 es tu diar 2 1 3 Varias circunstancias pueden perturbar esta regularidad, entre ellas el acento de insistencia sobre determinada sílaba que se siente como más expresiva. En español se observa además una clara tendencia a fortalecer la sílaba inicial: por la ma ña na 2 1 1 3 1 li te ra tu ra 2 1 1 3 1 Este vaivén inconsciente en el relieve silábico relativo tiene su origen en el hecho psicofisiológico de que los movimientos iguales y repetidos en serie más o menos extensa, no son del todo idénticos, sino que se organizan con tendencia a un ritmo. 同じような蚘述は Navarro Tomás(1991), Bassols de Climent (1992), Canellada & Madsen(1987) などにもみられる たた こうした盞察的な匷勢は 日垞の䌚話でもよく芳察されるものである スペむン語には無匷勢の芁玠が長く䞊ぶ堎合にリズムを敎えるために盞察的な匷勢を䞻に音声連鎖の最初の音節に眮く傟向を朜圚的に持っおいるず考えおよいだろう 無匷勢代名詞は前眮詞より前に出るこずがなく 前眮詞が呌気段萜の最初の芁玠になりやすいこずを考えるず para lo hacer 型の連蟞においおは 前眮詞の方が盞察的な匷勢を垯びやすかったず考えられる

134 2. 1. 3 呌気段萜における無匷勢代名詞の第 2 䜍眮䞊蚘で述べた事項ず関連するが 無匷勢代名詞は 匷勢がかからないずいうその性質から 呌気段萜の 2 番目の䜍眮に眮かれる傟向があったず考えられおいる Sánchez Miret(2007) によれば 接蟞代名詞は 前方照応の機胜を持っおいるため 句たたは文の最初の方に眮かれるこずが倚かったずいう 埓っお ロマンス語の叀い句 ( たたは文 ) においおは 無匷勢代名詞は句の最初の語に前接するのが普通だった (20) Sánchez Miret(2007: 267)( 泚 9 は菊田 ) El problema de la posición que ocupan los clíticos se ha afrontado desde dos perspectivas: 1)su posición dentro de la frase; 2)su posición en relación con el verbo. Dentro de la frase tienden a ocupar las primeras posiciones, ya que su función es anafórica. En las frases antiguas de las lenguas románicas el pronombre solía ser enclítico de la primera palabra de la frase: p.ej. port. eu+te, que+te, pera+lhe en eute leixey ja; eu cuidava quete avia leixado; e foi peralhe chagar; cast. si+lo en si lo el rey por bien toviere. Esta posición se conoce como posición Wackernagel 9), ya que este lingüista formuló una ley de este tipo para el indoeuropeo. 9) Wackernagel の法則 ( 亀井他,1996; 108) 叀い印欧語では接語ないし付属語 (clitics) ず呌ばれる自立的匷勢のない圢匏 ( 代名詞の匱圢 匷調助詞 法助詞 接続助詞など ) が文の第 2 番目の䜍眮を占めるずいう芏則である (...) このように意味的にも音声的にも匱い圢匏が第 2 䜍眮に眮かれるこずは その前の䜍眮すなわち文頭をいわば浮き圫りにするこずによっお それを談話機胜的な題目 (topic) たたは焊点 (focus) ずしお前景化するための手段ずみるこずができる ( )

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 135 Sánche Miret は䞊蚘の匕甚の最埌に Wackernagel の法則に蚀及しおいる これは無匷勢代名詞の䜍眮を考えるうえで非垞に重芁な法則であり 前述の (8) で匕甚した Posner にも同様の蚘述がある しかし 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の連蟞の堎合には 前眮詞そのものも接蟞であるため 情報構造ず結び付けられるこずの倚い Wackernagel の法則をそのたた揎甚するのは難しいだろう ここでは 特に自立的アクセントのない圢匏が文の第 2 䜍眮を占める傟向があるずいう点のみに䞻に泚目したい 前眮詞は方向や目的などを衚すため 時には非垞に重芁な情報を担うこずもある 2. 1. 2 で扱ったように第 2 匷勢がこの前眮詞に眮かれるず想定すれば 無匷勢の代名詞をその次の䜍眮に持っおくるこずにより 呌気段萜の最初の芁玠が少なくずも音声的には浮き圫りになる効果は認めるこずはできるだろう 䞊で述べたように前眮詞に第 2 匷勢を認めるこずで 無匷勢の代名詞をその盎埌に匕き付けやすかった理由が説明できる さらに重芁なのは 文であれ 句であれ その音声的なたずたりの 2 番目に無匷勢代名詞を眮き 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の連蟞ずなるこずで 匷 匱 匷 のリズムを䜜るこずができる点である 無匷勢代名詞が第 2 䜍眮に眮かれるのは このリズムを䜜るために非垞に有効であった Canfield および Davis(1975) は フランス語の珟圚分詞に無匷勢代名詞が前眮される理由ずしお 前眮詞におかれた匷勢ず その盎埌に眮かれた無匷勢代名詞 そしお珟圚分詞によっお生じる 匷 匱 匷 のリズムを挙げおいる たた ロマンス諞語の䞍定詞に察する無匷勢代名詞の䜍眮に぀いおの芏則に぀いおも 元来はそのリズムに基づいお無匷勢代名詞の䜍眮が決定されたこずを瀺唆しおいる (21) Canfield および Davis(1975: 148)

136 Present participles usually require postposition: Rm. dândumi, Sp. dándome, It. dandomi(= giving me), but Fr. en me donnant with the pronoun sheltered behind the stronger preposition en in initial position, resulting in a strong-weakstrong rhythm. Rules for position of pronouns which are objects of infinitives differ nowadays from language to languages, but are based in origin on the same principle of rhythmic stress. 䞍定詞に察する無匷勢代名詞の配眮がこの 匷 匱 匷 のリズムに基づいお決められおいたずいう点 たた 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の連蟞が厳然ずしお存圚しおいたこずを合わせお考慮するず ある文脈においおは 前眮詞が盞察的に 匷 ず認められるだけの匷さが認められる堎合もあったず考えおよいであろう これたで 2. 1 で行った考察から次の点が導かれる たず para lo hacer 型の堎合には 䞻たる匷勢の前に耇数の無匷勢音節が䞊ぶこずになり スペむン語に内圚する性質によっお 呌気段萜内のリズムを敎えるために前眮詞に盞察的な匷勢がおかれた可胜性があったずいう点 (2. 1. 2) である 本来無匷勢語である前眮詞に盞察的な匷勢がかかるこずによっお 無匷勢代名詞が前眮詞に前接する環境ができ それによっお para lo hacer 型は倱われずに䜿われ続けるこずになったず蚀える さらに ロマンス諞語に共通する無匷勢代名詞が匷勢を持たず第 2 䜍眮に眮かれる性質は 前眮詞に眮かれる盞察的な匷勢ず共に 匷 匱 匷 のリズムを䜜り出すのに有効であった (2. 1. 3) そのリズムが para lo hacer 型の配眮が奜たれる 1 ぀の芁因になったのではないかず考えられる

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 137 音声的な芁因 2 無匷勢代名詞の埌接蟞的な性質に぀いお 2. 2. 1 埌接蟞ずしおの無匷勢代名詞の䜿甚基本的に無匷勢代名詞が前接蟞であったこずはすでに述べたが para lo hacer 型の堎合には 無匷勢代名詞が埌接蟞ずしお機胜しおいた可胜性を考えるこずはできないだろうか 無匷勢代名詞に埌接蟞ずしおの性質を認めれば 2. 1 で考察した前眮詞の匷勢の有無ずは関係なく 無匷勢代名詞が前に眮かれる理由が説明できる ぀たり埌接蟞である前眮詞の埌ろにさらに埌接蟞である無匷勢代名詞が続き すべおが䞍定詞に匕き぀けられおいるず考えるこずになるのである 実際に 無匷勢代名詞が埌接蟞ずしお機胜を朜圚的に持っおいたこずは広く知られおいる (22) 䞭岡 (1992: 40) 䞭䞖語では基本的に前接蟞であった代名詞匱勢圢は 僅かながらも 埌接蟞ずしお機胜しおいる堎合もみられる 埓っお この近代語的な特城もかなり早くから朜圚的にあった ずいうこずになる (23) Menéndez Pidal(1994: 402)( 䞋線は菊田 ) El pronombre personal átono es generalmente enclítico. Algunas de las grafías que nos lo presentan como proclítico pudieran atribuirse al copista: vedada lan conpra 62, venido les mensaie 975(contra acreçidole han 1419, dadol ha 2421, etc.), non minchal 230, 2357, el diezmo la mandado 1798, pero no hay duda que el poeta conocía al proclisis, en vista de los siete hemistiquios comenzados por pronombre átono, que citaremos

138 en la p. 406 9. この可胜性に぀いおは 菊田 (2004) においお筆者も認めおおり 珟代スペむン語に至るたでに無匷勢代名詞が定動詞の埌に眮かれるようになったのは この朜圚的な性質がのちに衚面化し 広がっおいったもの考えおいる しかし 侭侖 黄金䞖玀スペむン語においおは 動詞に埌接する代名詞が出珟する可胜性は非垞に䜎く あくたでも散発的な珟象ず刀断できる さらに Menéndez Pidal は同じ資料の䞭で 動詞迂蚀句に珟われる無匷勢代名詞の堎合には それが䞍定詞に前接するものなのか 定動詞に埌接するものなのかの区別が出来ない堎合があるこずも瀺唆しおいる 10) たた 同様に Posner(1996: 222) も 䞭䞖語の無匷勢代名詞がどこたで関連する動詞に音声的に䟝存しおいるかを刀断するのは困難であり 韻埋の䞊で先行の語に融合するのか 埌続の語に融合するのかは決め難いず蚀う しかし Menéndez Pidal 自身も指摘しおいるように 䞍定詞ず無匷勢代名詞の融合圢の存圚 (sabelo, tomallo など ) や 䞍定詞ず定動詞の間に他の芁玠が入った堎合には 無匷勢代名詞がその芁玠に前接する䟋 (vender non los podremos) などを考えるず やはり無匷勢代名詞は先行する匷い芁玠に匕かれる傟向が匷く 埌接蟞ずいうよりは前接蟞であったず蚀えるだろう ぀たり 埌接蟞的な性質が朜圚的には叀くからあったこずは吊定できないが 侭侖 黄金䞖玀を通じお無匷勢代名詞は基本的には前接蟞であったず蚀える 䞀方 珟代スペむン語においおは 定動詞に支配される無匷勢代名詞が䞀貫しお動詞に前眮される ( 埌接する ) が これは䞊でも述べた通りもずもず朜圚しおいた代名詞の埌接蟞的な䜿甚が広がった 10) Menéndez Pidal(1994: 408)

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 139 ためであるず考えられる (2. 2. 2) 2. 2. 2 埌接蟞ずしおの䜿甚の広がり最初はごくわずかな堎合にしか芋られなかった無匷勢代名詞の埌接蟞ずしおの䜿甚は 埐々に広がっおいき 最終的には肯定呜什 珟圚分詞 䞍定詞ず共起する堎合を陀く すべおの堎合で認められるこずになった 菊田 (2004) は前接蟞ずしおの䜿甚が枛少し 埌接蟞ずしおの䜿甚が広がった芁因ずしお次の 3 点を挙げおいる 1 限定された文脈での䜿甚音声䞊の制玄が埐々に匱たるず無匷勢代名詞は文頭ず䌑止の前でのみ定動詞に埌眮されるようになった これに察し 文䞭では無匷勢代名詞は定動詞に前眮される 文頭や䌑止の埌ずいった䜍眮に動詞が来るのは非垞に限られおいた (2 参照 ) ため 類掚によっお無匷勢代名詞は定動詞の前に眮かれるようになった 2 動詞を第 2 䜍眮におく傟向ロマンス語には ( 接蟞を含む ) 動詞グルヌプを文の第 2 䜍眮に眮く傟向がある ( 䞻語 動詞 副詞 動詞 䞻語など ) この傟向から動詞が文頭に眮かれる可胜性は䜎かった 3 圢態 統語の敎合性定圢動詞の堎合には䞀貫しおそれに前眮され 䞍定圢の動詞および肯定呜什圢の堎合には埌眮されるずいうように 無匷勢代名詞の䜍眮が文法圢匏に応じお決定されるこずでパラダむムが敎理され 混同の危険を回避した その結果 無匷勢代名詞は 珟代スペむン語においお 呜什圢 珟圚 分詞 䞍定詞がある堎合を陀き それを支配する動詞に前眮されるよう

140 になった たた珟圚分詞 䞍定詞がある堎合も それを掻甚した動詞ずずもに甚いられお動詞迂蚀句を圢成する堎合には前眮が蚱されおいる ぀たり 前眮詞 + 䞍定詞 の堎合や珟圚分詞や䞍定詞が単独で甚いられるごくたれな堎合を陀けば 倚くの圢匏に埌接蟞ずしおの無匷勢代名詞の䜿甚が広がっおいるずいえるだろう 2. 2. 3 前眮詞 + 䞍定詞 の堎合䞊述の通り 無匷勢代名詞は時代ずずもに埌接蟞ずしおの性質を匷めおいくが それにもかかわらず 前眮詞 + 䞍定詞 ず共起する堎合には 埌接蟞ずしおの䜿甚 (para lo hacer 型 ) は定着するに至らなかった 定動詞や動詞迂蚀句に支配される無匷勢代名詞が埌接蟞的な性質を埗たのに察し 前眮詞 + 䞍定詞 に共起する無匷勢代名詞は 珟圚では䞍定詞に必ず埌眮される (para hacerlo 型 ) こずになった ぀たり 無匷勢代名詞が朜圚的に埌接蟞的な性質を持っおいたずしおも この 前眮詞 + 䞍定詞 においおは最終的にはそれが倱われおしたったのである para lo hacer 型においお 無匷勢代名詞が埌接蟞ずしおの性質を持ち そのために無匷勢代名詞が䞍定詞に前眮されたのだずすれば 他の圢匏からの類掚で埌接蟞ずしおの機胜をもっず広げるこずができたはずである フランス語やポルトガル語で para lo hacer 型が残っおいるのに察し スペむン語では 最終的にこの圢匏が甚いられなくなっおしたったずいう点こずを考慮するず para lo hacer 型が倚甚された理由ずしお無匷勢代名詞が埌接蟞的な性質を匷く持っおいたずいう点を挙げるこずには無理があるだろう すなわち para lo hacer 型においおは 無匷勢代名詞は別の芁因によっお前眮詞ず䞍定詞の間に眮かれるこずが奜たれたず考えた方が合理的ではないかず考えられる

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 141 情報構造䞊の䟿宜 代名詞を前に出すべき情報構造䞊の理由に぀いお情報提瀺䞊の䟿宜のために無匷勢代名詞が䞍定詞の前に眮かれやすくなっおいた可胜性぀いおも考慮の䜙地はある しかし 泚 6 においお述べたように 本皿ではたず音韻 音声的芳点からの考察を優先しお 情報構造に関する考察は今埌の課題ずした 無匷勢代名詞は倚くの堎合旧情報を担うが それ自身が無匷勢の接蟞であるために その配眮は音声的な環境に圱響されやすく 情報構造の研究察象にするのが困難なためである たた 前眮詞 + 䞍定詞 の堎合には para lo hacer 型はすでに甚いられなくなっおいるため para hacerlo 型ずの情報提瀺䞊の違いを比べるためには かなり広範な資料ず研究が必芁になるずいう点もその理由ずしお挙げられる 無匷勢代名詞を䞍定詞の前に出す圢匏 para lo hacer 型には情報提瀺の䞊で䜕らかの意味があったかも知れない しかし para lo hacer 型が珟圚甚いられなくなっおしたっおいるのも厳然ずした事実である ぀たり para lo hacer 型に情報提瀺䞊の利点があったずしおも それは決定的な芁因ずはなりえず 最終的には他の芁因を優先する方向に進んだず考えられるのである. 結論 これたでいく぀かの考察を行っおきたが その結論は (14) においお匕甚した Keniston(1937) の䞻匵を裏付けるものずなった すなわち スペむン語およびロマンス諞語の持぀音声的な傟向を芳察するず 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 の連蟞においお この呌気段萜の最初の芁玠である前眮詞に第 2 匷勢が眮かれる可胜性が高いずいうこずである この前眮詞の盞察的な匷勢は ラテン語から匕き継ぎ ロマンス語に共

142 通する性質ずしお垞に存圚した しかし この盞察的な匷勢は 第 1 匷 勢よりは匱かったため 前眮詞が匷勢語ずしお認識されるこずはなかっ た Keniston が匕甚 (14) の䞭で 前眮詞が匷勢を持っおいるように 3 3 3 3 3 感じられた (prepositions were felt as stressed) ず述べおいるのは たさにこの盞察的な匷勢を指しおいるのではないかず考えられる たた ロマンス諞語における無匷勢代名詞の䜍眮が䞻に音声的な芁因 によっお決定されおいたこずも para lo hacer 型を維持するのに有効で あったず考えられる ロマンス諞語には接蟞代名詞を句 ( たたは文 ) の 第 2 䜍眮に眮き 呌気段萜の最初の匷い芁玠を際立たせるずいう傟向が あり その結果生じる 匷 匱 匷 のリズムに合うように句の芁玠を 配眮するのがその自然な語順であったず蚀える 前眮詞に認められる第 2 匷勢は 䞻たる匷勢よりは匱かったが それは十分に無匷勢代名詞を 埌ろにずどめおおくだけの匷さを持っおいた それは呌気段萜の最初の 方に匷勢が連続するのを避け 匷 匱 匷 のリズムを効果的に䜜り 出した その結果 para hacerlo 型の傍らに存圚した para lo hacer 型が 倚甚されるようになったず考えられる 11) 䞀方 para hacerlo 型は前眮詞の匷勢の有無にかかわらず甚いるこず が出来るこずから スペむン語史を通じお倱われるこずなく䜿われ続け 侭侖 黄金䞖玀においおは para lo hacer 型ず共存した Keniston も (14) の埌半で その䞖玀 (16 侖简 ) の普通の䜿い方は 前眮詞を無匷 勢ず考えお 無匷勢代名詞を䞍定詞の埌ろに眮くものであった (But the usual practice of the century was to consider the preposition as unstressed, and hence the pronoun followed the infinitive.) ず蚘述し おいる この 2 ぀は 16 䞖玀たで共存し続け 時代や䜜者の奜みによっ 11) 埓っお para lo hacer 型は必ずしも 音韻 ( 音声 ) 䞊の制玄 に反しおいるわけではないずいうこずになる

侭侖 黄金䞖玀スペむン語における 前眮詞 + 無匷勢代名詞 + 䞍定詞 に぀いお 143 お どちらかが奜たれるようになったのであろう 創䜜の幅を広げるためには 2 ぀の遞択肢があった方が奜郜合だったずも蚀える 以䞊の考察から para lo hacer 型を維持する䞻たる芁因は 前眮詞に眮かれた第 2 匷勢や それによっお䜜り出される 匷 匱 匷 のリズムであったず考えおよいであろう これをもっお本皿の結論ずしたい 他方 無匷勢代名詞が朜圚的に持っおいたず思われる埌接的な性質や情報構造䞊の䟿宜に぀いおは ただ議論の䜙地はあるものの 珟状では䞻たる芁因ずみなすだけの根拠は認められなかった これらの点が para lo hacer 型を維持する䞻たる芁因であったならば 他の文法圢匏に芋られるように無匷勢代名詞を関連する動詞に前眮する圢匏がもっずその䜿甚の幅を広げおいただろう 埌接蟞ずしおの䜿甚や情報構造䞊の利点が仮に認められたずしおも para lo hacer 型はスペむン語に定着するこずがなく 珟代に至るたでに倱われおしたっおいるのである 最埌に 本皿の目的からは少し倖れるが なぜ 16 䞖玀を過ぎお para lo hacer 型が甚いられなくなっおしたったかに぀いお少し觊れおおきたい これたでの䞀連の研究 ( 菊田 2004, 2008) から スペむン語は 15 16 䞖玀たでの 音韻䞊の安定 を求める時代から 17 䞖玀以降に 文法芏則の再線成 12) の時代に移行したず掚察できる para lo hacer 型が消倱したのは 文法意識が高たっおいく䞭で前眮詞が無匷勢語であるこずの認識が広がったためではないだろうか ぀たり 前眮詞の第 2 匷勢が 12) スペむン語が 音韻䞊の安定 を重芖する時代から 文法芏則再線成 の時代に倉わったこずを瀺すひず぀の䟋ずしお 䞭䞖時代には奜んで甚いられた融合圢の (tomallo<tomarlo, dalde<dadle) の衰退 消倱が挙げられる これらの圢匏は本来音韻䞊の安定を求める圧力により生じたものず考えられるが 黄金䞖玀に入るず埐々に甚いられなくなり 最終的にはスペむン語から完党に姿を消す この倉化は 16 17 䞖玀を通じお 圢態のパラダむムの敎合性や明解さを求める圧力が優䜍に立った結果生じたものであるず考えられる たた 文法意識が高たった芁因ずしおは 文孊的傟向に倉化が起こり 散文が文孊掻動の䞭心になった点 掻版印刷術の発明により曞きこずばが固定されおいった点 スペむン語に察する文法研究 蚘述が盛んになった点などが挙げられる

144 倱われたずいうこずではなく 芏則の䞊では前眮詞は無匷勢語であるずいう認識が広がったのである 無匷勢であるこずを知った䞊で 無匷勢代名詞を意図的に配眮するず para hacerlo 型にしかならない ぀たり 玔粋に圓時のルヌルに埓う圢に萜ち着いたず考えられるのである この点に぀いおは 他の連蟞に芋られる無匷勢代名詞の䜍眮の倉遷ずも合わせお考えおいく必芁があるため 今埌も継続しお远究しおいきたい 匕甚文献 Alarcos Llorach, Emilio, 1994, Gramática de la lengua española, Espasa-Calpe, Madrid. Bassols de Climent, Mariano, 1992, Fonética latina 8, CSIC, Madrid. Bourciez, Édouard, 1967, Éléments de linguistique romane 5, Librarie C. Klincksieck, Paris. Canellada, María Josefa & Madsen, John Kuhlmann, 1987, Pronunciación del español, Castalia, Madrid. Canfield, Lincoln & Davis, Cary, 1975, An Introduction to Romance Linguistics, Southern Illinois University Press. Eberenz, Rolf, 2000 El español en el otoño de la Edad Media, Gredos, Madrid. Gili Gaya, Samuel, 1988, Elemento de fonética general 5, Gredos, Madrid. Grandgent, C.H., 1991, Introducción al latín vulgar 5, CSIC, Madrid. Hanssen, Federico, 1913, Gramática histórica de la lengua castellana, Halle, A.S, Max Niemeyer. 亀井孝, 川野六郎, 千野栄䞀線,1996, 蚀語孊倧蟞兞, 第 6 å·» 術語線, 䞉省堂, 東京. Keniston, Hayward, 1937, The Syntax of Castilian Prose. The Sixteenth Century, The Universitiy of Chicago Press, Chicago-Ilinois. 菊田和䜳子,2004, 黄金䞖玀以降のスペむン語における人称代名詞匱勢圢の䜍眮の倉遷 (II) その芁因に぀いおの䞀考察, スペむン語孊研究 19,pp. 61 78, 東京スペむン語孊研究䌚, 東京. 菊田和䜳子,2008, スペむン語の ( 助 ) 動詞 + 䞍定詞 に察する無匷勢代名詞の䜍眮の倉遷に぀いおの䞀考察, 蚀語の個別性ず普遍性, 神奈川倧孊蚀語研究 特集号, 神奈川倧孊蚀語研究センタヌ, 神奈川. Lausberg, Heinrich, 1965, Lingüística románica, Tomo I Fonética, Gredos, Madrid.

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