輸入原料安定確保調査等事業調査報告-4

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国際化学肥料ニュース(2010年5月号)

国際化学肥料ニュース(2010年5月号)

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2017年12月期 第3四半期 JTI業績報告資料

国際化学肥料ニュース(2010年5月号)

2017年度 JTI業績報告資料

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1

2017 電波産業調査統計

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財務省貿易統計

財務省貿易統計

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本日の説明内容 総括 2019 年 3 月期第 1 四半期実績 2019 年 3 月期通期見通し 主要施策の進捗 1

PJ America_子会社の異動ドラフト_daiwa(明朝)_180911_sent(会長名記入)ver.2

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

財務省貿易統計

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輸入バイオマス燃料の状況 2019 年 10 月 株式会社 FT カーボン 目 次 1. 概要 PKS PKS の輸入動向 年の PKS の輸入動向 PKS の輸入単価 木質ペレット

財務省貿易統計

財務省貿易統計

財務省貿易統計

目次 1. 経営成績営業利益分析 / 海外売上高 / 貸借対照表 2. 業績予想 ( 修正 : 有 ) 3. 研究開発費 / 減価償却費 / 設備投資 4. 株価の状況 5. トピックス P.2 P.10 P.14 P.16 P

【ロシア最新経済金融週報】

42

当社グループによるインドネシアのクレテックたばこ会社及び流通販売会社の買収に関する契約締結について

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海外たばこ事業実績補足資料(2015 年1-3 月期)

Microsoft Word - 10 統計 参考.doc

財務省貿易統計

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銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

Results Presentation

国際化学肥料ニュース(2010年5月号)

澤田 世界のリチウム資源開発の動向 3 軽くて高出力で かつ充電が可能な為 1993 年に量産が 産されている 6 また 一部の用途では鉱石由来のリチウ 始まって以降 携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器 ム精鉱がそのまま使われることもある しかし 多くの化 に使われてきた これが 冒頭で述べたよ

ビール系飲料の輸入

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財務省貿易統計

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銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

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国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)結果の推移

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2017 年訪日外客数 ( 総数 ) 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) 総数 2,295, ,035, ,205, ,578, ,294, ,346, ,681, ,477

特集 ロシア NIS 圏で存在感を増す中国特集 ロシアの消費市場を解剖する Data Bank 中国の対ロシア NIS 貿易 投資統計 はじめに今号では ロシア NIS 諸国と中国との経済関係を特集しているが その際にやはり貿易および投資の統計は避けて通れないであろう ただ ロシア NIS 諸国の側

様式第一六(第12条関係)

< 顧客配布資料 > ベトナムレポート 作成 :2014 年 7 月 7 日 ( 月 ) ベトナム Weekly レポート お問い合わせ フリータ イアル : ホームヘ ーシ アト レス : ベトナム最大の国営企業 ペトロベト

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国際化学肥料ニュース(2010年5月号)

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

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資源メジャー5社の動向 亜鉛 鉛 亜鉛は横ばい BHP Billitonのアセットによる産出 (Antamina/ ペルー ) 以外の大部分はGlencoreのアセットのみとなる Glencoreは世界の亜鉛生産量の約 1 割を担う巨大プロデューサー 北米の不調を主力の豪州で補った形であろう アルミ

当社グループによるロシアたばこ会社等の買収に関する契約締結について

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Microsoft PowerPoint - ★決算説明資料_0110

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

Microsoft Word - 校了 11 統計 ①増田、田辺.doc

ITI-stat91

PowerPoint プレゼンテーション

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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Microsoft Word - ブラジル経済概観(2019年2月)

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

3. 異動する子会社の概要 1 株式会社フィスコデジタルアセットグループ (1) 名称 株式会社フィスコデジタルアセットグループ (2) 所在地 大阪府岸和田市荒木町二丁目 18 番 15 号 (3) 代表取締役田代昌之 仮想通貨関連ビジネスを営む会社の株式又は持分を所有する (4) 事業の内容 こ

2016 年 10 月 31 日 各位 社名 代表者名 問合せ先 株式会社村田製作所代表取締役社長村田恒夫 ( コード :6981 東証第 1 部 ) 広報室長生嶌匠 (TEL ) ソニー株式会社からの電池事業の取得に関するお知らせ 株式会社村田製作所 ( 以下 当社 といい

2017年第3四半期 スマートフォンのグローバル販売動向 - GfK Japan

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XBRL導入範囲の拡大

現代資本主義論

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原稿メモ

PowerPoint プレゼンテーション

銀行等の非居住者等に対する国別債権債務に関する報告書

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Skytec Group Limitedとの業務提携及びSKYTEC UMC LTDの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

Microsoft Word - 04_data_product_4

Ⅰ. 世界海運とわが国海運の輸送活動 1. 主要資源の対外依存度 わが国は エネルギー資源のほぼ全量を海外に依存し 衣食住の面で欠くことのでき ない多くの資源を輸入に頼っている わが国海運は こうした海外からの貿易物質の安定輸送に大きな役割を果たしている 石 炭 100% 原 油 99.6% 天然ガ

目次 平成 25 年 3 月期決算概要 1 業績概要 4 2 平成 25 年 3 月期の課題と取組み 5 3 経営成績 6 4 業績推移 7 5 売上高四半期推移 8 6 事業別業績推移 ( ソフトウェア開発事業 ) 9 7 事業別業績推移 ( 入力データ作成事業 ) 10 8 業種別売上比率 (

表1-4

2007年12月10日 初稿

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国際化学肥料ニュース(2010年5月号)

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スライド 1

株式併合、単元株式数の変更および定款の一部変更に関するお知らせ


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地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主


Transcription:

1.5 日本の輸入状況 1.5.1 日本のリン鉱石輸入状況財務省貿易統計によると 2010 年に日本が最も多くリン鉱石を多く輸入しているのは中国で全体の 51%(15 万トン ) である その他 モロッコ 20%(6 万トン ) 南アフリカ 17%(5 万トン ) となっている 取引単価は 中国が 18.6 千円 /t モロッコ 18.3 千円 /t と平均の 19.7 円 /t より安いが 南アフリカは 23.8 千円 /t と平均より高い 表 1.5-1 2010 年 (1~12 月 ) リン鉱石輸入状況 数量 (t) 金額 ( 千円 ) 単価 ( 千円 /t) 中華人民共和国 158,437 2,953,039 18.6 モロッコ 62,500 1,144,266 18.3 南アフリカ共和国 54,195 1,287,512 23.8 ヨルダン 19,000 380,452 20.0 ベトナム 9,121 159,105 17.4 イスラエル 7,010 187,658 26.8 インドネシア 220 5,158 23.4 合計 310,483 6,117,190 19.7 ( 出典 ) 財務省貿易統計 1.5.2 日本の塩化カリ輸入状況財務省貿易統計によると 2010 年に日本が最も多く塩化カリウムを多く輸入しているのはで全体の 76%(42 万トン ) である その他 11%(6 万トン ) ヨルダン 8%(4 万トン ) となっている 取引単価は 平均で 40.7 千円 /t となっている 表 1.5-2 2010 年 (1~12 月 ) 塩化カリ輸入状況 数量 (t) 金額 ( 千円 ) 単価 ( 千円 /t) 423,104 17,353,421 41.0 61,501 2,315,389 37.6 ヨルダン 43,040 1,604,821 37.3 イスラエル 17,357 790,291 45.5 中華人民共和国 3,407 144,133 42.3 ベラルーシ 1,751 64,773 37.0 大韓民国 1,093 52,639 48.2 アメリカ合衆国 1,033 157,362 152.3 リトアニア 800 29,444 36.8 ドイツ 41 5,564 135.7-19 -

農業生産環境対策事業 数量 (t) 金額 ( 千円 ) 単価 ( 千円 /t) ベトナム 20 1,528 76.4 オーストリア 0 2,229 - 合計 553,147 22,521,594 40.7-20 -

1.6 肥料資源に関する最新動向調査前項までは 統計データ等により把握可能な肥料資源に関する情報について報告したが ここでは 肥料業界の専門レポートである Fertilizer Week の 2010 年 11 月 ~2011 年 2 月までに報告されている新たな鉱山開発など資源量や生産量に大きく影響すると考えられる要因や主要な企業について提携等の供給者の寡占化などに関連する情報について整理を行った 1.6.1 リン (1) 動向一覧リンに関する最近の動向を 表 1.6-1 に示す 赤字で示した動向については 次節で行う整理の対象となっている 表 1.6-1 リンに関する動向一覧 年月 No. 動向国分野 2010 11 1 2 3 4 5 12 6 7 8 9 10 11 12 Vale が子会社を通じて Vale Fertilizantes( 旧 Fosfertil) を傘下に インドとシリアがリン鉱石分野の長期協力と JV 設立に関する MOU を締結 米 Agrifos 社は Tessenderlo Kerley 社とチオ硫酸アンモニウム売買に関する複数年の排他的契約に合意 Acron 社が Oleniy Ruchey リン鉱石プロジェクトを 2012 年前半に開始することを発表 米 Phosphate Holdings 傘下の Mississippi Phosphates は 硫酸プラントの故障により 2012 年第 4 四半期の DAP 生産量を縮小 モロッコ OCP が 4 基の DAP/MOP 生産プラントを新規に建設 FMC 社はスペイン Huelva にある Foret リン鉱石プラントを 2010 年末に閉鎖すると発表 カザフスタン Sunkar Resources は Chilisai リン鉱石プロジェクトのために ATF Bank Kazakhstan から 15 百万 US$ の有担保融資を獲得 肥料協会 (TFI) は環境保護局 (EPA) のフロリダ州における水質基準規則に関して提訴 イスラエル ICL 社は Scotts Global Professional を 270 百万 US$ で買収 Legend International Holdings 社は 豪 Georgina 盆地のリン鉱石生産 精製プロジェクトに関連して 野村グループをアドバイザーとして指名 肥料大手 Eurochem は子会社の Phosphorit I.G. に対し 停止中の硫酸 リン酸生産設備の交 インドシリア モロッコ スペイン カザフスタン 企業再編 提携 提携 生産縮小 設備拡大 生産終了 環境保護 イスラエル 日本オーストラリア 提携 設備拡大 - 21 -

農業生産環境対策事業 年月 No. 動向国分野 13 14 15 16 17 18 2011 1 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 換のため 45.2 百万 US$ を供給した Eurochem のリン鉱石開発会社の Kovdrosky GOK は 2011 年 4 月にリン鉱石の新輸送システムを稼動開始 伯 Tocantins 州環境局が MBAC Fertilizer 社に環境ライセンスを発行 イタリア輸出信用機関が Acron グループとイタリア Diemme S.p.A. との契約において担保保証 Jacobs エンジニアリングとモロッコ OCP との JV は 新設 DAP/MAP プラントの投資 / 建設マネジメントサービスを行うと発表 イスラエル ICL 社は創業プラント向けエネルギーとして エジプト EMG 社から 2030 年までの天然ガス供給を受けることを合意 Vale が Vale Fertilizantes の株式のほぼ 100% を掌握 Uralchem グループは 経営コスト削減を目的として グループ内企業を統合 Rosnedra は クラスノヤルスク地域の Teleksky リン鉱床の開発権を競売にかけることを発表 インド RCF 社は Acron 社から Oleniy Ruchey リン鉱山会社の株式のうち 25% を獲得したという報道を 否定 米 Mosaic 社は 2010 年第 2 四半期に 10 億 US$ の売上があったと発表 ニュージーランド Widespread 社は Chatham Rise 海底リン鉱床プロジェクトのために 浚渫会社 3 社と契約締結 チュニジアのリン鉱石生産者 GCT が プラントは計画通り稼動していると発表 Mosaic と主要株主の Cargill は Cargill の所有する 64% の株式を Cargill の株主と債権者に分配すると発表 Egypt Kuwait Holding 社は エジプト Sadat 市の肥料プラント建築についてフランス Letoine Group 社と契約 Vale Fertilizantes の株主総会が Vale Fosfatados を編入することを承認 Acron の子会社の Acronit が 570.7 百万 US$ 相当の株式発行計画 モロッコ OCP とトルコ Tekfen は リン酸スラリーパイプラインと DAP/MAP プラント 2 基の建設に関する契約を締結 連邦独占禁止サービスは PhosAgro グループの Apatit OJSC を競争保護法違反で調査を開始 イタリア モロッコ イスラエルエジプト ニュージーランド 設備拡大 環境保護 提携 提携 企業再編 企業再編 業績 チュニジア生産 エジプト モロッコ 設備拡大 企業再編 設備拡大 行政 - 22 -

年月 No. 動向国分野 2 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 ( 出典 )Fertilizer Week をもとに作成 の MBAC Fertilizer Corp. はの Itafos 過リン酸石灰肥料プロジェクトの開発のために Banco Itau から 110 百万 US$ の融資を得た 豪肥料大手 Incitec Pivot Limited は超大型サイクロンの影響により約 36.5 百万 US$ の損失 Fospar 社は 肥料の主要受入港である Paranagua 港の付帯設備拡張のために 22 百万 US$ を投資 豪 Celamin 社とチュニジア鉱業サービスは Bir El Afou リン開発の第 1 フェーズ生産物売却に関して 国際肥料企業と MoU 締結 Agrium 社は 2010 年度決算を発表 純利益は前年比約 2 倍の 714 百万 US$ に Acron 社は Raiffeisen 銀行グループに対する負債が 300 百万 US$ から 425 百万 US$ に増加したと発表 カザフスタン Sunkar Resources は Chilisai リン鉱石プロジェクトの F/S 調査の予備調査結果を発表 豪 Rum Jungle Resources 社が Aragon Resources 社から Territory Phosphate 社を買収したと発表 Cominco Resources 社はコンゴの Hinda プロジェクトでリン鉱石等の掘削を開始 モロッコ OCP と中国 Sinochem( 中国中化集団 ) は 中国向け DAP の販売量を 現在の約 3 倍の年 50 万 t にする契約を締結 フィンランド Outotec 社はオーストリア ASH DEC を買収し 有機物焼却灰からリン肥料をリサイクル技術を獲得 Vale は 2010 年度決算を発表 純利益は過去最高の 173 億 US$ に オーストラリア 災害 設備拡大 チュニジア提携 カザフスタン オーストラリア コンゴ モロッコ中国 フィンランド 業績 買収 提携 買収 業績 - 23 -

農業生産環境対策事業 (2) 主な動向リンに関する主な動向を 2 件取り上げる 1モロッコのリン鉱石公社が DAP/MAP 生産設備を増強 モロッコの Office Cherifien des Phosphates (OCP; リン鉱石公社 ) は DAP/MAP のユニットを 4 基 新規建設する計画である それぞれのユニットは年産能力 100 万トン 2013 年 7 月から 2015 年 7 月までに 順次生産開始する OCP の拡大により モロッコのリン鉱石生産者による DAP/MAP 生産能力は 現在の 3 百万トンから 9 百万トンに増加する OCP は同時に港湾設備を増強し 年 35 百万トンを取り扱えるようにする また プラントから港までのスラリーパイプラインを新規に建設する パイプラインの建設により リン鉱石生産は現在の年 30 百万トンから年 50 百万トンに増加する パイプラインと 2 基の設備建設は トルコの Tekfen Contracting グループに委託される 建設費用は合計で 630 百万 US$ を見込む 2 Vale が肥料事業強化 Vale 社について 政府が 5.4% 株式所有する鉄鉱石メジャー 2010 年第 3 四半期までの売上 378 億ドル 償却前営業利益 194 億ドル 鉄鉱石関連が売上の 70% を占めるが 肥料関連は目下 3% にすぎない 肥料事業強化の経緯 2010 年 1 月 米 Bunge 社が所有する肥料事業資産を 38 億ドルで買収 同 6 月 子会社を通じて 最大の肥料会社である Fosfertil 社の株式 58.6% を買収 Vale Fertilizantes と社名変更 同 9 月 Vale Fertilizantes 株式の 20.3% を Mosaic 社から 10 億ドルで獲得し Vale の株式所有比率は 78.9% となる 2011 年 2 月 1 日 Bunge 社から取得した資産を Vale Fertilizantes に編入 Vale は世界の肥料ビジネスのリーダーとなることを目標としている Vale Fertilizantes は肥料事業の中核会社となる なお 政府は 肥料国内需要の 70% を輸入に頼っている現状を解消する意向である 3まとめ リン鉱石開発については モロッコにおける生産設備増強のインパクトが大きいが ほかにもやイスラエルのプロジェクトが順調に進捗している模様である 業界の台風の目となっているのは Vale であり を中心に 今後とも動向が注目される 他の需要国としては インドが産出国と提携する一方 中国の姿は見えてこない - 24 -

1.6.2 カリ (1) 動向一覧カリに関する最近の動向を 表 1.6-2 に示す 赤字で示した動向については 次節で行う整理の対象となっている 表 1.6-2 リンに関する動向一覧 年月 No. 動向国分野 2010 11 1 2 3 4 5 6 7 8 12 9 10 11 12 13 14 15 11 月 3 日 政府が BHP Billiton の PotashCorp への買収提案を拒否 露 OAO PhosAgro が BHP Billiton の PotashCorp 買収への参加を検討していることが報道 米 Agrium 独 K+S などカリ大手各社が好決算見通しを相次いで発表 Talitsky Potash プロジェクトが 露 Acron の子会社である Verkhnekamsk Potash Company(VPC) によって具体的に進捗 Saskatchewan 州環境省が Potash One による Legacy Project における環境影響評価を承認 加 Allana Potash Corp が エチオピアの Danakhil 低地の探鉱ライセンスを Haro Exploration Corp より C$400 万で買収 加 Magindustries Corp が トロント証券取引所にて IPO を実施して C$1,000 万を調達予定 資金はコンゴ Mengo Project に投資を計画 11 月 15 日 BHP Billiton が PotashCorp 買収を断念 露 Acron の子会社が のカリウム鉱区を BHP Billiton の現地法人へ C$600 万で売却 独 K+S Kali がリン資源の不足を理由に リン酸カリウム肥料の販売を中止する予定であることを発表 加 Allana Potash Corp が 第三者引き当て増資を通して C$1,240 万ドルを調達 一部をエチオピア Danakhil プロジェクトの FS 調査に利用 加 Magindustries Corp が トロント証券取引所にて IPO を実施して予定通り C$1,000 万を調達 Mengo Project に投資 加 Atacama Minerals Corp が伯 Salvador Bahia 探鉱プロジェクトの掘削作業が難航していると発表 Uralkali が Perm 北部の Berezniki における設備更新の一環として Siemag 社のスキップホイスト二基を導入 2011 年も更新計画 Uzkhimprom が Tyubegatan カリウム塩鉱山近郊の Dekhkanabad 工場に第 2 ユニットを導入予定 肥料生産規模は 40 万トン / 年に 世界 エチオピア コンゴ ドイツ エチオピア コンゴ ウス ヘ キスタン 業績 商品 設備拡大 - 25 -

農業生産環境対策事業 年月 No. 動向国分野 16 17 18 19 2010 12 20 21 22 23 24 25 26 2011 1 27 28 29 30 31 倍増 Americas Petrogas がトロントベンチャー取引所から C$315 万を調達 ペルーの Bayovar プロジェクトに投資予定 露 Uralkali と 同国同業の Silvinit との合併交渉がまとまりつつあることが報道 独 K+S Aktiengesellschaft による加 Potash One の友好的買収案件は 連邦政府が問題ないと判断 加 Talon Metals Corp が伯 Rio Verde Minerals Corp に Sergipe Potash Project における権益の過半売却を完了 加 Intercontinental Potash Corp が New Mexico 州における硫酸カリ開発プロジェクトへの出資比率を拡大 豪 South Boulder Mines Ltd が エリトリアの Colluli Project における掘削調査の結果 有望な埋蔵ポテンシャルを確認したと発表 加 Marifil Mines Ltd がアルゼンチンの Neuquen 堆積盆にて カリウム ウラン 亜鉛などが豊富な鉱床を発見したと発表 12 月 20 日 Uralkali と Silvinit が合併すると声明を発表し 世界最大のカリ輸出企業誕生へ 米 Universal Potash Corp が国際投資ファンドより $100 万調達 ユタ州 Paradox 堆積盆における開発を推進 加カリ探鉱企業である Encanto Potash CORP が私募によって $550 万を調達 加 Intercontinental Potash Corp が New Mexico 州における硫酸カリ開発プロジェクトのサンプリングプログラムを開始予定であると発表 Uralkali が Silvinit との合併について その詳細を Web サイトで発表 BHP Billiton が Jansen カリ鉱山の開発を進めるべく Saskatchewan 州環境省が求める環境影響評価書を取りまとめ 加 Intercontinental Potash Corp が New Mexico 州における硫酸カリ開発プロジェクトの経済性評価のアップデート版をとりまとめ 豪 Orocobre Ltd の リチウム - カリ開発事業である Salar de Olaroz Project の環境影響評価が アルゼンチン Jujuy 州政府より承認 米 Compass Minerals が加硫酸カリ大手である Big Quill Resources Inc の全株式を C$5,600 万で取得して買収完了 ペルー エリトリア アルゼンチン アルゼンチン 32 Passport Potash が 半世紀近く開発されて - 26 -

年月 No. 動向国分野 33 34 35 36 37 38 39 40 2011 1 41 42 43 44 ( 出典 )Fertilizer Week をもとに作成 いなかったアリゾナ州の Holbrook 堆積盆におけるカリ掘削プロジェクトを開始 Lithium Americas Corp が アルゼンチンにおけるリチウム - カリ開発事業である Cauchari Olaroz Project を更に推進すると発表 1 月 19 日 K+S が Potash One の全株式の 81% を取得し TOB が成功したと発表 Uralkali と Silvinit が 2010 年における両社の塩化カリウム生産量が 好調だった 2007 年レベルにまで回復し 計 1,000 万トンを突破したと発表 中 Migao Corp と SQM による新合弁企業が 中国 Sichuan にて硝酸カリウムの生産を開始 露 ACRON の子会社である Acronit が 増資して $5 億 7,070 万を調達する予定であることを発表 英 Sirius Minerals plc が Yorkshire に鉱物権益を保有する York Potash Ltd を買収すると発表 加 Western Potash が AMEC Americas に Saskatchewan におけるカリウム事業のコンサルティング及び FS 調査を発注 Passport Potash が アリゾナ州の Holbrook 堆積盆におけるカリ掘削プロジェクト向けに株式やワラントを売却して $550 万調達 豪 South Boulder Mines Ltd が エリトリアの Colluli Project における埋蔵量評価の第一フェーズを完了させ 土地評価額を $405 億と発表 中 Sinochem と CNOOC が共同で Belaruskali を買収することで ベラルーシ政府と交渉中であることが報道 豪 Aguia Resources が 伯 Sergipe における鉱物探鉱事業を行う Potassio do Atlantico Ltda を買収することで 両社が条件付きで合意 加 Marifil Mines Ltd. が 現在探鉱中のアルゼンチン Mendoza 州 Neuquen 堆積盆にて カリ埋蔵が豊富だとみられる鉱区を追加で取得 アルゼンチン 中国 英国 エリトリア ベラルーシ アルゼンチン 業績 設備 - 27 -

農業生産環境対策事業 (2) 主な動向カリに関する主な動向を 以下に 3 件取り上げる 1BHP Billiton が PotashCorp の買収を断念豪資源大手の BHP Billiton は 2010 年 8 月 18 日に カリ事業世界最大手で法人である PotashCorp の株式を $130/ 株で買い取ると発表し 敵対的買収をしかけた この買収価格は 2010 年 8 月 11 日の株価に 20% のプレミアムを乗せたもので 30 日間の加重平均価格からは 32% 60 日間の加重平均価格からは 33% 上回る額で 買収提案の総額は $400 億に達した この業界で圧倒的な地位を築く PotashCorp の反応が注目されたが 同社はすぐに 上記の買収額は過小評価であると表明し 提案を拒否した ( 出典 )BHP Billiton All cash offer for PotashCorp 注 )VWAP: Volume-Weighted Average Price 加重平均価格 図 1.6-1 PotashCorp の株価と BHP Billiton による買収提案額 2010 年 11 月 3 日 政府は同買収案件について Investment Canada Act に基づいて検証した結果 買収は同国にとって最良の選択ではないと発表し BHP に提案内容を改めるよう 30 日間の猶予を与えた 同社は この政府の判断をもって買収をあきらめ 2010 年 11 月 15 日 断念したことを発表した しかし BHP は肥料事業のみならず におけるカリ生産事業については加速させる方針を明らかにし Saskatchewan 州で計画を進めている Jensen カリ開発プロジェクトに注力し始めた この鉱脈における埋蔵ポテンシャルは 世界最大級であるとされている - 28 -

( 出典 )BHP Billiton The Jensen Project 図 1.6-2 Jensen プロジェクトの位置 同プロジェクトにおいては 計画されている全ての設備が稼動すれば 800 万トン / 年のカリを製造できるとみられる 2010 年 12 月 18 日 BHP は同州政府に環境影響評価書を提出し 首尾よく開発許可が得られれば 2011 年中にはサイトの建設に入り 2015 年初頭より生産が開始される予定となっている 2Uralkali と Silvinit の合併 2010 年 12 月末 の Uralkali が 同じくの Silvinit と 合併に向けて動いていることが明らかとなった この合併の背景には 政府の思惑もあったため 特に問題なく具体的に進捗した そして 2011 年 1 月 両社が合併スキームを発表し 合併は二段階で行われることが明らかとなった 第一段階では Uralkali が Silvinit の株式 20% をおよそ $14 億で買収し 第二段階では Silvinit の株式を Uralkali 株に交換できるようにし 2011 年 5 月を目処に完全に合併する という内容であった - 29 -

農業生産環境対策事業 ( 出典 )Uralkali Recommended Combination of Uralkali and Silvinit:Creation of a Leader in the Global Potash Market 図 1.6-3 合併のタイムスケジュール この合併が完了すると Uralkali と Silvinit 合併後のカリ生産設備規模は Belaruskali や K+S を抜いて三番手になるとみられる 一方で海外への輸出量では最大企業となり 現在 Uralkali の輸出事業を手がける Belarusian Potash Company(BPC) より Silvinit も輸出するようになると BPC の輸出販売量における世界シェアは 44% に達すると報じられている (2 位の Canpotex で 2 割程度 ) 両社の販売量や 国内外販売比率は類似しているが 販売先はやや異なっており アジアで確固たる地域を築きつつも やでも存在感を示せるようになるとみられる ( 出典 )Uralkali Recommended Combination of Uralkali and Silvinit:Creation of a Leader in the Global Potash Market 図 1.6-4 Uralkali( 左 ) と Silvinit( 右 ) の販売ポートフォリオ (2010 年第 1 四半期 ) - 30 -

( 出典 )Uralkali Recommended Combination of Uralkali and Silvinit:Creation of a Leader in the Global Potash Market 図 1.6-5 両社の概要 2010 年における Uralkali の塩化カリウム生産量は 510 万トン / 年 Silvinit は 520 万トン / 年とほぼ拮抗しており 両社で 1,000 万トンを上回る規模となる なお Silvinit は International Potash Company(IPC) を通してこれまで製品を出荷していたが 既に IPC の株式を全て売却しており BPC に一本化されるとみられており 輸出販売量で圧倒的な企業が別途誕生する可能性が高い 3 独 K+S が Potash One を友好的買収 2011 年 11 月 22 日 独肥料大手の K+S Aktiengesellschaft が 州にカリウム鉱区を保有する Potash One に対して買収を提案し 一方で Potash One の取締役会は この提案を受け入れると発表した 更に 同社の株主総会も 本買収は同社の最大の便益に叶うものであるとして満場一致で承認した - 31 -

農業生産環境対策事業 ( 出典 )Potash One Web サイト (http://www.potash1.ca/s/stockinfo.asp) 図 1.6-6 Potash One の株価の推移 K+S は Potash One の 11 月 19 日以降 10 日間における株価を加重平均したものに 31.3% のプレミアムを上乗せし C$4.5/ 株 ( 総額 C$4 億 3,400 万 ) で全発行済み株式の 3 分の 2 以上を 2011 年 1 月 18 日までに取得する内容の TOB を実施した 本件については 政府も同年 12 月 Investment Canada Act に基づいて 調査する内容ではない との判断を示したため BHP Billiton の時のような問題は発生しなかった その後 2011 年 1 月 19 日に K+S が Potash One の全株式の 81% を取得し TOB が成功したと発表した 更に 2 月 7 日には 90.9% まで買い進めたことを明らかにしている ( 出典 )Potash One The Legacy Project Feasibility Study Summary 図 1.6-7 Legacy プロジェクトの位置 K+S が Potash One を買収した背景には Potash One が買収提案される僅か 12 日前 - 32 -

に 同社が進める Legacy Project の環境影響評価が Saskatchewan 州環境相より承認を得られたことがあるとみられる 同プロジェクトでは 最速で 2015 年には塩化カリウムを生産することができ 最大で 270 万トン / 年の製造規模にすることが可能だとされる 4まとめカリ事業においては 従前より PotashCorp. という圧倒的な存在がおり 寡占化が進んでいた そして 今後世界の人口の増加に伴い 食糧需要が拡大していくため 肥料需要も右肩上がりであるとみられること 資源関連企業がその高騰を背景に資金を増やし 新規投資先を探していること 国によっては政府が再編を後押ししていることなどから 近年その再編が更に進むことになった 一方 Sinochem や CNOOC といった 中国の大手企業による買収合戦参画の可能性も方々で報じられており 今後更に大型再編が起こる可能性もあるなお 中堅企業が IPO や増資によって資金を調達し 南米やアフリカでを行うケースも多くみられており 新たな資源獲得競争も加熱して行くと考えられる - 33 -