図1 腕頭 静脈 角 リンパ節 腕 頭 動 脈 と左 右 腕 頭 静 脈 の つ く る角 に リ ンパ 節 が あ り, そ こ か ら 出 た リ ン パ 管 が 右 静 脈 角 に 向 か っ て い る 略 符 号 AA:大 動 脈 弓, AZ:奇 静 脈, BC:腕 頭 動 脈, CC:総

J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc. Vol. 50 No. 2 Topographic Anatomy of the Lymphatics of the Trachea and Esophagus Tatsuo Sato, M.D. Department of Anatomy, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo In function-preserving operations of the esophagus and lung, it is crucial to have a precise knowledge of the mediastinal and deep cervical lymphatics and their relationships to surrounding structures. The lymphatics of the mediastinum and neck, which are associated with the esophagus and run along the trachea, were dissected in detail in several anatomical specimens. The actual photographs taken during the dissection are included for a more complete understanding of the intricate topographical relationships. Although there are numerous transverse connections, the mediastinal lymphatics can be roughly divided into two major ascending pathways: the right and the left. Each pathway can then be subdivided into a superficial pathway along the major blood vessels and a deep pathway along the trachea and esophagus. Various deep right ascending pathways are shown to illustrate the problem of the differing levels at which lymph vesseles leave the paratracheal nodes to reach the right venous angle. Further, the brachiocephalic node group is discussed as the critical intermediary nodes between the superficial and deep pathways. Numerous deep left pathways are also dissected from the left tracheobronchial nodes. Some lymphatics ascend along the left recurrent nerve to finally reach the left venous angle, while some pathways traverse to the right side. Still other pathways directly connect to the thoracic duct.

図1 腕頭 静脈 角 リンパ節 腕 頭 動 脈 と左 右 腕 頭 静 脈 の つ く る角 に リ ンパ 節 が あ り, そ こ か ら 出 た リ ン パ 管 が 右 静 脈 角 に 向 か っ て い る 略 符 号 AA:大 動 脈 弓, AZ:奇 静 脈, BC:腕 頭 動 脈, CC:総 頸 動 脈, DA:動 脈 管 索, E:食 道, IJ :内 頸 静 脈, ITH:下 甲状 腺 動 脈, LB:左(主)気 管 図2 大 動 脈 弓 リ ンパ 節 の 上 群 左 総 頸 動 脈 の起 始 部 付 近 に大 き な リ ンパ 節 が 認 め ら れ る(大 動 脈 頸 動 脈 前 リ ンパ 節) 左 肺 か ら 出 た 浅 い 支, LBC:左 腕 頭 静 脈, OH:肩 甲 舌 骨 筋, PA:左 肺 動 脈, PH:横 隔 神 経, PT:肺 動 脈 幹, RB:右 (主)気 管 支, RBC:右 腕 頭 静 脈, RC:反 回 神 経, SC :鎖 骨 下 動 脈, SCV:鎖 骨 下 静 脈, SM:顎 下 腺, SVC:上 大 静 脈, SY:交 感 神 経 幹, TD:胸 :甲 状 腺, TR:気 管, VA:静 脈 角, VV:椎 X:迷 走 神 経, JO:頸 :鎖 骨 上 リン パ 節 リ ン パ 管 が こ の リ ンパ 節 を経 て, 沿 っ て 上 行 し, 左 静 脈 角(ピ い る 管, TH 骨 静 脈, また 左 迷 走 神 経 に ンヘ ッ ド)に 向 か っ て 静 脈 肩 甲 舌 骨 筋 リンパ 節, SC 脈 弓 と上 大 静 脈, お よび そ れ らの枝 の 前 に位 置 す る リ ンパ 節 群(血 管 前 リ ン パ 節prevascular nodes)で あ る 右 中 間 左 の3群 に大 別 され る 1)腕 頭 静 脈 角 リ ンパ 節nodes nominate angle(右 of the in- 群) 左 右 の腕 頭 静 脈 の合 流 部 付 近 の リンパ 節 群 で あ る(図1) の 三 角(腕 腕 頭 動 脈 と左 右 腕 頭 静 脈 との 間 頭血管三 角 仮 称)を 管 の 右 半 に突 き 当 た るの で, 奥 に入 る と気 この リンパ 節 群 は 気 管 の リ ンパ 節 と連 絡 を持 つ こ とが で きる ま た リ ンパ 節 が 内頸 静 脈 終 末 部 付 近 まで 延 び 出 し て い れ ば, 右 反 回神 経 に接 近 す る し, 右 静 脈 角 を至 近 の距 離 に望 む こ とが で き る 2)大 動 脈 弓 リ ン パ 節lymphonodi aortae (Kutsuna)(左 図3 動脈 管索 リンパ節 動 脈管 索 よ り前(心 臓 側)の 大 動脈 弓 を除去 した 動 脈管 索 のす ぐ左(図 の右 手)に 動脈 管 索 リンパ節 が見 えてい る 動脈 管索 のす ぐ右 に左気 管気管 支 リ ンパ 節が あ る 気管 の左 縁 を上 行 す る左 反 回神 経 と 左気 管傍 リンパ 節が 明 らか であ る 食道 の左側 には 胸管 が見 えて お り, 左気 管気管 支 リンパ 節 か らの リ ンパ 管が 注い で いる arcus 群) 大 動 脈 弓 の 前 面 で, ほ ほ左 総 頸 動 脈 起 始 部 と 動 脈 管 索 を結 ぶ 線 上 に並 ぶ リ ンパ 節 群 で あ り, 上 下2群 に再 区分 され る 上 群 は 大 動 脈 頸 動 脈 前 リ ンパ 節 群 と もい い(図2), そ の 左 端 に位 置 す る リ ンパ 節 は, 左 鎖 骨 下 動 脈 起 始 部 の や や外 228

図5 図6 図7 図5 気管 右縁 の リンパ 節群 右側 か ら進 入 して, 図4のBarety区 画 の リンパ 節群 と右迷 走神 経 を示 した 迷 走神 経 よ り前 方 の リンパ 節 は 気管 に, 後 方 の リンパ節 は食 道 に それ ぞれ親 和性 が高 い 前後 の リンパ節 の 間 には神経 を横切 って連絡 が あ る また鎖 骨下 動脈 の す ぐ下 に大 きな リンパ節 が認 め られ る 図6 気 管右側 の大 きな リンパ節 左腕 頭静脈 を切 り, その右側 片 を裏返 して ピンで とめた また腕 頭 動脈 も切 り, 上 片 を挙上 した 腕頭 動脈 起始部 の右側 に大 きな リンパ 節 が あ り, その下端 は奇 静脈 弓状 部 の内側 まで 下が って い る この リンパ 節 か ら出た リンパ 管(上 向 きのア ローヘ ッ ド)は 迷 走神 経 の外側 を上行 して静脈 角 に向か っ てい る 図7 右 反 回神 経 ルー プ に接 した リンパ節 右迷 走神 経本幹 を切離 し, 総 頸動 脈 もはね上 げて反 回神 経ル ー プのす ぐ後 に位置 した リンパ 節( 印)を 示 した この リンパ 節 は縦隔 で最 も高 い リンパ 節 に属 す る 輸 出 リンパ管 は下 甲状 腺動脈 に沿 って弓状走 行 を とり静脈 角 に向 か ってい る 迷 走 神 経 か ら分 か れ た 反 回神 経 が 前 か ら後 方 へ 気 管 傍 リンパ 節 は 気 管 の 側 面 に位 置 を とっ て お り, 食 道 と直 接 に 接 触 す る もの で は な い し 回 り込 む と ころ で も あ る この よ う に動 脈 の 後 回 神 経 に沿 う リ ンパ 節 鎖 に 連 続 す る こ と に な か し, 食 道 とは 指 呼 の 間 に位 置 し, 食 道 の リ ン パ 管 を十 分 に受 け る とい っ て よい と くに リ ン る この リ ンパ 節 は縦 隔 の右 側 で 最 も高位 の リ パ 節 が 後 方 へ 寄 る上 部 で は, 食 道 か ら発 す る リ ンパ 節 で あ り, しか も静 脈 角 に近 接 して お り, ンパ 節 を検 出 す る こ とが で き る(図5) 方 に 入 り こん だ リンパ 節(図7)は, 頸部の反 2)左 しば し ば最 終 的 な リンパ 節 と し て重 視 され る 気 管 傍 リ ン パ 節left nodes(左 反 回 神 経 の み な らず 迷 走 神 経 の本 幹 も位 置 関 paratracheal 群) 係 と し て重 要 で あ る 鎖 骨 下 動 脈 の 前 面 を通 っ 気 管 の 左 側 は 大 動 脈 弓 の圧 迫 を受 け る した た本 幹 は肺 根 の 後 ろ に入 り込 む た め に, 下 行 に が って 左 気 管 傍 リンパ 節 は右 側 ほ ど発 達 が よ く 際 しや や 後 ろへ 傾 き な が ら気 管 の側 方 を走 る した が っ て, 全 体 と して 後 ろへ 傾 きな が ら上 行 な い この リンパ 節 群 は左 反 回神 経 に沿 っ て並 び, す る 気 管 傍 リ ン パ 節 鎖 と交 叉 す る こ と に な る 反 回 神 経 リ ンパ 節 鎖 と もい う(図8> (図5) 気 管 との密 着 度 は リンパ 節 鎖 の ほ うが 反 回 神 経 自 身 の 走 向 の 理 解 が 大 切 とな る 気 管 と食 道 の間 に つ くられ る気 管食 道 溝 は, 左 側 で 強 く, 迷 走 神 経 本 幹 が全 体 と して リンパ 節 鎖 よ そ こで 左 り も外 側 に 位 置 して お り, 言 い か えれ ば側 方 か は, 気 管 が や や 右 へ 偏 在 して い るた め前 外 側 へ ら進 入 した とき に神 経 が さ き に み えて くる 開 いた 溝 とな って お り, この溝 を上 行 す る左 反 230

図8 図9 図10 図8 気 管左 縁 で反 回神 経 に沿 う リンパ節 群 動脈 管索(ピ ンヘ ッ ド)よ り手 前(心 臓側)の 大動 脈 弓 を除 去 した 左迷走 神経 と反 回神 経 と上 下 の 甲状 腺 動脈(黒 い ア ローヘ ッ ド)が 見 えてい る 左 反 回神 経 のす ぐ前方 に リンパ 節が鎖 状 に連 な ってい る 図9 気 管分 岐部 リンパ節 心臓, 心 膜, 大動 脈 弓の近 位部 等 を とりはず したの で, 気 管分岐 部が 見 えて い る 左 右 の(主)気 管 支(LB とRB)に は さまれ て食 道(E)の 前 に大 きな三角形 の気管分 岐部 リンパ節 が見 えてい る また符号RBの す ぐ上 方 に右気 管気 管 支 リンパ節 が あ り, こ こか ら出 た太 い リンパ管 が直接, 右 静脈 角へ上 行 してい る 図10 深頸 リンパ節 胸鎖 乳 突筋 を取 り除 き, 舌骨下 筋 を露 出 した 頸 神経 皮枝 が 白い索状 物 として残 って い る 内頸静脈 の外側 縁 に沿 って深 頸 リンパ節(内 頸 静脈 リンパ 節鎖)が 剖 出 され てい る 肩 甲舌骨 筋 と交叉 す る とこ ろに大 きな リンパ 節(頸 静 脈肩 甲舌骨 筋 リンパ節)が あ り, また下方 で右静 脈 角の 間 に鎖 骨上 リ ンパ節 が剖 出 されて い る ganglions interaortico-(esophagiens, 傍 リ ン パ 節ganglions 線 静 脈 で あ る内 頸 静 脈 に沿 っ て縦 に連 な り, 頸 (3)大 動 脈 juxta-aortiquesと 部 で の最 大 の リンパ 節 鎖 を形 成 す る(図10) 頭 呼 ぶ 頸 部 の リ ンパ 管 の 大 半 を受 け入 れ る 重 要 な リン パ 節 群 な の で, い くつ か に再 区分 して 考 え るの の で あ る(Rouviere) II. 深 頸 リ ン パ 節 深 頸 リ ン パ 節deep の 気 管 前 葉(中 が便 利 で あ る cervical 頸 筋 膜)と nodesは 椎 前 葉(深 縦 に長 い こ の リ ンパ 節群 を横 割 りす る 目印 と 頸筋膜 して は, 内 頸 静 脈 の表 面 に接 して交 叉 す る肩 甲 頸 筋 膜) の 間 の 空 間 に 収 ま っ た リ ン パ 節 群 で あ る と把 握 舌 骨 筋 が 選 ばれ, し て お け ば よ い こ の 空 間 は 内 臓 と 太 い 血 管 の 占 拠 部 で あ り, 深 頸 リ ン パ 節 は 前 群 と 外 側 群 に 下 に 分 け るの が 通 例 で あ る(図8) 縦 割 りに つ い て は, 内 頸 静 脈 に 沿 わ ず に そ れ よ りも後 外 側 分 け ら れ る で後 頸 三 角(外 側 頸 三 角 部 と もい う 胸 鎖 乳 突 a. 外 側 深 頸 リ ン パ 節lateral deep cervical この 筋 に よ り リ ンパ 節 群 を上 筋, 僧 帽 筋, 鎖 骨 に囲 まれ た三 角域)に 散 らば った リンパ 節 の取 り扱 い方 に よっ て 異 な っ て く nodes こ の リ ン パ 節 は 通 常, 単 に深 頸 リンパ 節 と呼 る 1つ は 内 頸 静 脈 に沿 う もの を 内側 群 と し て, 前 深 頸 リ ンパ 節 は単 に 前 頸 そ の 他 を外 側 群 とす る分 類 で あ る(Bartels) ほ リ ン パ 節 とい う) こ の リ ン パ 節 群 は, 頸 部 の 幹 か は, 後 頸 三 角 の リンパ 節 群 は別 に扱 い, この ば れ る(そ の 場 合, 232

b. 前深 頸 リンパ 節anterior deep cervical nodes 単 に前 頸 リンパ 節 と呼 ば れ る こ とが 多 い こ の リ ンパ 節 は舌 骨 下 筋 の後 ろ で 頸 部 の 内臓 に 接 して 存 在 す る の で, 内臓 傍 リ ンパ 節juxtavisceral nodesと して 理 解 され る(図11) 内臓 の 前 面 の 狭 い空 間 に あ る小 型 の リ ンパ 節 群(正 中群) と側 方 の気 管 と食 道 の 間 の溝 の 中 に み られ る群 (外側 群)と に分 け られ る 正 中群 は 高 さ に よ り舌 骨 下, 喉 頭 前, 甲状 腺, 気 管 前 な どの 数 群 に再 区別 され る 外 側 群 は頸 部 の 気 管 傍 リ ンパ 節paratracheal nodesに 相 当 す るが, 気 管 と食 道 の 溝 を上 行 す る反 回神 経 に沿 うの で, 反 回神 経 リンパ 節(鎖)recurrent nerve chainと 図11 頸部 気 管 に沿 う リンパ 系 右側 の頸胸 移行 部 で大 きな血 管 を切 り気管 の前 外側 面 を露 出 した 腕頭 静脈 角 リンパ節 と連絡 した右気 管傍 リンパ節 か ら出 た リンパ管 が気 管 の右 前外 側面 に沿 って上が り, 甲状 腺下 縁 の付近 で下 甲状 腺動脈 に並行 して弓状走 行 を とり静脈 角 に向か ってい る もい う この リンパ 節 は, 下 方 で は胸 部 の 気 管 傍 リ ンパ 節 に連 続 す る一 方 で, 外 側 で は, 頸 動 脈 鞘 の後 ろ を通 る リ ンパ 管 を介 し て 静脈 角 付 近 の鎖 骨 上 リンパ 節 に連 な っ て お り (図11), 縦 隔 の リ ンパ 系 を静 脈 角 へ 導 く深 い 経 路 と して 重 要 で あ る III. 上 行 リ ンパ 経 路 三 角 を横 切 る代 表 的 な血 管 神 経(副 神 経 と頸 癌 手 術 を行 う に は, 所 属 リ ンパ 節 の連 な り, 節 とい う名 称 を与 え て分 離 し, 内頸 静 脈 に沿 う な ら び に周 囲 との 位 置 関係 につ い て詳 し く正 し い知 識 を持 つ こ とが 不 可 欠 で あ る こ こで は気 横 動 脈)に 準 じて 副 神 経 リ ンパ 節 と頸 横 リンパ リ ンパ 節 を独 立 さ せ て 内 頸 静 脈 リ ンパ 節(鎖) 管 分 岐 部 よ り上 方 の気 管 食 道 の上 行 リンパ 経 internal jugular chainと す る 内 頸 静 脈 リンパ 路 に つ い て, 概 要 を述 べ る 節 は さ ら に静 脈 の 外 側 面 と前 面 の い ず れ に沿 う か に よ り, 外 側 群 と前 群 に分 け られ る(Rouvi- 食 道 の リンパ 系 は気 管 の リンパ 系 と結 び つ き が 強 い う え に, 前 者 よ り後 者 が は るか に発 達 し ere) て い る し た が っ て気 管 の リンパ 系 か ら左 右 の 下 群 は鎖 骨 の 上 方 に位 置 す る こ とか ら鎖 骨 上 リ ン パ 節supraclavicular nodesと 静 脈 角 に 至 る標 準 的上 行 経 路 とそ の 変 異 を明 ら も呼 ば れ か に す る こ とが 大 切 と な る 気 管 の 沿 線 と大 血 る この リ ンパ 節 群 の特 徴 は静 脈 角 に極 め て近 管 の位 置 す る前 縦 隔 の 問 に は多 くの 連 絡 路 が あ い 位 置 を と る こ とに求 め られ る 鎖 骨 上 リ ンパ り, い った ん前 方 に出 て 静 脈 角 に 向 か う浅 い経 節 は上 群 か らの 輸 出管 は も とよ り, 甲状 腺 な ど 路 も考慮 に入 れ な けれ ば な らな い 上 行 経 路 は 頸 部 の 内 臓 の リ ンパ 管, 咽 頭 気 管 食 道 胸 左 右 に大 別 さ れ るが, それ ぞ れ浅 深 に分 け て考 腺 か ら起 こる リ ンパ 管, 腋 窩 リ ンパ 節 の輸 出管, え る必 要 が あ る(図12)3) a. 右 経 路 ま た浅 頸 リンパ 節 か らの リ ンパ 管 を収 め る こ と が 可 能 で あ る 鎖 骨 上 リ ンパ 節 の輸 出 管 は短 い 縦 隔 の 上 部 で は, 腕 頭 動 脈 が 気 管 の 前 面 か ら 頸 リ ンパ 本 幹 を っ く り, 鎖 骨 下 リ ンパ 本 幹(鎖 右 側 面 に接 して斜 め に横 切 り上 行 リンパ 管 の走 骨 下 リ ンパ 節 の輸 出 管)と 路 を遮 っ て い るの で, 右 経 路 は この 動 脈 を乗 り 合 し, 右 側 で は静 脈 角 に 注 ぎ, 左 側 で は直 接 また は胸 管 に合 流 した 越 え るか く ぐ るか の 違 い に よ り浅 深2系 られ る の ち静 脈 角 に入 る 1)浅 233 に分 け 経 路 の キ ー とな る中継 リンパ 節 は腕 頭

ち, 外 側 へ 回 り下 甲状 腺 動脈 に沿 っ て頸 動脈 鞘 の 後 ろ を 通 り静 脈 角 へ 向 か う場 合 もあ る(図 7) この よ う に右 深 経 路 が 静 脈 角 へ 向 か う高 さ は種 々 で あ る b. 左経 路 右 側 の腕 頭 動 脈 に相 当 し て上 行 リ ンパ 管 の 走 路 を妨 げ る もの は大 動 脈 弓 で あ る 1)浅 経 路 と して は, 大 動 脈 弓前 面 の リンパ 節 か ら起 こ り, 左 腕 頭 静 脈 の後 ろ を通 り静 脈 角 へ 向 か う リンパ 管 が 存 在 す る 2)深 経 路 は大 動 脈 弓 の 圧 迫 を 受 け る た め か, 右 側 ほ ど発 達 が よ くな い 左 気 管 気 管 支 リ ンパ節 か ら 出 た リ ンパ 管 の 一 部 は, 大 動 脈 弓 と 交 叉 す る手 前 で 右 側 へ 流 れ て し ま う傾 向 が あ 図12 縦 隔 リンパ節 の左右 お よび浅 深上 行路 気 管 を また ぐ大 血管群 を切 り取 り, 上行 リンパ系 を 模型 的 に示 した 縦 隔の上 行 リンパ 系 は左右 に大別 され, お のおの が大血 管 に沿 う浅群 と気 管沿線 の深 群 に分 け られ る 静 脈 角 リ ンパ 節(図1)で る 左 側 を上 行 し続 けた リ ンパ 管 は頸 部 へ 達 す る と左 方 へ 方 向 を転 じ, 反 回神 経 お よ び交 感 神 経 幹 と交 叉 した の ち, 静 脈 角 の リンパ 節 また は 胸 管 に 流 入 す る c. 左 腕 頭 静 脈 の 上 縁 に沿 っ て 気 管 を また ぐ 左 右 の 連 絡 リ ンパ 管 も しば しば剖 出 され る の で あ る 左 右 の腕 頭 静 脈 の合 流 角 と腕 頭 動 脈 との 問 は気 管 の右 縁 か ら 注 意 を必 要 とす る 前 縦 隔 に抜 け る三 角 隙 で あ り, 重 要 な連 絡 路 と して 把 握 して お く必 要 が あ る 腕 頭 静 脈 角 リン パ 節 か ら 出 た リンパ 管 は右 腕 頭 静 脈 に沿 っ て右 本稿 は, 1998年l1月5日 に神 戸市 で開催 された第 50回 日本気 管食道 科 学会総 会 の学術講 演会 にお いて 頸部 気管 食道 の手術 に必 要な局 所解剖 と題 し 静 脈 角 へ 到 達 す る て行 った特別 講演 の内容 を, リンパ 系 を中心 に ま と めた もの であ る 講 演の機 会 を与 えて下 さった会長 の天津 睦郎教 授 に深 謝 いた し ます 2)深 経 路 は終 始 気 管 の 側 方 に沿 う上 行 路 で あ り, これ まで 食 道 癌 手 術 で 最 重 要視 され た 経 路 で あ る 右 迷 走 神 経 反 回 部 リンパ 節(最 上 縦 隔 リ ンパ 節)(図7)が 文 静 脈 角 へ 到 達 す る直 前 の 1) Rouviere, H. : Anatomie des lymphatiques de l'homme, Masson, Paris, pp. 168-189, 1932. 2) Perlemuter, L., Waligora, J. : Cahiers d'anatomie, 3rd ed, Vol. 6, Masson, Paris, リ ンパ 節 とな る場 合 の ほ か に, 右 気 管 気 管 支 リ ンパ 節 か ら直 接 に(図9), また 腕 頭 動 脈 下 外 側 縁 と交 叉 す る高 さ で右 気 管 傍 リ ンパ 節 か ら長 い リンパ 管 が 出 て 静 脈 角 へ 走 る こ と も少 な くな い (図6) 献 1976(佐 藤 達 夫 高 橋 孝 訳;臨 床 解 剖 学 ノ ー ト 胸 部 編, p.144, 中央 洋 書, 1984). 3)佐 藤 達 夫:消 化 器 の 局 所 解 剖 学:食 もち ろ ん頸 部 まで 気 管 傍 リンパ 節 鎖 が 上 行 し て 頸 部 の 反 回 神 経 リ ンパ 節 に達 した の p.95, 234 金 原 出版, 東 京, 1993. 道 胃,