STAR Japanese Conference 2016 JMAG と STAR-CCM+ の双方向連携による金属誘導加熱解析 2016 年 6 月 10 日富士電機株式会社生産調達本部ものつくり戦略センター設備技術部設備設計課竹内正樹 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 1
目次 1. 会社 事業紹介 2. 誘導加熱式溶解炉概要と目的 3. 検討内容 4.JMAG と STAR-CCM+ 連携解析について 5. 解析条件 6. 解析結果 7. 相変化 形状変化考慮解析検討 8. 課題 9. まとめ Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 2
1. 会社 事業紹介 社名 富士電機株式会社 資本金 476 億円 2015 年 3 月 31 日現在 設立 1923( 大正 12) 年 8 月 売上高 8,136 億円 (2015 年度 ) 本店 神奈川県川崎市川崎区 営業利益 450 億円 (2015 年度 ) 本社 東京都品川区大崎 連結子会社数 48 社 代表者 代表取締役社長北澤通宏 連結従業員数 ( 国内 22 社 海外 26 社 ) 25,740 名 ( 国内 :17,814 名 海外 :7,926 名 ) Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 3
1. 会社 事業紹介 : 富士電機のコア技術 電気 熱エネルギー技術 を活用し スマートコミュニティ社会の実現に貢献 創エネ エネルギーマネジメント 省エネ 電気 ( 電圧 電流 ) を自在に制御する 火力発電 誘導加熱炉 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 4
1. 会社 事業紹介 : 誘導加熱事業領域 電力 (kw) 10,000 1,000 誘導加熱溶解炉 真空溶解炉 鍛造 押出し 焼入れ 電縫管溶接 薄板加熱 100 IH インハ ータ (2.5~20kW) 過熱蒸気発生装置 電磁調理器 50/60Hz 100Hz 1kHz 10kHz 100kHz 1MHz 周波数 (Hz) 誘導加熱による様々なアプリケーションを提供厨房用 IH 調理ユニットから大型誘導加熱溶解炉まで幅広く展開 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 5
2. 誘導加熱式溶解炉概要と目的 溶解炉概要 耐火キャスタブル継鉄コイル 炉蓋 ライニング材絶縁物 加熱コイル 溶湯 特長 高効率加熱 省エネルギー 第 2アンテナ第 1アンテナプラグ ( オプション ) 溶解炉の高効率化のため シミュレーションを活用 目的 温度依存を考慮した発熱解析 放熱ルートの見える化 電磁界 ( 発熱 ) と熱流体 ( 放熱 ) 相変化を考慮した高精度な温度解析を行う Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 6
3. 検討内容 誘導加熱式溶解炉での金属加熱の流れ 材料加熱 溶解 出湯 誘導加熱コイル 加熱金属 ( 固相 ) 加熱金属 ( 液相 ) 型に流し成型 断熱材 JMAG( 電磁界 ) STAR-CCM+( 熱流体 ) 電磁誘導による発熱 気体 ( 流体 ) による放熱 相変化 双方向連携 熱流体による放熱 相変化による形状変化 ( 融解 ) 混相流 JMAG と STAR-CCM+ を双方向連携させ 時系列温度変化の中で 物性値 相 形状 etc 考慮の高精度な解析を実現 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 7
3. 検討内容 温度 [ ] 今回の検討範囲 加熱金属の温度プロファイル 解析のトライ 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 STEP1 物性値温度依存固相 STEP2 相変化 形状変化固相 / 液相混在加熱時間 STEP3 液相への加熱 + 電磁力 液相 加熱金属温度 融点 キュリー点 キュリー点 磁性金属の磁性がなくなる温度 固相領域での物性値温度依存を考慮した双方向連携の有用性を検討及び相変化 形状変化の解析適用検討 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 8
4.JMAG と STAR-CCM+ 連携解析について JMAG と STAR-CCM+ の双方向連携解析フロー STAR-CCM+ での解析をメインとし JMAG を逐次起動し計算する仕組み 温度分布出力 CSV ファイル 電磁界解析の発熱分布による熱流体解析 STAR-CCM+ 10.04 逐次 JMAG を起動 CSV ファイル 発熱分布出力 多目的ファイル出力 STAR-CCM+ 温度分布 JMAG-Designer 14.0 温度分布を考慮した電磁界解析 物性値の温度依存 JMAG 発熱分布 STAR-CCM+ 側の Java マクロにより自動化 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 9
5. 解析条件 : 解析モデル 1/4 モデルとしてモデル作成 誘導加熱コイル (φ250_9 ターン ) セラミックファイハ 金属 ( 鋳鉄 :FC250) Φ80 100 mm アルミナルツホ ハ ックサント キャスタフ ル 電磁界解析モデル 熱流体解析モデル Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 10
5. 解析条件 : 物性値 ( 鋳鉄 :FC250) 電気 熱物性値温度依存の物性値を使用 導電率 磁化 キュリー点 比熱 比熱の大きな変化 金属組成の変態 比熱が高い 熱伝導率 温度が上がりにくくなる Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 11
5. 解析条件 :JMAG 解析条件 (JMAG) コイル 金属 解析種類コイル電流周波数メッシュ ( 金属 ) 要素サイズ表皮厚さ 周波数応答解析 1300Arms 2.4kHz 3mm 2mm 分割数 10 表皮メッシュを生成 総メッシュ : 約 70 万メッシュ 計算時間 : 約 15 分 ~1.5 時間 (4 コア ) Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 12
5. 解析条件 :STAR-CCM+ 解析条件 (STAR-CCM+) 解析種類 メッシュの種類 発熱条件 非定常解析 ポリヘドラル プリズムレイヤー JMAG よりインポート 輻射あり ( 灰色体輻射 ) 拡大 放射率 0.8 計算ステップ 1s 総メッシュ : 約 60 万メッシュ 計算時間 : 約 30 秒 ~1 分 / ステップ (6 コア ) 金属表皮メッシュと同等のメッシュを生成 ( プリズムレイヤー ) Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 13
5. 解析条件 解析条件 (STAR-CCM+ JMAG 連携 ) 解析タイミング STAR-CCM+:5 ステップ (5s) 毎 JMAG1 回計算 STEP 使用ソフト実行項目 0 STAR-CCM+ 各種設定 1 STAR-CCM+ JAVA 実行 2 STAR-CCM+ 初期温度書き出し 3 JMAG JMAG 立上げ / 温度読み込み 4 JMAG 電磁界解析 ( 発熱量計算 ) 5 JMAG ( 多目的ファイル出力 ) 発熱量書き出し 6 STAR-CCM+ 発熱量読み込み 7 STAR-CCM+ ある時間まで非定常解析 8 STAR-CCM+ 温度書き出し 9 STAR-CCM+ 指定時間で解析完了 Java プログラム 自動実行 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 14
5. 解析条件 : 発熱量マッピング JMAG STAR-CCM+ JMAG から STAR-CCM+ へ容易にマッピング可能 多目的ファイル出力 CSV ファイル フィールド関数 (Interpolate Position Table) Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 15
6. 解析結果 : ワーク温度分布 発熱分布 温度上昇とともに発熱分布が変化 物性値温度依存が考慮された解析が可能 温度分布 発熱分布 金属の温度分布が刻々と変化 表皮厚さが厚くなり発熱部が内部に浸透してくる Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 16
6. 解析結果 : ワーク温度 発熱量 キュリー点で温度上昇が大きく変わる 磁性消失 + 比熱温度依存の影響を反映できている 金属最大 金属中央 磁性消失 ( キュリー付近 : 約 750 ) キュリー点をむかえると発熱量激減 比熱変化 ( 変態点 : 約 830 ) Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 17
6. 解析結果 : 温度実測比較 温度上昇を比較し 解析値と実測値とよく一致 解析誤差最大 +7.6% Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 18
7. 相変化 形状変化考慮解析検討 温度 [ ] 今回の検討範囲 加熱金属の温度プロファイル 解析のトライ 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 STEP1 物性値温度依存固相 STEP2 相変化 形状変化固相 / 液相混在加熱時間 STEP3 液相への加熱 + 電磁力 液相 加熱金属温度 融点 キュリー点 キュリー点 磁性金属の磁性がなくなる温度 加熱金属が融点に達し 溶融していく現象の解析を検討 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 19
7. 相変化 形状変化考慮解析検討 JMAG と STAR-CCM+ の相変化 形状変化を考慮した双方向連携解析フロー STAR-CCM+ 上での形状変化を導電率として表現し連携する仕組み 温度 = 導電率 各要素に導電率を割り当て 要素 導電率分布出力 金属の溶融現象を考慮した熱流体解析 相変化及び混相 ( 固 / 液 ) 流解析 CSV ファイル STAR-CCM+ 11.02 温度分布入力 双方向連携 JMAG-Designer 15.0 CSV ファイル 発熱分布出力 多目的ファイル出力 STAR JMAG 導電率分布イメージ 形状変化を考慮した電磁界解析 溶融形状を導電率で表現 JMAG STAR 発熱分布イメージ STAR-CCM+ と JMAG を連携し 相変化 形状変化を考慮した解析を実現 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 20
7. 相変化 形状変化考慮解析検討 解析条件 (STAR-CCM+ JMAG 連携 ) 解析タイミング STAR-CCM+:10 ステップ (0.01s) 毎 JMAG1 回計算 STEP 使用ソフト実行項目 0 STAR-CCM+ 各種設定 1 STAR-CCM+ JAVA 実行 2 STAR-CCM+ 初期温度 ( 導電率 ) 書き出し 3 JMAG JMAG 立上げ / 温度読み込み 4 JMAG 電磁界解析 ( 発熱量計算 ) 5 JMAG ( 多目的ファイル出力 ) 電流密度 / 磁束密度書き出し 6 STAR-CCM+ 電流密度 / 磁束密度からシ ュール発熱密度とローレンツ密度に換算 7 STAR-CCM+ ある時間まで非定常解析 8 STAR-CCM+ 温度 ( 導電率 ) 書き出し 9 STAR-CCM+ 指定時間で解析完了 Java プログラム 自動実行 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 21
7. 相変化 形状変化考慮解析検討 溶融する現象を STAR-CCM+ と JMAG を連携することで再現可能 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 22
8. 課題 JMAG と STAR-CCM+ の計算時間 STAR-CCM+ の計算時間 : 約 30 秒 ~1 分 / ステップ JMAGの計算時間 : 約 15~30 分 / ステップ 約 1.5 時間 / ステップ STAR-CCM+ JMAG 連携条件 非定常解析 ( タイムステップ 1 秒 ) 5 秒おきに 1 回 JMAG の計算 計算時間の約 8~9 割以上は JMAG の計算 課題 JMAG の計算時間の短縮 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 23
9. まとめ まとめ JMAG と STAR-CCM+ の双方向連携により解析することにより 材料の温度依存を考慮した解析への有用性を確認した JMAG STAR-CCM+ 間の連携解析には Java マクロを使うことで自動化できスムーズに行える 相変化 溶解を考慮した双方向連携解析が可能である 今後の課題 電磁界解析の解析時間短縮 JMAG でのメッシュ 境界条件の最適化 相変化 溶解を考慮した双方向連携解析での実機検証 Fuji Electric Co., Ltd. All rights reserved. 24
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