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バイオトラック (BioTrak TM ) リアルタイム浮遊菌カウンター 新手法と従来法の粒子捕集効率 アプリケーションノート CC-104 翻訳 : ニッタ株式会社クリーンエンジニアリング事業部技術部モニタリング課 1. はじめにバイオトラックリアルタイム浮遊菌カウンター ( 以降 BioTrak と表記 ) は 気中の全浮遊粒子数と その内の浮遊生菌粒子数を測定する計測器である さらに BioTrak には粒子捕集用フィルターが搭載され 光学的に検出された粒子の事後の菌種分析が可能である BioTrak には TSI 社の粒子計測理論 計測器開発 校正に関する経験をもとにした実証済みの技術が採用されている 図 1 に BioTrak の主要な構成を示す 図 1 Components of the BioTrak Real-Time Viable Particle Counter 1

このアプリケーションノートでは BioTrak の各測定ステージにおけるエアロゾルの捕集と粒子捕集効率の課題 及びそれらのアクティブエアサンプラーのような他の方法との関連性について記述する 浮遊菌計数器や 他のクリーンルーム用粒子計数器を適用し 逸脱の根本原因を特定して最終的に継続的改善に繋げるには 機器の適切な性能評価を行ない 測定結果を適切に解釈することが重要である 2. 粒子計数器 ( パーティクルカウンター ) 粒子計数部は ISO-21501-4 準拠の気中粒子計数器で TSI 社の AeroTrak ポータブルパーティクルカウンターと同様のものである この ISO 規格に沿って 統計的に高い精度で気中浮遊粒子における清浄度を評価し 高い確率での汚染事象の検知をするためには 大きな測定容量が必要となる それを適切な時間内で実現するためには 高流量が必要となる この測定に関する詳細については アプリケーションノート CC-102 で述べている 3. 粒子濃縮器の粒子捕集効率前述の通り ISO-21501-4 準拠の粒子計数部では高流量が必要となるが 高流量のままでは 浮遊菌検出部で 蛍光の検出のための十分な光強度が得られない それは 浮遊菌の蛍光が散乱光より非常に弱いため ( およそ 10-2 ~10-3 倍 ) 一般的な気中粒子計数器の流量である 28.3 LPM (1 CFM) では 流量が高過ぎるためである したがって 粒子の蛍光を測定可能にするために 特許である高効率慣性粒子濃縮器を使用し サンプル流量を 28.3 LPM から 1 LPM まで落としている それを図 1 に示す 図 2 In a Particle Concentrator, the inertia of larger particles carries them into the lower rate minor flow path, while most of the air is carried off in the higher rate major flow path 2

粒子濃縮器はサンプル流量中の粒子を慣性と空気力学的な力により低流量のサンプル (Minor Flow) と高流量の排気 (Major flow) に分ける 図 2 に示すように 吸引したフローは粒子濃縮部に向かう 微生物など比較的大きな粒子ほど 蛍光検査の対象となる 1 L/min の Minor Flow まで導かれる十分な慣性を持つ 吸引された空気のほとんどは 慣性の小さい粒子とともに 27.3 L/min の Major flow に向かい フィルタリングされ排気される 濃縮器の性能は 粒子がいかに効率良く BioTrak の浮遊菌検出部に送られるかで決まる 濃縮器の粒子捕集効率は Minor Flow と Inlet Flow の同じ粒径での粒子数の比である Minor Flowの粒子数粒子濃縮器の粒子捕集効率 = ( 粒径 Xμmにおける )] Inlet Flowの粒子数 ( 粒径 Xμm) ( 粒径 Xμm) また どんな濃縮器でも 粒子捕集効率は粒径によって変化する 粒子捕集効率と粒径の関係を図 3 に示す 粒子濃縮器は以下の 2 つの特性がある D50 カットポイント : 捕集効率が 50 % となる最小の粒子直径 高捕集効率粒径範囲 : 粒子が小さすぎると慣性が弱まり捕集効率が落ち 逆に粒子が大きすぎても経路中の沈降及び慣性衝突により捕集効率が落ちる その間の捕集効率が高い粒径範囲のこと 図 3 Notional curve of particle concentration efficiency versus particle size. The key characteristicsare the 50% efficiency size, and the efficiency over the midrange of particle sizes 3

ほとんどの浮遊菌は 2~10 µm の粒径であるため 慣性粒子濃縮器がこの粒径範囲で高 い粒子捕集効率を持つことは重要である BioTrak の粒子濃縮器は テキサス A&M 大学 からのライセンスと共同開発による新設計に基づいており 広い粒径範囲で高効率を持つ 4. エアーサンプラーの粒子捕集効率 図 4 に示すのは 代表的なアクティブエアサンプラーである エアサンプラーはそれぞ れ異なる粒子捕集効率を持つ 図 4 Drawing a Typical Active Air Sampler エアロゾル粒子濃縮器の粒子捕集効率が粒径によって変化することは クリーンルームで使用されるすべてのアクティブエアーサンプラーにも言えることである ISO 14698-1 はアクティブエアーサンプラーの物理的 生物的な捕集効率を評価する複雑で実験的な方法について記述している Vellutato (Vellutato 2005) は ISO14698-1 の評価方法の妥当性と 実際に評価を実施する際の難しさについて有益な考察を行ない エアーサンプラーの特性評価の代替法を提案している この評価方法に関係なく 粒径に依存する粒子捕集効率は 空気捕集技術とエアロゾルにもとづく浮遊菌検出器を考えるうえで 重要であるのにも関わらず しばしば見逃されるパラメーターである Yao & Mainelis は 2006 年にアクティブエアーサンプラーについてその効率を評価する試験を実施した 2 つの異なる機器の粒子捕集効率の実験結果が図 5 に示されている 黒四角で示されたデータは サンプラーに吸引された粒子数と捕集媒体上に捕えられた粒子数で比較した捕集効率である この結果からみると 2 つのアクティブエアーサンプラーは性能において大幅に異なる可能性があるということがわかる * バイオトラックは次の特許の 1 つかそれ以上の技術を用いている :6,167,107; 5,701,012; 5,895,922; 6,831,279; 7,261,007 4

図 5 Sample active air sampler data from Yao & Mainelis (2006) test リアルタイム浮遊菌カウンターのデータは 大きく変動することのあるアクティブエアーサンプラーのデータとよく比較される 実現可能で偏りのない評価のためには アクティブエアーサンプラーとリアルタイム浮遊菌カウンターの粒子捕集効率は同様に分析の際に考慮すべきである すべての高流量 (5LPM 以上 ) リアルタイム浮遊菌検出器は 数種類の粒子濃縮器のいずれかを利用している したがって 濃縮技術ごとの捕集性能の粒径依存性の評価と結果に与える影響について理解する必要がある BioTrak の粒子濃縮部は約 60 % の粒子捕集効率を持つ すなわちこれは 浮遊菌検出器は測定対象の約 60 % の粒子を観察しているということである これは確かに偏りを生じさせるが 粒子捕集効率が評価され 結果に与える影響が理解されていれば 使用の妨げにはならない 例えば 粒子捕集効率 60 % の 28.3LPM の検出器は 粒子捕集効率 100 % の 5LPM のサンプラーより単位時間当たりの解析粒子数が多くなる つまり 流量と粒子捕集効率の積で得られる有効測定流量 ( 有効測定流量 = 流量 粒子捕集効率 ) を考慮する必要がある アクティブエアーサンプラーは BioTrak と同程度の標準粒子捕集効率を持つ点では類似性がある しかしながら エアーサンプラーと高流量浮遊菌検出器は異なる D50 カットポイントと粒子捕集効率特性を持つため 科学的な評価と比較をするためには その影響を考慮しなければならない 多くのアクティブエアーサンプラーは ISO14698-1 に基づくバリデーションが実施され 粒子捕集効率の性能評価が行なわれており 通常その情報はメーカーから提供されている 5

5. 生菌捕集フィルター図 1 に示すように BioTrak には捕集フィルターが装備されている 浮遊菌検出器で光学的に解析された粒子と同じ粒子が BioTrak の捕集フィルターで捕えられる 捕集フィルターは非常に高効率で 浮遊菌検出器で解析された粒子のほとんど全てがこのフィルターで捕えることができる このフィルターは光学的に解析された全ての粒子を集めることができ 集めた粒子を種分化分析することができる つまり 捕集フィルターは粒子の定性評価用であり アクティブエアーサンプラーのような定量評価に類するものではない 6. BioTrak 測定系の特性評価下の図 6 は BioTrak の各ステージにおける粒子捕集効率を図によって表したものである この図の左の欄にはステージごとの粒子捕集効率を示す 右の欄は BioTrak の各ステージが一般的な大気塵の粒子径分布に与える影響を示す 粒子径分布の変化は粒子濃縮器の影響によるものが最も大きく よって浮遊菌検出効率にも最も影響する また すべてのエアロゾル装置は異なる粒子捕集効率特性をもつ リアルタイム浮遊菌検出器を評価する際は 被検査器であるリアルタイム浮遊菌検出器と 比較基準となるエアーサンプラーの粒子捕集効率特性の影響を十分に考慮しなければならない 6

図 6 Sampling and Collection Efficiency, and related Particle Distribution throughout the different stages of the BIOTRAK Real-Time Viable Particle Counter. 7

7. 結論新しい技術について評価する際には その装置がどのように動作するかを理解する必要がある TSI は BioTrak リアルタイム浮遊菌カウンターの粒子捕集効率の評価を十分に行なった 更に 有効測定流量 ( 有効測定流量 = 流量 粒子捕集効率 ) の概念を紹介し 浮遊菌測定の効率に対する影響を示した リアルタイム浮遊菌検出器を評価する時 この新しい方法によって得られた結果を従来の方法によるものと比較することはよく行なわれることで BioTrak の場合 アクティブエアーサンプラーによって得られたサンプルを培養し CFU 計数結果と比較されることが最も一般的である 従って 結果を理解するためには 解析において上記の新旧両方法の粒子捕集効率について考慮されなければならない 測定方法ごとの長所短所を理解することで 使用中の従来法との比較に基づく適切な BioTrak の性能評価が行なえ その利点を最大限に活かしたアプリケーションを見出すことができる BioTrak についての詳細な資料についてはニッタ までお問い合わせください ニッタ株式会社 クリーンエンジニアリング事業部技術部モニタリング課 http://www.nitta.co.jp 奈良工場 639-1085 奈良県大和郡山市池沢町 172 TEL 0743-56-9400 FAX 0743-56-4403 本社 556-0022 大阪市浪速区桜川 4-4-26 TEL 06-6563-1235 FAX 06-6563-1265 東京支店 104-0061 東京都中央区銀座 8-2-1 TEL 03-6744-2740 FAX 03-6744-2741 8