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整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

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資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

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ドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業を開始へ

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系統情報の公表の考え方 平成 24 年 12 月平成 26 年 3 月改定平成 27 年 11 月改定平成 28 年 4 月改定資源エネルギー庁電力 ガス事業部 1. 検討の背景 平成 27 年 4 月に電力広域的運営推進機関が発足して以降 旧一般電気事業者等の系統に関する情報 ( 以下 系統情報

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本日の内容 2 一般送配電事業者が電源 Ⅰ の公募調達を行うに当たり 広域機関は 一般送配電事業者が募集量を設定する際の基本となる考え方を示す必要がある 217 年度の調整力公募における電源 Ⅰ 必要量の基本的な考え方について改めて整理したので 電源 Ⅰ Ⅰ 必要量の考え方等についてご議論いただきた

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中国国内需給動向と中露石油ガス貿易

豊田通商株式会社 CSR Report 2011

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接続契約締結先 電源接続案件募集プロセスへの参加の有無 東京電力パワーグリッド株式会社 有 ( エリア名 : 栃木県北部 中部エリア ) 無 工事費負担金 20,000,000 円 ( 税抜き ) 連系工事期間 特定 ( 買取 ) 契約締結先 平成 29 年 9 月 25 日 ~ 平成 31 年 1

Q4. 出力制御を実施した場合 公平に制御されていることは どのように確認出来るのか A. 再エネの出力制御を実施した場合は 電力広域的運営推進機関による妥当性の検証を受けることになっています ( 月単位で 検証を実施 ) なお 九州エリアの離島 ( 壱岐 種子島 徳之島 ) では 既に出力制御を実

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発電単価 [JPY/kWh] 差が大きい ピークシフトによる経済的価値が大きい Time 0 時 23 時 30 分 発電単価 [JPY/kWh] 差が小さい ピークシフトしても経済的価値

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目次 1 本ルールを適用する業務範囲 目的 基本方針 準拠法令等 法令等 大規模地震対策特別措置法 電力広域的運営推進機関送配電等業務指針 法令等に基づいて作成する社内文書

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次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

表 1 小売電気事業者( 新電力とみなし小売電気事業者の総計 ) の平成 29 年 3 月分 販売電力量 ( エリア別 ) 販売電力量合計 ( 単位 :MWh) その他需要 合計 北海道 260,709 1,129,470 1,028, ,749 8,428 2,730,690 東北 1

監視手法に関する調査 分析 我が国の卸電力取引に係る競争状況 不正取引を監視し それを踏まえた対応を検討するための基礎資料として活用するため ( 6) の諸外国の規制当局や取引所に係る調査 分析を行う 調査に当たっては文献 インターネット 各国の規制当局及び取引所の関係者等へのヒアリングを通じ 幅広

資料 3 第 21 回制度設計専門会合事務局提出資料 ~ 卸電力市場活性化に係る事業者ヒアリング ~ 平成 29 年 8 月 28 日 ( 月 )

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仕様書 1 概要 (1) 供給場所茨城県笠間市鯉淵 6528 茨城県笠間市旭町 654 (2) 業種及び用途医療 ( 病院 ) 茨城県立中央病院 茨城県立こころの医療センター 2 仕様 (1) 電力供給条件ア電気方式交流三相 3 線式イ供給電圧 ( 標準電圧 ) 別紙 基本情報一覧表 参照ウ計量電圧

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特集 : 風力発電と電力系統との融和ドイツにおける風力発電の給電データ開示制度と系統運用の現状立命館大学産業社会学部教授竹濱朝美 はじめに本報告は ドイツにおける再生可能エネルギー電源の給電データ (grid data) 開示制度 風力発電と太陽光発電を含めた需給運用の現状を紹介する ( 以下 再生可能エネルギー電源は再エネ 固定価格買取制度は買取制度と略す ) 今回は 50Hertz 送電区域の給電データをもとに系統運用の現状を要約する 50Hertz 送電区域は 2013 年 6 月時点で 12.9GW の風力発電の連系に対し 域内の需要電力は 5.1GW~ 13.9GW と小さい 旧東ドイツ地域と旧西ドイツ地域とをつなぐ連系線が脆弱であるため ドイツの 4 つの送電区域 (50Hertz, TenneT, TransnetBW, Amprion) の中で最も系統運用が厳しい 50Hertz の現状は 北海道など風力発電の系統連系と送電網増強を進めねばならない日本にとって 参考になるであろう 1. 給電データの開示制度 1.1 データ開示の法的根拠電力需給および風力発電と太陽光発電の給電データの開示をめぐるドイツの法規制を示す ( 表 1) 風力給電と太陽光給電について 15 分単位で 24 時間前予測とリアルタイム給電出力 [MW] を送電区域単位で 送電業者が開示する リアルタイム出力は実績ではなく モニター データによる推定値である 電力系統の安定性を維持するための市場介入について 非再エネ電源と再エネ電源の別に 15 分単位で 調整された出力 [MW] 時刻 継続時間 介入理由 介入種類 ( 発電量交換 Redispatch 出力抑制の別 ) 調整をうけた変電所 配電業者名を開示する 需給バランスに関しては 需要電力 垂直ロード 輸出入を 15 分単位で開示する 垂直ロードは 380kV または 220kV 送電網から 110kV 配電網への降圧 配電を正で 配電網から送電網への昇圧 送電 (Negative vertical load: 逆垂直ロード ) を負の値で示す 逆垂直ロードは 送電区域全体として 配電網から送 電網に逆潮流したことを示す 50Hertz 区域の風力設備容量の 9 割は配電網 (110kV 以下 ) に連系しているため 逆垂直ロードは 風力給電が配電網から送電網に逆潮流されたことを意味する 1.2 差別のない系統アクセスと優先給電に対する説明責任法律が送電業者 配電業者に給電データの開示を義務付けるのは 以下の説明責任と透明性 (transparency) を確保するためである 第一に 電力網は系統運用者の資産であると同時に 他の設備では代替できない社会の共通インフラでもある このため 再エネを含む全ての電源に対して 差別のない公平な系統アクセスを与えることが送電業者 配電業者の義務であり その説明責任がある 1 第二に ドイツの系統運用者は 再生可能エネルギー法 (Erneuerbare-Energien-Gesetz: EEG) により 再エネ電源を在来型電源よりも 優先接続 優先給電する 義務 再エネ電源から 技術的に可能な最大量の電気を給電する 義務 再エネ電源の接続のために遅滞なく電力系統を拡張する義務 を課されている 2 第三に 出力抑制に関する透明性の確保である 送電業者は系統安定性を維持するために 必要に応じて 需給調整の介入を行う権限を認められている 3 送電業者はこの出力抑制の適正さ公平さを問われるため 出力抑制の量 (MW および MWh) を 15 分単位で開示している 第四に 買取制度は消費者に分担金を課しているため AusglMechAV( 買取制度費用負担にかかる全国平準化メカニズム実行規則 ) は 送電業者 配電業者に風力発電 太陽光発電の給電 (MW) 電力市場での再エネ電源の当日取引量 出力抑制について情報開示を義務づけている 第五に EU 市場では電力小売りが自由化され 再エネは優先接続であるため 風力発電 太陽光発電の出力状況が在来電源の電力取引量を左右する 火力発電設備の出力上昇速度に 58

は 技術上の制約があるため 24 時間前に風力給電および太陽光給電の予測を公表して 火力発電所の稼働計画に見通しを与え 電力市場の 供給を安定させることが必要である このため 送電業者に 24 時間前に風力発電と太陽光発電の給電予測を開示させている 表 1 電力需給 風力発電および太陽光発電にかかる主要な給電データ開示制度 情報開示項目 風力給電予測 (24 時間前 ) 風力給電リアルタイム推定 太陽光給電予測 (24 時間前 ) 太陽光給電リアルタイム推定 送電区域ごと 15 分単位 [MW] 法律の開示義務は 1 時間単位 出力 現状は 15 分単位で開示 リアルタイム推定は発電実績ではなく モニター機器からの推定 EEX( 欧州電力取引市場 )Spot 市場の当日取引における再エネ電力取引量 1 時間単位 送電区域ごと 全ての種類の再エネ電力の合算値 [MW] 全ての再エネ電力の24 時間前の給電予測値と EEX-Spot 市場での取引実績値 ( 前日取引量 + 当日取引量 ) の乖離量 EEG 流動性 2, AusglMechAV 準備金の利用の有無 1 時間単位 送電区域ごと 全ての再エネ電力の合算表示 [MW] EEG( 再生可能エネルギー法 ) による再エネ電力の認定設備の登録データ (EEG-Anlagenstammdaten) 再生可能エネルギー電源が連系する配電業者または送電業者の 45-49, EEG (Erneuerbare- 名前 風力 太陽光など電源種類 設備容量 [kw] 連系する電 Energien-Gesetz: 再生可能エネル圧水準 コンバインド サイクル併設の有無 系統運用者から出力ギー法 ). 固定価格買取制の法律 ) 抑制の指示を実施するためのリモート コントロール設備の有無 発電開始日 発電設備の所在地 送電網から配電網への垂直ロード (Vertical load) [MW/hour] 年間最大需要 [MW/15 分 ] ロードカーブ [MW/15 分 ] 域内送電線に連系する発電所と配電網からの給電電力 [MW/15 分 ] 風力給電 [MW/hour] 停電回数と停電継続時間 開示を規定する根拠法規 2, AusglMechAV (Ausgleichsmechanismus- Ausführungsverordnung: バランシング メカニズム実施規則 ) 再エネ電力買取費用負担を全国平準化する実施規則 45-49, EEG 2, AusglMechAV 17 Stromnetzzugangsverordnung (StromNZV, 電力ネットワーク接続規則 ) 開示方法 備考 http://www.eeg-kwk.net グラフ エクセル データ CSV データ グラフ エクセル データ CSV データ. http://www.eegkwk.net/de/strommengen.htm http://www.eegkwk.net/de/einspeiseprognose.htm. グラフ エクセル データ CSV データ CSV データ インターネット開示 http://www.eegkwk.net/de/anlagenstammdaten.htm 数値表形式 および CSV データでインターネット開示が義務 送電会社各社のウエブサイトで開示義務 国際送電線の負荷と送電容量 [MW] 連結点等の概要 送電区域ごと 電力系統の安定性を維持するたの市場介入データ 非再エネ電源に対する送電変更 (redispatch) と出力抑制の量 再エネを含むすべての電源に対する出力抑制の量 介入した場所 ( 送電設備 ) 介入の種類 ( 送電変更または出力抑制など ) 影響を受けた配電業者 介入により需給調整を受けた出力 [MW], 介入の時刻と継続時間 (15 分単位 ) リスクのタイプ ( 隘路回避等 ) 介入された配電網設備の開示 17 Absatz 1, Stromnetzzugangsverordnung (StromNZV) 13(1), 13(2), EnWG (Energiewirtschaftsgesetz エネルギー事業法 ). 送電業者には 系統安定性を維持するため 必要な需給調整のための市場介入の権限が認められている 1) 電力網の一部で隘路の発生を回避するために 非再エネ電源に対する送電変更 (redispatch) や出力抑制 ( 13(1)EnWG) これらの方法によっても電力系統の安定性に危険がある場合 2) 再エネ電源を含むすべての電源に対する出力抑制措置 ( 13(2)EnWG) Redistach( 送電先変更 ) のデータ 実施日 実施時刻と継続時間 対象送電区域 実施理由 ( 電流制御など ) 方針( 有効電力削減ま Bundesnetzagentur ( 連邦ネットワーたは有効電力増加など ) 電圧別( 中圧 高圧 ) に制御した出力ク規制庁 ) による指示 [MW] 制御した総電力量[MWh] Redispatch を実施した送電業者とこれを要請した送電業者 Redispatchの影響を受けた発電所名 EEG/KWK-G ( 送電業者 4 社の共通情報開示ポータル ) に開示 CSV データ http://www.eegkwk.net/de/redispatch.htm. バランシング市場 (Balancing Energy または Regelleistung ) の入札結果 リアルタイムの需給の過不足に対応するための予備力の入札結果のうち 2 次予備力 3 次予備力の入札結果と投入量 9 Stromnetzzugangsverordnung (StromNZV) 送電業者の共通情報開示ポータルで開示を義務をづけ (www.regelleistung.net) 注 ) 主に 電力の同時同量の需給バランスに関連する情報項目に絞って 筆者がまとめた 法的開示義務の項目は これ以外にも 電力市場の取引データ ( 価格と量 ) EEG 会計 ( 電力量 [MWh] 集計費用 価格 ) 電気料金の表示方法等の開示義務があるが ここでは省略した 電力データの公表にかかる法的義務の全体については 下記参照 Bundesnetzagentur für Elektrizität, Gas, Telekommunikation, Post und Eisenbahnen(2008) Leitfaden für die Internet-Veröffentlichungspflichten der Stromnetzbetreiber. 59

1.3 自主的情報開示ドイツの送電業者は法定の情報開示に加えて 再エネ電源の給電について自主開示に努力している 50Hertz 社の自主開示を示す ( 表 2) 50Hertz 社では 送電線 1 本 1 本について 1 時間単位で load 送電容量に対する load の比率を開示していることが注目される これは出力抑制に対する説明の一環である 再エネ電源 各送電線のロード 表 2 50Hertz 社の給電データ自主開示 風力 洋上風力 太陽光 バイオマス 水力 地熱の給電電力 15 分単位 [MW] 風力および太陽光は 給電予測とリアルタイム給電推定値 送電線 1 本ごとの load 50hertz 区域の 176 本の各 1 本について ケーブル番号 連結する変電所 隣接区域との連結点 (Tennet および国際送電線 ) load [MW] 送電容量に対する load の割合 (%) 1 時間単位 送電地図上に表示 風力と太陽光は法定開示 再エネ電源の給電のインターフェース グラフ CSV データ 自主開示 送電線地図のインターフェース CSV データ 送電容量に対する load の割合を 50% 以下 = 緑色 50~70%= 黄色 70% 以上 = 赤色で表示 1 時間単位 http://www.50hertz.com/de/ lastflussdaten.htm 基本データ 発電量予測と実績 [MW] 垂直ロード (vertical load)[mw] 管内給電電力 [MW], 負荷 [MW] 市場介入措置 (13(1)EnWG による措置 13(2)EnWG による措置の別に Redispatch, 出力抑制の量 [MW, MWh], 15 分単位 法定開示項目 CSV データ 2.50Hertz 区域の基礎データ 50Hertz 送電系統の概要を示す ( 表 3) ドイツには 4 つの送電業者が存在し 50Hertz は 旧東ドイツ地域の 380kV と 220kV の送電系統 150kV の洋上風力連系線を運用する 110kV 以下の電圧レベルは配電網で 高圧 中圧 低圧の配電網を多数の配電会社が運用する 域内の最大需要 13,963MW 最少需要 5,164MW に対し 風力発電 12.4GW 太陽光発電 7.2GW を連系し 風力発電の 9 割が 110kV 以下の配電網に連系している (2012 年末 ) 4 欧州では EU 指令 (Directive 2009/72/EC) により 発電業と送電業が分離されているため 送電業者は発電事業を行わない 5 域内の送電網 配電網に連系する石炭発電は 12,428MW で 原子力発電は存在しない 4 つの送電業者は再エネ電源を受け入れるため 地域間連系線を最大限に活用して広域系統運用を行っている 風力発電を大量連系するには リアルタイム需給バランス用調整力を十分に確保することが重要である 4 社は 需給調整用調整力 (Balancing Energy: Regelleistung) の調達 ( 入札市場での調達 ) と投入に関する基本的な安全制御システムを統合している 統合された運行システムでドイツ全体の 2 次調整力 3 次調整力の調達と投入を制御している 6 50hertz 区域 表 3 50Hertz 送電区域の概要 (2012 年末 ) 設備容量 [MW] 1) 380/220kV 送電網連系 [MW] 110kV 以下配電網連系 [MW] 参考 ) ドイツ設備容量 [MW] 4) 風力 12,420 1,110 11,260 31,315 太陽光 7,220 4 7,216 32,643 バイオマス 1,530 22 1,508 7,179 水力 160 4 156 4,401 再エネ電源小計 21,410 1,190 20,220 75,546 褐炭 10,608 9,948 660 ハードコール 1,820 1,153 667 天然ガス 4,038-4,038 揚水貯水 2,808 2,430 378 在来電源小計 21,513 13,787 378 50hertz 区域 Max [MW] Mini [MW] 出所 ) 1) 50hertz(2013), Almanach. 2) 50hertz(2012), ロード 2) Kennzahlenより算出. 3) 残余需要 =ロード-( 風力 + 太陽光 ). 13,963 5,164 50hertz, Kennzahlenより算出. 4) ドイツの風力, 太陽光は垂直ロード 2) 9,942-3,370 BMU(2013), Erneuerbare Energien 2012 Daten. ドイツのバイ 風力給電 2) 10,208 0 オマス, 水力はBMU(2012), Zeitreihen zur Entwicklung der 太陽光給電 2) 4,631 0 erneuerbaren Energien in Deutschland 2011. ドイツ再エネ容量は, 風力, 太陽光の2012 年分を2011 年に上積み. 注 ) 風力残余需要 3) 13,369-2,070 設備容量のうち50MWは洋上風力で全て380kV/220kV 送電網 純輸出 2) 3,887-1,891 連系. 60

3. 使用したデータ今回使用したデータは 50Hertz 区域の風力給電予測 (24 時間前 ) 風力給電リアルタイム (Windenergie Hochrechnung) 太陽光給電予測 (24 時間前 ) 太陽光給電リアルタイム (Photovoltaik Hochrechnung) ロード (Regelzonenlast) 垂直ロード(Vertikale Netzlast) 輸出入 需給調整のための介入 (Anpassungen nach 13 EnWG: エネルギー事業法 13 条適用 ) である いずれも 15 分単位の出力 [MW] 送電区域単位 2011 年と 2012 年の 2 年間のデータである 全てのデータは 50Hertz 社ウエブサイトからダウンロード可能である データ欠損値については 欠損が 1 時間以内で前後の状況から延長可能な場合は 直前の 15 分単位の出力データを延長し 1 時間以上の欠損値についてはゼロとした 再エネ設備容量は EEG の登録原簿データを使用した 7 4. 風力給電 残余需要の ramp 輸出の関係ロードが低く 風力給電が多かった 2012 年 1 月 2 日 1 月 9 日について 風力給電と輸出の状況 ( 図 1) 残余需要と輸出を示す ( 図 2) 残余需要 (Residual Load) はロードから太陽光と風力の給電を差し引いた残りを示す 8 輸出 / 輸入の負の値は 純 (net) の輸出である 系統運用は ロードから風力給電と太陽光給電を差し引いた残余需要を 他の再エネ電源 ( 優先接続 ) と在来電源で満たすことになる 2012 年の風力給電の ramp と残余需要の ramp を示す ( 表 4) 12GW を上回る風力発電を連系するため 残余需要の変動は非常に大きい 9 2012 年 1 月 2 日には 7.75 時間に 10,443MW の増加を経験した 残余需要の ramp のほうが風力給電の ramp よりも変動が大きい これは 需要それ自体の変動に加えて 風力発電の出力変動が重なるためと考える 24 時間のうちに経験した風力出力の最大値と最小値の差は 最大 8,353MW であった (4 月 2 日 ) 表 4 の per unit ( 定格出力あたり ramp) の比率 % は 買取制登録データの設備容量に基づく算出で 実際に稼働中の設備容量とは異なる このため 表 4 の per unit の ramp は若干の誤差を含んでいる 残余需要の増加に対応する火力設備の出力増加速度は 電源ごとに技術上の制約を受ける (unit ramp) しかし自由化された電力市場では 当日取引 (1 時間取引 15 分取引 ) において多数の発電業者から調達することで 残余需要の急増を調整できる部分がある この点で 風力と太陽光給電の 24 時間前予測を市場参加者に開示することが安定供給にとって重要である 図 1 風力給電 ロード 残余需要 輸出の状況 (2012 年 1 月 1 日 ~10 日 ) 図 2 残余需要と輸出の変動状況 (2012 年 1 月 1 日 ~1 月 10 日 ) 61

Residual Load Ramp in 50hertz 2012 表 4 風力給電と残余需要の ramp (50Hertz 送電区域 15 分単位 2012 年 ) [MW] in 15 min per unit in 1 hour per unit in 6 hours per unit in 8 hours per unit in 12 hours per unit in 24 hours per unit Wind max up-ramp 1,006 8.7% 2,229 19.3% 6,698 58.0% 7,247 62.7% 8,031 69.5% 9,007 77.9% Wind max down-ramp -975-8.4% -2,147-18.6% -6,397-55.4% -7,145-61.8% -8,034-69.5% -8,572-74.2% Residual load, max up-ramp 2,026 2,751 10,263 10,828 11,199 11,260 Actual load change, of which 1,960 1,543 3,950 4,404 4,723 3,166 Wind feed-in change, of which -66-429 -6,373-6,551-6,538-8,095 Solar feed-in change, of which 0-779 60 127 62 1 Residual load, max down-ramp -2,111-2,807-8,696-9,822-11,170-9,528 1) Wind power capacity in 50hertz, end of 2011: 11,557 MW. 2) 風力給電の24 時間最大値は50hertz 社ウエブサイトによれば9,007MW 5 風力給電 太陽光給電と輸出依存度マスコミ誌上には しばしば次のような日本島国論が登場する ドイツが大量の風力と太陽光を系統連系できるのは 隣国への輸出入で需給調整できるからである 日本は島国で 輸出入による調整はできないため 欧州のような風力発電の大量連系は不可能である 50Hertz 区域が風力給電をどの程度 輸出で調整しているか 輸出依存度を確認する 輸出の多い順に並び替えて 風力給電と比較した ( 図 3 図 4) 風力給電が多い時に輸出も多くなり 2012 年には輸出の最大値 3,887MW の時 風力給電は 5,440MW であった しかし全体としては 輸出は 風力給電よりはるかに少ない 風力給電のうち 同一時刻の輸出分を上回る部分 (Wind-Net Export) をドイツ国内需要に向けられた部分とみれば 風力給電の 70% 太陽光給電の 88% 風力給電と太陽光給電の合計の 75% が国内需要に向けられたと推定する ( 表 5) これは 15 分単位データによる推定である 50Hertz が国内に受 け入れた風力給電の 70% 部分については 日本にも努力をすべき余地があると考える なお 風力給電のうち 50Hertz の域内需要を超える部分は TenneT 区域に送電され その一部は TenneT から国際送電線を経て オーストリーの揚水発電所に貯水されている 10 50Hertz 域内の風力給電と輸出依存度の分析は ドイツ全域の輸出入との丁寧な照合が必要で 今後の課題としたい 輸入については 50Hertz 区域と TenneT 区域の間の連系線容量が限られているため 風力給電が少ない時には 50Hertz 区域は輸入が必要である ただし輸入の規模は小さい 輸出の最大値 3,887MW に対して 輸入の最大値は 1,891MW 年間輸出量 6TWh に対して輸入量 1TWh である 輸入の総時間数は 年間総時間の 27% である (2012 年 ) 輸入量は電力価格によっても変動するため 単純に輸入イコール供給不足を意味しない 50Hertz 社によれば 年間 430 時間程度は 風力給電の不足により 輸入が必要になるという 11 図 3 風力給電と輸出 (2011 年 輸出をプラス表示 ) 図 4 風力給電と輸出 (2012 年 輸出をプラス表示 ) 62

表 5 ドイツ国内需要に向けられた風力発電と太陽光発電の給電量の推定 (50Hertz 区域 2012 年 ) 風力給電量 [MWh] 18,511,758 太陽光給電量 [MWh] 5,128,782 ( 風力 + 太陽光 ) 給電量 [MWh] 23,640,540 風力国内給電量 [MWh] 13,026,279 太陽光国内給電量 [MWh] 4,527,183 ( 風力 + 太陽光 ) 国内給電量 [MWh] 17,735,923 風力国内給電比率 [%] 70.4% 太陽光国内給電率 [%] 88.3% ( 風力 + 太陽光 ) 国内給電率 [%] 75.0% 注 ) 風力国内給電 =( 風力発電出力 純輸出 ) 太陽光国内給電 =( 太陽光発電出力 - 純輸出 ) 15 分単位時刻における風力 太陽光発電 純輸出の出力値により積算電力量を算出 太陽光給電と輸出の相関は ほとんど見られない ( 図 5 図 6) ドイツ北東部の 50Hertz 区域ですら 2011~2012 年の 2 年間で 太陽 光発電の設備容量は 3.6GW から 7.2GW に増加し 太陽光給電の最大値が 1,831MW から 4,631MW に急増したことは 驚くべきである 図 5 太陽光給電と輸出 (2011 年 輸出をプラス表示 ) 図 6 太陽光給電と輸出 (2012 年 輸出をプラス表示 ) 6. 逆垂直ロードと風力給電の関係 50Hertz 域内の 12.4GW の風力発電設備のうち 9 割は 110kV 以下の配電網に連系する 風力給電が増加すると 送電網から配電網への垂直ロードが減少する 残余需要がきわめて少ない時あるいはマイナスの時には 配電網から送 電網への逆垂直ロード ( 昇圧 逆潮流 ) が発生する 垂直ロードがマイナスの時は 域内全体が配電網から送電網へ逆垂直ロードされたことを示す 逆垂直ロードによる電力は TenneT 区域への送電と輸出に向かう ( 図 7) 図 7 クリスマス休暇中の風力給電 残余需要 垂直ロード 輸出 (50hertz 2011) 63

逆垂直ロードと風力給電を比較した 逆垂直ロードは風力給電に対してごく一部であるので 配電網に給電された風力給電の大部分が 110kV 配電網域内で消費されたことを示す ( 図 8 図 9) 垂直ロードの減少および逆垂直ロードの発生は 配電業者 送電業者が風力給電の受け入れに努力していることを示している ドイツ送電網における変電所 および送電網と配電網をつなぐ変電設備 ( 配電業者所有を含む ) のほとんどには 電圧調整可能な tap changer が装備されている 12 こうした送電網システムへの地道なインフラ投資が 逆垂直ロードの受け入れを可能にしている 逆垂直ロードの発生状況を示す ( 表 6) 図 8 逆垂直ロードと風力給電 ( 逆垂直ロード並び替え ) 図 9 逆垂直ロードと風力給電 ( 逆垂直ロード並び替え ) (50Hertz 2011 年 逆垂直ロードを正で表示 ) (50Hertz 2012 年 逆垂直ロードを正で表示 ) 表 6 逆垂直ロードの発生状況 (50Hertz 送電区域 ) 2011 年 2012 年増減率 垂直ロード電力量 ( 送電網 配電網 ) [MWh] 48,241,250 45,560,017-5.6% 逆垂直ロード電力量 ( 配電網 送電網 ) [MWh] -159,375-288,941 81.3% 送電網 配電網の取引量 (a) [MWh] 48,400,625 45,848,959-5.3% 送電網 配電網の取引量 (a) に対する逆垂直ロー ド電力量の割合 [%] 0.3% 0.6% 逆垂直ロード発生時間 [ 時間 ] 174 260 逆垂直ロード最大値 [MW] 2,631 3,370 逆垂直ロードが最大の時の風力給電 [MW] 7,474 7,875 7. 風力給電予測の精度ドイツの送電業者は 送電区域の風力給電と太陽光給電の 24 時間前予測とリアルタイム給電を 15 分単位で開示している 2012 年の給電データから計算すると 風力給電予測の平均誤差 (root mean square error) は 名目出力に対して 3.71% であった 名目出力の 10% 以上の誤差が発生した時間は 年間 603 時間であった ( 表 7 図 10 図 11) 全体として風力予測の誤差は非常に小さい 表 7 風力給電の予測誤差 (24 時間前 2012 年 50Hertz 送電区域 ) Root mean square error Max Min 風力予測誤差 [MW] 429 4,031-3,404 予測誤差 / 名目出力 [%] 3.7% 34.9% -29.5% 大きい誤差の時間 ( 名目出力の 10% 以上の誤差 ) [ 時間 ] 603 大きい誤差の時間 / 年 [%] 注 ) 2011 年末の風力発電設備容量 : 11,557 [MW] 6.9% 64

予測誤差の最大値が 34.9% 最小値がマイナス 29.5% と誤差の幅が大きいのは 24 時間前予測のためである 実際には 送電会社内部では実時間の直前まで 絶えず予測を更新している ( 非公開 ) 送電会社へのヒアリングによれば 24 時間前予測では一定の誤差が残るが 1 時間前予測では誤差はきわめて小さく 風力予測は信頼性が高いという 13 最新の風力予測に基づいて 24 時間前予測の誤差を当日市場の電力取引で調整し 当日市場の締切後は リアルタイムの調整力 (Regelleistung) で調整する 50Hertz 社によれば 24 時間以下の予測精度は 風力給電予測で 2~4%(root mean square error) 程度という 14 50Hertz 社によれば 風力給電予測は IWES Eurowind など 5 つの外部組織から提供される予測を 50Hertz が経験に基づき加重平均して利用する これら 5 社による予測は 1 空間的にはドイツ全土 50Hertz 区域 配電業者地域の別 2 予測期間で 120 分 8 時間 3 予測更新は 1 日 2 回更新 15 分更新 毎分更新などの各種の予測がある 図 10 風力給電予測の誤差率 図 11 風力給電予測の誤差 (24 時間前 root mean square error 50Hertz 区域 2012 年 ) (24 時間前 50Hertz 区域 2012 年 ) 8. 系統安定性維持のための介入 出力制限 8.1 需給調整のための介入 出力抑制の順序 経済補償風力給電が多い時には 電力網の地域的混雑や過負荷リスクを回避するため 需給調整が必要になる 重要な問題であるので 需給調整の条件 出力抑制の順序 経済的補償の条件について 法規定を要約する 各々の管理区域において 電力系統の安全性と信頼性に危険がある場合 送電業者は 送電網に直接 間接に連系する発電設備 蓄電設備等に対して介入を行う権限を認められている ( 13, EnWG) 介入は 次の順序に従い実施する 1 系統運用措置 例えば Redispatch( 給電発電所の変更 )( 13(1)-1,EnWG) 2 市場的措置 例えば 需給調整用調整力 (Regelleistung) の投入 事前の契約に基づく切り離し可能または接続可能な負荷の活用 契約に基づく在来電源に対する出力抑 制 ( 13(1)-2,EnWG) この場合 在来電源に対する出力抑制には 契約に基づく補償を行う 上記の方法で系統の混雑や過負荷リスクを除去できない場合 全電源に対する出力抑制 ( 下記 3 と 4) を行う 3 在来電源に対する出力抑制 ただし系統安定性を維持する必要最低限の出力 (must run capacity) は維持したうえで それ以外の在来電源を最低限まで抑制する ( 13(2),EnWG) この場合 在来電源に対する出力抑制には経済的補償は無い 4 再エネ電源 ( 名目出力 100kW 以上 ) に対する出力抑制 系統の過負荷 (grid overload) の場合 隘路リスク (grid bottleneck または Netzengpass) を回避するために 再エネ電源に対しても出力抑制を行う ( 13(2),EnWG と 11(1), EEG の連結運用 ) この場合も 送電 配電業者は 再エネ電源から最大限の給電をしなければならないが 系統安定性に必要な最低限の在来電源 65

の出力は維持する ( 11(1), EEG) 前記 4 の再エネ電源への出力抑制が 隘路 (Netzengpass) リスクを回避するための場合 系統運用者は再エネ電源事業者の損失収入の 95% を補償する 隘路リスクを理由としない出力抑制には 経済補償は無い 再エネ電源事業者の損失収入が年間収入の 1% を超える場合は 損失収入の 100% を補償する ( 12(1),EEG) 系統運用者は 再エネ電源に対する出力抑制ついて データによる説明責任がある 具体的には 出力抑制の日時 範囲 継続時間 理由 出力抑制の必要性の証明について 説明する責任がある ( 11(3),EEG) 50Hertz 社では 13(2),EnWG と 11(1),EEG の連結運用による再エネ電源に対する出力抑制の 1 件ごとに 調整を受けた変電設備と配電業者名 調整を受けた出力 [MW] 開始時刻と終了時刻 危険の種類 ( 隘路リスク等 ) 影響を受けた送電業者設備 配電業者設備の場所と電圧レベルのデータを開示している (Maßnahmen nach 13 EnWG) 8.2 Redispatch ( 給電発電所の変更 ) 風力給電が多く かつ需要が少ない時には 電力網の混雑と隘路発生のリスクが高くなる 域内送電網と地域間連系線の過負荷を緩和するために Redispatch( 給電発電所の変更 または給電場所変更 ) が必要になる Redispatch とは 送電系統の一部に隘路リスクがある場合 その送電線の負荷を軽減するために 一方では 一つあるいは複数の発電所から投入する有効 電力の量を抑制し 同時に他方では 別の場所の一つあるいは複数の発電所から投入する有効電力の量を増大させることで 系統全体の有効電力を同じ水準に維持したまま 隘路リスクを解消する系統運用である Redispatch は 火力発電設備の変更 ( 出力抑制する発電所と出力増加させる発電所 ) を要求するため 発電所の経済に与える影響が大きく 実施のタイミングと規模について適切性を問われる このため 送電業者の共通のウエブサイトで詳細情報を開示している 15 8.3 需給調整および出力抑制の状況 50Hertz 域内の需給調整措置を示す ( 表 8) 表 8のうち 13(1)EnWG による介入のほとんどは 在来電源 ( 天然ガスとハードコール石炭発電 ) に対する Redispatch として行われている Redispatch 等は 風力給電量の 15% 域内発電量の 2.6% 年間 262 日に達する これに対して 13(2)EnWG による介入のほとんどは風力発電に対する出力抑制である これは 年間の風力給電量の 0.6% である 需給調整の介入が大規模に行われた日の状況を示す ( 図 12) 16 風力給電が多い時 火力電源の Redispatch と風力発電の給電制限 [MW] は合わせて 風力給電 [MW] の半分以上に達している 風力給電が多い時には 非優先の火力電源が頻繁に Redispatch されていること 反対に 風力発電の優先給電は確実に実行されているため 風力発電の出力抑制はわずかである 表 8 風力給電量および系統安定性の維持のための介入 (50hertz 送電区域 2012 年 ) 電力量 [MWh] 風力給電量に占める比率 [%] 域内発電量 (MWh) に占める比率 [%] 日数 [ 日 ] 時間数 [ 時間 ] 最大出力 [MW] 風力給電 18,511,758 100% - 365 8,775 10,208 EnWG 13 条 (1) による介入 ( 在来電源に対する Redispatch + 契約合意に基づく出力抑制 ) a) EnWG 13 条 (2) および EEG11 条の連結適用による緊急介入 ( 在来電源の出力抑制 + 再生可能電源の出力抑制 ) b) 2,824,454 15.3% 2.6% 262 2,481 5,111 119,846 0.6% - 77 630 4,925 系統安定性のための介入の合計 a) +b) 2,944,300 15.9% - 出所 ) 給電データより筆者計算. データは, 50hertz, Maßnahmen nach 13.1EnWG; Maßnahmen nach 13.2EnWG).2012 年は 366 日. 2012 年の域内の全電源の発電量合計は,108,070GWh. 66

図 12 系統安定性の維持のための市場介入 (50hertz 送電区域 2012 年 2 月 14 日 ~2 月 25 日 ) 注 ) 風力 太陽光は積み上げグラフ 他は積み上げのないグラフである まとめ要約しよう 1 法規定により 15 分単位の詳細な給電データの開示が義務付けられている これにより風力の給電状況を詳細に把握できる 2 12GW もの風力発電の連系により 風力給電と残余需要の変動はかなり大きい 3 残余需要は マイナスに転じる時がある 4 風力給電が多く 残余需要の少ない時に輸出依存度が高くなる 輸出依存度は風力給電量の 3 割程度で 7 割程度はドイツ国内に送電されている 5 大量の風力給電に伴い 垂直ロードが減少する 風力給電の大部分は 配電網レベルで域内消費される さらに風力給電が極めて高い時に 逆垂直ロードが発生している 6 風力給電予測の誤差は定格出力の 4% 以下である 風力予測の精度は非常に高い 7 風力発電の連系の増加に伴い 需給調整措置では 火力電源 ( おもに天然ガス ) に対する Redispatch が頻繁に発生している 8 以上に示した給電データから 50Hertz の系統運用は 限られた送電容量で風力給電を最大限に受け入れてきたことがわかる 給電状況に関する透明性は きわめて高い 50Hertz 域内の送電線負荷は限界に達しているため 火力電源に対する Redispatch と出力抑制が発生しているが それは 12GW の大量の風力を連系する当然の結果である ドイツ送電業者 4 社による共同の電力網拡張構想の予測によれば 再エネ電源の設備容量は 2023 年までに 50Hertz 域内で風力発電 19.6GW 太陽光 発電 12.1GW ドイツ全体で風力発電 63.4GW 太陽光発電 61.3GW に達すると予測する ( 電力網拡張構想シナリオ B)( 表 9) 17 50Hertz 社はさらなる風力発電の増大に対応するため Windsammelschene (Schwerin-Hamburg 間の風力給電用基幹送電線 ) Uckermark 送電線 Südwest-Kuppelleitung (Thüringen における 50Hertz 南西部から TenneT への連系線 ) 380kV-Nordring Berlin( ベルリン北環状送電線 ) など 数本の 380kV 送電線の拡張工事を積極的に進めている 2011 年の同社の総投資額 2.96 億ユーロのうち 陸上風力連系にかかる投資が 1.15 億ユーロ 洋上風力連系にかかる投資が 1.31 億ユーロであった 18 50Hertz は 風力給電の増加に単に後追い対応するのではなく 将来の風力給電の増大に備えて積極的な系統拡張を進めている それが送電会社が電力市場で生き残る道だからである 表 9 50Hertz 区域の風力と太陽光の累積容量の予測 (2023 年時点 電力網拡張構想 シナリオ B) Wind and solar energy installed capacity, Scenario B by2023 [GW] Onshore Wind Offshore Wind PV Berlin 0 0 0.2 Brandenburg 5.9 0 3.1 Hamburg 0.1 0.1 0.1 Mecklenburg- Vorpommern 4.1 1.3 2.9 Sachsen 1.1 0 2.1 Sachsen-Anhalt 4.3 0 1.4 Thübingen 2.7 0 2.3 50hertz, Total 18.2 1.4 12.1 Germany, Total 49.3 14.1 61.3 Source: Übertragungsnetzbetreiber (2013), Netzentwicklungsplan, Strom 2013. p.41, Chart 6 (Scenario B by 2023) by German 4 TSOs. 67

謝辞 : 本報告の作成にあたり 斉藤哲夫氏 ( 日本風力発電協会 ) 安田陽准教授 ( 関西大学 ) 50Hertz 社 Amprion 社 Bundesnetzagentur の担当者からは 貴重なアドバイスをいただいた 深く感謝致します 注 1. European Council (2009), Directive 2009/72/EC, Concerning common rules for the internal market in electricity and repealing Directive 2003/54/EC. 2. Erneuerbare-Energien-Gesetz (EEG), 5, 8, 9. 系統運用者が系統拡張義務を免れることができるのは 系統拡張費用が 経済的に非合理的 な場合に限定される ( 9(3),EEG) その場合 経済的に合理的 な水準とは 系統拡張費用が再エネ電源の新規建設費用の 25% を超えない ことが一つの目安とされる (Deutscher Bundestag Drucksache 15/2864, 15. Wahlperiode 01. 04. 2004: ドイツ連邦議会環境委員会文書 第 15 期 2004 年 ) 3. 13,EnWG ( 電気ガス供給に関するエネルギー事業法 13 条 ) 4. 50Hertz (2013), 50Hertz Almanach 2012. 5. European Council (2009). op,cit. 6. 50Hertz, Amprion, TenneT and TransnetBW, Grid control cooperation. Regelleistung.net. https://www.regelleistung.net/ip/action/st atic/gcc 7. EEG-Anlagenstammdaten http://www.eeg-kwk.net/de/anlagenstam mdaten.htm 8. 日本風力発電協会 系統部会 (2013) 広域運用による平滑化効果と系統連系可能量拡大策 加藤丈佳 (2012) 電気学会 電力 エネルギー部門大会 発表資料 片岡 池上 宇田川 荻本 斉藤 (2012) 電気学会 全国大会講演論文集 風力発電ならびに残余需要のランプの予備的分析 9. 24 時間の風力 up-ramp は 15 分単位給電データでは 8,962MW となったが 50Hertz 社の開示によれば 9,007MW とされている http://www.50hertz.com/de/151.htm (visited on 2013.6.30) 10. 輸出量は電力価格に従い 市場的に決定される ドイツの風力給電が多い時には オーストリーの貯水池への給電が増加し こ れが Tennet 区域の送電線の負荷軽減に効果を上げている Bundesnetzagentur (2012), Bericht zum Zustand der leitungsgebundenen Energieversorgung im Winter 2011/12. 11. 50Hertz 社へのヒアリング (2013 年 6 月 ) 輸入依存度については ドイツ全体と 50hertz を分けて考える必要がある 2011 年 5 月時点で ドイツには確実な供給力と見なされる発電設備が 93.1GW 存在する ドイツの年間最大需要は 80.6GW 供給予備力は 12.5GW であった (BDEW, 2011, Auswirkungen des Moratoriums auf die Elektrizitätswirtschaft) 2013 年 7 月時点でドイツには 石炭 流込水力 貯水式水力 原子力 天然ガスの発電設備で合計 97.58GW を保有する (Bundesnetzagentur, Kraftwerksliste der Bundesnetzagentur, 22. Juli 2013) ドイツ全体では 最大電力需要をまかなうだけの十分な供給力が存在する 風力給電が無い場合でも供給不足のリスクは無い (Entso-E, Summer outlook report 2013 and winter review 2012/ 2013) ドイツ全体として 風力給電および太陽光給電が無い場合に輸入が発生するのは 供給力不足の故ではなく 輸入電力が低価格であることが影響している 12. Amprion 社へのヒアリング 2013 年 8 月 13. 前掲 50Hertz 社へのヒアリング Amprion 社へのヒアリング (2012 年 10 月 ) 14. 前掲 50Hertz 社へのヒアリング 15. EEG/KWK-G, Redispatch-Maßnahmen. http://www.eeg-kwk.net/de/redispatch.ht m (visited on 2013.7.23). 16. 2012 年の需給調整ための介入が最大であったのは 実際には 3 月 28~29 日であった ただし 50Hertz 社によれば これは TenneT 変電所の故障に伴う出力制限の発動であって 過剰な風力給電を要因とする出力制限とは言えないという http://www.50hertz.com/transmission/file s/sync/netzkennzahlen/berichte-13(2)_e nwg/information_13-2_enwg_vom_28. 03.2012_bis_29.03.2012.pdf 17. Übertragungsnetzbetreiber (2013), Netzentwicklungsplan, Strom 2013 ( ドイツ 4 送電業者による送電網拡張構想 第二版 ). 18. 50Hertz, Geschäftsbericht 2011. 68