RIBFRILAC2

Similar documents
XFEL/SPring-8

降圧コンバータIC のスナバ回路 : パワーマネジメント

Table 1: Basic parameter set. Aperture values indicate the radius. δ is relative momentum deviation. Parameter Value Unit Initial emittance 10 mm.mrad

資料加第2-2-2号表紙.PDF

Nano Range Specification Stable & Stable Telescopic Resonators Model Nano S Nano S Nano S Nano S Nano L Nano L Nano L Nano L Nano L Nano L Nano L 130-

NJM78L00S 3 端子正定電圧電源 概要 NJM78L00S は Io=100mA の 3 端子正定電圧電源です 既存の NJM78L00 と比較し 出力電圧精度の向上 動作温度範囲の拡大 セラミックコンデンサ対応および 3.3V の出力電圧もラインアップしました 外形図 特長 出力電流 10

Undulator.dvi

MKT-TAISEI Co.,Ltd.

untitled

圧電型加速度センサ Piezoelectric Acceleration sensor 特長 Features 圧電素子に圧電型セラミックを用いた加速度センサは 小型堅牢 高感度で広帯域を特長としております 従って 低い周波数の振動加速度から衝突の様な高い加速度の測定まで 各分野で 幅広く使用されて

pc725v0nszxf_j

フォト IC ダイオード S SB S CT 視感度に近い分光感度特性 視感度特性に近い分光感度特性をもったフォトICダイオードです チップ上には2つの受光部があり 1つは信号検出用受光部 もう1つは近赤外域にのみ感度をもつ補正用受光部になっています 電流アンプ回路中で2

X線分析の進歩36 別刷

LT 低コスト、シャットダウン機能付き デュアルおよびトリプル300MHz 電流帰還アンプ

Microsoft PowerPoint - machida0206

HA17458シリーズ データシート

Microsoft PowerPoint - 基礎電気理論 07回目 11月30日

2. λ/2 73Ω 36Ω 2 LF λ/4 36kHz λ/4 36kHz 2, 200/4 = 550m ( ) 0 30m λ = 2, 200m /200 /00 λ/ dB 3. λ/4 ( ) (a) C 0 l [cm] r [cm] 2 l 0 C 0 = [F] (2

On the Wireless Beam of Short Electric Waves. (VII) (A New Electric Wave Projector.) By S. UDA, Member (Tohoku Imperial University.) Abstract. A new e

スライド 1

LMC6082 Precision CMOS Dual Operational Amplifier (jp)

PowerPoint プレゼンテーション

IEC シリーズ イミュニティ試験規格の概要

高速度スイッチングダイオード

フロントエンド IC 付光センサ S CR S CR 各種光量の検出に適した小型 APD Si APD とプリアンプを一体化した小型光デバイスです 外乱光の影響を低減するための DC フィードバック回路を内蔵していま す また 優れたノイズ特性 周波数特性を実現しています

Microsoft Word -

形式 :PDU 計装用プラグイン形変換器 M UNIT シリーズ パルス分周変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を分周 絶縁して単位パルス出力信号に変換 センサ用電源内蔵 パルス分周比は前面のスイッチで可変 出力は均等パルス オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力

推奨条件 / 絶対最大定格 ( 指定のない場合は Ta=25 C) 消費電流絶対最大定格電源電圧 Icc 容量性負荷出力抵抗型名 Vcc Max. CL 電源電圧動作温度保存温度 Zo (V) 暗状態 Min. Vcc max Topr* 2 Tstg* 2 Min. Max. (ma) (pf)

Table 1. Reluctance equalization design. Fig. 2. Voltage vector of LSynRM. Fig. 4. Analytical model. Table 2. Specifications of analytical models. Fig

第62巻 第1号 平成24年4月/石こうを用いた木材ペレット


OPA277/2277/4277 (2000.1)

Triple 2:1 High-Speed Video Multiplexer (Rev. C

形式 :W2VS 絶縁 2 出力小形信号変換器みにまる W2 シリーズ 直流入力変換器 ( アナログ形 ) 主な機能と特長 直流信号を入力とするコンパクト形プラグイン構造の変換器 アナログ回路により直流信号を統一信号に変換 高速応答形を用意 ワールド電源を用意 密着取付可能 アプリケーション例 プロ

回路シミュレーションに必要な電子部品の SPICE モデル 回路シミュレータでシミュレーションを行うためには 使用する部品に対応した SPICE モデル が必要です SPICE モデルは 回路のシミュレーションを行うために必要な電子部品の振る舞い が記述されており いわば 回路シミュレーション用の部

1 [1, 2, 3, 4, 5, 8, 9, 10, 12, 15] The Boston Public Schools system, BPS (Deferred Acceptance system, DA) (Top Trading Cycles system, TTC) cf. [13] [

AN504 Through-hole IRED/Right Angle Type 特長 パッケージ 製品の特長 φ3.6 サイドビュ - タイプ 無色透明樹脂 光出力 : 5mW TYP. (I F =50mA) 鉛フリーはんだ耐熱対応 RoHS 対応 ピーク発光波長指向半値角素子材質ランク選別はん

PowerPoint Presentation

LTE移動通信システムのフィールドトライアル

m 1 AUV 10 m 1.3 m 1.5 m 10 tons 300 km 3,500 m 3 kn. Maximum 4 kn SSBL (, ) AUV 2,000 3,

モジュール式アナログアンプ 形式 VT-MSPA1-1 VT-MSPA1-10 VT-MSPA1-11 RJ 形式 : 改訂 : シリーズ 1X H6833_d 特長 内容 電磁比例圧力弁の制御に適しています : DBET-6X DBEM...-7X (Z)D

Microsoft PowerPoint - 04.誘導起電力 [互換モード]

IR0036_62-3.indb

The Plasma Boundary of Magnetic Fusion Devices

EQUIVALENT TRANSFORMATION TECHNIQUE FOR ISLANDING DETECTION METHODS OF SYNCHRONOUS GENERATOR -REACTIVE POWER PERTURBATION METHODS USING AVR OR SVC- Ju

LMC6022 Low Power CMOS Dual Operational Amplifier (jp)

AN15880A

PowerPoint プレゼンテーション

untitled

Microsoft PowerPoint - 集積回路工学(5)_ pptm

FFT

形式 :AEDY 直流出力付リミッタラーム AE UNIT シリーズ ディストリビュータリミッタラーム主な機能と特長 直流出力付プラグイン形の上下限警報器 入力短絡保護回路付 サムロータリスイッチ設定方式 ( 最小桁 1%) 警報時のリレー励磁 非励磁が選択可能 出力接点はトランスファ形 (c 接点

OHO.dvi

USER'S GUIDE

ALTRONIC SPEC.xls

mbed祭りMar2016_プルアップ.key

86 セRH Series 型式と記号 機種 :DC サーボアクチュエータ RH シリーズ 型番 :5,8,11,14 バージョン記号 出力軸定格回転速度 : 6r/min を示す 仕様 ( インクリメンタルエンコーダ付 ) RH - 14 D E 1 A L エンコーダ出力方式 O

a L = Ψ éiγ c pa qaa mc ù êë ( - )- úû Ψ 1 Ψ 4 γ a a 0, 1,, 3 {γ a, γ b } η ab æi O ö æo ö β, σ = ço I α = è - ø çèσ O ø γ 0 x iβ γ i x iβα i


Łñ“’‘‚2004

プリント

プラズマ核融合学会誌11月【81‐11】/小特集5

形式 :KAPU プラグイン形 FA 用変換器 K UNIT シリーズ アナログパルス変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 直流入力信号を単位パルス信号に変換 オープンコレクタ 5V 電圧パルス リレー接点出力を用意 出力周波数レンジは前面から可変 ドロップアウトは前面から可変 耐電圧 20

Presentation Title Arial 28pt Bold Agilent Blue

第 5 章復調回路 古橋武 5.1 組み立て 5.2 理論 ダイオードの特性と復調波形 バイアス回路と復調波形 復調回路 (II) 5.3 倍電圧検波回路 倍電圧検波回路 (I) バイアス回路付き倍電圧検波回路 本稿の Web ページ ht

Transcription:

DESIGN AND MODIFICATION OF ACCELERATION CAVITIES FOR THE NEW INJECTOR SYSTEM RILAC2 AT RIBF Kazunari Yamada 1,A), Kenji Suda A), Naruhiko Sakamoto A), Shigeaki Arai A), Hiroshi Fujisawa A), Hiroki Okuno A), Eiji Ikezawa A), Masayuki Kase A), Osamu Kamigaito A), A) RIKEN Nishina Center 2-1 Hirosawa, Wako, Saitama, 351-0198, Japan Abstract RIKEN Heavy-Ion linac (RILAC) provides the very heavy-ion beams such as m/q=7 as the main injector for RIKEN RI-Beam Factory (RIBF). However, RIBF research conflicts with the research of the synthesis of super-heavy elements, because both of them use the RILAC. In order to reconcile them, a new additional injector linac to the RIBF (RILAC2) has been proposed, and now under construction. The RILAC2 will be ready in the fiscal 2010. This article presents the details of design study and progress for acceleration cavities on the RILAC2. 1. はじめに 理研 RIBF 新入射器 RILAC2 の加速空洞の設計および改造 最新の RI ビーム生成施設である RIKEN RI-Beam Factory (RIBF) [1] は 2006 年度よりビームコミッショニングが開始され ビームトンラスミッションを改善してビーム強度を増加させ 2008 年度には 48 Ca ビームを 170pnA 238 U を 0.4pnA 供給することができるようになり 世界最強の RI ビームを利用することが可能となった [2] 加速器基盤研究部では 最終目標である 1pμA の重イオンビームを供給するためにさらなる加速器の高度化を行っている 中でも 最も RI ビーム生成に有利なウランビームで目標の 1pμA を実現するためには イオン源そのものからのビーム量を大幅に増やし ビームの質を落とさずにトランスポートし 取りこぼさないように加速しなければならない また 現在 RIBF の主入射器である重イオンライナック (RILAC) [3] には 長期に及ぶ超重元素探索実験 [4] へのビーム供給という重要な役割もあり RIBF 実験と超重元素探索実験を両立させる必要性があった そのため理研仁科センターでは 28GHz の超伝導 ECR イオン源を製作し RIBF の主となる新入射器を導入して ビーム強度の大幅増加とマシンタイムの両立を実現することにした 2.RILAC2 RIBF の新入射器 RILAC2[5] は 28GHz 超伝導 ECR イオン源 [6,7] プリバンチャー RFQ ライナック 3 台のドリフトチューブライナック (DTL1~3) RFQ と DTL 間のリバンチャー 集束 1 E-mail: nari-yamada@riken.jp 1030 ECRIS Pre-BUN RFQ REB1 DTL1 DTL2 DTL3 REB2 図 1:RILAC2 全体図 AVF 要素として強力な四重極電磁石及びソレノイド電磁石で構成される 図 1 に RILAC2 の全体図を示す RILAC2 の加速空洞は既存の AVF 室に設置し 加速されたビームは AVF からのコースと合流してそのまま RRC に入射される RILAC2 は 136 Xe 20+ や

238 U 35+ といった m/q レシオが 7 のイオンを 680keV/u まで加速する設計になっている RF 空洞の共振周波数は 36.5MHz 固定で プリバンチャーのみ 18.25MHz となる このビームを RRC (18.25MHz, h=9) [8] frc (54.75MHz, h=12) [9] IRC (36.5MHz, h=7) [10] SRC (36.5MHz, h=6) [11] と加速することにより最終的に 345MeV/u の 136 Xe 52+ や 238 U 86+ ビームが得られる RILAC2 の建設は 2008 年度末より開始され 2009 年度中に加速空洞が設置され ハイパワー試験を行った後に 2010 年度夏にイオン源を移設して秋にビーム加速を開始する予定である 以下 RILAC2 の加速空洞について報告する 3.RFQ ライナックの改造 RILAC2 に使用する RFQ ライナックは元々 1993 年にイオン注入装置用に日新電機株式会社で開発されたものである [12] その後 京都大学化学研究所先端ビームナノ科学センターにて維持管理が行われてきたが 2007 年 11 月に譲り受けることができた 図 2 にオリジナルの RFQ 内部の写真を示す この RFQ は 4 ロッド型であり m/q=16 以下のイオンを 84keV/u まで CW モードで加速することができる 空洞の共振周波数は 33.3MHz で 最大入力電力は 50kW(CW) となっている RILAC2 ではこの RFQ を改造して共振周波数を 36.5MHz に上昇させることにより ベーン電極を交換することなく m/q=7 のイオンを 100keV/u まで加速することが可能となる RILAC2 で必要なベーン間電圧は 42kV であり オリジナル設計のベーン間電圧 55kV より低い RFQ の主な仕様を改造後の値にスケーリングしたものを表 1 に示す Frequency (MHz) 36.5 Duty (%) 100 m/q ratio 7 Input energy (kev/u) 3.28 Output energy (kev/u) 100.3 Input emittance (mm mrad) 200π Vane length (cm) 225 Inter-vane voltage (kv) 42.0 Mean aperture (mm) 8.0 Cavity diameter (cm) 60 Focusing strength 6.785 Max. modulation 2.35 Final synchronous phase (deg.) -29.6 表 1: 改造後のRFQの仕様 理研搬入後 ハイパワー試験で 14kW 入力し 問題の無いことを確認した オリジナルのシャントインピーダンスは 77.9kΩ [13] であるので ( 以下 P=V 2 /2R とする ) この状態では 11kW 程度で所定の電圧が得られる またローパワー試験で 現状の共振周波数は 33.8MHz Q 0 は 5300 であることが分かった CST Micro Wave Studio (MWS) を用いた計算 ( ベーン電極のモジュレーションなしモデル ) では Q 0 は 5430 シャントインピーダンスは 73kΩ MWS 計算と実測の共振周波数の差は モジュレーションの有無の影響分を含めて -1.8% であった この RFQ はベーン電極を 6 本のポストで交互に支える構造となっており 共振周波数を 36.5MHz まで上昇させるために 各ポスト間にブロックチューナーを設置することにした ブロックのサイズを MWS 計算で決定し さらにアルミ製のテストブロックを製作して取り付け ローパワー試験を行い 高さ方向の微調整を行った その様子を図 3 に示す 最終的に MWS 計算と実測の共振周波数の差は モジュレーションの有無の影響分を含めて -1.5% であった 図 2: オリジナル RFQ 図 3: アルミ製テストブロックでの測定 1031

ブロックチューナー追加後の MWS 計算では Q 0 が 4400 シャントインピーダンスが 55kΩ となるので 所定の電圧を得るには 16kW 程度の RF 電力の入力が必要である 全体で 5kW 程度ロスが増えることになる パワーアンプには 40kW 出力のものを使用するので充分である 図 4 に MWS で計算した RFQ 内部構造物の電流密度分布を示す この図は 50kW パワーロスの時の値である 所定電圧時にスケールすると ブロックチューナーの最大電流密度は 26A/cm と問題ない値である また そのときのブロックチューナーでのパワーロスは 2kW 程度となる 冷却水を φ10mm の穴に通すことにより 20L/min 程度流れると見積もられるので 水温上昇を 2 程度に押さえることができる ブロックチューナーを製作し 2009 年中に改造を終えてハイパワー試験を行い 2009 年度中に AVF 室へ移設する予定である 重極電磁石を設置する 表 2 に各 DTL の主な仕様を示す パワーアンプには 4CW50000E を使用し 設置場所の空きスペースが狭いので 容量によるダイレクトカップリング方式とした アンプを組み込んだ状態で 真空管から見た負荷が 700Ω になるように調整して使用する DTL1 DTL2 DTL3 Frequency (MHz) 36.5 36.5 36.5 Duty (%) 100 100 100 m/q ratio 7 7 7 Input energy (kev/u) 100 220 450 Output energy (kev/u) 220 450 680 Cavity diameter = length 0.8 1.1 1.3 (m) Cavity height (m) 1.32 1.43 1.89 Gap number 10 10 8 Gap length (mm) 20 50 65 Gap voltage (kv) 110 210 260 Drift tube aperture (mm) 17.5 17.5 17.5 Peak surface field (MV/m) 8.2 9.4 9.7 Synchronous phase (deg.) -25-25 -25 Input power (100%Q:kW) 5 13 15 Power amp. (Max.:kW) 25 40 40 表 2: 各 DTLの主な仕様 4.1 DTL3 の改造 図 4:RFQ の電流密度分布計算結果 MWS の計算結果より ブロックチューナーを設置した状態で RFQ ベーン電極間の電圧分布の非対称性が 15% あることが分かっている ビードを用いた測定でも計算と同じ結果が得られているが オリジナルの状態でも非対称性は 12% あったので まずは現状の設計で改造を行い 2010 年度には現状の設計のものでビーム加速試験を行う MWS で計算を行ったところ ベーン電極間をジャンパーすることにより非対称性が 8.5% 程度までは低減できる結果となっているので ビーム加速に問題があればポストを作り替えることで対応する 4. ドリフトチューブライナック RILAC2 では 3 台のドリフトチューブライナックを使用する (DTL1~3) このうち DTL1,2 は新規製作し DTL3 は Charge State Multiplier(CSM) [14] の減速用空洞を改造する DTL の RF 空洞は 1/4 波長の縦型同軸で 径方向が加速方向となる トランスバースの集束用に DTL 間に強力な薄型三連四 1032 DTL3 として改造する既存の RF 空洞は ショート板による周波数可変範囲 36~76.4MHz の同軸空洞で 電力導入は 50Ω 系のキャパシティブフィーダー 200mm 500mm の角形プレートチューナーをストローク 200mm 変化させることによって共振周波数を 1.2% 程度微調整することが可能である この空洞のドリフトチューブ及びステムを交換し ショート板駆動機構を取り外し 外筒 内筒を所定位置で切断して固定周波数に改造する 先行して 2009 年 5 月に工場へ移送し ドリフトチューブ及びステムを RILAC2 用に交換した後 現地にてローパワー試験を行って最終的な空洞長を決定した 図 5 にドリフトチューブ交換後の DTL3 内部の写真を示す まず チューナーをストロークの中央位置 (100mm) にし 電力フィーダーを外した状態でショート板の位置を変化させて共振周波数を測定した ( 図 6) 次にショート板を 36.975MHz になる位置にした後 チューナーを変化させて周波数変化範囲を測定し 周波数変化範囲の中心となるチューナー位置にして 再びショート板位置とチューナーを微調整した 最終的にショート板位置は 1169mm チューナー位置は 61.6mm となった

このとき 目標周波数を 36.975MHz にしたのは アンプをダイレクトカップリングさせて真空管から見て負荷が 700Ω になるように調整したときに カプラーと真空管の容量で全体の共振周波数が低下して見えるので その分をあらかじめ RF 空洞の共振周波数に上乗せしておく必要があるからである 当初必要な上乗せ分は 図 7 の様な集中定数回路による計算結果から -600kHz 周波数固定式にしたときに内筒を支えるフランジの分の周波数変化を MWS で計算した結果 +125kHz から見積もった であったので 所定電圧時に必要な RF 電力は 19kW 程度となる DTL3 は現在改造が進んでおり 2009 年 11 月に工場にてローパワー試験を行う予定である 図 6:DTL3 のショート板位置と周波数 図 5: ドリフトチューブ交換後の DTL3 内部 さらに DTL3 に関しては既存の 50Ω 系フィーダーがあるので フィーダーを取り付けてローパワー試験を行った 50Ω にマッチングさせたときに 集中定数回路計算での共振周波数低下の予想値 -160kHz に対して実測では -30kHz となり フィーダーを付けることによって RF 空洞そのものの容量が下がって見えることになり 集中定数回路計算では直接見積もれないことが分かった また 周波数低下の MWS 計算結果は実測に近い値となった そこで フィーダー先端の円盤とフィーダー位置を変えて測定したデータと 700Ω から真空管の容量 55pF 分を引いたインピーダンスを図 8 の様に比較し 新たに製作するカプラーとの寸法の違いを補正してスケーリングし 最終的に空洞中心から 250mm の位置に φ160mm 程度の円盤を入れれば 700Ω でマッチングすると予想した 実際には現物で円盤の径を変えてローパワー試験を行い微調整する また このときの周波数の低下をスケーリングすると -225kHz 程度でったので 最終的にカプラーなしで共振周波数が 36.6MHz になるように DTL3 の全長を 1.89m と決定した MWS 計算では Q 0 が 28800 シャントインピーダンスが 2.2MΩ となる ビードによる摂動測定で求めたシャントインピーダンスが 1.8MΩ 図 7: 集中定数回路による周波数変化の見積り 図 8: アンプのダイレクトカップリングの見積り 1033

4.2 DTL1, DTL2 の設計 新規製作する DTL1,DTL2 についても MWS 計算で最適化を図った 初期設計ではドリフトチューブステムの長さが 200mm であったが ギャップ間電圧の偏差が DTL1 で 8.6% と大きかったので 150mm とすることにより 6.6% になった MWS 計算では DTL1 については Q 0 が 17500 シャントインピーダンスが 1.1MΩ DTL2 の Q 0 が 23800 シャントインピーダンスが 1.7MΩ となった DTL3 の測定でシャントインピーダンスが計算の 8 割程度になったので スケーリングすると所定電圧時に必要な RF 電力は DTL1 が 7kW 弱 DTL2 が 16kW 程度と予想される 図 9 に DTL1 に 25kW 入力したときの発熱分布の計算結果を示す これらも現在製作が順調に進行しており 2009 年 11 月下旬に工場にてローパワー試験を行う予定である その後 DTL3 と合わせて 2009 年度中に AVF 本体室に設置され ハイパワー試験を行う予定である 図 10: 外部 Q と共振周波数の計算結果 参考文献 図 9:DTL1 内部構造の発熱分布計算結果 DTL1,2 についても アンプ取り付け時の共振周波数低下分の上乗せ量を見積もり カプラーの位置と大きさを決定するために DTL3 の既存のフィーダーを MWS 計算モデルに入れて外部 Q を計算し 50Ω にマッチングする位置を予想した 外部 Q の計算には文献 [15] の方法を使用し フィーダーの同軸端を open にして計算した場合の電場の積分と short にして計算した場合の磁場の積分から求めた DTL1 についてフィーダー位置を変えてプロットした外部 Q の計算結果を図 10 に示す 実際の Q 0 が計算の 6 割とすると 空洞中心から 285mm で Q 0 =Q ext となる DTL3 と同様にスケーリングすると DTL1 では空洞中心から 185mm の位置に DTL2 では中心から 275mm の位置にカプラーの円盤を入れれば 700Ω にマッチングすると予想される 共振周波数の低下も MWS 計算結果から DTL3 と同程度と分かり 補正を加えて目標周波数を 36.725MHz と決めた 対応する空洞長は DTL1 が 1.32m DTL2 が 1.43m となった [1] Y. Yano, Nucl. Instrum. Meth. B 261 (2007) 1009. [2] N. Fukunishi et al., PAC'09, Vancouver, May 2009, MO3GRI01. [3] M. Odera et al., Nucl. Instrum. Meth. 227 (1984) 187. [4] K. Morita et al., J. Phys. Soc. Jpn. 73 (2004) 2593; J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 043201; J. Phys. Soc. Jpn. 78 (2009) 064201. [5] O. Kamigaito et al., PASJ3-LAM31, Sendai, Aug. 2006, WP78, p502 (2006). [6] T. Nakagawa et al., Rev. Sci. Instrum. 79 (2008) 02A327, ECRIS'08, Chicago, Sep. 2008, MOCO-B01, p.8 (2008). [7] J. Ohnishi et al., EPAC'08, Genoa, Jun. 2008, MOPC153, p.433 (2008). [8] H. Kamitsubo, Proc. 10th Int. Conf. on Cyclotrons and their Applications, East Lansing, MI, USA, 1984, p.257 (1984). [9] N. Inabe et al., Proc. 17th Int. Conf. on Cyclotrons and their Applications, Tokyo, 2004, p.200 (2004). [10] J. Ohnishi et al., Proc. 17th Int. Conf. on Cyclotrons and their Applications, Tokyo, 2004, p.197 (2004). [11] H. Okuno et al., IEEE Trans. Appl. Supercond. 17 (2007) 1063. [12] H. Fujisawa, Nucl. Instrum. Meth. A 345 (1994) 23. [13] H. Fujisawa et al., Proc. 7th Int. Symp. on Advanced Energy Research, Takasaki, Mar. 1996, p.436 (1996). [14] O. Kamigaito et al., Rev. of Sci. Instrum. 76, 013306 (2005). [15] P. Balleyguier, Proc. of 19th Int. Linac Conf., Chikago, IL, USA, 1998, p.133 (1998). 1034