発刊にあたって 弊機構は 我が国のヘルスケア政策に関する研究機関として 医療 介護 健康増進 疾病予防を含む ヘルスケア 全般を研究領域とした 様々な調査研究事業を行っています 重点的な研究分野の一つである 諸外国のヘルスケアに関する研究 では 欧米諸国をはじめとする諸外国の医療 介護制度に関する基

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発刊にあたって 弊機構は 我が国のヘルスケア政策に関する研究機関として 医療 介護 健康増進 疾病予防を含む ヘルスケア 全般を研究領域とした 様々な調査研究事業を行っています 重点的な研究分野の一つである 諸外国のヘルスケアに関する研究 では 欧米諸国をはじめとする諸外国の医療 介護制度に関する基礎的な情報の収集 整理や 国際比較研究等に取り組んできました 近年 欧米諸国のみならず 新興国における医療保障制度や医薬品市場に関する情報へのニーズが高まってきたことから 弊機構では 2011 年度より文献調査を開始し 簡易ながら月刊誌の Monthly IHEP に 新興国レポート として報告を行いました これらの報告については お陰様で賛助会員様から好反響を頂戴したため 2012 年度から 新経済成長大国の医療保障制度に関する調査研究 プロジェクトを立ち上げ 調査研究へと発展させることとしました 同調査研究プロジェクトでは 文献調査のみならず現地調査も実施しており 現地より基礎データ 最新情報を入手することで 我が国では情報が限られている新興国の医療保障制度の理解を深める際に 重要な意義を持つと思われます 2013 年に発刊しましたロシアの医療保障制度に関する報告書に続き 2014 年度までにブラジル トルコ およびインドを発刊し 本年度はシンガポールに続く ASEAN シリーズ第 2 弾として 新経済成長大国の医療保障制度に関する調査研究報告書 -インドネシアの医療保障制度- を発刊することに至りました 本報告書が広く新興国の医療保障制度や医薬品市場に関心をお持ちの皆様の一助となれば幸いに存じます 平成 29 年 3 月 一般財団法人医療経済研究 社会保険福祉協会医療経済研究機構所長西村周三

本調査研究は インドネシアの医療保障制度に関する基礎データ 最新情報を収集することを目的として実施した 調査研究実施者等は以下の通りである 新経済成長大国の医療保障制度に関する調査研究報告書 - インドネシアの医療保障制度 - ( 研究実施者 ) 上田真由美 ( 医療経済研究機構研究主幹 ) 印南一路 ( 医療経済研究機構研究部長 ) 小平光宏 ( 医療経済研究機構研究員 ) 近藤光量 ( 医療経済研究機構研究員 ) 野原秀光 ( 医療経済研究機構前研究員 ) は主担当者 ( 調査協力者 ) 高畑正浩 ( 在インドネシア日本国大使館一等書記官 )

新経済成長大国の医療保障制度に関する調査研究報告書 - インドネシアの医療保障制度 - 目次 ページ 序文 1 1. 調査背景....... 2 2. 調査目的..... 2 3. 調査方法.... 3 4. 面会機関..... 4 5. 情報面での制約...... 6 6. 謝辞.... 6 第 1 章インドネシア共和国の概観 7 1. インドネシア共和国.... 8 2. 地理...... 8 3. 歴史.. 9 4. 人口分布..... 11 5. 民族.... 12 6. 語学 教育.... 12 7. 宗教.... 14 8. 政治.... 14 9. 経済...15 10. 進出日系企業........ 17 第 2 章医療の基本情報 19 1. 政府の医療に対する方針 ビジョン... 20 2. 医療費の推移... 21 3. 平均寿命......... 22 4. 出生率と死亡率.. 22 5. 主要疾患... 23 6. 主要死因........ 27

ページ 第 3 章医療保障制度 29 1. 医療保険制度....... 30 2. 医療施設 医療従事者数...... 35 3. 公的病院 診療所と民間病院 診療所の違い....... 37 4. 受診システム....... 38 5. 医療費の個人負担......... 38 6. 民間医療保険....... 44 第 4 章薬剤給付プログラム 47 1. 医薬品リスト...... 48 2. 基礎的医薬品援助プログラム..... 52 3. 医薬品援助戦略プログラム..... 54 第 5 章薬事制度 55 1. 管轄組織..... 56 2. 関係機関........ 56 3. ジェネリック医薬品と類似医薬品の主な相違点.... 57 4. 医薬品の製造管理および品質管理基準 (GMP)..... 57 5. 臨床試験申請 実施の流れ...... 57 6. 臨床試験における安全性の監視 (GCP).......... 60 7. 医薬品の承認から上市 販売までの流れ 61 8. 薬価制度....... 61 9. 価格調整..... 61 10. 価格規制..... 62 11. 市販後安全性の監視 63 第 6 章特許制度 知的財産保護 65 1. 概要....... 66 2. 管轄組織....... 66 3. 特許制度......... 66 4. 特許審査ハイウェイ (PPH)..... 67 5. 特許出願状況..... 67 6. 特許権の侵害...... 67 7. 強制実施権....... 67 8. 権利の帰属 ( 職務発明制度 ) 68

ページ 第 7 章医薬品の入札 流通 69 1. 入札制度 70 2. 医薬品流通システム.... 70 3. 医薬品卸活動状況.... 71 4. 薬局 ( 小売り )... 71 5. その他......71 第 8 章 MRプロモーション活動 75 1.MR 活動... 76 2. プロモーションコード....... 76 3. その他...... 78 第 9 章医薬品市場動向 79 1. 医薬品市場規模.......... 80 2. 市場成長率....... 83 3. 市場動向薬局販売.. 83 4. 市場動向民間病院... 84 5. 市場動向公的部門 - 病院調達... 85 6. 市場動向公的部門 - 薬剤給付..... 85 7.Rx:OTC 市場規模...... 86 8. 今後の市場展望..... 88 第 10 章製薬業界動向 89 1. 登録企業数..... 90 2. 内資系 ( インドネシア ) 企業 外資系企業の動向....... 90 3. 内資系 ( インドネシア ) 企業への優遇政策の有無......92 おわりに 93 補足資料 94 ( 引用文献 参考資料 )...... 94

序文 1. 調査背景.... 2 2. 調査目的.... 2 3. 調査方法.... 3 4. 面会機関.... 4 5. 情報面での制約... 6 6. 謝辞....6 ページ 1

1. 調査背景 先進諸国の経済が停滞している中で 躍進を続ける新興国の世界経済に与える影響がますます増大している 先進国では人口が安定期から減少期へと向かい 急速な高齢化によって 医療保障費が大幅に増加し続け その医療保障サービスが強く抑制へと働いているのとは対照的に 新興国においては経済発展に伴う個人収入の増加を背景に いかに医療アクセスを向上させ 国民の健康を増進させるかに重点が置かれている 医療保障サービスの発展は 同時に医療機器や医薬品産業の発展をもたらす ところが 当初は これらの財 サービスは非常に高い技術を必要とするため 新興国で活躍する企業の多くは先進国に本社を置くいわゆる外資系であり 新興国の国内企業は少なく 市場におけるシェアは低いことが多い したがって 新興国においては 国民を対象とした医療制度を充実させると同時に 国際基準に準じながらも国内企業保護の目的をミックスした制度が採用される このため 欧米諸国の医療関連企業は 過去 10 年以上にわたり新興国の発展に寄与しながら プラットフォームを整備し 時には現地化することで新興国への参入を行ってきている ひるがえって日本企業はというと 新興国進出に大幅に出遅れ 欧米諸国出身企業の後塵を拝している 非常に残念なことであるが 新興国の医療制度は 第二次世界大戦前の宗主国の影響を強く受けながらも独自に発展を遂げるケースもあり 欧米諸国の医療制度と異なる場合も見られ 非常にわかりづらい 加えて昨今の経済発展によって 急速に整備が進み その変化も激しく 注視し続けない限り理解も難しい このような背景も日本の医療関連企業が 新興国に進出する機会を難しくしていると考えられる 2. 調査目的 本調査研究の目的は 経済発展に伴い変化を続ける ASEAN 諸国のうち 人口が最も多く 今後の経済発展が期待されるインドネシア医療保障制度を日本国内に紹介することにある 本研究によって 我が国の製薬および医療機器メーカーがインドネシア市場へ参入する際に かの地の医療保障制度の基本情報として役立てば幸いである 2

3. 調査方法 本調査研究は 以下の 3 つのフェーズに分けて実施した (1) 第 1 フェーズ : 医療経済研究機構が 2012 年以降に実施した 新経済成長大国の医療保障制度に関する調査研究 をもとに 調査項目を選定した 続いて 医療系研究誌および医療経済系研究誌からインドネシアに関する医療制度および医療関連データなどの文献を検索し 調査項目のギャップアナリシスを実施した (2) 第 2 フェーズ : インドネシアの医療を司る政府関連機関 関連協会 および関連企業のホームページなどより事業 活動内容を確認し 調査項目確認のための質問を各機関 10~20 項目作成した 作成した質問票を各機関へ送付し 質問項目に対する回答を 1~2 時間のインタビュー形式でジャカルタ現地にて聴取した (2016 年 5 月 22 日 ~6 月 1 日および 8 月 14 日 ~17 日に実施 ) 現地調査では できる限り同じ質問を政府関連機関 民間機関に行うことで 官民双方の意見を聴取した 政府機関に関する情報収集では今後の医療政策の方向性 具体策に関する情報も収集した また 事実と見解の相違を担保するために 事実部分の確認には 公式発表資料および根拠となるデータの共有を依頼した (3) 第 3 フェーズフェーズ 2までに収集した情報を整理し 矛盾がある内容および聴取時に不正確と思われた内容に関しては 再度根拠となる資料を確認し追加調査を実施した なお 本報告書作成にあたり 現地調査 追加調査実施時に入手した情報 資料の使用については 各機関より承諾を得ている 3

4. 面会機関 順不同 (1)Ministry of Health Republik Indonesia: 保健省所在地 :JL.HR.Rasuna Said Blok X5 Kav4-9 Jakarta12950 インドネシアの保健衛生施策全般の策定を行う (2)BPJS Kesehatan: 社会保険実施機関所在地 :Jl.Letjend.Suprapto Kav. 20 No. 14 Cempaka Putih, Jakarta Pusat 10510 2014 年より開始されている JKN Program( 国民健康保険制度 ) の実施を担う保健省直下の非営利法人 2014 年以前に存在した PT.ASKES( 公務員向けの公的健康保険 ) が前身となり PT.ASABRI( 軍 警察 ) PT.JAMSOSTEK( 民間従業員 ) などの公的保険を吸収し BPJS Kesehatan が設立された (3)BPJS Ketenagakerjaan: 労務保障実施機関所在地 :Jl. Jendral Gatot Subroto No. 79 Jakarta Selatan Indonesia 12930 JKN Program の実施に伴い PT.JAMSOSTEK の労災 所得補償の役割を引継ぎ設立された労働省直下の非営利法人 加入 給付は労働者のみを対象としている (4)Badan Pengawas Obat dan Makanan(BPOM): 国家医薬品食品監督庁 (National Agency of Drug and Food Control:NADFC) 所在地 :Jl. Percetakan Negara No.23 - Jakarta 10560 Indonesia インドネシアにおける医薬品 医療機器の承認審査 規制等を担っている 日本の医薬品医療機器総合機構 (PMDA) に相当する機関であり 保健省から独立した機関である (5)PT Astellas Pharma Indonesia 所在地 :Plaza Oleos, 5th Floor Jl. TB Simatupang No. 53A Jakarta Selatan 12520 Jakarta PT アステラスファーマインドネシアは PT 山之内インドネシアとして 2000 年に設立 2005 年 4 月 1 日には 山之内製薬株式会社と藤沢薬品工業株式会社が合併したことに伴い PT アステラスファーマインドネシアに社名を変更 免疫抑制剤 プログラブ 前立腺肥大症治療薬 ハルナール といった特色ある泌尿器領域の医薬品を中心に提供している 4

(6)PT. Meiji Indonesian Pharmaceutical Industries 所在地 :Jl. Tanah Abang II No. 4 Petojo Selatan, Gambir DKI Jakarta, 10160 1974 年よりインドネシアに進出 ペニシリン製剤を中心とした抗生物質をはじめ 各種人体薬 動物薬の製造販売を行うほか 日本向け製品の生産 輸出も行っている (7)PT.Otsuka Indonesia 所在地 :8 Office Park, Tower A, 9th Floor Jl.Letjend. TB. Simatupang No. 18 Jakarta 12520 1974 年に設立され 抗精神病薬 エビリファイ を中心に循環器薬 プレタール サムスカ 抗生剤 アクアチム などの医薬品を供給している また グループでは豊富な水資源を生かし臨床用栄養輸液 輸液セットを生産 販売している (8)PT.TANABE INDONESIA: タナベインドネシア所在地 :Jl. Tanah Abang III No. 8, Jakarta Pusat 10160, Indonesia 1970 年よりインドネシアに進出し操業を開始し 約 40 年の歴史を持つ 循環器系薬剤を中心に提供している 2013 年には新製剤棟の建設を開始し インドネシア国内 周辺国への医薬品供給の強化を行っている (9)PT.SINGGASANA UNAGI INDONESIA 所在地 :PALMA TOWER 20th Floor, Jl. RA. KARTINI II-S Kav.06 TB.Simatupang, Jakarta Selatan 12310 日本では九州地区で最大のシェアを占めている医薬品卸アステムの関連企業 (10)DEXA Group:DEXA Medica( 現地製薬会社 ) :Anugrah Argon Medica( 現地医薬品卸会社 ) 所在地 :TITAN CENTER, 3rd Floor Jalan Boulevard Bintaro Block B7/B1 No. 05 Bintaro Jaya Sector 7 Tangerang 15224, Indonesia 1969 年に設立され 早くから高品質の医薬品の製造を開始 2 年前には抗がん剤の生産設備を整備し幅広く医薬品の製造供給を行っている また医薬品卸も展開しており インドネシア全土に供給網を構築している (11)International Pharmaceutical Manufacturers Group(IPMG): 外資系製薬団体所在地 :Wisma Pondok Indah Suite 102 Jl. Sultan Iskandar Muda Kav. V TA Jakarta 12310 2002 年 8 月に設立されインドネシアで活動する国際 R&D ベースの製薬会社の非営利団体 会員会社は医薬品の供給を担う 24 社で構成されている 5

5. 情報面での制約 複数の機関から複数の数値が発表されているケースが存在し この場合できる限り政府機関のデータを優先した 医療提供体制や市場データに関しては できる限り最新データを用いたが 各機関で聴取した現状との間に不一致がある可能性もある また 薬事申請関連スキーム等 複数機関から入手した情報に関しては 出来る限りシンプルな情報を選択した なお 2016 年 10 月 26 日に公布された保健大臣規制 PMK NOMOR 52 TAHUN 2016 により この規制が公布される以前は保険償還の対象ではかった 例えば検査費用などの項目が 公布後 新たに保険償還の対象となっている また 既存の償還額についても改定されている 報告書に掲載している内容は原則として 2016 年 9 月 30 日までの情報について記載していることを留意していただきたい 6. 謝辞 本調査研究のインドネシア現地調査を実施するにあたり 在インドネシア日本国大使館高畑正浩氏 アステラス製薬 ( 株 ) 長岡秋広氏 静岡福祉大学社会福祉学部福祉心理学科准教授安留孝子氏をはじめ 多くの方々に多大なる支援をいただき 心より御礼申し上げる また 現地調査では ジャカルタで数多くの機関 団体 企業にインタビューに応じていただいた 多忙な中 貴重な時間を割いていただいた上 我々の質問内容に対して非常に真摯に対応いただき 調査に協力いただけたことに感謝の意を表したい 我々が受けた彼ら彼女らからの親切への返礼として 本報告書では インドネシアの医療制度 薬事制度 医薬品市場等について 最新の情報を可能な限り正確に報告したい 6

新経済成長大国の医療保障制度に関する調査研究報告書 - インドネシアの医療保障制度 - 平成 29 年 3 月 発行 : 一般財団法人医療経済研究 社会保険福祉協会医療経済研究機構 105-0003 東京都港区西新橋 1-5-11 11 東洋海事ビル TEL:03 (3506) 8529 FAX:03 (3506) 8528 本報告書の全部又は一部を問わず 無断引用 転載を禁じます PJ No.16603