ワイヤレスブロードバンドの 今後の展望 2010 年 6 月 22 日日本電信電話株式会社 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社
今後のワイヤレスシステムの展望 NTT では地上通信から衛星通信まで幅広くワイヤレスシステムの研究開発を行っているが 本日は ブロードバンドとユビキタスの 2 つのサービスを提供するワイヤレスシステムを紹介する 1 家庭内をブロードバンドワイヤレスで繋ぐマイクロ波とミリ波を組み合わせた高速ワイヤレスホームネットワーク 2 広域に大量に遍在する ( ユビキタス ) モノ と経済的な通信を実現するセンサーネットワーク < 被災地 > SNG/ 災害対策衛星通信システム 衛星通信システム 新幹線インターネット 準ミリ波帯ワイヤレス LTE/WiMAX モバイル Wi-Fi ルータ WT Etherケーブル WT WT マイクロ波帯ワイヤレス 2 光 + 無線による FWA FWA 公衆無線 LAN 23 センサーネットワーク ~ 広域ユビキタスネットワーク ~ 1 高速ワイヤレスホームネットワーク ( マイクロ波 / ミリ波連携 ) ユビキタス通信 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 2
高速ワイヤレスホームネットワークへの取り組み 家庭まで引かれた光ファイバ網を 個人 ( ポータブル端末 ) に繋ぐ高速ワイヤレスホームネットワーク ~ マイクロ波 : 光サービスのワイヤレス接続と ミリ波 : 超高速メディア転送の連携 ~ マイクロ波無線 LAN: 壁を越えて宅内をカバー可能 近隣 との干渉問題解決が重要 限られた周波数リソースを効率的に利用して家庭内の様々な NW 機器を収容する ミリ波通信 : リッチコンテンツの瞬間転送 部屋内の通信に限られる マイクロ波との連携機能を実現して ネットワークのリッチコンテンツを端末に瞬間転送し屋外で視聴 近隣 との干渉を回避する分散型セル間干渉制御技術近隣 ミリ波マイクロ波 メディア変換サーバ 見通し通信 IPTV ミリ波 マイクロ波 ミリ波 ミリ波マイクロ波 小型 高集積ミリ波無線モシ ュール構成技術 干渉複数端末での周波数共用を実現するマルチユーザ MIMO 技術 NGN マイクロ波ミリ波ホーム GW FTTH 見通し通信 1 ミリ波 マイクロ波 VoIP ( ヒ テ オフォン ) マイクロ波 IPTV アト ホック通信 ミリ波マイクロ波 想定するトラヒック例 IEEE 802.11ac での評価モデル QoS あり 約 300Mbit/s 低圧縮動画 (150Mbit/s) 1 Blu-ray TM TM (50Mbit/s) 2 HD MPEG2(20Mbit/s) 2 他 TV 電話 VoIP MP3 audio QoS なし 最大約 1Gbit/s ファイル転送 2 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 3
マイクロ波無線 LAN 空間チャネル制御技術 家庭内どこでもつながるギガビット級のワイヤレスホーム NW 実現 マルチユーザ MIMO によるギガビット化 近隣 との電波干渉回避技術 IEEE 802.11ac 標準化 システムスルーフ ット高速化 (1 Gbit/s 超 ) マルチユーザ MIMO 技術で様々な特性の機器を効率良く複数同時接続 : アクセスホ イント ( 無線親局 ) 壁 A 宅 近隣 との干渉回避 近隣 との干渉を自動的に回避 A 宅渉分散型セル間干渉制御技術により 連携B 宅 干渉 B 宅 チャネル幅の拡張 : 80/160MHz 幅へ拡張 非連続チャネル利用を検討中 関連規則の変更が必要 マルチユーザ MIMO 技術の適用 : 空間多元接続による周波数リソース利用の高効率化 最大バースト時間 (4ms) の見直しを要する可能性 分散型セル間干渉制御技術 : 802.11acが備えるビームフォーミング機能を活用した近隣 との干渉を回避する分散型セル間干渉制御技術をNTTより提案中 ( チャネル幅拡張でチャネル数減少に伴い干渉増大する問題を解決する ) Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 4
ミリ波帯小型 高集積無線モジュール技術 ネットワークのリッチコンテンツを端末に瞬間転送して屋外で視聴するために いろいろな物に組込み可能な小型 高集積ミリ波無線モジュールの研究開発に取り組み中 特徴 1. 4チャネル並列伝送により10Gbit/sクラスの高速データ伝送 (2.5Gbit/s 4ch = 10Gbit/s) 2. 広帯域 / 高利得 / 小型擬似反射鏡アンテナによりミリ波帯 (60GHz 帯 ) の全帯域 (9GHz) をカバー 3. 小型 高集積ミリ波無線モジュールによりポータブル端末においてもミリ波通信が可能 裏 表 小型ミリ波無線端末 ( 実現イメージ ) 一体型広帯域アンテナ 高集積 MMIC 擬似反射鏡アンテナ DVD も数秒でダウンロード 動作原理と構造 ( 断面図 ) 小型 高集積ミリ波無線モジュール 応用イメージ Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 5
広域ユビキタスネットワーク 広域に大量に遍在する ( ユビキタス ) モノ と経済的な通信を実現するセンサーネットワーク ユビキタス特区事業を通じて技術検証を実施 現在 協力企業とサービス実証実験を推進中 広域ユビキタスネットワーク概要 センサ情報収集 ユビキタス特区事業でのサービス実証実験 (H20~H22 年度 ) お客様端末 IP 網 お客様サーバ 名刺箱サイズ 概観 D/A Flash RF RTC ROM ASIC A/D A/D 回路基板 遠隔制御 お客様端末 主な特長 簡易な無線端末 ( 送信出力 10mW 以下 ) でありながら 広大な利用環境 ( セル ) を実現 設置場所の制約を緩和する 小型で メンテナンスフリーの無線端末 ( 電池寿命は数年程度 ) 暗号化や端末認証などのセキュリティを確保 280MHz 帯を利用して 半径 3.5km のセルを実現 名刺サイズの小型端末を実現 ガス検針 遠隔監視制御等の実証実験を推進 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 6
広域ユビキタスネットワークの主な技術 送受信サイトダイバーシチ技術により 半径 3.5~5km の広いセルと高い到達度を実現 端末省電力化技術により 小型端末での 5 年以上の電池動作を実現 1 サイトダイバーシチ : 特定小電力並みの電波で数 km セルを実現 セル端に複数の基地局を設置し 電波遮蔽による受信電力低下を回避 2 端末省電力化 : 従来無線モジュールと同等規模でありながら電池駆動で数年間動作を実現 端末スリープ時の消費電流を リーク電流削減化 により 5μA 以下を実現 3 サイトセル構成 入力 2 主電源 nmos 1. ゲート ソース間に逆バイアスがかかる nmos pmos を用いたオフ状態により, 通常のゼロバイアスより 2~3 桁低いリーク電力を実現 F 3 F 2 F 1 F 2 F 1 F 3 F 1 F 3 F 2 分配 合成 / 変復調 ( 基地局 ) 送信 / 受信ダイバーシチ技術 信号最大比合成を実現するデジタルファイバ無線技術 : 基地局 : 端末局 入力 1 参照電圧 pmos 待機電力 FOMA DoPa 1mA 100μA 10μA 1μA 電源出力 アース 腕時計 ASIC スリープ時オフ領域 ZigBee 自己宛検出回路 PHS 広域ユビキタス 2. 回路規模 1/10 以下 Flash ROM A/D & D/A 同等規模モジュールに比べて 2-3 桁削減 <5μA RF 回路規模 機能 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 7
広域ユビキタスネットワークの標準化への取り組み これまでのサービス実証実験を踏まえ研究開発を推進中 センサーネットワークでは 長期の安定した運用と普及に向け 装置や通信方式の規格化が重要であり 各種団体と連携し必要な標準化を推進中 標準化への取り組み 活動スケジュール MMAC フォーラム (ARIB) 目的 : 技術基準策定 審議中 広域センサ NW の システム要求条件 技術仕様 ITU-R 勧告案 レポート案の精査 広域ユビキタスネットワーク ITU-R SG5/WP5A 目的 : 技術勧告策定 審議中 広域センサ NW の システム要求条件 ( 勧告作業文書 ) 技術的条件 ( 例 ) ( ドラフトレポート ) NTT 開発 MMAC (ARIB) 2010 年度 2011 年度 2012 年度 ~ ユビキタス特区事業 ( 技術検証 ) 総務省事業による検証 方式仕様検討 方式案 (vol.1.0) 方式仕様検討 ( 継続 ) 開発 ( 情通審 / 電監審 ) 方式案 (Vol.2.0) ARIB 規格策定 テレメータリンク 推進協議会目的 : ユビキタスメータとのコンパチビリティ確保 ( プロトコル 端末 IF) 多段中継方式の提案 IEEE802.15 (Smart Utility Network) ITU-R WP5A 勧告案とレポート案作成 WP5A/SG5 勧告案とレポート案に反映 WP5A 勧告とレポート最終案入力 ネットワーク統合制御システム標準化等推進事業 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 8
( 参考 ) 高速無線 LAN/PAN の標準化動向 無線 LAN 周波数 5GHz 帯 60GHz 帯 無線 PAN 団体名 IEEE 802.11ac IEEE 802.11ad WiGig IEEE 802.15.3c ECMA TC48 WirelessHD 団体概要 IEEE 802 傘下のワイヤレスローカルネットワーク (WLAN) の 5GHz 帯を用いた高速化を検討 IEEE 802 傘下のワイヤレスローカルエリアネットワーク (WLAN) のミリ波を用いた高速化を検討 コンピュータ業界を中心としたアライアンス IEEE 802 傘下のワイヤレスパーソナルネットワーク (WPAN) の高速化を検討 EU の国際標準化団体傘下の高速無線を検討 家電業界のコンソーシアム ターゲットアプリケーション 主要メンバー 進展状況 特徴 最大伝送レート チャネルプラン等 HD 動画像等の高速配信を含む家庭やオフィスでの様々な機器のワイヤレス接続 Broadcom Intel Marvell Atheros Samsung Qualcomm NTT ETRI LG など 要求条件 仕様構成をほぼ制定 2012 年 12 月完了を目途 マルチユーザ MIMO 技術によるシステムスループット向上 1 Gbit/s 以上 ( 複数端末合算 ) 高速ファイル転送 ワイヤレスディスプレイ PC と周辺機器との接続 HD 動画像の非圧縮ストリーミング Intel( 主導 ) WiGig 企業 NICT NTT FT Sony ETRI など 2010 年 5 月に WiGig 仕様をメインとしたものをドラフト 0.1 として採択 Intel( 主導 ) Atheros Broadcom Cisco Dell Marvell MediaTek Microsoft NEC Nokia NVIDIA Panasonic Samsung Toshiba Wilocity など 2009 年 12 月に仕様書 (1.0) を作成 従来の 802.11 との互換性を確保 低消費電力機器と高性能機器の両方に対応 PC データバス ディスプレイなどのインタフェースをサポート ビームフォーミングにより伝送距離 10m 以上 端末への高速データダウンロード HD 動画像の非圧縮ストリーミング 日本企業連合 (NICT NTT Panasonic OKI Sonyなど ) SIBEAMなど Intel( 主導 ) Philips Panasonic Samsung など 技術検討が最も詳細 2008 年 3 月にドラフト 製品化に遅れ作成 2009 年 9 月に完了し 10 月に標準化文書 (IEEE Std 802.15.3c -2009) 発行 4 つのモード ( シングルキャリア OFDM) をサポート ビームステアリングはオプション アプリケーションに応じて 3 つのデバイスカテゴリーを設定 ( 上位互換 ) シングルキャリア 7 Gbit/s 6 Gbit/s 6.4 Gbit/s 4 Gbit/s 同じチャネルプランを使用 HDMI ケーブルのワイヤレス化 HD 動画像の非圧縮ストリーミング SiBEAM( 主導 ) Panasonic Samsung Toshiba Sony など 2008 年 1 月に仕様書 (1.0) を作成し CES2008 でデモ 製品化 (LSI 化 ) が進んでいる 2010 年 Q1 に仕様書 (1.1) リリース OFDM ビームステアリング機能 映像信号のみ伝送可能 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 9
( 参考 )IEEE 802.11ac 標準化の取り組み IEEE 802.11ac 標準の概要 目標システムスループット :1Gbit/s( 複数端末のスループットの合算値 ) 検討されているスループット向上技術 チャネル幅の拡張 20/40MHz 幅 (11a/n) に 80MHz 幅を新設 160MHz 幅も検討中 チャネル幅拡張には 関連規則の変更が必要 80MHz 幅チャネル /160MHz 幅チャネル 非連続チャネル利用への対応空間多重数の増加 ( 例 :8x8 MIMO) マルチユーザ MIMO 高効率な端末多重化に向けて 最大バースト時間 (4ms) の見直しを要する可能性ありその他 256QAM 符号化率の変更 標準化完了 ( 現時点の予定 ):2012 年末頃 5GHz 帯無線 LAN 周波数チャネル配置 20MHz 帯域 (19 チャネル ) 5150 5190 5230 5250 5270 5310 5350[MHz] 5470 5510 5550 5590 5630 5670 5725[MHz] 5710 40MHz 帯域 (9 チャネル ) 80MHz 帯域 (4 チャネル ) 160MHz 帯域 (2 チャネル ) チャネル数減少が干渉増大を招く 近隣 との干渉を回避する干渉制御技術を NTT より提案中 Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社 10