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Bowers & Wilkins CM Series Technical paper

サマリー Bowers & Wilkins の CM シリーズは 2006 年に発売された CM1 から発展し 時の経過とともに Bowers & Wilkins の製品ラインナップの中でも有数の充実したシリーズに成長しました そしてシリーズの一部モデルに採用された技術が大幅な進歩を遂げました 新しい CM シリーズでは シリーズの一つ一つの機種に採用されていたテクノロジーの合理化を実現し すべてが最新式になっています 本書では 新しい CM シリーズに搭載されている主なテクノロジーについて またそうしたテクノロジーを支えている理論について説明します

デカップリング型ダブルドーム トゥイーター Bowers & Wilkins では ドライブユニットのダイアフラムにはできるだけ広い周波数でピストン運動を続けてほしいことから 最高のトゥイーターには最高にかたくて軽い部品を使用するのが鉄則となっています しかし どのような振動板構造であっても 周波数が高いほど安定の維持が難しくなるという問題があります ある周波数になると 振動板は本来の姿を失い ゆがんだり曲がったりし始めます このポイントが振動板のいわゆる 高域一次共振 ポイントです 一般的にスピーカーの高域周波数帯域では このブレークアップ周波数が高いほど澄んだ音が再生されます 最高級機種 800 シリーズ Diamond では トゥイーター ドームに極めて薄いダイヤモンド層を用いて高域一次共振周波数を高めています ダイヤモンド層を用いることによって可能な限り最も固い振動板が実現し 高域一次共振周波数が 当社の従来のアルミニウム トゥイーターの 30kHz を大幅に上回る 70kHz へと上がっているのです ただし この先端技術は高性能ですがコストも高く どのスピーカーにも使えるわけではありません そこで導き出されたのがダブルドーム トゥイーターです 先進の有限要素解析 (FEA) 法を用いると 従来のアルミニウムドーム トゥイーターでは ボイスコイルが接続されるドームの縁が最も弱いことが分かります 下図はその様子を表したものです ダブルドームは ドームの裏面に接着された 50 ミクロンのアルミ二ウムリングが 35 ミクロンのアルミニウム ダイアフラムを補強 その結果 構造の最も弱い部分の剛性が増し 高域一次共振周波数が 38kHz まで上がります それと同時に ダブルドームを用いると振動板の質量の増加が最小限ですみます CM シリーズでは トゥイーターは全てスピーカーのキャビネットから完全にフローティングしています 高音ドライバーはやわらかいジェル状素材の中に収容され バッフルがなく事実上浮かんでいる状態になっています こうすることによってキャビネットからトゥイーターに伝わる振動のエネルギーが遮断され キャビネットそのものから発生する様々なノイズが減るとともに ( エンクロージャー内にある大きい方のドライブユニットから発生する ) 低 中域周波数のエネルギーがトゥイーターから出る音に影響しないようになります ドーム サラウンド 超高域周波数でドームが変形する部分 ボイスコイル 図 1 - 最新の CM シリーズの 25mm アルミニウム ドーム トゥイーターの磁気回路ボイスコイル 2 番目のドーム ドーム デカップリング ジェルハウジング 図 2 - トゥイーター アセンブリーの分解立体図

トゥイーター オン トップ 新しい CM シリーズには トゥイーター オン トップ方式を採用しているプレミアム機種が 2 種類あります この立証済みの Bowers & Wilkins のテクノロジーは キャビネットの回析 ( ディフラクション ) 現象を抑制します トゥイーターをキャビネットのバッフルに取り付けると トゥイーターから発生する音波はドームからあらゆる方向に伝わり この波面がキャビネットのエッジに当ると そこで音響環境が変化してこのエッジで 2 番目の波面が発生します この二次波は キャビネットのエッジから外に円形方向に伝わり エネルギーの一部がトゥイーターの方に戻ります この二次波がトゥイーターから出る音に干渉し リスニングポジションの不均一なトゥイーターレスポンスの原因となるのです この現象をキャビネット ディフラクションといいます トゥイーター オン トップ方式では キャビネット ディフラクションのもととなるエッジのない小さく滑らかなエンクロージャーにトゥイーターを収めてこの問題を解決しています 干渉の現象は下図 ( 図 3) をご覧ください 下図 ( 図 4) は CM5 S2 と CM6 S2 の指向性を表したものです CM5 S2 と CM6 S2 のトゥイーターの唯一の違いは CM5 S2 のトゥイーターはバッフルマウント型 CM6 S2 のトゥイーターはトゥイーター オン トップ方式が採用されているということです CM5 S2 のレスポンスでは 5kHz と 10kHz でキャビネット ディフラクションが原因のロービングがはっきり見られますが CM6 S2 ではそうした現象は見られません 図 3 トゥイーター オン トップと干渉現象 CM6S2 CM5S2 5kHz 10kHz 図 4 バッフルマウント型トゥイーターとトゥイーター オン トップ方式の指向性比較

キャビネット構造 スピーカーを設計する際には ドライブユニットが音を放射すること そしてドライブユニット以外の所が再生音に与える影響を排除することを常に願っていますが スピーカーのドライブユニットが大量のエネルギーを発生してキャビネットの構造を刺激するため それが難しい場合があります キャビネットが放射する音の量は キャビネットの重量と剛性を増すように設計して減らすことができます キャビネットが放射する音の量は 表面の速度を計測すれば分かります 表面の速度は発生する音圧に正比例します 下の 2 つの図は 350Hz における 683 と CM9 S2 のバッフル上の振動速度を表したものです 色が濃いほど ずれが大きく 速度が速いことを計測しています 683 は高性能スピーカーですが ドライブユニットの周囲は速度が速くなっています それと比較して CM9 はバッフルが厚くて固いため ドライブユニットの周囲の速度は大幅に遅く キャビネットは大幅に静かになっています 図 5 683S2 図 6 CM9 S2

クロスオーバーとハーネス部品 スピーカーのクロスオーバーは低次か高次かで定義されます 低次のクロスオーバーは 周波数の変化に伴うドライブユニットのロールオフが緩やかで 高次のクロスオーバーは周波数に伴うロールオフが急峻です また 低次のクロスオーバーでは ターミナルとドライブユニットの間にある部品数は最小です Bowers & Wilkins では ドライブユニットの設計をすべて社内で行っています このように設計を厳格に管理していることから あらゆるドライブユニットの性能をコントロールして一貫性を持たせ さらには低次のクロスオーバーを確実に採用できるのです クロスオーバーのあらゆる部品には何らかのロスがあるため クロスオーバーの部品の種類と品質はスピーカーの性能に大きく影響します 新しい CM シリーズでは 全シリーズに高品質のムンドルフ社製 MCap EVO Silver Gold Oil コンデンサを採用 内部配線までも新たにオーディオファイル グレードのケーブルになっています

防振プラグ トゥイーターのドームは一定の周波数になると同じように曲がり始めます バス / ミッドレンジ ドライブユニットのボイスコイルも同じです 防振プラグは ボイスコイルの先端に差し込むダストキャップです 防振プラグをボイスコイルに差し込むことによって剛性が増し ボイスコイルの高域共振周波数が高くなります また 防振プラグの素材は良好なダンピング特性を有し ボイスコイル共振時の振動を抑制するため バス / ミッドレンジのドライブユニットの高域レスポンスが滑らかになります 防振プラグ